JP2007160844A - 円環状中空体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】円筒状部材の外表面上に形成した離型層が、円環状中空体の成型に当ってその表面から剥がれたり、脱落したりするのを有効に防止して、成型された円環状中空体の内表面の、意図しない接着等のおそれを有利に取り除くことができ、しかも、成型された円環状中空体において、円筒状部材それ自身の重ね合わせ密着域が、その円筒状部材の両端部分の外周側への折返しによって半径方向の内外に対向して位置することになっても、それらの密着域相互の不測の接着等を十分に防止することができる円環状中空体の製造方法を提供する。
【解決手段】一枚の未加硫ゴムシート2のそれぞれの端部分2a、2bを相互に重ね合わせて密着させて円筒状部材3とした後、この円筒状部材3の外表面上に、固体状の離型剤9を擦り付け塗布し、次いで、円筒状部材3の軸線方向の両端部分を円筒状部材の外周側へ折返し、この折返し姿勢で円筒状部材3の両端部をオーバラップ接合させて円環状中空体11を成型する
【選択図】図1
【解決手段】一枚の未加硫ゴムシート2のそれぞれの端部分2a、2bを相互に重ね合わせて密着させて円筒状部材3とした後、この円筒状部材3の外表面上に、固体状の離型剤9を擦り付け塗布し、次いで、円筒状部材3の軸線方向の両端部分を円筒状部材の外周側へ折返し、この折返し姿勢で円筒状部材3の両端部をオーバラップ接合させて円環状中空体11を成型する
【選択図】図1
Description
この発明は、たとえば、安全タイヤ用空気のうの内圧保持部材、タイヤチューブ等として用いることができる未加硫の円環状中空体の製造方法、なかでも成型方法に関するものであり、とくには、加硫成形工程に到るまでの間に、その円環状中空体の内表面どうしが意図しない接着、接合等をするのを有効に防止する技術を提案するものである。
たとえば安全タイヤ用の空気のうは図5に子午線方向の断面を概念的に例示するように、ゴムを主体とする、気密構造の内圧保持部材111を、それの内表面どうしの不測の接着等を防止する離型シート112を有するものとし、かかる内圧保持部材111の周りに、たとえば不繊布からなる補強層113を積層するとともに、この補強層113の外周側領域に、これも不織布にて形成することができる内圧支持用の補強層114を配設し、一方、その補強層113の内周側領域には、空気のうの、ホイールリムへの着座を確実なものとする、タイヤのビードコアに対応する一対の環状補強部材115を、内圧保持部材の中心軸線方向への相互の離隔状態でそれぞれ配設し、さらに、外周側領域の補強層114をアウターシート116により、そして残部をゴム外皮117によってそれぞれカバーするとともに、内圧保持部材111に、内圧給排用のバルブ118を取付けることによって構成することができ、このような空気のうの、内圧保持部材111のための、未加硫の円環状中空体の成型方法としては図6に示すような方法が提案されている。
この提案方法は、たとえば図6(a)に示すように、一定厚みの未加硫のゴムシート121の長さ方向のそれぞれの端縁を、それの延在方向Xと直交する幅方向Yに対して所定の角度θをなす、相互に平行な傾斜端縁121aとし、全体としてほぼ平行四辺形状をなすこのゴムシート121を、図6(b)に示すように、成型ドラム122の周りに一回巻き回した状態で、ゴムシート121の両端部を相互に重ね合わせて密着させることで円筒状部材123を形成し、次いで、この円筒状部材123の軸線方向の両端部分を、円筒状部材123の外表面上に事後的に、または事前に貼着させた離型シート124とともに、通常は成型ドラム122上で、図6(c)に示すように、外周側に向けてそれぞれ折返して、それらの両端部分を、離型シート124の作用下で、元の円筒状部材123の外表面には接着等させることなく、相互にオーバラップ接合させることで、未加硫の円環状中空体125を成型するとするものであり、このように成型してなる円環状中空体125は、図6(d)に示すように、成型ドラム122から抜き出して、加硫成形を施した後、または加硫を施すことなく、先に述べたような構造の空気のうの成型に供することができる。
しかるに、この提案技術にあっては、たとえば、樹脂フィルムからなる離型シート124を、図6(b)に示すように、円筒状部材123の外表面上の、円筒状部材それ自身の重ね合わせ密着域126を除いた領域に、通常は未加硫ゴムからなる円筒状部材123に固有の粘着力だけをもって貼着させることとしているため、その円筒状部材123から円環状中空体125を成型するに当って、離型シート124が円筒状部材123の表面から部分的に剥がれたり、脱落したりするおそれがあり、この結果として、成型された円環状中空体125がその内表面で不測の接着等を生じることがあった。
しかも、離型シート124が剥がれたり、脱落したりしない場合にあっても、たとえば図7に、図6(d)のVII−VII線に沿う断面を例にとって示すように、離型シート124が貼着されていない、円筒状部材それ自身の重ね合わせ密着域126が、円筒状部材123の端部分の折返しによって、半径方向の内外に相互に対向して位置することとなる個所では、その対向部分に意図しない接着等が生じるおそれがあるという問題があった。
この発明は、提案技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、円筒状部材の外表面上に形成した離型層が、円環状中空体の成型に当ってその表面から剥がれたり、脱落したりするのを有効に防止して、成型された円環状中空体の内表面の、意図しない接着等のおそれを有利に取り除くことができ、しかも、成型された円環状中空体において、円筒状部材それ自身の重ね合わせ密着域が、その円筒状部材の両端部分の外周側への折返しによって半径方向の内外に対向して位置することになっても、それらの密着域相互の不測の接着等を十分に防止することができる円環状中空体の製造方法を提供するにある。
この発明に係る円環状中空体の製造方法は、一枚の未加硫ゴムシートのそれぞれの端部分を相互に重ね合わせて密着させて円筒状部材とした後、この円筒状部材の外表面上に固体状、粉体状もしくは液体状の離型剤を塗布して離型層を形成し、次いで、円筒状部材の軸線方向の両端部分をその円筒状部材の外周側へ折返し、この折返し姿勢で円筒状部材の両端部をオーバラップ接合させて円環状中空体を成型するにある。
ここで、円筒状部材の形成に当っては、未加硫ゴムシートの、相互に密着されるそれぞれの端部分を、先端に向けて、傾斜面状、曲面状、ステップ状等に次第に薄肉とすることが好ましい。
また、未加硫ゴムシートのそれぞれの端部分の相互の密着は、重ね合わせ端部分の加熱および加圧によって実現することが好ましい。
ここにおいて好ましくは、未加硫ゴムシートを、成型ドラム上で円筒状部材に形成するとともに、その成型ドラム上で円筒状部材の外表面に離型剤を塗布する。
ところで、円筒状部材の外表面に対する離型剤の塗布は、円筒状部材の形成の後、それの外表面上の、少なくとも、前記オーバラップ接合時に外周側に重なることになる端部表面を除いた領域に対して行うことが好ましく、また好ましくは、円環状中空体の子午線断面内で内周側もしくは外周側の半部となる領域の全体、より好適には、半部を幾分超える領域の全体にわたって離型剤を塗布する。
なおここで、離型剤の塗布による離型層の形成は、ステアリン酸等からなる固体状離型剤を、円筒状部材の外表面上に擦り付けて塗布することによって行うことが好ましい。
この発明に係る円環状中空体の製造方法では、離型層を、円筒状部材の外表面上への、ステアリン酸その他の固体状の離型剤、ステアリン酸、タルク、マイカ等の粉状体または、シリコーンオイルその他の液体状の離型剤の、その円筒状部材の全周にわたる塗布によって形成することにより、樹脂フィルム等を円筒状部材に粘着等させる提案技術に比して、離型層の、意図しない剥がれ、脱落等をより有効に防止することができるので、成型された円環状中空体の内表面相互の接着等のおそれを有利に取り除くことができる。
また、ここでの離型剤の塗布は、円筒状部材それ自体の重ね合わせ密着域の表面に対しても十分に行うことができるので、成型された円環状中空体において、その重ね合わせ密着域が、半径方向の内外に対向して位置する個所で接着等することのおそれをもまた有利に取り除くことができる。
なおここで、未加硫ゴムシートの、相互に密着されるそれぞれの端部分を先端に向けて次第に薄肉としたときは、形成される円筒状部材の重ね合わせ密着域から物理的なそして剛性上の段差を取り除くことができ、結果として、成型された円環状中空体の各種の物性を、円筒状部材のオーバラップ接合域を除いて、それの赤道線方向および子午線方向のそれぞれの方向に十分均等なものとすることができる。
ところで、未加硫ゴムシートのそれぞれの端部分を、加熱および加圧によって相互に密着させて円筒状部材を形成する場合には、加圧力のみにて密着させる場合に比して、密着度および接合強度のそれぞれをともに大きく向上させることができる。
またここで、円筒状部材を成型ドラム上で形成し、また、その成型ドラム上で円筒状部材に離型剤を塗布するときは、剛性部材としての成型ドラムの支持下で、円筒状部材を高い精度で形成するとともに、未加硫ゴムシートの端部分の重ね合わせ密着域に、十分な気密性を簡易に付与することができ、また、離型剤の、所期した通りの塗布を、円筒状部材の変形等なしに、確実に、かつ容易に行うことができる。
このような方法において、円筒状部材の形成の後、それの外表面上の、少なくとも、円筒状部材の両端部分のオーバラップ接合時に外周側に重なることになる端部表面を除いた領域内に離型剤を塗布することによって、そのオーバラップ接合域への離型層の介在を積極的に防止することにより、常にすぐれた気密性を有する円環状中空体を簡単に成型することができる。
そして、上述したいずれの場合にあっても、円環状中空体の子午線断面内で内周側のもしくは外周側の半部となる領域の全体にわたって離型剤を塗布したときは、離型剤の塗布面積を最小として、形成された離型層にそれ本来の機能を有効に発揮させることができる。
なおこの場合、子午線断面内で内周側もしくは外周側の半部となる領域を幾分越えて離型剤を塗布したときは、円環状中空体が、子午線断面内でそれのペリフェリ方向に若干の変形を受けることがあっても、円環状中空体の内表面の意図しない接着等を十分に防止することができる。
そしてまた、離型層の形成を、固体状離型剤の擦り付け塗布によって行う場合は、離型層の、円筒状部材への付着強度を粉状体の塗布に比して大きく高めるとともに、液状体の塗布のような、流動およびたれ落ちのおそれを取り除いて、所要の位置に所期した通りの離型層を簡単かつ容易に形成することができる。
図1はこの発明の実施形態を示す工程図であり、ここでははじめに、所定の幅および長さを有するとともに一定の厚みを有する長方形状の未加硫ゴムシート、または、両端縁を背景技術で述べたような、相互に平行な傾斜端縁とした平行四辺形状の未加硫ゴムシートを、図1(a)に示すように、成型ドラム1の周面上に一回以上、図では一回巻き回して、そのゴムシート2のそれぞれの端部分を相互の粘着下で重ね合わせて密着させて円筒状部材3を形成する。
この場合の重ね合わせ密着域4は、図示のように、未加硫ゴムシート2の、相互に密着されるそれぞれの端部分2a,2bを、それらの各先端縁に向けて、傾斜面状等に次第に薄肉に形成することが、その密着域4への厚み段差、剛性段差等の発生を防ぐ上で好ましい。
また、このような密着域4の形成は、外部から成型ドラム1に向けた押圧力の作用のみにて行い得ることはもちろんであるが、図示のように、加熱したローラ5を、その密着域4の形成部分に沿わせて転動させて、重ね合わせ端部分2a,2bを加熱および加圧しながら行うことが、密着の確実性および、高い密着強度等を実現する上で好ましい。
ところで、未加硫ゴムシート2の重ね合わせ端部分2a,2bのこのような加熱および加圧は、図2(a),(b)に要部を展開斜視図で例示するように、加熱された電気ごて6またはアイロン7を、重ね合わせ端部分2a,2bの延在方向に沿わせて、それの全長にわたって、押圧下で移動させることによって行うこともできる。
以上のようにして成型ドラム1上で円筒状部材3を形成した後は、それの外表面上に、固体状、粉体状もしくは液体状の離型剤を全周にわたって塗布して所要の離型層を形成する。
図1(b)は、このような離型層を、ステアリン酸等からなる固体状、たとえばクレヨン様の離型剤9の塗布によって形成する場合を示すものであり、この場合は、円筒状部材3を成型ドラム1とともに回転運動させるとともに、離型剤9を、その円筒状部材3への接触下で、円筒状部材3の一端側から他端側に向けてそれの軸線方向に往動もしくは一回以上往復動させることで、その離型剤9を、成型ドラム1の支持下で、円筒状部材3に、それの重ね合わせ密着域4であると否との別なく十分均等に、かつ所期した通りに簡易に塗布することができ、形成される離型層10の、円筒状部材3への付着強度を十分に確保することができる。
ところで、離型剤9のこのような塗布領域、ひいては、離型層10の形成領域は、図1(c)に示すように、円筒状部材3の軸線方向の両端部分をそれの外周側へ折返し、この折返し姿勢で円筒状部材3の両端部をオーバラップ接合させて円環状中空体11を成型する場合に、そのオーバラップ接合域12の外周側に重なることになる端部表面、図1(b)に示すところでは斜線を施して示す表面部分を除いた領域とすることが、オーバラップ接合域12での、気密にして確実な接合を実現する上で好ましい。
この場合、形成される円環状中空体11における離型剤9の塗布域、結果としての離型層10の形成域は、図3に、図1(c)のIII−III線に沿う断面で例示するように、円環状中空体11の子午線断面内で、図3(a)のようにそれの内表面の全体とすることができる他、図3(b),(c)に示すように、円環状中空体11の内周側もしくは外周側の各半部とすることもでき、この後者の場合は、離型層10の形成域を十分小さくしてなお、その離型層10に所要の機能を有効に発揮させることができる。
なお、円環状中空体11の内周側もしくは外周側の各半部に離型層10を形成するときは、図示のように、半部となる領域を幾分越えて離型層10を形成することが、円環状中空体11がそれのペリフェリ方向に若干の変形を受けることがあっても、中空体内表面の不測の接着等を防止する上で好ましい。
以上のようにして離型層10を形成した後は、成型ドラム1上で、図1(c)に示すように、円筒状部材3のそれぞれの端部分の折返し、およびそれらの両端部のオーバラップ接合をもって円環状中空体11を成型する。
このようにして成型した円環状中空体11によれば、図7と同様の断面を示す図4から明らかなように、未加硫ゴムシート2の端部分の重ね合わせ密着域4もまた、離型層10によって十分に覆われることになるので、成型された円環状中空体11で半径方向の内外に対向して位置することとなるその重ね合わせ密着域4の不測の接着等のおそれを十分に除去することができる。
また、ここでの離型層10は、円筒状部材3の外表面に、十分な接合強度をもって付着するので、円環状中空体11の成型に際するそれの意図しない剥がれ、脱落等のおそれを有効に取り除くことができ、これがため、その円環状中空体11における内表面の接着等をもまた十分に防止することができる。
1 成型ドラム
2 未加硫ゴムシート
2a,2b 端部分
3 円筒状部材
4 重ね合わせ密着域
5 ローラ
6 電気ごて
7 アイロン
9 離型剤
10 離型層
11 円環状中空体
12 オーバラップ接合域
2 未加硫ゴムシート
2a,2b 端部分
3 円筒状部材
4 重ね合わせ密着域
5 ローラ
6 電気ごて
7 アイロン
9 離型剤
10 離型層
11 円環状中空体
12 オーバラップ接合域
Claims (7)
- 一枚の未加硫ゴムシートのそれぞれの端部分を相互に重ね合わせて密着させて円筒状部材とした後、この円筒状部材の外表面上に、固体状、粉体状もしくは液体状の離型剤を塗布し、次いで、円筒状部材の軸線方向の両端部分を円筒状部材の外周側へ折返し、この折返し姿勢で円筒状部材の両端部をオーバラップ接合させて円環状中空体を成型する、円環状中空体の製造方法。
- 未加硫ゴムシートの、相互に密着されるそれぞれの端部分を先端縁に向けて次第に薄肉とする請求項1に記載の円環状中空体の製造方法。
- 未加硫ゴムシートのそれぞれの端部分を、加熱および加圧によって相互に密着させる請求項1もしくは2に記載の円環状中空体の製造方法。
- 未加硫ゴムシートを、成型ドラム上で円筒状部材に形成するとともに、その成型ドラム上で円筒状部材に離型剤を塗布する請求項1〜3のいずれかに記載の円環状中空体の製造方法。
- 円筒状部材の形成後、それの外表面上の、少なくとも、前記オーバラップ接合時に外周側に重なることになる端部表面を除いた領域内に離型剤を塗布する請求項1〜4のいずれかに記載の円環状中空体の製造方法。
- 円環状中空体の子午線断面内で内周側もしくは外周側の半部となる領域の全体にわたって離型剤を塗布する請求項1〜5のいずれかに記載の円環状中空体の製造方法。
- 固体状離型剤を、円筒状部材の外表面上に擦り付けて塗布する請求項1〜6のいずれかに記載の円環状中空体の製造方法。
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Cited By (1)
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2005
- 2005-12-16 JP JP2005363225A patent/JP2007160844A/ja not_active Withdrawn
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US9138951B2 (en) | 2009-02-17 | 2015-09-22 | Bridgestone Corporation | Tire and tire manufacturing method |
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