JP2007170570A - 冷媒流路用配管継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温高圧のCO冷媒を信頼度高く気密シールでき、継手構造が単純な上接合作業性が容易で、かつ安価に大量生産が可能であるとともに、メンテナンス時の交換部品が少ない冷媒流路用配管継手の提供。
【解決手段】冷媒流路の雌側接合面2aが凹部2b底面に形成された雌側継手2と、冷媒流路の雄側接合面1aが凸部1b頂面に形成された雄側継手1と、前記雌側接合面2aと前記雄側接合面1aとの間に介在して前記両接合面2a,1aをシールするメタルガスケット3と、前記雌側継手2の凹部2b内壁に嵌入されたスリーブ4と、前記雄側継手1と雌側継手2とを機械的に接合する接合部材を備えるとともに、前記メタルガスケット3の少なくとも片面に円環状の膨出部が形成されてなる冷媒流路用配管継手。
【選択図】図2

Description

本発明は、冷媒流路用配管継手に関し、特に、自動車用エアコンディショナー(以下、エアコンと略称)等の冷媒回路の接続に用いられる配管継手に関する。
近年、自動車用エアコンの冷媒として、オゾン層の破壊物質であるフロン12に代替してHFC134aが多く用いられている。しかし、このHFC134aは、オゾン破壊係数は零であるが、地球温暖化係数が高く温暖化促進の原因となりつつある。このため、HFC134a代替物質として、温暖化係数の小さい、自然系冷媒であるCO(二酸化炭素)冷媒を使用することが推奨されつつある。
このCO冷媒は、上記温暖化係数が小さい外、不燃性であり、低温での冷媒密度が高く暖房効果が大きい、また、工場で排出されるCOを再利用できるため冷媒を製造するプラントが不要である等の特長を有する。
ところが、このようなCO冷媒を使用する場合、冷媒回路配管の流体温度がHFC134a冷媒の120〜140℃に対し140〜180℃に達するとともに、内部圧力もHFC134a冷媒の1.7〜1.8MPaに対し13〜15MPaに達する。更に、前記CO冷媒は、超臨界状態で使用されることから、このような高圧下においても液化せず気体のまま存在し、ゴムや樹脂等のシール材を透過し易いという難点を有している。
このため、従来のようなゴム製Oリングをシール材として用いる冷媒流路用配管継手では、このような高温高圧仕様やガス透過には耐えられない。そのため、メタルタッチのシール材を用いた配管継手の利用が考えられる。
このような目的に用いられる従来の配管継手について、以下図4および図5を参照しながら説明する。図4は、このような従来の配管継手の代表例として、VCR(CAJON社の商標)継手と称されて広く市販されている配管継手を示す断面図、図5は、従来例に係る冷凍サイクル用配管継手の断面を示す断面図である。
先ず、図4に示したVCR継手について説明する。この配管継手は、第1の継手管体11と第2の継手管体12の一端面11a,12aが、ガスケット13の両側面に突き当てられている。そして、第1と第2の継手管体11,12の他端には、第1のパイプ15と第2のパイプ16が夫々溶接部17を介して接合されている。
また、第1と第2の継手管体11,12には、夫々袋ナット部材18、雄ネジ部材19が回転自在に嵌合されており、かつ、袋ナット部材18は、第1の継手管体11の端部外周に形成された顎部11bと係合して、この第1の継手管体11からの抜き取りが阻止される構造となっている。同様に、前記雄ネジ部材19は、第2の継手管体12の端部外周に形成された顎部12bと係合して、この第2の継手管体12からの抜き取りが阻止される構成となっている。
従って、前記従来例に係る配管継手では、ガスケット13の両側面に第1と第2の継手管体11,12の端面11a,12aを突き当てた上、袋ナット部材18と雄ネジ部材19を互いにネジ込むように回すことにより、この第1と第2の継手管体11,12の端面11a,12aがガスケット13の両側面に圧接し、それによりこのガスケット13を介して、第1と第2の継手管体11,12が気密または水密に結合できる構成とされている。
ところが、このような従来例に係る配管継手により一旦配管を接合すると、メンテナンス等の必要性により配管の接合を解体した際には、前記メタルガスケット13はもとより、シール面を構成する他の部品、即ち、前記第1と第2の継手管体11,12もメタル接触面が潰滅しているため交換する必要がある。また、部品形状が複雑なため製作コストも高くなるという問題点もある。
そこで、次に示す従来例に係る冷凍サイクル用配管継手が提案されている。この従来例に係る冷凍サイクル用配管継手は、図5に示したように、(a)はこの冷凍サイクル用配管継手の接続状態を示す断面図であり、(b)は(a)中のA部拡大図である。
本従来例に係る冷凍サイクル用配管継手は、冷凍サイクルの冷媒流路を接続する雄側継手28と雌側継手29を有するものであり、前記雄側継手28には円形状に形成された嵌合凸部81に嵌められた受圧部材としてのバックアップリング30と、このバックアップリング30よりも先端側の隣に嵌められたシール部材としてのOリング31とを有している。
同時に、前記雌側継手29には前記嵌合凸部81、前記バックアップリング30、および前記Oリング31を嵌入する円筒状の嵌合凹部91を有しており、この嵌合凹部91内に前記嵌合凸部81部分を嵌め合わせて前記冷媒流路を接続するとともに、冷媒が外部へ漏れるのを防止する冷凍サイクル用配管継手に関するものである。
そして、この冷凍サイクル用配管継手は、前記嵌合凸部81の前記バックアップリング30装着部より先端側を、前記バックアップリング30の内径以下の径にするとともに、前記バックアップリング30に円周方向に切れ目のないエンドレスタイプのバックアップリング30を用いたものである(特許文献1参照)。
特開2005−42815号公報
ところが、このような構成とした上記従来例に係る冷凍サイクル用配管継手では、Oリング31としてゴム材料、バックアップリング30としてナイロン樹脂等を用いるため、臨界状態にある140〜180℃の温度と13〜15MPaの内部圧力に達するCO冷媒の透過を完全に阻止するだけの信頼性はない。
従って、本発明の目的は、高温高圧のCO冷媒を信頼度高く気密シールでき、継手構造が単純な上接合作業性が容易で、かつ安価に大量生産が可能であるとともに、メンテナンス時の交換部品が少ない冷媒流路用配管継手を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る冷媒流路用配管継手が採用した手段は、冷媒が通過する冷媒流路を接合する配管継手において、前記冷媒流路の雌側接合面が凹部底面に形成された雌側継手と、前記冷媒流路の雄側接合面が、前記雌側継手の凹部に嵌合されるよう凸部頂面に形成された雄側継手とを備えている。
同時に、前記雌側継手に形成された雌側接合面と前記雄側継手に形成された雄側接合面との間に介在して前記両接合面をシールするメタルガスケットと、前記雌側継手の凹部内壁に嵌入され前記メタルガスケットの脱落を防止するスリーブと、前記雄側継手と雌側継手とを機械的に接合する接合部材を備えるとともに、前記メタルガスケットの少なくとも片面に円環状の膨出部が形成されてなることを特徴とするものである。
本発明の請求項2に係る冷媒流路用配管継手が採用した手段は、請求項1項記載の冷媒流路用配管継手において、前記メタルガスケットが、厚さ0.15〜0.3mmのSUS301H(ばね用ステンレス鋼)の基材と、この基材の少なくとも前記膨出部が形成された片面に、厚さ20〜50μmのフッ素ゴムもしくはニトリルゴムを被覆された被膜とから構成されてなることを特徴とするものである。
本発明の請求項3に係る冷媒流路用配管継手が採用した手段は、請求項1または2に記載の冷媒流路用配管継手において、前記メタルガスケットの膨出部高さが、前記ガスケット面から0.05〜0.2mmの範囲であることを特徴とするものである。
本発明の請求項4に係る冷媒流路用配管継手が採用した手段は、請求項1乃至3の何れか一つの項に記載の冷媒流路用配管継手において、前記スリーブが、嵌入されている雌側継手の凹部内壁からの取り外しを容易にするための切欠を設けられたことを特徴とするものである。
本発明の請求項5に係る冷媒流路用配管継手が採用した手段は、請求項1乃至4の何れか一つの項に記載の冷媒流路用配管継手において、前記冷媒がCOであることを特徴とするものである。
本発明の請求項6に係る冷媒流路用配管継手が採用した手段は、請求項1乃至5の何れか一つの項に記載の冷媒流路用配管継手において、前記雌側継手または/および雄側継手が、前記冷媒流路に介装された機器と一体化されてなることを特徴とするものである。
本発明の請求項1に係る冷媒流路用配管継手は、冷媒流路の雌側接合面が凹部底面に形成された雌側継手と、前記冷媒流路の雄側接合面が凸部頂面に形成された雄側継手と、前記雌側接合面と前記雄側接合面との間に介在して前記両接合面をシールするメタルガスケットと、前記雌側継手の凹部内壁に嵌入されたスリーブと、前記雄側継手と雌側継手とを機械的に接合する接合部材の単純形状部材からなるので、低価格で大量生産が可能である。そのため、カーエアコン用冷媒配管継手として好適である。
また、前記メタルガスケットの少なくとも片面に円環状の膨出部が形成され、この膨出部の圧縮復元力により、対応する前記雌側および雄側接合面とで形成されるシール面の密着性を向上させるため、CO等高温高圧の冷媒ガスの気密シールを可能となる。
更に、本発明の請求項2に係る冷媒流路用配管継手は、前記メタルガスケットが、厚さ0.15〜0.3mmのSUS301H(ばね用ステンレス鋼)の基材と、この基材の少なくとも前記膨出部が形成された片面に、厚さ20〜50μmのフッ素ゴムもしくはニトリルゴムを被覆された被膜とから構成されてなるので、前記円環状の膨出部と相いまって、相手金属面を潰滅させることがない。そのため、メンテナンス時は、このメタルガスケットのみ交換すれば良い。
また更に、本発明の請求項3に係る冷媒流路用配管継手は、前記メタルガスケットの膨出部高さが、前記ガスケット面から0.05〜0.2mmの範囲であるため、接合部材により接合面に接圧力を付与した際、前記膨出部の圧縮復元力により密着性が向上する。
本発明の請求項4に係る冷媒流路用配管継手は、取り外し用の切欠を設けたので、前記スリーブが嵌入されている雌側継手の凹部内壁からの取り外しが容易になった。
本発明の請求項5に係る冷媒流路用配管継手は、前記冷媒がCOであるので、加圧しても液化せず透過し易い性質を有するが、このような冷媒に対して特に有効にシール性を発揮する。
そして、本発明の請求項6に係る冷媒流路用配管継手は、前記雌側継手または/および雄側継手が、前記冷媒流路に介装された機器と一体化されてなるので、接合する雄側または/および雌側の継手が不要となり、軽量化とコスト低減を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面1乃至3を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る典型的な実施形態であり、自動車用エアコンに用いられるCO冷媒回路用配管継手の接合断面を示す接合断面図である。図2は、前記配管継手の接合前単体部品を接合する手順を示した接合手順図である。そして、図3は図2のX部詳細を断面で示す詳細断面図である。
図1および図2において、本発明に係る配管継手は、雄側継手1、雌側継手2、メタルガスケット3、スリーブ4および図示しない接合部材を備えてなる。前記雄側継手1の内部には冷媒流路5aが形成され、この冷媒流路5aの雄側接合面1aが、後述する雌側継手2の凹部2bに嵌合されるよう凸部1bを設け、その凸部1b頂面に形成されている。
また、前記雌側継手2の内部にも冷媒流路5bが形成され、この冷媒流路5bの雌側接合面2aが、前記雄側継手1の前記凸部1bが嵌合される凹部2b底面に形成されている。更に、前記雄側継手1の凸部1bに形成された雄側接合面1aと、雌側継手2の凹部2bに形成された雌側接合面2aとを、後述する接合部材によって接合することにより、前記雌側継手2の凹部2bに嵌入されたメタルガスケット3を介して気密にシールされてなる。
これら雄側継手1や雌側継手2は、アルミニウム製とするのが軽量で錆び難く、加工し易い点から好ましい。そして、雄側継手1の前記凸部1bと雌側継手2の前記凹部2bとによって嵌合される嵌合深さdは、3mm以上であるのが好ましい。この嵌合深さdが3mm未満であると、冷媒により内圧が負荷されたときに、両接合面1a,2aの面圧に偏りが出易くなり、シール性にバラツキが出るためである。
また、前記雄側継手1と雌側継手2とを接合して組み立てる際、このメタルガスケット3を雌側継手2の雌側接合面2aに装着した後、この雌側接合面2aから脱落するのを防止するため、前記雌側継手2の凹部2b内壁にスリーブ4を嵌入するのが好ましい。
そして、接合部材としては、例えば、前記雄側継手1に形成されたボルト孔6aと雌側継手2に形成された雌ネジ6bとを、図示しないボルト等によって機械的に締結する構成が最も一般的である。このような接合部材によって、前記両継手1,2に形成された雄側接合面1aおよび雌側接合面2aが接合され、メタルガスケット3を介して気密シールされる構成をなしている。
前記雄側および雌側継手1,2を接合する前記構成において、雄側継手1に雌ネジを形成し、雌側継手2にボルト孔を形成して、雌側継手2側のボルト孔からボルト5を差し込んで両継手1,2を接合することも可能である。
そして更に、前記メタルガスケット3の少なくとも片面には、図3に示すように、円環状の膨出部3aが形成されている。前記接合部材によって、雄側継手1と雌側継手2とを接合する接圧力を付与される際、前記膨出部3aが圧縮されるが、この膨出部3aの圧縮復元力によって、雄側継手1の雄側接合面1aと雌側継手2の雌側接合面2aの前記メタルガスケット3への密着性が向上し、高圧冷媒の漏洩を防止するのである。
このような膨出部3aは、プレス装置を利用して、ガスケット素材の背面から円環部分のみに圧力を付加して膨出部を成型するバルジ加工等によって形成することができる。
また、前記メタルガスケット3の基材は、厚さが0.15〜0.3mmのSUS301H(ばね用ステンレス鋼)からなるのが好ましい。前記ガスケット3の基材厚さが0.15mm未満であると薄すぎて、継手接合時に付加されるボルト接圧力によって前記膨出部3aが潰滅してしまい、前記ガスケット3の基材厚さが0.3mmを越えると、ガスケット自体に弾力性がなくなり、接合部材による接圧力では十分な接合が出来ず、何れも接合面のシール性を確保できないからである。
更に、このメタルガスケット3基材の少なくとも前記膨出部3aが形成された片面に、フッ素ゴムもしくはニトリルゴムを厚さ20〜50μmの範囲に被覆して被膜を形成させたものが好ましい。前記被膜厚さが20μm未満であると薄すぎて、継手接合時に付加される接圧力によって前記被膜が潰滅してしまい、逆に、前記被膜厚さが50μmを越えると、高圧の冷媒ガスがこの被膜を透過して漏れを生じるからである。
また更に、前記メタルガスケット3に形成された円環状膨出部3aの高さhが、前記ガスケット面から0.05〜0.2mmの高さであるのが好ましい。前記膨出部3a高さhが0.05mm未満であると、継手接合時に付加される接圧力によって前記膨出部3aが潰滅してしまい、前記膨出部3a高さhが0.2mmを越えると、ガスケット自体に弾力性がなくなり、接合部材による接圧力では十分な接合が出来ず、何れも接合面1a,2aのシール性を確保できないからである。
前記円環状膨出部3aは、図3に示したように、メタルガスケット3の片面に形成されるのでも良いが、両面に形成されても良い。また、前記膨出部3aがメタルガスケット3の片面に形成されている場合、図1乃至3では、前記膨出部3aを雄側継手1方向に向けて装着した図で示したが、逆に、前記膨出部3aを雌側継手2方向に向けて装着しても良い。
一方、スリーブ4は、雄側継手1の凸部1bを雌側継手2凹部2bに挿入する際のガイドの役目を果たし、前記両継手1,2に形成された冷媒流路5a,5bをセンタリングして接合させるためのものである。このスリーブ4は、その内径をメタルガスケット3の外径よりも小さくすることにより、前記両継手1,2を接合する作業時にメタルガスケット3が脱落するのを防止することが出来る。
また、このスリーブ4は、ナイロン、ポリアセタール、ポリエステル等耐熱性のある樹脂、あるいはこれらの樹脂に無機フィラーをコンパウンドして更に耐熱性を向上させた材料からなり、円周上の一部を切断された不連続なものが好ましい。
このように円周上の一部を切断されることによって、この切断部が開いた状態となり、前記雌側継手2の凹部2bに嵌入したとき、スプリング効果により前記凹部2b内壁に密着し、スリーブ4自体の前記凹部2b内壁からの脱落を防止できるからである。
そしてまた、前記スリーブ4には切欠4aが設けられているのが好ましい。この切欠によって、嵌入されている雌側継手2の凹部2b内壁からの取り外しが容易となるからである。
次に、この冷媒用継手の接合手順について、図2を用いて以下説明する。先ず、図2(d)に示す雄側継手1に冷媒配管であるアルミチューブ等の金属パイプ7aを、図2(a)に示す雌側継手2にもアルミチューブ等の金属パイプ7bを夫々溶接等により接合する。この配管継手の実際の使用に当たっては、前記金属パイプ7a,7bの先端に、更に図示しない金属性フレキシブルホース等を接続して用いることもある。
そして、前記雌側継手2の凹部2bに形成された接合面2aにメタルガスケット3を装着し(図2(b))、更に、その上からスリーブを嵌入する(図2(c))。次に、前記雄継手1の凸部1bを、前記雌継手2の凹部2bに嵌入されたスリーブ4内面に沿って嵌合する(図2(d))。
最後に、図示しないボルトを、座金を介して雄側継手1のボルト孔6aに差し込んで、雌側継手2に形成された雌ネジ6bとでボルト締結して、前記雄側継手1の雄側接合面1aと前記雌側継手2の雌側接合面2aとが、メタルガスケット3を介して気密に接合される。
このような構成になる冷媒流路用配管継手は、特に、前記冷媒がCOであるのが好ましい。本発明に係るこのような冷媒流路用配管継手は、COのような高温かつ高圧のエアコン用冷媒に対しても、接合面におけるシール性が良好であるためである。
以上の説明においては、本発明に係る冷媒流路用配管継手は、冷媒流路の雌側接合面が凹部底面に形成された雌側継手と、前記冷媒流路の雄側接合面が凸部頂面に形成された雄側継手の2個の主要単体部品を中心に、その他複数の付属部品を介在させつつ構成された配管継手として示したが、前記雌側継手や雄側継手は必ずしも単体で独立に存在する必要はない。
即ち、前記雌側継手または雄側継手が、前記冷媒流路に介装された機器と一体化されて構成されたり、あるいは、前記雌側継手および雄側継手の何れもが、前記冷媒流路に介装された機器と一体化されて構成されたものであっても良い。
以上、本発明に係る冷媒流路用配管継手は、冷媒流路の雌側接合面が凹部底面に形成された雌側継手と、前記冷媒流路の雄側接合面が凸部頂面に形成された雄側継手と、前記雌側接合面と前記雄側接合面との間に介在して前記両接合面をシールするメタルガスケットと、前記雌側継手の凹部内壁に嵌入されたスリーブと、前記雄側継手と雌側継手とを機械的に接合する接合部材の単純形状部材からなるので、低価格で接合作業性に優れている。そのため、カーエアコン用冷媒配管継手として好適である。
また、前記メタルガスケットの少なくとも片面に円環状の膨出部が形成され、この膨出部の圧縮復元力により、対応する前記雌側および雄側接合面とで形成されるシール面の密着性を向上させるため、高温高圧ガスの気密シールを信頼性高く可能とする。
更に、本発明に係る冷媒流路用配管継手は、前記メタルガスケットが、厚さ0.15〜0.3mmのSUS301H(ばね用ステンレス鋼)の基材と、この基材の少なくとも前記膨出部が形成された片面に、厚さ20〜50μmのフッ素ゴムもしくはニトリルゴムを被膜した被膜材とからなるので、前記円環状の膨出部と合いまって、相手金属面を潰滅させることがない。そのため、メンテナンス時は、このメタルガスケットのみ交換すれば良いのである。
<実施例>
次に、本発明の実施の形態により説明したメタルガスケットを用いた冷媒流路用配管継手を実施例とし、市販されている2種類のゴム製Oリングを用いた継手を比較例として、同一の試験条件において比較試験した結果について以下に述べる。
(1)供試シール材
A.メタルガスケット(実施例)
・基材:SUS301H,厚さ0.2mm
膨出部高さ0.25mm
・被膜:フッ素ゴム、厚さ25μm(両面被覆)
B.Oリング(比較例)
・水素化ニトリルゴム製Oリング、サイズP8(比較例−1)
・クロロスルホン化ポリエチレン製Oリング、サイズP8(比較例−2)
C.供試サンプル数
上記実施例および比較例の試験は、何れもN数3として実施した。
(2)試験項目および試験条件
A.気密試験
COガスにより15MPa加圧した状態で5分間保持し、その間の圧力低下を
確認する。
B.耐圧試験
COガスにより22.5MPa加圧した状態で5分間保持し、その間の圧力低
下を確認する。
C.ガス透過試験
150℃に加熱すると圧力15MPaになるCOガス量(36g)を、供試シ
ール材と連結したキャニスター(容器)に封入し、温度150℃の恒温槽に504
時間放置した後に取り出し、その間の減重量を測定する。
D.老化後気密試験
供試シール材を、150℃の恒温槽に504時間放置した後に取り出し、前記A
項の気密試験を実施する。
E.発泡試験
・封入条件:150℃に加熱すると圧力15MPaになるCOガス量が85%、
冷凍機油が15%となる封入比率で浸漬液を作成し、供試シール材と
連結したキャニスター(容器)に封入する。
・試験方法:前記キャニスターを120℃に保温して供試シール材を前記浸漬液に
24時間浸漬後、冷媒を放出。その後、温度150℃で1時間放置し
て、4〜24時間以内に外観および円周上任意の10箇所を切断して
断面観察する。
前記供試シール材を用い、上記5項目の試験を実施した結果について、以下表1を参照しながら説明する。
先ず、気密試験および耐圧試験については、実施例−1および比較例−1,2とも問題なかった。しかしながら、ガス透過試験においては、実施例−1ではガスの透過が全く認められなかったのに対し、比較例−1,2ではあるバラツキをもってガス透過性が認められた。
また、老化後の気密性については、実施例−1の気密性は確保されたが、比較例−1,2では何れのOリングも漏れが認められた。更に、発泡試験では、実施例−1は問題なかったが、比較例−1,2では何れも複数個の気泡発生が認められるとともに、比較例−2では膨張や亀裂の発生が観察された。
Figure 2007170570
本発明の実施形態に係り、自動車用エアコンに用いられるCO冷媒回路用配管継手の接合断面を示す接合断面図である。 本発明の実施形態に係る前記配管継手の接合前単体部品を接合する手順を示した接合手順図である。 図2のX部詳細を断面で示す詳細断面図である。 従来例の実施形態に係る配管継手の断面図である。 他の従来例の実施形態に係る配管継手の断面図である。
符号の説明
1:雄側継手,1a:雄側接合面,1b:凸部,
2:雌側継手,2a:雌側接合面,2b:凹部,
3:メタルガスケット,3a:膨出部,
4:スリーブ,4a:切欠,
5a,5b:冷媒流路,
6a:ボルト孔,6b:雌ネジ,
7a,7b:金属パイプ

Claims (6)

  1. 冷媒が通過する冷媒流路を接合する配管継手において、前記冷媒流路の雌側接合面が凹部底面に形成された雌側継手と、前記冷媒流路の雄側接合面が、前記雌側継手の凹部に嵌合されるよう凸部頂面に形成された雄側継手と、前記雌側継手に形成された雌側接合面と前記雄側継手に形成された雄側接合面との間に介在して前記両接合面をシールするメタルガスケットと、前記雌側継手の凹部内壁に嵌入され前記メタルガスケットの脱落を防止するスリーブと、前記雄側継手と雌側継手とを機械的に接合する接合部材を備えるとともに、前記メタルガスケットの少なくとも片面に円環状の膨出部が形成されてなることを特徴とする冷媒流路用配管継手。
  2. 前記メタルガスケットが、厚さ0.15〜0.3mmのSUS301H(ばね用ステンレス鋼)の基材と、この基材の少なくとも前記膨出部が形成された片面に、厚さ20〜50μmのフッ素ゴムもしくはニトリルゴムを被覆された被膜とから構成されてなることを特徴とする請求項1に記載の冷媒流路用配管継手。
  3. 前記メタルガスケットの膨出部高さが、前記ガスケット面から0.05〜0.2mmの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の冷媒流路用配管継手。
  4. 前記スリーブが、嵌入されている雌側継手の凹部内壁からの取り外しを容易にするための切欠を設けられたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つの項に記載の冷媒流路用配管継手。
  5. 前記冷媒が超臨界状態のCOであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つの項に記載の冷媒流路用配管継手。
  6. 前記雌側継手または/および雄側継手が、前記冷媒流路に介装された機器と一体化されてなることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つの項に記載の冷媒流路用配管継手。
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