JP2007176719A - セラミックス多孔体 - Google Patents

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Abstract

【課題】研磨材や摺動部材として用いた場合、接触する相手材(被加工物)への欠陥発生をより一層抑制することが可能となるセラミックス多孔体を提供する。
【解決手段】次の(1)〜(5)の要件、即ち、(1)セラミックス多孔体表面に1μm以下の径をもつ細孔部及び1μmを超える径をもつ細孔部が存在、(2)多孔体表面における両細孔部以外の部分は平均粒子径が1μm以下の無機粒子から構成、(3)多孔体表面において、1μmを超える径をもつ細孔部以外の部分を部分A、1μmを超える径をもつ細孔部を部分Bとしたとき、部分Aの面積が多孔体表面の面積の40〜80%、部分Bの面積が多孔体表面の面積の20〜60%、(4)部分Aに存在する1μm以下の径をもつ細孔部の合計面積が、部分Aの全面積の15〜75%、(5)多孔体の表面硬度が80以下である、セラミックス多孔体。
【選択図】 図1

Description

本発明は、連続的に結合する細孔を有するセラミックス多孔体に関するものである。本発明に係るセラミックス多孔体は、摩擦現象、吸着・分離技術、化学反応、断熱性、防音性等を利用する各種用途、例えば各種基板材料や光学材料、精密部品等の研磨加工プロセスに好適な研磨材や摺動部材、フィルター類、触媒担体、断熱材、建築物の内外装材等として好適に用いることができる。
従来よりセラミックス多孔体は、いろいろな形状、大きさの細孔を有することを構造的な主たる特徴とし、摩擦現象、吸着・分離技術、化学反応、断熱性、防音性等を利用する各種用途、例えば各種基板材料や光学材料、精密部品等の研磨加工プロセスに好適な研磨材や摺動部材、フィルター類、触媒担体、断熱材、建築物の内外装材等として多くの分野で利用されている。
このようなセラミックス多孔体は、多孔体全体の細孔構造を活用して機能を発現させて利用される一方で、多孔体の表面構造に起因する特性も重要な役割を担う場合もある。例えば、研磨材・摺動部材といった摩擦現象を利用する分野に用いられる多孔体では、接触する相手材へ欠陥を生じさせる場合もある。
そこで、本発明者らは、例えば、特許文献1や特許文献2に開示しているように、セラミックス等の無機粒子から構成されるセラミックス多孔体を、その全体構造、表面構造という見地から提案し、被加工物表面を目的の精度に高効率で仕上げることが可能であることを示している。
特開2002− 18702号公報 特開2003−165058号公報
しかしながら、被加工物への欠陥発生を、より一層低減することが市場より望まれていた。本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的はこのようなセラミックス多孔体を研磨材や摺動部材として用いられる場合に、接触する相手材への欠陥発生をより一層抑制することが可能なセラミックス多孔体を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、無機粒子から構成されたセラミックス多孔体において、当該セラミックス多孔体の表面硬度を特定の範囲内とし、好ましくは更にその分布を所定範囲内とすることによって上記課題を解決し、本発明を完成するに至った。
本発明のセラミックス多孔体を摩擦現象を利用した分野、例えば研磨材や摺動部材等として用いた場合、接触する被加工物への欠陥発生を抑制することが可能となる。
以下、本発明をより詳しく説明する。
(A)セラミックス多孔体
本発明のセラミックス多孔体は、以下に示す(1)〜(5)の要件をすべて有するものである。
(1)セラミックス多孔体表面に、1μm以下の径をもつ細孔部および1μmを超える径をもつ細孔部が存在、
(2)当該多孔体表面における両細孔部以外の部分は平均粒子径が1μm以下の無機粒子から構成、
(3)当該多孔体表面において、1μmを超える径をもつ細孔部以外の部分を部分A、1μmを超える径をもつ細孔部を部分Bとしたとき、部分Aの面積が多孔体表面の面積の40〜80%、部分Bの面積が多孔体表面の面積の20〜60%、
(4)部分Aに存在する1μm以下の径をもつ細孔部の合計面積が、部分Aの全面積の15〜75%、
(5)多孔体の表面硬度が80以下。
本発明のセラミックス多孔体の表面には、1μm以下の径をもつ細孔部および1μmを超える径をもつ細孔部が存在し、両細孔部以外は平均粒子径が1μm以下の無機粒子からなる面より構成されるものであり、多孔体を摩擦現象を利用する研磨材や摺動部材等として用いる場合、この表面が被加工物との接触面に相当する。
本発明のセラミックス多孔体の表面構造を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した一例を図1および図2に示す。図1は低倍率(100倍)で観察した例であり、表面には数十μmの細孔が複数存在することがわかる。一方、図2は図1において細孔以外の部分をより高倍率(30000倍)で観察した例であり、表面には、無機粒子および1μm以下の細孔が多数存在することがわかる。
ここで、セラミックス多孔体を構成する無機粒子としては通常のものを用いることが可能であり、特に限定されるものではない。具体的には、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化マンガン、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化クロム、酸化イットリウム等の酸化物や、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素等の非酸化物の中の少なくとも1種類を用いることができる。
なお、上記した酸化ジルコニウムとしては、安定化剤として、酸化イットリウム、酸化スカンジウム、酸化インジウム、酸化セリウム等の希土類酸化物、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等を固溶させた酸化ジルコニウムを含むものである。
本発明の多孔体を研磨材として用いる場合には、無機粒子が酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムのいずれかであることが好ましい。無機粒子として酸化ケイ素を用いた場合、被加工物表面を非常に高精度に仕上げることが可能である。また、酸化セリウムを用いた場合は石英ガラス等の研磨に好適であり、酸化ジルコニウムや酸化アルミニウムは被加工物の硬度が比較的高い材料に有効である。
また、無機粒子の平均粒子径としては、1μm以下、好ましくは、0.001〜1μmである。このような平均粒子径とすることにより、本発明の多孔体を研磨材として使用したとき、被加工物への損傷を微小な単位とする(即ち、損傷を抑制する)ことができる。無機粒子の平均粒子径が0.001μm未満の多孔体は、無機粒子を形成する原料粉末として、0.001μm(一次粒径)未満の粉末が得にくいことから、実際上得難い場合が多く、また、無機粒子の平均粒子径が1μmよりも大きい多孔体は、被加工物に損傷を与えるおそれがある。
本発明でいう平均粒子径は、例えば実施例に記載の通り、走査型電子顕微鏡(SEM)などにより測定できる。
本発明のセラミックス多孔体は、前記した無機粒子から構成されるものであるが、その表面の状態は、1μmを超える径をもつ細孔部以外の部分(即ち、1μm以下の径をもつ細孔部、および両細孔部以外の部分)を部分A、1μmを超える径をもつ細孔部を部分Bとしたとき、部分Aの面積が多孔体表面の面積の40〜80%、部分Bの面積が多孔体表面の面積の20〜60%を占めるよう、構成されている。
本発明の多孔体を研磨材として使用する場合、部分Aは、被加工物と直接接触することがある部分であり、部分Bは、被加工物と直接接触することはなく、例えば多孔体が湿式研磨で用いられる場合には、主に潤滑液等の液分を滞留あるいは流通させ得る部分である。
本発明の多孔体表面の部分Aのうち、1μm以下の径の細孔部の面積の合計は、部分Aの全面積に対して15〜75%の範囲とする。この面積割合が75%を上回ると、多孔体の形状を保てないほど形状保持性が悪くなるために、例えばこの多孔体を研磨材として使用すると多孔体自身が摩耗や破損しやすくなり好ましくない。また、面積割合が15%を下回ると、逆に多孔体の強度が高くなり過ぎ、例えば、被加工物が研磨の最中に損傷したりするため好ましくない。
上記した部分A、部分B及びそれぞれの面積は、各部分を走査型電子顕微鏡等で観察し、構成される無機粒子および細孔径をインターセプト法により個数基準で算出した後に、所定の研磨面の面積当たりに換算して求めることができる。
一方、多孔体表面の部分Bの面積は、部分A及び部分Bの合計面積に対して20%〜60%の範囲とする。この範囲を逸脱して面積割合が20%を下回ると多孔体の強度が高くなり過ぎ、例えば被加工物が研磨の最中に損傷しやすくなり、また、60%を上回ると被加工物への損傷は抑制される傾向にあるものの、多孔体自身の摩耗や破損が著しくなるため好ましくない。
本発明の多孔体の被加工物との接触面の表面硬度は80以下である。ここで、この表面硬度は被加工物の材質、セラミックス多孔体を構成する無機粒子の種類等に影響される値であるが、通常この表面硬度を80以下、好ましくは40〜80とすることにより、被加工物への損傷を抑制することが可能である。
表面硬度は小さい値である程、被加工物への損傷を一層抑制することが可能であると考えられるが、実際はその値が小さくなりすぎると多孔体自身の破損が被加工物への損傷に影響することが多くなるので好ましくない。
また、本発明の多孔体の表面硬度の分布は、変動係数(CV)0.06以下であることが好ましい。表面硬度の分布の範囲は狭いほど均質であることを示すものであり、このような変動係数の範囲内とすることによって、被加工物の損傷をより抑制することが可能である。
上記した変動係数は、以下に示す式から求めることができる。
Figure 2007176719
(但し、Hは表面硬度の平均値、Hi:表面硬度、n:測定点数を示す。)

(B)セラミックス多孔体の製造方法
本発明のセラミックス多孔体の製造方法は前記特性を有するセラミックス多孔体を得ることのできる方法であれば特に限定されるものではなく、より具体的には、無機粒子を形成する原料粉末に圧力等をかけて適当な形状、大きさの成形体とする方法や、成形後、更に焼成等の加工処理を行う方法などを例示できる。
本発明のセラミックス多孔体の無機粒子を構成する原料粉末の平均粒子径は特に限定されるものではないが、1μm以下のものを用いることが好ましい。
原料粉末に圧力をかける方法としては、例えばプレス成形等の成形法が例示でき、その圧力条件としては、例えば、1000〜3000kg/cmの条件にて行うことができる。また、鋳込み成形、射出成形、押出成形なども適用できる。
さらに、成形する際の原料粉末の成形性を向上させるために原料粉末に圧密処理を施したり、スプレードライ法や転動法などにより造粒したり、バインダー、ワックス等を添加してもよい。
造粒によって原料粉末を顆粒状の形態とし、多孔体とするための成形方法として乾式加圧成形法を用いた場合には、寸法精度に優れ、比較的簡便に量産できるので好ましい。
セラミックス多孔体の細孔構造を制御するために、上記した顆粒に造孔剤を混合することが好ましい。この造孔剤の種類としては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の粉末状ワックス類、アクリル系、オレフィン系、フェノール系、スチレン系等の樹脂粉末、馬鈴薯でんぷん、とうもろこしでんぷん等の多糖類粉末、ステアリン酸等の粉末状高級脂肪酸類およびカーボン粉末等を例示することができる。
造孔剤の平均粒子径としては0.1〜200μmの範囲が好ましい。平均粒径が0.1μmを下回ると、造孔剤を用いない場合と大差がなくなる傾向にあり、200μmよりも大きいと成形が難しくなる場合がある。
混合量としては、造孔剤/無機粉末=2/1〜1/5(体積比)が好ましい。混合方法としては、顆粒状の形態を生かすことができる乾式混合法を採用することが好ましい。
前記のように、成形体への成形性を向上させるために原料粉末へワックスやバインダーなどの有機物や造孔剤等を添加した場合には、セラミックス多孔体への加工に際し、脱脂することが好ましい。脱脂方法は特に限定されるものではないが、例えば大気雰囲気下での加熱による脱脂、または窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性雰囲気中での加熱脱脂などの方法が挙げられる。また、このときの雰囲気ガスの圧力は加圧下または常圧下、場合によっては減圧下であってもよい。また、同様に成形性を向上させるために水分を添加し、その後の焼成操作前に乾燥させることもできる。
造孔剤を添加した系の脱脂操作においては、成形後の重量と脱脂後の成形体(脱脂体)の重量をそれぞれ測定して重量減少量を求め、20枚分の重量減少量の平均値Mとそれに対する各成形体・脱脂体間での重量減少量Xの割合X/Mを算出したとき、その標準偏差が0.006以下にあることが好ましい。この値が小さい程、原料粉末と造孔剤の混合が均質に行われていることを意味する。
次に、成形体、殊にバインダーや造孔剤を取り除いた成形体は、一般的に強度が脆く、その強度を上げ、耐久性を向上させるために、得られた成形体に対して加熱による焼成や、成形体の細孔中に物質を導入する等の加工を行うことが好ましい。
加熱焼成の場合の焼成条件は特に限定されるものではないが、原料粉末の種類等に応じて、例えば、1000〜1300℃の焼成温度、焼成時間、焼成プログラム、焼成雰囲気等を適宜選択すればよい。
このように無機粒子からなる成形体よりセラミックス多孔体への加工方法としては、加熱脱脂、加熱焼成、機械加工、化学処理、物理処理、あるいはこれらの組み合わせ等による方法が例示できるが、セラミックス多孔体として所望の用途に使用できる強度を付与できる加工方法であれば特に限定されるものではない。
特に本発明のセラミックス多孔体を、摩擦現象を利用する研磨材や摺動部材等として用いる場合、被加工物との接触面の微構造を常に所定の条件範囲内に維持することが肝要である。
例えば、前記の製法において、原料粉末と造孔剤とを混合する場合には、その粒子径を所定範囲内とするために、整粒、分級することが望ましい。また、細孔を多孔体の微構造内に均一に分散させるためには、造孔剤と原料粉末とを極力均一に分散させることが非常に重要であり、そのために原料粉末を造粒して、必要ならば更に整粒、分級して顆粒状とし、造孔剤の粒径と相応した関係、すなわち混合状態に適した関係とすることが必要である。この場合の粒径の関係は、造粒粉末の比重、造孔剤の比重、それらの混合比等を考慮して当業者であれば適宜決定可能である。
更に、顆粒状の形態を生かしながら、原料と造孔剤と均一に分散させるためには、容器回転式や機械撹拌式等の混合装置等を用いた乾式混合法を採用することが好ましい。
また、原料粉末を成形する際に所定の径を有する有機物や炭素の繊維を所定の長さで成形体に導入する方法や所定の外内径を有する中空粒子を混合する方法等も例示できる。ここで中空粒子の内径はセラミックス多孔体に導入する細孔径に準じ、外径、つまり中空粒子の粒子径は当該中空粒子の中空部分がセラミックス多孔体の被加工物との接触面に所定の分散状態となるように考慮された径になる。
(C)セラミックス多孔体の用途
本発明のセラミックス多孔体は、その表面の細孔径の大きさ・面積・表面硬度を特定の範囲内とすることにより目的を達成したものであり、摩擦現象、吸着・分離技術、化学反応、断熱性、防音性等を利用する各種用途、例えば各種基板材料や光学材料、精密部品等の研磨加工プロセスに好適な研磨材や摺動部材、フィルター類、触媒担体、断熱材、建築物の内外装材等として好適に用いることができる。特に摩擦現象を利用した分野、例えば研磨材や摺動部材等として用いられる場合に接触する被加工物への欠陥発生を抑制することが可能となる。
以下に本発明のセラミックス多孔体の用途を研磨材として利用する場合を例にして説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明のセラミックス多孔体を研磨材として利用する場合、当該セラミックス多孔体と研磨用の付帯部品とを用いて一体化させて通常用いられる。ここで、付帯部品とは研磨用定盤を構成する種々の材質、形状の構造体であり、この付帯部品に対して前記セラミックス多孔体を例えば、以下に示される手法により配置し、固定することで研磨用定盤が形成される。両者の固定方法としては、接着剤を用いて接着して固定する方法、付帯部品に凹凸を形成し、その固定場所へ埋め込む方法など、本発明の目的を達成できる方法であれば制限なく用いることができる。
セラミックス多孔体を研磨用の付帯部品へ固定する際のセラミックス多孔体の個数については、1個以上用いればよいが2個以上用いることが好ましい。この理由としては、以下のことなどが考えられるが、これらの考えは本発明を限定するものではない。
1)研磨加工プロセスにおいて用いられる研磨液を研磨加工中に適切に排出することでその研磨速度を向上させるためである。このため、セラミックス多孔体を2個以上用いて研磨用定盤を形成させた場合には、セラミックス多孔体間の隙間より研磨液の排出ができる。また、1個を用いた場合には、セラミックス多孔体の被加工物との接触面に研磨液を排出できる適当な溝の構造を持たせることが好ましい。
2)研磨用成形体を2個以上用いて研磨用定盤を形成させた場合には、セラミックス多孔体と被加工物の接触面への研磨液の供給が改善され、被加工物全面の研磨速度に偏りなく、効率よく加工できるようになる。
また、セラミックス多孔体を2個以上の複数個用いて研磨用定盤を構成した場合、複数種類のセラミックス多孔体を用いることも可能である。この複数種類とは無機粒子の素材や平均粒子径が異なることを指すばかりでなく、セラミックス多孔体の物性、微構造等が異なる場合も含まれるものである。このとき、複数種類のセラミックス多孔体は組み込まれる付帯部品に対し、研磨加工に際しての対称性を考慮して配置されることが好ましい。このようにすることにより、複数種類のセラミックス多孔体を用いた場合にも、研磨加工に際して均一な性能を得ることが可能となる。
用いられるセラミックス多孔体の形状は前記したように特に限定されるものではなく、セラミックス多孔体が研磨用の付帯部品へ装着できるものであればどのような形状のものも採用できる。例えば円柱状ペレット、四角柱状ペレットや三角状ペレットなどの角柱状ペレット、扇型柱状ペレット、あるいはそれらの中心を繰り抜いたリング状ペレット等を例示でき、さらには被加工物との接触面が直線と曲線を組み合わせてできるあらゆる形状のものが例示できる。また、その大きさは通常用いられる範囲であれば特に限定されるものではなく、研磨用定盤中のセラミックス多孔体を組み込むための付帯部品の大きさに応じて決められる。
本発明において用いられるセラミックス多孔体を研磨用定盤として配置する際の配置方法の態様としては、前記記載のセラミックス多孔体の特性を有するものを組み合わせるのであれば特に限定されるものではなく、例えばセラミックス多孔体の小片を組み合わせて一体化する方法、大きな円板に埋め込む方法などが挙げられる。
このようなセラミックス多孔体を2個以上研磨用定盤へ配列させる場合には配置されたセラミックス多孔体の被加工物との接触面を被加工物の形状に合うように整えることが望ましい。この場合、付帯部品についてその形状に合ったものを選択してもよい。例えば、被加工物が平坦な基板材料の場合にはそのセラミックス多孔体の被加工物との接触面を平坦化することが望ましく、曲面状の場合にはそれに合った曲面状とすることが望ましい。これは、得られた研磨用定盤を用いて研磨加工する際に、被加工物とセラミックス多孔体が直接接触できるようになっており、その接触面を多く取ることができるようにするためである。
このようにして研磨用定盤にセラミックス多孔体を組み込むわけであるが、本発明の研磨用定盤を用いて研磨加工する方法においては、定盤として研磨加工プロセスにおいて使用されるものであれば、その形状、研磨加工条件、研磨液等の使用の有無等については特に限定されるものではない。例えば、研磨液を使用する場合には、従来より用いられてきた研磨液を用いればよく、例えば水、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、アミンや有機酸を含む水溶液などの中性、アルカリ性、酸性の水溶液、場合によっては有機系溶液を用いることができ、その温度もこれら研磨液の沸点よりも低い温度の範囲であれば、特に限定されるものではない。
もちろん、遊離砥粒として通常用いられている、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化マンガン、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化クロム、酸化イットリウム、酸化錫等の酸化物や、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素等の非酸化物をも用いることができ、さらに酸化ジルコニウムについては、安定化剤として酸化イットリウム、酸化スカンジウム、酸化インジウム、酸化セリウム等の希土類酸化物、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等を固溶させた酸化ジルコニウムなどを用いてもよい。また、研磨液の流量や、加工圧力、被加工物と定盤の研磨加工中の相対速度(研磨用定盤の回転速度)などの研磨加工条件に関しても、特に限定されるものではない。
ここで、研磨用定盤とは組み込まれたセラミックス多孔体が被加工物に対して直接接触して研磨加工するために用いられ、研磨加工プロセスにおいて十分な強度を有し、かつ被加工物の研磨面の形状に対応した形状を有するだけでなく、必要に応じて非平面の形状を有していてもよい。例えば、平板状、円盤状、リング状、円筒状等を挙げることができる。
また、研磨加工方法においては研磨布を用いなくてよいため、研磨中に従来の方法において見られた研磨布の性能劣化によるその取り換え等による研磨加工作業の中断については、本発明のセラミックス多孔体を用いることで耐久性が向上し、取り換え頻度を減少できるため研磨加工の作業効率が向上できるという利点を有している。
本発明のセラミックス多孔体によれば、この多孔体を研磨材や摺動部材として用いた場合、接触する相手材(被加工物)への欠陥発生を、より一層抑制することが可能となった。
以下、本発明を実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各評価は以下に示した方法によって実施した。

セラミックス多孔体の相対密度
所定形状の平板試料を作製し、電子天秤で測定した重量とマイクロメータで測定した寸法とから、かさ密度W2を算出した。次に、JIS−R−2205に準拠して真密度W1を求め、先に算出したかさ密度W2から下式により相対密度を算出した。
相対密度(%)=(W2/W1)×100

セラミックス多孔体の表面構造
セラミックス多孔体をアクリル樹脂で包埋して細孔部の状態を固定後、ミクロトームで切断して観察試料を作製した。この観察試料を走査型電子顕微鏡ISI DS−130(明石製作所製)で観察し、任意の10ヶ所につき、5000倍までの各種倍率で電子顕微鏡写真を撮影した。
撮影した電子顕微鏡写真において、1μmより大きい細孔部分を考慮してインターセプト法により、1μmより大きい細孔部分Bとそれ以外の部分Aを横切る線長を求め、その長さを直径とする円を想定して面積換算して部分Bの割合(B/(A+B))を計算した。この計算を1写真につき少なくとも40点行ない、撮影した全写真から得られた値を平均してB/(A+B)の値とした。
次いで、上記部分A領域の任意の10ヶ所につき、5000倍を超える各種倍率で電子顕微鏡写真を撮影した。撮影した電子顕微鏡写真において、1μm以下の細孔部分と無機粒子部分を考慮してインターセプト法により、無機粒子、1μm以下の細孔部分それぞれを横切る線長を求め、その長さを直径とする円を想定して面積換算して部分Aの中の無機粒子部分と、1μm以下の細孔部分の面積割合を算出した。この計算を1写真につき少なくとも40点行ない、撮影した全写真から得られた値を平均して、部分Aにおける無機粒子部分と1μm以下の細孔部分との面積割合とした。
併せて、部分A領域に存在する無機粒子につき、インターセプト法により個数基準(500個分測定)でその平均粒子径を求めた。
なお、上記計算において、必要に応じて画像解析ソフトを用いた。

セラミックス多孔体の表面硬度
セラミックス多孔体の表面を#600のダイヤモンドホイールを装着した平面研削盤で平坦に整えた厚さ約12mmの試料を作製した。得られた試料の平坦面をJIS−K−6253に準拠し、デューロメータ(タイプD)を用いて測定した。表面硬度の分布は各試料において任意に300点測定して求めた。

圧縮強度
JIS−R−1608に準拠し、IS−10T(島津製作所製)を用い、クロスヘッド速度0.5mm/minで負荷を加えて測定した。

脱脂における重量減少
造粒した原料粉末(顆粒)と造孔剤とを所定の条件で混合後、150gずつ採取して一辺が70mmの成形体を20枚作製した。これらの成形体に対して、成形後の重量と脱脂後の成形体(脱脂体)の重量をそれぞれ測定し、重量減少量を求めた。20枚分の重量減少量の平均値Mとそれに対する各成形体・脱脂体間での重量減少量Xの割合X/Mを算出し、その標準偏差を求めた。

実施例1
市販のセリア系粉末(平均粒子径0.05μm)、水、アクリル系バインダー、ステアリン酸、カルボン酸系分散剤を混合してスラリー化した後、スプレードライヤーで噴霧乾燥して造粒粉末を得た。得られた造粒粉末に粉末状パラフィンワックスを乾式混合装置を用いて混合し、その粉末を2000kg/cmで成形した後、最終的に1150℃で焼成してセラミックス多孔体を得た。表1に得られたセラミックス多孔体の特性を示す。
次に得られたセラミックス多孔体の機能評価の一例として石英ガラスの加工特性を評価した。
表1に示した特性のセラミックス多孔体を両面研磨装置の金属定盤部分に装填し、セラミックス多孔体表面を市販のセリア系スラリー(平均粒径0.03μm)を流通しながら、被研磨材料として152mm×152mm×6mmtの石英ガラス基板の両面の研磨量の合計が300μmとなるまで所定時間研磨した。
研磨後の石英ガラス基板表面を光学顕微鏡の暗視野法で観察して研磨傷が1本/cm以下の場合を◎、2本/cmの場合を○、5本/cm以下の場合を△、それよりも多い場合を×とした。結果を表1に示す。

実施例2
市販のセリア系粉末(平均粒子径0.06μm)、水、アクリル系バインダー、ステアリン酸、カルボン酸系分散剤を混合してスラリー化した後、スプレードライヤーで噴霧乾燥して造粒粉末を得た。得られた造粒粉末にスチレン系樹脂粉末を乾式混合し、その粉末を2500kg/cmで成形した後、最終的に1050℃で焼成してセラミックス多孔体を得た。表1に得られたセラミックス多孔体の特性を示す。
次に、実施例1と同様にして石英ガラスの加工特性を評価した。結果を表1に示す。

実施例3
市販のセリア系粉末(平均粒子径0.03μm)、水、アクリル系バインダー、ステアリン酸、カルボン酸系分散剤を混合してスラリー化した後、スプレードライヤーで噴霧乾燥して造粒粉末を得た。得られた造粒粉末にフェノール系樹脂粉末を乾式混合し、その粉末を3000kg/cmで成形した後、最終的に1050℃で焼成してセラミックス多孔体を得た。表1に得られたセラミックス多孔体の特性を示す。
次に、実施例1と同様にして石英ガラスの加工特性を評価した。結果を表1に示す。

実施例4
市販のセリア系粉末(平均粒子径0.05μm)、水、アクリル系バインダー、ステアリン酸、カルボン酸系分散剤を混合してスラリー化した後、スプレードライヤーで噴霧乾燥して造粒粉末を得た。得られた造粒粉末に馬鈴薯でんぷんを乾式混合し、その粉末を1000kg/cmで成形した後、最終的に1100℃で焼成してセラミックス多孔体を得た。表1に得られたセラミックス多孔体の特性を示す。
次に、実施例1と同様にして石英ガラスの加工特性を評価した。結果を表1に示す。

比較例1
市販のセリア系粉末(平均粒子径0.1μm)、水、アクリル系バインダー、ステアリン酸、カルボン酸系分散剤を混合してスラリー化した後、スプレードライヤーで噴霧乾燥して造粒粉末を得た。得られた造粒粉末にスチレン系樹脂粉末を乾式混合し、その粉末を2500kg/cmで成形した後、最終的に1300℃で焼成してセラミックス多孔体を得た。表1に得られたセラミックス多孔体の特性を示す。
次に、実施例1と同様にして石英ガラスの加工特性を評価した。結果を表1に示す。

比較例2
市販のセリア系粉末(平均粒子径0.04μm)、水、アクリル系バインダー、ステアリン酸、カルボン酸系分散剤を混合してスラリー化した後、スプレードライヤーで噴霧乾燥して造粒粉末を得た。得られた造粒粉末にフェノール系樹脂粉末を乾式混合し、その粉末を3000kg/cmで成形した後、最終的に1100℃で焼成してセラミックス多孔体を得た。表1に得られたセラミックス多孔体の特性を示す。
次に、実施例1と同様にして石英ガラスの加工特性を評価した。結果を表1に示す。

比較例3
市販のセリア系粉末(平均粒子径0.05μm)、水、アクリル系バインダー、ステアリン酸、カルボン酸系分散剤を混合してスラリー化した後、スプレードライヤーで噴霧乾燥して造粒粉末を得た。得られた造粒粉末に粉末状パラフィンワックスを乾式混合し、その粉末を1000kg/cmで成形した後、最終的に1200℃で焼成してセラミックス多孔体を得た。表1に得られたセラミックス多孔体の特性を示す。
次に、実施例1と同様にして石英ガラスの加工特性を評価した。結果を表1に示す。

比較例4
市販のセリア系粉末(平均粒子径0.05μm)、水、アクリル系バインダー、ステアリン酸、カルボン酸系分散剤を混合してスラリー化した後、スプレードライヤーで噴霧乾燥して造粒粉末を得た。得られた造粒粉末にフェノール樹脂粉末を乾式混合し、その粉末を2000kg/cmで成形した後、最終的に1400℃で焼成してセラミックス多孔体を得た。表1に得られたセラミックス多孔体の特性を示す。
次に、実施例1と同様にして石英ガラスの加工特性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2007176719
実施例1〜4と比較例1〜4から表面硬度が80以下である場合に研磨傷の発生を抑制することが可能となり、実施例1〜3と実施例4からセラミックス多孔体の表面硬度分布を変動係数0.06以下とすることにより、一層研磨傷の発生を抑制できる。
本発明のセラミックス多孔体の表面構造をSEM(100倍)により測定した結果を示す図である。 本発明のセラミックス多孔体の表面構造をSEM(30000倍)により測定した結果を示す図である。

Claims (5)

  1. 以下に示す(1)〜(5)の要件をすべて有するセラミックス多孔体。
    (1)セラミックス多孔体表面に、1μm以下の径をもつ細孔部および1μmを超える径をもつ細孔部が存在、
    (2)当該多孔体表面における両細孔部以外の部分は平均粒子径が1μm以下の無機粒子から構成、
    (3)当該多孔体表面において、1μmを超える径をもつ細孔部以外の部分を部分A、1μmを超える径をもつ細孔部を部分Bとしたとき、部分Aの面積が多孔体表面の面積の40〜80%、部分Bの面積が多孔体表面の面積の20〜60%、
    (4)部分Aに存在する1μm以下の径をもつ細孔部の合計面積が、部分Aの全面積の15〜75%、
    (5)多孔体の表面硬度が80以下
  2. セラミックス多孔体の表面硬度が40〜80であることを特徴とする請求項1記載のセラミックス多孔体。
  3. セラミックス多孔体の表面硬度分布が変動係数0.06以下であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のセラミックス多孔体。
  4. 無機粒子が酸化セリウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックス多孔体。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のセラミックス多孔体を含んでなる研磨材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115038550A (zh) * 2020-01-31 2022-09-09 3M创新有限公司 粘结磨料制品和制造方法

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