JP2007176468A - 自動車のバンパー内蔵排気装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】排気抵抗が小さく、構造が簡単で部品点数及び加工、組立工数が低減されて低コストとなる排気消音器を提供できるとともに、排気消音器の排気口を格別な加工、組立工数を要することなくスマートな形状にするとともに、バンパー外部から見えないような構造として車の美観を向上せしめた排気装置を提供する。
【解決手段】排気消音器は、車幅方向に延びて管材を用いない横長型排気消音器に構成され、消音器本体11内に容積形の入口膨張室12と排気口15が形成された容積形の出口膨張室13とが仕切部材14により仕切って設けられ、仕切部材14の上流側の膨張室12と下流側の膨張室13との間を連通するガス通路が形成され、排気口15は車幅方向長さが直角方向長さよりも大きい略矩形状あるいは略長円形状に形成されて、下方あるいは斜め下方に向けて開口されるとともに、開口端がバンパー1の内側に位置せしめられてなる。
【選択図】図2

Description

本発明は、バンパーの内側に排気消音器を含む排気装置を配設してなる自動車のバンパー内蔵排気装置に関する。
自動車においては、通常、排気消音器をバンパー内側の車幅方向右側あるいは左側のいずれかに片寄せて設置し、該排気消音器を経た排気ガスの大気への排気口を円形状あるいは矩形状に形成してバンパーの後部に開口している。
一方、前記排気消音器をバンパー内側の車幅方向全体に亘って設けた横長型排気消音器も提案されており、その一つに特許文献1(特開平10−238331号公報)の技術がある。
かかる技術においては、バンパー内側の車幅方向全体に亘って設けた横長型排気消音器の内部を、多数のルーバが形成された仕切部材によって、前室と断熱材が封入された後室とに区画し、該仕切部材に前室側及び後室側に臨むように、エンジン排気管に接続される吸入チューブおよび排気口に接続される流出チューブを車幅方向に延びるように設けて、前記仕切部材にフランジにて固定するとともに両者を内部で接続し、前記排気口を円形に形成して前記流出チューブからバンパー外部に露出させて大気中に開口している。
特開平10−238331号公報
しかしながら、前記特許文献1の技術にあっては、バンパー内側の車幅方向全体に亘って設けた横長型排気消音器の内部を、前室と断熱材が封入された後室とに区画するとともに、多数のルーバが形成された仕切部材、仕切部材にフランジにて固定されて車幅方向に延びるように設けられた吸入チューブおよび流出チューブ等を設置する、という複雑な構造であり、部品点数が多く且つ組立工数も多くなりコスト高となる。
また、前記特許文献1の技術にあっては、円形の排気口をバンパー外部に露出させて大気中に開口した形態となっているため、排気抵抗が大きく且つ美観を損なっている。一般に自動車は、停車中に前方側から見られる機会よりも、走行中に後部を見られる機会の方が多く、後部の形状が車の美観を大きく左右するが、前記特許文献1の技術やその他の一般の自動車のように、円形の排気口をバンパー外部に露出させた形状では車の美観を大きく損なう。
殊に、排気量の小さい車が、細径の単一管からなる円形排気口をバンパー外部に露出させていると、その車のエンジン能力の小ささを露呈して、いわゆる“安っぽい車”と見られざるを得ない。
等の問題を有している。
本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、排気消音器としての排気の消音機能を十分にそなえるとともに排気抵抗が小さく、構造が簡単で部品点数及び加工、組立工数が低減されて低コストとなる排気消音器を提供することを目的とする。
また本発明の第2の目的は、十分な排気消音機能を保持した上で、排気消音器の排気口を格別な加工、組立工数を要することなくスマートな形状にするとともに、バンパー外部から見えないような構造として、車の美観を向上せしめた自動車のバンパー内蔵排気装置を提供することにある。
本発明は、かかる目的を達成するもので、バンパーの内側に排気消音器を含む排気装置を配設してなる自動車において、前記排気消音器は、前記バンパーの内側に設けられ車幅方向に延びて管材を用いない横長型排気消音器に構成されるとともに、消音器本体内にエンジン側排気管に接続される容積形の入口膨張室と排ガスの大気への排気口が1個または複数個形成された容積形の出口膨張室とが車幅方向に延びる仕切部材により仕切って設けられてなり、さらに該仕切部材の上流側に位置する膨張室と該仕切部材の下流側に位置する膨張室との間を連通するガス通路が形成され、前記大気への排気口は車幅方向長さがこれと直角方向長さよりも大きい略矩形状あるいは略長円形状のいずれかに形成されて、下方あるいは斜め下方のいずれかに向けて開口されるとともに、開口端が前記バンパーの内側に位置せしめられてなることを特徴とする(請求項1)。
この発明において好ましくは、前記仕切部材は前記消音器本体内に車幅方向に延びて設けられ、前記ガス通路は、該仕切部材の両側端部と前記消音器本体の内壁面との間に形成される側部ガス通路、あるいは前記仕切部材に複数穿孔された小孔通路の何れか一方または双方によって構成されてなる(請求項4)。
この発明において、好ましくは次のように構成する。
(1)前記排気口は、前記消音器本体と一体の絞り加工により加工成形されてなる(請求項2)。
(2)前記排気口は、その端部が前記バンパーの下端部よりも車体前方でかつバンパーの下端部よりも上方に位置して設けられる(請求項3)。
また本発明は、前記消音器本体の側壁外面と前記バンパーの側部内面との間に、車体の側部内側を通った空気が通流する空気通路を形成し、該空気通路を通流する空気により前記排気消音器を冷却するように構成したことを特徴とする(請求項5)。
また本発明は、前記入口膨張室あるいは出口膨張室のいずれか一方または双方に、酸化触媒あるいは還元触媒のいずれか一方を装填してなることを特徴とする(請求項6)。
請求項1〜5の発明によれば、バンパーの内側に設けた排気消音器を、車幅方向に延びて管材を用いない横長型排気消音器に構成するとともに、消音器本体内に入口膨張室と大気への排気口が形成された出口膨張室とを車幅方向に延びる仕切部材により仕切って設け、さらに該仕切部材の上流側に位置する膨張室と該仕切部材の下流側に位置する膨張室との間を、好ましくは前記仕切部材の両側端部と消音器本体の内壁面との間に形成される側部ガス通路あるいは仕切部材に複数穿孔された小孔通路の何れか一方または双方により形成されたガス通路で連通するので、
エンジンからの排気ガスは容積形の前記入口膨張室で体積膨張して第1段の消音がなされ、次いで入口膨張室と出口膨張室との間を連通する前記側部ガス通路あるいは仕切部材に複数穿孔された小孔通路で形成されたガス通路を通りながら、該ガス通路の通路抵抗によって第2段の消音がなされ、さらに容積形の出口膨張室で体積膨張して第3段の消音がなされる、という2段階の体積膨張の間に1段階の通路抵抗を挟んだ順序での3段階の消音がなされるので、排気ガスを完全に消音して、幅広の排気口から大気中に放出できる。
また、エンジン側排気入口に大きな容積の入口膨張室を接続したので排気抵抗が小さく、従って消音によるエンジン側の背圧上昇が小さくなって、消音によるエンジン出力低下を低減することが可能となる。
またかかる発明によれば、バンパーの内側に車幅方向に延びる横長型の排気消音器を設置したので、従来空間が多かったバンパーの内側のスペースを有効に利用して排気消音器の容積を拡大できることとなって、エンジン側の背圧上昇を伴うことなく排気ガスの消音効果をさらに向上することが可能となる。
またかかる発明によれば、排気消音器を横長型の排気消音器に構成したので、バンパーの内側の車幅方向空間を埋めるように設置可能となって、車両の衝突時に該横長型の排気消音器がバンパーと同様な緩衝機能を果たすことができ、バンパーと横長型の排気消音器との共働によって衝突時の衝撃緩和機能が向上する。
さらには、車幅方向に延びる横長型の排気消音器全体を、管材を用いない薄板構造に形成したので、薄板の曲げ加工及び絞り加工を織り交ぜて排気消音器を製作できて、従来のもののような、排気口等に管材を用いた排気消音器に比べて溶接部分が少なくなって、構造が簡単になるとともに、加工が簡単になって加工工数が少なくなり、排気消音器の製作コストを低減できる。
またかかる発明によれば、大気への排気口を、車幅方向長さがこれと直角方向長さよりも大きい略矩形状あるいは略長円形状に形成して下方あるいは斜め下方に向けて開口し、開口端がバンパーの内側になるように位置せしめているので、自動車の後方から見たいわゆるバックビューにおいて、前記排気口はバンパーの下縁内に隠されて該排気口がバンパーの下縁から下方に張り出すことがなく、また仮に斜め下方から見た場合に前記排気口が若干目視されたとしても、該排気口は略矩形状あるいは略長円形状に形成されて下縁及び上縁がバンパーの下縁とほぼ平行で、一見したとき排気口には見えない形状をしているので、従来技術のような、円形の排気口をバンパー外部に露出させて大気中に開口したものに比べて、バックビューにおける美観が大きく向上する。
さらには、前記排気口を略矩形状あるいは略長円形状に形成することにより、大気への排気口の通路面積が大きくなっても、前記のように、2段階の体積膨張と1段階の通路抵抗とを組み合わせた3段階の消音がなされて、完全に消音された排気ガスを、該排気口を通して大気へ排出するので、エンジン背圧の上昇を招くことなく低騒音を維持できる。
また請求項5のように構成すれば、消音器本体の側壁外面とバンパーの側部内面との間に、車体の側部内側を通った空気が通流する空気通路を形成し、該空気通路を通流する空気により前記排気消音器を冷却するように構成したので、自動車の走行時に、車体の側部内側の通路つまり後車輪の外側側面と車輪カバーとの間の通路を通った空気が、消音器本体の側壁外面とバンパーの側部内面との間の空気通路を通流するという、自動車の走行によるスクープ作用により排気消音器を冷却することができ、該排気消音器の冷却効果を向上できる。
また請求項6の発明によれば、大容積の入口膨張室あるいは出口膨張室のいずれか一方または双方に、酸化触媒あるいは還元触媒のいずれか一方を装填できるので、簡単な構造で大容積の触媒装填消音器を構成でき、酸化触媒あるいは還元触媒の触媒作用を活発化できて、排気ガスの浄化効果を向上できる。
以下、本発明を図に示した実施形態により詳細に説明する。
図1は本発明の第1、第2実施形態に係るバンパー内蔵排気装置を備えた自動車の一部断面を含む後部側面図である。
図1において、100は自動車の車体、1は該自動車の後部に設置されたバンパー、101は後輪、102は路面である。
10は前記バンパー1の内部に装着された排気消音器(詳細は後述)で、入口膨張室12、出口膨張室13、排気口15等を備えている。
103は図示しないエンジンの排気ポートと前記排気消音器10の入口膨張室12とを接続するエンジン側排気管である。該エンジン側排気管103は、図2のように、複数のボルト17で入口フランジ103aをガスケット16を介して締め付けることにより、前記消音器本体11に固定されている。
第1実施形態
図2の(A)は本発明の第1実施形態及び後述する第2、第3実施形態における排気消音器の車両前後方向断面図(図3のB−B線断面図及び図4のC−C線断面図及び図5のD−D線断面図(触媒を省略した図))、(B)は(A)におけるZ矢視図である。
また図3の(A)は前記第1実施形態における図2のA−A線断面図、(B)は(A)におけるE−E線断面図である。
図2〜3において、1はバンパー、10は該バンパー1の内部に装着された排気消音器で、車幅方向に延びて管材を用いない横長型の排気消音器であり、具体的には次のように構成されている。尚、図3においてY矢印は車両前方を示す。
11は鋼板等の耐熱性を有する板材からなる消音器本体で、該消音器本体11内は、耐熱性を有する板材からなり車幅方向及び上下方向(車高方向)に延びる仕切部材14によって一定容積の入口膨張室12と一定容積の出口膨張室13とに区画されている。該入口膨張室12及び出口膨張室13の各角部11a,11bは、排気ガスが小さい抵抗で滑らかに流れるように丸みを有する(Rを付した)形状となっている。
前記消音器本体11は、図2のように前記入口膨張室12を構成する入口側部材12zの端部フランジと出口膨張室13を構成する出口側部材13zの端部フランジとの間に前記仕切部材14の端部を挿み込み、排気ガスをシールするシール溶接によって接合する。11vはシール溶接部である。
前記消音器本体11は、図3(A)のように幅Aで以って車幅方向に延び、また図2(A)のように高さDで以って上下方向(車高方向)に延び、車両前後方向の長さEで以って車両前後方向に延びて、管材を用いない横長型の消音器本体に構成されている。そして、前記消音器本体11の幅Aが前記車両前後方向の長さE及び高さDよりも大きい車幅方向に広い横長の形状に形成され、バンパー1内部の幅方向の空間スペースを排気ガスの消音容積に有効利用している。
図3(A)、(B)において、前記消音器本体11の両側面には取付けフランジ31が突設され、前記バンパー1の両側内面から突設されたフランジ32上に該取付けフランジ31を載置し、下方から(あるいは上方から)ボルト30で締め付けることにより、該消音器本体11を車体100に固定している。
図3のように、前記仕切部材14には、前記入口膨張室12と出口膨張室13とを連通する多数の小孔通路14bが穿孔されている。また前記仕切部材14の両側端部14a,14aと前記消音器本体11の内面との間には前記入口膨張室12と出口膨張室13とを連通する側部ガス通路18が形成されるとともに、該両側端部14aを出口膨張室13側に湾曲して排気ガスの流動抵抗を低減している。
従って、前記入口膨張室12内の排気ガスは、前記仕切部材14の小孔通路14b及び前記側部ガス通路18の双方を通って出口膨張室13に流出することとなる。
また、前記小孔通路14bの全通路面積即ち該小孔通路14bの径及び数は、該小孔通路14bの全通路面積と前記側部ガス通路18の全通路面積との割合が、消音効果が最大で且つ排気ガスの圧力損失が最小になるように、シミュレーション解析あるいは実験結果の基づき設定する。
15は排気口で、前記出口膨張室13から斜め後方(あるいは下方でもよい)に向けて開口され、従来技術のような管材を一切使用することなく、前記消音器本体11の前記出口膨張室13の後方下部を該消音器本体11と一体の絞り加工によって、排気ガス流の抵抗の少ない滑らかな接続部15aで以って加工成形されている。
前記排気口15は、図3のように、車幅方向においては前記消音器本体11のほぼ中心部に配置され、図2(B)のように車幅方向長さBがこれと直角方向の長さ(幅)Hよりも大きい直線部15cと曲線部15dとよりなる略矩形状あるいは略長円形状に形成されている。
また該排気口15は、図2(A)のように、その下端縁15fが前記バンパー1の後壁1bの下端縁1aよりもCだけ上方に且つ後端縁15eが前記バンパー1の下端縁1aよりもLだけ車両前方に位置せしめられて、前記バンパー1の内側に形成され、車両後方から該排気口15が見えないようにし、且つ該排気口15からの排気ガス流がバンパー1の下端縁1aに当たらないようにしている。
これにより、前記のように排気口1を車両後方から見えないように設けても、該排気口15から排出される排気ガス流がバンパー1の下端縁1aに当たって、流れの偏流が発生したり騒音の発生をみることはない。
また図3(A)のように、前記消音器本体11の側壁外面11zと前記バンパー1の側部内面1aとの間に、車体の側部内側を通った空気が通流する空気通路19を形成し、また図2(A)のように、前記消音器本体11の上壁外面11y及び後壁内面11wとバンパー1の内面との間に空気通路19a及び空気通路19cを形成し、さらに前記消音器本体11の下壁外面11xの下側にも空気通路19bを形成して、これらの空気通路19及び空気通路19a,19b,19cを通流する空気により前記排気消音器10を冷却するように構成されている。
即ち、このように構成したことにより、図3(A)のように、自動車の走行時に、車体の側部内側の通路つまり後車輪101の外側側面と車輪カバーとの間の通路104を通った空気が、消音器本体11の側壁外面とバンパー1の側部内面との間の空気通路19を通流するという、自動車の走行によるスクープ作用により排気消音器10を冷却することができ、該排気消音器10の冷却効果を向上できる。
かかる第1実施形態において、エンジンからの排気ガスはエンジン側排気管103から矢印のように流れて排気消音器10の入口膨張室12に導入され、該入口膨張室12で膨張することにより第1段の消音がなされる。この場合、前記エンジン側排気管103の通路面積Sに対して入口膨張室12の容積がきわめて大きいので、エンジン側排気管103からの排気ガスは入口膨張室12で急膨張することとなり、排気の脈動が一挙に低減される。
該入口膨張室12で第1次の膨張がなされた排気ガスは、図の矢印のように流れて、一方は前記側部ガス通路18を通って出口膨張室13に流入し、残りは前記仕切部材14に設けられた多数の小孔通路14bを通って出口膨張室13に流入する。
この場合、前記側部ガス通路18の通路面積と小孔通路14bの総通路面積との割合は、該小孔通路14bにおける圧力損失を一定値に抑えつつ所要の消音効果が得られるようにシミュレーション計算等によって設定する。
前記側部ガス通路18及び多数の小孔通路14bを通って出口膨張室13に流入した排気ガスは、該出口膨張室13で体積膨張することによってさらに排気脈動を緩和され、図の矢印のように流れて排気口15から大気中に排出される。
従って、かかる実施形態によれば、容積形の入口膨張室12で体積膨張して第1段の消音がなされ、次いで入口膨張室12と出口膨張室13との間を連通する側部ガス通路18あるいは仕切部材14に多数穿孔された小孔通路14bで形成されたガス通路を通りながら該ガス通路の通路抵抗によって第2段の消音がなされ、さらに容積形の出口膨張室14で体積膨張して第3段の消音がなされる、という2段階の体積膨張の間に1段階の通路抵抗を挟んだ順序での3段階の消音がなされるので、排気ガスを完全に消音して、幅広の排気口15から大気中に放出できる。
また、エンジン側排気管103に大きな容積の入口膨張室12を接続したので排気抵抗が小さく、従って消音によるエンジン側の背圧上昇が小さくなって、消音によるエンジン出力低下を低減することが可能となる。
またかかる実施形態によれば、バンパー1の内側に車幅方向に延びる横長型の排気消音器10を設置したので、従来空間が多かったバンパー1の内側のスペースを有効に利用して排気消音器10の容積を拡大できることとなって、エンジン側の背圧上昇を伴うことなく、排気ガスの消音効果をさらに向上することが可能となる。
また、排気消音器10を横長型の排気消音器に構成したので、バンパー1の内側の車幅方向空間を実質的に埋めるように設置できて、車両の衝突時に該横長型の排気消音器10がバンパー1と同様な緩衝機能を果たすことができ、バンパー1と横長型の排気消音器10との共働によって衝突時の衝撃緩和機能が向上する。
さらには、車幅方向に延びる横長型の排気消音器10全体を、管材を用いない薄板構造に形成したので、薄板の曲げ加工及び絞り加工を織り交ぜて排気消音器10を製作できて、従来のもののような、排気口等に管材を用いた排気消音器に比べて溶接部分が少なくなって、構造が簡単になるとともに加工が簡単になって加工工数が少なくなり、排気消音器10の製作コストを低減できる。
またかかる実施形態によれば、大気への排気口15を、車幅方向長さBがこれと直角方向長さHよりも大きい略矩形状あるいは略長円形状に形成して、下方あるいは斜め下方に向けて開口し、開口端がバンパー1の内側になるように位置せしめているので、自動車の後方から見たいわゆるバックビューにおいて、前記排気口15はバンパー1の下縁1a内に隠されて該排気口15がバンパー1の下縁1aから下方に張り出すことがなく、また仮に斜め下方から見た場合に前記排気口15が若干目視されたとしても、該排気口15は略矩形状あるいは略長円形状に形成されて下縁及び上縁がバンパー1の下縁1aとほぼ平行で、一見したとき排気口15には見えない形状をしているので、従来技術のような、円形の排気口をバンパー外部に露出させて大気中に開口したものに比べて、バックビューにおける美観が大きく向上する。
さらには、前記排気口15を略矩形状あるいは略長円形状に形成することにより、大気への排気口15の通路面積が大きくなっても、前記のように、2段階の体積膨張と1段階の通路抵抗とを組み合わせた3段階の消音がなされて、完全に消音された排気ガスを、該排気口15を通して大気へ排出するので、低騒音を維持できる。
第2実施形態
図4は本発明の第2実施形態における排気消音器を示す図3対応図である。
この第2実施形態においては、前記出口膨張室13に接続される排気口15を車幅方向に2個並設している。前記2個の排気口15は同一形状で、車幅方向長さB1は、消音効果を考慮して設定する。尚、該排気口15は、消音効果を考慮して3個以上設けることも可能である。
その他の構成及び作用効果は前記第1実施形態と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示す。
第3実施形態
図5は本発明の第3実施形態における排気消音器の構造を示す図2のA−A線断面図である。
この第3実施形態においては、前記第1実施形態に加えて、高温側の入口膨張室12内に酸化触媒あるいは還元触媒のいずれか一方を装填している。40は該酸化触媒あるいは還元触媒の触媒層である。
尚、前記酸化触媒あるいは還元触媒の触媒層40は、入口膨張室12あるいは出口膨張室13の双方に設けてもよく、または出口膨張室13のみに設けてもよい。
かかる第3実施形態によれば、大容積の入口膨張室12あるいは出口膨張室13のいずれか一方または双方に、酸化触媒あるいは還元触媒のいずれか一方を装填した触媒層40を形成できるので、簡単な構造で大容積の触媒装填式消音器を構成でき、酸化触媒あるいは還元触媒の触媒作用を活発化できて、排気ガスの浄化効果を向上できる。
その他の構成及び作用効果は前記第1実施形態と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示す。
本発明によれば、排気消音器としての排気の消音機能を十分にそなえ且つ排気抵抗が小さく、構造が簡単で部品点数及び加工、組立工数が低減されて低コストとなる排気消音器を提供できるとともに、十分な排気消音機能を保持した上で、排気消音器の排気口を格別な加工、組立工数を要することなくスマートな形状にするとともに、バンパー外部から見えないような構造として車の美観を向上せしめた自動車のバンパー内蔵排気装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係るバンパー内蔵排気装置を備えた自動車の一部断面を含む後部側面図である。 (A)は前記第1、第2、第3実施形態における排気消音器の車両前後方向断面図(図1のB−B線断面図及び図4のC−C線断面図及び図5のD−D線断面図(触媒を省略した図))、(B)は(A)におけるZ矢視図である。 (A)は前記第1実施形態における図1のA−A線断面図、(B)は(A)におけるE−E線断面図である。 本発明の第2実施形態における排気消音器を示す図3対応図である。 本発明の第3実施形態における排気消音器を示す図3対応図である。
符号の説明
1 バンパー
10 排気消音器
11 消音器本体
12 入口膨張室
13 出口膨張室
14 仕切部材
14b 小孔通路
15 排気口
18 側部ガス通路
19 空気通路
40 触媒層
100 車体
103 エンジン側排気管

Claims (6)

  1. バンパーの内側に排気消音器を含む排気装置を配設してなる自動車において、前記排気消音器は、前記バンパーの内側に設けられ車幅方向に延びて管材を用いない横長型排気消音器に構成されるとともに、清音器本体内にエンジン側排気管に接続される容積形の入口膨張室と排ガスの大気への排気口が1個または複数個形成された容積形の出口膨張室とが車幅方向に延びる仕切部材により仕切って設けられてなり、さらに該仕切部材の上流側に位置する膨張室と該仕切部材の下流側に位置する膨張室との間を連通するガス通路が形成され、前記大気への排気口は車幅方向長さがこれと直角方向長さよりも大きい略矩形状あるいは略長円形状のいずれかに形成されて、下方あるいは斜め下方のいずれかに向けて開口されるとともに、開口端が前記バンパーの内側に位置せしめられてなることを特徴とする自動車のバンパー内蔵排気装置。
  2. 前記排気口は、前記消音器本体と一体の絞り加工により加工成形されてなることを特徴とする請求項1記載の自動車のバンパー内蔵排気装置。
  3. 前記排気口は、その端部が前記バンパーの下端部よりも車体前方でかつバンパーの下端部よりも上方に位置して設けられたことを特徴とする請求項1記載の自動車のバンパー内蔵排気装置。
  4. 前記仕切部材は前記消音器本体内に車幅方向に延びて設けられ、前記ガス通路は、該仕切部材の両側端部と前記消音器本体の内壁面との間に形成される側部ガス通路、あるいは前記仕切部材に複数穿孔された小孔通路の何れか一方または双方によって構成されてなることを特徴とする請求項1記載の自動車のバンパー内蔵排気装置。
  5. 前記消音器本体の側壁外面と前記バンパーの側部内面との間に、車体の側部内側を通った空気が通流する空気通路を形成し、該空気通路を通流する空気により前記排気消音器を冷却するように構成したことを特徴とする請求項1記載の自動車のバンパー内蔵排気装置。
  6. 前記入口膨張室あるいは出口膨張室のいずれか一方または双方に、酸化触媒あるいは還元触媒のいずれか一方を装填してなることを特徴とする請求項1記載の自動車のバンパー内蔵排気装置。
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