JP2007161564A - フッ化物単結晶、これからなるレンズ及びフッ化物単結晶の評価方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ステッパー用レンズ材料として用いた場合に、十分な解像性能が得られるフッ化物単結晶を提供すること。
【解決手段】結晶育成方向軸に垂直な断面の形状が円形状であり、その短径が50mm以上であるフッ化物単結晶であって、当該単結晶を結晶育成方向軸に対して垂直に略三等分し、略三等分された各々の単結晶について、結晶育成方向軸と垂直な面における屈折率均一性のRMS値を求めた場合に、その最小値yを最大値xで除した値(y/x)が0.5以上であるフッ化物単結晶。
【選択図】なし
【解決手段】結晶育成方向軸に垂直な断面の形状が円形状であり、その短径が50mm以上であるフッ化物単結晶であって、当該単結晶を結晶育成方向軸に対して垂直に略三等分し、略三等分された各々の単結晶について、結晶育成方向軸と垂直な面における屈折率均一性のRMS値を求めた場合に、その最小値yを最大値xで除した値(y/x)が0.5以上であるフッ化物単結晶。
【選択図】なし
Description
本発明は、光学機器や光リソグラフィー用の光学系などに使用されるフッ化物単結晶、これからなるレンズ及びフッ化物単結晶の評価方法に関するものである。
フッ化物単結晶は、光学機器や光リソグラフィー用の光学系に用いられており、更には高度な光学性能が要求される半導体リソグラフィー用ステッパー(露光装置)の光学系に用いられている。特にフッ化カルシウム単結晶は、光の透過率やレーザーに対する耐久性といった光学性能に優れていることから、ステッパー用レンズ材料として広く用いられてきた。
さらに、近年、半導体の更なる高細密化、高集積化を図るために、半導体リソグラフィー用ステッパーの性能の向上が要求されており、光源として使用するレーザーの短波長化及びレンズ材料として使用されるフッ化物単結晶の光学性能の更なる向上が求められている。そして、このような要求に対応するため、フッ化カルシウム等の光学材料としての単結晶において、光学性能を向上させるための様々な試みがなされている(例えば特許文献1、2参照)。
なお、このようなレンズ材料として使用されるフッ化カルシウム単結晶は、例えば、特許文献3に記載された方法、すなわち、フッ化カルシウムを溶融して冷却することにより、種結晶の結晶面に沿って単結晶を育成する方法により、製造されていた。
特開2002−37697号公報
特開2001−335398号公報
特開平10−265296号公報
しかしながら、従来のフッ化物単結晶では、結晶育成方向軸に垂直な断面の直径が大きくなると(例えば、50mm以上)、このフッ化物単結晶をステッパー用レンズ材料として用いた場合に十分な解像性能が得られないという問題があった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、ステッパー用レンズ材料として用いた場合に、十分な解像性能が得られるフッ化物単結晶、及びこのフッ化物単結晶からなるレンズを提供することを目的とする。さらに、本発明は、フッ化物単結晶をレンズとして用いた場合の解像性能を評価する方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、結晶育成方向軸に垂直な断面の形状が円形状であり、その短径が50mm以上であるフッ化物単結晶であって、当該単結晶を結晶育成方向軸に対して垂直に略三等分し、略三等分された各々の単結晶について、結晶育成方向軸と垂直な面における屈折率均一性のRMS値を求めた場合に、その最小値yを最大値xで除した値(y/x)が0.5以上であるフッ化物単結晶を提供する。
本発明のフッ化物単結晶によれば、結晶内の屈折率偏差が低減されるため、ステッパー用レンズ材料として用いた場合に十分な解像性能が得られる。ここで、上記y/xが0.5未満である場合、単結晶内部の残留応力分布によって引き起こされる屈折率偏差が著しいため、精密な結像ができず、十分な解像性能が得られない。
なお、本発明における「円形状の断面」は、必ずしも真円である必要はないが、レンズとして使用することを考慮すると、長径Aを短径Bで除した値(A/B)が1.0〜1.1であることが好ましい。また、本発明における「短径」は、結晶育成方向軸に対する垂直断面において、重心を通り縁に達する直線を引いた場合の最も短い直線の長さを意味し、真円の場合には直径に相当する。
本発明における「屈折率均一性のRMS(Root Means Square)値」とは、結晶育成方向軸と垂直な面における、屈折率均一性のRMS値を意味し、次のような方法により求めることができる。
まず、フッ化物単結晶を結晶育成方向軸に対して垂直に略三等分となるようにスライスし、得られた円板状の単結晶を同様の表面状態になるように鏡面研磨する。これらの単結晶の面に、25℃±0.1℃に保持された状態で、He−Neレーザーから得られる632.8nmの光を照射することにより、得られる干渉縞を測定し、干渉縞から単結晶面の位置における位相差を読み取る。この位相差はすなわち単結晶面の位置における屈折率の差と比例関係にあり、この値のRMS値を屈折率均一性のRMS値とする。
屈折率均一性の測定は、干渉計(例えば、Zygo Corporation製、ZYGO Mark III GPIを用いることができるが、これに限られない。)を用いて行う。
なお、本発明の単結晶は、略四等分又はそれ以上に分割した場合にも、上記y/xが0.5以上であることが好ましいが、略三等分した場合の数値が上記範囲内であれば、本発明の目的を達成することができる。二等分した場合の屈折率均一性のRMS値の範囲を規定するだけでは、解像性能の信頼性の面で劣る。ここで「略」とは、等分した厚さの最大値から最小値を引いて最大値で除した値が0.10以下(好ましくは0.05以下、更には0.03以下)であることをいう。
また、上記略三等分された単結晶のうち少なくとも1つの厚さは5mm以上であることが好ましい。
上記フッ化物単結晶は、フッ化物種結晶に接触させたフッ化物原料を溶融させた後、徐冷して、フッ化物種結晶の結晶面に沿ってフッ化物の結晶を育成させる育成ステップと、育成ステップで得られたフッ化物結晶を30℃/時間以下の速度で冷却する第1冷却ステップと、第1の冷却ステップで得られたフッ化物結晶を該結晶の融点未満の温度まで加熱して当該温度に保持する温度保持ステップと、温度保持ステップ後のフッ化物結晶を、第1冷却ステップの速度の1/4以下(好ましくは1/5以下、更には1/10以下)の速度で冷却する第2冷却ステップとを備える製造方法により得られることが好ましい。この製造方法により得られるフッ化物単結晶によれば、ステッパー用レンズ材料として用いた場合に、より高い水準の解像性能が得られる。
解像性能の更なる向上の観点から、第1冷却ステップにおいて10〜30℃/時間(好ましくは10〜25℃/時間、更には10〜20℃/時間)の速度で冷却を行い、第2冷却ステップにおいて1〜5℃/時間(好ましくは1〜3℃/時間、更には1〜2℃/時間)の速度で冷却を行うのがよく、温度保持ステップにおける保持温度を900〜1400℃とし、或いは、育成ステップ、第1冷却ステップ、温度保持ステップ及び第2冷却ステップを、同一の炉で(好ましくは連続して)行うことが好適である。また、上記フッ化物は、フッ化カルシウムであることが好ましい。フッ化物をフッ化カルシウムとすることにより、レンズの透過率を向上させることができる。
また、本発明は、上述した本発明のフッ化物単結晶からなるレンズを提供する。かかるレンズは、例えば半導体リソグラフィー用ステッパーとして用いた場合に、十分な解像性能を発揮する。
また、本発明は、結晶育成方向軸に垂直な断面の形状が円形状であり、その短径が50mm以上であるフッ化物単結晶の評価方法であって、当該単結晶を結晶育成方向軸に対して垂直に略三等分し、略三等分された各々の単結晶について、結晶育成方向軸と垂直な面における屈折率均一性のRMS値を求めた場合に、その最小値yを最大値xで除した値(y/x)から、フッ化物単結晶のレンズとしての解像性能を評価する、フッ化物単結晶の評価方法を提供する。かかる評価方法によれば、フッ化物単結晶を、例えば半導体リソグラフィー用ステッパーとして用いた場合の解像性能を評価することができる。
本発明によれば、結晶育成方向軸に垂直な断面の形状が円形状であり、その短径が50mm以上であって、ステッパー用レンズ材料として用いた場合に、十分な解像性能が得られるフッ化物単結晶、及びこのフッ化物単結晶からなるレンズを提供することができる。さらに、本発明によれば、フッ化物単結晶をレンズとして用いた場合の解像性能を評価する方法を提供することができる。
以下、図面を参照しながら本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
図1は、本発明のフッ化物単結晶の第1実施形態を模式的に示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態のフッ化物単結晶10は、円柱形状をなし結晶育成方向軸Aに垂直な断面の形状が円形状であり、当該断面の短径dが50mm以上である。
ここで、フッ化物単結晶の具体例としては、フッ化カルシウム(CaF2)単結晶、フッ化マグネシウム(MgF2)単結晶、フッ化バリウム(BaF2)単結晶等が挙げられる。これらの中で、透過率に優れるという点から、フッ化カルシウム単結晶が好ましい。
また、上記結晶育成方向軸Aとは、フッ化物単結晶10を育成した際に、当該フッ化物単結晶10を結晶成長させた方向軸を意味している。したがって、フッ化物単結晶10が図1に示すように円柱形状である場合、通常、その長手方向軸が結晶育成方向軸Aとなる。
上記短径dは、好ましくは100mm以上であり、より好ましくは200mm以上である。フッ化物単結晶は、短径dが大きいほど大口径のステッパー用レンズを得る上で有用であり、ステッパーにおいては大口径のレンズを用いるほど半導体の高細密化及び高集積化を図ることできる。
本発明のフッ化物単結晶は、結晶育成方向軸に対して垂直に略三等分し、略三等分された各々の単結晶について、結晶育成方向軸と垂直な面における屈折率均一性のRMS値を求めた場合に、その最小値yを最大値xで除した値(y/x)が0.5以上である。これにより、結晶内の屈折率偏差が低減されるため、例えばステッパー用レンズ材料として用いた場合に十分な解像性能が得られる。レンズとして用いた場合に、より高水準の解像性能が得られるという理由から、上記y/xは、0.55以上であることが好ましく、0.6以上であることがより好ましい。
図2は、本発明のフッ化物単結晶の第2実施形態を模式的に示す斜視図である。図2に示すように、本実施形態のフッ化物単結晶20は、一端がテーパ状なった円柱状である。このようなフッ化物単結晶20では、先細りしている部分(テーパ状の部分)を切り落とし、図1に示すような円柱形状の単結晶とした後に、結晶育成方向軸に対して垂直に略三等分し、上記屈折率均一性の測定を行うことが好ましい。このようにレンズとしてはあまり用いられないテーパ状の部分を切り落とすことにより、屈折率均一性の測定をより簡便にすることができる。
フッ化物単結晶は、フッ化物種結晶に接触させたフッ化物原料を溶融させた後に徐冷して、フッ化物種結晶の結晶面に沿ってフッ化物の結晶を育成させる育成ステップと、育成ステップで得られたフッ化物結晶を30℃/時間以下の速度で冷却する第1冷却ステップと、第1の冷却ステップで得られたフッ化物結晶を該結晶の融点未満の温度まで加熱して当該温度に保持する温度保持ステップと、温度保持ステップ後のフッ化物結晶を、第1冷却ステップの速度の1/4以下の速度で冷却する第2冷却ステップと、を備える製造方法により製造されることが好ましい。
この製造方法により得られるフッ化物単結晶は、第1冷却ステップ後に再加熱を行い(温度保持ステップ)、その後第1冷却ステップよりも十分に遅い速度で冷却する第2冷却ステップを実施することから(以下、温度保持ステップと第2冷却ステップを合わせてアニールステップと呼ぶ場合がある。)、結晶内の屈折率偏差が低減される。その結果、上記屈折率均一性のRMS値の最大値と最小値とが上記式の条件を満たす本発明のフッ化カルシウム単結晶を容易且つ確実に得ることができる。さらに、レンズとして用いた場合に、より高水準の解像性能が得られるという理由から、第2冷却ステップにおける速度は、5℃/時間以下であることが好ましく、3℃/時間以下であることがより好ましい。
なお、解像性能の更なる向上のためには、アニールステップにおいて、結晶中の温度が最高である点と温度が最低である点との温度差が、0.5℃以内となるように調整することが好ましい。これにより、結晶内の屈折率偏差がより低減され、上記屈折率均一性のRMS値の最大値と最小値とが上記式の条件を満たす本発明のフッ化カルシウム単結晶を容易且つ確実に得ることができる。
本製造方法においては、上記各ステップを実施する以外は従来公知の製造方法を適用でき、ブリッジマン法やチョクラルスキー法等により育成を行うことができる。なお、直径の大きな単結晶を育成することが比較的容易であることから、本製造方法では、垂直ブリッジマン(以下、VBと略記する)法により育成を行うことが好ましい。
以下、本製造方法を、図3に示すルツボを備えた真空VB炉を用いて、フッ化カルシウム単結晶をVB法により育成する場合を例にして具体的に説明する。
図3に示すように、ルツボ1は、垂直ブリッジマン法による単結晶育成装置としての真空VB炉2内において、ヒータ2Aの内側に配置され、シャフト2Bを介して極微速度で昇降されることにより、フッ化カルシウムの原料Mを溶融して冷却し、これをフッ化カルシウムの単結晶からなる種結晶(シード)Sの例えば(1,1,1)方位の結晶面に沿って単結晶に育成するためのものである。
真空VB炉2の内部は、真空ポンプ2Cによって減圧され、ヒータ2Aによって加熱される。このヒータ2Aの加熱によって種結晶Sの全体が溶融するのを防止するため、真空VB炉2のシャフト2Bは、冷却水循環路を形成するように構成されている。
すなわち、シャフト2Bは、内管2B1の上端が外管2B2の上端より後退した2重管で構成されており、その上端部にはキャップ状の伝熱部材2Dが嵌合固定されている。そして、この伝熱部材2Dが後述するルツボ1の底部材1Cの中央部に接続されることにより、種結晶Sの下部を強制冷却するように構成されている。
ここで、図4に示すように、本実施形態のルツボ1は、ルツボ本体1Aと、ルツボ本体1Aの開口部を覆う蓋部材1Bと、ルツボ本体1Aの下部に固定される底部材1Cとを備えて構成されている。ルツボ本体1Aは、耐熱性があり、かつ、内面の平滑度を高められる材料として、高純度カーボン材(C)で構成されており、その内面が光沢を有するガラス状カーボン(GC)でコーティングされている。
ルツボ本体1Aには、フッ化カルシウムの原料M(図3参照)が収容される原料収容部1Dが形成されている。原料収容部1Dは、円柱状の壁面1Hと、壁面1Hの底部材1C側に連続して形成される凹曲面1Jと、凹曲面1Jの底部材1C側に連続して形成されるテーパ状(ロート状)のコーン面1Fとを有している。従って、コーン面1Fは原料収容部1Dの底を構成する。
また、ルツボ本体1Aから底部材1Cに亘ってその中心部には、種結晶S(図3参照)を収容する種結晶収容部1Eが形成されている。種結晶収容部1Eは、平坦な底面と、底面に連続し底面に垂直な円柱状の壁面1Kとを有しており、壁面1Kの径は、種結晶Sの直径とほぼ一致している。なお、種結晶収容部の壁面1Kは、原料収容部1Dの壁面1Hよりも小径となっている。
また、コーン面1Fと種結晶収容部1Eの壁面1Kとの境界部分には凸曲面1Lが形成され、この凸曲面1Lを介してコーン面1Fと種結晶収容部1Eの壁面1Kとが滑らかに連続している。
一方、蓋部材1Bおよび底部材1Cも耐熱性のある高純度カーボン材で構成されている。そして、底部材1Cの下面中央部には、真空VB炉2のシャフト2Bの上端部に固定された伝熱部材2D(図3参照)を嵌合固定するための接続筒部1C1が突設されている。
上記ルツボ1において、コーン面1Fのコーン角度θが小さ過ぎると、原料収容部1D内で育成されるフッ化カルシウムの結晶内に残留応力や歪みが発生し、これに起因して多結晶(異相)や複屈折が発生し易い。一方、コーン面1Fのコーン角度θが大き過ぎると、フッ化カルシウムの単結晶の育成が阻害され易い。そこで、コーン面1Fのコーン角度θは、95°〜150°であることが好ましく、これらの範囲のうち120°〜130°であることがより好ましい。
また、凹曲面1Jおよび凸曲面1Lは、曲率半径が小さ過ぎて角張っていると、原料収容部1D内で溶融されたフッ化カルシウムが冷却により結晶化する際、角張った凹曲面1Jおよび凸曲面1Lの部分が核となって多結晶(異相)が発生し易い。加えて、フッ化カルシウムが冷却により収縮する際、これらの角張った凹曲面1Jおよび凸曲面1Lにフッ化カルシウムが付着して結晶内に残留応力や歪みが発生し、これに起因して多結晶(異相)や複屈折が発生し易い。
そこで、凹曲面1Jおよび凸曲面1Lの曲率半径は、原料収容部1Dの壁面1H間の内径(例えば250mm)の1/10以上の大きな曲率半径に設定されている。例えば、凹曲面1Jの曲率半径は60mm程度に設定され、凸曲面1Lの曲率半径は50mm程度に設定されている。
さらに、原料収容部1Dの壁面1Hやコーン面1Fなどの表面粗さが粗いと、原料収容部1D内で溶融されたフッ化カルシウムが冷却により結晶化する際、壁面1Hやコーン面1Fなどの微小な凹凸が核となって多結晶(異相)が発生し易い。加えて、フッ化カルシウムが冷却により収縮する際、壁面1Hやコーン面1Fにフッ化カルシウムが付着して結晶内に残留応力や歪みが発生し、これに起因して多結晶(異相)や複屈折が発生し易い。
そこで、上記ルツボ1において、ルツボ本体1Aの原料収容部1Dの壁面1Hから凹曲面1J、コーン面1F、凸曲面1Lを経て種結晶収容部1Eの壁面1Kにわたるルツボ内面は、例えば、最大高さ法による表面粗さがRmax3.2s以下に仕上げられている。すなわち、高純度カーボン材(C)からなるルツボ本体1Aの内面が例えばRmax6.4s程度に仕上げられており、その表面がガラス状カーボン(GC)によりコーティングされてRmax3.2s程度に仕上げられている。
そして、このようにRmax3.2s以下の表面粗さを有するガラス状カーボン(GC)で構成されたルツボ内面は、水滴との接触角が少なくとも100°以下の例えば90°となっている。
本製造方法においては、上記ルツボ1を用いて、先ずルツボ1の蓋部材1Bを取り外して、種結晶収容部1Eにフッ化カルシウムからなる種結晶Sを収容する。ここで、種結晶Sとしては、その形状が円柱状であって端面が平坦であるものであり、その直径が種結晶収容部1Eの壁面1Kの径とほぼ一致したものを用いる。
種結晶Sを種結晶収容部1Eに収容した後は、フッ化カルシウムの原料Mを原料収容部1Dに収容し、続いて、蓋部材1Bでルツボ本体1Aの原料収容部1Dを閉じる。
次に、真空VB炉2内を真空ポンプ2Cによって10−4Pa以下に減圧し、ヒータ2Aを1400〜1500℃前後に加熱する。このとき、図3に示すように、真空VB炉2内の下部にはヒータが設けられておらず、加熱されていないため、真空VB炉内はその上部から下部にかけて(すなわち、結晶育成方向に)温度勾配を有している。そして、シャフト2Bにより10mm/時間程度の微速度でルツボ1を上昇させ、10時間ほど上昇位置に保持する。その際、種結晶Sの全体が溶融すると、目的の結晶方位の単結晶を得ることが困難になるため、シャフト2B内を内管2B1から外管2B2へ循環する冷却水により伝熱部材2Dを介して種結晶Sの下部を強制冷却する。
フッ化カルシウムの原料Mを溶融した後は、ルツボ1を、シャフト2Bにより1.5mm/時間以下の例えば1.0mm/時間程度の極微速度で下降させ、5時間ほど真空VB炉2内の下降位置に保持する。これにより、溶融したフッ化カルシウム(CaF2)の原料Mを冷却して種結晶Sの例えば(1,1,1)方位の結晶面に沿って単結晶に育成する(育成ステップ)。
その後、ルツボ1内の単結晶は、クエンチ(熱衝撃による割れ)を防止するため、ルツボ1を上昇位置に保持したまま、真空VB炉2のヒータ2Aをオン・オフ制御することにより、30℃/時間以下の冷却速度で冷却される(第1冷却ステップ)。
さらに、単結晶を、例えば結晶の融点未満の温度(例えば、フッ化カルシウムであれば900〜1400℃、好ましくは900〜1300℃、更には1200〜1300℃)で24〜96時間保持し(温度保持ステップ)、第1冷却ステップの1/4以下の降温速度で冷却することにより冷却を行う(第2冷却ステップ)。
なお、第1冷却ステップ後の結晶をそのまま使用して、アニールステップを実施してもよく、結晶をスライスした後にアニールステップを実施してもよいが、前者の場合には、アニールステップ後に結晶をスライスする必要があり、そのことに起因して屈折率均一性が低下するおそれがあるため、結晶をスライスした後にアニールステップを実施することが好ましい。
本発明においては、上記x/yの値の範囲を満たすためには、アニールステップ及び第2冷却ステップの条件が重要である。この条件は、育成ステップ又は第1冷却ステップ後の結晶の大きさなどにより適宜調整することができるが、一般的に結晶の短径(直径)などが大きいほど、長い時間をかけて第2冷却ステップ及びアニールステップを行うことが好ましい。なお、上記の製造方法では、ルツボ1の種結晶収容部1Eの壁面1Kが円柱状となっているが、壁面1Kの形状は、角柱状の種結晶を収容する場合には角柱状であってもよい。
また、種結晶収容部1Eの底面は平坦面となっているが、種結晶収容部の底面は平坦面に限られるものではなく、円錐状であってもよい。但し、種結晶収容部の底面に接する種結晶Sの底部を十分に冷却して、種結晶Sの全てが溶融することを防止するために、種結晶収容部の底面は、種結晶Sの底部と合致した形状とし、種結晶Sの底部と種結晶収容部1Eの底面との間の空隙を十分に小さくすることが好ましい。
更に、上記の製造方法では、種結晶がフッ化カルシウムである場合について説明しているが、種結晶がフッ化カルシウム以外の他の材料(例えば、フッ化バリウムやフッ化マグネシウム等)である場合にも、適用可能である。
次に、本発明のレンズについて説明する。
本発明のレンズは、例えば半導体リソグラフィー用ステッパーに用いられるものであり、上述した本発明のフッ化物単結晶からなるものである。かかるレンズの形状は、従来よりステッパーに用いられているレンズの形状を特に制限なく適用でき、例えば、一方の面が平面で他方の面が凸曲面又は凹曲面であるものや、両方の面が凸曲面又は凹曲面であるものが挙げられる。また、曲面は球面であっても非球面であってもよい。
これらのレンズは、本発明のフッ化物単結晶を従来公知の方法で所定の形状に加工し、研削、研磨等を行って得ることができる。そして、かかるレンズは、ステッパーに用いた場合に十分な解像性能を得ることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
(実施例1)
まず、図4に示すルツボ1を用意した。ルツボ本体1A、蓋部材1B及び底部材1Cは全て高純度カーボン(SGLカーボン製高純度カーボン;製品名R6500、不純物の濃度15ppm以下)で構成した。
まず、図4に示すルツボ1を用意した。ルツボ本体1A、蓋部材1B及び底部材1Cは全て高純度カーボン(SGLカーボン製高純度カーボン;製品名R6500、不純物の濃度15ppm以下)で構成した。
種結晶収容部1Eの壁面1Kは円柱状とし、その内径は10mmとした。また種結晶収容部1Eの底面は種結晶収容部の壁面1Kに垂直な平坦面とした。また原料収容部の壁面1Hも円柱状とし、その内径は150mmとした。コーン面1F上部の凹曲面1Jの曲率半径は60mm、下部の凸曲面1Lの曲率半径は50mm、コーン面1Fのコーン角度θは120°とした。
このルツボ1において、蓋部材1Bを取り外し、ルツボ1の種結晶収容部1Eに、直径が10mm及び長さが10cmの円柱状の種結晶Sを収容した。ここで、用いる種結晶Sの材質はフッ化カルシウムとし、種結晶Sの形状は、その端面が平坦なものとした。
次いで、フッ化カルシウムの原料Mを原料収容部1Dに収容した。続いて、蓋部材1Bでルツボ本体1Aの原料収容部1Dを閉じた。
次に、図3に示す真空VB炉2内を10−4Pa以下に減圧し、ヒータ2Aを1500℃前後に加熱し、シャフト2Bにより10mm/時間程度の微速度でルツボ1を上昇させ、10時間ほど上昇位置に保持した。その際、シャフト2B内を内管2B1から外管2B2へ循環する冷却水により伝熱部材2Dを介して種結晶Sの下部を強制冷却した。
フッ化カルシウムの原料Mを溶融した後は、ルツボ1を、シャフト2Bにより1.0mm/時間程度の極微速度で下降させ、5時間ほど真空VB炉2内の下降位置に保持した。こうして、溶融したフッ化カルシウム(CaF2)の原料Mを冷却して種結晶Sの(1、1、1)方位の結晶面に沿って単結晶に育成した(育成ステップ)。
その後、ルツボ1内の単結晶を、真空VB炉2のヒータ2Aをオン・オフ制御することにより約10℃/時間の冷却速度で冷却し、直径が240mm及び長さが130mmの円柱状のフッ化カルシウム単結晶を得た(第1冷却ステップ)。
次に、得られたフッ化カルシウム単結晶を60℃/時間で1400℃まで昇温して120h保温し(温度保持ステップ)、その後2℃/時間で除冷するような熱処理(第2冷却ステップ)を施した。
(実施例2)
第1冷却ステップの冷却速度を約20℃/時間とした以外は実施例1と同様にして、直径が240mm及び長さが130mmの円柱状のフッ化カルシウム単結晶を得た。
第1冷却ステップの冷却速度を約20℃/時間とした以外は実施例1と同様にして、直径が240mm及び長さが130mmの円柱状のフッ化カルシウム単結晶を得た。
(比較例1)
第1冷却ステップの冷却速度を約35℃/時間とした以外は実施例1と同様にして、直径が240mm及び長さが130mmの円柱状のフッ化カルシウム単結晶を得た。
第1冷却ステップの冷却速度を約35℃/時間とした以外は実施例1と同様にして、直径が240mm及び長さが130mmの円柱状のフッ化カルシウム単結晶を得た。
〔屈折率均一性の測定〕
実施例1、2及び比較例1で得られたフッ化カルシウム単結晶の円錐部と底部を切り落としてから研磨を行い、直径130mm×厚さ100mmの円板状の単結晶板を得た。この単結晶板を、それぞれ結晶軸方向に30mmにスライスして3枚の円板状の単結晶を得て、さらにそれぞれ表面を鏡面研磨した。この円板状の単結晶に対して、干渉計(Zygo Corporation製、ZYGO Mark III GPI)を用いて屈折率均一性を測定した。
実施例1、2及び比較例1で得られたフッ化カルシウム単結晶の円錐部と底部を切り落としてから研磨を行い、直径130mm×厚さ100mmの円板状の単結晶板を得た。この単結晶板を、それぞれ結晶軸方向に30mmにスライスして3枚の円板状の単結晶を得て、さらにそれぞれ表面を鏡面研磨した。この円板状の単結晶に対して、干渉計(Zygo Corporation製、ZYGO Mark III GPI)を用いて屈折率均一性を測定した。
測定室の温度は25℃±0.1℃で保持し測定を行った。光源はHe−Neレーザーから得られる632.8nmの光を単結晶の面に照射し得られる干渉縞を測定し、干渉縞から単結晶面の位置における位相差を読み取った。この位相差のRMS値を屈折率均一性のRMS値として求めた。そのRMS値の最小値yを最大値xで除した値(y/x)を求めたところ、実施例1では0.74、実施例2では0.65、比較例1では0.45であった。
(実施例3、4、比較例2)
実施例1、2及び比較例2で得られたフッ化カルシウム単結晶の曲面を適宜調整して両凸レンズ状に加工し、実施例3、4及び比較例2のレンズを得た。
実施例1、2及び比較例2で得られたフッ化カルシウム単結晶の曲面を適宜調整して両凸レンズ状に加工し、実施例3、4及び比較例2のレンズを得た。
[レンズの解像性能の評価]
実施例3、4、比較例2で得られたレンズを半導体リソグラフィー用ステッパーとして用い、その解像性能を評価したところ、実施例3、4のレンズでは、精密な結像が形成でき良好な解像性能が得られたのに対し、比較例2のレンズでは、精密な結像が形成されず、良好な解像性能が得られなかった。
実施例3、4、比較例2で得られたレンズを半導体リソグラフィー用ステッパーとして用い、その解像性能を評価したところ、実施例3、4のレンズでは、精密な結像が形成でき良好な解像性能が得られたのに対し、比較例2のレンズでは、精密な結像が形成されず、良好な解像性能が得られなかった。
1…ルツボ、1A…ルツボ本体、1B…蓋部材、1C…底部材、1D…原料収容部、1E…種結晶収容部、1F…コーン面、1H…原料収容部の壁面、1J…凹曲面、1K…種結晶収容部の壁面、1L…凸曲面、1N…底面、2…真空VB炉、2A…ヒータ、2B…シャフト、2C…真空ポンプ、2D…伝熱部材、10、20…フッ化物単結晶、A…結晶育成方向軸、d…直径。
Claims (9)
- 結晶育成方向軸に垂直な断面の形状が円形状であり、その短径が50mm以上であるフッ化物単結晶であって、
当該単結晶を結晶育成方向軸に対して垂直に略三等分し、略三等分された各々の単結晶について、結晶育成方向軸と垂直な面における屈折率均一性のRMS値を求めた場合に、その最小値yを最大値xで除した値(y/x)が0.5以上であるフッ化物単結晶。 - 前記略三等分された各々の単結晶のうち少なくとも1つの厚さが5mm以上である、請求項1記載のフッ化物単結晶。
- フッ化物種結晶に接触させたフッ化物原料を溶融させた後に徐冷して、前記フッ化物種結晶の結晶面に沿ってフッ化物の結晶を育成させる育成ステップと、
前記育成ステップで得られたフッ化物結晶を30℃/時間以下の速度で冷却する第1冷却ステップと、
前記第1の冷却ステップで得られたフッ化物結晶を該結晶の融点未満の温度まで加熱して当該温度に保持する温度保持ステップと、
前記温度保持ステップ後のフッ化物結晶を、第1冷却ステップの速度の1/4以下の速度で冷却する第2冷却ステップと、
を備える製造方法により得られる、請求項1又は2記載のフッ化物単結晶。 - 前記第1冷却ステップにおいて10〜30℃/時間の速度で冷却を行い、前記第2冷却ステップにおいて1〜5℃/時間の速度で冷却を行う、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフッ化物単結晶。
- 前記温度保持ステップにおける保持温度が900〜1400℃である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフッ化物単結晶。
- 前記育成ステップ、前記第1冷却ステップ、前記温度保持ステップ及び前記第2冷却ステップを、同一の炉で行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフッ化物単結晶。
- 前記フッ化物がフッ化カルシウムである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のフッ化物単結晶。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のフッ化物単結晶からなるレンズ。
- 結晶育成方向軸に垂直な断面の形状が円形状であり、その短径が50mm以上であるフッ化物単結晶の評価方法であって、
当該単結晶を結晶育成方向軸に対して垂直に略三等分し、略三等分された各々の単結晶について、結晶育成方向軸と垂直な面における屈折率均一性のRMS値を求めた場合に、その最小値yを最大値xで除した値(y/x)から、前記フッ化物単結晶のレンズとしての解像性能を評価する、フッ化物単結晶の評価方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006180070A JP2007161564A (ja) | 2005-11-21 | 2006-06-29 | フッ化物単結晶、これからなるレンズ及びフッ化物単結晶の評価方法 |
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JP2005335620 | 2005-11-21 | ||
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