JP2007168005A - 切削工具、ホルダ及びスローアウェイチップ - Google Patents

切削工具、ホルダ及びスローアウェイチップ Download PDF

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Abstract

【課題】スローアウェイ式切削工具において、スローアウェイチップの刃先位置の取付誤差を低減し、刃先位置精度の向上を図る。
【解決手段】スローアウェイチップ10をホルダ30へ装着して成る切削工具9において、ホルダ30に形成された対峙する二つのテーパ座面35・36のそれぞれに接するテーパ拘束面16・17と、同じくホルダ30に形成された前記二つのテーパ座面35・36間の略中心線Cと略直交する座面33・34に接する少なくとも二つの拘束面14・15とを、チップ10に形成した。チップ10をホルダ30に位置固定するに際して、該チップ10の面内方向において略直交する二方向の位置を定めることによって、ホルダ30に対するチップ10の相対位置を略一定に定めた。
【選択図】図1

Description

本発明は、スローアウェイ式切削工具において、スローアウェイチップの刃先位置精度を向上するための技術に関する。
従来、工具本体に着脱可能なスローアウェイチップ(以下、単にチップと記載する)を取り付けて成るスローアウェイ式切削工具が公知となっている。
これらのチップはコーナー部分が切刃の役目をしており、一つの刃が摩耗すると、他のコーナーを刃として使用するため、形状は、正三角形(特許文献1)、正四角形、正五角形などの正多角形が一般的である。また、菱形(特許文献2)のチップも存在する。
これらのチップには厚み方向に貫通した結合孔が穿設され、該結合孔にピン、ボルト、螺子、押さえ金などの結合部材が挿設されることにて、チップがホルダに装着される。
例えば、図8に示す一般的なスローアウェイ式切削工具91では、ホルダ92に菱形形状のスローアウェイチップ93が装着されている。前記チップ93の切削に関与しない二側面93c・93dを、ホルダ92のチップポケットに形成された座面92a・92bに当接させたうえで、前記チップ93に穿設された孔93bにピンやボルト等の結合部材94が挿入されている。すなわち、チップ93の二側面93c・93dがホルダ92側の座面92a・92bに当接することによって該チップ93が拘束され、チップ93とホルダ92との相対位置が決定されたうえで、結合部材94にて両者が結合されている。
上述の構成の切削工具91においては、チップ93はホルダ92の座面92a・92bに接する二点で拘束されるが、この拘束位置には多少の変動が許容されているため、ホルダ92とチップ93との相対位置が安定せず、チップ93の刃先93aの位置に、取付誤差が生じてしまうために、取付後に微調整を行う必要があった。
また、切削加工時においてチップ93は負荷を受けるため、孔93bに設けられた結合部材94を中心とする回転モーメントが生じる。多くの場合、結合部材の結合力により回転モーメントに抗することができるが、ホルダ92によるチップ93の拘束点の位置が徐々にずれて、刃先93aの位置が変位してしまう虞があった。
特開2005−74530号公報 特開平7−237013号公報
本発明では、スローアウェイ式切削工具において、スローアウェイチップの刃先位置の取付誤差を低減し、刃先位置精度の向上を図る。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、切削工具のホルダへ装着して使用されるスローアウェイチップにおいて、当該スローアウェイチップの切削に関与しない部位に、前記スローアウェイチップの或る第一方向の移動を拘束すべく形成される少なくとも二つの拘束面と、前記スローアウェイチップの前記或る第一方向と略同一平面内において略直交する第二方向の移動を拘束すべく形成される少なくとも二つの拘束面とを有するものである。
請求項2においては、切削工具のホルダへ装着して使用されるスローアウェイチップにおいて、前記ホルダに形成された対峙する二つの座面にそれぞれ接する少なくとも二つの拘束面と、同じく前記ホルダに形成された前記二つの座面間の略中心線と略直交する座面にそれぞれ接する少なくとも二つの拘束面とを有するものである。
請求項3においては、前記ホルダに形成された対峙する二つの座面に接する前記各拘束面は、前記スローアウェイチップの刃先から遠ざかるに従って、前記二つの座面間の略中心線に対して近付く傾きを有するものである。
請求項4においては、前記ホルダに形成された対峙する二つの座面に接する各拘束面を有する前記スローアウェイチップの部位が、前記二つの座面から受ける荷重によって弾性変形することを許容するための逃がし部を有するものである。
請求項5においては、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のスローアウェイチップを備える切削工具である。
請求項6においては、スローアウェイチップが装着される切削工具のホルダであって、前記スローアウェイチップの反刃先側の部位を挟装して、該スローアウェイチップの或る第一方向の移動を拘束すべく形成される少なくとも二つの座面と、前記スローアウェイチップと当接し、該スローアウェイチップの前記第一方向と略同一平面内において略直交する第二方向の移動を拘束すべく形成される少なくとも二つの座面とを有するものである。
請求項7においては、前記スローアウェイチップを反刃先側の部位を挟装する座面間は、前記スローアウェイチップの刃先から遠ざかるに従って漸次縮幅するものである。
請求項8においては、請求項6又は請求項7に記載の切削工具のホルダを備える切削工具である。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
スローアウェイ式切削工具において、スローアウェイチップをホルダに位置固定するに際して、スローアウェイチップは面内方向において直交する二方向の位置が定まるので、ホルダに対するチップの相対位置が略一定に定まり、刃先位置の取付誤差を低減し、刃先位置精度の向上を図ることができる。
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の実施例に係る切削工具の構成を示す平面図、図2はチップを示す平面図、図3は拘束面の変形例を示す平面図、図4はチップがチップポケットに挿入される様子を示す平面図、図5はチップの別形態を示す平面図、図6はチップの別形態を示す平面図、図7は切削加工時にチップに加わる荷重と効力を説明する図である。
図8は従来のスローアウェイ式切削工具の一例を示す図である。
図1に示すように、本発明の実施例に係るスローアウェイ式切削工具9は、被加工物に対して切削を施す刃先11を有する切削工具9の構成部材であるスローアウェイチップ(以下、単にチップ10と記載する)と、同じく切削工具9の構成部材であって前記チップが着脱可能に装着されるホルダ30にて、構成される。
前記ホルダ30には、チップ10の保持部としてチップポケット31が形成される。該チップポケット31にチップ10が挿入され、所定位置にチップ10が位置合わせされたうえで、該チップ10に形成された結合孔21と、前記ホルダ30に形成された結合孔38とに、ボルトなどの結合部材40が挿入され、チップ10とホルダ30とが結合される。
続いて、前記ホルダ30とチップ10の構成について詳細に説明する。
まず、前記ホルダ30の構成から説明する。
図1及び図2に示すように、前記ホルダ30に装着されるチップ10は、平行四辺形を基本形とするスローアウェイチップである。
以下、チップ10の基本形となる略平行四辺形の長尺側対角線を『基準線L』とする。
また、チップ10の構成面のうち、基本形となる略平行四辺形を形成する二面をそれぞれ『上面S』・『下面』とし、該上面Sと下面との間に形成されるチップ10の厚み方向の面を『側面』とする。そして、チップ10の厚み方向をZ方向とし、切削工具9を前記上面S側から見た図1を平面図とする。
図1に示すように、前記ホルダ30には、前記チップ10を保持するためのチップポケット31が形成される。
チップポケット31には、チップ10の側面が当接する座面33・34及びテーパ座面35・36と、チップ10の下面が当接する座面32が設けられる。前記座面32には、結合部材40を挿通する結合孔38が設けられる。
前記テーパ座面35・36は、対峙するように配置された二つの面である。
それぞれのテーパ座面35・36から等距離にある点を結んだ線を『中心線C』とする。また、平面視において前記中心線Cの伸延方向を『X方向』とし、図1において、つまり、同一平面上において、該X方向と略直交する方向を『Y方向』とする。
前記テーパ座面35・36は、チップ10のホルダ30に対するY方向の位置を決定する面であり、チップ10の反刃先側(刃先11と反対側)の部位が、対峙する二つのテーパ座面35・36のそれぞれに接して挟装されることによって、チップ10のホルダ30に対するY方向の相対移動が拘束される。
二つのテーパ座面35・36は、平面視において前記座面33・34の間に挟まれるように配置される。これらのテーパ座面35・36は、略平行ではなく互いに傾きをもって対峙し、平面視においてテーパ座面間Wは、座面33・34から離れるに従って、すなわち、チップ10の刃先11から遠ざかるに従って漸次縮幅する。
前記座面33・34は、チップ10のホルダ30に対するX方向の位置を決定する面であり、チップ10が座面33・34のそれぞれに接することによって、チップ10のホルダ30に対するX方向の相対移動が規制される。
この座面33・34は、ホルダ30に少なくとも複数設けられ、互いに略平行であって、何れも前記テーパ座面35・36の中心線Cと略直交する。
なお、本実施例において、前記座面33・34は同一平面上に配置されるが、X方向と略直交する面であれば足りるので、図3に示すように、それぞれ異なる平面上に設けることもできる。
また、本実施例において、前記座面33・34は、平面視においてテーパ座面35・36の中心線Cを介して振り分けて配置される。
このように、座面33・34が中心線Cを介して両側に振り分けて配置されることによれば、チップ10を安定して位置決めし、且つ、切削加工時に効果的に応力を受けることができる。
但し、少なくとも二カ所のX方向の位置を規制する点でチップ10がホルダ30に接すれば、チップ10のX方向の位置が定まるため、座面33・34は平面視において中心線Cの一側に配置することもできる。
前記座面32は、チップ10のホルダ30に対するZ方向の位置を決定する面であり、チップ10の下面が座面32に着座することで、チップ10のホルダ30に対するZ方向の相対移動が規制される。前記座面32は、前記座面33・34及び前記テーパ座面35・36と略直交する。
次に、前記チップ10の構成について説明する。
図2に示すごとく、本実施例において、前記チップ10は平面視において基準線Lを中心として線対称に形成され、且つ、基準線LはX方向と略平行とされる。
このように、チップ10を基準線Lに対して略対称とすることによれば、切削加工時に該チップ10に作用する応力の偏りを低減することができる。また、前記基準線Lが、前記結合孔21の略中心Gを通過するので、前記ホルダ30にてチップ10をバランスよく保持することができる。
但し、本発明では、チップ10は基準線Lに対して略対称であることに限定されるものではなく、チップ10は基準線Lを中心として非対称に構成しても構わない。
前記チップ10の切削に関与する部位として、刃面12・13となる側面が設けられる。また、チップの切削に関与しない部位として、拘束面14・15と、テーパ拘束面16・17となる側面が設けられる。ここで、チップの切削に関与しない部位は、主にチップ10の位置決めに関与する。
前記刃面12・13は、略鋭角に交差して該交差部に刃先11を形成する部位である。刃先11は、平面視において基準線Lが通過する位置に設けられる。
前記拘束面14・15は、前記ホルダ30の座面33・34に接して、X方向へのチップ10の移動の規制を受けるための部位である。
拘束面14・15は、前記ホルダ30の座面33・34に対応するように適宜位置に適宜数が設けられる。本実施例においては、平面視において基準線Lを介して両側にそれぞれ少なくとも一つ以上の拘束面14・15が設けられ、これらの拘束面14・15は何れも略平行である。
前記テーパ拘束面16・17は、前記ホルダ30のテーパ座面35・36に接して、Y方向へのチップ10の移動の拘束を受けるための部位である。
テーパ拘束面16・17は、拘束面14・15を介して反刃先側(刃先11と反対側)であって、拘束面14と拘束面15との間に設けられる。
本実施例において、前記テーパ拘束面16・17は、平面視において基準線Lを介して略線対称に形成され、すなわち、刃先11から離れるに従い基準線Lに対して近付く傾きを有する。
これにより、ホルダ30のテーパ座面間に挿入されるチップ10のテーパ拘束面16・17間の領域が、平面視において、前記テーパ座面35・36間に挿入される反刃先側から漸次拡幅する。
この二つのテーパ拘束面16・17に挟まれる領域は、逃がし部としての溝状の切欠部20によって、それぞれにテーパ拘束面16・17を含む二つの部位に分割される。切欠部20により分割されたテーパ拘束面16・17を含む二つの部位を、弾性変形端18・19とする。これらの弾性変形端18・19が、テーパ座面35・36から受ける荷重によって弾性変形することが許容され、弾性変形したときに互いに干渉しないように前記切欠部20の形状が定められる。
一方、前記チップ10の上面Sから下面までを貫いて、結合孔21が穿設される。前記結合孔21は、該結合孔21と前記ホルダ30とに結合部材40を挿通して、チップ10とホルダ30とを結合するためのものである。
本実施例において、前記結合孔21は、チップ10において拘束面14・15と刃先11との間に設けられる。
このように、拘束面14・15と刃先11との間に結合孔21を設けることによれば、チップ10をホルダ30に装着した際に、拘束面14・15から刃先11までの間に結合部材40によるチップ10の拘束点が設けられることとなるので、切削加工時に刃先11が荷重を受けたときの該チップ10の変形を抑制することができる。
但し、結合孔21と刃先11との間に拘束面14・15が配置されるように、チップ10を形成することもできる。
ここで、上記構成のチップ10をホルダ30に装着する手順を説明する。
まず、図1及び図4に示すように、チップ10をホルダ30のチップポケット31に挿入する。このとき、チップ10の拘束面14・15が、ホルダ30の座面33・34に着座するまで、チップ10のテーパ拘束面16・17間を、ホルダ30のテーパ座面35間に挟装すべく、チップ10をホルダ30に相対してX方向に移動させる。
この間、チップ10を移動させる方向がX方向から傾いたとしても、チップ10のテーパ拘束面16・17がホルダ30のテーパ座面35・36を摺動することで、チップ10のホルダ30に相対する移動方向がX方向に修正されながら案内される。
また、チップ10のテーパ拘束面16・17がホルダ30のテーパ座面35・36に当接してからは、該チップ10はテーパ拘束面間Wを縮幅する方向に弾性変形端18・19を弾性変形させながら該テーパ座面35・36に沿って移動する。
チップ10の拘束面14・15がホルダ30の座面33・34に着座した状態においては、ホルダ30のテーパ座面35・36にチップ10のテーパ拘束面16・17が押圧されて、チップ10の弾性変形端18・19が互いに近付く方向に弾性変形している。弾性変形した弾性変形端18・19には弾性回復力が生じるため、チップ10のテーパ拘束面16・17間がホルダ30の座面33・34間で突っ張った状態となる。
つまり、例え、チップ10のテーパ拘束面16・17と、ホルダ30のテーパ座面35・36との形状精度が低くとも、チップ10の拘束面14・15がホルダ30の座面33・34に着座した状態では、テーパ拘束面16とテーパ座面35、及び、テーパ拘束面17とテーパ座面36は、常に接する。
よって、チップ10の拘束面14・15がホルダ30の座面33・34に着座することで、チップ10のX方向への移動が規制された状態においては、チップ10の二つのテーパ拘束面16・17のそれぞれにチップ10のテーパ拘束面16・17が接し、チップ10のY方向への移動が拘束される。これにより、チップ10は、上面Sの面内方向(上面Sと略平行な平面に含まれる方向)において、略直交する二方向の位置が定められる。
さらに、ホルダ30の座面32に、チップ10の下面が着座することによって、チップ10のZ方向への移動が制限される。これによって、上記と併せて、X・Y・Z方向の略直交する三方向への移動が規制され、ホルダ30に対するチップ10の相対位置が略一定に定まる。
よって、チップ10をホルダ30に位置固定するに際して、何度挿脱を繰り返しても、チップ10の拘束面14・15がホルダ30の座面33・34に着座すれば、X・Y・Z方向への移動が規制され、ホルダ30に相対するチップ10の取付位置が略一定に定められることとなる。
なお、平面視においてチップ10は基準線Lを中心として略対称であり、弾性変形端18・19に生じる弾性回復量は略均等であるので、チップ10の基準線Lは、ホルダ30のテーパ座面35・36の中心線上に常に位置するように、位置決めされることとなる。
上述のように、ホルダ30に相対するチップ10の位置決めがされた状態で、チップ10の結合孔21と、ホルダ30の結合孔38とに結合部材40を挿入して、チップ10とホルダ30とを結合(締結)すれば、ホルダ30にチップ10が装着される。
このようにホルダ30にチップ10が装着された切削工具9では、ホルダ30に相対するチップ10の位置が常に略一定となるため、チップ10の刃先11の位置もホルダ30に相対して略一定となる。
よって、チップ10をホルダ30に装着する際の刃先位置のばらつきがなく、刃先位置精度を向上させることができ、切削加工精度の向上に寄与することができる。
また、チップ装着後の刃先精度が安定するので、チップ装着後の刃先位置の調整作業を省略することができる。
以上の通り、前記切削工具9では、チップ10が該チップ10の切削に関与しない部位に、所定の第一方向(X方向)への移動が拘束されるための少なくとも二つの拘束面と、前記第一方向と同一平面内において略直交する第二方向(Y方向)への移動が拘束されるための少なくとも二つの拘束面とを有することによって、チップ10の位置が、該チップ10の面内方向(X−Y方向)において略一定に定められている。
つまり、チップ10が、ホルダ30に形成された対峙する二つの座面(テーパ座面35・36)のそれぞれに接する拘束面(テーパ拘束面16・17)と、同じくホルダ30に形成された前記二つの座面35・36間の略中心線Cと略直交する座面33・34に接する少なくとも二つの拘束面14・15とを有することによって、チップ10の位置が、該チップ10の上面Sと略平行な平面に含まれる方向において、略一定に定められている。
なお、本実施例において、ホルダ30に形成された対峙する二つの座面(テーパ座面35・36)間の中心線Cと略平行となる方向をX方向である第一方向としたが、チップ10の基準線Lと略平行となる方向や、或いは、これらとは異なる或る方向をX方向である第一方向とすることができる。
また、ホルダ30に形成された対峙する二つの座面(テーパ座面35・36)は、上記実施例のように、互いに傾きを有するように配置されることに限定されない。
例えば、図5に示すように、ホルダ30に形成された対峙する二つの座面35・36を略平行に配置するとともに、該座面35・36に接するチップ10の拘束面16・17も略平行に配置することもできる。この場合、これらの座面35・36のそれぞれにチップ10の拘束面16・17を当接させるために、例えば、座面35・36に突起35a・35bを設けることができる。このテーパ座面35・36を設けることにより、チップ10の拘束面16・17間がホルダ30の座面35・36間に挿入されたときに該拘束面16・17が加圧されて弾性変形端18・19が近接する方向に弾性変形する。
また、例えば、図6に示すように、ホルダ30のチップポケット31にX方向に伸延する突条39を形成し、一方、チップ10の拘束面14・15の間に、X方向に伸延する溝状の切欠部20を形成し、前記切欠部20に突条39を挿入して該切欠部20の側面と突条39の側面とを当接させて、チップ10のY方向の移動を拘束することもできる。
この場合も、ホルダ30に設けられた対峙する二つの座面(突条39の側面)のそれぞれに、チップ10に形成された切欠部20の対峙する二つの側面(拘束面)が当接することによって、チップ10のY方向の移動が規制される。
なお、上記構成の切削工具9では、ホルダ30へのチップ10の装着する際のみならず、切削加工時においても、チップ10の刃先位置のばらつきを低減し、刃先位置精度を向上させることができる。
例えば、切削加工時において、図7aに示すように、チップ10の刃先11にX方向に荷重が掛かったときには、チップ10の結合孔21とホルダ30の結合孔38に挿通された結合部材40によってチップ10の下面とホルダ30の座面32とが圧接されていることに加え、チップ10の拘束面14・15からホルダ30に加わる荷重を、ホルダ30の座面33・34が受けるため、チップ10がホルダ30に相対して変位することがない。
また、図7bに示すように、チップ10の刃先11にY方向に荷重が掛かったときには、結合部材40を中心としてチップ10に回動モーメントが生じるが、チップ10の結合孔21とホルダ30の結合孔38に挿通された結合部材40によってチップ10の下面とホルダ30の座面32とが圧接されていることに加え、チップ10の拘束面14が接するホルダ30の座面33と、チップ10のテーパ拘束面17が接するホルダ30のテーパ座面36にて荷重に抗するため、チップ10がホルダ30に相対して変位することがない。
さらに、図7cに示すように、チップ10の刃先11に−Y方向に荷重が掛かったときには、結合部材40を中心としてチップ10に回動モーメントが生じるが、チップ10の結合孔21とホルダ30の結合孔38に挿通された結合部材40によってチップ10の下面とホルダ30の座面32とが圧接されていることに加え、チップ10の拘束面15が接するホルダ30の座面34と、チップ10のテーパ拘束面16が接するホルダ30のテーパ座面35にて荷重に抗するため、チップ10がホルダ30に相対して変位することがない。
上述のように、切削加工時において、ホルダ30に対するチップ10の相対変位を抑制して、刃先11の位置の変位を抑制することができる。よって、切削加工時において、チップ10の刃先位置のばらつきを低減し、刃先位置精度を向上させることができる。
本発明の実施例に係る切削工具の構成を示す平面図。 チップを示す平面図。 拘束面の変形例を示す平面図。 チップがチップポケットに挿入される様子を示す平面図。 チップの別形態を示す平面図。 チップの別形態を示す平面図。 切削加工時にチップに加わる荷重と抗力を説明する図。 従来のスローアウェイ式切削工具の一例を示す図。
符号の説明
9 スローアウェイ式切削工具
10 チップ
11 刃先
14・15 拘束面
16・17 テーパ拘束面
18・19 弾性変形端
21 結合孔
30 ホルダ
33・34 座面
35・36 テーパ座面

Claims (8)

  1. 切削工具のホルダへ装着して使用されるスローアウェイチップにおいて、
    当該スローアウェイチップの切削に関与しない部位に、
    前記スローアウェイチップの或る第一方向の移動を拘束すべく形成される少なくとも二つの拘束面と、
    前記スローアウェイチップの前記或る第一方向と略同一平面内において略直交する第二方向の移動を拘束すべく形成される少なくとも二つの拘束面とを有することを特徴とする、
    スローアウェイチップ。
  2. 切削工具のホルダへ装着して使用されるスローアウェイチップにおいて、
    前記ホルダに形成された対峙する二つの座面にそれぞれ接する少なくとも二つの拘束面と、
    同じく前記ホルダに形成された前記二つの座面間の略中心線と略直交する座面にそれぞれ接する少なくとも二つの拘束面とを有することを特徴とする、
    スローアウェイチップ。
  3. 前記ホルダに形成された対峙する二つの座面に接する前記各拘束面は、
    前記スローアウェイチップの刃先から遠ざかるに従って、前記二つの座面間の略中心線に対して近付く傾きを有することを特徴とする、
    請求項2に記載のスローアウェイチップ。
  4. 前記ホルダに形成された対峙する二つの座面に接する各拘束面を有する前記スローアウェイチップの部位が、前記二つの座面から受ける荷重によって弾性変形することを許容するための逃がし部を有することを特徴とする、
    請求項2又は請求項3に記載のスローアウェイチップ。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のスローアウェイチップを備えることを特徴とする切削工具。
  6. スローアウェイチップが装着される切削工具のホルダであって、
    前記スローアウェイチップの反刃先側の部位を挟装して、該スローアウェイチップの或る第一方向の移動を拘束すべく形成される少なくとも二つの座面と、
    前記スローアウェイチップと当接し、該スローアウェイチップの前記第一方向と略同一平面内において略直交する第二方向の移動を拘束すべく形成される少なくとも二つの座面とを有することを特徴とする、
    切削工具のホルダ。
  7. 前記スローアウェイチップを反刃先側の部位を挟装する座面間は、
    前記スローアウェイチップの刃先から遠ざかるに従って漸次縮幅することを特徴とする、
    請求項6に記載の切削工具のホルダ。
  8. 請求項6又は請求項7に記載の切削工具のホルダを備えることを特徴とする切削工具。
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