JP2007162744A - 回転−直動変換機構およびその組み立て方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】組み立て時の作業性に優れるとともに、バックラッシが所望の大きさに設定される回転−直動変換機構およびその組み立て方法を提供する。
【解決手段】回転−直動変換機構の組み立て方法は、サンシャフト31の直線運動とナット51の回転運動とを、サンシャフト31とナット51との間に配置され、サンシャフト31およびナット51に螺合する複数のプラネタリシャフト41を介して相互に変換する遊星作動ねじ型の回転−直動変換機構の組み立て方法である。回転−直動変換機構の組み立て方法は、ナット51に複数のプラネタリシャフト41およびサンシャフト31を内挿する組み立て工程と、組み立て工程の後、サンシャフト31を拡径する工程と、ナット51を縮径する工程との少なくともいずれか一方の工程を含むバックラッシ縮小工程とを備える。
【選択図】図7
【解決手段】回転−直動変換機構の組み立て方法は、サンシャフト31の直線運動とナット51の回転運動とを、サンシャフト31とナット51との間に配置され、サンシャフト31およびナット51に螺合する複数のプラネタリシャフト41を介して相互に変換する遊星作動ねじ型の回転−直動変換機構の組み立て方法である。回転−直動変換機構の組み立て方法は、ナット51に複数のプラネタリシャフト41およびサンシャフト31を内挿する組み立て工程と、組み立て工程の後、サンシャフト31を拡径する工程と、ナット51を縮径する工程との少なくともいずれか一方の工程を含むバックラッシ縮小工程とを備える。
【選択図】図7
Description
この発明は、一般的には、回転−直動変換機構およびその組み立て方法に関し、より特定的には、遊星作動ねじ型の回転−直動変換機構およびその組み立て方法に関する。
従来の回転−直動変換機構に関して、たとえば、特開平10−196757号公報には、効率を向上させるとともに、1回転当たりの直動量を小さくすることを目的とした回転−直動変換機構が開示されている(特許文献1)。特許文献1に開示された回転−直動変換機構は、シャフト、ローラおよびナットを備えるローラねじ機構から構成されている。シャフト、ローラおよびナットには、ねじが形成されている。各ねじの螺合を通じてナットの回転運動がローラおよびシャフトへと順に伝わり、シャフトが直線運動する。ローラおよびナットには、さらに、歯車が設けられている。ローラは、自らに設けられた歯車をナットに設けられた歯車に噛み合わせた状態で、自転しながらシャフトの周りを公転する。
また、実開平5−45294号公報には、新しい機構により歯部のバックラッシを除去することを目的とした遊星歯車装置が開示されている(特許文献2)。特許文献2では、各遊星歯車が、軸線方向に微小移動可能な状態に支持されている。遊星歯車には、弾性力によって軸線方向の予圧が負荷されている。
特開平10−196757号公報
実開平5−45294号公報
上述の特許文献に開示されるような遊星作動ねじ型の回転−直動変換機構では、歯車やギヤのバックラッシを小さく設定することによって、回転と直動との相互を高精度かつ高効率に変換したり、静粛性の向上を図ることが可能となる。しかしながら、バックラッシを小さく設定すると、歯車やギヤの寸法精度を厳しく管理する必要が生じたり、組み立て時の作業性が低下したりするおそれが生じる。
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、組み立て時の作業性に優れるとともに、バックラッシが所望の大きさに設定される回転−直動変換機構およびその組み立て方法を提供することである。
この発明の1つの局面に従った回転−直動変換機構の組み立て方法は、ねじ軸の直線運動とナットの回転運動とを、ねじ軸とナットとの間に配置され、ねじ軸およびナットに螺合する複数の遊星ねじローラを介して相互に変換する遊星作動ねじ型の回転−直動変換機構の組み立て方法である。回転−直動変換機構の組み立て方法は、ナットに複数の遊星ねじローラおよびねじ軸を内挿する組み立て工程と、組み立て工程の後、ねじ軸を拡径する工程と、ナットを縮径する工程との少なくともいずれか一方の工程を含むバックラッシ縮小工程とを備える。
このように構成された回転−直動変換機構の組み立て方法によれば、ねじ軸、複数の遊星ねじローラおよびナットの間のバックラッシを大きく設定した状態で組み立て工程を実施し、その後、バックラッシ縮小工程を実施する。このため、小さく設定されたバックラッシに起因して、複数の遊星ねじローラおよびねじ軸をナットに内挿し難くなるということがない。これにより、回転−直動変換機構の組み立て時の作業性を向上させることができる。また、バックラッシ縮小工程により、バックラッシを所望の大きさに設定することができる。
また、ねじ軸、ナットおよび複数の遊星ねじローラは、それぞれ、ねじ軸と複数の遊星ねじローラとの間および複数の遊星ねじローラとナットとの間で噛み合う歯車が形成されたギヤ部を有する。このように構成された回転−直動変換機構の組み立て方法によれば、ねじ軸、複数の遊星ねじローラおよびナットのそれぞれに形成されたねじ部に加え、ギヤ部のバックラッシに関しても、上述と同様の効果を得ることができる。
また好ましくは、ギヤ部は、ねじ軸および複数の遊星ねじローラに一体に設けられ、ナットに別体に設けられている。組み立て工程は、ねじ軸の外周上に複数の遊星ねじローラを配置することによって、ナットの内径よりも小さい直径を有する、ねじ軸と複数の遊星ねじローラとからなるサブアッセンブリを組み立てる工程と、サブアッセンブリをナットに内挿する工程と、サブアッセンブリを内挿する工程の後、ナットにギヤ部を設ける工程とを含む。このように構成された回転−直動変換機構の組み立て方法によれば、ナットと複数の遊星ねじローラとを螺合させながら、ねじ軸および複数の遊星ねじローラをナットに内挿する必要がなくなる。
この発明に従った回転−直動変換機構は、ねじ軸と、ねじ軸の外周上に配置されたナットと、ねじ軸とナットとの間に配置され、ねじ軸およびナットに螺合する複数の遊星ねじローラとを備え、ねじ軸の直線運動とナットの回転運動とを、複数の遊星ねじローラを介して相互に変換する遊星作動ねじ型の回転−直動変換機構である。ナットは、ねじ軸を中心とした周方向に分割され、ねじ部が形成された複数の部分と、その複数の部分が内挿され、複数の部分を一体にする筒状部材とを有する。
このように構成された回転−直動変換機構によれば、ねじ軸、遊星ねじローラおよびナットの間のバックラッシの大きさの影響を受けることなく、回転−直動変換機構を組み立てることができる。このため、組み立て時の作業性に優れるとともに、バックラッシが所望の大きさに設定される回転−直動変換機構を実現することができる。
この発明の別の局面に従った回転−直動変換機構の組み立て方法は、上述に記載の回転−直動変換機構の組み立て方法である。回転−直動変換機構の組み立て方法は、ねじ軸の外周上に、複数の遊星ねじローラおよび複数の部分を配置する組み立て工程と、その組み立て工程の後、筒状部材に複数の部分を圧入する工程と、複数の部分を筒状部材に内挿し、筒状部を縮径する工程との少なくともいずれか一方の工程を含む一体化工程とを備える。
このように構成された回転−直動変換機構の組み立て方法によれば、組み立て時の作業性を向上させることができる。また、一体化工程により、バックラッシを所望の大きさに設定することができる。
以上説明したように、この発明に従えば、組み立て時の作業性に優れるとともに、バックラッシが所望の大きさに設定される回転−直動変換機構およびその組み立て方法を提供することができる。
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
(実施の形態1)
図1は、バルブリフト可変機構を示す正面図である。図2は、図1中のバルブリフト可変機構を部分的に示す斜視図である。図2中では、内部構造が明確に把握できるように一部が破断されて表わされている。図1および図2中のバルブリフト可変機構に、本実施の形態における組み立て方法によって製造された回転−直動変換機構が接続される。
図1は、バルブリフト可変機構を示す正面図である。図2は、図1中のバルブリフト可変機構を部分的に示す斜視図である。図2中では、内部構造が明確に把握できるように一部が破断されて表わされている。図1および図2中のバルブリフト可変機構に、本実施の形態における組み立て方法によって製造された回転−直動変換機構が接続される。
図1および図2を参照して、バルブリフト可変機構100は、内燃機関のバルブ(本実施の形態では、吸気バルブ)のバルブリフト量を可変とする機構である。内燃機関は、ガソリンエンジンであっても良いし、ディーゼルエンジンであっても良い。内燃機関は車両に搭載される。
バルブリフト可変機構100は、内燃機関のシリンダヘッド内に設けられている。そのシリンダヘッド内には、カム103が形成されたカムシャフト102、揺動可能に軸支されたロッカアーム106およびロッカアーム106の揺動に応じて開閉駆動される吸気バルブ101が配設されている。バルブリフト可変機構100は、一方向に延びる駆動軸20と、駆動軸20の外周面を覆う支持パイプ108と、支持パイプ108の外周面上で駆動軸20の軸方向に並んで配置された入力アーム104および揺動カム105とを備える。
なお、この内燃機関では、各気筒にそれぞれ一対の吸気バルブ101およびロッカアーム106が設けられており、一対の吸気バルブ101が、1つのカム103によって開閉駆動される。バルブリフト可変機構100には、各気筒に設けられた1つのカム103に対応して、1つの入力アーム104が設けられている。入力アーム104の両側には、各気筒に設けられた一対の吸気バルブ101のそれぞれに対応して、2つの揺動カム105が設けられている。
支持パイプ108は、中空円筒状に形成されており、カムシャフト102に対して平行に配置されている。支持パイプ108は、軸方向へ移動したり、回転したりしないようにシリンダヘッドに固定されている。支持パイプ108の内部には、その軸方向に摺動可能なように駆動軸20が挿入されている。支持パイプ108の外周面上には、駆動軸20の軸芯を中心として揺動可能で、かつ、その軸方向には移動しないように、入力アーム104および2つの揺動カム105が設けられている。
入力アーム104は、支持パイプ108の外周面から離れる方向に突出するアーム部104aと、アーム部104aの先端に回転可能に接続されたローラ部104bとを有する。入力アーム104は、ローラ部104bがカム103に当接可能な位置に配置されるように設けられている。
揺動カム105は、支持パイプ108の外周面から離れる方向に突出する略三角形状のノーズ部105aを有する。ノーズ部105aの一辺(図1中の下方側の辺)には、凹状に湾曲したカム面105bが形成されている。吸気バルブ101には、バルブスプリングが設けられている。その付勢力によって、カム面105bには、ロッカアーム106に回転可能に取り付けられたローラ106aが押し付けられる。
入力アーム104および揺動カム105は、一体となって駆動軸20の軸芯を中心として揺動する。このため、カムシャフト102が回転すると、カム103に当接された入力アーム104が揺動し、この入力アーム104の動きに連動して揺動カム105も揺動する。この揺動カム105の動きが、ロッカアーム106を介して吸気バルブ101に伝わり、これによって吸気バルブ101が開閉駆動される。
バルブリフト可変機構100は、さらに、支持パイプ108の軸芯周りにおいて、入力アーム104と揺動カム105との相対位相差を変更する機構を備えており、この機構によって、吸気バルブ101のバルブリフト量を適宜変更する。つまり、両者の相対位相差を拡大すれば、入力アーム104および揺動カム105の揺動角に対するロッカアーム106の揺動角が拡大され、吸気バルブ101のバルブリフト量が増大される。また、両者の相対位相差を縮小すれば、入力アーム104および揺動カム105の揺動角に対するロッカアーム106の揺動角が縮小され、吸気バルブ101のバルブリフト量が低減される。
次に、上記の相対位相差を変更する機構について、より詳細な説明を行なう。図2に示されるように、入力アーム104および2つの揺動カム105と、支持パイプ108の外周面との間に規定された空間には、支持パイプ108に対して、回転可能で、かつ軸方向に摺動可能に支持されたスライダギア107が収容されている。
スライダギア107には、その軸方向の中央部に位置して、右ねじ螺旋状のヘリカルスプラインが形成されたヘリカルギア107bが設けられている。また、スライダギア107には、ヘリカルギア107bの両側に位置して、ヘリカルギア107bとは逆に左ねじ螺旋状のヘリカルスプラインが形成されたヘリカルギア107cがそれぞれ設けられている。
一方、スライダギア107を収容する空間を規定する入力アーム104および2つの揺動カム105の表面には、ヘリカルギア107bおよび107cに対応したヘリカルスプラインがそれぞれ形成されている。つまり、入力アーム104には、右ねじ螺旋状のヘリカルスプラインが形成されており、そのヘリカルスプラインがヘリカルギア107bに噛み合っている。また、揺動カム105には、左ねじ螺旋状のヘリカルスプラインが形成されており、そのヘリカルスプラインがヘリカルギア107cに噛み合っている。
スライダギア107には、一方のヘリカルギア107cとヘリカルギア107bとの間に位置して、周方向に延びる長穴107aが形成されている。また、支持パイプ108には、長穴107aの一部と重なるように、軸方向に延びる長穴108aが形成されている。支持パイプ108の内部に挿通された駆動軸20には、これら2つの長穴107aおよび108aの重なった部分を通じて突出する係止ピン20aが一体に設けられている。
駆動軸20がその軸方向に移動すると、スライダギア107が係止ピン20aにより押されるため、ヘリカルギア107bおよび107cが同時に駆動軸20の軸方向に移動する。このようなヘリカルギア107bおよび107cの移動に対して、これらにスプライン係合された入力アーム104および揺動カム105は、軸方向に移動しないため、ヘリカルスプラインの噛み合いを通じて駆動軸20の軸芯周りに回動する。このとき、入力アーム104と揺動カム105とでは、形成されたヘリカルスプラインの向きが逆であるため、回動方向が互いに逆方向となる。これにより、入力アーム104と揺動カム105との相対位相差が変化し、既に説明したように吸気バルブ101のバルブリフト量が変更される。
図3は、図1中のバルブリフト可変機構に接続された回転−直動変換機構を示す断面図である。続いて、回転−直動変換機構の構造について説明を行なう。
図3を参照して、回転−直動変換機構10は、中心軸201上に延びるサンシャフト31と、サンシャフト31の外周上で中心軸201と平行に延び、中心軸201周りの周方向に並んで配設された複数のプラネタリシャフト41と、複数のプラネタリシャフト41を取り囲むように設けられたナット51とを備える。サンシャフト31は、中心軸201上で図2中の駆動軸20と並ぶように配置されており、中心軸201の軸方向に駆動軸20を押し引きする。
サンシャフト31、プラネタリシャフト41およびナット51は、金属から形成されている。サンシャフト31、プラネタリシャフト41およびナット51は、たとえばステンレス系金属から形成されている。
サンシャフト31は、図示しないカップリング機構等により駆動軸20と接続される一方端31mと、その反対側に配置される他方端31nとを有する。サンシャフト31には、孔35が形成されている。孔35は、中心軸201の軸方向に延びている。孔35は、一方端31mおよび他方端31nに開口している。
サンシャフト31は、ねじ部33と、ギヤ部36および38とを有する。サンシャフト31には、ねじ部33が一体に設けられ、ギヤ部36および38が別体に設けられている。ギヤ部36および38は、サンシャフト31に嵌め合わされている。
ねじ部33は、サンシャフト31の外周面に形成された雄ねじによって構成されている。ギヤ部36および38は、サンシャフト31の外周面に形成され、中心軸201を中心に周方向に歯が並ぶ平歯ギヤによって構成されている。ギヤ部36とギヤ部38とは、中心軸201の軸方向に離間して設けられている。ギヤ部36は、他方端31n側に設けられ、ギヤ部38は、一方端31m側に設けられている。ねじ部33は、ギヤ部36とギヤ部38との間に設けられている。ねじ部33、ギヤ部36およびギヤ部38は、互いにほぼ等しいピッチ円直径を有する。
ナット51は、中心軸201を中心とする筒形状を有する。ナット51は、図示しない軸受けにより、中心軸201を中心に回転自在に支持されている。ナット51は、サンシャフト31との間に隙間を設けて配置されている。ナット51は、ねじ部52を有する。ねじ部52は、ナット51の内周面に形成された雌ねじによって構成されている。ねじ部52を構成する雌ねじは、サンシャフト31のねじ部33を構成する雄ねじとは逆向きである。
ナット51には、リングギヤ55および56が固定されている。リングギヤ55および56は、ナット51とは別体に設けられている。リングギヤ55および56は、たとえば圧入によりナット51に固定されている。リングギヤ55および56は、中心軸201の軸方向に沿ったねじ部52の両側に設けられている。リングギヤ55および56の内周面には、中心軸201を中心に周方向に歯が並ぶ平歯ギヤが形成されている。ねじ部52、リングギヤ55およびリングギヤ56は、互いにほぼ等しいピッチ円直径を有する。
回転−直動変換機構10は、さらに、ナット51に対して回転運動を入力するモータ71を備える。モータ71は、ナット51に固定されたロータ72と、ロータ72の外周上に配設され、コイル75が巻回されたステータ73とから構成されている。コイル75に通電することにより、ナット51がロータ72とともに中心軸201を中心に回転する。
プラネタリシャフト41は、サンシャフト31とナット51との間の隙間に配設されている。プラネタリシャフト41は、ねじ部45と、ギヤ部43および44とを有する。プラネタリシャフト41には、ねじ部45、ギヤ部43およびギヤ部44が一体に設けられている。
ねじ部45は、プラネタリシャフト41の外周面に形成された雄ねじによって構成されている。ねじ部45は、サンシャフト31のねじ部33と、ナット51のねじ部52とに螺合する。ねじ部45を構成する雄ねじは、ねじ部33を構成する雄ねじとは同じ向きであり、ねじ部52を構成する雌ねじとは逆向きである。
サンシャフト31のねじ部33を構成する雄ねじ、プラネタリシャフト41のねじ部45を構成する雄ねじおよびナット51のねじ部52を構成する雌ねじは、いずれも同一のピッチを有する多条ねじである。これら各ねじのピッチ円直径を、それぞれ、Ds、DpおよびDnとし、各ねじの条数を、それぞれ、Ns、NpおよびNnとする。本実施の形態では、サンシャフト31を中心軸201の軸方向にストロークさせるため、たとえば、Ns:Np:Nn=(Ds+1):Dp:Dnの関係を満たすように各ねじの条数が決定されている。なお、各ねじのピッチ円直径と条数とは、これ以外の関係も採り得る。
ギヤ部43および44は、プラネタリシャフト41の外周面に形成された平歯ギヤから構成されている。ギヤ部43を構成する平歯ギヤは、サンシャフト31のギヤ部36を構成する平歯ギヤと、リングギヤ55に形成された平歯ギヤとに噛み合う。ギヤ部44を構成する平歯ギヤは、サンシャフト31のギヤ部38を構成する平歯ギヤと、リングギヤ56に形成された平歯ギヤとに噛み合う。ねじ部45、ギヤ部43およびギヤ部44は、互いにほぼ等しいピッチ円直径を有する。本実施の形態では、ギヤ部43にさらに、平歯ギヤに重なって雄ねじが形成されている。
なお、以上に挙げたギヤ部やリングギヤに形成される歯車は、平歯ギヤに限定されない。
ナット51が回転すると、その回転運動は、ナット51およびプラネタリシャフト41間のねじ部の噛み合いにより、プラネタリシャフト41に伝わる。この際、プラネタリシャフト41のギヤ部43と、リングギヤ55およびサンシャフト31のギヤ部36とのそれぞれの間で平歯ギヤが噛み合い、プラネタリシャフト41のギヤ部44と、リングギヤ56およびサンシャフト31のギヤ部38とのそれぞれの間で平歯ギヤが噛み合う。これにより、プラネタリシャフト41は、強制駆動され、中心軸201の軸方向に静止したまま、自転しながら中心軸201を中心に公転する。また同時に、プラネタリシャフト41は、これら平歯ギヤの噛み合いにより、中心軸201の軸方向に平行な姿勢に保持される。
プラネタリシャフト41の回転運動は、プラネタリシャフト41およびサンシャフト31間のねじ部の噛み合いにより、サンシャフト31に伝わる。結果、サンシャフト31は、中心軸201の軸方向に直線運動する。
図4から図9は、この発明の実施の形態1において、図3中の回転−直動変換機構の組み立て方法の工程を示す図である。続いて、図3中の回転−直動変換機構10の組み立て方法について説明を行なう。
図4を参照して、ギヤ部36および38が設けられていない状態のサンシャフト31の外周上に、複数のプラネタリシャフト41を放射状に配置し、サンシャフト31と複数のプラネタリシャフト41とからなるサブアッセンブリを組み立てる。
図5を参照して、先の工程で得たサブアッセンブリを、サンシャフト31の他方端31n側からナット51に挿入する。ナット51のねじ部52とプラネタリシャフト41のギヤ部43とが重なり始めたら、ナット51を回転させる。これにより、ねじ部52にギヤ部43およびねじ部45を順次、螺合させながら、サブアッセンブリをナット51の所定の位置まで挿入する。
この際、サンシャフト31、プラネタリシャフト41およびナット51の間でねじ部のバックラッシが大きく設定されている。このため、サンシャフト31および複数のプラネタリシャフト41からなるサブアッセンブリをナット51に挿入する作業を容易に行なうことができる。
図6を参照して、リングギヤ55および56を、それぞれ、サンシャフト31の他方端31nおよび一方端31m側からナット51に嵌め合わせる。ギヤ部36および38を、それぞれ、サンシャフト31の他方端31nおよび一方端31m側からサンシャフト31に嵌め合わせる。
この際、サンシャフト31、プラネタリシャフト41およびナット51の間でギヤ部のバックラッシが大きく設定されている。このため、ナット51にリングギヤ55および56を嵌め合わせ、サンシャフト31にギヤ部36および38を嵌め合わせる作業を容易に行なうことができる。以上の工程により、回転−直動変換機構10が仮に組み上がる。
図8は、図7中のVIII−VIII線上に沿った回転−直動変換機構の断面図である。図9は、図7中のIX−IX線上に沿った回転−直動変換機構の断面図である。
図7から図9を参照して、次に、組み上がった回転−直動変換機構10を、ローラ81とローラ82との間に配置する。ナット51は、ナット51の外周面51aがローラ81およびローラ82に接触するように配置される。ローラ81およびローラ82の軸間距離を適当な値に調整する。軸間距離は、バックラッシの縮小寸法や、ナット51が変形した後の形状の戻り代等を考慮して決定される。本実施の形態では、バックラッシの縮小寸法は、ナット51の直径で、たとえば数10μmから数100μm程度である。
ナット51を押圧した状態でローラ81およびローラ82を回転させることより、ナット51を縮径する。これにより、ナット51およびプラネタリシャフト41間のねじ部およびギヤ部のバックラッシが縮小される。
さらに、サンシャフト31に形成された孔35にシャフト86を圧入することにより、サンシャフト31を拡径する。これにより、サンシャフト31およびプラネタリシャフト41間のねじ部およびギヤ部のバックラッシが縮小される。以上の工程により、図3中の回転−直動変換機構10を完成させる。
本実施の形態では、ローラ81およびローラ82を回転させることにより、ナット51が回転するため、中心軸201を中心にその周方向に並ぶプラネタリシャフト41の位置が絶えず変化する。このため、中心軸201周りのすべての位置においてねじ部およびギヤ部のバックラッシを均一に縮小することができる。
なお、本実施の形態では、ナット51を縮径する工程とサンシャフト31を拡径する工程との両方を実施したが、バックラッシが十分に縮小される場合には、いずれか一方の工程を実施しても良い。
この発明の実施の形態1における回転−直動変換機構の組み立て方法は、ねじ軸としてのサンシャフト31の直線運動とナット51の回転運動とを、サンシャフト31とナット51との間に配置され、サンシャフト31およびナット51に螺合する複数の遊星ねじローラとしてのプラネタリシャフト41を介して相互に変換する遊星作動ねじ型の回転−直動変換機構10の組み立て方法である。回転−直動変換機構10の組み立て方法は、ナット51に複数のプラネタリシャフト41およびサンシャフト31を内挿する組み立て工程と、組み立て工程の後、サンシャフト31を拡径する工程と、ナット51を縮径する工程との少なくともいずれか一方の工程を含むバックラッシ縮小工程とを備える。
このように構成された、この発明の実施の形態1における回転−直動変換機構10の組み立て方法によれば、ナット51に、サンシャフト31と複数のプラネタリシャフト41とからなるサブアッセンブリを挿入する際には、ねじ部およびギヤ部のバックラッシが大きく設定され、回転−直動変換機構10が組み上がった後に、そのバックラッシが縮小される。このため、組み立て時の作業性を低下させることなく、回転−直動変換機構10に含まれるねじ部およびギヤ部間のバックラッシを最小限に設定することができる。
バックラッシが最小限に設定された回転−直動変換機構10では、サンシャフト31の移動方向が反転した時に生じるヒステリシスを低減することができる。また、サンシャフト31に対する負荷荷重が中心軸201の軸方向に変動した場合にねじ部およびギヤ部で発生する歯打ち音を、小さく抑えることができる。
通常、ねじや歯車のバックラッシを最小限に設定するためには、たとえば一対の平歯ギヤの場合、ギヤの軸間距離を調整する等の方法が考えられる。しかしながら、遊星作動ねじ型の回転−直動変換機構10では、プラネタリシャフト41の相対ピッチを移動させると、機構の減速比が変化し、回転と直動との関係が変化する。また、想定したピッチ円上でナット51、プラネタリシャフト41およびサンシャフト31が噛み合わなくなる。このため、ねじ部の噛み合い位置で余計な滑りが発生し、運動の変換効率が低下するおそれが生じる。
また、ねじや歯車のバックラッシを最小限に設定する方法として、ねじ、ギヤの形状を高精度に仕上げたり、仕上がった寸法を測定して適当な組み合わせとなる部品を選択したりする方法が考えられる。しかしながら、この場合、部品コストや製造コストの増大を招くおそれがある。
一方、本実施の形態によれば、これらの問題点を解決し、高精度かつ高効率で、低コストで製造される回転−直動変換機構10を実現することができる。
なお、本実施の形態では、本発明による組み立て方法を内燃機関のバルブリフト可変機構に接続される回転−直動変換機構10に適用したが、これに限定されず、直線駆動が必要となる各種機構に接続される回転−直動変換機構に適用することができる。また本発明を、入力された直線運動を回転運動に変換して出力する回転−直動変換機構に適用することもできる。
(実施の形態2)
図10から図12は、この発明の実施の形態2において、回転−直動変換機構の組み立て方法の工程を示す断面図である。
図10から図12は、この発明の実施の形態2において、回転−直動変換機構の組み立て方法の工程を示す断面図である。
図10を参照して、本実施の形態における組み立て方法により製造される回転−直動変換機構では、プラネタリシャフト41のギヤ部43に雄ねじが形成されておらず、平歯ギヤのみが形成されている。サンシャフト31には、ねじ部33と、ギヤ部36および38とが一体に設けられている。
本実施の形態における組み立て方法では、まず、サンシャフト31の外周上に複数のプラネタリシャフト41を放射状に配置し、サンシャフト31と複数のプラネタリシャフト41とからなるサブアッセンブリを組み立てる。このとき、本実施の形態では、サブアッセンブリは、ナット51の内径よりも小さい直径を有する。
図11を参照して、サブアッセンブリを、サンシャフト31の他方端31n側からナット51に挿入する。本実施の形態では、サブアッセンブリの直径がナット51の内径よりも小さいため、ナット51のねじ部52にプラネタリシャフト41のギヤ部43およびねじ部45を螺合させることなく、サブアッセンブリをナット51の所定の位置まで挿入する。
図12を参照して、リングギヤ55および56を、それぞれ、サンシャフト31の他方端31nおよび一方端31m側からナット51に嵌め合わせる。続いて、実施の形態1における図7から図9に示すバックラッシ縮小工程を実施し、回転−直動変換機構を完成させる。
このように構成された、この発明の実施の形態2における回転−直動変換機構の組み立て方法によれば、実施の形態1に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
加えて、本実施の形態では、サンシャフト31と複数のプラネタリシャフト41とからなるサブアッセンブリをナット51に挿入する際、ねじ部52にギヤ部43およびねじ部45を螺合させる必要がない。このため、サンシャフト31に、ねじ部33と、ギヤ部36および38とを一体に設けることができる。また、実施の形態1のようにギヤ部43に雄ねじを形成する必要がないため、ギヤ部43と、ギヤ部36およびリングギヤ55との間のギヤ部の噛み合い率を十分に確保することができる。また、ギヤ部の噛み合い率を十分に確保できるため、中心軸201の軸方向のギヤ部43の長さを短く設定することが可能となる。
(実施の形態3)
図13は、この発明の実施の形態3における回転−直動変換機構を示す断面図である。図中には、実施の形態1における図8に対応する断面位置が表わされている。図14から図16は、図13中の回転−直動変換機構の組み立て方法の工程を示す断面図である。図15は、図14中のXV−XV線上に沿った回転−直動変換機構の断面図である。
図13は、この発明の実施の形態3における回転−直動変換機構を示す断面図である。図中には、実施の形態1における図8に対応する断面位置が表わされている。図14から図16は、図13中の回転−直動変換機構の組み立て方法の工程を示す断面図である。図15は、図14中のXV−XV線上に沿った回転−直動変換機構の断面図である。
本実施の形態における回転−直動変換機構は、実施の形態2における回転−直動変換機構と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については、その説明を繰り返さない。
図13および図14を参照して、本実施の形態では、ナット51が、部分51pおよび51qと円筒91とを有する。部分51pおよび51qは、実施の形態1における図8中のナット51を中心軸201を中心とする周方向に2つに分割した形状を有する。互いに組み合わされた部分51pと部分51qとは、円筒91に挿入されている。円筒91は、部分51pと部分51qとを一体に保持している。実施の形態1における図3中のリングギヤ55および56に替えて、部分51pおよび51qには、ギヤ部57および58が設けられている。部分51pおよび51qには、ねじ部52、ギヤ部57およびギヤ部58が一体に設けられている。
なお、本実施の形態では、ナット51が部分51pおよび51qの2つの部分を有する場合について説明したが、ナット51は、中心軸201を中心とする周方向にナット51が3以上に分割された複数の部分を有しても良い。
続いて、図13中の回転−直動変換機構の組み立て方法について説明を行なう。図14および図15を参照して、サンシャフト31の外周上に、複数のプラネタリシャフト41を放射状に配置する。さらに、複数のプラネタリシャフト41を取り囲むように、サンシャフト31の外周上に部分51pおよび51qを配置する。
図16を参照して、サンシャフト31および複数のプラネタリシャフト41が内挿された部分51pおよび51qを、円筒91に圧入し、部分51pおよび51qを一体化する。以上の工程により、図13中の回転−直動変換機構を完成させる。
図17は、図16中に示す工程の変形例を示す断面図である。図17を参照して、本変形例では、図16中に示す工程に替えて、サンシャフト31および複数のプラネタリシャフト41が内挿された部分51pおよび51qを、円筒91に挿入する。実施の形態1における図7から図9に示す工程と同様の工程により、円筒91を縮径し、部分51pおよび51qを一体化する。
このように構成された、この発明の実施の形態3における回転−直動変換機構およびその製造方法によれば、実施の形態1および2に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 回転−直動変換機構、31 サンシャフト、33,45,52 ねじ部、36,38,43,44,57,58 ギヤ部、41 プラネタリシャフト、51 ナット、51p,51q 部分、55,56 リングギヤ、91 円筒。
Claims (5)
- ねじ軸の直線運動とナットの回転運動とを、前記ねじ軸と前記ナットとの間に配置され、前記ねじ軸および前記ナットに螺合する複数の遊星ねじローラを介して相互に変換する遊星作動ねじ型の回転−直動変換機構の組み立て方法であって、
前記ナットに前記複数の遊星ねじローラおよび前記ねじ軸を内挿する組み立て工程と、
前記組み立て工程の後、前記ねじ軸を拡径する工程と、前記ナットを縮径する工程との少なくともいずれか一方の工程を含むバックラッシ縮小工程とを備える、回転−直動変換機構の組み立て方法。 - 前記ねじ軸、前記ナットおよび前記複数の遊星ねじローラは、それぞれ、前記ねじ軸と前記複数の遊星ねじローラとの間および前記複数の遊星ねじローラと前記ナットとの間で噛み合う歯車が形成されたギヤ部を有する、請求項1に記載の回転−直動変換機構の組み立て方法。
- 前記ギヤ部は、前記ねじ軸および前記複数の遊星ねじローラに一体に設けられ、前記ナットに別体に設けられており、
前記組み立て工程は、
前記ねじ軸の外周上に前記複数の遊星ねじローラを配置することによって、前記ナットの内径よりも小さい直径を有する、前記ねじ軸と前記複数の遊星ねじローラとからなるサブアッセンブリを組み立てる工程と、
前記サブアッセンブリを前記ナットに内挿する工程と、
前記サブアッセンブリを内挿する工程の後、前記ナットに前記ギヤ部を設ける工程とを含む、請求項2に記載の回転−直動変換機構の組み立て方法。 - ねじ軸と、
前記ねじ軸の外周上に配置されたナットと、
前記ねじ軸と前記ナットとの間に配置され、前記ねじ軸および前記ナットに螺合する複数の遊星ねじローラとを備え、
前記ねじ軸の直線運動と前記ナットの回転運動とを、前記複数の遊星ねじローラを介して相互に変換する遊星作動ねじ型の回転−直動変換機構であって、
前記ナットは、前記ねじ軸を中心とした周方向に分割され、ねじ部が形成された複数の部分と、前記複数の部分が内挿され、前記複数の部分を一体にする筒状部材とを有する、回転−直動変換機構。 - 請求項4に記載の回転−直動変換機構の組み立て方法であって、
前記ねじ軸の外周上に、前記複数の遊星ねじローラおよび前記複数の部分を配置する組み立て工程と、
前記組み立て工程の後、前記筒状部材に前記複数の部分を圧入する工程と、前記複数の部分を前記筒状部材に内挿し、前記筒状部を縮径する工程との少なくともいずれか一方の工程を含む一体化工程とを備える、回転−直動変換機構の組み立て方法。
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2005
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