JP2007161993A - ナフチル基を有する重合体、およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ナフチル基を有する新規重合体、およびその製造方法に関する。
透明高分子材料は、電気・電子・光分野の様々な用途に使用されている。従来、光学用高分子材料としては、ポリメチルメタクリレート系樹脂やポリカーボネート系樹脂が知られている。ポリメチルメタクリレート系樹脂は、透明性に非常に優れる材料である。しかし、吸湿性が高く、耐熱性や物理的強度に問題がある。一方、ポリカーボネート系樹脂は、低吸水性、耐熱性、耐衝撃性に優れるものの、光学的な歪が生じやすいという欠点がある。ポリビニルアセタール系樹脂は、自動車や建物等の窓ガラスの中間膜として広く使用されている(特許文献1)。また、光学ディスク用の基板として用いられることも開示されている(特許文献2)。しかしながら、従来のポリビニルアセタール系樹脂は、高温多湿の環境下で白濁が生じたり、高温の環境下で変形したりして、透明性および耐熱性に課題があった。このため、かかる課題の解決が望まれていた。
特開平8−026785号公報
特開昭62−036448号公報
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、透明性および耐熱性に優れる重合体を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下に示す重合体により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の重合体は、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を少なくとも有する。
〔一般式(I)中、R1は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のアルキル基、または置換若しくは非置換のフェニル基を表し、R2、AおよびBは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アミノ基、アジド基、ニトロ基、シアノ基または水酸基を表し(ただし、R2は水素原子ではない)、lは2以上の整数を表す。〕
好ましい実施形態においては、上記R1は水素原子である。
好ましい実施形態においては、上記R2はメトキシ基である。
好ましい実施形態においては、上記重合体は、下記一般式(II)で表される繰り返し単位をさらに有する。
〔一般式(II)中、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝アルキル基、炭素数5〜10の置換若しくは非置換のシクロアルキル基、置換若しくは非置換のフェニル基、置換若しくは非置換のナフチル基、または、置換若しくは非置換のヘテロ環基を表し、mは2以上の整数を表す。〕
好ましい実施形態においては、上記R3は水素原子である。
好ましい実施形態においては、上記R4は、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝アルキル基、または置換若しくは非置換のフェニル基である。
好ましい実施形態においては、上記重合体は、下記一般式(III)で表される繰り返し単位をさらに有する。
〔一般式(III)中、R5は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のアルキル基、ベンジル基、シリル基、リン酸基、アシル基、ベンゾイル基、またはスルホニル基を表し、nは2以上の整数を表す。〕
好ましい実施形態においては、上記重合体のガラス転移温度は90℃〜190℃である。
本発明の別の局面によれば、光学部材が提供される。この光学部材は上記重合体を含む。
本発明の別の局面によれば、重合体の製造方法が提供される。この製造方法は、少なくとも下記一般式(IX)で表される化合物とポリビニルアルコール系樹脂とを溶剤に溶解または分散させて、酸触媒の存在下で反応させる工程を含む。
〔一般式(IX)中、R1は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のアルキル基、または置換若しくは非置換のフェニル基を表し、R2、AおよびBは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アミノ基、アジド基、ニトロ基、シアノ基または水酸基を表す(ただし、R2は水素原子ではない)。〕
好ましい実施形態においては、上記ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、80%以上である。
好ましい実施形態においては、上記ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は400〜5,000である。
好ましい実施形態においては、上記反応の前にポリビニルアルコール系樹脂を乾燥させる工程を含む。
好ましい実施形態においては、上記溶剤が、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、N−メチルピロリドン、またはジメチルスルホシキドである。
好ましい実施形態においては、上記酸触媒が、塩酸、硫酸、リン酸、またはp−トルエンスルホン酸である。
本発明の重合体は、分子構造中にナフチル基を有することによって、透明性および耐熱性に優れる。さらに、上記重合体の組成比を特定の範囲に調製することによって、上記重合体を含む成形品は、複屈折を有する場合、複屈折率が長波長の光で測定したものほど大きい特性(逆波長分散特性)を示す。このような形成品は、光学用途に極めて有用である。
<1.本発明の重合体>
本発明の重合体は、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を少なくとも有する。上記重合体は、分子構造中にナフチル基を有することによって、透明性、および耐熱性に優れる。
本発明の重合体は、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を少なくとも有する。上記重合体は、分子構造中にナフチル基を有することによって、透明性、および耐熱性に優れる。
上記重合体は、例えば、少なくとも2種類のアルデヒド化合物及び/又はケトン化合物と、ポリビニルアルコール系樹脂とを縮合反応させて得ることができる。なお、本明細書において、上記重合体は、繰り返し単位;l(重合度)が20以上であり、重量平均分子量が大きい重合体(いわゆる高重合体)を包含する。さらに、上記重合体は、繰り返し単位;l(重合度)が2以上20未満であり、重量平均分子量が数千程度の低重合体(いわゆるオリゴマー)を包含する。
一般式(I)中、R1は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のアルキル基、または置換若しくは非置換のフェニル基を表す。ポリビニルアルコール系樹脂の縮合反応において、アルデヒド化合物を用いた場合、上記R1には水素原子が導入される。同縮合反応において、ケトン化合物を用いた場合、上記R1には水素原子以外の置換基が導入される。好ましくは、上記R1は、水素原子である。
上記一般式(I)中、R2、AおよびBは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アミノ基、アジド基、ニトロ基、シアノ基または水酸基を表す(ただし、R2は水素原子ではない)。上記R2は、ナフチル環の2位に置換した置換基であり、上記Aは、ナフチル環の3位または4位に置換した置換基である。上記Bは、ナフチル環の5位から8位に置換した置換基である。好ましくは、上記R2はメトキシ基である。また、好ましくは上記AおよびBは、水素原子である。
上記R2は、当該置換基が結合しているナフチル環の立体配座を制御するために用いられる。より具体的には、当該置換基は、立体障害により、上記一般式(I)中、2つの酸素原子の間に配座しやすくなると推定される。そして、上記のナフチル環の平面構造は、該2つの酸素原子を結ぶ仮想線に実質的に直交に配向される。このような重合体は、透明性、および耐熱性に優れる。
上記一般式(I)で表される繰り返し単位;lは、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂と1−ナフトアルデヒド類または1−ナフトン類との縮合反応によって得ることができる。上記1−ナフトアルデヒド類は、適宜、適切なものが採用され得る。上記1−ナフトアルデヒド類としては、例えば、2−メトキシ−1−ナフトアルデヒド、2−エトキシ−1−ナフトアルデヒド、2−プロポキシ−1−ナフトアルデヒド、2−メチル−1−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド等が挙げられる。上記1−ナフトン類は、適宜、適切なものが採用され得る。上記1−ナフトン類としては、例えば、2−ヒドロキシ−1−アセトナフトン、8’−ヒドロキシ−1’−ベンゾナフトン等が挙げられる。これらのなかで好ましくは、2−メトキシ−1−ナフトアルデヒドである(この場合、上記一般式(I)中、R2はメトキシ基であり、AおよびBは水素原子である)。
上記1−ナフトアルデヒド類は、任意の適切な合成法によって得ることができる。上記1−ナフトアルデヒド類の合成法としては、置換または非置換のナフトエ酸を、任意のアルコールと反応させて、置換または非置換のナフトエ酸エステルとした後、これをジイソブチルアルミニウムハイドライドや水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等の還元剤で還元する方法が挙げられる。かかる方法は、例えば、特開平9−040600号公報や特開平9−110775号公報に記載されている。上記1−ナフトアルデヒド類は、市販のものをそのまま用いることもできる。市販の1−ナフトアルデヒド類は、例えば、エア・ウォーター・ケミカル(株)や大和化成(株)から入手することができる。
上記1−ナフトン類は、任意の適切な合成法によって得ることができる。上記1−ナフトン類の合成法としては、例えば、置換または非置換のナフトエ酸を、適切なリン酸ハロゲン化物や塩化チオニルと反応させて、ハロゲン化アシルとした後、これをさらに適切な求核試薬と反応させる方法が挙げられる。その他、1−ナフトン類の合成法としては、特許第2846418号の参考例1に記載されている方法を用いることもできる。
1つの実施形態において、上記重合体は、上記一般式(I)で表される繰り返し単位に加え、さらに下記一般式(II)で表される繰り返し単位を少なくとも有する。上記重合体において、繰り返し単位lおよびmの配列順序は、特に制限はなく、交互、ランダムまたはブロックのいずれであってもよい。上記重合体は、例えば、少なくとも2種類のアルデヒド化合物及び/又はケトン化合物と、ポリビニルアルコール系樹脂とを縮合反応させて得ることができる。
上記一般式(II)中、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝アルキル基、炭素数5〜10の置換若しくは非置換のシクロアルキル基、置換若しくは非置換のフェニル基、置換若しくは非置換のナフチル基、または、置換若しくは非置換のヘテロ環基を表し、mは2以上の整数を表す。R3およびR4に、このような置換基を導入した重合体は、汎用溶剤(例えば、アセトン、酢酸エチル、トルエン等)への溶解性が優れる。好ましくは、上記R3は、水素原子である。上記R4は、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝アルキル基、または置換若しくは非置換のフェニル基である。このような置換基を有する重合体は、透明性、耐熱性、および成型加工性が、より一層優れる。
上記重合体において、一般式(II)で表される繰り返し単位;mは、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂と、任意のアルデヒド化合物またはケトン化合物との縮合反応によって得ることができる。アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、1,1−ジエトキシエタン(アセタール)、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、5−ノルボルネン−2−カルボキシアルデヒド、3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−クロロベンズアルデヒド、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、t−ブチルベンズアルデヒド、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、2−ニトロベンズアルデヒド、4−シアノベンズアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド、4−フェニルベンズアルデヒド、4−フルオロベンズアルデヒド、2−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、6−メトキシ−2−ナフトアルデヒド、3−メチル−2−チオフェンカルボキシアルデヒド、2−ピリジンカルボキシアルデヒド、インドール−3−カルボキシアルデヒド等が挙げられる。
ケトン化合物としては、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、t−ブチルケトン、ジプロピルケトン、アリルエチルケトン、アセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、4’−アミノアセトフェノン、p−クロロアセトフェノン、4’−メトキシアセトフェノン、2’−ヒドロキシアセトフェノン、3’−ニトロアセトフェノン、P−(1−ピペリジノ)アセトフェノン、ベンザルアセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、4−ニトロベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、p−ブロモベンゾフェノン、シクロヘキシル(フェニル)メタノン、2−ブチロナフトン、1−アセトナフトン等が挙げられる。
上記重合体において、一般式(I)および(II)でそれぞれ表される繰り返し単位lおよびmの比率は、目的に応じて、適宜、適切な値に設定され得る。上記繰り返し単位;lの比率は、好ましくは5モル%〜40モル%であり、さらに好ましくは5モル%〜30モル%であり、特に好ましくは10モル%〜20モル%である。上記繰り返し単位;mの比率は、好ましくは20モル%〜80モル%であり、さらに好ましくは40モル%〜75モル%であり、特に好ましくは50モル%〜75モル%である。繰り返し単位lおよびmの比率を上記の範囲とすることによって、透明性および耐熱性に、より一層優れた重合体を得ることができる。
上記繰り返し単位lおよびmの比率;l/m(モル/モル)は、好ましくは0.10〜0.50であり、さらに好ましくは0.12〜0.40であり、特に好ましくは0.15〜0.40である。繰り返し単位;lおよびmの比率を上記の範囲とすることによって、上記重合体を用いた成形品は、複屈折を有する場合、複屈折率が長波長の光で測定したものほど大きい特性(いわゆる、逆波長分散特性)を示す。このような特性を示す重合体は、例えば、複屈折フィルム、プラスチックレンズ等の光学部材に好適である。
1つの実施形態において、本発明の重合体は、上記一般式(I)で表される繰り返し単位に加え、さらに下記一般式(III)で表される繰り返し単位を少なくとも有する。例えば、上記重合体は、上記一般式(I)で表される繰り返し単位と、上記式(II)で表される繰り返し単位と、下記一般式(III)で表される繰り返し単位とを少なくとも有する。上記重合体において、各繰り返し単位の配列順序は、特に制限はなく、交互、ランダムまたはブロックのいずれであってもよい。
上記一般式(III)中、R5は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のアルキル基、ベンジル基、シリル基、リン酸基、アシル基、ベンゾイル基、またはスルホニル基を表す。
上記R5は、残存する水酸基を保護する(エンドキャップ処理ともいう)ことにより、吸水率を適切な値に調整するために用いられる。吸水率を小さくすると、例えば、上記重合体を用いた成形品は、高い透明性を有するものを得ることができる。本発明の重合体が用いられる用途や目的によっては、当該置換基は、エンドキャップ処理されていなくてもよい(すなわち、R5は水素原子のままでよい)。上記R5としては、例えば、水酸基の残存する重合体を得た後に、水酸基と反応して置換基を形成し得る(すなわち、エンドキャップ処理可能な)任意の適切な基(代表的には、保護基)が用いられ得る。
上記保護基は、例えば、ベンジル基、4−メトキシフェニルメチル基、メトキシメチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、アセチル基、ベンゾイル基、メタンスルホニル基、ビス−4−ニトロフェニルフォスファイト等が挙げられる。上記R5は、好ましくは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、またはt−ブチルジメチルシリル基である。これらの置換基を有する重合体は、高温多湿下の環境下においても、高い透明性を有する成形品が得られ得る。
上記エンドキャップ処理の反応条件は、水酸基と反応させる置換基の種類によって、適宜、適切な条件が採用され得る。例えば、アルキル化、ベンジル化、シリル化、リン酸化、スルホニル化などの反応は、水酸基の残存する重合体と目的とする置換基の塩化物とを、4(N,N−ジメチルアミノ)ピリジンなどの触媒の存在下、25℃〜100℃で1時間〜20時間攪拌して行なうことができる。
上記重合体において、上記一般式(III)で表される繰り返し単位;nの比率は、目的に応じて、適宜、適切な値に設定され得る。上記基本単位;nの比率は、好ましくは1モル%〜60モル%であり、さらに好ましくは5モル%〜50モル%であり、特に好ましくは10モル%〜40モル%であり、最も好ましくは10モル%〜25モル%である。基本単位;nの比率を上記の範囲とすることによって、高温多湿の環境下においても、透明性に優れる成形品を得ることができる。
1つの実施形態において、本発明の重合体は、下記一般式(IV)で表される繰り返し単位を少なくとも有する。一般式(IV)中、基本単位;oは、例えば、アルデヒド化合物として、置換または非置換のベンズアルデヒドを用いて導入することができる。このような重合体を用いることにより、より一層、透明性、耐熱性に優れた成形品を得ることができる。
上記一般式(IV)中、R2,R4およびR5は、上述したもの(一般式(I)、(II)、(III))と同様である。R6は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基または水酸基を表す。上記R6は、ベンゼン環のオルト位、メタ位またはパラ位に置換した置換基である。
上記一般式(IV)中、基本単位l、m、nおよびoの比率は、目的に応じて、適宜、適切な値が選択され得る。上記基本単位;lの比率は、好ましくは1モル%〜20モル%であり、さらに好ましくは5モル%〜15モル%である。上記基本単位;mの比率は、好ましくは25モル%〜50モル%であり、さらに好ましくは30モル%〜50モル%である。上記基本単位;nの比率は、好ましくは10モル%〜55モル%であり、さらに好ましくは15モル%〜50モル%である。上記基本単位;oの比率は、好ましくは1モル%〜20モル%であり、さらに好ましくは5モル%〜15モル%である。
さらに、構成単位lと、構成単位m及びoの合計との比率〔l/(m+o)〕(モル/モル)は、好ましくは0.10〜0.50であり、さらに好ましくは0.12〜0.40であり、特に好ましくは0.15〜0.30である。基本単位;l、m、nおよびoの比率を上記の範囲とすることによって、上記重合体を用いた成形品は、例えば、透明性、耐熱性、および逆波長分散特性(複屈折を有する場合)を兼ね備えた、優れた特性を有する。
別の実施形態において、本発明の重合体は、下記一般式(V)で表される繰り返し単位を少なくとも有する。一般式(V)中、基本単位;pは、例えば、出発原料として、エチレン−ビニルアルコール共重合体を用いて導入することができる。このような重合体を用いることにより、より一層、透明性および耐熱性に優れた成形品を得ることができる。なお、式(V)中、R2,R4およびR5は、上述したものと同様である。
上記一般式(V)中、基本単位l、m、nおよびpの比率は、目的に応じて、適宜、適切な値が選択され得る。上記基本単位;lの比率は、好ましくは5モル%〜25モル%であり、さらに好ましくは8モル%〜20モル%である。上記基本単位;mの比率は、好ましくは35モル%〜60モル%であり、さらに好ましくは40モル%〜55モル%である。上記基本単位;nの比率は、好ましくは10モル%〜40モル%であり、さらに好ましくは15モル%〜35モル%である。上記基本単位;pの比率は、好ましくは2モル%〜25モル%であり、さらに好ましくは5モル%〜20モル%である。
さらに、構成単位lと、構成単位m及びpの合計との比率〔l/(m+p)〕(モル/モル)は、好ましくは0.08〜0.40であり、さらに好ましくは0.10〜0.35であり、特に好ましくは0.12〜0.30である。基本単位;l、m、nおよびpの比率を上記の範囲とすることによって、上記重合体を用いた成形品は、例えば、透明性、耐熱性、および逆波長分散特性(複屈折を有する場合)を兼ね備えた、優れた特性を有する。
さらに別の実施形態において、本発明の重合体は、下記一般式(VI)で表される繰り返し単位を少なくとも有する。一般式(VI)中、基本単位;qは、例えば、アルデヒド化合物として、置換または非置換の2−ナフトアルデヒドを用いて導入することができる。このような重合体を用いることにより、より一層、透明性および耐熱性に優れた成形品を得ることができる。
上記一般式(VI)中、R2,R4およびR5は、上述したものと同様である。R7は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基または水酸基を表す。上記R7は、1位または3位〜8位のいずれかに置換した置換基である。上記基本単位;qに置換するナフチル基は、その1位および3位が水素原子であることが好ましい。
上記一般式(VI)中、基本単位l、m、nおよびqの比率は、目的に応じて、適宜、適切な値が選択され得る。上記基本単位;lの比率は、好ましくは1モル%〜20モル%であり、さらに好ましくは5モル%〜15モル%である。上記基本単位;mの比率は、好ましくは20モル%〜55モル%であり、さらに好ましくは20モル%〜50モル%である。上記基本単位;nの比率は、好ましくは10モル%〜65モル%であり、さらに好ましくは15モル%〜60モル%である。上記基本単位;qの比率は、好ましくは1モル%〜15モル%であり、さらに好ましくは5モル%〜10モル%である。
さらに、構成単位lと、構成単位m及びqの合計との比率〔l/(m+q)〕(モル/モル)は、好ましくは0.10〜0.50であり、さらに好ましくは0.12〜0.40であり、特に好ましくは0.15〜0.30である。基本単位;l、m、nおよびqの比率を上記の範囲とすることによって、上記重合体を用いた成形品は、例えば、透明性、耐熱性、および逆波長分散特性(複屈折を有する場合)を兼ね備えた、優れた特性を有する。
さらに別の実施形態において、本発明の重合体は、下記一般式(VII)で表される繰り返し単位を少なくとも有する重合体を含有する。一般式(VII)中、基本単位;rは、例えば、アルデヒド化合物として、置換または非置換のシクロヘキサンカルボキシアルデヒドを用いて導入することができる。このような重合体を用いることにより、より一層、透明性および耐熱性に優れた成形品を得ることができる。
上記一般式(VII)中、R2,R4およびR5は、上述したものと同様である。R8は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基または水酸基を表す。上記R8は、2位〜6位のいずれかに置換した置換基である。
上記一般式(VII)中、基本単位l、m、nおよびrの比率は、目的に応じて、適宜、適切な値が選択され得る。上記基本単位;lの比率は、好ましくは2モル%〜20モル%であり、さらに好ましくは5モル%〜15モル%である。上記基本単位;mの比率は、好ましくは15モル%〜40モル%であり、さらに好ましくは20モル%〜35モル%である。上記基本単位;nの比率は、好ましくは5モル%〜50モル%であり、さらに好ましくは10モル%〜45モル%である。上記基本単位;rの比率は、好ましくは10モル%〜35モル%であり、さらに好ましくは15モル%〜30モル%である。
さらに、構成単位lと、構成単位m及びrの合計との比率〔l/(m+r)〕(モル/モル)は、好ましくは0.12〜0.50であり、さらに好ましくは0.15〜0.40であり、特に好ましくは0.18〜0.35である。基本単位;l、m、nおよびrの比率を上記の範囲とすることによって、上記重合体を用いた成形品は、例えば、透明性、耐熱性、および逆波長分散特性(複屈折を有する場合)を兼ね備えた、優れた特性を有する。
上記重合体の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜1,000,000であり、さらに好ましくは3,000〜500,000であり、特に好ましくは5,000〜300,000である。重量平均分子量を上記の範囲とすることによって、機械的強度に優れた成形品を得ることができる。なお、上記重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)法よりポリスチレンを標準試料として算出できる。分析装置としては、TOSOH製「HLC−8120GPC」(カラム:TSKgel SuperHM−H/H4000/H3000/H2000、カラムサイズ:各6.0mmI.D.×150mm、溶離液:テトラヒドロフラン、流量:0.6ml/min、検出器:RI、カラム温度:40℃、注入量:20μl)を用いることができる。
上記重合体のガラス転移温度は、好ましくは90℃〜190℃であり、さらに好ましくは100℃〜170℃であり、特に好ましくは110℃〜160℃であり、最も好ましくは120℃〜150℃である。ガラス転移温度を上記の範囲とすることによって、耐熱性に優れた成形品を得ることができる。なお、ガラス転移温度はDSC法によって求めることができる。
<2.重合体の製造方法>
上記重合体は、少なくとも下記一般式(IX)で表される化合物とポリビニルアルコール系樹脂とを溶剤に溶解または分散させて、酸触媒の存在下で反応させる工程を含む方法により製造される。この反応は、ポリビニルアルコール系樹脂との縮合反応であり、アルデヒド化合物が用いられる場合はアセタール化ともいい、ケトン化合物が用いられる場合はケタール化ともいう。
上記重合体は、少なくとも下記一般式(IX)で表される化合物とポリビニルアルコール系樹脂とを溶剤に溶解または分散させて、酸触媒の存在下で反応させる工程を含む方法により製造される。この反応は、ポリビニルアルコール系樹脂との縮合反応であり、アルデヒド化合物が用いられる場合はアセタール化ともいい、ケトン化合物が用いられる場合はケタール化ともいう。
一般式(IX)中、R1は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のアルキル基、または置換若しくは非置換のフェニル基を表し、R2、AおよびBは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝のアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アミノ基、アジド基、ニトロ基、シアノ基または水酸基を表す(ただし、R2は水素原子ではない)。
上記一般式(IX)中、置換基R1、R2、AおよびBは、ポリビニルアルコール系樹脂と反応させる1−ナフトアルデヒド類または1−ナフトン類の種類によって、適宜、選択される。1−ナフトアルデヒド類または1−ナフトン類としては、上述した通りである。
上記ポリビニルアルコール系樹脂は、目的に応じて、適宜、適切なものが採用され得る。上記樹脂は、直鎖状ポリマーであってもよいし、枝分かれポリマーであってもよい。また、上記樹脂は、ホモポリマーであってもよいし、2種類以上の単位モノマーから重合されたコポリマーであってもよい。上記樹脂がコポリマーである場合、基本単位の配列順序は、交互、ランダム、またはブロックのいずれであってもよい。コポリマーの代表例としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。
上記ポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、ビニルエステル系モノマーを重合して、ビニルエステル系重合体とした後、これをケン化して、ビニルエステル単位をビニルアルコール単位とすることによって得ることができる。上記ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル等が挙げられる。これらのビニルエステル系モノマーなかで、特に好ましくは、酢酸ビニルである。
上記ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、好ましくは80モル%以上であり、さらに好ましくは90%以上であり、特に好ましくは95モル%以上であり、最も好ましくは98モル%以上である。上記ケン化度は、JIS K 6727(1994)に準じて求めることができる。ケン化度を上記の範囲とすることによって、耐久性に優れた重合体を得ることができる。
上記ポリビニルアルコール系樹脂は、市販のものをそのまま用いることができる。あるいは市販の樹脂に任意の適切なポリマー変性を施したものを用いることができる。市販のポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、(株)クラレ製 ポバールシリーズ(商品名「PVA−103,PVA117,PVA613,PVA−220,PVA405等」)、同社製 エクセバールシリーズ(商品名「RS−4104,RS−3110,RS−1717等」、同社製 エバールシリース(商品名「L101,F101,H101,E105,G156等」)日本合成化学(株)製 ゴーセノールシリーズ(商品名「NH−18,NH−300,A−300,C−500,GM−14等」)、同社製 ソアノールシリーズ(商品名「D2908,DT2903,DC3203等」)等が挙げられる。
上記ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、任意の適切な値に設定され得る。上記平均重合度は、好ましくは400〜5000であり、さらに好ましくは800〜3000であり、特に好ましくは500〜4000である。なお、上記ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、JIS K 6726(1994)に準じた方法によって測定することができる。
上記ポリビニルアルコール系樹脂は、4重量%濃度の水溶液とした場合の20℃における粘度(mPa・s)が、好ましくは2〜70であり、さらに好ましくは10〜50であり、特に好ましくは20〜40である。上記の粘度の樹脂を用いることによって、強度や成形加工性に優れた重合体を得ることができる。
上記重合体の製造は、好ましくは、(縮合)反応の前に、ポリビニルアルコール系樹脂を乾燥させる工程を含む。乾燥温度は、好ましくは30℃〜150℃であり、さらに好ましくは70℃〜130℃である。また、乾燥時間は、好ましくは10分以上であり、さらに好ましくは30分以上である。上記の乾燥条件を採用することによって、アセタール化度の高い重合体を得ることができる。
上記溶剤は、目的に応じて、適宜、適切なものが選択され得る。上記溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、4−ジオキサンなどの環式エーテル類、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホシキドなどの非プロトン性溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で、または2種類以上を混合して用いられる。また、上記溶剤と水とを混合して用いてもよい。
上記酸触媒は、目的に応じて、適宜、適切なものが選択され得る。上記酸触媒は、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。好ましくは、上記酸触媒は、p−トルエンスルホン酸である。
上記酸触媒を反応させる温度は、通常、0℃を超え、且つ用いられる溶剤の沸点以下であり、好ましくは10℃〜100℃であり、さらに好ましくは20℃〜80℃である。また、反応時間は、好ましくは30分〜20時間であり、さらに好ましくは1時間〜10時間である。上記の反応条件を採用することによって、高いアセタール化度を有する重合体を高収率で得ることができる。
上記重合体のアセタール化度は、好ましくは40モル%〜99モル%であり、さらに好ましくは50モル%〜95モル%であり、特に好ましくは60モル%〜90モル%である。アセタール化度を上記の範囲とすることによって、透明性、耐熱性、および成型加工性に、より一層優れる重合体を得ることができる。
<3.重合体が用いられる用途>
本発明の重合体は、透明性および耐熱性に優れるため、光学部材に好適に用いられる。上記光学部材としては、例えば、複屈折フィルム、プラスチックレンズ、プリズム、光ディスク、光ファイバ、フォトレジスト、ホログラム、プラスチック基板、導光板、拡散板、反射板、自動車部品等が挙げられる。
本発明の重合体は、透明性および耐熱性に優れるため、光学部材に好適に用いられる。上記光学部材としては、例えば、複屈折フィルム、プラスチックレンズ、プリズム、光ディスク、光ファイバ、フォトレジスト、ホログラム、プラスチック基板、導光板、拡散板、反射板、自動車部品等が挙げられる。
上記光学部材の波長550nmにおける透過率は、好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。
上記光学部材が、複屈折を有する場合、当該光学部材の23℃における波長550nmの光で測定した面内及び/又は複屈折率(Δn[550])は、1×10−4以上であり、好ましくは0.001〜0.01であり、さらに好ましくは0.0015〜0.008であり、特に好ましくは0.002〜0.006であり、最も好ましくは0.002〜0.004である。上記重合体は、成形加工性に優れるため、例えば、上記Δn[550]は延伸によって、幅広い範囲に調整することができる。
上記光学部材のΔn[550]とΔn[450]の比(Δn[450]/Δn[550])は、好ましくは1より小さく、さらに好ましくは0.50〜0.97であり、特に好ましくは0.70〜0.95であり、最も好ましくは0.80〜0.93である。Δn[450]/Δn[550]を上記の範囲とすることによって、広範囲の波長領域の光を利用する光学部材において、波長による光学特性の差が小さくなる。
上記光学部材のΔn[550]とΔn[650]の比(Δn[650]/Δn[550])は、好ましくは1より大きく、さらに好ましくは1.01〜1.20であり、特に好ましくは1.02〜1.15であり、最も好ましくは1.03〜1.10である。Δn[450]/Δn[550]を上記の範囲とすることによって、広範囲の波長領域の光を利用する光学部材において、波長による光学特性の差が小さくなる。
上記光学部材の光弾性係数の絶対値(C[550](m2/N))は、好ましくは1×10−12〜80×10−12であり、さらに好ましくは1×10−12〜50×10−12であり、特に好ましくは1×10−12〜30×10−12である。光弾性係数の絶対値が上記の範囲であるものを用いることによって、例えば、光学的な歪の生じ難い成形品を得ることができる。
上記光学部材の吸水率は、好ましくは7%以下であり、さらに好ましくは5%以下であり、特に好ましくは3%以下である。吸水率を上記の範囲とすることによって、例えば、高温多湿の環境下においても、透明性に優れる光学部材を得ることができる。
本発明について、以下の実施例を用いてさらに説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例で用いた各分析方法は、以下の通りである。
(1)組成比の測定:
核磁気共鳴スペクトルメーター[日本電子(株)製 製品名「LA400」](測定溶媒;重DMSO、周波数;400MHz、観測核;1H、測定温度;25℃)を用いて求めた。
(2)ガラス転移温度の測定:
示差走査熱量計[セイコー(株)製 製品名「DSC−6200」]を用いて、JIS K 7121(1987)(プラスチックの転移温度の測定方法)に準じた方法により求めた。具体的には、3mgの粉末サンプルを、窒素雰囲気下(ガスの流量;80ml/分)で昇温(加熱速度;10℃/分)させて2回測定し、2回目のデータを採用した。熱量計は、標準物質(インジウム)を用いて温度補正を行なった。
(3)厚みの測定方法:
厚みが10μm未満の場合、薄膜用分光光度計[大塚電子(株)製 製品名「瞬間マルチ測光システム MCPD−2000」]を用いて測定した。厚みが10μm以上の場合、アンリツ製デジタルマイクロメーター「KC−351C型」を使用して測定した。
(4)透過率の測定方法:
紫外可視分光光度計[日本分光(株)製 製品名「V−560」]を用いて、23℃における波長550nmの光で測定した。
(5)光弾性係数の絶対値(C[550])の測定方法:
分光エリプソメーター[日本分光(株)製 製品名「M−220」]を用いて、サンプル(サイズ2cm×10cm)の両端を挟持して応力(5〜15N)をかけながら、サンプル中央の位相差値(23℃/波長550nm)を測定し、応力と位相差値の関数の傾きから算出した。
(6)複屈折率(Δn)の測定方法:
平行ニコル回転法を原理とする位相差計[王子計測機器(株)製 製品名「KOBRA21−ADH」]を用いて23℃の室内で測定した、各波長における位相差値と、フィルムの厚みとから換算して求めた。
(7)複屈折率の波長依存性の測定方法:
平行ニコル回転法を原理とする位相差計[王子計測機器(株)製 製品名「KOBRA21−ADH」]を用いて23℃の室内で測定した。
(1)組成比の測定:
核磁気共鳴スペクトルメーター[日本電子(株)製 製品名「LA400」](測定溶媒;重DMSO、周波数;400MHz、観測核;1H、測定温度;25℃)を用いて求めた。
(2)ガラス転移温度の測定:
示差走査熱量計[セイコー(株)製 製品名「DSC−6200」]を用いて、JIS K 7121(1987)(プラスチックの転移温度の測定方法)に準じた方法により求めた。具体的には、3mgの粉末サンプルを、窒素雰囲気下(ガスの流量;80ml/分)で昇温(加熱速度;10℃/分)させて2回測定し、2回目のデータを採用した。熱量計は、標準物質(インジウム)を用いて温度補正を行なった。
(3)厚みの測定方法:
厚みが10μm未満の場合、薄膜用分光光度計[大塚電子(株)製 製品名「瞬間マルチ測光システム MCPD−2000」]を用いて測定した。厚みが10μm以上の場合、アンリツ製デジタルマイクロメーター「KC−351C型」を使用して測定した。
(4)透過率の測定方法:
紫外可視分光光度計[日本分光(株)製 製品名「V−560」]を用いて、23℃における波長550nmの光で測定した。
(5)光弾性係数の絶対値(C[550])の測定方法:
分光エリプソメーター[日本分光(株)製 製品名「M−220」]を用いて、サンプル(サイズ2cm×10cm)の両端を挟持して応力(5〜15N)をかけながら、サンプル中央の位相差値(23℃/波長550nm)を測定し、応力と位相差値の関数の傾きから算出した。
(6)複屈折率(Δn)の測定方法:
平行ニコル回転法を原理とする位相差計[王子計測機器(株)製 製品名「KOBRA21−ADH」]を用いて23℃の室内で測定した、各波長における位相差値と、フィルムの厚みとから換算して求めた。
(7)複屈折率の波長依存性の測定方法:
平行ニコル回転法を原理とする位相差計[王子計測機器(株)製 製品名「KOBRA21−ADH」]を用いて23℃の室内で測定した。
〔実施例1〕
8.8gのポリビニルアルコール系樹脂〔日本合成化学(株)製 商品名「NH−18」(重合度=1800、ケン化度=99.0%)〕を、105℃で2時間乾燥させた後、167.2gのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。ここに、2.98gの2−メトキシ−1−ナフトアルデヒド及び0.80gのp−トルエンスルホン酸・1水和物を加えて、40℃で1時間攪拌した。反応溶液に、23.64gの1,1−ジエトキシエタン(アセタール)をさらに加えて、40℃で4時間攪拌した。その後、2.13gのトリエチルアミンを加えて反応を終了させた。得られた粗生成物は、1Lのメタノールで再沈殿を行った。ろ過した重合体をテトラヒドロフランに溶解し、再びメタノールで再沈殿を行った。これを、ろ過、乾燥して、12.7gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、下記式(X)で表される繰り返し単位を有し、l:m:nの比率(モル比)は12:60:28であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、127℃であった。
8.8gのポリビニルアルコール系樹脂〔日本合成化学(株)製 商品名「NH−18」(重合度=1800、ケン化度=99.0%)〕を、105℃で2時間乾燥させた後、167.2gのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。ここに、2.98gの2−メトキシ−1−ナフトアルデヒド及び0.80gのp−トルエンスルホン酸・1水和物を加えて、40℃で1時間攪拌した。反応溶液に、23.64gの1,1−ジエトキシエタン(アセタール)をさらに加えて、40℃で4時間攪拌した。その後、2.13gのトリエチルアミンを加えて反応を終了させた。得られた粗生成物は、1Lのメタノールで再沈殿を行った。ろ過した重合体をテトラヒドロフランに溶解し、再びメタノールで再沈殿を行った。これを、ろ過、乾燥して、12.7gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、下記式(X)で表される繰り返し単位を有し、l:m:nの比率(モル比)は12:60:28であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、127℃であった。
1H−NMR(DMSO):0.8−2.3(主鎖メチレンおよびアセタール部のメチル)、3.4−4.4(酸素原子が結合した主鎖メチン,メトキシ基のメチル,および水酸基)、4.5−5.1(アセタール部のメチン)、6.4(2−メトキシナフタレン部のメチン)、7.3−8.8(2−メトキシナフタレン部の芳香族プロトン)
上記重合体を、メチルエチルケトン(MEK)に溶解し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み70μm)上にアプリケーターで塗工し、空気循環式乾燥オーブンで乾燥させた後、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、厚み98μmのフィルムを作製した。このフィルムを延伸機にて、140℃の空気循環式乾燥オーブン内で1.5倍に延伸し、延伸フィルムA−1を作製した。得られた延伸フィルムA−1の特性を表1に示す。
〔実施例2〕
2−メトキシ−1−ナフトアルデヒドの使用量を3.72gとした以外は、実施例1と同様の方法で、12.42gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、上記式(X)で表される繰り返し単位を有し、l:m:nの比率(モル比)は13:50:37であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、131℃であった。
2−メトキシ−1−ナフトアルデヒドの使用量を3.72gとした以外は、実施例1と同様の方法で、12.42gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、上記式(X)で表される繰り返し単位を有し、l:m:nの比率(モル比)は13:50:37であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、131℃であった。
上記重合体を、メチルエチルケトン(MEK)に溶解し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み70μm)上にアプリケーターで塗工し、空気循環式乾燥オーブンで乾燥させた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、厚み96μmのフィルムを作製した。このフィルムを延伸機にて、150℃の空気循環式乾燥オーブン内で1.5倍に延伸し、延伸フィルムA−2を作製した。得られた延伸フィルムA−2の特性を表1に示す。
〔実施例3〕
8.8gのポリビニルアルコール系樹脂〔日本合成化学(株)製 商品名「NH−18」(重合度=1800、ケン化度=99.0%)〕を、105℃で2時間乾燥させた後、167.2gのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。ここに、2.98gの2−メトキシ−1−ナフトアルデヒド及び0.80gのp−トルエンスルホン酸・1水和物を加えて、40℃で1時間攪拌した。反応溶液に、3.18gのベンズアルデヒドを加え、40℃で1時間攪拌した後、23.60gの1,1−ジエトキシエタン(アセタール)をさらに加えて、40℃で3時間攪拌した。その後、2.13gのトリエチルアミンを加えて反応を終了させた。得られた粗生成物は、1Lのメタノールで再沈殿を行った。ろ過した重合体をテトラヒドロフランに溶解し、再びメタノールで再沈殿を行った。これを、ろ過、乾燥して、11.5gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、下記式(XI)で表される繰り返し単位を有し、l:m:n:oの比率(モル比)は11:37:45:7であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、123℃であった。また、光弾性係数の絶対値(C[550])は、2.4×10−11(m2/N)であった。
8.8gのポリビニルアルコール系樹脂〔日本合成化学(株)製 商品名「NH−18」(重合度=1800、ケン化度=99.0%)〕を、105℃で2時間乾燥させた後、167.2gのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。ここに、2.98gの2−メトキシ−1−ナフトアルデヒド及び0.80gのp−トルエンスルホン酸・1水和物を加えて、40℃で1時間攪拌した。反応溶液に、3.18gのベンズアルデヒドを加え、40℃で1時間攪拌した後、23.60gの1,1−ジエトキシエタン(アセタール)をさらに加えて、40℃で3時間攪拌した。その後、2.13gのトリエチルアミンを加えて反応を終了させた。得られた粗生成物は、1Lのメタノールで再沈殿を行った。ろ過した重合体をテトラヒドロフランに溶解し、再びメタノールで再沈殿を行った。これを、ろ過、乾燥して、11.5gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、下記式(XI)で表される繰り返し単位を有し、l:m:n:oの比率(モル比)は11:37:45:7であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、123℃であった。また、光弾性係数の絶対値(C[550])は、2.4×10−11(m2/N)であった。
1H−NMR(DMSO):0.8−2.3(主鎖メチレンおよびアセタール部のメチル)、3.4−4.4(酸素原子が結合した主鎖メチン,メトキシ基のメチル,および水酸基)、4.5−5.1(アセタール部のメチン)、5.4−5.9(ベンゼン部のメチン)、6.4(2−メトキシナフタレン部のメチン)、7.1−7.5(2−メトキシナフタレンおよびベンゼン部の芳香族プロトン)、7.7−8.8(2−メトキシナフタレン部の芳香族プロトン)。
上記重合体を、メチルエチルケトン(MEK)に溶解し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み70μm)上にアプリケーターで塗工し、空気循環式乾燥オーブンで乾燥させた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、厚み117μmのフィルムを作製した。このフィルムを延伸機にて、140℃の空気循環式乾燥オーブン内で1.5倍に延伸し、延伸フィルムB−1を作製した。得られた延伸フィルムB−1の特性を表1に示す。
〔実施例4〕
ベンズアルデヒドに代えて、4.69gの2−ナフトアルデヒドを加えたこと以外は、実施例3と同様の方法で、14.3gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、下記式(XII)で表される繰り返し単位を有し、l:m:n:qの比率(モル比)は10:30:52:8であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、124℃であった。
ベンズアルデヒドに代えて、4.69gの2−ナフトアルデヒドを加えたこと以外は、実施例3と同様の方法で、14.3gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、下記式(XII)で表される繰り返し単位を有し、l:m:n:qの比率(モル比)は10:30:52:8であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、124℃であった。
上記重合体を、メチルエチルケトン(MEK)に溶解し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み70μm)上にアプリケーターで塗工し、空気循環式乾燥オーブンで乾燥させた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、厚み101μmのフィルムを作製した。このフィルムを延伸機にて、145℃の空気循環式乾燥オーブン内で1.5倍に延伸し、延伸フィルムCを作製した。得られた延伸フィルムCの特性を表1に示す。
〔実施例5〕
ベンズアルデヒドに代えて、3.56gのシクロヘキサンカルボキシアルデヒドを加えたこと以外は、実施例3と同様の方法で、15.4gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、下記式(XIII)で表される繰り返し単位を有し、l:m:n:rの比率(モル比)は13:27:36:23であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、122℃であった。
ベンズアルデヒドに代えて、3.56gのシクロヘキサンカルボキシアルデヒドを加えたこと以外は、実施例3と同様の方法で、15.4gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、下記式(XIII)で表される繰り返し単位を有し、l:m:n:rの比率(モル比)は13:27:36:23であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、122℃であった。
上記重合体を、メチルエチルケトン(MEK)に溶解し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み70μm)上にアプリケーターで塗工し、空気循環式乾燥オーブンで乾燥させた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、厚み95μmのフィルムを作製した。このフィルムを延伸機にて、139℃の空気循環式乾燥オーブン内で1.5倍に延伸し、延伸フィルムDを作製した。得られた延伸フィルムDの特性を表1に示す。
〔実施例6〕
ベンズアルデヒドに代えて、4.87gのp−t−ブチルベンズアルデヒドを加えたこと以外は、実施例3と同様の方法で、15.6gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、下記式(XIV)で表される繰り返し単位を有し、l:m:n:sの比率(モル比)は9:29:53:8であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、136℃であった。
ベンズアルデヒドに代えて、4.87gのp−t−ブチルベンズアルデヒドを加えたこと以外は、実施例3と同様の方法で、15.6gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、下記式(XIV)で表される繰り返し単位を有し、l:m:n:sの比率(モル比)は9:29:53:8であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、136℃であった。
上記重合体を、メチルエチルケトン(MEK)に溶解し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み70μm)上にアプリケーターで塗工し、空気循環式乾燥オーブンで乾燥させた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、厚み104μmのフィルムを作製した。このフィルムを延伸機にて、142℃の空気循環式乾燥オーブン内で1.5倍に延伸し、延伸フィルムEを作製した。得られた延伸フィルムEの特性を表1に示す。
〔実施例7〕
2−メトキシ−1−ナフトアルデヒドの使用量を3.17gとした以外は、実施例3と同様の方法で、11.5gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、上記式(XI)で表される繰り返し単位を有し、l:m:n:oの比率(モル比)は13:38:41:8であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、132℃であった。
上記重合体を、メチルエチルケトン(MEK)に溶解し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み70μm)上にアプリケーターで塗工し、空気循環式乾燥オーブンで乾燥させた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、厚み106μmのフィルムを作製した。このフィルムを延伸機にて、138℃の空気循環式乾燥オーブン内で1.5倍に延伸し、延伸フィルムB−2を作製した。得られた延伸フィルムB−2の特性を表1に示す。
2−メトキシ−1−ナフトアルデヒドの使用量を3.17gとした以外は、実施例3と同様の方法で、11.5gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、上記式(XI)で表される繰り返し単位を有し、l:m:n:oの比率(モル比)は13:38:41:8であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、132℃であった。
上記重合体を、メチルエチルケトン(MEK)に溶解し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み70μm)上にアプリケーターで塗工し、空気循環式乾燥オーブンで乾燥させた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、厚み106μmのフィルムを作製した。このフィルムを延伸機にて、138℃の空気循環式乾燥オーブン内で1.5倍に延伸し、延伸フィルムB−2を作製した。得られた延伸フィルムB−2の特性を表1に示す。
〔実施例8〕
2−メトキシ−1−ナフトアルデヒドの使用量を3.35gとした以外は、実施例3と同様の方法で、11.7gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、上記式(XI)で表される繰り返し単位を有し、l:m:n:oの比率(モル比)は13:40:39:8であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、132℃であった。
上記重合体を、メチルエチルケトン(MEK)に溶解し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み70μm)上にアプリケーターで塗工し、空気循環式乾燥オーブンで乾燥させた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、厚み110μmのフィルムを作製した。このフィルムを延伸機にて、138℃の空気循環式乾燥オーブン内で1.5倍に延伸し、延伸フィルムB−3を作製した。得られた延伸フィルムB−3の特性を表2に示す。
2−メトキシ−1−ナフトアルデヒドの使用量を3.35gとした以外は、実施例3と同様の方法で、11.7gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、上記式(XI)で表される繰り返し単位を有し、l:m:n:oの比率(モル比)は13:40:39:8であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、132℃であった。
上記重合体を、メチルエチルケトン(MEK)に溶解し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み70μm)上にアプリケーターで塗工し、空気循環式乾燥オーブンで乾燥させた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、厚み110μmのフィルムを作製した。このフィルムを延伸機にて、138℃の空気循環式乾燥オーブン内で1.5倍に延伸し、延伸フィルムB−3を作製した。得られた延伸フィルムB−3の特性を表2に示す。
〔実施例9〕
2−メトキシ−1−ナフトアルデヒドの使用量を3.53gとした以外は、実施例3と同様の方法で、11.7gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、上記式(XI)で表される繰り返し単位を有し、l:m:n:oの比率(モル比)は13:43:37:8であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、133℃であった。
上記重合体を、メチルエチルケトン(MEK)に溶解し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み70μm)上にアプリケーターで塗工し、空気循環式乾燥オーブンで乾燥させた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、厚み103μmのフィルムを作製した。このフィルムを延伸機にて、139℃の空気循環式乾燥オーブン内で1.5倍に延伸し、延伸フィルムB−4を作製した。得られた延伸フィルムB−4の特性を表2に示す。
2−メトキシ−1−ナフトアルデヒドの使用量を3.53gとした以外は、実施例3と同様の方法で、11.7gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、上記式(XI)で表される繰り返し単位を有し、l:m:n:oの比率(モル比)は13:43:37:8であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、133℃であった。
上記重合体を、メチルエチルケトン(MEK)に溶解し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み70μm)上にアプリケーターで塗工し、空気循環式乾燥オーブンで乾燥させた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、厚み103μmのフィルムを作製した。このフィルムを延伸機にて、139℃の空気循環式乾燥オーブン内で1.5倍に延伸し、延伸フィルムB−4を作製した。得られた延伸フィルムB−4の特性を表2に示す。
〔実施例10〕
2−メトキシ−1−ナフトアルデヒドの使用量を3.71gとした以外は、実施例3と同様の方法で、11.8gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、上記式(XI)で表される繰り返し単位を有し、l:m:n:oの比率(モル比)は14:39:39:8であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、136℃であった。
上記重合体を、メチルエチルケトン(MEK)に溶解し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み70μm)上にアプリケーターで塗工し、空気循環式乾燥オーブンで乾燥させた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、厚み104μmのフィルムを作製した。このフィルムを延伸機にて、139℃の空気循環式乾燥オーブン内で1.5倍に延伸し、延伸フィルムB−5を作製した。得られた延伸フィルムB−5の特性を表2に示す。
2−メトキシ−1−ナフトアルデヒドの使用量を3.71gとした以外は、実施例3と同様の方法で、11.8gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、上記式(XI)で表される繰り返し単位を有し、l:m:n:oの比率(モル比)は14:39:39:8であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、136℃であった。
上記重合体を、メチルエチルケトン(MEK)に溶解し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み70μm)上にアプリケーターで塗工し、空気循環式乾燥オーブンで乾燥させた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、厚み104μmのフィルムを作製した。このフィルムを延伸機にて、139℃の空気循環式乾燥オーブン内で1.5倍に延伸し、延伸フィルムB−5を作製した。得られた延伸フィルムB−5の特性を表2に示す。
〔実施例11〕
1,1−ジエトキシエタンに代えて、4.57gのジメチルアセタールを加えたこと以外は、実施例3と同様の方法で、11.9gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、上記式(XI)で表される繰り返し単位を有し、l:m:n:oの比率(モル比)は10:25:52:11であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、130℃であった。
上記重合体を、メチルエチルケトン(MEK)に溶解し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み70μm)上にアプリケーターで塗工し、空気循環式乾燥オーブンで乾燥させた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、厚み96μmのフィルムを作製した。このフィルムを延伸機にて、139℃の空気循環式乾燥オーブン内で1.5倍に延伸し、延伸フィルムB−6を作製した。得られた延伸フィルムB−6の特性を表2に示す。
1,1−ジエトキシエタンに代えて、4.57gのジメチルアセタールを加えたこと以外は、実施例3と同様の方法で、11.9gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、上記式(XI)で表される繰り返し単位を有し、l:m:n:oの比率(モル比)は10:25:52:11であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、130℃であった。
上記重合体を、メチルエチルケトン(MEK)に溶解し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み70μm)上にアプリケーターで塗工し、空気循環式乾燥オーブンで乾燥させた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、厚み96μmのフィルムを作製した。このフィルムを延伸機にて、139℃の空気循環式乾燥オーブン内で1.5倍に延伸し、延伸フィルムB−6を作製した。得られた延伸フィルムB−6の特性を表2に示す。
〔実施例12〕
1,1−ジエトキシエタンに代えて、8.81gのアセトアルデヒドを加えたこと以外は、実施例3と同様の方法で、11.5gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、上記式(XI)で表される繰り返し単位を有し、l:m:n:oの比率(モル比)は12:53:28:7であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、130℃であった。
上記重合体を、メチルエチルケトン(MEK)に溶解し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み70μm)上にアプリケーターで塗工し、空気循環式乾燥オーブンで乾燥させた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、厚み95μmのフィルムを作製した。このフィルムを延伸機にて、139℃の空気循環式乾燥オーブン内で1.5倍に延伸し、延伸フィルムB−7を作製した。得られ。。
た延伸フィルムB−7の特性を表2に示す。
1,1−ジエトキシエタンに代えて、8.81gのアセトアルデヒドを加えたこと以外は、実施例3と同様の方法で、11.5gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、上記式(XI)で表される繰り返し単位を有し、l:m:n:oの比率(モル比)は12:53:28:7であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、130℃であった。
上記重合体を、メチルエチルケトン(MEK)に溶解し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み70μm)上にアプリケーターで塗工し、空気循環式乾燥オーブンで乾燥させた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、厚み95μmのフィルムを作製した。このフィルムを延伸機にて、139℃の空気循環式乾燥オーブン内で1.5倍に延伸し、延伸フィルムB−7を作製した。得られ。。
た延伸フィルムB−7の特性を表2に示す。
〔実施例13〕
8.8gのポリビニルアルコール系樹脂〔日本合成化学(株)製 商品名「NH−18」(重合度=1800、ケン化度=99.0%)〕を、105℃で2時間乾燥させた後、167.2gのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。ここに、2.98gの2−メトキシ−1−ナフトアルデヒド及び0.80gのp−トルエンスルホン酸・1水和物を加えて、40℃で1時間攪拌した。反応溶液に、3.18gのベンズアルデヒドを加え、40℃で1時間攪拌した後、10.4gの2,2−ジメトキシプロパンをさらに加えて、40℃で3時間攪拌した。その後、2.13gのトリエチルアミンを加えて反応を終了させた。得られた粗生成物は、1Lのメタノールで再沈殿を行った。ろ過した重合体をテトラヒドロフランに溶解し、再びメタノールで再沈殿を行った。これを、ろ過、乾燥して、18.8gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、下記式(XV)で表される繰り返し単位を有し、l:m:n:oの比率(モル比)は13:31:43:13であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、135℃であった。
8.8gのポリビニルアルコール系樹脂〔日本合成化学(株)製 商品名「NH−18」(重合度=1800、ケン化度=99.0%)〕を、105℃で2時間乾燥させた後、167.2gのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。ここに、2.98gの2−メトキシ−1−ナフトアルデヒド及び0.80gのp−トルエンスルホン酸・1水和物を加えて、40℃で1時間攪拌した。反応溶液に、3.18gのベンズアルデヒドを加え、40℃で1時間攪拌した後、10.4gの2,2−ジメトキシプロパンをさらに加えて、40℃で3時間攪拌した。その後、2.13gのトリエチルアミンを加えて反応を終了させた。得られた粗生成物は、1Lのメタノールで再沈殿を行った。ろ過した重合体をテトラヒドロフランに溶解し、再びメタノールで再沈殿を行った。これを、ろ過、乾燥して、18.8gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、下記式(XV)で表される繰り返し単位を有し、l:m:n:oの比率(モル比)は13:31:43:13であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、135℃であった。
1H−NMR(DMSO):0.8−2.3(主鎖メチレンおよびアセタール部のメチル)、3.4−4.4(酸素原子が結合した主鎖メチン,メトキシ基のメチル,および水酸基)、5.4−5.9(ベンゼン部のメチン)、6.4(2−メトキシナフタレン部のメチン)、7.1−7.5(2−メトキシナフタレンおよびベンゼン部の芳香族プロトン)、7.7−8.8(2−メトキシナフタレン部の芳香族プロトン)。
上記重合体を、メチルエチルケトン(MEK)に溶解し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み70μm)上にアプリケーターで塗工し、空気循環式乾燥オーブンで乾燥させた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、厚み94μmのフィルムを作製した。このフィルムを延伸機にて、139℃の空気循環式乾燥オーブン内で1.5倍に延伸し、延伸フィルムFを作製した。得られた延伸フィルムFの特性を表2に示す。
〔参考例〕
2−メトキシ−1−ナフトアルデヒドに代えて、3.18gのベンズアルデヒドを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、11.3gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、下記式(XX)で表される繰り返し単位を有し、l:m:nの比率(モル比)は24:63:13であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、120℃であった。
2−メトキシ−1−ナフトアルデヒドに代えて、3.18gのベンズアルデヒドを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、11.3gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、下記式(XX)で表される繰り返し単位を有し、l:m:nの比率(モル比)は24:63:13であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、120℃であった。
上記重合体を、メチルエチルケトン(MEK)に溶解し、ガラス板上にアプリケーターで塗工し、空気循環式乾燥オーブンで乾燥させた後、ガラス板から剥ぎ取って、厚み101μmのフィルムを作製した。このフィルムを延伸機にて、140℃の空気循環式乾燥オーブン内で1.5倍に延伸し、延伸フィルムXを作製した。得られた延伸フィルムXの特性を表2に示す。
〔評価〕
図1は、実施例の延伸フィルムの、可視光の領域における複屈折率の波長依存性を示すグラフである。図1に示すように、実施例1〜3で得られた延伸フィルムは、複屈折率が、長波長の光で測定したものほど大きくなる特性(逆波長分散特性)を示した。実施例4〜13で得られた延伸フィルムも同様に逆波長分散特性を示した。参考例で得られた延伸フィルムは、複屈折率が測定波長によらずほぼ一定であり、逆波長分散特性は示さなかった。
図1は、実施例の延伸フィルムの、可視光の領域における複屈折率の波長依存性を示すグラフである。図1に示すように、実施例1〜3で得られた延伸フィルムは、複屈折率が、長波長の光で測定したものほど大きくなる特性(逆波長分散特性)を示した。実施例4〜13で得られた延伸フィルムも同様に逆波長分散特性を示した。参考例で得られた延伸フィルムは、複屈折率が測定波長によらずほぼ一定であり、逆波長分散特性は示さなかった。
以上のように、本発明の重合体は、透明性および耐熱性に優れるため、光学用途に極めて有用である。
Claims (15)
- 前記R1が水素原子である、請求項1に記載の重合体。
- 前記R2がメトキシ基である、請求項1または2に記載の重合体。
- 前記R3が水素原子である、請求項4に記載の重合体。
- 前記R4が、炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝アルキル基、または置換若しくは非置換のフェニル基である、請求項4または5に記載の重合体。
- ガラス転移温度が90℃〜190℃である、請求項1から7のいずれかに記載の重合体。
- 請求項1から8のいずれかに記載の重合体を含む光学部材。
- 少なくとも下記一般式(IX)で表される化合物とポリビニルアルコール系樹脂とを溶剤に溶解または分散させて、酸触媒の存在下で反応させる工程を含む、重合体の製造方法。
- 前記ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が80%以上である、請求項10に記載の重合体の製造方法。
- 前記ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度が400〜5000である、請求項10または11に記載の重合体の製造方法。
- 前記反応の前にポリビニルアルコール系樹脂を乾燥させる工程を含む、請求項10から12のいずれかに記載の重合体の製造方法。
- 前記溶剤が、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、N−メチルピロリドン、またはジメチルスルホシキドである、請求項10から13のいずれかに記載の重合体の製造方法。
- 前記酸触媒が、塩酸、硫酸、リン酸、またはp−トルエンスルホン酸である、請求項10から14のいずれかに記載の重合体の製造方法。
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- 2006-10-16 JP JP2006281004A patent/JP2007161993A/ja active Pending
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