JP2007176930A - 有機化合物、電荷輸送材料、電荷輸送材料用組成物および有機電界発光素子 - Google Patents

有機化合物、電荷輸送材料、電荷輸送材料用組成物および有機電界発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性、非晶質性、電荷輸送能に優れ、高い一重項や三重項励起準位で有機溶媒への溶解性に優れた有機化合物にて高輝度、高効率、長寿命な有機電界発光素子を提供。
【解決手段】式(I)で表される有機化合物。〔Arは置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、アルキル基;Arは置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、芳香族複素環基;R、Rは水素原子または置換基。RとRは互いに結合して環を形成してもよい。Qは式(I−1)、(I−2)(Ar〜Arは置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、芳香族複素環基等。)で表される。〕
Figure 2007176930

Figure 2007176930

【選択図】なし

Description

本発明は、新規な有機化合物、この有機化合物からなる電荷輸送材料と、この電荷輸送材料を含む電荷輸送材料用組成物に関する。
本発明はまた、この新規な有機化合物からなる電荷輸送材料を用いた高輝度、高効率かつ長寿命の有機電界発光素子に関するものである。
有機薄膜を用いた電界発光素子の開発が行われている。有機薄膜を用いた電界発光素子、すなわち有機電界発光素子は、通常、基板上に、陽極、陰極、およびこれら両極間に設けられた少なくとも発光層を含む有機層を有する。有機層としては、発光層以外にも、正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等が用いられる。通常、これらの層を積層することにより、有機電界発光素子として使用されている。従来、有機電界発光素子は、蛍光発光を利用してきたが、素子の発光効率を上げる試みで、蛍光ではなく燐光発光を用いることが検討されている。しかしながら、燐光発光を用いたとしても、未だ、十分な発光効率、輝度および寿命は得られていない。
非特許文献1には、導電性高分子であるポリアニリンの溶解性を向上させる目的で、下記高分子化合物(C−1)が提案されている。
Figure 2007176930
しかしながら、上記化合物(C−1)のような、高分子材料には以下のような問題がある。
・高分子材料は重合度や分子量分布を制御することが困難である。
・連続駆動時に末端残基による劣化が起こる。
・材料自体の高純度化が困難で、不純物を含む。
また、化合物(C−1)に電荷輸送性を誘起するためには、酸化した後、プロトン酸をドープする必要があり、ドープしたプロトン酸および対アニオンが拡散するおそれがあるため、化合物(C−1)は有機電界発光素子の電荷輸送材料として問題があると推測される。
また、非特許文献1には、化合物(C−1)のモデル化合物として、下記化合物(C−2)が開示されている。
Figure 2007176930
しかしながら、上記化合物(C−2)は2級アミン部位を有するため、耐熱性および非晶質性に乏しく、化合物(C−2)を含む有機薄膜は、結晶化や凝集などにより容易に劣化するという課題を有する。また、2級アミン部位にHOMOが局在化していることから、化合物(C−2)は電荷輸送性が乏しいという課題も有する。
特許文献1には、下記化合物(C−3)を電子写真感光体の電荷輸送材料として用いることが提案されている。
Figure 2007176930
しかしながら、上記化合物(C−3)のような化合物は、1,3−ジヒドロイミダゾール−2−オン環の窒素原子に結合する基に、芳香族環が1つしかないため、耐熱性が低く、有機電界発光素子の電荷輸送材料として問題がある場合がある。
このようなことから、耐熱性および非晶質性に優れる共に、電荷輸送能に優れる材料が望まれていた。
特開平10−246973号公報 Macromolecules 2003年, 36, 4368-4373頁
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであって、耐熱性および非晶質性に優れ、電荷輸送能に優れる電荷輸送材料の提供、更には高輝度、高効率かつ長寿命の有機電界発光素子を形成するための組成物、およびそれを用いた有機電気発光素子を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、下記構造の有機化合物を見出した。この有機化合物は、耐熱性、非晶質性および電荷輸送能に優れ、さらに、高い一重項および三重項励起準位を有し、また、有機溶媒への溶解性にも優れる。
このため、この有機化合物からなる電荷輸送材料、および、この有機化合物からなる電荷輸送材料を含む電荷輸送材料用組成物を用いた有機電界発光素子によれば、高輝度、高効率かつ長寿命な有機電界発光素子が提供される。
即ち本発明の要旨は、下記式(I)で表される有機化合物(請求項1)、該化合物からなる電荷輸送材料(請求項7)、または、下記式(II-2)で表される、有機電界発光素子用の電荷輸送材料(請求項8)、該材料を含む電荷輸送材料用組成物(請求項10)、に存する。
本発明の別の要旨は、基板上に、陽極、陰極、およびこれら両極間に設けられた発光層を有する有機電界発光素子において、この電荷輸送材料を含有してなる層を有する有機電界発光素子(請求項12)、に存する。
Figure 2007176930
〔式中、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基、または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
、Rは各々独立に、水素原子または置換基を表す。RとRは互いに結合して環を形成していてもよい。
Qは下記式(I−1)または(I−2)で表される。
Figure 2007176930
(式中、Ar〜Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。ArとArは互いに結合して環を形成していてもよい。)〕
Figure 2007176930
〔式中、環Aは、置換基を有していてもよいベンゼン環、または置換基を有していてもよい含窒素芳香族六員環を表す。
Ar、Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。〕
本発明の有機化合物、該化合物からなる電荷輸送材料、該材料を含む電荷輸送材料用組成物によれば、電荷輸送能が高い材料を含む均一な有機薄膜を湿式製膜法によって形成することが可能であり、有機電界発光素子の大面積化が容易となる。さらに、本発明の電荷輸送材料、該材料を含む電荷輸送材料用組成物を用いた有機電界発光素子によれば、低い電圧、かつ高い効率で発光させることが可能となる。
また、本発明の電荷輸送材料は、優れた製膜性、電荷輸送性、発光特性、耐熱性から、真空蒸着法にも湿式製膜法にも適用可能である。
また、本発明の電荷輸送材料、該材料を含む電荷輸送材料用組成物は、優れた製膜性、電荷輸送性、発光特性、耐熱性から、素子の層構成に合わせて、正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、ホスト材料、電子注入材料、電子輸送材料などとしても適用可能である。
従って、本発明の電荷輸送材料、該材料を含む電荷輸送材料用組成物を用いた本発明の有機電界発光素子はフラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)、車載表示素子、携帯電話表示や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、その技術的価値は大きいものである。
本発明の電荷輸送材料、該材料を含む電荷輸送材料用組成物は、本質的に優れた酸化還元安定性を有することから、有機電界発光素子に限らず、その他、電子写真感光体、光電変換素子、有機太陽電池、有機整流素子等にも有効に利用することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定されない。
[有機化合物]
本発明の有機化合物は、下記式(I)で表される。
Figure 2007176930
〔式中、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基、または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
、Rは各々独立に、水素原子または置換基を表す。RとRは互いに結合して環を形成していてもよい。
Qは下記式(I−1)または(I−2)で表される。
Figure 2007176930
(式中、Ar〜Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。ArとArは互いに結合して環を形成していてもよい。)〕
[1]構造上の特徴
本発明の有機化合物は、尿素結合(−NR−CO−NR´−)を含む5員環(1,3−ジヒドロイミダゾール−2−オン)構造を有するため、適度な極性を有し、非晶質性が高く、耐熱性が高い。このため、種々の有機溶媒に可溶であり、容易には結晶化しない非晶質な有機薄膜を形成することが可能である。また、該構造は、リジットな平面構造であるため、本発明の有機化合物は高い一重項および三重項励起準位を有する。また、本発明の有機化合物は、該構造の他に、3級アミン部位(−Ar−N(Ar)−Ar)または直接結合した2つの芳香族基(−Ar−Ar)を有するため、電荷輸送性、耐熱性がさらに向上している。
[2]分子量範囲
本発明の有機化合物の分子量は、通常、5000以下、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下であり、また通常300以上、好ましくは500以上、より好ましくは600以上である。
分子量が上記上限値を超えると、不純物の高分子量化によって精製が困難となる場合があり、また分子量が上記下限値を下回ると、ガラス転移温度および、融点、気化温度などが低下するため、耐熱性が著しく損なわれるおそれがある。
[3]物性
本発明の有機化合物は、通常40℃以上のガラス転移温度を有するが、耐熱性の観点から、80℃以上であることが好ましく、110℃以上であることが更に好ましい。
本発明の有機化合物は、通常300℃以上、800℃以下の気化温度を有する。
本発明の有機化合物は、通常2.0eV以上4.0eV以下の励起三重項状態と基底状態のエネルギー差を有するが、燐光発光を用いた有機電界発光素子の効率を向上させる観点から、励起三重項状態と基底状態のエネルギー差が2.3eV以上であることが好ましく、2.6eV以上であることがより好ましく、2.9eV以上であることが更に好ましい。
この励起三重項状態と基底状態のエネルギー差(最低三重項励起エネルギー)の求め方は、例えば、以下の通りである。
最低三重項励起エネルギーは、試料化合物を分光用に精製された溶媒(例えば、2−メチルテトラヒドロフラン)に溶かした溶液を筒状石英セルに入れ、液体窒素を用いて77Kに冷却してフォトルミネッセンスを測定し、その最大エネルギーの燐光発光(0,0遷移ピーク形状)から求める。燐光発光と蛍光発光の分別は、励起光入射後、フォトルミネッセンス観測開始時間を遅らせることによって行う。フォトルミネッセンスの測定は、材料の吸収に合わせて、Nレーザー光源(波長337nm)を用い、これを励起光として試料化合物に当てることによって行う。
[4]R、R
本発明の有機化合物におけるR、Rは各々独立に、水素原子または任意の置換基を表し、R、Rは互いに結合して環を形成していてもよい。
任意の置換基としては、以下に例示するような有機基等が挙げられ、好ましくは分子量500以下の基が挙げられる。具体的には、次のようなものが挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいアルケニル基(好ましくは、炭素数2〜9のアルケニル基であり、例えばビニル、アリル、1−ブテニル基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいアルキニル基(好ましくは、炭素数2〜9のアルキニル基であり、例えばエチニル、プロパルギル基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいアラルキル基(好ましくは、炭素数7〜15のアラルキル基であり、例えばベンジル基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいアミノ基[好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基を1つ以上有するアルキルアミノ基(例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を有するアリールアミノ基(例えばフェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよい、5または6員環の芳香族複素環を有するヘテロアリールアミノ基(例えばピリジルアミノ、チエニルアミノ、ジチエニルアミノ基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよい、炭素数2〜10のアシル基を有するアシルアミノ基(例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)]、
置換基を有していてもよいアルコキシ基(好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルコキシ基であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいアリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を有するものであり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいヘテロアリールオキシ基(好ましくは5または6員環の芳香族複素環基を有するものであり、例えばピリジルオキシ、チエニルオキシ基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいアシル基(好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアシル基であり、例えばホルミル、アセチル、ベンゾイル基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基(好ましくは置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基(好ましくは置換基を有していてもよい炭素数7〜13のアリールオキシカルボニル基であり、例えばフェノキシカルボニル基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基(好ましくは置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルキルカルボニルオキシ基であり、例えばアセトキシ基などが挙げられる。)、
ハロゲン原子(特に、フッ素原子または塩素原子)、
カルボキシル基、
シアノ基、
水酸基、
メルカプト基、
置換基を有していてもよいアルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜8のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいアリールチオ基(好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいスルホニル基(例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいシリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいボリル基(例えば、ジメシチルボリル基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいホスフィノ基(例えば、ジフェニルホスフィノ基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの、5または6員環の単環または2〜5縮合環由来の1価の基が挙げられる。)
置換基を有していてもよい複素環基(例えば、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、イミダゾリノン環、ベンゾイミダゾリノン環などの、5または6員環の単環または2〜4縮合環由来の1価の基が挙げられる。)
また、上記置換基がさらに置換基を有する場合、その置換基としては、上記例示置換基が挙げられる。
、Rとしては、電気化学的耐久性を向上させる観点および耐熱性を向上させる観点から、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基が好ましく、置換基を有していてもよいフェニル基がより好ましく、無置換のフェニル基、或いは1または2置換のフェニル基がさらに好ましい。
、Rとしては、溶解性および非晶質性をさらに向上させる観点から、置換基を有していてもよいアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基がさらに好ましい。
また、R、Rとしては、三重項励起準位の低下を防止する観点から、水素原子が好ましい。
耐熱性をさらに向上させる観点から、R、Rは互いに結合して環を形成していることが好ましい。R、Rが互いに結合して環を形成した場合の式(I)で表される有機化合物の例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において、Rとしては、R,Rとして例示した置換基または水素原子が挙げられる。
Figure 2007176930
電気化学的耐久性を向上させる観点、三重項励起準位の低下を防ぐ観点から、R、Rは互いに結合してベンゼン環または含窒素芳香族六員環を形成することが好ましい。すなわち、本発明の有機化合物は下記式(II)で表されることが好ましい。
Figure 2007176930
〔式中、Ar、Ar、Qは、前記式(I)におけると同義である。
環Aは、置換基を有していてもよいベンゼン環、または置換基を有していてもよい含窒素芳香族六員環を表す。〕
環Aの含窒素芳香族六員環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環が挙げられ、特に、ピリジン環が好ましい。
環Aの置換基の例としては、R、Rとして例示した置換基が挙げられ、好ましい置換基はR、Rとして好ましい置換基と同様である。
[5]Ar、Ar
本発明の有機化合物におけるArは、任意の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、任意の置換基を有していてもよい芳香族複素環基、または任意の置換基を有していてもよいアルキル基を表し、Arは、任意の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または任意の置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
Ar、Arが有していてもよい置換基の例は、R、Rとして例示した置換基が挙げられる。ArおよびArの置換基は、RおよびRとして例示した置換基を複数連結してなるものであってもよい。また、それら置換基は隣接する基と結合して、環を形成していてもよい。Arはその置換基も含めて、好ましくは分子量3000以下、さらに好ましくは1000以下である。Ar−Qは、その置換基も含めて、好ましくは分子量3000以下、好ましくは1000以下である。
Ar、Arが有していてもよい置換基としては、耐熱性を向上させる観点から、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基が好ましく、より好ましくは置換基を有していてもよいフェニル基であり、さらに好ましくは無置換のフェニル基、1または2置換のフェニル基である。
Ar、Arが有していてもよい置換基としては、溶解性および非晶質性をさらに向上させる観点から、置換基を有していてもよいアルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基、さらに好ましくはメチル基、エチル基である。
Ar、Arが有していてもよい置換基としては、一重項および三重項励起準位の低下を防ぎつつ、さらに耐熱性および電荷輸送能を向上させる点から、1,3−ジヒドロイミダゾール−2−オン環由来の基が好ましい。
Ar、Arに適用可能な芳香族炭化水素基を例示するならば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環などの、6員環の単環または2〜5縮合環由来の基が挙げられる。
Ar、Arに適用可能な芳香族複素環基を例示するならば、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、5または6員環の単環または2〜4縮合環由来の基が挙げられる。
Arに適用可能なアルキル基を例示するならば、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
Arは、三重項励起準位の低下を防ぐ点から、置換基を有していてもよいベンゼン環由来の基、置換基を有していてもよいピリジン環由来の基、置換基を有していてもよいベンゼン環または置換基を有していてもよいピリジン環が複数(例えば2〜10個)連結した基(例えば、ビフェニル基、ターフェニル基、フェニルピリジル基、ビピリジル基、ターピリジル基など)が好ましい。
Arは、合成が容易である点、三重項励起準位が高くなる傾向にある点から、−Ar−Qと同一であることが好ましい。
Arは、溶解性が向上する点から、−Ar−Qとは異なる基であることが好ましい。
Arは、三重項励起準位の低下を防ぐ点から、置換基を有していてもよいベンゼン環由来の基、置換基を有していてもよいピリジン環由来の基、置換基を有していてもよいベンゼン環または置換基を有していてもよいピリジン環が複数(例えば2〜10個)連結した2価の基(例えば、ビフェニル、ターフェニル、ビピリジル、ターピリジル、フェニルピリジン、ジフェニルピリジン、ジピリジルベンゼン由来の2価の基など)が好ましい。
また、Arは、電気化学的耐久性をさらに向上させる点から、p−フェニレン基、4,4’−ビフェニレン基、4,3’−ビフェニレン基、3,4’−ビフェニレン基であることがさらに好ましい。
また、Arは、溶解性をさらに向上させる点から、m−フェニレン基、3,3’−ビフェニレン基であることがさらに好ましい。
また、Arは、電荷(電子)輸送性をさらに向上させる点から、ピリジン環を含むことが好ましく、ピリジンジイル基、または、ビピリジル、ターピリジル、フェニルピリジン、ジフェニルピリジン、ジピリジルベンゼン由来の2価の基であることがさらに好ましい。
ArとArがともに、ベンゼン環由来の基であることが、溶解性および耐熱性の点、三重項励起準位の低下を防ぐ点から、好ましい。
すなわち、本発明の有機化合物は、下記式(III)で表されることが好ましい。
Figure 2007176930
〔式中、R、R、Qは、前記式(I)におけると同義である。
環Bは置換基を有していてもよいベンゼン環を表し、環CはQ以外に置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。〕
環B、環Cが有していてもよい置換基の例およびその好ましい例は、それぞれ、前記Ar、Arが有していてもよい置換基と同様である。
また、ArとArがともに、ピリジン環由来の基であることが、電荷輸送性および耐熱性の点、三重項励起準位の低下を防ぐ点から、好ましい。
すなわち、本発明の有機化合物は、下記式(III-2)で表されることが好ましい。
Figure 2007176930
〔式中、R、R、Qは、前記式(I)におけると同義である。
環Dは置換基を有していてもよいピリジン環を表し、環EはQ以外に置換基を有していてもよいピリジン環を表す。〕
環D、環Eが有していてもよい置換基の例およびその好ましい例は、それぞれ、前記Ar、Arが有していてもよい置換基と同様である。
[6]Q
本発明の有機化合物におけるQは、下記式(I−1)または(I−2)から選ばれる基を表す。
Figure 2007176930
〔式中、Ar〜Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。ArとArは互いに結合して環を形成していてもよい。〕
Ar〜Arが有していてもよい置換基の例は、R、Rとして例示した置換基が挙げられる。
Ar〜Arが有していてもよい置換基として好ましい例は、Ar、Arが有していてもよい置換基の好ましい例と同様である。
Ar〜Arに適用可能な芳香族炭化水素基、芳香族複素環基の例は、Ar、Arに適用可能な芳香族炭化水素基、芳香族複素環基の例と同様である。
Ar、Arは、電気化学的耐久性を向上させる観点および耐熱性を向上させる観点から、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基が好ましく、より好ましくは置換基を有していてもよいフェニル基であり、さらに好ましくは無置換のフェニル基、1または2置換のフェニル基である。
電荷輸送能をさらに向上させる点から、Qは式(I−1)で表されることが好ましい。
式(I−1)において、ArとArは、互いに結合して、置換基を有していてもよい環を形成していてもよい。ArとArが互いに結合して環を形成した場合の、ArArN−の好ましい例を下記に示す。これらのうち、高い三重項励起準位を有する点で、N−カルバゾリル基がより好ましい。
Figure 2007176930
耐熱性を向上させる点から、Qは式(I−2)で表されることが好ましい。
式(I−2)において、Arは、三重項励起準位の低下を防ぐ点から、置換基を有していてもよいベンゼン環由来の基、ベンゼン環が複数(例えば2〜10個)連結した基(例えば、ビフェニレン基、ターフェニレン基など)が好ましい。
[7]好適構造
本発明の有機化合物は、高い電荷輸送能、高い電気化学的安定性、高い三重項励起準位の全てを有する点から、下記式(IV)で表されることが好ましい。
Figure 2007176930
〔式中、Ar〜Ar、R、Rは、前記式(I)および式(I−1)におけると同義である。
Ar〜Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。ArとArは互いに結合して環を形成していてもよい。〕
Arの例および好ましい例は、それぞれ、Arと同様である。ArおよびArの例および好ましい例は、それぞれ、Ar或いはArと同様である。
また、高い三重項励起準位を保ちつつ、耐熱性をさらに向上させる観点から、本発明の有機化合物にArの部位、Ar−Qの部位、R或いはRの部位に、下記式(I−3)で表されるN−カルバゾリル基を1個以上、好ましくは1〜6個、さらに好ましくは2〜4個有することが好ましい。該カルバゾリル基は、置換基を有していてもよいが、無置換であることが好ましい。
Figure 2007176930
[8]例示
以下に、本発明の有機化合物として好ましい具体的な例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007176930
Figure 2007176930
Figure 2007176930
Figure 2007176930
Figure 2007176930
Figure 2007176930
Figure 2007176930
Figure 2007176930
Figure 2007176930
Figure 2007176930
Figure 2007176930
Figure 2007176930
Figure 2007176930
Figure 2007176930
Figure 2007176930
Figure 2007176930
[9]合成法
本発明の有機化合物は、目的とする化合物の構造に応じて原料を選択し、公知の手法を用いて合成することができる。
例えば、次のような手順で合成することができる。
まず、式(i)で表される2−ヒドロキシイミダゾール誘導体とハロゲン化物(Ar−X)とを、銅粉末、ハロゲン化銅(I)、酸化銅(I)、パラジウム錯体等の遷移金属触媒(ハロゲン化物(Ar−X)のハロゲン原子に対して0.001〜5当量程度)、および、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、リン酸カリウム、炭酸セシウム、tert−ブトキシナトリウム、トリエチルアミン等の塩基性物質(ハロゲン化物(Ar−X)のハロゲン原子に対して1〜10当量程度)の存在下、不活性ガス気流下、無溶媒または、芳香族溶媒、エーテル系溶媒などの溶媒中、20〜300℃で、1〜60時間撹拌混合することによって、下記式(ii)で表される化合物が得られる。次に、下記式(ii)で表される化合物とハロゲン化物(X−Ar−Q)とを、銅粉末、ハロゲン化銅(I)、酸化銅(I)、パラジウム錯体等の遷移金属触媒(ハロゲン化物(X−Ar−Q)のハロゲン原子に対して0.001〜5当量程度)、および、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、リン酸カリウム、炭酸セシウム、tert−ブトキシナトリウム、トリエチルアミン等の塩基性物質(ハロゲン化物(X−Ar−Q)のハロゲン原子に対して1〜10当量程度)の存在下、不活性ガス気流下、無溶媒または、芳香族溶媒、エーテル系溶媒などの溶媒中、20〜300℃で、1〜60時間撹拌混合することによって、下記式(I)で表される本発明の有機化合物が得られる。なお、以下において、Ar〜Ar,R,R,Qは前記式(I)におけると同義である。X,Xはハロゲン原子を表す。
Figure 2007176930
上記式(ii)で表される化合物の合成法としては、Tetrahedron 1999年, 55, 475-484頁、Tetrahedron Letters 2000年, 41, 6387-6391頁、Tetrahedron 1990年, 46, 1331-1342頁、European Journal of Organic Chemistry 1998年, 183-187、The Journal of Organic Chemistry 2004年, 69, 7752-7754頁に記載の尿素結合を含む5員環(1,3−ジヒドロイミダゾール−2−オン)を形成する方法も適用可能である。
Q=Arの場合、ハロゲン化物(X−Ar−Ar)は、公知のカップリング反応を用いて合成することが可能である。公知のカップリング手法としては、具体的には、「Palladium in Heterocyclic Chemistry:A guide for the Synthetic Chemist」(第二版、2002、Jie Jack Li and Gordon W.Gribble、Pergamon社)、「遷移金属が拓く有機合成 その多彩な反応形式と最新の成果」(1997年、辻二郎、化学同仁社)、「ボルハルト・ショアー現代有機化学 下」(2004年、K.P.C.Vollhardt、化学同人社)などに記載または引用されている、ハロゲン化アリールとアリールボレートとのカップリング反応などの、環同士の結合(カップリング)反応を用いることができる。
Q=NArArの場合、ハロゲン化物(X−Ar−NArAr)は、下記式のように、2級アミン化合物(ArArNH)とジハロゲン化物(X−Ar−X(X,X=F,Cl,Br,I))から合成される。使用可能な試薬等は、上記式(i)で表される化合物から、式(ii)で表される化合物を合成する工程と同様である。
Figure 2007176930
合成された化合物の精製方法としては、「分離精製技術ハンドブック」(1993年、(財)日本化学会編)、「化学変換法による微量成分および難精製物質の高度分離」(1988年、(株)アイ ピー シー発行)、或いは「実験化学講座(第4版)1」(1990年、(財)日本化学会編)の「分離と精製」の項に記載の方法をはじめとし、公知の技術を利用可能である。
具体的には、抽出(懸濁洗浄、煮沸洗浄、超音波洗浄、酸塩基洗浄を含む)、吸着、吸蔵、融解、晶析(溶媒からの再結晶、再沈殿を含む)、蒸留(常圧蒸留、減圧蒸留)、蒸発、昇華(常圧昇華、減圧昇華)、イオン交換、透析、濾過、限外濾過、逆浸透、圧浸透、帯域溶解、電気泳動、遠心分離、浮上分離、沈降分離、磁気分離、各種クロマトグラフィー(形状分類:カラム、ペーパー、薄層、キャピラリー。移動相分類:ガス、液体、ミセル、超臨界流体。分離機構:吸着、分配、イオン交換、分子ふるい、キレート、ゲル濾過、排除、アフィニティー)などが挙げられる。
生成物の確認や純度の分析方法としては、ガスクロマトグラフ(GC)、高速液体クロマトグラフ(HPLC)、高速アミノ酸分析計(AAA)、キャピラリー電気泳動測定(CE)、サイズ排除クロマトグラフ(SEC)、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)、交差分別クロマトグラフ(CFC)質量分析(MS、LC/MS,GC/MS,MS/MS)、核磁気共鳴装置(NMR(HNMR,13CNMR))、フーリエ変換赤外分光高度計(FT−IR)、紫外可視近赤外分光高度計(UV.VIS,NIR)、電子スピン共鳴装置(ESR)、透過型電子顕微鏡(TEM−EDX)電子線マイクロアナライザー(EPMA)、金属元素分析(イオンクロマトグラフ、誘導結合プラズマ−発光分光(ICP−AES)原子吸光分析(AAS)蛍光X線分析装置(XRF))、非金属元素分析、微量成分分析(ICP−MS,GF−AAS,GD−MS)等を必要に応じ、適用可能である。
[10]有機化合物の用途
本発明の有機化合物は、高い電荷輸送性を有するため、電荷輸送材料として電子写真感光体、有機電界発光素子、光電変換素子、有機太陽電池、有機整流素子等に好適に使用できる。
また、高い三重項励起準位を有することから、本発明の有機化合物よりなる本発明の電荷輸送材料を用いることにより、耐熱性に優れ、長期間安定に駆動(発光)する有機電界発光素子が得られるため、本発明の有機化合物および電荷輸送材料は有機電界発光素子材料として、とりわけ好適である。
[電荷輸送材料]
本発明の電荷輸送材料は、本発明の有機化合物からなるもの、あるいは、下記式(II−2)で表されるものであり、好ましくは、トルエンに対して2.0重量%以上、より好ましくは5.0重量%以上溶解する。
Figure 2007176930
〔式中、環Aは、置換基を有していてもよいベンゼン環、または置換基を有していてもよい含窒素芳香族六員環を表す。
Ar、Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。〕
上記式(II−2)において、環A、Arは前記式(II)におけるA、Arと同義であり、その置換基、その好適例も同様である。ArとしてはArと同様のものが挙げられ、Arが有していてもよい置換基についてもArが有していてもよい置換基と同様である。
上記式(II−2)で表される本発明の電荷輸送材料の分子量は、通常、5000以下、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下であり、また通常300以上、好ましくは500以上、より好ましくは600以上である。
分子量が上記上限値を超えると、不純物の高分子量化によって精製が困難となる場合があり、また分子量が上記下限値を下回ると、ガラス転移温度および、融点、気化温度などが低下するため、耐熱性が著しく損なわれるおそれがある。
本発明の電荷輸送材料は、通常40℃以上のガラス転移温度を有するが、耐熱性の観点から、80℃以上であることが好ましく、110℃以上であることが更に好ましい。
本発明の電荷輸送材料は、通常300℃以上、800℃以下の気化温度を有する。
本発明の電荷輸送材料は、通常2.0eV以上4.0eV以下の励起三重項状態と基底状態のエネルギー差を有するが、燐光発光を用いた有機電界発光素子の効率を向上させる観点から、励起三重項状態と基底状態のエネルギー差が2.3eV以上であることが好ましく、2.6eV以上であることがより好ましく、2.9eV以上であることが更に好ましい。
後述する様に、電荷輸送材料用組成物に含まれる溶剤としては芳香族炭化水素が好ましい。トルエンは、芳香族炭化水素の代表例として挙げており、本発明においては、有機化合物(電荷輸送材料)の溶解性を示す指標としている。
本発明の電荷輸送材料のトルエンに対する溶解度が2.0重量%以上であることにより、湿式製膜法により有機電界発光素子を構成する層を容易に形成することができ好ましい。この溶解度の上限には特に制限はないが、通常50重量%程度である。
[電荷輸送材料用組成物]
本発明の電荷輸送材料用組成物は、前述の本発明の電荷輸送材料を含むものであり、通常、本発明の電荷輸送材料と溶剤とを含み、更に好ましくは燐光発光材料を含むものであり、好ましくは、有機電界発光素子用に使用される。
[1]溶剤
本発明の電荷輸送材料用組成物に含まれる溶剤としては、溶質である本発明の電荷輸送材料等が良好に溶解する溶剤であれば特に限定されない。
本発明の電荷輸送材料は溶解性が高いため、種々の溶剤が適用可能である。例えば、トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル;シクロヘキサノン、シクロオクタノン等の脂環を有するケトン;メチルエチルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン;メチルエチルケトン、シクロヘキサノール、シクロオクタノール等の脂環を有するアルコール;ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル等が利用できる。これらのうち、水の溶解度が低い点、容易には変質しない点で、トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素が好ましい。
有機電界発光素子には、陰極等の水分により著しく劣化する材料が多く使用されているため、組成物中の水分の存在は、乾燥後の膜中に水分が残留し、素子の特性を低下させる可能性が考えられ好ましくない。
組成物中の水分量を低減する方法としては、例えば、窒素ガスシール、乾燥剤の使用、溶剤を予め脱水する、水の溶解度が低い溶剤を使用する等が挙げられる。なかでも、水の溶解度が低い溶剤を使用する場合は、湿式製膜工程中に、溶液膜が大気中の水分を吸収して白化する現象を防ぐことができるため好ましい。この様な観点からは、本実施の形態が適用される電荷輸送材料用組成物は、例えば、25℃における水の溶解度が1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である溶剤を、組成物中10重量%以上含有することが好ましい。
また、湿式製膜時における組成物からの溶剤蒸発による、製膜安定性の低下を低減するためには、電荷輸送材料用組成物の溶剤として、沸点が100℃以上、好ましくは沸点が150℃以上、より好ましくは沸点が200℃以上の溶剤を用いることが効果的である。また、より均一な膜を得るためには、製膜直後の液膜から溶剤が適当な速度で蒸発することが必要で、このためには通常沸点80℃以上、好ましくは沸点100℃以上、より好ましくは沸点120℃以上で、通常沸点270℃未満、好ましくは沸点250℃未満、より好ましくは沸点230℃未満の溶剤を用いることが効果的である。
上述の条件、即ち溶質の溶解性、蒸発速度、水の溶解度の条件を満足する溶剤を単独で用いてもよいが、2種類以上の溶剤を混合して用いることもできる。
[2]発光材料
本発明の電荷輸送材料用組成物、特に電荷輸送材料用組成物として用いられる電荷輸送材料用組成物は、発光材料を含有することが好ましい。
発光材料とは、本発明の電荷輸送材料用組成物において、主として発光する成分を指し、有機電界発光デバイスにおけるドーパント成分に当たる。即ち、電荷輸送材料用組成物から発せられる光量(単位:cd/m)の内、通常10〜100%、好ましくは20〜100%、より好ましくは50〜100%、最も好ましくは80〜100%が、ある成分材料からの発光と同定される場合、それを発光材料と定義する。
発光材料としては、公知材料を適用可能であり、蛍光発光材料或いは燐光発光材料を単独若しくは複数を混合して使用できるが、内部量子効率の観点から、好ましくは、燐光発光材料である。
本発明の電荷輸送材料用組成物に使用する場合、この発光材料の最大発光ピーク波長は390〜490nmの範囲にあることが好ましい。
なお、溶剤への溶解性を向上させる目的で、発光材料分子の対称性や剛性を低下させたり、或いはアルキル基などの親油性置換基を導入したりすることも、重要である。
青色発光を与える蛍光色素としては、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。緑色蛍光色素としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体等が挙げられる。黄色蛍光色素としては、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。赤色蛍光色素としては、DCM系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
燐光発光材料としては、例えば周期表7ないし11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体が挙げられる。
周期表7ないし11族から選ばれる金属を含む燐光性有機金属錯体における金属として好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。これらの有機金属錯体として、好ましくは下記一般式(V)または式(VI)で表される化合物が挙げられる。
ML(q−j)L’ (V)
(一般式(V)中、Mは金属を表し、qは上記金属の価数を表す。また、LおよびL’は二座配位子を表す。jは0、1または2を表す。)
Figure 2007176930
(一般式(VI)中、Mは金属を表し、Tは炭素または窒素を表す。R92〜R95は、それぞれ独立に、置換基を表す。ただし、Tが窒素の場合は、R94およびR95は無い。)
以下、まず、一般式(V)で表される化合物について説明する。
一般式(V)中、Mは任意の金属を表し、好ましいものの具体例としては、周期表7ないし11族から選ばれる金属として前述した金属が挙げられる。
また、一般式(V)中の二座配位子LおよびL’は、それぞれ、以下の部分構造を有する配位子を示す。
Figure 2007176930
Figure 2007176930
L’として、錯体の安定性の観点から、特に好ましくは、下記のものが挙げられる。
Figure 2007176930
上記L,L’の部分構造において、環A1は、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表し、これらは置換基を有していてもよい。また、環A2は、含窒素芳香族複素環基を表し、これらは置換基を有していてもよい。
環A1,A2が置換基を有する場合、好ましい置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基;フェニル基、ナフチル基、フェナンチル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
一般式(V)で表される化合物として、さらに好ましくは、下記一般式(Va)、(Vb)、(Vc)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007176930
(一般式(Va)中、MはMと同様の金属を表し、wは上記金属の価数を表す。また、環A1は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、環A2は置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
Figure 2007176930
(一般式(Vb)中、MはMと同様の金属を表し、wは上記金属の価数を表す。また、環A1は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、環A2は置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
Figure 2007176930
(一般式(Vc)中、MはMと同様の金属を表し、wは上記金属の価数を表す。また、jは0、1または2を表す。さらに、環A1および環A1’は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。また、環A2および環A2’は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
上記一般式(Va)、(Vb)、(Vc)において、環A1および環A1’の基としては、好ましくは、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、チエニル基、フリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、カルバゾリル基等が挙げられる。
また、環A2、環A2’の基としては、好ましくは、例えばピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、フェナントリジル基等が挙げられる。
更に、一般式(Va)、(Vb)、(Vc)で表される化合物が有していてもよい置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基等が挙げられる。
上記置換基がアルキル基である場合は、その炭素数は通常1以上6以下である。さらに、置換基がアルケニル基である場合は、その炭素数は通常2以上6以下である。また、置換基がアルコキシカルボニル基である場合は、その炭素数は通常2以上6以下である。さらに、置換基がアルコキシ基である場合は、その炭素数は通常1以上6以下である。また、置換基がアリールオキシ基である場合は、その炭素数は通常6以上14以下である。さらに、置換基がジアルキルアミノ基である場合は、その炭素数は通常2以上24以下である。また、置換基がジアリールアミノ基である場合は、その炭素数は通常12以上28以下である。さらに、置換基がアシル基である場合は、その炭素数は通常1以上14以下である。また、置換基がハロアルキル基である場合は、その炭素数は通常1以上12以下である。
なお、これら置換基は互いに連結して環を形成してもよい。具体例としては、環A1が有する置換基と環A2が有する置換基とが結合するか、または、環A1’が有する置換基と環A2’が有する置換基とが結合するかして、一つの縮合環を形成してもよい。このような縮合環基としては、7,8−ベンゾキノリン基等が挙げられる。
中でも、環A1、環A1’、環A2および環A2’の置換基として、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ジアリールアミノ基、カルバゾリル基が挙げられる。
また、一般式(Va)、(Vb)、(Vc)におけるM,M,Mとして好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金または金が挙げられる。
上記一般式(V)、(Va)、(Vb)または(Vc)で示される有機金属錯体の具体例を以下に示すが、下記の化合物に限定されるものではない(以下において、Phはフェニル基を表す。)。
Figure 2007176930
Figure 2007176930
上記一般式(V)、(Va)、(Vb)、(Vc)で表される有機金属錯体の中でも、特に、配位子Lおよび/またはL’として2−アリールピリジン系配位子、即ち、2−アリールピリジン、これに任意の置換基が結合したもの、および、これに任意の基が縮合してなるものを有する化合物が好ましい。
また、WO2005/019373号公報に記載の化合物も使用することができる。
次に、前記一般式(VI)で表される化合物について説明する。
一般式(VI)中、Mは金属を表し、具体例としては、周期表7ないし11族から選ばれる金属として前述した金属が挙げられる。中でも好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金または金が挙げられ、特に好ましくは、白金、パラジウム等の2価の金属が挙げられる。
また、一般式(VI)において、R92およびR93は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。
さらに、Tが炭素の場合、R94およびR95は、それぞれ独立に、R92およびR93と同様の例示物で表される置換基を表す。また、前述の如く、Tが窒素の場合はR94およびR95は無い。
また、R92〜R95はさらに置換基を有していてもよい。この場合のさらに有していてもよい置換基には特に制限はなく、任意の基を置換基とすることができる。
さらに、R92〜R95は互いに連結して環を形成してもよく、この環が更に任意の置換基を有していてもよい。
一般式(VI)で表される有機金属錯体の具体例(T−1,T−10〜T−15)を以下に示すが、下記の例示化合物に限定されるものではない。なお、以下において、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
Figure 2007176930
[3]その他の成分
本発明の電荷輸送材料用組成物、特に電荷輸送材料用組成物として用いられる電荷輸送材料用組成物中には、前述した溶剤および発光材料以外にも、必要に応じて、各種の他の溶剤を含んでいてもよい。このような他の溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
また、レベリング剤や消泡剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
また、2層以上の層を湿式製膜法により積層する際に、これらの層が相溶することを防ぐため、製膜後に硬化させて不溶化させる目的で光硬化性樹脂や、熱硬化性樹脂を含有させておくこともできる。
[4]電荷輸送材料用組成物中の材料濃度と配合比
電荷輸送材料用組成物、特に電荷輸送材料用組成物中の電荷輸送材料、発光材料および必要に応じて添加可能な成分(レベリング剤など)などの固形分濃度は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、最も好ましくは1重量%以上であり、通常80重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下、最も好ましくは20重量%以下である。この濃度が下限を下回ると、薄膜を形成する場合、厚膜を形成するのが困難となり、上限を超えると、薄膜を形成するのが困難となる恐れがある。
また、本発明の電荷輸送材料用組成物、特に電荷輸送材料用組成物において、発光材料/電荷輸送材料の重量混合比は、通常、0.1/99.9以上であり、より好ましくは0.5/99.5以上であり、更に好ましくは1/99以上であり、最も好ましくは2/98以上で、通常、50/50以下であり、より好ましくは40/60以下であり、更に好ましくは30/70以下であり、最も好ましくは20/80以下である。この比が下限を下回ったり、上限を超えたりすると、著しく発光効率が低下する恐れがある。
[5]電荷輸送材料用組成物の調製方法
本発明の電荷輸送材料用組成物、特に電荷輸送材料用組成物は、電荷輸送材料、発光材料、および必要に応じて添加可能なレベリング剤や消泡剤等の各種添加剤よりなる溶質を、適当な溶剤に溶解させることにより調製される。溶解工程に要する時間を短縮するため、および組成物中の溶質濃度を均一に保つため、通常、液を撹拌しながら溶質を溶解させる。溶解工程は常温で行ってもよいが、溶解速度が遅い場合は加熱して溶解させることもできる。溶解工程終了後、必要に応じて、フィルタリング等の濾過工程を経由してもよい。
[6]電荷輸送材料用組成物の性状、物性等
(水分濃度)
有機電界発光素子を、本発明の電荷輸送材料用組成物(電荷輸送材料用組成物)を用いた湿式製膜法により層形成して製造する場合、用いる電荷輸送材料用組成物に水分が存在すると、形成された膜に水分が混入して膜の均一性が損なわれるため、本発明の電荷輸送材料用組成物、特に電荷輸送材料用組成物中の水分含有量はできるだけ少ない方が好ましい。また一般に、有機電界発光素子は、陰極等の水分により著しく劣化する材料が多く使用されているため、電荷輸送材料用組成物中に水分が存在した場合、乾燥後の膜中に水分が残留し、素子の特性を低下させる可能性が考えられ好ましくない。
具体的には、本発明の電荷輸送材料用組成物、特に電荷輸送材料用組成物中に含まれる水分量は、通常1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.01重量%以下である。
電荷輸送材料用組成物中の水分濃度の測定方法としては、日本工業規格「化学製品の水分測定法」(JIS K0068:2001)に記載の方法が好ましく、例えば、カールフィッシャー試薬法(JIS K0211−1348)等により分析することができる。
(均一性)
本発明の電荷輸送材料用組成物、特に電荷輸送材料用組成物は、湿式製膜プロセスでの安定性、例えば、インクジェット製膜法におけるノズルからの吐出安定性を高めるためには、常温で均一な液状であることが好ましい。常温で均一な液状とは、組成物が均一相からなる液体であり、かつ組成物中に粒径0.1μm以上の粒子成分を含有しないことをいう。
(物性)
本発明の電荷輸送材料用組成物、特に電荷輸送材料用組成物の粘度については、極端に低粘度の場合は、例えば製膜工程における過度の液膜流動による塗面不均一、インクジェット製膜におけるノズル吐出不良等が起こりやすくなり、極端に高粘度の場合は、インクジェット製膜におけるノズル目詰まり等が起こりやすくなる。このため、本発明の組成物の25℃における粘度は、通常2mPa・s以上、好ましくは3mPa・s以上、より好ましくは5mPa・s以上であり、通常1000mPa・s以下、好ましくは100mPa・s以下、より好ましくは50mPa・s以下である。
また、本発明の電荷輸送材料用組成物、特に電荷輸送材料用組成物の表面張力が高い場合は、基板に対する製膜用液の濡れ性が低下する、液膜のレベリング性が悪く、乾燥時の製膜面乱れが起こりやすくなる等の問題が発生する場合があるため、本発明の組成物の20℃における表面張力は、通常50mN/m未満、好ましくは40mN/m未満である。
更に、本発明の電荷輸送材料用組成物、特に電荷輸送材料用組成物の蒸気圧が高い場合は、溶剤の蒸発による溶質濃度の変化等の問題が起こりやすくなる場合がある。このため、本発明の組成物の25℃における蒸気圧は、通常50mmHg以下、好ましくは10mmHg以下、より好ましくは1mmHg以下である。
[7]電荷輸送材料用組成物の保存方法
本発明の電荷輸送材料用組成物は、紫外線の透過を防ぐことのできる容器、例えば、褐色ガラス瓶等に充填し、密栓して保管することが好ましい。保管温度は、通常−30℃以上、好ましくは0℃以上で、通常35℃以下、好ましくは25℃以下である。
[有機電界発光素子]
本発明の有機電界発光素子は、基板上に陽極、陰極、およびこれら両極間に設けられた発光層を有するものであって、本発明の電荷輸送材料を含有する層を有することを特徴とする。該電荷輸送材料を含有する層は、本発明の電荷輸送材料用組成物を用いて形成されることが好ましい。該電荷輸送材料を含有する層は、該発光層であることが好ましい。また、該電荷輸送材料を含有する層に、有機金属錯体がドープされていることが好ましい。この有機金属錯体としては、前記発光材料として例示したものを使用できる。
図1〜8は本発明の有機電界発光素子に好適な構造例を示す断面の模式図であり、図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は発光層、5は電子注入層、6は陰極を各々表す。
[1]基板
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシートなどが用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
[2]陽極
基板1上には陽極2が設けられる。陽極2は発光層側の層(正孔注入層3または発光層4など)への正孔注入の役割を果たすものである。
この陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウムおよび/またはスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などにより構成される。
陽極2の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより行われることが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などを用いて陽極を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散させて、基板1上に塗布することにより陽極2を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板1上に薄膜を形成したり、基板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極2は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすること
も可能である。
陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが望ましい。この場合、陽極の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極2の厚みは任意であり、陽極2は基板1と同一でもよい。また、さらには上記の陽極2の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
陽極に付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させることを目的に、陽極表面を紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ処理したりすることは好ましい。
[3]正孔注入層
正孔注入層3は陽極2から発光層4へ正孔を輸送する層であるため、正孔注入層3には正孔輸送性化合物を含むことが好ましい。
正孔注入層3では、電気的に中性の化合物から電子が一つ除かれたカチオンラジカルが、近傍の電気的に中性な化合物から一電子を受容することによって、正孔が移動する。素子非通電時の正孔注入層3にカチオンラジカル化合物が含まれない場合は、通電時に、正孔輸送性化合物が陽極2に電子を与えることにより正孔輸送性化合物のカチオンラジカルが生成し、このカチオンラジカルと電気的に中性な正孔輸送性化合物との間で電子の授受が行われることにより正孔を輸送する。
正孔注入層3にカチオンラジカル化合物が含まれると、陽極2による酸化によって生成する以上の濃度で正孔輸送に必要なカチオンラジカルが存在することになり、正孔輸送性能が向上するため、正孔注入層3にカチオンラジカル化合物を含むことが好ましい。カチオンラジカル化合物の近傍に電気的に中性な正孔輸送性化合物が存在すると、電子の受け渡しがスムーズに行われるため、正孔注入層3にカチオンラジカル化合物と正孔輸送性化合物とを含むことがさらに好ましい。
ここで、カチオンラジカル化合物とは、正孔輸送性化合物から一電子取り除いた化学種であるカチオンラジカルと、対アニオンからなるイオン化合物であり、移動しやすい正孔(フリーキャリア)を既に有している。
また、正孔輸送性化合物に電子受容性化合物を混合することによって、正孔輸送性化合物から電子受容性化合物への一電子移動が起こり、上述のカチオンラジカル化合物が生成する。このため、正孔注入層3に正孔輸送性化合物と電子受容性化合物とを含むことが好ましい。
以上の好ましい材料についてまとめると、正孔注入層3に正孔輸送性化合物を含むことが好ましく、正孔輸送性化合物と電子受容性化合物とを含むことがさらに好ましい。また、正孔注入層3にカチオンラジカル化合物を含むことが好ましく、カチオンラジカル化合物と正孔輸送性化合物とを含むことがさらに好ましい。
さらに、必要に応じて、正孔注入層3には電荷のトラップになりにくいバインダー樹脂や、塗布性改良剤を含んでいてもよい。
但し、正孔注入層3として、電子受容性化合物のみ、或いは電子受容性化合物と正孔輸送性化合物を用いて湿式製膜法によって陽極2上に製膜し、その上から直接、本発明の電荷輸送材料用組成物を塗布、または蒸着によって積層することも可能である。この場合、本発明の電荷輸送材料用組成物の一部または全部が電子受容性化合物と相互作用することによって、図7,8に示す如く、正孔注入性に優れた正孔輸送層10が形成される。
(正孔輸送性化合物)
正孔輸送性化合物としては、4.5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。
正孔輸送性化合物の例としては、本発明の電荷輸送材料の他、芳香族アミン化合物、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。中でも非晶質性、可視光の透過率の点から、芳香族アミン化合物が好ましい。
芳香族アミン化合物の中でも、特に、本発明の電荷輸送材料などの芳香族三級アミン化合物が好ましい。ここで、芳香族三級アミン化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。
芳香族三級アミン化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果の点から、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型有機化合物)が更に好ましい。
芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例として、下記一般式(VII)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
Figure 2007176930
(一般式(VII)中、Ar21,Ar22は各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Ar23〜Ar25は、各々独立して、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表す。Yは、下記の連結基群の中から選ばれる連結基を表す。また、Ar21〜Ar25のうち、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成してもよい。)
Figure 2007176930
(上記各式中、Ar31〜Ar41は、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、または置換基を有していてもよい芳香族複素環由来の1価または2価の基を表す。R101およびR102は、各々独立して、水素原子または任意の置換基を表す。))
Ar21〜Ar25およびAr31〜Ar41としては、任意の芳香族炭化水素環または芳香族複素環由来の、1価または2価の基が適用可能である。これらは各々同一であっても、互いに異なっていてもよい。また、任意の置換基を有していてもよい。
その芳香族炭化水素環としては、5または6員環の単環または2〜5縮合環が挙げられる。具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などが挙げられる。
また、その芳香族複素環としては、5または6員環の単環または2〜4縮合環が挙げられる。具体例としては、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などが挙げられる。
また、Ar23〜Ar25、Ar31〜Ar35、Ar37〜Ar40としては、上に例示した1種類または2種類以上の芳香族炭化水素環および/または芳香族複素環由来の2価の基を2つ以上連結して用いることもできる。
Ar21〜Ar41の芳香族炭化水素環および/または芳香族複素環由来の基は、更に置換基を有していてもよい。置換基の分子量としては、通常400以下、中でも250以下程度が好ましい。置換基の種類は特に制限されないが、例としては、次の置換基群Dから選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
[置換基群D]
メチル基、エチル基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは8以下のアルキル基;ビニル基等の、炭素数が通常2以上、通常11以下、好ましくは5以下のアルケニル基;エチニル基等の、炭素数が通常2以上、通常11以下、好ましくは5以下のアルキニル基;メトキシ基、エトキシ基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは6以下のアルコキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基等の、炭素数が通常4以上、好ましくは5以上、通常25以下、好ましくは14以下のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の、炭素数が通常2以上、通常11以下、好ましくは7以下のアルコキシカルボニル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の、炭素数が通常2以上、通常20以下、好ましくは12以下のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、N−カルバゾリル基等の、炭素数が通常10以上、好ましくは12以上、通常30以下、好ましくは22以下のジアリールアミノ基;フェニルメチルアミノ基等の、炭素数が通常6以上、好ましくは7以上、通常25以下、好ましくは17以下のアリールアルキルアミノ基;アセチル基、ベンゾイル基等の、炭素数が通常2以上、通常10以下、好ましくは7以下のアシル基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;トリフルオロメチル基等の、炭素数が通常1以上、通常8以下、好ましくは4以下のハロアルキル基;メチルチオ基、エチルチオ基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは6以下のアルキルチオ基;フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ピリジルチオ基等の、炭素数が通常4以上、好ましくは5以上、通常25以下、好ましくは14以下のアリールチオ基;トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上、通常33以下、好ましくは26以下のシリル基;トリメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上、通常33以下、好ましくは26以下のシロキシ基;シアノ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素数が通常6以上、通常30以下、好ましくは18以下の芳香族炭化水素環基;チエニル基、ピリジル基等の、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上、通常28以下、好ましくは17以下の芳香族複素環基。
Ar21、Ar22としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環由来の1価の基が好ましく、フェニル基、ナフチル基が更に好ましい。
また、Ar23〜Ar25としては、耐熱性、酸化還元電位を含めた正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環由来の2価の基が好ましく、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基が更に好ましい。
101、R102としては、水素原子または任意の置換基が適用可能である。これらは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。置換基の種類は、特に制限されないが、適用可能な置換基を例示するならば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、シリル基、シロキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、ハロゲン原子が挙げられる。これらの具体例としては、前記の置換基群Dにおいて例示した各基が挙げられる。
一般式(VII)で表される繰り返し単位を有する芳香族三級アミン高分子化合物の具体例としては、WO2005/089024号公報に記載のものが挙げられ、その好適例も同様であり、例えば下記構造式で表される化合物(PB−1)が挙げられるが、何らそれらに限定されるものではない。
Figure 2007176930
他の芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例として、下記一般式(VIII)および/または一般式(IX)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物が挙げられる。
Figure 2007176930
(一般式(VIII)、(IX)中、Ar45,Ar47およびAr48は各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Ar44およびAr46は各々独立して、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表す。また、Ar45〜Ar48のうち、同一のN原子に結合する2つの基は互いに結合して環を形成してもよい。R111〜R113は各々独立して、水素原子または任意の置換基を表す。)
Ar45,Ar47,Ar48およびAr44、Ar46の具体例、好ましい例、有していてもよい置換基の例および好ましい置換基の例は、それぞれ、Ar21,Ar22およびAr23〜Ar25と同様である。R111〜R113はとして好ましくは水素原子または[置換基群D]に記載されている置換基であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、芳香族炭化水素基、芳香族炭化水素基である。
一般式(VIII)および/または(IX)で表される繰り返し単位を含む芳香族三級アミン高分子化合物の具体例としては、WO2005/089024号公報に記載のものが挙げられ、その好適例も同様であるが、何らそれらに限定されるものではない。
また、湿式製膜法により正孔注入層を形成する場合には、種々の溶剤に溶解し易い正孔輸送性化合物が好ましい。芳香族三級アミン化合物としては、例えば、ビナフチル系化合物(特開2004−014187)および非対称1,4−フェニレンジアミン化合物(特開2004−026732)が好ましい。
また、従来、有機電界発光素子における正孔注入・輸送性の薄膜精製材料として利用されてきた芳香族アミン化合物の中から、種々の溶剤に溶解し易い化合物を適宜選択してもよい。正孔注入層の正孔輸送性化合物に適用可能な芳香族アミン化合物としては、例えば、有機電界発光素子における正孔注入・輸送性の層形成材料として利用されてきた、従来公知の化合物が挙げられる。例えば、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン等の3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン化合物(特開昭59−194393号公報);4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族アミン化合物(特開平5−234681号公報);トリフェニルベンゼンの誘導体でスターバースト構造を有する芳香族トリアミン化合物(米国特許第4,923,774号);N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン等の芳香族ジアミン化合物(米国特許第4,764,625号);α,α,α’, α’−テトラメチル−α,α’−ビス(4−ジ(p−トリル)アミノフェニル)−p−キシレン(特開平3−269084号公報);分子全体として立体的に非対称なトリフェニルアミン誘導体(特開平4−129271号公報);ピレニル基に芳香族ジアミノ基が複数個置換した化合物(特開平4−175395号公報);エチレン基で3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン化合物(特開平4−264189号公報);スチリル構造を有する芳香族ジアミン(特開平4−290851号公報);チオフェン基で芳香族3級アミンユニットを連結した化合物(特開平4−304466号公報);スターバースト型芳香族トリアミン化合物(特開平4−308688号公報);ベンジルフェニル化合物(特開平4−364153号公報);フルオレン基で3級アミンを連結した化合物(特開平5−25473号公報);トリアミン化合物(特開平5−239455号公報);ビスジピリジルアミノビフェニル(特開平5−320634号公報);N,N,N−トリフェニルアミン誘導体(特開平6−1972号公報);フェノキサジン構造を有する芳香族ジアミン(特開平7−138562号公報);ジアミノフェニルフェナントリジン誘導体(特開平7−252474号公報);ヒドラゾン化合物(特開平2−311591号公報);シラザン化合物(米国特許第4,950,950号公報);シラナミン誘導体(特開平6−49079号公報);ホスファミン誘導体(特開平6−25659号公報);キナクリドン化合物等が挙げられる。これらの芳香族アミン化合物は、必要に応じて2種以上を混合して用いてもよい。
また、正孔注入層の正孔輸送性化合物に適用可能なフタロシアニン誘導体またはポルフィリン誘導体の好ましい具体例としては、ポルフィリン、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリン、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリンコバルト(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリン銅(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリン亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリンバナジウム(IV)オキシド、5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィリン、29H,31H−フタロシアニン銅(II)、フタロシアニン亜鉛(II)、フタロシアニンチタン、フタロシアニンオキシドマグネシウム、フタロシアニン鉛、フタロシアニン銅(II)、4,4’,4”,4'''−テトラアザ−29H,31H−フタロシアニン等が挙げられる。
また、正孔注入層の正孔輸送性化合物として適用可能なオリゴチオフェン誘導体の好ましい具体例としては、α−ターチオフェンとその誘導体、α−セキシチオフェンとその誘導体、ナフタレン環を含有するオリゴチオフェン誘導体(特開6−256341)等が挙げられる。
また、本発明における正孔輸送性化合物として適用可能なポリチオフェン誘導体の好ましい具体例としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)等が挙げられる。
なお、これらの正孔輸送性化合物の分子量は、高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合性化合物)の場合を除いて、通常9000以下、好ましくは5000以下、また、通常200以上、好ましくは400以上の範囲である。正孔輸送性化合物の分子量が高過ぎると合成および精製が困難であり好ましくない一方で、分子量が低過ぎると耐熱性が低くなるおそれがありやはり好ましくない。
正孔注入層の材料として用いられる正孔輸送性化合物は、このような化合物のうち何れか1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。2種以上の正孔輸送性化合物を含有する場合、その組み合わせは任意であるが、芳香族三級アミン高分子化合物1種または2種以上と、その他の正孔輸送性化合物1種または2種以上とを併用するのが好ましい。
(電子受容性化合物)
電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。
例としては、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート等の有機基の置換したオニウム塩、塩化鉄(III)(特開平11−251067)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物、テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365)等の芳香族ホウ素化合物、フラーレン誘導体、ヨウ素等が挙げられる。
上記の化合物のうち、強い酸化力を有する点で有機基の置換したオニウム塩、高原子価の無機化合物が好ましく、種々の溶剤に可溶で湿式塗布に適用可能である点で有機基の置換したオニウム塩、シアノ化合物、芳香族ホウ素化合物が好ましい。
電子受容性化合物として好適な有機基の置換したオニウム塩、シアノ化合物、芳香族ホウ素化合物の具体例としては、WO2005/089024号公報に記載のものが挙げられ、その好適例も同様であり、例えば下記構造式で表される化合物(A−2)が挙げられるが、何らそれらに限定されるものではない。
Figure 2007176930
(カチオンラジカル化合物)
カチオンラジカル化合物とは、正孔輸送性化合物から一電子取り除いた化学種であるカチオンラジカルと、対アニオンからなるイオン化合物である。但し、カチオンラジカルが正孔輸送性の高分子化合物由来である場合、カチオンラジカルは高分子化合物の繰り返し単位から一電子取り除いた構造となる。
カチオンラジカルは、正孔輸送性化合物に前述した化合物から一電子取り除いた化学種であることが好ましく、正孔輸送性化合物としてさらに好ましい化合物から一電子取り除いた化学種であることが非晶質性、可視光の透過率、耐熱性、溶解性などの点からさらに好ましい。
カチオンラジカル化合物は、前述の正孔輸送性化合物と電子受容性化合物を混合することにより生成させることができる。即ち、前述の正孔輸送性化合物と電子受容性化合物を混合することにより、正孔輸送性化合物から電子受容性化合物へと電子移動が起こり、正孔輸送性化合物のカチオンラジカルと対アニオンからなるカチオンイオン化合物が生成する。
PEDOT/PSS(Adv.Mater.,2000年,12巻,481頁)やエメラルジン塩酸塩(J.Phys.Chem.,1990年,94巻,7716頁)等の高分子化合物由来のカチオンラジカル化合物は、酸化重合(脱水素重合)、即ち、モノマーを酸性溶液中で、ペルオキソ二硫酸塩等を用いて化学的に、または、電気化学的に酸化することによっても生成する。この酸化重合(脱水素重合)の場合、モノマーが酸化されることにより、高分子化されるとともに、酸性溶液由来のアニオンを対アニオンとする、高分子の繰り返し単位から一電子取り除かれたカチオンラジカルが生成する。
正孔注入層3は、湿式製膜法または真空蒸着法により陽極2上に形成される。
陽極2として一般的に用いられるITO(インジウム・スズ酸化物)は、その表面粗さが10nm程度の粗さ(Ra)を有するのに加えて、局所的に突起を有することが多く、短絡欠陥を生じ易いという問題があった。陽極2の上に形成される正孔注入層3は湿式製膜法により形成することは、真空蒸着法より形成する場合と比較して、これら陽極表面の凹凸に起因する、素子の欠陥の発生を低減する利点を有する。
湿式製膜法による層形成の場合は、前述した各材料(正孔輸送性化合物、電子受容性化合物、カチオンラジカル化合物)の1種または2種以上の所定量を、必要により電荷のトラップにならないバインダー樹脂や塗布性改良剤を添加して、溶剤に溶解させて、塗布溶液を調製し、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、ダイコート、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット法等の湿式製膜法により陽極上に塗布し、乾燥して、正孔注入層3を形成させる。
湿式製膜法による層形成のために用いられる溶剤としては、前述の各材料(正孔輸送性化合物、電子受容性化合物、カチオンラジカル化合物)を溶解することが可能な溶剤であれば、その種類は特に限定されないが、正孔注入層に用いられる各材料(正孔輸送性化合物、電子受容性化合物、カチオンラジカル化合物)を失活させる恐れのある、失活物質または失活物質を発生させるものを含まないものが好ましい。
これらの条件を満たす好ましい溶剤としては、例えば、エーテル系溶剤およびエステル系溶剤が挙げられる。具体的には、エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル等が挙げられる。エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル等が挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いてもよい。
上述のエーテル系溶剤およびエステル系溶剤以外に使用可能な溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いてもよい。また、これらの溶剤のうち1種または2種以上を、上述のエーテル系溶剤およびエステル系溶剤のうち1種または2種以上と組み合わせて用いてもよい。特に、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤は、電子受容性化合物およびカチオンラジカル化合物を溶解する能力が低いため、エーテル系溶剤およびエステル系溶剤と混合して用いることが好ましい。
塗布溶液中における溶剤の濃度は、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50%重量以上、また、通常99.999重量%以下、好ましくは99.99重量%以下、更に好ましくは99.9重量%以下の範囲である。なお、2種以上の溶剤を混合して用いる場合には、これらの溶剤の合計がこの範囲を満たすようにする。
真空蒸着法による層形成の場合には、前述した各材料(正孔輸送性化合物、電子受容性化合物、カチオンラジカル化合物)の1種または2種以上を真空容器内に設置されたるつぼに入れ(2種以上材料を用いる場合は各々のるつぼに入れ)、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、るつぼを加熱して(2種以上材料を用いる場合は各々のるつぼを加熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以上材料を用いる場合はそれぞれ独立に蒸発量を制御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置かれた基板の陽極上に正孔注入層を形成させる。なお、2種以上の材料を用いる場合は、それらの混合物をるつぼに入れ、加熱し蒸発させて正孔注入層形成に用いることもできる。
このようにして形成されるよい正孔注入層3の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
なお、正孔注入層3は、図6に示す如く、これを省略していてもよい。
[4]発光層
正孔注入層3の上には通常発光層4が設けられる。発光層4は発光材料を含む層であり、電界を与えられた電極間において、陽極2から正孔注入層3を通じて注入された正孔と、陰極6から電子輸送層5を通じて注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。発光層4は発光材料(ドーパント)と1種または2種以上のホスト材料を含むことが好ましく、発光層4は本発明の電荷輸送材料をホスト材料として含むことが更に好ましく、真空蒸着法で形成していてもよいが、本発明の電荷輸送材料用組成物を用い、湿式製膜法によって作製された層であることが特に好ましい。
ここで、湿式製膜法とは、上記溶剤を含む本発明の電荷輸送材料用組成物を、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、ダイコート、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット法により塗布して成膜するものである。
なお、発光層4は、本発明の性能を損なわない範囲で、他の材料、成分を含んでいてもよい。
一般に有機電界発光素子において、同じ材料を用いた場合、電極間の膜厚が薄い方が、実効電界が大きくなる為、注入される電流が多くなるので、駆動電圧は低下する。その為、電極間の総膜厚は薄い方が、有機電界発光素子の駆動電圧は低下するが、あまりに薄いと、ITO等の電極に起因する突起により短絡が発生する為、ある程度の膜厚が必要となる。
本発明においては、発光層4以外に、正孔注入層3および後述の電子輸送層5等の有機層を有する場合、発光層4と正孔注入層3や電子輸送層5等の他の有機層とを合わせた総膜厚は通常30nm以上、好ましくは50nm以上であり、更に好ましくは100nm以上で、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下であり、更に好ましくは300nm以下である。また、発光層4以外の正孔注入層3や後述の電子注入層5の導電性が高い場合、発光層4に注入される電荷量が増加する為、例えば正孔注入層3の膜厚を厚くして発光層4の膜厚を薄くし、総膜厚をある程度の膜厚を維持したまま駆動電圧を下げることも可能である。
よって、発光層4の膜厚は、通常10nm以上、好ましくは20nm以上で、通常300nm以下、好ましくは200nm以下である。なお、本発明の素子が、陽極および陰極の両極間に、発光層4のみを有する場合の発光層4の膜厚は、通常30nm以上、好ましくは50nm以上、通常500nm以下、好ましくは300nm以下である。
[5]電子注入層
電子注入層5は陰極6から注入された電子を効率よく発光層4へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行うには、電子注入層5を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましく、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属が用いられる。
電子注入層5の膜厚は0.1〜5nmが好ましい。
また、陰極6と発光層4または後述の電子輸送層8との界面にLiF、MgF、LiO、CsCO等の極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Appl.Phys.Lett.,70巻,152頁,1997年;特開平10−74586号公報;IEEETrans.Electron.Devices,44巻,1245頁,1997年;SID 04 Digest,154頁)。
更に、後述するバソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送材料に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報などに記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。この場合の膜厚は通常、5nm以上、好ましくは10nm以上で、通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子注入層5は、発光層4と同様にして湿式製膜法、或いは真空蒸着法により発光層4上に積層することにより形成される。真空蒸着法の場合には、真空容器内に設置されたるつぼまたは金属ボートに蒸着源を入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、るつぼまたは金属ボートを加熱して蒸発させ、るつぼまたは金属ボートと向き合って置かれた基板上に電子注入層を形成する。
アルカリ金属の蒸着は、クロム酸アルカリ金属と還元剤をニクロムに充填したアルカリ金属ディスペンサーを用いて行う。このディスペンサーを真空容器内で加熱することにより、クロム酸アルカリ金属が還元されてアルカリ金属が蒸発される。有機電子輸送材料とアルカリ金属とを共蒸着する場合は、有機電子輸送材料を真空容器内に設置されたるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、各々のるつぼおよびディスペンサーを同時に加熱して蒸発させ、るつぼおよびディスペンサーと向き合って置かれた基板上に電子注入層を形成する。
このとき、電子注入層5の膜厚方向において均一に共蒸着されるが、膜厚方向において濃度分布があっても構わない。
なお、電子注入層5は、図5,6,7,8に示す如く、これを省略していてもよい。
[6]陰極
陰極6は、発光層側の層(電子注入層5または発光層4など)に電子を注入する役割を果たす。陰極6として用いられる材料は、前記陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行うには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属またはそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
陰極6の膜厚は通常、陽極2と同様である。低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上にさらに、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層することは素子の安定性を増す。この目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。
[7]その他の構成層
以上、図1に示す層構成の素子を中心に説明してきたが、本発明の有機電界発光素子における陽極2および陰極6と発光層4との間には、その性能を損なわない限り、上記説明にある層の他にも、任意の層を有していてもよく、また発光層4以外の任意の層を省略してもよい。
有していてもよい層としては例えば、電子輸送層7が挙げられる。電子輸送層7は素子の発光効率をさらに向上させることを目的として、図2に示す如く、発光層4と電子注入層5との間に設けられる。
電子輸送層7は、電界を与えられた電極間において陰極6から注入された電子を効率よく発光層4の方向に輸送することができる化合物より形成される。電子輸送層7に用いられる電子輸送性化合物としては、陰極6または電子注入層5からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。
このような条件を満たす材料としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−または5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5,645,948号)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
電子輸送層7の膜厚は、通常下限は1nm、好ましくは5nm程度であり、上限は通常300nm、好ましくは100nm程度である。
電子輸送層7は、正孔注入層3と同様にして湿式製膜法、或いは真空蒸着法により発光層4上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
また、正孔輸送層10を有することが本発明において好ましく、正孔輸送層10には、本発明の電荷輸送材料を含有することが好ましい。また、前記正孔注入層の正孔輸送性化合物として例示した化合物を用いることもできる。また、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルトリフェニルアミン、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン等の高分子材料を使用してもよい。正孔輸送層10は、これらの材料を湿式製膜法または真空蒸着法により正孔注入層上に積層することにより形成される。このようにして形成される正孔輸送層10の膜厚は、通常10nm以上、好ましくは30nmである。但し、通常、300nm以下、好ましくは100nm以下である。
また、特に、発光物質として燐光材料を用いたり、青色発光材料を用いたりする場合、図3に示す如く、正孔阻止層8を設けることも効果的である。正孔阻止層8は正孔と電子を発光層4内に閉じこめて、発光効率を向上させる機能を有する。即ち、正孔阻止層8は、発光層4から移動してくる正孔が電子輸送層7に到達するのを阻止することで、発光層4内で電子との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層4内に閉じこめる役割と、電子輸送層8から注入された電子を効率よく発光層4の方向に輸送する役割がある。
正孔阻止層8は、陽極2から移動してくる正孔を陰極6に到達するのを阻止する役割と、陰極6から注入された電子を率よく発光層4の方向に輸送することができる化合物により、発光層4の上に、発光層4の陰極6側の界面に接するように積層形成される。
正孔阻止層8を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。
このような条件を満たす正孔阻止層材料としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)が挙げられる。
さらに、WO2005/022962号公報に記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も正孔阻止材料として好ましい。
正孔阻止層8の膜厚は、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上で、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
正孔阻止層8も正孔注入層3と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
電子輸送層7および正孔阻止層8は必要に応じて、適宜設ければよく、1)電子輸送層のみ、2)正孔阻止層のみ、3)正孔阻止層/電子輸送層の積層、4)用いない、等、用法がある。また、図7に示す如く、電子注入層5を省略して正孔阻止層8と電子輸送層7を積層しても良く、また、図8に示す如く、電子輸送層7のみでもよい。
正孔阻止層8と同様の目的で、図4に示す如く、正孔注入層3と発光層4の間に電子阻止層9を設けることも効果的である。電子阻止層9は、発光層4から移動してくる電子が正孔注入層3に到達するのを阻止することで、発光層4内で正孔との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層4内に閉じこめる役割と、正孔注入層3から注入された正孔を効率よく発光層4の方向に輸送する役割がある。
電子阻止層9に求められる特性としては、正孔輸送性が高く、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。また、発光層4を湿式製膜法で形成する場合、電子阻止層9も湿式製膜法で形成することが、素子製造が容易となるため、好ましい。
このため、電子阻止層9も湿式製膜適合性を有することが好ましく、このような電子阻止層9に用いられる材料としては、F8−TFBに代表されるジオクチルフルオレンとトリフェニルアミンの共重合体(WO2004/084260号公報記載)等が挙げられる。
なお、図1とは逆の構造、即ち、基板1上に陰極6、電子注入層5、発光層4、正孔注入層3、陽極2の順に積層することも可能であり、既述したように少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機電界発光素子を設けることも可能である。同様に、図2〜図8に示した前記各層構成とは逆の構造に積層することも可能である。
さらには、図1に示す層構成を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造)とすることも可能である。その際には段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合はその2層)の代わりに、例えばV等を電荷発生層(CGL)として用いると段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
本発明は、有機電界発光素子が、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[本発明の有機化合物の合成例]
以下に本発明の有機化合物を合成する実施例を示す。
なお、以下の実施例において、ガラス転移温度はDSC測定により、気化温度はTG−DTA測定により、融点はDSC測定またはTG−DTA測定によりそれぞれ求めた。
(実施例1:目的物1、2)
Figure 2007176930
窒素気流中、カルバゾール(12.7g)、p−ジヨードベンゼン(25.0g)、銅粉末(4.82g)、炭酸カリウム(21.0g)、テトラグライム(45ml)を、145℃に加熱下、5時間撹拌し、室温まで放冷した。反応混合物にクロロホルムを加え、不溶物を濾別した。濾液に含まれるクロロホルムを減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/トルエン=4/1)で精製することにより、目的物1(11.2g)を得た。
Figure 2007176930
窒素気流中、目的物1(8.01g)、2−ヒドロキシベンズイミダゾール(1.04g)、銅粉(1.38g)、炭酸カリウム(6.44g)、テトラグライム(20ml)を、200℃で8時間撹拌した後、放冷し、銅粉(1.39g)を加え、200℃で6時間攪拌した。放冷後、反応混合物にクロロホルム、活性白土を加えて、攪拌し、不溶物を濾別し、メタノール(200ml)に加え、攪拌した後、沈殿を濾取した。得られた固形分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン)で精製し、酢酸エチルおよびクロロホルム/メタノール混合液で洗浄することにより、目的物2(1.33g)を得た。
DEI-MS m/z=616(M+)
このもののガラス転移温度は146℃、融点は355℃、気化温度は507℃であった。
このものの励起三重項状態と基底状態のエネルギー差は、3.04eVであった。
(実施例2:目的物3、4)
Figure 2007176930
窒素気流中、2−ヒドロキシベンズイミダゾール(5.41g)、m−ジブロモベンゼン(28.6g)、ヨウ化銅(I)(15.3g)、炭酸カリウム(22.3g)、N,N−ジメチルホルムアミド(130ml)を、150℃に加熱下、6.5時間撹拌し、室温まで放冷した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。濃縮残渣にトルエン、活性白土を加えて、攪拌し、不溶物を濾別した。濾液に含まれるクロロホルムを減圧留去した後、メタノールを加え、攪拌し、得られた析出物をメタノールで再結晶することにより、目的物3(4.36g)を得た。
Figure 2007176930
窒素気流中、目的物3(4.36g)、カルバゾール(5.76g)、銅粉(1.88g)、炭酸カリウム(8.15g)、テトラグライム(20ml)を、210℃で7.5時間撹拌した。放冷後、反応混合物にクロロホルムを加えて、攪拌し、不溶物を濾別し、メタノール(200ml)に加え、攪拌した後、沈殿を濾取した。得られた固形分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン)で精製し、ジクロロメタン/メタノール混合液で洗浄することにより、目的物4(2.29g)を得た。
DEI-MS m/z=616(M+)
このもののガラス転移温度は125℃、融点は227℃、気化温度は489℃であった。
このものはトルエンに対して、3重量%以上溶解した。
このものの励起三重項状態と基底状態のエネルギー差は、2.99eVであった。
(実施例3:目的物5)
Figure 2007176930
窒素気流中、1,3−ビス(4−ブロモフェニル)−1,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−オン(2.60g)、N−(4−ビフェニル)アニリン(4.31g)、tert−ブトキシナトリウム(2.25g)、およびトルエン(35ml)の溶液に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム錯体(0.12g)、トリ−tert−ブチルホスフィン(0.209g)、およびトルエン(5ml)を窒素雰囲気下、60℃で5分間攪拌して調製した溶液を加えて、加熱還流下、9.5時間攪拌した。放冷後、活性白土およびクロロホルムを加え、攪拌した。不溶物を濾別し、メタノール(200ml)に加え、攪拌した後、沈殿を濾取した。得られた固形分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン)で精製し、ジクロロメタン/メタノール混合液で洗浄することにより、目的物5(2.55g)を得た。
DEI-MS m/z=772(M+)
このもののガラス転移温度は124℃、融点は観測されず、気化温度は527℃であった。このものは、トルエンに対して5.0重量%以上溶解した。
(実施例4:目的物6)
Figure 2007176930
窒素気流中、2−ヒドロキシベンズイミダゾール(1.03g)、3−ブロモビフェニル(5.00g)、ヨウ化銅(I)(2.92g)、炭酸カリウム(4.23g)、N,N−ジメチルホルムアミド(10ml)を、加熱還流下8時間撹拌した後、放冷した。反応混合物にクロロホルムを加えて、攪拌し、不溶物を濾別し、濾液を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、メタノールで懸濁洗浄することにより、目的物6(2.68g)を得た。
EI-MS m/z=438(M+)
このもののガラス転移温度は56℃、融点は150℃、気化温度は391℃であった。このものはトルエンに対して5.0重量%以上溶解した。
(実施例5:目的物7〜9)
Figure 2007176930
窒素気流中、2−ヒドロキシベンズイミダゾール(6.53g)、ヨードベンゼン(9.93g)、銅粉(3.11g)、炭酸カリウム(13.5g)、およびテトラグライム(15ml)を、170℃で4時間撹拌した後、放冷した。反応混合物に酢酸エチル及び水を加えて攪拌し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル混合液〜酢酸エチル)で精製し、n−ヘキサンで懸濁洗浄することにより、目的物7(3.87g)を得た。
Figure 2007176930
窒素気流中、2−ヒドロキシベンズイミダゾール(7.58g)、p−ジブロモベンゼン(40.0g)、銅粉(10.8g)、炭酸カリウム(46.9g)、およびテトラグライム(40ml)を、200℃で12時間撹拌した後、放冷した。反応混合物に酢酸エチルを加え、加熱還流下、30分攪拌し、放冷後、不溶物を濾別し、濾液を濃縮し、析出物をエタノールで懸濁洗浄し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/トルエン混合液〜トルエン)で精製し、メタノールで懸濁洗浄することにより、目的物8(3.87g)を得た。
Figure 2007176930
窒素気流中、目的物8(0.860g)、目的物7(1.22g)、銅粉(0.492g)、炭酸カリウム(2.14g)、およびテトラグライム(6ml)を、200℃で14時間撹拌した後、放冷した。反応混合物にクロロホルムを加え、30分攪拌し、不溶物を濾別し、濾液を濃縮し、析出物をエタノールで懸濁洗浄し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル混合液)で精製し、酢酸エチル/エタノール混合液で懸濁洗浄することにより、目的物9(0.465g)を得た。
DEI-MS m/z=702(M+)
このもののガラス転移温度は150℃、融点は328℃、気化温度は527℃であった。
このものの励起三重項状態と基底状態のエネルギー差は、3.2eV以上であった。
(実施例6:目的物10,11)
Figure 2007176930
窒素気流中、カルバゾール(18.8g)、2,6−ジブロモピリジン(80.0g)、銅粉(14.4g)、炭酸カリウム(31.2g)、およびテトラグライム(80ml)を、170℃に加熱下、7時間撹拌し、室温まで放冷した。反応混合物にクロロホルムを加え、不溶物を濾別した。濾液に含まれるクロロホルムを減圧留去し、エタノール/水(40/1)混合液を加え、析出物を濾別した。濾液に水を加え、析出物を濾取し、エタノールで洗浄後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/塩化メチレン混合液)で精製することにより、目的物10(17.7g)を得た。
Figure 2007176930
窒素気流中、2−ヒドロキシベンズイミダゾール(0.724g)、目的物10(7.50g)、ヨウ化銅(I)(2.06g)、炭酸カリウム(2.99g)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(17ml)を、加熱還流下、10時間撹拌した後、放冷した。反応混合物に塩化メチレン、活性白土を加えて攪拌し、不溶物を濾別し、濾液を濃縮した後、析出物をメタノールで懸濁洗浄した。さらに、クロロホルム/メタノール混合液及びクロロホルムで懸濁洗浄することにより、目的物11(2.27g)を得た。
DEI-MS m/z=618(M+)
このもののガラス転移温度は123℃、融点は317℃、気化温度は500℃であった。
このものの励起三重項状態と基底状態のエネルギー差は、3.00eVであった。
(実施例7:目的物12)
Figure 2007176930
窒素気流中、9H−ピリド[3,4−b]インドール(2.8g)、目的物3(2.47g)、銅粉(1.06g)、炭酸カリウム(4.6g)、およびテトラグライム(8ml)を加熱下、180℃で8時間反応攪拌した。
反応終了後、反応混合物にクロロホルムを加え、不溶物を濾別した。濾液を濃縮した後、析出物をメタノールで懸濁洗浄し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/塩化メチレン混合液→エタノール/塩化メチレン混合液)で精製することにより、目的物12(1.27g)を得た。
DEI-MS m/z=617(M-H)+
DCI-MS m/z=619(M+H)+
このもののガラス転移温度は135℃、融点は221℃、気化温度は499℃であった。
このものはトルエンに対して、3重量%以上溶解した。
このものの励起三重項状態と基底状態のエネルギー差は、2.96eVであった。
(実施例8:目的物13,14)
Figure 2007176930
大気中、4−アミノ−3−ニトロベンゼントリフルオリド(20.06g)、およびエタノール(400ml)の懸濁溶液に、濃塩酸水溶液(120ml)を加え、撹拌しながら80℃に昇温した。ここに還元鉄(27.09g)を15分かけて徐々に投入した後、加熱還流下、1時間撹拌した。氷冷後、得られた溶液を水酸化アンモニウム水溶液で中和してから、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を水洗後、濃縮し、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、3,4−ジアミノベンゼントリフルオリド(12.495g)を得た。
窒素気流中、氷冷下、3,4−ジアミノベンゼントリフルオリド(3.0g)と脱水テトラヒドロフラン(100ml)の溶液に、1,1’−カルボニルジイミダゾール(3.314g)を添加し、室温で10.7時間撹拌した。得られた溶液を濃縮後、メタノールを加えて超音波を照射してから濃縮し、析出した沈殿物を濾取した。これをエタノール/ヘキサン混合溶媒中での懸濁洗浄、酢酸エチルからの再結晶により精製し、目的物13(1.203g)を得た。
DEI-MS m/z=202(M+)
Figure 2007176930
窒素気流中、目的物13(1.188g)、目的物10(5.125g)、CuI(2.26g)、炭酸カリウム(3.28g)、および無水N,N−ジメチルホルムアミド(19ml)の混合溶液を、加熱還流下、6.2時間撹拌した。これに更に、目的物10(1.41g)、CuI(1.15g)、および炭酸カリウム(1.8g)を追加投入し、加熱還流下、4.5時間撹拌した。得られた溶液にメタノール(30ml)と水(30ml)を加えた後、濾過し、残渣を150mlのクロロホルムに投入し、撹拌した。この溶液に活性白土を加えて撹拌した後、濾過し、濾液を濃縮後、中性球状シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/塩化メチレン)で精製し、その後メタノール中での懸濁洗浄、酢酸エチルとエタノールの混合溶媒中での熱懸洗で精製し、目的物14(2.164g)を得た。
DEI-MS m/z=686(M+)
このもののガラス転移温度は126℃、融点は282℃、気化温度は399℃であった。
このものの励起三重項状態と基底状態のエネルギー差は、2.97eVであった。
(実施例9:目的物15,16)
Figure 2007176930
窒素気流中、氷冷下、2,3−ジアミノピリジン(8.7g)と脱水テトラヒドロフラン(500ml)の溶液に、1,1’−カルボニルジイミダゾール(15.5g)を添加し、室温で14時間撹拌した。得られた溶液を濃縮後、メタノールを加えて加熱懸洗処理を行い、析出した沈殿物を濾取したところ目的物15(4.9g)を得た。
DEI-MS m/z=135(M+)
Figure 2007176930
窒素気流中、目的物15(1.0g)、N−(3−ブロモフェニル)カルバゾール(6.8g)、CuI(2.8g)、炭酸カリウム(4.2g)、および無水N,N−ジメチルホルムアミド(10ml)の混合溶液を、加熱還流下、6.2時間撹拌した。これに更に、目的物10(1.4g)、CuI(1.15g)、および炭酸カリウム(1.8g)を追加投入し、加熱還流下、15時間撹拌した。反応液をジクロロメタンにて希釈後濾過し、ブライン、1Nの塩酸で洗浄し硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧濃縮により茶色オイル状になったものを、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)で精製し、その後メタノール中での懸濁洗浄にて精製し、目的物16(1.1g)を得た。
DEI-MS m/z=617(M+)
このもののガラス転移温度は125℃、融点は226℃、気化温度は490℃であった。
このものはトルエンに対して、3重量%以上溶解した。
このものの励起三重項状態と基底状態のエネルギー差は、2.99eVであった。
(実施例10:目的物17)
Figure 2007176930
窒素気流中、目的物7(1.6g)、6,6”−ジブロモ−2,2’:6’,2”−ターピリジン(1.0g)、銅紛(0.35g)、炭酸カリウム(1.4g)、およびテトラグライム(5ml)を100mL4口フラスコに加え、170℃のオイルバスにつけて13時間加熱攪拌した。ジクロロメタンで希釈して濾過後、減圧留去して得られた黄白色固体をテトラヒドロフランで加熱懸洗することにより、白色粉末状の目的物17(0.9g)を得た。
DEI-MS m/z=649(M+)
このもののガラス転移温度は118℃、融点は276℃、気化温度は451℃であった。
このものの励起三重項状態と基底状態のエネルギー差は、2.98eVであった。
[本発明の有機電界発光素子の作製例]
以下に本発明の有機電界発光素子を作製する実施例を示す。
(実施例11)
図7に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
ガラス基板1の上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜2を150nm堆積したもの(スパッター成膜品;シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極2を形成した。パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
正孔注入層3の材料として、下記に示す構造式の芳香族アミノ基を有する非共役系高分子化合物(PB−2)を下記に示す構造式の電子受容性化合物(A−2)と共に以下の条件でスピンコートした。
Figure 2007176930
スピンコート条件
溶媒 アニソール
PB−2の濃度 2[wt%]
PB−2:A−2 10:2(重量比)
スピナ回転数 2000[rpm]
スピナ回転時間 30[秒]
乾燥条件 230[℃] 15[分]
上記のスピンコートにより膜厚30nmの均一な薄膜が形成された。
次に正孔注入層3を成膜した基板を真空蒸着装置内に設置した。上記装置の粗排気を油回転ポンプにより行った後、装置内の真空度が9.8×10−5Pa(約7.5×10−7Torr)以下になるまでクライオポンプを用いて排気した。上記装置内に配置されたセラミックるつぼに入れた、下記に示す構造式のアリールアミン化合物(H−1)をるつぼの周囲のタンタル線ヒーターで加熱して蒸着を行った。この時のるつぼの温度は、300〜314℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度9.0×10−5Pa(約6.9×10−7Torr)、蒸着速度は0.1nm/秒で膜厚40nmの正孔輸送層10を形成した。
Figure 2007176930
引続き、発光層4の主成分(ホスト材料)として実施例2で合成した目的物4:本発明の有機化合物(EM−1)を、副成分(ドーパント)として下記に示す構造式の有機イリジウム錯体(D−1)を別々のセラミックるつぼに設置し、2元同時蒸着法により成膜を行った。
Figure 2007176930
本発明の有機化合物(EM−1)のるつぼ温度は270〜284℃、蒸着速度は0.1nm/秒に、有機イリジウム錯体(D−1)のるつぼ温度は230〜237℃にそれぞれ制御し、膜厚30nmで有機イリジウム錯体(D−1)が約12.5重量%含有された発光層4を正孔輸送層10の上に積層した。蒸着時の真空度は7.4×10−5Pa(約5.7×10−7Torr)であった。
さらに、正孔阻止層8として、下記に示す構造式のトリアリールベンゼン誘導体(HB−2)をるつぼ温度を343〜350℃として、蒸着速度0.09nm/秒で10nmの膜厚で積層した。蒸着時の真空度は7.1×10−5Pa(約5.5×10−7Torr)であった。
Figure 2007176930
次いで、正孔阻止層8の上に、電子輸送層7として、下記に示す構造式のバソクプロイン(ET−2)を同様にして蒸着した。この時のバソクプロイン(ET−2)のるつぼ温度は160〜172℃の範囲で制御し、蒸着時の真空度は6.6×10−5Pa(約5.1×10−7Torr)、蒸着速度は0.1nm/秒で膜厚は30nmとした。
Figure 2007176930
上記の正孔輸送層10、発光層4、正孔阻止層8および電子輸送層7を真空蒸着する時の基板温度は室温に保持した。
ここで、電子輸送層7までの蒸着を行った素子を一度前記真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極2のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して有機層と同様にして装置内の真空度が2.8×10−6Torr(約3.6×10−4Pa)以下になるまで排気した。陰極6として、先ず、フッ化リチウム(LiF)をモリブデンボートを用いて、蒸着速度0.03nm/秒、真空度2.8×10−6Torr(約3.7×10−4Pa)で、0.5nmの膜厚で電子輸送層7の上に成膜した。次に、アルミニウムを同様にモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度0.2nm/秒、真空度9.8×10−6Torr(約1.3×10−3Pa)で膜厚80nmのアルミニウム層を形成して陰極6を完成させた。以上の2層型陰極6の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。この素子の発光特性を表1,2に示す。
この素子の電界発光は、極大波長473nm、半値幅は67nmの青緑色発光であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.18,0.38)であった。
Figure 2007176930
(実施例12)
発光層4を以下に記す方法で成膜した以外は実施例11に示す方法と同様にして、図7に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
発光層4の主成分(ホスト材料)として実施例9で合成した目的物16:本発明の有機化合物(EM−3)を、副成分(ドーパント)として実施例11で用いた有機イリジウム錯体(D−1)を別々のセラミックるつぼに設置し、2元同時蒸着法により成膜を行った。
Figure 2007176930
本発明の有機化合物(EM−3)のるつぼ温度は400〜407℃、蒸着速度は0.1nm/秒に、有機イリジウム錯体(D−1)のるつぼ温度は201〜207℃にそれぞれ制御し、膜厚30nmで有機イリジウム錯体(D−1)が約10.4重量%含有された発光層4を正孔輸送層10の上に積層した。蒸着時の真空度は4.6×10−5Pa(約3.5×10−7Torr)であった。
この素子の発光特性を表2に示す。
この素子の電界発光は、極大波長471nm、半値幅は53nmの青緑色発光であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.14,0.31)であった。
(実施例13)
発光層4を以下に記す方法で成膜した以外は実施例11に示す方法と同様にして、図7に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
発光層4の主成分(ホスト材料)として実施例7で合成した目的物12:本発明の有機化合物(EM−4)を、副成分(ドーパント)として実施例11で用いた有機イリジウム錯体(D−1)を別々のセラミックるつぼに設置し、2元同時蒸着法により成膜を行った。
Figure 2007176930
本発明の有機化合物(EM−4)のるつぼ温度は217〜242℃、蒸着速度は0.09nm/秒に、有機イリジウム錯体(D−1)のるつぼ温度は213〜216℃にそれぞれ制御し、膜厚30nmで有機イリジウム錯体(D−1)が約13.1重量%含有された発光層4を正孔輸送層10の上に積層した。蒸着時の真空度は5.0×10−5Pa(約4.0×10−7Torr)であった。
この素子の発光特性を表2に示す。
この素子の電界発光は、極大波長472nm、半値幅は53nmの青緑色発光であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.15,0.32)であった。
(比較例1)
発光層4を以下に記す方法で成膜した以外は実施例11に示す方法と同様にして、図7に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
発光層4の主成分(ホスト材料)として下記構造式に示すカルバゾール誘導体(CBP)を、副成分(ドーパント)として実施例11で用いた有機イリジウム錯体(D−1)を別々のセラミックるつぼに設置し、2元同時蒸着法により成膜を行った。
Figure 2007176930
カルバゾール誘導体(CBP)のるつぼ温度は411〜406℃、蒸着速度は0.08nm/秒に、有機イリジウム錯体(D−1)のるつぼ温度は204〜209℃にそれぞれ制御し、膜厚30nmで有機イリジウム錯体(D−1)が約13.1重量%含有された発光層4を正孔輸送層10の上に積層した。蒸着時の真空度は3.8×10−5Pa(約2.9×10−7Torr)であった。
この素子の発光特性を表1と表2に示す。
この素子の電界発光は、極大波長490nm、半値幅は59nmの青緑色発光であり、有機イリジウム錯体(D−1)からの発光以外に、他の材料由来の発光も観測された。色度はCIE(x,y)=(0.19,0.54)であった。
Figure 2007176930
(実施例14)
図7に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
ガラス基板1の上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜2を150nm堆積したもの(スパッター成膜品;シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極2を形成した。パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
正孔注入層3の材料として、下記に示す構造式の芳香族アミノ基を有する非共役系高分子化合物(PB−1)(重量平均分子量:29400、数平均分子量:12600)を実施例11で用いた電子受容性化合物(A−2)と共に以下の条件でスピンコートした。
Figure 2007176930
スピンコート条件
溶媒 安息香酸エチル
PB−1の濃度 2[wt%]
PB−1:A−2 10:2(重量比)
スピナ回転数 1500[rpm]
スピナ回転時間 30[秒]
乾燥条件 230[℃] 15[分]
上記のスピンコートにより膜厚30nmの均一な薄膜が形成された。
次に正孔注入層3を成膜した基板を真空蒸着装置内に設置した。上記装置の粗排気を油回転ポンプにより行った後、装置内の真空度が9.0×10−5Pa(約6.8×10−7Torr)以下になるまでクライオポンプを用いて排気した。上記装置内に配置されたセラミックるつぼに入れた、実施例11で用いたアリールアミン化合物(H−1)をるつぼの周囲のタンタル線ヒーターで加熱して蒸着を行った。この時のるつぼの温度は、300〜314℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度9.3×10−5Pa(約7.0×10−7Torr)、蒸着速度は0.1nm/秒で膜厚40nmの正孔輸送層10を形成した。
引続き、発光層4の主成分(ホスト材料)として実施例2で合成した目的物4:本発明の有機化合物(EM−1)を、副成分(ドーパント)として下記に示す構造式の有機イリジウム錯体(D−2)を別々のセラミックるつぼに設置し、2元同時蒸着法により成膜を行った。
Figure 2007176930
本発明の有機化合物(EM−1)のるつぼ温度は270〜284℃、蒸着速度は0.1nm/秒に、有機イリジウム錯体(D−2)のるつぼ温度は245〜246℃にそれぞれ制御し、膜厚30nmで有機イリジウム錯体(D−2)が約5.9重量%含有された発光層4を正孔輸送層10の上に積層した。蒸着時の真空度は7.8×10−5Pa(約5.9×10−7Torr)であった。
さらに、正孔阻止層8として、下記に示す構造式のフェニルピリジン誘導体(HB−1)をるつぼ温度を343〜350℃として、蒸着速度0.09nm/秒で10nmの膜厚で積層した。蒸着時の真空度は7.1×10−5Pa(約5.5×10−7Torr)であった。
Figure 2007176930
次いで、正孔阻止層8の上に、電子輸送層7として、下記に示す構造式のトリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)を同様にして蒸着した。この時のトリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)のるつぼ温度は296〜300℃の範囲で制御し、蒸着時の真空度は6.6×10−5Pa(約5.1×10−7Torr)、蒸着速度は0.15m/秒で膜厚は30nmとした。
Figure 2007176930
上記の正孔輸送層10、発光層4、正孔阻止層8および電子輸送層7を真空蒸着する時の基板温度は室温に保持した。
この後、実施例11と同様にして2層型陰極6を蒸着した。
この素子の発光特性を表3に示す。
この素子の電界発光は、極大波長514nm、半値幅は70nmの緑色発光であり、有機イリジウム錯体(D−2)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.31,0.62)であった。
(実施例15)
発光層4を以下に記す方法で成膜した以外は実施例14に示す方法と同様にして、図7に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
発光層4の主成分(ホスト材料)として実施例6で合成した目的物11:本発明の有機化合物(EM−5)を、副成分(ドーパント)として実施例14で用いた有機イリジウム錯体(D−2)を別々のセラミックるつぼに設置し、2元同時蒸着法により成膜を行った。
Figure 2007176930
本発明の有機化合物(EM−5)の蒸着速度は0.1nm/秒に、有機イリジウム錯体(D−2)のるつぼ温度は257〜255℃にそれぞれ制御し、膜厚32nmで有機イリジウム錯体(D−2)が約6.2重量%含有された発光層4を正孔輸送層10の上に積層した。蒸着時の真空度は1.5×10−4Paであった。
この素子の発光特性を表3に示す。
この素子の電界発光は、極大波長513nm、半値幅は68nmの緑色発光であり、有機イリジウム錯体(D−2)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.30,0.62)であった。
(実施例16)
正孔輸送層10および発光層4を以下に記す方法で成膜した以外は実施例14に示す方法と同様にして、図7に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
正孔注入層3を成膜した基板を真空蒸着装置内に設置した。上記装置の粗排気を油回転ポンプにより行った後、装置内の真空度が5.3×10−5Pa(約4.0×10−7Torr)以下になるまでクライオポンプを用いて排気した。上記装置内に配置されたセラミックるつぼに入れた、下記に示す構造式のアリールアミン化合物(PPD)をるつぼの周囲のタンタル線ヒーターで加熱して蒸着を行った。この時のるつぼの温度は、260〜272℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度6.0×10−5Pa(約4.9×10−7Torr)、蒸着速度は0.1nm/秒で膜厚40nmの正孔輸送層10を形成した。
Figure 2007176930
引続き、発光層4の主成分(ホスト材料)として実施例1で合成した目的物2:本発明の有機化合物(EM−6)を、副成分(ドーパント)として実施例14で用いた有機イリジウム錯体(D−2)を別々のセラミックるつぼに設置し、2元同時蒸着法により成膜を行った。
Figure 2007176930
本発明の有機化合物(EM−6)の蒸着速度は0.1nm/秒に、有機イリジウム錯体(D−2)のるつぼ温度は268〜270℃にそれぞれ制御し、膜厚30nmで有機イリジウム錯体(D−2)が約6.1重量%含有された発光層4を正孔輸送層10の上に積層した。蒸着時の真空度は6.3×10−5Pa(約4.7×10−7Torr)であった。
この素子の発光特性を表3に示す。
この素子の電界発光は、極大波長513nm、半値幅は69nmの緑色発光であり、有機イリジウム錯体(D−2)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.30,0.58)であった。
(比較例2)
発光層4を以下に記す方法で成膜した以外は実施例14に示す方法と同様にして、図7に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
発光層4の主成分(ホスト材料)として下記構造式に示すカルバゾール誘導体(SiMCP)を、副成分(ドーパント)として実施例14で用いた有機イリジウム錯体(D−2)を別々のセラミックるつぼに設置し、2元同時蒸着法により成膜を行った。
Figure 2007176930
カルバゾール誘導体(SiMCP)の蒸着速度は0.1nm/秒に、有機イリジウム錯体(D−2)のるつぼ温度は268〜270℃にそれぞれ制御し、膜厚30nmで有機イリジウム錯体(D−2)が約5.9重量%含有された発光層4を正孔輸送層10の上に積層した。蒸着時の真空度は6.3×10−5Pa(約4.7×10−7Torr)であった。
この素子の発光特性を表3に示す。
この素子の電界発光は、極大波長513nm、半値幅は70nmの緑色発光であり、有機イリジウム錯体(D−2)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.31,0.68)であった。
Figure 2007176930
(実施例17及び比較例3)
実施例14〜16及び比較例2で作製した素子に、電流密度250mA/cmに相当する直流を通電したときの輝度変化を観察した。通電40秒後の輝度、通電直後の輝度、及び通電40秒後の輝度値を通電直後の輝度値で除した値を表4に示す。
Figure 2007176930
この結果より、本発明の化合物(EM−1)、(EM−5)及び(EM−6)を発光層の主成分に用いた素子は、カルバゾール誘導体(SiMCP)を発光層の主成分に用いた素子よりも、通電時の輝度低下が少ないことが明らかとなった。
(実施例18)
正孔輸送層10及び発光層4を以下に記す方法で成膜した以外は実施例14に示す方法と同様にして、図7に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
正孔注入層3を成膜した基板を真空蒸着装置内に設置した。上記装置の粗排気を油回転ポンプにより行った後、装置内の真空度が7.5×10−5Pa(約5.6×10−7Torr)以下になるまでクライオポンプを用いて排気した。上記装置内に配置されたセラミックるつぼに入れた、下記に示す実施例3で合成した目的物5:本発明の有機化合物(EM−7)をるつぼの周囲のタンタル線ヒーターで加熱して蒸着を行った。蒸着時の真空度7.0×10−5Pa、蒸着速度は0.1nm/秒で膜厚40nmの正孔輸送層10を得た。
Figure 2007176930
引続き、発光層4の主成分(ホスト材料)として下記に示すカルバゾール誘導体(E−1)を、副成分(ドーパント)として実施例14で用いた有機イリジウム錯体(D−2)を、別々のセラミックるつぼに設置し、2元同時蒸着法により成膜を行った。
Figure 2007176930
カルバゾール誘導体(E−1)のるつぼ温度は300〜304℃、蒸着速度は0.08nm/秒に、有機イリジウム錯体(D−2)のるつぼ温度は239〜242℃にそれぞれ制御し、膜厚30nmで有機イリジウム錯体(D−2)が6.4重量%含有された発光層4を正孔輸送層10の上に積層した。蒸着時の真空度は6.6×10−5Paであった。
この素子の発光特性を表5に示す。
この素子の電界発光は、極大波長513nm、半値幅は69nmの緑色発光であり、有機イリジウム錯体(D−2)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.31,0.62)であった。
(比較例4)
正孔輸送層10を以下に記す方法で成膜した以外は実施例18に示す方法と同様にして、図7に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
下記に示す構造式のアリールアミン化合物(PPD)をセラミックるつぼに入れ、るつぼの周囲のタンタル線ヒーターで加熱して蒸着を行った。蒸着時の真空度は6.0×10−5Pa、蒸着速度は0.08〜0.13nm/秒で制御し、膜厚40nmの正孔輸送層10を得た。
Figure 2007176930
この素子の発光特性を表5に示す。
この素子の電界発光は、極大波長513nm、半値幅は67nmの緑色発光であり、有機イリジウム錯体(D−2)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.30,0.61)であった。
Figure 2007176930
(実施例19)
図7に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
実施例14に示す方法と同様にして、正孔注入層3と正孔輸送層10を成膜した後、発光層4の主成分(ホスト材料)として実施例2で合成した目的物4:本発明の有機化合物(EM−1)を、副成分(ドーパント)として下記に示す構造式の有機イリジウム錯体(Facial体:D−3。Meはメチル基)を別々のセラミックるつぼに設置し、2元同時蒸着法により成膜を行った。
Figure 2007176930
本発明の有機化合物(EM−1)のるつぼ温度は277〜283℃、蒸着速度は0.07nm/秒に、有機イリジウム錯体(D−3)のるつぼ温度は279〜281℃にそれぞれ制御し、膜厚30nmで有機イリジウム錯体(D−3)が約5.8重量%含有された発光層4を正孔輸送層10の上に積層した。蒸着時の真空度は5.0×10−5Pa(約3.8×10−7Torr)であった。
さらに、正孔阻止層8として、本発明の有機化合物(EM−1)のみを、るつぼ温度を283〜297℃として、蒸着速度0.09nm/秒で10nmの膜厚で積層した。蒸着時の真空度は4.5×10−5Pa(約3.4×10−7Torr)であった。
次いで、正孔阻止層8の上に、電子輸送層7として、実施例11で用いたバソクプロイン(ET−2)を同様にして蒸着した。この時のバソクプロイン(ET−2)のるつぼ温度は162〜183℃の範囲で制御し、蒸着時の真空度は4.4×10−5Pa(約3.3×10−7Torr)、蒸着速度は0.09nm/秒で膜厚は30nmとした。
上記の正孔輸送層10、発光層4、正孔阻止層8および電子輸送層7を真空蒸着する時の基板温度は室温に保持した。
この後、実施例11と同様にして2層型陰極6を蒸着した。
この素子の発光特性を表6に示す。
この素子の電界発光は、極大波長403nmの青色発光であり、有機イリジウム錯体(D−3)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.18,0.10)であった。
Figure 2007176930
(実施例20)
図7に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
実施例14に示す方法と同様にして、正孔注入層3と正孔輸送層10を成膜した後、発光層4の主成分(ホスト材料)として実施例6で合成した目的物11:本発明の有機化合物(EM−5)を、副成分(ドーパント)として実施例11で用いた有機イリジウム錯体(D−1)を別々のセラミックるつぼに設置し、2元同時蒸着法により成膜を行った。
本発明の有機化合物(EM−5)の蒸着速度は0.1nm/秒に、有機イリジウム錯体(D−1)のるつぼ温度は252〜260℃にそれぞれ制御し、膜厚33nmで有機イリジウム錯体(D−1)が約7.6重量%含有された発光層4を正孔輸送層10の上に積層した。蒸着時の真空度は4.2×10−5Paであった。
さらに、正孔阻止層8として、実施例14で用いたフェニルピリジン誘導体(HB−1)をるつぼ温度340〜341℃として、蒸着速度0.08〜0.09nm/秒で5nmの膜厚で積層した。蒸着時の真空度は4.6×10−5Paであった。
次いで、正孔阻止層8の上に、電子輸送層7として、下記に示す構造式のビス(2−メチル8−ヒドロキシキノリナト)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム(BAlq)を同様にして蒸着した。この時のビス(2−メチル8−ヒドロキシキノリナト)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム(BAlq)のるつぼ温度は190〜191℃の範囲で制御し、蒸着時の真空度は5.1×10−5Pa、蒸着速度は0.08〜0.24m/秒で制御し、膜厚は30nmとした。
Figure 2007176930
上記の正孔輸送層10、発光層4、正孔阻止層8および電子輸送層7を真空蒸着する時の基板温度は室温に保持した。
この後、実施例11と同様にして2層型陰極6を蒸着した。
この素子の発光特性を表7に示す。
この素子の電界発光は、極大波長471nm、半値幅は66nmの青緑色発光であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.17,0.36)であった。
Figure 2007176930
(実施例21)
図3に示す構造(ただし、電子注入層は有さない)を有する有機電界発光素子を、以下の方法により作製した。
ガラス基板1の上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜2を150nm堆積したもの(スパッター成膜品;シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極2を形成した。パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
次に、正孔注入層3を、スピンコート時の乾燥条件を230℃、180分とした以外は実施例11と同様にして形成した。
続いて、正孔注入層3の上に発光層4を以下のように湿式製膜法によって形成した。発光層4の材料として、実施例2で合成した目的物4:本発明の有機化合物(EM−1)及び実施例11で用いた有機イリジウム錯体(D−1)を用い、これらを溶媒としてトルエンに溶解させて有機電界発光素子用組成物を調製し、この有機電界発光素子用組成物を用いて下記の条件でスピンコートした。
スピンコート条件
溶媒 トルエン
EM−1の濃度 2[wt%]
EM−1:D−1 10:1(重量比)
スピナ回転数 1500[rpm]
スピナ回転時間 60[秒]
乾燥条件 100[℃],60[分](減圧下)
上記のスピンコートにより膜厚65nmの均一な薄膜が形成された。
次に、正孔阻止層8、電子輸送層7、陰極6を実施例11と同様にして形成した。
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。この素子の発光特性を表8に表す。
この素子の電界発光は、極大波長471nm、半値幅は67nmの青緑発光であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。色度はCIE(x、y)=(0.18、0.36)であった。
Figure 2007176930
本発明の有機電界発光素子の一例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の別の例を示した模式的断面図である。
符号の説明
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 発光層
5 電子注入層
6 陰極
7 電子輸送層
8 正孔阻止層
9 電子阻止層
10 正孔輸送層

Claims (13)

  1. 下記式(I)で表される有機化合物。
    Figure 2007176930
    〔式中、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基、または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
    Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
    、Rは各々独立に、水素原子または置換基を表す。RとRは互いに結合して環を形成していてもよい。
    Qは下記式(I−1)または(I−2)で表される。
    Figure 2007176930
    (式中、Ar〜Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。ArとArは互いに結合して環を形成していてもよい。)〕
  2. 下記式(II)で表される、請求項1に記載の有機化合物。
    Figure 2007176930
    〔式中、Ar、Ar、Qは、前記式(I)におけると同義である。
    環Aは、置換基を有していてもよいベンゼン環、または置換基を有していてもよい含窒素芳香族六員環を表す。〕
  3. 下記式(III)で表される、請求項1に記載の有機化合物。
    Figure 2007176930
    〔式中、R、R、Qは、前記式(I)におけると同義である。
    環Bは置換基を有していてもよいベンゼン環を表し、環CはQ以外に置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。〕
  4. 下記式(III-2)で表される、請求項1に記載の有機化合物。
    Figure 2007176930
    〔式中、R、R、Qは、前記式(I)におけると同義である。
    環Dは置換基を有していてもよいピリジン環を表し、環EはQ以外に置換基を有していてもよいピリジン環を表す。〕
  5. 下記式(IV)で表される、請求項1に記載の有機化合物。
    Figure 2007176930
    〔式中、Ar〜Ar、R、Rは、前記式(I)および式(I−1)におけると同義である。
    Ar〜Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。ArとArは互いに結合して環を形成していてもよい。〕
  6. 部分構造として下記式(I−3)で表されるN−カルバゾリル基を有する、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の有機化合物。
    Figure 2007176930
  7. 請求項1ないし6のいずれか一項に記載の有機化合物からなる電荷輸送材料。
  8. 下記式(II-2)で表される、有機電界発光素子用の電荷輸送材料。
    Figure 2007176930
    〔式中、環Aは、置換基を有していてもよいベンゼン環、または置換基を有していてもよい含窒素芳香族六員環を表す。
    Ar、Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。〕
  9. トルエンに対して2.0重量%以上溶解する、請求項7または8に記載の電荷輸送材料。
  10. 請求項7ないし9のいずれか一項に記載の電荷輸送材料を含む電荷輸送材料用組成物。
  11. さらに、燐光発光材料を含む、請求項10に記載の電荷輸送材料用組成物。
  12. 基板上に、陽極、陰極、およびこれら両極間に設けられた発光層を有する有機電界発光素子において、請求項7ないし9のいずれか一項に記載の電荷輸送材料を含有してなる層を有する有機電界発光素子。
  13. 電荷輸送材料を含有してなる層が、請求項10または11に記載の電荷輸送材料用組成物を用いて形成される層である、請求項12に記載の有機電界発光素子。
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