JP2007165537A - 部品移載装置および表面実装機 - Google Patents

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Abstract

【課題】トレイ内に収納された部品をより速やかに取り出して移載できる部品移載装置および表面実装機を提供する。
【解決手段】実装機は、実装用ヘッド20を昇降可能に備えたヘッドユニットによりトレイフィーダのトレイTから部品を吸着して基板に移送して実装する。トレイフィーダは、トレイ収納ボックスからトレイTを引き出す引出し機構と、この引出し機構を昇降させる昇降機構とからなる出し入れ装置とを有し、トレイTを所定の基準高さ位置に配置する。実装機は、実装動作を統括制御するコントローラを有し、このコントローラは、部品吸着後、実装用ヘッド20をトレイTに対して上昇させる一方で、これと並行してトレイTを下降させるべく出し入れ装置を駆動制御する。
【選択図】図7

Description

本発明は、IC等の電子部品を負圧吸着して搬送するように構成された表面実装機等に適した部品移載装置、およびこの部品移載装置を備えた表面実装機に関するものである。
従来から、部品吸着用のノズルを先端に備えた移動可能なヘッドにより部品供給部から部品を取り出し、その部品をプリント基板等の基板上に搬送して実装するようにした表面実装機が一般に知られている(例えば特許文献1)。
この種の表面実装機では、テープを担体としてチップ部品を供給するテープフィーダや、QFP等のパッケージ部品をトレイ上に並べた状態で供給するトレイフィーダ等の部品供給装置が部品供給部に配置されており、部品取り出しの際には、前記ヘッドがそれらの上方に移動した後、昇降動作を行うことにより部品を吸着して取り出すようになっている。
特開平11−103195号公報
ところで、トレイフィーダによる供給部品は、近年の実装部品の多様化に伴い、より厚みのある(丈の高い)部品を供給することが求められており、そのため、次のような課題が生じている。すなわち、トレイフィーダから部品を取り出す際には、トレイ内の他の部品、あるいはトレイ内の仕切り壁等との干渉を回避するために、部品吸着後、トレイに対して吸着部品を十分に持ち上げてから水平方向に移動させることが求められるが、上記のような丈の高い部品を取り出す場合には、その分ヘッドを大きく昇降させることが求められるため、丈の高い部品を多数実装する基板については、頻繁にヘッドを大きく昇降させることが求められる分、タクトタイムが遅くなってしまう。
また、ヘッドの昇降ストロークよりも丈の高い部品については物理的にトレイから部品を取り出すことができなくなることも考えられる。
本発明は、表面実装機等において、トレイ内に収納された部品をより速やかに取り出して目標位置に移載できるようにすること、そしてより丈の高い部品についてもトレイからの取り出しを可能として実装部品の品種に関する自由度を高めることを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明は、部品が収納されたトレイを保持するトレイ保持部と、トレイ保持部に対して水平方向に移動可能で、かつ昇降可能なヘッドとを有し、前記トレイ内の部品を前記ヘッドの昇降に伴い取り出して目標位置に移載する部品移載装置であって、前記トレイ保持部を昇降させる昇降手段と、前記トレイからの部品取り出しのための前記ヘッドの昇降動作中に、ヘッドの移動方向と反対方向に前記トレイを移動させるべく前記昇降手段を駆動制御するトレイ昇降制御手段とを備えているものである(請求項1)。
例えば、前記トレイ昇降制御手段は、部品吸着後、前記ヘッドの上昇動作中に前記トレイを下降させるべく前記昇降手段を駆動制御する(請求項2)。
この構成によれば、部品吸着後、ヘッドおよびトレイが互いに離間する方向に相対的に移動するため、トレイに対してヘッドだけを昇降させる場合に比べて、トレイ内からより素早く部品を取り出すことが可能となる。また、トレイに対するヘッドの実質的な昇降ストロークが大きくなるため、丈の高い部品についても容易にトレイから取り出すことが可能となる。
この場合には、吸着部品の下端部がトレイ上端部より上側に出た直後に前記ヘッドを水平方向に移動させるべく前記ヘッドを駆動制御するヘッド制御手段を備えているのが好適である(請求項3)。
この構成によれば、トレイからの部品取り出し後、可及的速やかに部品を目標位置に移送することが可能となる。また、複数のヘッドを一体的に移動させながらトレイから順次部品を取り出すような場合には、トレイからの部品取り出し後、可及的速やかに次の部品の取り出し動作に移行することが可能となる。
なお、上記のような部品移載装置において、前記トレイ昇降制御手段は、部品吸着のための前記ヘッドの下降動作中に前記トレイを上昇させるべく前記昇降手段を駆動制御するものであってもよい(請求項4)。
この構成によれば、部品吸着の際には、ヘッドおよびトレイが互いに接近する方向に相対的に移動するため、トレイに対してヘッドだけを下降させて部品を取り出す場合にくらべて、トレイ内の部品に対してより素早くヘッドがアクセスすることが可能となる。
一方、本発明に係る表面実装機は、上記のような部品移載装置が組込まれた表面実装機であって、上記部品移載装置のヘッドを実装用ヘッドとして、この実装用ヘッドにより上記トレイ保持部に保持されたトレイから部品を吸着し、この部品を上記目標位置として実装作業位置にセットされている基板上に実装するように構成されているものである(請求項5)。
この表面実装機によると、トレイからの部品の取り出し、および当該部品の基板上への実装が上記のような部品移載装置によって行われる。そのため、固定的に配置したトレイに対してヘッドだけを昇降させながらトレイから部品を取り出して基板上に実装するものと比べると、トレイからの部品の取り出しを含む一連の部品実装動作をより素早く行うことが可能となる。また、より丈の高い部品の取り出しが可能となるため、実装部品の品種に関する自由度を高めることが可能となる。
本発明の部品移載装置によると、例えば部品吸着の際にはヘッドおよびトレイの双方が互いに接近する方向に、また部品吸着後はヘッドおよびトレイの双方が互いに離間する方向に移動するので、トレイに対してヘッドのみを昇降させて部品を取り出すものに比べ、より素早くトレイから部品を取り出して目標位置に移載することができる。また、部品吸着後、ヘッドおよびトレイの双方を互いに離間する方向に移動させる場合には、トレイに対するヘッドの実質的な昇降ストロークが大きくなるため、その分、より丈の高い部品についても容易にトレイから取り出すことが可能となる。従って、このような部品移載装置を組み込んだ本発明に係る表面実装機によれば、トレイからの部品の取り出しを含む一連の部品実装動作をより素早く行うことができるようになる。また、より丈の高い部品の取り出しが可能となるため、実装部品の品種に関する自由度を高めることができる。
本発明の好ましい実施の形態について図面を用いて説明する。
図1及び図2は、本発明に係る表面実装機(本発明に係る部品移載装置が組み込まれた表面実装機)を概略的に示しており、図1は斜視図で、図2は正面図でそれぞれ表面実装機を示している。
これらの図において、表面実装機(以下、実装機と略す)の基台1上には基板搬送用のコンベア2が配置されており、このコンベア2上をプリント基板P(以下、基板Pと略す)が搬送されて所定の実装作業位置で停止され、図外の基板保持手段により保持されるようになっている。なお、以下の説明では、コンベア2の方向をX軸方向、水平面上でこれと直交する方向をY軸方向、X軸およびY軸に直交する方向をZ軸方向として説明を進めることにする。
コンベア2の両側には、基板Pに実装する部品を供給するための部品供給部4,5が設けられている。これらの部品供給部4,5のうち装置フロント側に位置する部品供給部4にはX軸方向に多数列のテープフィーダ4aが配置されている。各テープフィーダ4aには、IC、トランジスタ、コンデンサ等の小片状のチップ部品を収納、保持したテープがリールに巻回されて装着されており、このリールからフィーダ先端の部品取出部に前記テープを間欠的に繰り出しながら、後述するヘッドユニット6により部品をピックアップさせるように構成されている。
一方、装置リア側に位置する部品供給部5にはトレイフィーダ5aが配置されている。トレイフィーダ5aには、QFP、BGA等のパッケージ型電子部品、あるいは実装型コネクタ等の大型部品をマトリクス状に収納した複数のトレイが上下多段に収納されており、これらトレイをコンベア2側方に引き出しながら、ヘッドユニット6によりトレイ内に収納された部品をピックアップさせるように構成されている。なお、トレイフィーダ5aの具体的な構成については後に詳述することにする。
前記基台1の上方には、さらに部品実装用のヘッドユニット6が設けられている。
このヘッドユニット6は、部品供給部4,5から部品を吸着して基板P上に実装し得るように、一定の領域内でX軸方向およびY軸方向にそれぞれ移動可能とされている。すなわち、基台1上には、ヘッドユニット6の支持部材11がY軸方向のレール7に移動可能に配置され、ヘッドユニット6がこの支持部材11に搭載されるとともにX軸方向のガイド部材14に沿って移動可能に支持されている。そして、Y軸サーボモータ9により駆動されるボールねじ(不図示)に支持部材11が螺合装着され、これによって支持部材11のY軸方向の移動が行われる一方で、X軸サーボモータ15により駆動されるボールねじ13にヘッドユニット6が螺合装着され、これによってヘッドユニット6のX軸方向の移動が行われるように構成されている。
前記ヘッドユニット6には部品を吸着して基板Pに実装するための複数の実装用ヘッド20が搭載されており、当実施形態では、6本の軸状の実装用ヘッド20がX軸方向に一列に並べられた状態で搭載されている。
これらの実装用ヘッド20は、Z軸サーボモータ22(図4参照)を駆動源とする昇降機構に連結されるとともにR軸サーボモータ24(図4参照)を駆動源とする回転機構にそれぞれ連結されており、これらの機構によりヘッドユニット6に対してそれぞれ上下方向(Z軸方向)および自軸回り(R軸方向)に駆動されるようになっている。
また、各実装用ヘッド20の先端には部品吸着用のノズル21が設けられている。各ノズル21はそれぞれ図外のバルブ等を介して負圧供給手段に接続されており、前記各フィーダ4a,5aからの部品取出し時には、ノズル21の先端に負圧が供給されることにより部品の吸着が行われるようになっている。なお、ノズル21は、実装用ヘッド20に対して着脱可能に装着されており、必要に応じて基台1上の図外のノズルステーションに収納された先端形状や大きさの異なる他のノズル21と自動交換されるようになっている。
基台1上には、さらに各実装用ヘッド20による部品の吸着状態を画像認識するための部品認識カメラ17が設けられている。この部品認識カメラ17は、部品供給部4,5であってコンベア2の直ぐ側方にそれぞれ設けられており、部品吸着後、ヘッドユニット6がこの部品認識カメラ17上方の所定の撮像位置に配置されたときに各実装用ヘッド21による吸着部品をその下側から撮像するようになっている。
図3はトレイフィーダ5aの具体的な構成を概略的に示している。この図において、トレイフィーダ5aは、トレイ収納ボックス30と、このトレイ収納ボックス30に対してトレイTを出し入れする出し入れ装置32とを有している。
トレイ収納ボックス30には、QFP等の部品を収納したトレイTを引出し可能に支持するトレイ支持部が上下複数段配設され、各トレイ支持部にそれぞれパレット31がコンベア2側に引出し可能に支持されるとともにこれらパレット31上に上記トレイTが載置されている。なお、トレイTには、複数の部品収納用凹部Tu(図7(a)参照)がマトリクス状に形成されており、各部品収納用凹部Tuにそれぞれ独立した状態で部品が収納されている。
出し入れ装置32は、トレイ収納ボックス30からトレイを引出す引出し機構33a(本発明に係るトレイ保持部に相当する)と、この引出し機構33aをトレイ収納ボックス30に対して相対的に昇降させる昇降機構33bとを備えている。
引出し機構33aは、パレット31を掴んで引出すためのクランプ34と、引出されたパレット31を受けるパレット受け35と、これらを支持するテーブル36とを備えている。クランプ34は、テーブル36上に固定された図外のレールに沿ってY軸方向に移動可能に支持されるとともに無端状の駆動ベルト38に連結されており、テーブル36上に固定されたサーボモータ39(引き出しモータ39という)の駆動によりこのベルト38が周回移動することによって、上記クランプ34がレールに沿ってY軸方向に進退移動するように構成されている。また、詳しく図示していないが、クランプ34は、開閉可能な一対のクランプアームを有しており、パレット31のフック(図示せず)をこれらクランプアームにより把持することによってパレット31を出し入れ可能に把持するように構成されている。
一方、昇降機構33bは、本発明に係る昇降手段に相当するもので引出し機構33aを基台1に対して昇降させるものである。
この昇降機構33bは、前記テーブル36をZ軸方向に案内するガイド支柱41と、ガイド支柱41と平行に設けられるボールねじ42と、このボールねじ42を回転駆動するサーボモータ44(昇降モータ44という)とを有しており、前記テーブル36がガイド支柱41にスライド自在に装着されるとともに該テーブル36に設けられるナット部分46が前記ボールねじ42に螺合装着されている。つまり、昇降モータ44によりボールねじ42が回転駆動されることにより、この回転に伴い昇降機構33bがガイド支柱41に沿って昇降するようになっている。
以上のような構成により、実装作業時には、実装部品を収納したトレイTを引出し機構33aによりパレット31と一体にトレイ収納ボックス30からコンベア2側に引き出し、さらに当該トレイTを昇降機構33bの作動により所定の高さ位置まで移動させ、これによって前記ヘッドユニット6によりトレイT内に収納された部品をピックアップさせるようになっている。
なお、この実装機は、その動作を統括的に制御する図4に示すようなコントローラ50を有している。
このコントローラ50は、論理演算を実行するCPU、そのCPUを制御する種々のプログラムなどを記憶するROM、種々のデータを一時的に記憶するRAMおよびHDD等から構成されており、主な機能構成として、主制御手段51、部品関連情報記憶手段52、画像処理手段53、モータ制御手段54、外部入出力手段55等を含んでいる。
主制御手段51は、予め記憶されているプログラムに従って実装作業を進めるべく前記ヘッドユニット6等の駆動を統括的に制御するとともに、その作業に伴う各種演算処理を行うものである。特に、トレイフィーダ5aからの部品の取り出しに際しては、後に詳述するように、部品吸着後、実装用ヘッド20を上昇させる一方で、この上昇と並行してトレイT(パレット31)を下降させるべくモータ制御手段54を介して前記各サーボモータ44等を駆動制御する。なお、当実施形態では、この主制御手段51およびモータ制御手段54等が本発明に係るヘッド制御手段およびトレイ昇降制御手段に相当する。
部品関連情報記憶手段52は、部品の形状、サイズ、供給形態等の実装部品に関する種々のデータを記憶するとともに、QFP等を供給するためのトレイTに関する情報、例えば部品収納用凹部Tuの深さに関する情報等を記憶するもので、前記主制御手段51は、トレイフィーダ5aからの部品取り出し時には、これらの情報に基づき対象部品に適した昇降ストローク、速度等で実装用ヘッド20および昇降機構33bを駆動制御する。
画像処理手段53は、前記部品認識カメラ17による撮像画像に所定の画像処理を施すものであって、前記主制御手段51は、その画像データに基づいて実装用ヘッド20に対する部品の吸着状態を認識するとともに実装位置に関する補正量等を演算する。
モータ制御手段54は、各実装用ヘッド20を作動させるべく前記X軸、Y軸、R軸およびZ軸の各サーボモータ15,9,22,24を駆動制御するとともに、トレイフィーダ5aを作動させるべく前記引き出しモータ39および昇降モータ44を駆動制御するものである。なお、図示を省略しているが各モータにはそれぞれエンコーダ等の回転位置情報検出手段が組み込まれており、モータ制御手段54はこの回転位置情報検出手段による検出情報に基づいて各モータを制御する。
外部入出力手段55は、実装機に付設される各種機器との間で各種信号の伝送および受信を行うものである。
次に、このコントローラ50による部品の実装動作制御について図5のフローチャート(メインルーチン)を用いて説明する。
基板Pの生産が開始されると、まず、コンベア2を駆動して図外のローダから基板Pを装置内に搬入し、前記実装作業位置に位置決めする(ステップS1)。
そして、ヘッドユニット6を部品供給部4,5に移動させて各実装用ヘッド20により部品の取り出しを行わせる(ステップS2)。具体的には、ヘッドユニット6を部品供給部4,5の上方に移動させ、部品を吸着すべき所定の実装用ヘッド20を昇降させることによりテープフィーダ4a又はトレイフィーダ5aから部品を吸着した状態でピックアップさせる。この際、トレイフィーダ5aについては、前記出し入れ装置32を駆動してパレット31をトレイ収納ボックス30から引き出すことにより、事前に図3の二点鎖線に示すように実装用ヘッド20による部品吸着が可能となる位置にトレイTを配置しておく。なお、具体的な部品の取り出し動作の制御については後に詳述する。
全ての実装用ヘッド20による部品の吸着が完了すると、ヘッドユニット6を部品認識カメラ17の上方に移動させて各実装用ヘッド20による吸着部品の撮像を行い、その撮像結果に基づき各部品の吸着状態を認識する(ステップS3)。
次いで、ヘッドユニット6を基板P上に移動させて最初の部品装着ポイントの上方に配置した後、実装用ヘッド20を昇降させることにより吸着部品を基板P上に実装する(ステップS4)。こうして最初の部品を実装したら、次の装着ポイントにヘッドユニット6を移動させることにより、各実装用ヘッド20に吸着された部品を順次基板P上に実装する。この際、ステップS3での認識結果に基づいてヘッドユニット6の目標移動位置を補正することにより装着ポイントに対して吸着部品を正確に実装する。
こうして各実装用ヘッド20の吸着部品を実装し終わると、当該基板Pに対して全ての部品を実装したか否かを判断する(ステップS5)。ここでNOと判断した場合には、ステップS2にリターンし、ヘッドユニット6を部品供給部4,5に移動させて部品吸着、部品認識、部品実装の各処理を繰り返し実行する。
これに対してステップS5でYESと判断した場合には、コンベア2を駆動して基板Pを装置外に搬出する(ステップS6)。これにより基板Pに対する一連の部品実装処理が終了する。
図6は、この部品実装処理制御のサブルーチン、具体的には上記部品吸着処理(ステップS2)の制御のうち、トレイフィーダ5aから部品を取り出す場合の制御を示している。
まず、ヘッドユニット6を、トレイ収納ボックス30から引き出されたトレイT(パレット31)の上方に移動させ、部品吸着を行う実装用ヘッド20を対象となる部品収納用凹部Tuの上方に位置決めする(ステップS11)。この際、トレイTは、昇降機構33bの作動により所定の基準高さ位置(以下、単に基準位置という)、例えば図7(a)に示すように部品の被吸着面(上面)が実装作業位置に位置決めされた基板Pの実装面とほぼ等しい高さ(同図中、符号Lで示す)となるように配置しておく。
図6に戻って、次に、実装用ヘッド20を下降させ、ノズル21の先端をトレイT内の部品に当接させて当該部品を吸着させるとともに、吸着状態の安定を図るために微小時間だけ実装用ヘッド20を静止させる(ステップS12,S13)。
その後、実装用ヘッド20を上昇させるとともに、これと略同時に昇降機構33bを駆動してトレイTを下降させ(ステップS14)、これにより部品を部品収納用凹部Tuから上方に引き出す。そして、部品がトレイTから完全に取り出されると、すなわち部品下面がトレイTの上端よりも上方に達し(ステップS15)、部品とトレイTとの干渉のおそれがなくなると、昇降機構33bの駆動を切り換えてトレイTを上昇させるとともに(ステップS16)、当該トレイTからさらに部品を取り出すか否かを判断する(ステップS17)。
そして、ここでYESと判断した場合に、ステップS11に移行して次の部品収納用凹部Tuの上方にヘッドユニット6を移動させ、NOと判断した場合には、当該サブルーチンの処理を終了する。
上述した制御に基づく実装用ヘッド20およびトレイTの動作を図示すると図7に示すようになる。なお、この図は、トレイTから連続して部品を取り出す場合の動作を模式的に示している。
まず、基準位置にセットされたトレイTに対して実装用ヘッド20が下降し、部品収納用凹部Tu内に収納されている部品をノズル21により吸着する(図7(a))。
その後、実装用ヘッド20が上昇するとともに、これと同時にトレイTが下降し、これにより部品収納用凹部Tuから部品が取り出される(図7(b))。つまり、このように実装用ヘッド20とトレイTとが互いに離間する方向(反対方向)に同時に移動することによりトレイTからの部品の取り出しが素早く行われることとなる。
そして、部品下面がトレイTの上端よりも上方に引き出されると、そのタイミングでトレイTの移動が上昇に切り替わるとともに、次の部品を吸着すべくヘッドユニット6が水平方向へ移動を開始する(図7(c))。こうしてトレイTが基準位置にリセットされると、これと略同時に次の実装用ヘッド20による部品の吸着が行われることとなる(図7(d))。
以上のような本発明に係る実装機では、トレイフィーダ5aを使ってQFP等の大型部品を供給するが、部品吸着後、上記の通り実装用ヘッド20およびトレイTを互いに離間する方向に移動させるようにしているので、トレイを固定的に配置して実装用ヘッドだけを昇降させる従来のこの種の装置に比べて、トレイTからより素早く部品を取り出すことが可能となる。そのため、トレイTから部品を取り出しながら基板P上に実装する際の実装動作をより素早く行うことが可能となり、その分、従来装置に比べてタクトタイムを短縮することができる。
特に、上記実施形態の実装機では、部品下面がトレイTの上端よりも上方に位置すると、そのタイミングでヘッドユニット6を水平方向へ移動させるようにしているので、例えば部品を吸着した実装用ヘッド20およびトレイTが元の位置に完全にリセットしてからヘッドユニット6を水平方向への移動させる場合に比べて素早く次の作業(次の部品の吸着、あるいは吸着部品の実装)に移行することができる。従って、タクトタイムを効果的に短縮することができるという利点がある。
また、上記実施形態の実装機では、部品吸着後、実装用ヘッド20およびトレイTを互いに離間する方向に移動させて部品をトレイTから取り出すため、トレイTの昇降ストローク分だけトレイTに対する実質的な実装用ヘッド20の昇降ストロークが大きくなる。従って、比較的丈(取り出し方向の寸法)の高い部品についても、実際の実装用ヘッド20の昇降ストロークをさほど大きく設けることなく取り出すことができるようになる。つまり、実装用ヘッド20の実際の昇降ストローク(つまりヘッドユニット6に対する昇降ストローク)よいも丈の高い部品であって、従来装置であれば取り出しが不可能な部品についても、上記実施形態の実装機によれば、実装用ヘッド20およびトレイTを互いに離間する方向に移動させるため難なく取り出すことが可能となる。特に、上記実施形態では、トレイ収納ボックス30に対してトレイTを出し入れするための出し入れ装置32(昇降機構33b)がトレイTを昇降させるための手段を兼ねており、部品の大きさに比べてトレイTを十分大きくZ軸方向に移動させることができる。そのため、実装用ヘッド20の昇降ストロークだけでは対応できないような相当丈の高い部品についてもトレイTから難なく取り出すことが可能になり、その結果、実装可能な部品の自由度を高めることができる。
ところで、上述した実装機は、本発明に係る表面実装機の好ましい実施形態の一例であって、その具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば以下のような構成を採用してもよい。
(1)上記実施形態の実装機では、部品吸着後、実装用ヘッド20の上昇動作中にトレイTを下降させるようにしているが、部品吸着前、つまり実装用ヘッド20の下降動作中にトレイTを上昇させるようにしてもよい。具体的には、図8に示すように、まず、基準位置にセットされたトレイT上に実装用ヘッド20を配置した後(図8(a))、実装用ヘッド20を下降させるとともに、これと同時にトレイTを上昇させ、これにより部品収納用凹部Tu内に収納されている部品をノズル21により吸着する(図8(b))。その後、実装用ヘッド20を上昇させるとともに、これと同時にトレイTを下降させ、これにより部品収納用凹部Tuから部品を取り出す(図8(c))。そして、部品の下面がトレイT上端よりも上方に位置するところまで部品が引き出されると、そのタイミングでトレイTを上昇に切り替えるとともに、次の部品を吸着すべくヘッドユニット6を水平方向へ移動させ、これによりトレイTが基準位置にリセットされると略同時に次の実装用ヘッド20が次の部品収納用凹部Tuの上方に配置されるようにする(図8(d))。このようにすれば、トレイTに対して実装用ヘッド20だけを下降させて部品を取り出す場合にくらべて、部品収納用凹部Tu内の部品に対してより素早くアクセスすることが可能となるため、トレイTからの部品の取り出しをより一層素早く行うことが可能となり、その分、さらにタクトタイムを短縮することができる。
(2)上記実施形態の実装機では、トレイTを上下多段に収納するトレイ収納ボックス30をもつトレイフィーダ5aを備えているため、部品取り出しの際にトレイTを昇降させる手段としてトレイフィーダ5aの出し入れ装置32を兼用しているが、勿論、トレイ収納ボックス30をもたず、トレイTを単体で基台1上にセットするような場合には、当該トレイTを昇降させるための専用の機構を設けるようにすればよい。
(3)上記実施形態では、本発明に係る部品移載装置の適用例として表面実装機について説明したが(すなわち実装用ヘッド20、トレイフィーダ5a等により本発明に係る部品移載装置が構成されている)が、本発明に係る部品移載装置はその他の装置につても勿論適用可能である。
例えば表面実装機に外付けされる部品供給装置についても適用が可能であり、図9は、そのような部品供給装置の一例を平面図で概略的に示している。なお、図中符号1,2,Pは、上記実施形態と同様に表面実装機の基台、コンベア、基板をそれぞれ示している。
この図に示す部品供給装置TFは、上述したトレイフィーダ5aのトレイ収納ボックス30および出し入れ装置32と同様に構成されたトレイ収納ボックス60および出し入れ装置62(一部分だけ示す)を有している。そして、さらに出し入れ装置62により引き出したトレイTから部品をピックアップする取出し機構64と、トレイTから取出した部品をさらに実装機へ搬送する搬送装置66とを備えている。
取出し機構64は、レール67に沿ってY軸方向に移動可能な支持部材68と、この支持部材68に沿ってX軸方向に移動可能なヘッドユニット69と、このヘッドユニット69に昇降可能に支持される吸着ヘッド70とを有し、図外のサーボモータの駆動による支持部材68およびヘッドユニット69の作動により吸着ヘッド70をトレイTの任意位置に移動させ、当該吸着ヘッド70の昇降に伴い部品収納用凹部Tuから部品を吸着してピックアップするように構成されている。一方、搬送装置66は、端部が実装機に達する位置まで延びるX軸方向の搬送レール72と、図外のサーボモータの駆動によりこのレール72に沿って移動するテーブル74とを有している。
すなわち、この部品供給装置TFは、トレイ収納ボックス60に収納されているトレイT(パレット61)を出し入れ装置62により引き出して所定の高さ位置に配置し、このトレイTに収納された部品を前記吸着ヘッド70の昇降動作に伴い取り出して搬送装置66のテーブル74上に移載し、さらにこのテーブル74の移動により当該部品を実装機側に供給するように構成されている。そして、上記のような吸着ヘッド70による部品取り出しの際には、まず、吸着ヘッド70が下降してトレイT内の部品を吸着した後、吸着ヘッド70を上昇させるとともに、これと略同時にトレイTを下降させるべく吸着ヘッド70および出し入れ装置62が駆動制御される。
このような部品供給装置TFによると、部品吸着後、吸着ヘッド70およびトレイTを互いに離間する方向に移動させるので、上記実施形態の実装機と同様に、トレイTからの部品の取り出しを素早く行うことができる。そのため、トレイTからテーブル74への部品の移載をより素早く行うことが可能となり、その分、実装機側への部品供給を効率良く行うことができるようになる。なお、この部品供給装置TFについても、部品吸着のための吸着ヘッド70の下降動作中にトレイTを上昇させるようにしてもよく、これによればトレイTからテーブル74への部品の移載をより一層素早く行うことが可能となる。
本発明に係る表面実装機(本発明に係る部品移載装置が搭載される表面実装機)を示す斜視図である。 主にヘッドユニットまわりの構成を示す表面実装機の正面図である。 トレイフィーダの構成を示す断面略図である。 表面実装機のコントローラの構成を示すブロック図である。 コントローラによる実装動作制御の一例を示すフローチャート(メインルーチン)である。 コントローラによる実装動作制御の一例を示すフローチャート(サブルーチン)である。 (a)〜(d)は、コントローラの制御に基づく部品の吸着動作を示す模式図である。 (a)〜(d)は、コントローラの制御に基づく部品の吸着動作の変形例を示す模式図である。 本発明に係る部品移載装置の他の適用例を示す平面図である。
符号の説明
4a テープフィーダ
5a トレイフィーダ
6 ヘッドユニット
20 実装用ヘッド
21 ノズル
30 トレイ収納ボックス
31 パレット
32 出し入れ装置
33a 引出し機構
33b 昇降機構
P プリント基板
T トレイ
Tu 部品収納用凹部

Claims (5)

  1. 部品が収納されたトレイを保持するトレイ保持部と、トレイ保持部に対して水平方向に移動可能で、かつ昇降可能なヘッドとを有し、前記トレイ内の部品を前記ヘッドの昇降に伴い取り出して目標位置に移載する部品移載装置であって、
    前記トレイ保持部を昇降させる昇降手段と、前記トレイからの部品取り出しのための前記ヘッドの昇降動作中に、ヘッドの移動方向と反対方向に前記トレイを移動させるべく前記昇降手段を駆動制御するトレイ昇降制御手段とを備えていることを特徴とする部品移載装置。
  2. 請求項1に記載の部品移載装置において、
    前記トレイ昇降制御手段は、部品吸着後、前記ヘッドの上昇動作中に前記トレイを下降させるべく前記昇降手段を駆動制御することを特徴とする部品移載装置。
  3. 請求項2に記載の部品移載装置において、
    吸着部品の下端部がトレイ上端より上側に出た直後に前記ヘッドを水平方向に移動させるべく前記ヘッドを駆動制御するヘッド制御手段を備えていることを特徴とする部品移載装置。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の部品移載装置において、
    前記トレイ昇降制御手段は、部品吸着のための前記ヘッドの下降動作中に前記トレイを上昇させるべく前記昇降手段を駆動制御することを特徴とする部品移載装置。
  5. 上記請求項1乃至4の何れかに記載の部品移載装置が組込まれた表面実装機であって、
    上記部品移載装置のヘッドを実装用ヘッドとして、この実装用ヘッドにより上記トレイ保持部に保持されたトレイから部品を吸着し、この部品を上記目標位置として実装作業位置にセットされている基板上に実装するように構成されていることを特徴とする表面実装機。
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