JP2007181309A - 永久磁石同期電動機駆動装置の制御方法、及びそれを用いた永久磁石同期電動機駆動装置 - Google Patents

永久磁石同期電動機駆動装置の制御方法、及びそれを用いた永久磁石同期電動機駆動装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
電動機に対して、駆動装置から出力される複数相の出力のうちの欠相を検出することの望まれる場合がある。
【解決手段】
欠相の検出については、欠相している相では、駆動装置からの出力が無いので、電流が流れないことになる。従って、各相毎に流れている電流を測定することで、欠相の有無を知ることになる。
しかしながら、電動機の停止状態で、検出用出力を出力する場合に、駆動装置の出力段のスイッチング素子が許容する電圧値、または許容される期間内に上記検出用出力を出力するようにする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、永久磁石同期電動機を駆動する技術に関する
永久磁石同期電動機を駆動する装置について、特許文献1に開示がある。特許文献1は、簡単な構成にて、インバータ出力の欠相を速やかに検出する技術に関するものである。
特開2004−289909号公報(第3−4頁、図2)
上記特許文献1も含め、駆動する電動機に対して、駆動装置から出力される複数相の出力のうちの欠相を検出することの望まれる場合がある。
欠相の検出については、欠相している相では、駆動装置からの出力が無いので、電流が流れないことになる。従って、各相毎に流れている電流を測定することで、欠相の有無を知ることになる。
なお、上記電流は、電動機が回転中には、測定が困難であり、起動前、もしくは停止時に測定することなる。そして、電動機が停止している状態では、通常駆動装置からは、出力が出ない為、何らかの検出用の出力を出すようにすることが考えられる。
しかしながら、電動機の停止状態で検出用出力を出力する場合に、駆動装置の出力段のスイッチング素子が許容する電流値、または許容される期間内に上記検出用出力を出力する必要があり、これらが課題となる。
上記課題等を解決するにあたり、留意すべきことを以下に説明し、その対応を記載する。
第1には、検出用出力を出力する場合に、駆動装置の出力段のスイッチング素子が許容する電流値の大きさを設定することである。これについては、制御部において出力段のスイッチング素子の定格値の10%程度の電流値を目標値とした電流制御にて電圧を調整することで、出力段のスイッチング素子を保護しつつ、欠相検出を実施可能とする。
第2には、欠相検出の検出精度を向上させることである。通常、これらの欠相検出を含め、電流検出は電流検出部および制御部にて実施されるものである。そして、電流検出もある一定のサンプリング周期によって検出されている。上記の検出用の信号に対する電流検出値には、通常、何らかの雑音、ノイズ等の不要成分が含まれるものである。従って、これらの不要成分の影響を低減することが好ましい。このこと等を考慮して、上記検出用の信号は、電流検出用のサンプリング周期の10倍程度の期間出力するものとする。
第3には、欠相を検出可能とする検出用出力方式である。一般に永久磁石同期電動機の運転時の通電方法としては180度通電方式および120度通電方式がある。本発明では120度通電の出力方式を用いて欠相を検出する。前者の場合、通電可能となる位相の自由度が大きくなるが、逆変換部の上アームおよび下アームスイッチング素子を3つ以上駆動するため、どれか1つスイッチング素子破壊していた場合には他の2つのスイッチング素子を通して電流が流れるため、欠相を検出することが困難となる。後者の場合、たとえば3相出力の場合、通電する位相は60度毎すなわち1回転で6つの通電パターンに限定されるが逆変換部の上アームおよび下アームのスイッチング素子を各1つのみ駆動する。よってどちらかのスイッチング素子が破壊している場合、電流は流れないことになるので欠相検出することができる。
第4には検出用出力が電動機に出力されると、場合によっては、電動機の回転子が回転すること等がある。
これに対しては、三相出力の場合、120度通電方式の通電パターンを用いることで電動機に出力されて通常回転トルクが発生する通電パターンおよび保持トルクを発生通電パターン以外の通電パターンにて検出電圧を出力することで電動機を回転させることなく、欠相を検出が可能となる。3相出力の場合、通電は6パータンとなるがそのうち2つが回転トルク発生パターンおよび保持トルク発生パターンとなる。よってこの2つを除いた4つのパターンを通電することにより、逆変換部の短絡モードでない上アームと下アーム組み合わせにより通電することで欠相を検出することができる。
本発明によれば、従来よりも信頼性を向上させた電動機を駆動する駆動装置を提供可能となる。
以下、図面を用いて、本発明の実施例を説明する。
図1は、本発明の実施例の構成を示す構成図であり、図2は、実施例の制御の手順を示すフローチャートであり、図3〜図5は、実施例を説明する通電パターンを説明する模式図である。
図1において、商用電源10からの電力が順変換部20にて直流電力に変換後、平滑部30にて平滑後、逆変換部40に入力され、逆変換部40では、PWM信号発生部50からのPWM信号に基づいて、交流電力に変換後、永久磁石同期電動機70に出力される。この際、PWM信号発生部50は、制御部60によって、制御される。また磁極位置検出器80により永久磁石同期電動機の磁極の位置を検出する。
次に、図2に示すフローチャートにて、本発明の実施例の検出の手順を説明する。
通常、磁極位置検出器80等により永久磁石同期電動機の磁極の位置の検出を行った位置検出の後に、本実施例の欠相検出を開始する(ステップ200)。
まず、先に実行された位置検出処理により得られた位置情報により120度通電方式における回転トルクおよび保持トルクを発生しない通電パターンを欠相検出用通電パターンとして設定し(ステップ210)、設定した欠相検出用通電パターンの1つをセットする(ステップ220)。3相出力の場合、前述の通り120度通電方式における回転トルクおよび保持トルクが発生しない4つの通電パターンのうちの1つを設定することになる。
次に通電時間をセットし(ステップ230)、指令電圧値をセット(ステップ240)の後に、一般的に電流制御と呼ばれる電流制御を用いて出力をスタートする(ステップ250)。
その後、電流検出処理を行い(ステップ260)、検出された電流値を積分する(ステップ270)。ここで欠相検出精度を向上させるために電流値積分処理を行うことにしたが、この積分処理は無くすることも出来る。
次に予め設定した閾値と比較する(ステップ280)。そして、前記閾値よりも大きければ、正常と判断(ステップ240−YES)し、出力をストップ(ステップ320)する。ここで全ての欠相検出用通電パターンを終了したかを判定し(ステップ330)、全て終了していなければ(ステップ330−NO)、欠相検出用通電パターンを変更し(ステップ340)、再度出力スタート(ステップ250)し、検出処理を続ける。
全ての欠相検出用通電パターンを終了した場合(ステップ330−YES)には、欠相がなかったと判定し欠相検出処理を終了する(ステップ350)。
また積算電流値予め設定した閾値と比較し小さければ(ステップ280−NO)、予め設定した通電時間を経過したかを判定し(ステップ290)、経過していなければ(ステップ290−NO)、前述の通電時間内での検出動作を行う。
前述の通電時間を経過した場合は(ステップ290−YES)、欠相と判定し(ステップ300)、出力をストップ(ステップ310)、欠相検出処理を終了する(ステップ350)。
ここで、通電時間を設けたのは、検出時の雑音、ノイズ等の不要成分の影響を回避するため、所定時間の期間において、検出動作を行うようにする為のものである。
ここで、図3〜図5を用いて、本実施例にて使用する欠相検出用通電パターンについて、説明する。なお、図において、内部に回転子を示し、その外側に固定子を示すが、これは、説明用の例示として記載したものである。
図3に、120度通電方式において、回転トルクが発生するパターン例を示す。また、図4に、120度通電方式において、保持トルクが発生するパターン例を示す。この図3、図4の通電パターンでは、回転子が回転する可能性があるので、欠相検出のために、使用するのには、好ましくない。
先ず、図3では、回転子の磁極のN極の近傍の向かいに位置する固定子の巻き線にて発生する磁束がN極の磁性を生ずることで、相互に反発し合い、回転子が矢印の向きに回転する力(回転トルク)が発生するパターンである。実際には、回転トルクの場合には、図3に示すように、単純にN極の磁束を発生するものではないが、説明を容易とする為に、敢えて、回転トルクでは、N極として、図示している。
次に、図4では、回転子の磁極のN極の近傍に向かいに位置する固定子の巻き線がS極の磁束を生ずることで、相互に引き合い、回転子が矢印の向きに回転する力(保持トルク)が発生するパターンである。実際には、保持トルクの場合にも、図4に示すように、単純にS極の磁束を発生するものでもないが、説明を容易とする為に、敢えて、保持トルクでは、S極として、図示している。
一方、図5に示す通電パターンでは、回転子の磁極のN極の近傍の向かいに位置する固定子の巻き線で生ずる磁束が小さく(図5では、これを「×」印にて記す)ので、回転トルクおよび保持トルクを発生しないので、回転子が回転することもない。従って、本実施例では、図5に示す通電パターンを欠相検出用通電パターンとして用いることとする。
なお、前記にて、「固定子の巻き線で発生する磁束小さく」としたが、これは、全く磁束を生じない場合だけではなく、図5の回転子のN極に、回転トルクおよび保持トルクを発生するような力の影響を与えない程度の磁性の大きさであっても良いものとする。
ここで、図5に示す欠相用通電パターンでの、電流の流し方について説明する。この通電パターンにおいて、前述した様に、回転トルクおよび保持トルクを発生しないだけでなく、逆変換部のスイッチング素子の短絡も回避出来るようにするものとする。
逆変換部は、一般に「上アーム」と呼ばれるスイッチング素子と、「下アーム」と呼ばれるスイッチング素子とが、直列接続されるもので、構成される。この上アームと下アームのスイッチング素子の両者が同時にONして、電流が流れると、この両者のスイッチング素子が破壊される場合があるので、同時には、ONしないように制御される必要がある。
これは、本実施例の欠相検出時においても、留意する必要のある事項である。
また、前記両上下アームの同時ONの回避だけでなく、これらのスイッチング素子に電流が流れる時間は、これらスイッチング素子が破壊されない時間内に制限される必要もある。
前述の2つの条件を備えて、欠相検出するように電流を流す為に、永久磁石同期電動機駆動装置にて、逆変換部を制御するPWM信号を発生するPWM信号発生部にて、出力されるPWM信号と同様の出力信号を、欠相検出用の検出信号として、用いるようにする。 ここで、上記制御では、電動機70の回転位置は、位置検出器80によって、検出後、制御部60に入力され、制御に使用される。また、シャント抵抗90に流れる電流を検出することで、電動機70に流れる電流を検出し、制御部60の制御にて使用される。
なお、上記実施例で、検出用の電圧値の選定にあたり、出力段のスイッチング素子の定格値を超えた場合の素子破壊を回避し、素子を保護するものとして、定格値の10%程度として説明したが、これに限定されるものではない。従って、出力段のスイッチング素子等の損失等を考慮することで、安全に出力段のスイッチング素子の定格値を超えないように出来る電圧値であれば、上記の値と異なる値であっても良い。
また、上記実施例で、不要成分の影響を低減すること等を考慮して、上記検出用の信号は、電流検出用のサンプリング周期の10倍程度の期間として説明したが、これに限定されるものではない。従って、検出用の検出信号の測定などにおいて、不要成分の影響を低減すること等が可能であれば、サンプリング周期の10倍とは異なる期間であっても良い。
なお、上記実施例では、電流検出にシャント抵抗を駆動装置内部に設けていたが、これに限定されるものではなく、電動機に出力される出力線の、例えば、3相に対して、各々の相に設けるものであってもよい。また、シャント抵抗に限定されるものでもなく、所謂ホール素子と呼ばれる電流検出素子を用いるものであっても良い。
上記実施例では、120度通電方式にて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、180度通電方式と呼ばれる駆動方式においても、上記実施例を用いて、欠相検出できるものである。但し、この場合には、電動機の起動時に欠相検出を行う所定の期間は、120度通電方式にて、出力された欠相検出用の検出電流にて、欠相を検出後、180度通電方式にて、電動機を駆動するように、切替え制御する必要がある。
本発明の一実施例に係わる構成を示す図 同実施例に係わる制御処理を示す図 本実施例を説明するに当たっての通電パターン例を示す図 本実施例を説明するに当たっての他の通電パターン例を示す図 本実施例に用いた通電パターン例を示す図
符号の説明
20:順変換部、30:平滑部30、40:逆変換部、50:PWM信号発生部、60:制御部、70:永久磁石同期電動機、80:磁極位置検出器。

Claims (10)

  1. 永久磁石電動機の磁極位置を検出して回転制御する永久磁石電動機駆動装置の制御方法であって、
    起動時に前記永久磁石電動機の磁極位置を検出し、
    前記検出された前記永久磁石電動機の磁極位置から、回転子を回転させる回転トルク、または回転子を保持させる保持トルクを発生しないように前記永久磁石電動機に印加する電圧の印加電圧パターンを欠相検出用通電パターンとして設定し、
    前記設定された欠相検出用通電パターンで、前記永久磁石電動機に印加電圧が印加され、
    前記印加電圧によって流れる電流の検出処理を行い、検出された検出電流値と予め設定された所定電流値とを比較し、
    比較結果が、前記検出電流値の方が前記所定電流値よりも小さい場合には、欠相していると判定して、前記永久磁石電動機の欠相を検出することを特徴とする永久磁石電動機駆動装置の制御方法。
  2. 請求項1記載の永久磁石電動機駆動装置の制御方法であって、
    前記検出電流値を検出する検出処理を所定の時間行うことを特徴とする永久磁石電動機駆動装置の制御方法。
  3. 請求項1記載の永久磁石電動機駆動装置の制御方法であって、
    前記検出電流値を検出する検出処理において、検出電流を積分処理することを特徴とする永久磁石電動機駆動装置の制御方法。
  4. 請求項1記載の永久磁石電動機駆動装置の制御方法であって、
    前記欠相検出用通電パターンは、回転子の所定の磁極の向かいに位置する固定子の巻き線で発生する磁束によって、回転子を回転させる回転力を発生させないもの、
    または、回転子の所定の磁極の向かいに位置する固定子の巻き線で発生する磁束によって、回転子を保持させる保持力を発生させないものとすることを特徴とする永久磁石電動機駆動装置の制御方法。
  5. 請求項1記載の永久磁石電動機駆動装置の制御方法であって、
    永久磁石電動機駆動装置の有するPWM信号発生部の制御にて逆変換部で発生する印加電圧を用いて、前記永久磁石電動機の欠相を検出することを特徴とする永久磁石電動機駆動装置の制御方法。
  6. 商用電源からの電力を直流電力に変換する順変換部と、
    前記順変換部の出力を平滑する平滑部と、
    前記平滑部の出力を交流電力に変換して、永久磁石同期電動機に出力する逆変換部と、
    前記逆変換部を駆動するPWM信号を発生するPWM信号発生部と、
    前記逆変換部の出力電流を検出し、PWM信号発生部を制御する制御部と、
    永久磁石同期電動機の回転子の磁極位置を検出する磁極位置検出器と
    を有する永久磁石同期電動機駆動装置において、
    起動時に、前記逆変換部で発生する電圧が永久磁石電動機に一定時間印加され、
    前記制御部にて電流値を検出し、
    該検出された検出電流値と予め設定された所定電流値とを比較し、
    比較結果が、前記検出電流値の方が前記所定電流値よりも小さい場合には、欠相していると前記制御部が判定することを特徴とする永久磁石同期電動機駆動装置。
  7. 請求項6記載の永久磁石電動機駆動装置であって、
    前記検出電流値を検出する検出処理を所定の時間行うことを特徴とする永久磁石電動機駆動装置。
  8. 請求項6記載の永久磁石電動機駆動装置であって、
    前記検出電流値を検出する検出処理において、検出電流を積分処理することを特徴とする永久磁石電動機駆動装置。
  9. 請求項6記載の永久磁石電動機駆動装置であって、
    欠相の検出時に前記逆変換部で発生する電圧を一定時間印加する印加電圧パターンは、回転子の所定の磁極の向かいに位置する固定子の巻き線で発生する磁束によって、回転子を回転させる回転力を発生させないもの、
    または、回転子の所定の磁極の向かいに位置する固定子の巻き線で発生する磁束によって、回転子を保持させる保持力を発生させないものとすることを特徴とする永久磁石電動機駆動装置。
  10. 請求項6記載の永久磁石電動機駆動装置であって、
    前記印加電圧パターンは、前記PWM信号発生部の制御にて逆変換部で発生する印加電圧を用いることを特徴とする永久磁石電動機駆動装置。
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