JP2007162061A - 自己触媒型無電解金めっき液 - Google Patents

自己触媒型無電解金めっき液 Download PDF

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Kimiko Kudo
喜美子 工藤
Teruaki Shimoji
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Toshiya Murata
俊也 村田
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Abstract

【課題】無電解ニッケルめっき皮膜上に形成された置換型の金めっき皮膜上に更に自己触媒的に金めっき皮膜を形成する目的等に使用できる無電解金めっき液であって、パターン外析出が発生し難く、めっき浴の分解、沈殿なども生じにくい、安定性に優れた新規な自己触媒型無電解金めっき浴を提供する。
【解決手段】(i)水溶性金化合物、
(ii)錯化剤、
(iii)還元剤、並びに
(iv)第四級アンモニウム基を含む化合物及び第四級ホスホニウム基を含む化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分、
を含有する水溶液からなる自己触媒型無電解金めっき液。
【選択図】なし

Description

本発明は、自己触媒型無電解金めっき液に関する。
プリント配線板、半導体パッケージ、電子部品等の製造時における最終工程の一つに、導体回路、端子部分等に無電解ニッケルめっきを施し、更に無電解金めっきを行う処理がある。これは、プリント配線板の銅回路表面の酸化を防止して、良好なハンダ接続性能を発揮させることや、半導体パッケージとその上に実装される電子部品とをワイヤーボンディングさせる際に、半導体パッケージ、電子部品等の端子部分の金属と、金やアルミのワイヤーとを良好な状態で接合させることを目的とするものである。
このようなめっき皮膜の形成方法としては、プリント配線板の銅皮膜や、半導体パッケージや電子部品の金属ペースト上に、無電解ニッケルめっき皮膜を自己触媒的に析出させ、その後、該無電解ニッケル皮膜上に金めっき皮膜を置換析出させ、さらに自己触媒的に無電解金めっき皮膜を厚く成膜する方法が一般的な方法である。
しかしながら、上記した製造工程において、従来の自己触媒型無電解金めっきを用いる場合には、めっき液の安定性が低下すると、目的とする置換型金めっき皮膜上だけでなく、不要な箇所にも金めっき皮膜が析出する現象、いわゆるパターン外析出が生じやすくなる。この様な現象は製品の不良を引き起こし、信頼性を低下させる原因となっている。
この様なパターン外析出を防止するために有効な添加剤としては、チオ尿素、金属シアン化物、アセチルアセトン、エチルオキサント酸等が知られている(下記非特許文献1参照)。しかしながら、これらの添加剤の内で、チオ尿素はめっき析出速度を低下させるという悪影響があり、金属シアン化物は毒性が高いという欠点がある。また、アセチルアセトン、エチルオキサント酸等は、添加効果が小さく、充分な効果を得るためには、多量に添加することが必要となる。
古藤田哲哉著、「NPシリーズ貴金属めっき」、1992年6月10日槇書店発行、P36
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、例えば、無電解ニッケルめっき皮膜上に形成された置換型の金めっき皮膜上に更に自己触媒的に金めっき皮膜を形成する目的等に使用できる無電解金めっき液であって、パターン外析出が発生し難く、めっき浴の分解、沈殿なども生じにくい、安定性に優れた新規なめっき浴を提供することである。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、水溶性金化合物、錯化剤及び還元剤を含有する自己触媒型無電解金めっき液に、更に、安定剤として、第四級アンモニウム基を含む化合物又は第四級ホスホニウム基を含む化合物を添加することにより、めっき液の安定性が向上して、パターン外析出が生じにくく、浴安定性にも優れた無電解金めっき液が得られることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の自己触媒型無電解金めっき液を提供するものである。
1.
(i)水溶性金化合物、
(ii)錯化剤、
(iii)還元剤、並びに
(iv)第四級アンモニウム基を含む化合物及び第四級ホスホニウム基を含む化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分、
を含有する水溶液からなる自己触媒型無電解金めっき液。
2.第四級アンモニウム基を含む化合物及び第4級ホスホニウム基を含む化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分が、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物、N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチルエチレンジアンモニウム化合物、及びジアリルジメチルアンモニウムクロライドを単量体成分として含む重合体からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分である上記項1に記載の自己触媒型無電解金めっき液。
本発明の自己触媒型無電解金めっき液は、(i)水溶性金化合物、(ii)錯化剤、(iii)還元剤、並びに(iv)第四級アンモニウム基を含む化合物及び第4級ホスホニウム基を含む化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分を含有する水溶液からなるものである。
以下、本発明の無電解金めっき液について更に詳細に説明する。
(i)水溶性金化合物:
本発明の自己触媒型無電解金めっき液では、水溶性金化合物としては、公知の金めっき液において金供給源として用いられている各種化合物を用いることができる。具体例としては、亜硫酸金ナトリウム、シアン化金ナトリウム、シアン化金カリウム、塩化金酸ナトリウム、塩化金酸カリウム等を挙げることができるが、これらの金化合物に限定されるものではない。
水溶性金化合物の濃度については特に限定的ではないが、金濃度が低すぎると、金めっきの析出速度が遅くなり、所定の金めっき皮膜を形成するために長時間を要することになる。一方、金濃度が高すぎると、めっき液からの金化合物の持ち出し量が多くなりコスト高になるので好ましくない。このような点から、金イオンとして0.001〜0.1mol/L程度とすることが好ましく、0.002〜0.05mol/L程度とすることがより好ましい。
(ii)錯化剤:
錯化剤についても特に限定されるものではなく、公知の無電解金めっき液で用いられている錯化剤を使用できる。例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム等の亜硫酸塩;シアン化ナトリウム、シアン化カリウム等のシアン化物;チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム等のチオ硫酸塩;リン酸、ホウ酸等の無機酸、その塩類(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等);クエン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸等のヒドロキシカルボン酸、その塩類(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等);エチレンジアミン、トリエタノールアミン等のアミン化合物;グリシン、アラニン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロトリ三酢酸等のアミノカルボン酸、その塩類(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等);アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸、その塩類(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)などを用いることができる。
錯化剤の濃度は、特に制限されるものではないが、通常5〜300g/L程度とすればよく、これを下回る濃度では錯化剤としての効果が不十分となる場合があり、濃度が高すぎても効果はあまり上がらず不経済である。特に、錯化剤の濃度は20〜200g/L程度とすることが好ましい。
(iii)還元剤:
還元剤についても特に限定的ではなく、公知の自己触媒型無電解金めっき液で用いられているものと同様の還元剤を使用できる。例えば、抱水ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、中性硫酸ヒドラジン、マレイン酸ヒドラジン、これらの塩等のヒドラジン類;ヒドロキシルアミン類及びその塩等;アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、イソプロピルヒドラジン硫酸塩等のヒドラジン誘導体;アスコルビン酸、その塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩等);トリメチルアミンボラン(TMAB)、ジメチルアミンボラン(DMAB)等の水素化ホウ素化合物;チオ尿素;次亜リン酸、その塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩等)等を用いることができる。
これら還元剤の作用により、めっき液中の金イオンが還元されて、被めっき物に金が析出する。還元剤の配合量は、特に制限されるものではないが、通常1〜100g/L程度とすればく、5〜70g/L程度とすることが好ましい。この場合、これら還元剤の濃度にほぼ比例してめっき速度が増大するが、100g/Lを超える量を添加してもめっき速度は余り大きくならず、むしろ浴安定性が劣化する場合があるので好ましくない。一方、還元剤の濃度が1g/L未満であるとめっき速度が非常に遅くなるのでやはり好ましくない。
(iv)安定剤
本発明の自己触媒型無電解金めっき液は、安定剤として、第四級アンモニウム基を含む化合物及び第四級ホスホニウム基を含む化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分を含有するものである。本発明の無電解金めっき液は、この様な特定の化合物を安定剤として含有することによって、めっき浴の安定性が良好になり、パターン外析出を防止して、目的とする部分にのみ金めっき皮膜を形成することが可能となる。更に、めっき浴の分解や沈殿が生じることなく、めっき液の長期使用が可能となる。
第四級アンモニウム基を含む化合物としては、例えば、第四級アンモニウム化合物、第四級アンモニウム基を含むポリマー等を用いることができ、第四級ホスホニウム基を含む化合物としては、第四級ホスホニウム化合物等を用いることができる。
第四級アンモニウム化合物の具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリエチル(メチル)アンモニウム、テトラフェニルアンモニウム等の炭素数1〜10程度の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基及び/又はアリール基を有する第四級アンモニウムをカチオンとして含む水溶性アンモニウム化合物(塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩等)を挙げることができる。更に、N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチルエチレンジアンモニウムをカチオンとして含む水溶性化合物(塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩等)等の第四級アンモニウム基を二個またはそれ以上含む水溶性化合物も安定剤として有効に用いることができる。第四級アンモニウム基を含むポリマーとしては、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドを単量体成分として含む重合体を用いることができる。ジアリルジメチルアンモニウムクロライドを単量体成分として含む重合体としては、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドの単独重合体の他、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−ジアリルアミン塩酸塩誘導体共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−二酸化イオウ共重合体等のジアリルジメチルアンモニウムクロライドを単量体成分として含む共重合体も用いることができる。第四級アンモニウム基を含むポリマーの分子量は、本発明の無電解金めっき液中に可溶性であれば特に限定はないが、例えば、平均分子量が300〜100000程度のポリマーを好適に使用できる。
第四級ホスホニウム化合物の具体例としては、テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、ジブチルジメチルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム等の炭素数1〜10程度の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基及び/又はアリール基を有する第四級ホスホニウムをカチオンとして含む水溶性ホスホニウム化合物(塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩等)を挙げることができる。第四級アンモニウム基を含む化合物と第四級ホスホニウム基を含む化合物は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
第四級アンモニウム基を含む化合物及び第四級ホスホニウム基を含む化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分の濃度は、特に限定的ではないが、通常、0.1〜10000mg/L程度とすればよく、10〜50mg/L程度とすることが好ましい。これらの成分の濃度が低いとめっき液が不安定となり、めっき液の分解や不要部分への金の析出が発生する場合があり、多すぎるとめっき外観不良が起こる場合があるので、いずれも好ましくない。
本発明の自己触媒型無電解金めっき液は、上記した水溶性金化合物、錯化剤、還元剤及び安定剤を必須成分として含有する水溶液からなるものであり、めっき液の特性に悪影響を及ぼさない限り、上記成分の他に、他の金属塩、有機化合物などが含まれていても良い。
無電解金めっき方法
本発明の自己触媒型無電解金めっき液を用いるめっき方法は、通常の自己触媒型の無電解めっきの処理方法と同様で良い。通常は、被めっき物を無電解金めっき液中に浸漬する方法によってめっき処理を行うことができる。
処理対象物については特に限定されないが、代表的な処理対象物は、プリント配線基板、電子部品などの導体回路、端子部分において、無電解ニッケルめっき皮膜を形成した上に、置換型の金めっき皮膜を形成した物品である。この場合には、置換型金めっき皮膜上に、直接、本発明の無電解金めっき液を用いてめっき処理を行うことが可能である。
また、自己触媒型無電解金めっき液に対して触媒活性の無い被めっき物に対しては、公知の方法に従って被めっき物に無電解めっき用触媒を付与した後、本発明の無電解金めっき液を用いてめっき処理を行えばよい。
無電解金めっきを行う際の金めっき液の液温は、低すぎると析出反応が緩慢となって金めっき皮膜の未析出や外観不良が発生し易くなるので、通常40℃以上とすればよい。一方、液温が高すぎるとめっき液の分解が生じ易くなり、更に、水の蒸発が激しすぎるために、めっき液中に含まれる成分の濃度維持が困難となる。このため、めっき液の液温は、55〜100℃程度とすることが好ましい。
無電解金めっき液のpHは、水溶性金化合物として、亜硫酸金塩、シアン化金塩を用いた場合、低すぎるとめっき液中の亜硫酸イオン、シアンイオンが大気中に亜硫酸ガス、シアンガスとして放出されてめっき液の安定性が低下し、作業環境も悪化する。また、水溶性金化合物として塩化金塩を用いた場合、塩化金を安定に保持するため亜硫酸イオンやシアンイオンが必要となり、前述と同様のことが言える。一方、pHが高すぎると、還元剤の還元電位が高すぎてめっき液の安定性が低下する。これらの点から、めっき液のpHは3〜12程度とすることが好ましく、5〜10程度とすることがより好ましい。
本発明の自己触媒型無電解金めっき液は、優れた安定性を有するものであり、例えば、各種の素材上に形成された金等の金属部分に金めっき処理を行う場合に、不要部分に対してほとんど金めっき皮膜が析出することなく、目的とする金属部分にのみ選択的に金めっき皮膜を形成することができる。また、浴安定性が良好であることから、浴分解や沈殿物が生じることなく、長期間安定にめっき浴を使用できる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1〜5及び比較例1〜5
パッド径0.5mmのBGA搭載用の銅回路を有する5×10cmの独立回路基板について、各銅回路上に厚さ約5μmの無電解ニッケル皮膜(含リン率5〜8%)を形成し、水洗を行った後、置換型金めっき液に10分間浸漬して金めっき皮膜を形成した基板を被めっき物として用いた。
この被めっき物を、下記表1に示す自己触媒型無電解金めっき液中に1時間浸して無電解金めっき皮膜を形成した。
形成された金めっき皮膜について、下記の方法で析出速度、外観、パターン外析出、ワイヤーボンディング性及び浴安定性を評価した。結果を下記表2に示す。
* 析出速度:蛍光X線膜厚測定装置を用いて膜厚を測定した。
* 外観:目視により色調及び未析出の有無を調べた。
* パターン外析出:配線幅100μm、スペース幅100μmの配線パターンを実体顕微鏡で観察し、パターン外析出の有無を確認した。
* ボンディング特性:ボンディングマシンを用いて、φ28μmの金ワイヤーをボンディングし、ボンディング強度測定装置を用いてワイヤーボンディング強度を測定した。また、その破断状態を下記の基準により表した。
○:金ワイヤーの破断発生、 △:金めっき表面からワイヤーが剥離
×:無電解ニッケルめっき皮膜と金めっき皮膜との間が剥離
* 浴安定性:金濃度及び各主成分の濃度を測定し、補給操作を行ないながら、繰り返し無電解金めっきを行ない、2ターン終了後、めっき液を0.2μmのメンブランフィルターで濾過した。その後、フィルター上に残った濾過物について、蛍光X線分析装置を用いて金の有無を調べた。濾過物中に金の存在が認められた場合には、浴安定性を不安定と評価した。
Figure 2007162061
Figure 2007162061

Claims (2)

  1. (i)水溶性金化合物、
    (ii)錯化剤、
    (iii)還元剤、並びに
    (iv)第四級アンモニウム基を含む化合物及び第四級ホスホニウム基を含む化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分、
    を含有する水溶液からなる自己触媒型無電解金めっき液。
  2. 第四級アンモニウム基を含む化合物及び第4級ホスホニウム基を含む化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分が、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物、N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチルエチレンジアンモニウム化合物、及びジアリルジメチルアンモニウムクロライドを単量体成分として含む重合体からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分である請求項1に記載の自己触媒型無電解金めっき液。
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