JP2007182499A - 樹脂発泡体及び発泡成形用樹脂組成物 - Google Patents

樹脂発泡体及び発泡成形用樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】独立気泡率が高く、適度な剛性を有する生分解性発泡体を得る。
【解決手段】オレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂など)とデンプン類とで構成された樹脂組成物を、少なくともイソブタンを含有する有機系物理発泡剤を用いて、発泡成形することにより発泡体を得る。前記有機系物理発泡剤は、イソブタン単独で構成するか、又はイソブタンと、n−ブタン、n−ペンタン及びイソペンタンから選択された少なくとも一種との混合発泡剤であってもよく、イソブタンを40重量%以上の割合で含んでいてもよい。デンプン類とオレフィン系樹脂との割合(重量比)は、デンプン類/オレフィン系樹脂=1/99〜60/40程度であってもよい。前記発泡体の発泡倍率は18〜90倍程度、密度は0.01〜0.05g/cm程度であってもよい。また、前記発泡体の独立気泡率は80%以上であってもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、包装材などとして有用な樹脂発泡体及びこの発泡体を形成するための発泡成形用樹脂組成物に関する。
樹脂発泡体は、弾力性、柔軟性、断熱性などの性質を利用して、包装材、断熱材、緩衝材、容器などの各種用途で多用されている。また、近年では、環境的配慮から、生分解性高分子などを用いた発泡体も知られている。
例えば、デンプン系樹脂を用いた発泡体に関して、特開2004−123945号公報(特許文献1)には、エステル変性でんぷん系樹脂を基材樹脂の主成分とし、見掛け密度が30〜600kg/m、厚みが0.2〜10mm、連続気泡率が45%以下であるエステル変性でんぷん系樹脂発泡シートが開示されている。また、特開2004−262217号公報(特許文献2)及び特開2004−306507号公報(特許文献3)には、エステル変性でんぷん系樹脂発泡層の少なくとも片面に、エステル変性でんぷん系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂またはそれらの混合物で構成され、23℃における引張弾性率が400MPa以上の樹脂組成物からなるフィルム層を有し、連続気泡率が45%以下である複合発泡板が開示されている。しかし、デンプン系樹脂を用いると連続気泡率が高くなり易く、用途によっては、剛性が不十分であり、上記特許文献2及び3のように複層構造に成形したりする必要が生じる。
また、特開2001−200084号公報(特許文献4)には、セルロース・アセテート系樹脂を主成分として含有する発泡性樹脂組成物を押し出しすると同時に水分の気化膨張力により発泡させることにより製造されるセルロース・アセテート系樹脂発泡体において、上記発泡性樹脂組成物が、セルロース・アセテート系樹脂100重量部に対して10〜100重量部の割合で、コーンスターチ、米粉、デンプンなどの生分解性付与材(A)を含有する生分解性でかつ機械的特性や熱賦形性にも優れたセルロース・アセテート系樹脂発泡体が開示されている。このような樹脂発泡体では、気泡サイズのバラツキが大きく、気泡を安定して形成するのが困難であり、連続気泡率が高くなり易い。
特開2004−123945号公報(請求項1) 特開2004−262217号公報(請求項1) 特開2004−306507号公報(請求項1) 特開2001−200084号公報(請求項1)
従って、本発明の目的は、独立気泡率が高く、適度な剛性を有するとともに、生分解性を有する発泡体、及びこの発泡体を形成するための発泡成形用樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、気泡サイズのバラツキが小さな独立気泡を多く含む発泡体、及びこの発泡体を形成するための発泡成形用樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、オレフィン系樹脂と、デンプン類とで構成された樹脂組成物を、少なくともイソブタンを含有する有機系物理発泡剤を用いて発泡成形すると、独立気泡率が高い発泡体を形成できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の発泡体は、オレフィン系樹脂とデンプン類とで構成された樹脂組成物が、少なくともイソブタンを含有する有機系物理発泡剤を用いて、発泡成形された発泡体である。前記有機系物理発泡剤の沸点は、発泡剤全体の平均として−40℃〜+15℃程度であってもよい。前記有機系物理発泡剤は、イソブタン単独で構成された発泡剤、又はイソブタンと、n−ブタン、n−ペンタン及びイソペンタンから選択された少なくとも一種とで構成された混合発泡剤であってもよく、通常、イソブタンを40重量%以上の割合で含有してもよい。前記オレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂であってもよい。前記デンプン類は、例えば、デンプン、エーテル化デンプン及びエステル化デンプンから選択された少なくとも一種であってもよい。デンプン類とオレフィン系樹脂との割合(重量比)は、デンプン類/オレフィン系樹脂=1/99〜60/40程度であってもよい。前記発泡体の発泡倍率は18〜90倍程度であってもよく、密度は0.01〜0.05g/cm程度であってもよい。また、前記発泡体の独立気泡率は80%以上であってもよい。発泡体において、前記樹脂組成物は、さらに脂肪酸アミドを含有してもよい。
本発明には、前記発泡体を形成するために使用される発泡成形用樹脂組成物も含まれる。また、本発明には、オレフィン系樹脂とデンプン類とで構成された樹脂組成物を、少なくともイソブタンを含有する有機系物理発泡剤を用いて、発泡成形することにより、発泡体を製造する方法及び発泡体の独立気泡率を向上させる方法も含まれる。
本発明では、オレフィン系樹脂と、デンプン類などの生分解性成分とで構成された樹脂組成物を、少なくともイソブタンを含有する有機系物理発泡剤を用いて発泡成形するので、発泡体の独立気泡率を向上でき、剛性を改善できる。また、発泡剤中のイソブタンの割合を高めると、発泡体中の独立気泡のサイズのバラツキを低減できる。
本発明の発泡成形用樹脂組成物は、本発明の発泡体を形成するために使用される樹脂組成物であって、オレフィン系樹脂とデンプン類とで構成されており、少なくともイソブタンを含有する有機系物理発泡剤を用いて、発泡成形することにより、前記発泡体を形成できる。
前記オレフィン系樹脂としては、例えば、鎖状オレフィン系樹脂[例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−C2−20オレフィン(好ましくはα−C2−6オレフィン)の単独又は共重合体、前記α−C2−20オレフィンと他の共重合性単量体((メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル系単量体;マレイン酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸又はその無水物;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;シクロペンテン、ノルボルネンなどの環状オレフィン類;ブタジエンなどのジエン類など)との共重合体(例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマー、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)など]、環状オレフィン系樹脂[環状オレフィン(例えば、シクロペンテンなどのシクロアルケン(C4−10シクロアルケンなど);シクロペンタジエンなどのシクロアルカジエン(シクロC4−10アルカジエンなど);ノルボルネン、ノルボルナジエンなどのビシクロアルケン又はビシクロアルカジエン(C8−20ビシクロアルケン又はビシクロアルカジエンなど);ジヒドロジシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンなどのトリシクロアルケン又はトリシクロアルカジエン(C10−25トリシクロアルケン又はトリシクロアルカジエンなど)など)の単独又は共重合体;前記環状オレフィンと他の共重合性単量体(前記共重合性単量体の他、前記α−C2−20オレフィンなど)との共重合体など]などが挙げられる。オレフィン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのオレフィン系樹脂のうち、ポリエチレン系樹脂(ポリエチレン;エチレン−プロピレン共重合体などのエチレンと他のα−C2−6オレフィンとの共重合体など)、ポリプロピレン系樹脂(ポリプロピレン、プロピレンと他のα−C2−6オレフィンとの共重合体など)などが好ましく、特に、ポリエチレン系樹脂[例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)など]が好ましい。なお、ポリエチレンには、メタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレンも含まれる。
オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、1×10〜50×10、好ましくは2×10〜10×10、さらに好ましくは3×10〜7×10程度である。
デンプン類としては、微生物などにより分解可能であればよく、例えば、デンプン(例えば、コーンスターチ、馬鈴薯デンプン、甘藷デンプン、タピオカデンプンなどの各種生デンプン)、物理変性デンプン(α化デンプン、アミロースなど)、化学変性デンプン(酸化デンプン、エステル化デンプン、エーテル化デンプン、カチオン化デンプン、架橋デンプンなど)などが挙げられる。デンプン類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。上記デンプン類のうち、デンプン、エステル化デンプン(有機酸及び/又は無機酸でデンプンのヒドロキシル基の少なくとも一部をエステル化したデンプン、例えば、アセチルデンプン、アリルデンプンなどのカルボン酸変性デンプン;硝酸エステル化デンプン、リン酸エステル化デンプンなどの無機酸変性デンプンなど)、エーテル化デンプン(デンプンのヒドロキシル基の少なくとも一部がエーテル化されたデンプン、例えば、メチルデンプンなどのアルキルデンプン;カルボキシメチルデンプンなどのカルボキシアルキルデンプン;ヒドロキシエチルデンプンなどのヒドロキシアルキルデンプンなど)などを用いる場合が多い。
本発明の発泡成形用樹脂組成物及び発泡体において、デンプン類とオレフィン系樹脂との割合(重量比)は、デンプン類/オレフィン系樹脂=0.5/99.5〜60/40(例えば、1/99〜60/40)、好ましくは1.5/98.5〜50/50(例えば、2/98〜40/60)、さらに好ましくは2.5/97.5〜30/70程度である。
樹脂組成物及び発泡体は、さらに脂肪酸アミドを含有してもよい。脂肪酸アミドとしては、一価又は二価の長鎖脂肪酸(C10−30飽和又は不飽和脂肪酸など)とアミン類との酸アミド、例えば、カプリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミドなどの飽和脂肪酸の酸アミド;オレイン酸アミドなどの不飽和脂肪酸の酸アミド;C1−6アルキレンジアミン(特に、C1−2アルキレンジアミン)と脂肪酸とのビスアミド(例えば、エチレンビスステアリルアミド、ヘキサメチレンジアミン−ジステアリン酸アミドなど)などが挙げられる。これらの脂肪酸アミドは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明において、脂肪酸アミドは、気泡の収縮を防止するための収縮防止剤として用いてもよい。脂肪酸アミドの割合は、例えば、オレフィン系樹脂100重量部に対して、例えば、0.01〜30重量部、好ましくは0.05〜20重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部程度である。
本発明の樹脂組成物及び発泡体は、さらに気泡調整剤を含有してもよい。気泡調整剤としては、例えば、無機粒子(タルクなどの粘土質鉱物;酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、ケイ素、酸化チタンなどの金属酸化物;水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物;炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩など)、有機粒子(セルロース粉末、キチン、キトサン、木粉、ステアリン酸金属塩など)などが挙げられる。これらの気泡調整剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの気泡調整剤のうち、無機粒子、特に、タルク、金属水酸化物、金属炭酸塩などを用いる場合が多い。
気泡調整剤の割合は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、例えば、0.01〜15重量部、好ましくは0.05〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部程度であってもよい。
本発明の樹脂組成物及び発泡体は、さらに他の樹脂、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂)、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル共重合体など)、ポリエステル系樹脂(芳香族ポリエステル系樹脂など)、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、熱可塑性エラストマー(スチレン系、オレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系エラストマーなど)、ゴム状重合体などの熱可塑性樹脂などを含有してもよい。これらの樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。なお、他の樹脂の含有量は、例えば、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、例えば、0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは5〜15重量部程度であってもよい。
発泡成形用樹脂組成物及び発泡体は、必要により、界面活性剤、例えば、ノニオン性界面活性剤[例えば、エーテル型、エステルエーテル型、エステル型、含窒素型界面活性剤など]、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを含有してもよい。これらの界面活性剤のうち、ノニオン性界面活性剤、特に、多価アルコール脂肪酸エステルなどのエステル型ノニオン性界面活性剤、例えば、(ポリ)グリセリン、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ソルビトール、グリセリン、ショ糖等の多価アルコールと高級脂肪酸とのエステル[例えば、グリセリルモノステアレート、グリセリルジステアレート、グリセリルモノベンゾエートなどのグリセリンC8−24脂肪酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステルなどのショ糖C8−24脂肪酸エステル、ソルビタンモノオレート、ソルビタンジオレート、ソルビタントリオレートなどのソルビタンC8−24脂肪酸エステルなど]を用いる場合が多い。これらの界面活性剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
界面活性剤の添加量(割合)は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、例えば、0.3〜50重量部、好ましくは0.5〜20重量部、さらに好ましくは1〜10重量部程度であってもよい。
発泡成形用樹脂組成物及び発泡体は、必要に応じて、慣用の添加剤、例えば、充填剤(ガラス繊維、炭素繊維などの繊維充填剤等)、安定剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤などの酸化防止剤;紫外線吸収剤、耐熱安定剤、耐候安定剤等)、発泡助剤、難燃剤、着色剤(染料、顔料など)、分散剤、離型剤、防曇剤、核剤、滑剤、潤滑剤、衝撃改良剤、可塑剤、収縮防止剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、防腐剤、防カビ剤、光触媒(酸化チタンなど)、生分解成分(前記デンプン類以外の生分解成分、例えば、セルロース類、キチン、キトサンなどの多糖類、ペプチド、タンパク質類など)などを含有してもよい。これらの添加剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明では、少なくともイソブタンを含有する有機系物理発泡剤を用いて、前記樹脂組成物を発泡成形することにより発泡体を形成する。このようなイソブタン含有有機系物理発泡剤を用いると、樹脂組成物中の発泡剤が、空気と置換される割合を低減できるためか、形成される気泡のサイズのバラツキを低減でき、独立気泡を安定に形成できるとともに、比較的サイズが大きな独立気泡を形成することもできる。
前記有機系物理発泡剤は、少なくともイソブタンを含有すればよく、イソブタン単独であってもよく、イソブタンと他の有機系物理発泡剤とを組み合わせて用いてもよい。他の有機系物理発泡剤としては、プロパン、n−ブタン、ペンタン(n−ペンタン、イソペンタンなど)、ヘキサン(n−ヘキサンなど)などの脂肪族炭化水素類;トルエンなどの芳香族炭化水素類;三塩化フッ化メタンなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルエーテル、石油エーテルなどのエーテル類;アセトンなどのケトン類などが挙げられる。これらの他の有機系物理発泡剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
有機系物理発泡剤のうち、イソブタン単独、イソブタンと脂肪族炭化水素類(特に、n−ブタン、n−ペンタン、及びイソペンタンから選択された少なくとも一種など)との組み合わせなどが好ましい。
有機系物理発泡剤におけるイソブタンの割合は、例えば、40重量%以上(40〜100重量%程度)、好ましくは50重量%以上(50〜100重量%程度)、さらに好ましくは60重量%以上(60〜100重量%程度)である。
有機系物理発泡剤の沸点(常圧における沸点)は、発泡剤全体の平均として、例えば、−40℃〜+15℃、好ましくは−35℃〜+10℃、さらに好ましくは−30℃〜+10℃程度であってもよい。例えば、沸点が−42℃であるプロパンを単独で発泡剤として用いると、気泡が破泡し易く、発泡体中の連続気泡率は高くなる。なお、前記沸点の平均値は、各有機系物理発泡剤の沸点(℃)と、有機系物理発泡剤全体を1としたときの各有機系物理発泡剤の割合(重量比)との積の総和で表される。
有機系物理発泡剤の割合は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、例えば、0.01〜30重量部、好ましくは0.1〜25重量部、さらに好ましくは1〜20重量部程度である。
前記有機系物理発泡剤とともに、必要により、他の発泡剤(例えば、窒素、炭酸ガスなどのガス、水などの揮発性発泡剤;重炭酸ナトリウム、クエン酸、アゾジカルボン酸アミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DNPT)などの分解性発泡剤など)などを併用してもよい。
なお、前記有機系物理発泡剤及び/又は他の発泡剤は、発泡成形用樹脂組成物中に含有されていてもよい。
本発明の発泡成形用樹脂組成物は、慣用の方法、例えば、(i)混合機(タンブラー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサー、リボンミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機など)で各成分を予備混合して溶融混練機(一軸又はベント式二軸押出機など)で溶融混練し、ペレット化手段(ペレタイザーなど)でペレット化する方法、(ii)所望の成分のマスターバッチ(例えば、デンプン類などを高濃度で含有するポリオレフィンのマスターバッチ)を調製し、ポリオレフィンと、必要により他の成分と混合して溶融混練機で溶融混練してペレット化する方法、(iii)各成分を溶融混練機に供給して溶融混練してペレット化する方法、(iv)所定の成分(例えば、デンプン類、気泡調整剤、添加剤など)を溶融混練機の途中部で添加して混練する方法などにより調製できる。なお、樹脂組成物には、ペレット状組成物などの他、溶融混合物も含まれる。
本発明の発泡体は、前記特定の有機系物理発泡剤を用いて、慣用の方法により、前記樹脂組成物を発泡成形することにより製造できる。なお、有機系物理発泡剤などの発泡剤は、樹脂組成物に混合して用いてもよく、溶融混練された樹脂組成物に添加又は圧入してもよい。発泡成形法としては、種々の方法、例えば、押出成形法(例えば、Tダイ法、インフレーション法など)、射出成形法などが使用できる。
なお、押出成形機での溶融混練温度は、材料に応じて適宜選択でき、例えば、120〜300℃、好ましくは140〜280℃、さらに好ましくは150〜260℃程度であってもよい。
発泡体の形状は、特に制限されず、例えば、棒状、紐状などの一次元的形状、シート状、フィルム状、二次元網目(ネット)状などの二次元的形状、ブロック状、板状、三次元網目状、パイプ状などの三次元的形状であってもよい。成形体(シート状成形体など)の表面は、平滑であってもよく、凹凸を有していてもよい。シート状成形体には、両表面が平滑なシートの他、一方の表面が波状などの凹凸を有し、他方の表面が平滑なシート、両表面が波状などの凹凸を有するシートなども含まれる。なお、シート状成形体の厚みは、例えば、0.5〜3mm、好ましくは1〜2mm、さらに好ましくは1〜1.5mm程度であってもよい。
発泡体において、発泡倍率は、例えば、5〜100倍程度の範囲から選択でき、好ましくは10〜90倍、さらに好ましくは20〜80倍程度であってもよい。本発明では、イソブタンを含有する有機系物理発泡剤を用いて発泡成形を行うので、発泡倍率を高めることもできる。前記発泡倍率は、18〜90倍(例えば、30〜90倍)、好ましくは35〜80倍、さらに好ましくは40〜70倍程度であってもよい。
発泡体の密度(見掛け密度)は、例えば、0.005〜0.2g/cm、好ましくは0.01〜0.1g/cm(例えば、0.01〜0.05g/cm)、さらに好ましくは0.01〜0.04g/cm程度である。
本発明の発泡体は、独立気泡を多く含んでいる。発泡体の独立気泡率は、80%以上(例えば、80〜100%)、好ましくは90%以上(例えば、90〜99.9%程度)、さらに好ましくは95%以上(例えば、95〜99.7%程度)、特に98%以上(例えば、98〜99.5%程度)である。
本発明では、前記特定の有機系物理発泡剤を用いて、前記樹脂組成物を発泡成形することにより、得られる発泡体の独立気泡率を向上させることができる。このような独立気泡率の向上又は改善方法も本発明に含まれる。
本発明の発泡体は、適度な剛性を有するため、各種包装用途、工業用品(精密機械部品の緩衝材用途など)等の包装用途、建築資材(例えば、断熱材、隙間又は目地部に充填するための充填材など)、合併浄化槽用の充填材などの用途において有用である。なお、緩衝材は、シート状、ネット状、袋状、キャップ状などの種々の形態であってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1〜5及び比較例
低密度ポリエチレン(LDPE)(日本ポリエチレン(株)製,JF414A)、デンプン含有ポリエチレン(PE)(日立化成フィルテック(株)製,813PE,デンプン含有率20重量%)、ステアリン酸アミド、及びタルクを、表1に示す割合で用いて、押出機(50φ(第1ステージ)/60φ(第2ステージ))を用いて、第1ステージで混練溶融させつつ、表1に示す割合の発泡剤を注入した。さらに、第2ステージで、混合物をさらに均一に混練し、冷却しつつ、ダイから混合物を棒状25φに押出し、マンドレルで引き取って発泡体を得た。
なお、実施例5では、前記デンプン含有ポリエチレンに代えて、澱粉(日本コーンスターチ(株)製,コーンポールCPR−EX1)を表1に示す割合で用いる以外は上記と同様に発泡体を得た。
結果を表1に示す。なお、デンプン含有ポリエチレンを用いた例では、デンプン含有率に基づいて算出したデンプンの含有量(重量部)を括弧内に記載した。
Figure 2007182499
表から明らかなように、イソブタンを用いて発泡成形した実施例では、独立気泡率及び発泡倍率が高い発泡体が得られたのに対し、イソブタン以外の発泡剤を用いた比較例では、独立気泡率及び発泡倍率のいずれも非常に低い発泡体が得られた。

Claims (12)

  1. オレフィン系樹脂とデンプン類とで構成された樹脂組成物が、少なくともイソブタンを含有する有機系物理発泡剤を用いて、発泡成形された発泡体。
  2. 有機系物理発泡剤の沸点が、発泡剤全体の平均として−40℃〜+15℃である請求項1記載の発泡体。
  3. 有機系物理発泡剤が、イソブタン単独で構成された発泡剤、又はイソブタンと、n−ブタン、n−ペンタン及びイソペンタンから選択された少なくとも一種とで構成された混合発泡剤であり、イソブタンを40重量%以上の割合で含む請求項1記載の発泡体。
  4. オレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂である請求項1記載の発泡体。
  5. デンプン類が、デンプン、エーテル化デンプン及びエステル化デンプンから選択された少なくとも一種である請求項1記載の発泡体。
  6. デンプン類とオレフィン系樹脂との割合(重量比)が、デンプン類/オレフィン系樹脂=1/99〜60/40である請求項1記載の発泡体。
  7. 発泡倍率が18〜90倍であり、密度が0.01〜0.05g/cmである請求項1記載の発泡体。
  8. 独立気泡率が80%以上である請求項1記載の発泡体。
  9. 樹脂組成物が、さらに脂肪酸アミドを含有する請求項1記載の発泡体。
  10. オレフィン系樹脂とデンプン類とで構成され、少なくともイソブタンを含有する有機系物理発泡剤を用いて、発泡成形することにより請求項1記載の発泡体を形成するために使用される発泡成形用樹脂組成物。
  11. オレフィン系樹脂とデンプン類とで構成された発泡成形用樹脂組成物を、少なくともイソブタンを含有する有機系物理発泡剤を用いて、発泡成形し、請求項1記載の発泡体を製造する方法。
  12. オレフィン系樹脂とデンプン類とで構成された樹脂組成物を、少なくともイソブタンを含有する有機系物理発泡剤を用いて、発泡成形することにより発泡体の独立気泡率を向上させる方法。
JP2006001466A 2006-01-06 2006-01-06 樹脂発泡体及び発泡成形用樹脂組成物 Expired - Fee Related JP4764171B2 (ja)

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