JP2007180317A - プリント配線板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱プレス工程において熱プレス内の温度ばらつきを低減し、生産性を低下させることなく高品質のプリント配線板を効率よく生産するための製造方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】熱プレス装置の熱板とSUS板の間に異方性熱伝導シート(厚さ方向と面方向で熱伝導率の異なる物質)を配置することで、熱板の面内における温度ばらつきが加熱の対象となる積層体に伝わる前に異方性熱伝導シート内で緩和されることとなり、積層体の温度ばらつきを低減する。
【選択図】図1

Description

本発明は、パソコン、移動体通信用電話機、ビデオカメラ等の各種電子機器に用いられるプリント配線板の製造方法に関するものである。
近年、電子機器の高性能化、高密度化に伴い、電子部品は、益々小型化、高集積化、高速化の傾向にある。
このために、プリント配線板の形態も益々高密度化、多層化、さらに高品質化、加えて生産性向上のための大板化傾向が進んでいる。
以下に従来のプリント配線板の熱プレス方法について説明する。
プリント配線板は、絶縁性をもつプリプレグの両端に導電性を持つ金属、一般的には銅はくで挟み込んだ構造になっている。
この構造を形成するために、半硬化状態のプリプレグと銅はくを積層して、これを加圧・加熱することでプリプレグの硬化を行い、プリプレグと銅はくを一体化する。
まず、図3に示すように、銅はく21、半硬化状態のプリプレグ22、銅はく21の順序で積層体20を準備する。
次に、図4のように加圧を均一にするためにSUS板23を積層体20の間に設置する。SUS板23、積層体20、SUS板23の順序で複数段に積み上げ、これを熱プレス装置の熱板24に設置する。
次に、熱板24により加圧・加熱され、その結果、プリプレグと銅はくが一体化した積層基板が完成する。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2003−124603号公報
しかしながら、上記従来のプリント配線板の熱プレス方法では、以下の課題がある。
通常、熱プレス装置における積層体への加熱は、最上部、最下部の熱板24から積層体に伝熱することによって行われる。
また、熱プレス装置における積層体への加熱条件は、所定の上昇温度まで温度が上昇し、プリプレグの軟化温度、硬化温度でそれぞれ一定時間保持されるようなプログラムで行われる。
特に、温度を一定時間保持することで積層基板の物理的・機械的特性や外観が形成されるため、設定された温度を保持することが重要となる。
ところが、熱板24の表面積は比較的大きいため、SUS板23と接触する面内において温度のばらつきが発生する。この温度ばらつきは緩和されることなく、そのままSUS板23に伝わり、さらに積層体20に伝わっていく。また、熱は上下の熱板24に近い側の積層体20から順次熱プレス装置の内側へ配置された積層体20と伝わっていく。
そのため、1組の積層体の中でも場所によって保持温度までの到達時間が異なり、さらに積層体を熱プレス装置内に設置する時の設置位置によっても保持温度までの到達時間が異なる。その結果、プリプレグの軟化温度、硬化温度等をそれぞれ一定時間かつ一定温度に保持するのが困難になり、積層基板の物理的・機械的特性や外観に影響が生じ、品質の維持が不安定になる場合もある。
近年、生産性の向上を図るため積層基板の大板化が進められている。そのため大型の熱プレス装置が採用され、それに伴い熱プレス装置の熱板も大型化、多段化されている。これにより、熱板の面内温度ばらつきおよび熱プレス装置内の各段毎の温度ばらつきが益々大きくなり、積層基板の品質維持が困難になる場合がある。
これを解決するための対策として、従来採用されている方法は、熱板とSUS板の間に熱伝導率の低い物質を設置し、熱板からSUS板への熱が伝わる時に、面内温度のばらつきを緩和することを意図したものである。
しかしながら、上記従来の方法では、面内温度ばらつきは若干は緩和されるものの、熱板からSUS板に熱が伝わる速度が低下するため、積層体を加熱する時間を長くする必要があり、その結果、生産性が低下する。また、積層体を熱プレス装置内に設置する時の設置位置による各段毎の温度ばらつきという課題は依然として残ったままである。
本発明は、上記従来の問題点を解決するものであり、熱板とSUS板の間および積層構造物の間に異方性熱伝導シートを設置することで面内温度ばらつきおよび熱プレス装置内の設置位置による各段毎の温度ばらつきを低減し、生産性を低下させることなく高品質のプリント配線板を効率よく生産するための製造方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有する。
本発明の請求項1に記載の発明は、少なくとも銅はくと半硬化状態のプリプレグで構成された積層体を準備する工程と、前記積層体をSUS板で挟持した積層構造物を複数段重ねて熱プレス装置内に載置する工程と、前記熱プレス装置の熱板によりSUS板で挟持された前記積層体を加圧・加熱する工程とを備え、一枚物の異方性熱伝導シートの一部を前記熱プレス装置の熱板と前記SUS板の間に配置し、前記異方性熱伝導シートの他の一部を積層構造物の間に配置することを特徴とするプリント配線板の製造方法というものであり、熱プレス内の熱板で基板を加熱する際に、熱板の面内における温度ばらつきを低減させるために、熱板と基板の間および複数段に積み上げられた積層構造物の間に異方性熱伝導シートを配置する構成である。すなわち、厚さ方向と面方向で異なる特性を持ちかつ厚さ方向と面方向で熱伝導率が大きく異なる異方性熱伝導シートを熱プレス装置の熱板と前記SUS板の間および積層構造物の間に介在させることで、熱板の面内における温度ばらつきが加熱の対象となる積層体に伝わる前に異方性熱伝導シート内で緩和されるという作用を有する。さらに熱板と基板の間および複数段に積み上げられた積層構造物の間に設置された異方性熱伝導シートは1枚物でお互いに連結された構成であるので、熱板と基板の間の熱は異方性熱伝導シートを介して速やかに積層構造物の間へと伝わり、熱プレス装置内の熱板から近い側と熱板から遠い側との各段毎の温度ばらつきが異方性熱伝導シートによって緩和されるという作用を有する。これにより、熱プレス装置の大型化に伴う多段構成の積層構造物の構成物である積層体としての基板を均一に加熱することができ、安定した品質のプリント配線板を効率よく高い生産性を維持しながら製造することが可能となるという効果を有する。
本発明の請求項2に記載の発明は、積層構造物は積層体とSUS板とが交互に複数段に積み上げられかつSUS板で挟持されていることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法というものであり、一度の熱プレス工程で多段構成の多数の積層体を加熱・加圧し生産性の向上を図りつつ熱板の面内における温度ばらつきが加熱の対象となる積層体に伝わる前に異方性熱伝導シート内で緩和され同時に熱プレス装置内の熱板から近い側と熱板から遠い側との各段毎の温度ばらつきが異方性熱伝導シートによって緩和されるという作用を有する。
これにより、熱プレス装置の大型化に伴う多段構成の積層構造物の構成物である積層体としての基板を均一に加熱することができ、安定した品質のプリント配線板を効率よく高い生産性を維持しながら製造することが可能となるという効果を有する。
本発明の請求項3に記載の発明は、少なくとも2組の積層体がSUS板に挟持されていることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法というものであり、一度の熱プレス工程で一段当たり2組の積層体を加熱・加圧し生産性の向上を図りつつ熱板の面内における温度ばらつきが加熱の対象となる積層体に伝わる前に異方性熱伝導シート内で緩和され、同時に熱プレス装置内の熱板から近い側と熱板から遠い側との各段毎の温度ばらつきが異方性熱伝導性シートによって緩和されるという作用を有する。
これにより、熱プレス装置の大型化に伴い熱プレスの有効面積が拡大された積層構造物の構成物である積層体としての基板を均一に加熱することができ、安定した品質のプリント配線板を効率よく高い生産性を維持しながら製造することが可能となるという効果を有する。
本発明の請求項4に記載の発明は、積層体は半硬化状態のプリプレグ間に回路を有するコア基板を備えていることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法というものであり、多層構造の積層体への加熱を均一にし、多層基板の層間接着を安定させ、品質の優れた多層のプリント配線板を製造することができるという効果を有する。
本発明の請求項5に記載の発明は、異方性熱伝導シートは厚さ方向と面方向で熱伝導率が異なる性質を備えていることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法というもので、この特性により、熱板の面内における温度ばらつきが加熱の対象となる基板に伝わる前に異方性熱伝導シート内で緩和され、積層体を均一に加熱することができると同時に、熱プレス装置内の熱板から近い側と熱板から遠い側との各段毎の温度ばらつきが異方性熱伝導シートによって緩和されるという作用を有する。
本発明の請求項6に記載の発明は、異方性熱伝導シートは炭素系材料から得られる高配向性を備えたグラファイトシートであることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法というもので、熱板の面内における温度ばらつきが加熱の対象となる基板に伝わる前に異方性熱伝導シート内で緩和され、積層体を均一に加熱することができると同時に、熱プレス装置内の熱板から近い側と熱板から遠い側との各段毎の温度ばらつきが異方性熱伝導シートによって緩和されるという作用を有する。
また、炭素系を主とする材料で構成されたものであることから、耐熱性に優れ、熱プレス工程で到達する最高温度(200〜300℃)においても異方性熱伝導シートを安定して繰り返し使用することができる。
本発明の請求項7に記載の発明は、異方性熱伝導シートの面方向の熱伝導率は厚さ方向の熱伝導率より大であることを特徴とする請求項5に記載のプリント配線板の製造方法というもので、この特性により、熱板の面内における温度ばらつきが加熱の対象となる基板に伝わる前に異方性熱伝導シート内で緩和され、積層体を均一に加熱することができると同時に、熱プレス装置内の熱板から近い側と熱板から遠い側との各段毎の温度ばらつきが異方性熱伝導シートによって緩和されるという作用を有する。
本発明の請求項8に記載の発明は、異方性熱伝導シートの面方向の熱伝導率は厚さ方向の熱伝導率の100倍以上であることを特徴とする請求項7に記載のプリント配線板の製造方法というもので、この特性により、熱板の面内における温度ばらつきが加熱の対象となる基板に伝わる前に異方性熱伝導シート内で緩和され、積層体を均一に加熱することができると同時に、熱プレス装置内の熱板から近い側と熱板から遠い側との各段毎の温度ばらつきが異方性熱伝導シートによって緩和されるという作用を有する。さらに面方向の熱伝導率は厚さ方向の熱伝導率の100倍以上であることから、面方向への温度ばらつきを低減させ、加えて異方性熱伝導シートを介して熱板近傍部と熱板から遠い熱プレス装置内の中央部との温度ばらつきを低減させ、なおかつ生産性を低下させることなく安定した品質のプリント配線板を効率よく生産することが可能となる。
本発明の請求項9に記載の発明は、異方性熱伝導シートの厚さ方向の熱伝導率は1〜10W/m・Kの範囲であり、面方向熱伝導率は500〜1000W/m・Kの範囲であることを特徴とする請求項8に記載のプリント配線板の製造方法というもので、以上の範囲の熱伝導率を有する異方性熱伝導シートを採用することにより、面方向への温度ばらつきおよび熱プレス装置内の設置位置による各段毎のばらつきを低減させかつ生産性を低下させることなく安定した品質のプリント配線板を効率よく生産することが可能となる。
本発明の請求項10に記載の発明は、異方性熱伝導シートは、フレキシブル性を備えていることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法というもので、これにより、加熱と同時に行われる加圧において局部的な圧力集中を防ぐことができ、安定した品質のプリント配線板を効率よく生産することが可能となる。
本発明の請求項11に記載の発明は、異方性熱伝導シートの耐熱温度は400℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法というもので、これにより、熱プレス工程で到達する最高温度(200〜300℃)においても異方性熱伝導シートを使用することができる。
本発明の請求項12に記載の発明は、異方性熱伝導シートは外観、寸法、特性が常温から1000℃まで変化しないことを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法というもので、外観、寸法、特性が1000℃まで変化しないものを選定することにより繰り返し使用回数を増加させることができる。これにより生産コスト低減をも図ることができる。
本発明の請求項13に記載の発明は、異方性熱伝導シートは、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)の含有量が1ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法というもので、これにより、熱プレス工程での基板への不純物付着を最小限にすることができ、安定した品質のプリント配線板を効率よく生産することが可能となる。
本発明の請求項14に記載の発明は、異方性熱伝導シートは、塩素(Cl)の含有量が0.1ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法というもので、塩素(Cl)による基板の銅はくや設備の腐食を防止し、安定した品質のプリント配線板を効率よく生産することが可能となる。
本発明によれば、熱プレス内の熱板の面内における温度ばらつきが加熱の対象となる基板に伝わる前に緩和されると同時に、異方性熱伝導シートによって熱プレス装置の中央部に熱が伝えられることによって熱プレス装置内の設置位置による各段毎の温度ばらつきが緩和される。
さらに熱板と基板の間および複数段に積み上げられた積層構造物の間に設置された異方性熱伝導シートは1枚物でお互いに連結された構成であるので、熱板と基板の間の熱は異方性熱伝導シートを介して速やかに積層構造物の間へと伝わり、熱プレス装置内の熱板から近い側と熱板から遠い側との各段毎の温度ばらつきが異方性熱伝導シートによって緩和されるという作用を有する。これにより、熱プレス装置の大型化に伴う多段構成の積層構造物の構成物である積層体としての基板を均一に加熱することができ、安定した品質のプリント配線板を効率よく高い生産性を維持しながら製造することが可能となるという効果を有する。
また、生産性を低下させることもなく、不純物による基板特性の劣化も防止できる。この結果、安定した品質のプリント配線板を効率よく生産することが可能となる。
(実施の形態1)
以下本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1におけるプリント配線板の製造方法を示す概略図である。図1において、1は銅はく(515mm×345mm 厚さ18μm)、2は半硬化状態のプリプレグ(510mm×340mm 厚さ80μm)、3はSUS板(550mm×770mm 厚さ1mm)、4は熱プレス装置の熱板、5は異方性熱伝導シート(550mm×770mm 厚さ100μm)、6は積層体、7a、7bは積層構造物である。
異方性熱伝導シート5の材質としては、ポリイミドフィルムを高温処理して得られる高配向性を備えたグラファイトシート(黒鉛シート)等がある。このグラファイトシート(黒鉛シート)は単結晶に近い共有結晶の結晶構造を有し、共有結晶内の原子配列が高配向性を備えている。
異方性熱伝導シート5を構成する異方性熱伝導物質は、図2に示す厚さ方向と面方向で熱伝導率が異なるという性質を有する。
特に、異方性熱伝導シート5の熱伝導率が厚さ方向と面方向で大きく異なり、面方向熱伝導率は厚さ方向の熱伝導率より著しく大であることがよい。すなわち面方向の熱伝導率は、厚さ方向の熱伝導率の50〜1000倍の範囲であることが望ましい。具体的な熱伝導率の範囲としては、厚さ方向で1〜10W/m・K、面方向で500〜1000W/m・Kであることが生産性の観点からもより好ましい。
また、厚さ方向の熱伝導率も適度な範囲である1〜10W/m・Kとすることにより、生産性を低下させることがなく、均一な温度分布を実現しやすい。
1W/m・K以下の場合は生産性が低く、10W/m・K以上の場合は熱プレス装置の熱板の温度ばらつきの影響を受けやすくなる。
以上の構成により、熱プレス装置の熱板の面内における温度ばらつきは、加熱の対象となる基板に伝わる前に異方性熱伝導シート5の面方向で均一な温度分布となることにより緩和され、これにより基板が全体的に均一に加熱される。また、この構成により、安定した品質のプリント配線板を効率よく生産することが可能となる。
なお、本実施の形態における異方性熱伝導シート5は、厚さ方向の熱伝導率が5W/m・K、面方向の熱伝導率が700W/m・Kのものを採用した。
また、異方性熱伝導シート5は、フレキシブル性を備え柔軟性を有することが望ましい。これにより、加熱と同時に行われる加圧において局部的な圧力集中を防ぐことができる。
また、異方性熱伝導シート5は、耐熱温度が400℃以上であることが望ましい。これにより、熱プレス工程で到達する最高温度(200〜300℃)においても異方性物質は、安定した外観、寸法、特性が維持され、繰り返し使用することができる。
特に、異方性熱伝導シート5は、ポリイミドフィルムを1000℃以上の高温処理で得られたものを採用することにより、その外観、寸法、特性は1000℃まで変化することがなく、繰り返し使用することができる。
これらの特性・性能は、異方性熱伝導シートとして炭素系を主とする材料で構成されたものから選定することによって実現可能である。
以上の構成を備えた異方性熱伝導シートをプリント配線板の製造に用いることにより、安定した品質のプリント配線板を効率よく生産することが可能となり、生産コストをも低減させることができる。
また、異方性熱伝導シート5を構成する異方性熱伝導物質は、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)が1ppm以下であることが望ましい。この構成により、熱プレス工程での基板への不純物付着を最小限にすることができる。
さらに、異方性熱伝導物質内の塩素(Cl)が0.1ppm以下であることが望ましい。塩素(Cl)は、金属の腐食作用が大きい。このため、基板の銅はくや熱プレス装置の腐食を防止することができる。
以上の構成の異方性熱伝導シート5を用いたプリント配線板の製造方法について、以下に説明する。
まず、銅はく1、半硬化状態のプリプレグ2、銅はく1の順序で積層体6を準備する。なお、積層体6は半硬化状態のプリプレグ間に回路を有するコア基板を挿入し加圧・加熱することで多層の積層体とすることも可能である。
次に図1に示すように、SUS板3、積層体6を2組、SUS板3の順序で複数段に積み上げ最外層をSUS板3で挟持した形態の積層構造物7a、7bを準備する。
積層構造物7aを熱プレス装置の熱板4の上に載置された異方性熱伝導シート5の上に載置し、積層構造物7a上に異方性熱伝導シート5を再度載置し、その上に積層構造物7bを積み上げていく。
このように、複数段に積み上げられた積層構造物の最上のSUS板3と熱板4の間にも再度異方性熱伝導シート5を載置する。
ここで熱プレス装置の下側の熱板4と積層構造物7aの間に載置された異方性熱伝導シート5、および積層構造物7aと積層構造物7bの間に載置された異方性熱伝導シート5、および積層構造物7bと熱プレス装置の上側の熱板4の間に載置された異方性熱伝導シート5は図1に示すように1枚物であってお互いに連結されている。
本実施の形態は、積層構造物7a、7bの間にも異方性熱伝導シート5を載置し、なおかつ異方性熱伝導シート5は1枚物であってお互いが連結された構成とするというもので、熱プレス装置の大型化に伴う多段構造の積層構造物であっても積層体6に加熱される温度ばらつきを低減させることを意図したものである。
すなわち、上下の熱板4から積層体6に熱が伝わる際、熱板4面内の場所において温度ばらつきがある場合でも、異方性熱伝導シート5によって面内の温度ばらつきが緩和された後に積層体6に熱が伝わっていく。異方性熱伝導シート5の面方向の熱伝導率は、厚さ方向の熱伝導率に比較して50〜1000倍というはるかに大きいものであるため、熱板4から伝わって来た熱が積層体6に伝わる前に面方向に伝わり、面方向の温度分布が均一化されるためである。
さらに異方性熱伝導シート5を介して熱板4の熱は速やかに熱板4から遠い位置の熱プレス装置の中央部付近の積層体6に伝わっていく。異方性熱伝導シート5は熱板4から遠い位置である積層構造物7a、7bの間にも載置されており、熱板4に接する位置に載置された異方性熱伝導シート5と1枚物であるという構成をなし、お互いが連結されているためである。その結果、熱プレス装置内に設置される積層体6の設置位置の違いによる熱プレス装置内の垂直方向の温度分布も同時に均一化される。
以上の積層構造物を熱プレス装置で加熱、加圧する。加熱条件は、真空中で中間保持温度100℃・保持時間60分、最高温度250度・保持時間60分、昇温速度0.5〜3.0℃/分であり、加圧条件は、20〜40kg/cm2で行った。
従来の製造方法において積層体6を2組並べて設置する場合では、加熱中の基板内の温度ばらつきは15〜20℃であり、また各段毎の基板の温度ばらつきは20〜40℃あったが、本発明による製造方法では、加熱中の基板内の温度ばらつきは5℃以下に低減され、各段毎の基板の温度ばらつきは20℃以下に低減された。
なお、本実施の形態では、積層体6を1段当たり2組並べて設置する事例を示したが、積層体6を1組とし、同様の構成を採用することも可能である。この場合の加熱中の積層体の温度ばらつきはより良好であることが確認された。
また、本実施の形態では、異方性熱伝導シート5は熱板4に接する位置および積層構造物7a、7bの間に載置し、なおかつ異方性熱伝導シート5は1枚物であってお互いが連結された構成とする例を示したが、積層構造物7を3組以上とし、それぞれの積層構造物7の間に異方性熱伝導シート5を載置し、お互いが連結された1枚物である構成としてもよい。さらに異方性熱伝導シート5は1枚である必要はなく、複数枚の異方性熱伝導シート5を用いて任意の積層構造物7の間もしくは熱板と積層構造物7の間から選択された位置同士を連結された構成としてもよい。以上の組合せは要求する品質と生産性、コストを考慮して適宜選択すればよい。
以上のように本発明は、プリント配線板の製造工程の熱プレス工程において異方性熱伝導シートを設置することを特徴とした製造方法を提供するものである。
この構成により、熱プレス装置内の基板の面内温度ばらつきおよび垂直方向の設置位置による各段毎の温度ばらつきを少なくすることができ、また、生産性を低下させることなくプリント配線板を生産することができる。
この結論として本発明は、安定した品質のプリント配線板を効率よく生産することが可能となるプリント配線板の製造方法を提供しうるものであり、産業上の利用可能性は大といえる。
本発明の実施の形態1におけるプリント配線板の製造方法を示す概略図 本発明の実施の形態1における異方性熱伝導シートを示す概略図 従来のプリント配線板の製造方法を示す概略図 従来のプリント配線板の製造方法を示す概略図
符号の説明
1 銅はく
2 半硬化状態のプリプレグ
3 SUS板
4 熱プレス装置の熱板
5 異方性熱伝導シート
6 積層体
7a、7b 積層構造物

Claims (14)

  1. 少なくとも銅はくと半硬化状態のプリプレグで構成された積層体を準備する工程と、
    前記積層体をSUS板で挟持した積層構造物を複数段重ねて熱プレス装置内に載置する工程と、
    前記熱プレス装置の熱板によりSUS板で挟持された前記積層体を加圧・加熱する工程とを備え、
    一枚物の異方性熱伝導シートの一部を前記熱プレス装置の熱板と前記SUS板の間に配置し、前記異方性熱伝導シートの他の一部を積層構造物の間に配置することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
  2. 積層構造物は積層体とSUS板とが交互に複数段に積み上げられかつSUS板で挟持されていることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
  3. 少なくとも2組の積層体がSUS板に挟持されていることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
  4. 積層体は半硬化状態のプリプレグ間に回路を有するコア基板を備えていることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
  5. 異方性熱伝導シートは厚さ方向と面方向で熱伝導率が異なる性質を備えていることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
  6. 異方性熱伝導シートは炭素系材料から得られる高配向性を備えたグラファイトシートであることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
  7. 異方性熱伝導シートの面方向の熱伝導率は厚さ方向の熱伝導率より大であることを特徴とする請求項5に記載のプリント配線板の製造方法。
  8. 異方性熱伝導シートの面方向の熱伝導率は厚さ方向の熱伝導率の100倍以上であることを特徴とする請求項7に記載のプリント配線板の製造方法。
  9. 異方性熱伝導シートの厚さ方向の熱伝導率は1〜10W/m・Kの範囲であり、面方向熱伝導率は500〜1000W/m・Kの範囲であることを特徴とする請求項8に記載のプリント配線板の製造方法。
  10. 異方性熱伝導シートは、フレキシブル性を備えていることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
  11. 異方性熱伝導シートの耐熱温度は400℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
  12. 異方性熱伝導シートは外観、寸法、特性が常温から1000℃まで変化しないことを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
  13. 異方性熱伝導シートは、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)の含有量が1ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
  14. 異方性熱伝導シートは、塩素(Cl)の含有量が0.1ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102469704A (zh) * 2010-11-15 2012-05-23 三星电机株式会社 多层板的制造方法
CN103200779A (zh) * 2013-04-24 2013-07-10 梅州市志浩电子科技有限公司 一种印制电路板间距拉伸方法
CN103957673A (zh) * 2014-05-21 2014-07-30 赣州市深联电路有限公司 一种防止多层板压合过程中铜箔起皱的方法
KR101540047B1 (ko) * 2013-12-27 2015-07-28 엘아이지인베니아 주식회사 기판 합착 장치 및 기판 합착 방법

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