JP2007161632A - ヒアルロニダーゼ阻害剤 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明者らは、上記一般式(I)で表される桂皮酸誘導体のうち、ジエステル誘導体により強いヒアルロニダーゼ阻害活性があることを見出したものであり、ジエステル誘導体を含有する阻害剤によれば、より強力にヒアルロニダーゼ活性を阻害することができる。
前記において、桂皮酸誘導体は、ジクマロイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸、ジフェルロイルキナ酸、クマロイルカフェオイルキナ酸、クマロイルフェルロイルキナ酸およびカフェオイルフェルロイルキナ酸からなる群から選択されることが好ましく、ジカフェオイルキナ酸であることがさらに好ましい。また、前記ジカフェオイルキナ酸は、3,4‐O‐ジカフェオイルキナ酸、3,5‐O‐ジカフェオイルキナ酸および4,5‐O‐ジカフェオイルキナ酸からなる群から選択されることが好ましい。
また、本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤をハードカプセル、ソフトカプセルなどのカプセル剤、錠剤、丸剤、あるいは粉末状、顆粒状、茶状、ティーバッグ状、飴状、液体、またはペースト状などの当業者が通常用いる形態で摂取することもできる。これらは、形状または好みに応じて、そのまま摂取してもよく、あるいは水、湯、牛乳などに溶いて飲んでもよく、成分を浸出させたものを摂取してもよい。
また、本発明の飲食品には、上記通常の飲食品のほか、保健、健康維持、増進等を目的とする飲食品、例えば、健康食品、機能性食品、サプリメントあるいは厚生労働省の定める特別用途食品、例えば特定保健用食品、栄養機能食品、病者用食品、病者用組み合わせ食品、高齢者用食品が含まれる。
−桂皮酸誘導体含有画分の調製−
コーヒー生豆中の桂皮酸誘導体は瓜谷らの方法(Uritani, I.; Muramatsu, K. Phytopathological chemistry of black-rotted sweet potato. part 4. Isolation and identification of polyphenols from injured sweet potato. Nippon Nougeikagaku kaisi. 27, 29-33(1952))に準じて単離した。2種類の供試生豆100gを粉砕し、70%(v/v)メタノール水溶液1Lを加えて80℃で20分間、3回抽出を繰り返した。抽出液は50mLまで減圧濃縮後、4℃に48時間保って桂皮酸誘導体とカリウムイオン、カフェインが等モルずつ会合した黄褐色の沈殿を得た。この沈殿物に飽和酒石酸溶液を加えて生成した酒石酸カリウムの白色沈殿を除去した。つぎにクロロホルムを添加してクロロホルム層に移行したカフェインを除去した。水層を分取HPLC PLC−561システム(GL Sciences Inc.)を用いて目的のピークを分取した。
分取は、カラム;Inertosil ODS-3(250×19mm、GL Sciences Inc.)を用い、カラム温度40℃、流速15mL/分、検出波長326nmで行った。325nmに吸収をもつ7種類の物質(物質1〜7)のHPLCクロマトグラムを図1に示す。各ピークフラクションはSephadex LH−20カラムクロマトグラフィーをおこない、メタノールで溶出することによって精製した。精製クロロゲン酸類は凍結乾燥を行ってから−20℃で保存した。
次に、上記精製桂皮酸誘導体の同定を行った。生豆から単離した7種類の物質のHPLC分析結果と最大吸収波長、FAB−MSおよびMS−MSデータを表1に、1H−NMRデータを表2に示す。
同定した3種類のクロロゲン酸(物質1、2および3)の1H‐NMRスペクトルは、カフェー酸とキナ酸のスペクトルを合わせたもので、キナ酸のC‐3、C‐4およびC−5プロトンのいずれかのケミカルシフト値が低磁場側にシフトしていた。従って、物質1、2および3をそれぞれ、3‐カフェオイルキナ酸(3‐CQA)、クロロゲン酸(5‐CQA)および4‐カフェオイルキナ酸(4‐CQA)と同定した。
物質4はFAB‐MS分析でm/z354に分子イオンピークを与えた。このフラグメントをMS/MS分析すると、ポジティブイオンモードでm/z177に、ネガティブイオンモードではm/z191と194にフラグメントを与えた。m/z177フラグメントは、フェルロイル基に由来し、m/z191フラグメントはキナ酸由来、m/z194
はフェルロイル基由来のフラグメントと同定した。また物質4の1H−NMRスペクトルはMorishitaらの文献(Morishita, H.; Iwashita, H.; Osaka, N.; Kido, R. Chromatographic separation and identification of naturally occurring chlorogenic acids by 1H nuclear magnetic resonance spectroscopy and mass spectrometry. J. Chromatogr. 315, 253-260(1984))に酷似していたことから、物質4を5‐フェルロイルキナ酸(5‐FQA)と同定した。
物質5〜7はFAB−MSでm/z516に分子イオンピークを与えた。このフラグメントをMS/MS分析すると、ポジティブイオンモードでm/z355と163に、ネガティブイオンモードではm/z353、191、179、173、135にフラグメントが出現した。m/z355と166のフラグメントはカフェオイル基が遊離して生成したクロロゲン酸とカフェオイル基由来のカルボニル酸素と考えられる。一方、m/z353のフラグメントはカフェオイル基が遊離したクロロゲン酸、m/z191と173はキナ酸由来、m/z179と135はカフェー酸に由来すると同定した。これらのMS分析結果から、物質5〜7はジカフェオイルキナ酸の異性体と同定した。さらに1H−NMRスペクトルでキナ酸のC−3、C−4およびC−5位のプロトンのケミカルシフト値が低磁場側にシフトしていたことから、物質5、6、7をそれぞれ3,4−diCQA、3,5−diCQA、4,5−diCQAと同定した。
−ヒアルロニダーゼ阻害活性試験−
桂皮酸誘導体のヒアルロニダーゼ阻害活性試験は、Morgan-Elson法を応用した文献(Maeda, Y.; Masui, T.; Sugiyama, K.; Yokota, M.; Nakagomi, K.; Tanaka, H.; Takahashi, K.; Kobayashi, T.; Kobayashi, E. Studies on anti-allergic activity in tea. II. Inhibitory effect of tea extracts on hyaluronidase. J Food Hygiene Soc Japan.31,233−237,1990)の方法に準じて実施した。ヒアルロン酸はヒアルロニダーゼによりN−アセチルヘキソサミンに分解される為、その分解物であるN−アセチルヘキソサミン量を指標とし、ヒアルロニダーゼ阻害活性を測定することができる。
100mM 酢酸緩衝液(pH4.0)に溶解した桂皮酸誘導体溶液200μlにヒアルロニダーゼ(シグマ社製)40ユニットを添加し、37℃で20分間予備加温した。同緩衝液に溶解した0.01%(w/v) compound 48/80(ナカライテスク社製)を200μl加えて、37℃で20分間インキュベートしてヒアルロニダーゼを活性化させた。この溶液に最終濃度0.4mg/mlとなるようヒアルロン酸を加え、37℃で20分反応させた後、0.4NNaOH を200μl加えて氷冷し反応を停止させた。0.5N NaOHに溶解した4.95%(w/v)ホウ酸溶液を200μl反応液に加え、100℃で3分間加温した後、再び氷冷した。この溶液にp-ジメチルアミノベンズアルデヒド試薬を6ml加え、37℃で20分間反応させた後、585nmの吸光度を測定した。ヒアルロニダーゼ阻害活性は次式により求めた。
ヒアルロニダーゼ阻害活性(%)=[(A-B)-(C-D)]/(A-B)×100
A=供試試料を添加していない反応液の吸光度(コントロール)
B=酵素を添加していない反応液の吸光度(ブランク)
C=試料溶液の吸光度
D=供試試料、酵素を添加していない反応液の吸光度(試料ブランク)
桂皮酸誘導体の濃度を変えてヒアルロニダーゼ阻害活性を求め、横軸に桂皮酸誘導体の濃度を、縦軸にヒアルロニダーゼ阻害活性をプロットしてグラフを描き、回帰式からヒアルロニダーゼ活性を50%阻害するのに必要な桂皮酸誘導体の濃度(IC50)を算出した。また、比較対照にはクロモグリク酸ナトリウム(DSCG)と(+)-カテキン((+)-catechin)を用いた。
実験データは、5回の独立した実験の平均値±標準偏差として示した。統計学的比較は、Studentのt検定により行った。図に表された符号は、以下の通りである。
*;DSCGに対してP<0.05
**;DSCGに対してP<0.01
***;(+)-カテキンに対してP<0.001
Claims (8)
- R1、R2、R3のうちいずれか1つは水素原子であり、他はそれぞれ独立にシナモイル基、クマロイル基、カフェオイル基またはフェルロイル基である請求項1に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤。
- 桂皮酸誘導体が、ジクマロイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸、ジフェルロイルキナ酸、クマロイルカフェオイルキナ酸、クマロイルフェルロイルキナ酸およびカフェオイルフェルロイルキナ酸からなる群から選択される請求項2に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤。
- 桂皮酸誘導体がジカフェオイルキナ酸である請求項3に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤。
- 桂皮酸誘導体が、メイラード反応が進行していないアカネ科植物、キク科植物、ヒルガオ科植物、バラ科植物、タケ科植物またはモチノキ科植物の植物体から抽出されることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のヒアルロニダーゼ阻害剤。
- 請求項1〜5いずれかに記載のヒアルロニダーゼ阻害剤を含有する飲食品。
- 請求項1〜5いずれかに記載のヒアルロニダーゼ阻害剤を含有する化粧品。
- 請求項1〜5いずれかに記載のヒアルロニダーゼ阻害剤を含有する医薬。
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