JP2007168576A - 動力伝達装置における回転軸の組付構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1動力伝達軸9aと第2動力伝達軸9bとの結合位置よりも第2動力伝達軸9bの差込方向手前側の位置に、後輪用差動機構3のハウジング21から突出するガイド部130とトランスファ機構のハウジングから突出するガイド部とによって形成されたガイド孔を設けることにより、奥まった位置にあり第1動力伝達軸9aを目視しにくい状態であっても、差込方向手前側にあり比較的に目視しやすいガイド孔(凹部131)に第2動力伝達軸9bを差し込んで、ガイド孔をガイドとして用いて第2動力伝達軸9bを第1動力伝達軸9aに差し込むことができる。これにより第2動力伝達軸9bの第1動力伝達軸9aへの組み付け性を向上させることができる。
【選択図】図4
Description
このような動力伝達装置として、たとえば特許文献1に記載されたものがある。
以下、この動力伝達装置の構成について説明する。
図8に、エンジンから駆動輪までの動力伝達経路を示す。
なお、図8中の上側方向が車両の前方方向となっている。
また以降の説明において、車両の前方方向を基準として前後および左右の方向を表すこととする。
エンジン1が、車両の後輪6、8の軸よりも前側に横置き配置されており、エンジン1の車幅方向の左側にトルクコンバータ2aを有する自動変速機2Aが配置されている。
なお、トルクコンバータ2aに変えて発進クラッチを用いることもできる。
自動変速機2Aの後側には後輪用差動機構3Aが配置され、後輪用差動機構3Aは車輪軸7a、7bを介して車両の左側の後輪8、および車輪軸5a、5bを介して車両の右側の後輪6にそれぞれ連結されている。
よって、エンジン1の動力は自動変速機2Aから後輪用差動機構3Aに入力された後、車輪軸7a、7b、5a、5bを介して左右の後輪8、6に伝達される。
なお、第1動力伝達軸9aはトランスファ機構4Aの内部に組み込まれており、第2動力伝達軸9bは第1動力伝達軸9aに差し込まれて連結されている。
なお、略円筒形状に形成された第1動力伝達軸9aの内側部分と第2動力伝達軸9bの外周部分にはそれぞれスプライン溝が設けられ、第1動力伝達軸9aと第2動力伝達軸9bとはスプライン結合している。
自動変速機2Aから後輪用差動機構3Aに入力されたエンジン1の動力の一部は、このトランスファ機構4Aを介して第1動力伝達軸9a、第2動力伝達軸9bに分配される。
よって、トランスファ機構4Aにより分配された動力は、プロペラシャフト10a、10bを介して前輪用差動機構12に入力された後、車輪軸15、13を介して左右の前輪16、14に伝達される。
後輪用差動機構3Aは、内部にディファレンシャル装置20を備え、ディファレンシャル装置20のデフケース22内に配置された一対のサイドギア24に、車輪軸5a、7aが差し込まれている。
トランスファ機構4Aは、車輪軸5aの外周に筒状の駆動スリーブ41が外嵌され、駆動スリーブ41の右側外周部にはフランジ部41aが設けられている。このフランジ部41aに、ベベルギア42が取り付けられている。
トランスファ機構4A内において、車輪軸5aから車両の後方側位置に、ベベルギア56が設けられた回転軸54が配置され、回転軸54のベベルギア56と駆動スリーブ41に取り付けられたベベルギア42とが噛み合っている。
これにより後輪用差動機構3Aから出力された回転力の方向(車輪軸5aの軸方向)が、車両の前後方向の向きに変換される。
第1動力伝達軸9aに第2動力伝達軸9bが差し込まれ、後輪用差動機構3Aから出力された回転力が、駆動スリーブ41、回転軸54、中間軸、および第1動力伝達軸9aを介して第2動力伝達軸9bに伝達される。
ここで第1、第2動力伝達軸9a、9bは車輪軸5aよりも車両の下方側にずれた位置であり、かつ後輪用差動機構3Aの筐体の下端位置よりも上方の位置に配置されている。
これにより、エンジン1や自動変速機2Aに第2動力伝達軸9bが干渉してしまうことを防止しながら、十分な最低地上高を確保している。
したがって、図10に示すように、図中の右側から第2動力伝達軸9bをトランスファ機構4Aに組み込まれた第1動力伝達軸9aに差し込む場合に、第1動力伝達軸9aの差込位置近傍に後輪用差動機構3Aのハウジング21Aや、自動変速機2Aのコンバータハウジング81Aが近接しているため、直接第1動力伝達軸9aへの差込位置を目視しずらく、第2動力伝達軸9bの組み付け性が悪いといった問題がある。
また、第1動力伝達軸9aと第2動力伝達軸9bとの結合位置が車両の低い位置となるため、飛び石などを巻き込んでしまい、後輪用差動機構3Aやトランスファ機構4Aなどを損傷する可能性がある。
また、ガイド通路によって回転軸を囲むことにより、飛び石などが回転軸と他の部材との間に挟まり込むことがなくなり、回転軸などの破損を防止することができる。
本発明における動力伝達装置を車両に適用した場合の全体構成は、図8を用いて説明した従来の構成と同様であり説明を省略する。
なお本実施例は、従来の自動変速機2A、後輪用差動機構3A、トランスファ機構4Aに替えて構成の異なる自動変速機2、後輪用差動機構3、トランスファ機構4を用いたものである。
次に、後輪用差動機構3およびトランスファ機構4の詳細について説明する。
図1は、後輪用差動機構3およびトランスファ機構4を示す平断面図である。
なお、図1中の上方向が車両の前方方向となっている。
ディファレンシャル装置20のデフケース22が、左右一対のベアリング23によりハウジング21に対して回転自在に支持される。
デフケース22内には一対のサイドギア24が配置されている。
デフケース22内において、両サイドギア24にはピニオンシャフト25により回転自在に支持された一対のピニオンギア26が噛合している。
両サイドギア24には、左右側からデフケース22を貫通してそれぞれ車輪軸7a、5aの内端が嵌合固定されている。
車輪軸5aの外端は、ジョイント27を介して車輪軸5bに連結されている。
同様にして、車輪軸7aの外端は、図示しないジョイントを介して車輪軸7bに連結(図8参照)されている。
最終減速被動ギア28は、自動変速機2(変速機9の図示しない出力軸に固定された最終減速駆動ギア30と噛合している。
これらの最終減速被動ギア28および最終減速駆動ギア30が最終減速機構として機能し、自動変速機2から出力されたエンジン1(駆動装置)の動力を所定のギア比により減速した後にデフケース22に伝達する。
伝達されたエンジン1の動力は後輪用差動機構3から車輪軸7a、5aに分配され、車輪軸7b、5bを介して左右の後輪8、6に伝達される。
後輪用差動機構3のハウジング21の右側にはトランスファ機構4のハウジング31(第2ハウジング)が配設され、このハウジング31は左右方向に延びる略円筒状に形成されている。
上記右側の内側車輪軸5aは、このトランスファ機構4のハウジング31の内部および軸受カバー32を貫通して右方に突出している。
駆動スリーブ41の右側外周にはフランジ部41aが一体形成され、このフランジ部41aにはベベルギア42がボルト43により固定されている。
よって、駆動スリーブ41は内部の車輪軸5aに支持されながらその回転が許容される一方、ベアリング44に支持されながら車輪軸5aの回転とは別個にデフケース22と一体で回転駆動されることになる。
トランスファ機構4のハウジング31の後部、つまりハウジング31を挟んでエンジン1の反対側にはギアベース部31aが一体形成され、このギアベース部31aは後方に面する略平面状を成している。
ギアベース部31aは、トランスファ機構4のハウジング31の後部のみならず図3に示すように左方および下方に延設され、ギアベース部31aの最も左下の箇所は、エンジン1および自動変速機2間の下方に形成された車両の前後方向に延びる空間におよんでいる。
ギアベース部31aには、ハウジング31内とギア室52内とを連通させるベアリング孔53が貫設されている。
このベアリング孔53内には回転軸54が車両の前後方向に延びるように配設されて、ベアリング55により回転自在に支持されている。
また、ギア室52内に突出した回転軸54の後端には駆動ギア57が嵌合されて、この駆動ギア57はスプライン58により回転規制されてナット59で回転軸54に固定されている。
中間軸60は回転軸54に対して平行に配置されており、ギアベース部31aおよびギアカバー51に設けられたベアリング61により前後両端を回転自在に支持されている。
中間軸60にはアイドラギア62が一体成形され、このアイドラギア62は回転軸54の駆動ギア57と噛合している。
この第1動力伝達軸9aは、上述のギアベース部31aの最も左下の延設箇所に位置して、軸心C4を自動変速機2の下方に形成された空間と対応させている。
第1動力伝達軸9aには被動ギア65が一体成形され、この被動ギア65は上記中間軸60のアイドラギア62と噛合している。
なお本実施例において、駆動ギア57、アイドラギア62、被動ギア65をはすば歯車として構成しているが、これに代えて平歯車としてもよい。
第1動力伝達軸9aの前方には、軸心C4を一致させて第2動力伝達軸9b(回転軸)が配設され、第2動力伝達軸9bの後端は、第1動力伝達軸9aの前端に嵌挿されてスプライン73により回転規制されている。
同様に、トランスファ機構4のハウジング31から第2動力伝達軸9bに向けてガイド部140が延び、ガイド部140の第2動力伝達軸9b側の面に半円形状の凹部141が形成されている。
このガイド部130、140に形成された凹部131、141の開口が向かい合うように配置され、凹部131と凹部141とで筒状のガイド孔150が形成される。
このガイド孔150は、車両の前後方向に延び、ガイド孔150内に第2動力伝達軸9bが通されている。
図3〜5に示すように、第2動力伝達軸9bは、自動変速機2におけるトルクコンバータ2aの下方を通って前方に延設されている。
自動変速機2のコンバータハウジング81の車両前方側下部には取付座81aが一体形成され、該取付座81aにはボルト82により軸受部材83が固定されている。
なお、コンバータハウジング81はハウジング21とは一体に形成されるとともに、自動変速機2の図示しないトルクコンバータを空間2Bに収納する。
なお、図5において、車両の下方側(図中手前側)にオイルパン2bが配置され、このオイルパン2bの上方(図中奥側)には自動変速機2内の変速機構にオイルを供給するためのバルブボディが配置されている。
これにより、第2動力伝達軸9bの後部側が上記第1動力伝達軸9aのスプライン73から離脱することが防止される。
第2動力伝達軸9bの前端は、軸受部材83から前方に突出するジョイント部85が固定され、ジョイント部85には上記プロペラシャフト10aの後端が連結される。
これにより、第2動力伝達軸9bがプロペラシャフト10a、10bおよびビスカスカップリング11を介して前輪用差動機構12側と連結されている。
車両の走行中において、エンジン1からの動力は自動変速機2の変速段に従って変速された後、最終減速駆動ギア30と最終減速被動ギア28とのギア比により減速されて、後輪用差動機構3から左右の車輪軸7a、7b、5a、5bを介して左右の後輪8、6に伝達される。
回転軸54の回転は、駆動ギア57からアイドラギア62を介して被動ギア65に伝達され、被動ギア65と共に第1動力伝達軸9aが回転駆動される。
第1動力伝達軸9aの回転は第2動力伝達軸9bからプロペラシャフト10a、10bおよびビスカスカップリング11を介して前輪用差動機構12に伝達され、さらに前輪用差動機構12から車輪軸13、15を介して左右の前輪14、16に伝達される。
図6は、後輪用差動機構3のハウジング21をトランスファ機構4側から見た図であり、図7は、ハウジング21をディファレンシャル装置20が収納される側からガイド部130周辺を見た斜視図である。
ハウジング21の外面において、車輪軸5aが通る孔21Bから車両下方側位置に、破線で示す第2動力伝達軸9bに向かって突出するガイド部130が形成されている。
なおハウジング21の外側において、図6に示すようにガイド部130に第2動力伝達軸9bの組み付け時の案内用の凹部131が形成されているため、図7に示すようにハウジング21を内側から見たときに、ガイド部130の凹部131と対応する位置がハウジング21の内側に突出する凸部131Aとなる。
したがって、後輪用差動機構3内にディファレンシャル装置20の潤滑や冷却、自動変速機2の作動のための油を、より多く貯めることができる。
またガイド部130において、図3に示すトランスファ機構4のハウジング31に形成されたガイド部140と接触する面(以下、取付面133とも呼ぶ)に、ボルト孔132が形成されている。
なお、取付面133がボルト孔132のボス部となっている。
ガイド部140の第2動力伝達軸9b側の面が取付面143となり、取付面143に、凹部141が形成されている。
後輪用差動機構3とトランスファ機構4との結合時に、凹部131と凹部141の開口同士を整合させ、ガイド部130の取付面133とガイド部140の取付面143とを重ね合わせて配置する。
これにより凹部131と凹部141とによって筒状のガイド孔150が形成される。
このガイド孔150は、図2に示す第2動力伝達軸9bの大径部9b’よりも大径となっている。
なお第2動力伝達軸9bに設けられた大径部9b’は、図2に示すように第2動力伝達軸9bを第1動力伝達軸9aに差し込む際の差込量を規制するものである。
なお図5に示すように第2動力伝達軸9bは、車両前方側から後方側に向けて第1動力伝達軸9aに差し込むものとする。
第2動力伝達軸9bの差込方向側の奥まった位置に、第1動力伝達軸9aが位置し、第1動力伝達軸9aから第2動力伝達軸9bの差込方向の手前側にガイド孔150が位置する。
また図4に示すように、第2動力伝達軸9bの前端には、プロペラシャフト10aと連結するためのジョイント部85と、第2動力伝達軸9bの前端部を後輪用差動機構3のコンバータハウジング81に回転可能に支持するための軸受部材83とがあらかじめ組み付けられている。
次に、ガイド孔150に沿って第2動力伝達軸9bを車両後方側に押し込み、第2動力伝達軸9bを第1動力伝達軸9aに挿入する。
挿入後、ボルト82によって軸受部材83とコンバータハウジング81の取付座81aとを結合することにより、第2動力伝達軸9bの組み付けが完了する。
これにより第2動力伝達軸9bの第1動力伝達軸9aへの組み付け性を向上させることができる。
これにより、後輪用差動機構3および自動変速機2内のオイルレベル(なお、自動変速機2と後輪用差動機構3とは内部が連通しているものとする)を安定化させることができ、オイルポンプからのエア吸いなどを防止することができる。 (請求項2に対応する効果)
本発明について、実施例にもとづいて説明してきたが、これに限定されるものではない。例えば、本実施例では、いわゆるリアエンジンタイプの4輪駆動車を例にして説明したが、フロントエンジンタイプの4輪駆動車であっても本発明を適用可能であることはいうまでもない。
2、2A 自動変速機 (変速機)
2B 空間
3、3A 後輪用差動機構 (差動機構)
4、4A トランスファ機構
5a、5b、7a、7b 車輪軸
9a 第1動力伝達軸 (回転部材)
9b 第2動力伝達軸 (回転軸)
20 ディファレンシャル装置
21 ハウジング (第1ハウジング)
31 ハウジング (第2ハウジング)
41 駆動スリーブ
42 ベベルギア
54 回転軸
60 中間軸
81 コンバータハウジング
130、140 ガイド部
131、141 凹部
132 ボルト孔
133、143 取付面
150 ガイド孔
Claims (3)
- 駆動装置から出力された動力の変速を行う変速機と、
該変速機から出力された動力を、車両の前輪または後輪の一方の左右車輪軸に分配する差動機構と、
車両前後方向に配置され、動力を前記前輪または後輪の他方に伝達する回転軸と、
前記変速機から出力される動力を前記回転軸に伝達するトランスファ機構とを備えた動力伝達機構であって、
前記トランスファ機構内に回転部材を備え、該回転部材に前記回転軸を差し込んで前記トランスファ機構と前記回転軸とを連結する動力伝達装置における回転軸の組付構造において、
前記差動機構を収納する第1ハウジングの外周側壁であって、前記回転部材と前記回転軸との連結位置よりも前記回転軸の差込方向手前側の位置に、前記回転部材に前記回転軸を差し込む場合の案内となるガイド通路を車両の前後方向に沿って形成したことを特徴とする動力伝達装置における回転軸の組付構造。 - 前記第1ハウジングのうち前記差動機構の下部側位置であって、前記第1ハウジングの壁が前記差動機構側から外に張り出すことによって形成された張り出し部が形成されており、
少なくとも前記張り出し部に形成された溝は前記ガイド通路の一部を成していることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置における回転軸の組付構造。 - 前記ガイド通路の下側位置において、前記第1ハウジングの壁を外側に張り出させた張り出し部に、前記トランスファ機構の第2ハウジングと接続するためのボス部が形成され、
前記ガイド通路は、前記第1ハウジングと、前記第2ハウジングとによって構成されていることを特徴とする請求項2に記載の動力伝達装置における回転軸の組付構造。
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