JP2007160647A - 転写シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材シート11と、該基材シート11の片面に形成され、リーフィング顔料13を含有する金属光沢層12とを有し、基材シート11における前記金属光沢層12が形成された側の面の常態剥離力が、1〜10N/50mmである転写シート10。基材シート11には離型処理がなされ、上記常態剥離力とされていることが好ましい。
【選択図】図2
Description
ところが、このように金属蒸着膜が形成された金属調加飾シートは、生産コストが高く、加工時には金属蒸着膜にクラックが生じやすいという問題があった。
例えば特許文献1には、アクリル樹脂からなる加飾シート基材層の片面に、アルミニウムなどの光輝性顔料を含有するインキがグラビア印刷された金属調加飾シートが開示されている。
この方法では、まず、シート状の加飾シート基材層を用意し、これに転写シートの金属光沢層側を圧着し、金属光沢層を加飾シート基材層に転写する。ついで、転写シートのPETシートを金属光沢層から剥離する。そして、金属光沢層の表面に、別途用意したアクリル樹脂シートを積層し、例えば特許文献2に記載されているようなダブルベルト式プレス装置を使用して、熱ラミネートする。
また、転写シートを使用して金属調加飾シートを製造する方法は、特許文献3などにも開示されている。
また、リーフィング顔料を金属光沢層に使用した場合でも、十分な光沢度が得られない場合が多かった。
前記基材シートの前記金属光沢層側の面には、離型処理がなされていることが好ましい。
図1の転写シート10は、基材シート11の片面に、リーフィング顔料を含有する金属光沢層12が形成されたものであって、自動車内装などに使用される金属調加飾シートの製造に好適に用いられるものである。
基材シート11の材質としては、より光沢度の高い金属光沢層12を形成できるとともに、溶剤に対する耐性も優れていることから、PETが好ましいが、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、フッ素系樹脂など他の樹脂シートも使用できるし、複数の樹脂の積層シートを使用してもよい。
基材シート11の厚みには特に制限はないが、転写シート10の転写時における取扱性などから、0.01〜0.05mmの範囲が好ましい。
リーフィング顔料は、金属粉が鱗片状に形成され、その表面にステアリン酸などの飽和脂肪酸が吸着したものである。一般には、スチールボールなどの球状の磨砕メディアを備えたボールミルなどの磨砕装置を使用し、ミネラルスピリット、ソルベントナフサなどの有機溶媒中、上述の飽和脂肪酸を粉砕助剤として使用した湿式磨砕により金属粉を粉砕することで得られる。
リーフィング顔料のサイズとしては特に制限はないが、平均粒子径として、1〜60μmの範囲が好ましく、より好ましくは2〜30μmである。平均厚みは0.01〜3μm、アスペクト比は5〜100の範囲にあると好ましい。この範囲であれば、リーフィング顔料を含有する塗料を支障なく取扱うことができるとともに、より高い光沢度の金属光沢層12を形成することができる。リーフィング顔料の平均粒子径は、例えば、リーフィング顔料を溶媒中に分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置を使用することにより測定できる。
また、リーフィング顔料のリーフィング価は70%以上であることが好ましい。70%未満であると、金属光沢層12中の配向が悪い、すなわち、光沢性が低下するため好ましくない。
また、金属光沢層12中のリーフィング顔料の濃度は、20〜80質量%が好ましい。
ここで常態剥離力は、JIS K 6854に準拠して測定されるものであって、日東電工31Bテープを使用した180°剥離試験により、剥離速度300mm/minで測定された値のことを指す。
これは、常態剥離力が10N/50mm以下であると、基材シート11と金属光沢層12中のリーフィング顔料13との親和性がより弱まり、上述のような偏在や配向が顕著になるためと考えられる。一方、常態剥離力が10N/50mmを超える場合には、リーフィング顔料は金属光沢層中でこのように偏在せず、分散してしまうため、同じ量のリーフィング顔料を使用しても、常態剥離力が1〜10N/50mmの基材シート11を使用した転写シート10のように高い光沢度は発現しないと考えられる。また、常態剥離力が1N/50mm未満であると、金属光沢層を形成するためにリーフィング顔料を含有する塗料を塗工した際に、塗工面にピンホールやはじきが発生するため好ましくない。
離型処理の方法としては、各種離型処理剤を基材シート11の表面に塗布する方法が挙げられる。離型処理剤としては、フッ素系離型剤、シリコーン系離型剤、セルロース誘導離型剤、メラミン系離型剤、パラフィン系離型剤、ポリオレフィン系離型剤、ウレア系離型剤、アクリル系離型剤、アルキド系離型剤、エポキシ系離型剤等を単独、もしくは2種類以上を適宜選択して用いることができる。離型処理剤の塗布量としては、樹脂分として0.1〜1.0g/m2が好適である。
図3の金属調加飾シート20は、厚さ0.36mmのABS樹脂からなる加飾シート基材層21の上に、金属光沢層12が形成され、さらにその上に厚さ0.125mmの透明なアクリル樹脂からなる表面シート22が積層したものである。
まず、シート状の加飾シート基材層21が、第1の供給ロール30から繰り出され、一方、図1の転写シート10が第2の供給ロール32から繰り出される。
ついで、加飾シート基材層21と転写シート10とが、転写シート10に形成された金属光沢層(図4においては図示略)側が加飾シート基材層21に接するように積層した状態で、ラミネート装置33に供給され、金属光沢層が加飾シート基材層21の表面に転写される。ついで、金属光沢層が転写した加飾シート基材層21は冷却ロール34で冷却され、一方、転写シート10の基材シート11は巻取機35により回収される。ここで転写シート10は、基材シート11の上述の常態剥離力が1〜10N/50mmに制御されたものであるので、剥離性が良好で、巻取機35による剥離、巻取りが容易かつ円滑に行える。
ここで符号33aで示される単ロールは金属光沢層を変形させないよう30〜80℃に、符号33bで示される単ロールは100〜170℃に、符号33cで示される単ロールは符号33dの単ロールよりも高温であるとともに単ロール33fと同じ温度であることが好ましく、具体的には130〜200℃が好ましい。符号33dで示される単ロールは100〜150℃にされることが好ましい。また、転写シート10と接触する側の転写ロール33eは室温とされている。
なお、これらロール33a,33b,33c,33d,33e,33fの温度は、加飾シート基材層21と転写シート10の位置が逆になった場合などには、適宜変更できる。
ここで無端金属ベルト43の対向する表面は、互いに所定の間隔を有して配置されているとともに、それぞれ鏡面仕上げされたステンレス製の押圧面43a,43bになっている。また、この熱圧着手段40には、炭化水素合成油のような流体圧力媒体の圧入によりこれら押圧面43a,43b同士が近づくように作用する、一対の加圧手段44がさらに備えられていて、圧入する流体圧力媒体の供給量を変化させることにより押圧面43a,43b同士を近づける際の圧力を制御でき、流体圧力媒体の温度を変化させることにより押圧面43a,43bの表面温度を制御できるようになっている。なお、この例の一対の加圧手段44は、前段側44aと後段側44bに2分割されていて、各々について流体圧力媒体の供給量および温度を独立に制御できるようになっている。
すると、加飾シート基材層21の金属光沢層側に表面シート22が積層し、この積層体50は、加熱ロール41に加熱された無端金属ベルト43により150〜200℃程度まで均一に加熱される。ついで、アクリル樹脂の熱変形温度以下に温度制御された流体圧力媒体が、加圧手段44の前段側44aおよび後段側44bに圧入され、押圧面43a,43b同士が接近して積層体50を挟持し、1.8〜3.5MPa程度の圧力で押圧、成形するとともに冷却する。
このような金属調加飾シート20は、60度鏡面光沢度が180〜250程度の高い光沢度を備えたものであって、自動車の内外装の他、建材、家電など種々の用途に使用できる。
表面シート22としては、アクリル樹脂の他、PVC、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、PP、PE、ポリエステルなど、透明性のあるものを使用でき、その好適な厚さは、0.025〜0.150mmである。
[実施例1]
図1の転写シート10を製造した。
具体的には、厚さ0.025mmのPETシートの片面に、アミド樹脂系の離型処理剤(テスファイン305;日立化成ポリマー社製)を樹脂分として0.5g/m2塗布し、離型処理したものを基材シート11とした。
この基材シート11について、離型処理が施された面のJIS K 6854に準拠した常態剥離力(日東電工31Bテープ、180°剥離試験、剥離速度300mm/min)を測定したところ、5.2N/50mmであった。
次いで酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンを溶媒とし、アルミニウムからなるリーフィング顔料(平均粒子径12.3μm、平均厚み2.5μm、アスペクト比20、リーフィング価80%)を10質量%、バインダ成分としてエチレン−酢酸ビニル系共重合体を樹脂分として20質量%を含有する金属光沢層用の塗料を調整した。
ついで、この塗料を先に離型処理した側の基材シート11の全面にグラビア印刷し、厚さ2.0μmの金属光沢層12を形成して転写シート10を得た。
加飾シート基材層21には、信越ポリマー製ABSシート(F975BR448、厚さ0.36mm)を使用し、表面シート22には、厚さ0.125mmの住友化学工業社製アクリルシート(S001)を使用した。
また、装置の各種条件、金属調加飾シート20の製造の詳細は、発明を実施するための最良の形態にて記載したとおりである。
また、得られた金属調加飾シート20について、表面シート22側の60度鏡面光沢度を光沢計(村上色彩技術研究所製、PORTABLE GLOSS METER GMX−202)で測定したところ240であり、非常に高い光沢度を備えていた。
また、転写時において、金属光沢層12から基材シート11は良好に剥離し、生産性よく、金属調加飾シート20を製造することができた。
離型処理において、アミド樹脂系の離型処理剤(テスファイン303;日立化成ポリマー社製)を使用した以外は実施例1と同様にして、離型処理が施された面の常態剥離力が6.9N/50mmの基材シート11を使用して転写シート10を製造し、さらにこれを使用した以外は実施例1と同様にして、金属調加飾シート20を製造した。
得られた金属調加飾シート20について、表面シート22側の60度鏡面光沢度を測定したところ、200であり、非常に高い光沢度を備えていた。
また、転写時において、金属光沢層12から基材シート11は良好に剥離し、生産性よく、金属調加飾シート20を製造することができた。
離型処理において、アミド樹脂系の離型処理剤(R−200D;伊藤製油社製)を使用した以外は実施例1と同様にして、離型処理が施された面の常態剥離力が8.9N/50mmの基材シート11を使用して転写シート10を製造し、さらにこれを使用した以外は実施例1と同様にして、金属調加飾シート20を製造した。
得られた金属調加飾シート20について、表面シート22側の60度鏡面光沢度を測定したところ、190であり、非常に高い光沢度を備えていた。
また、転写時において、金属光沢層12から基材シート11は良好に剥離し、生産性よく、金属調加飾シート20を製造することができた。
離型処理がされておらず、常態剥離力が13N/50mmの転写シートを製造し、さらにこれを使用した以外は実施例1と同様にして、金属調加飾シートを製造しようとしたが、転写時に金属光沢層が基材シートから剥離されず、転写することが不可能であった。よって、金属調加飾シートを製造できなかった。
離型処理において、シリコーン系の離型処理剤(TA31−209A;日立化成ポリマー社製)を使用した以外は実施例1と同様にして、離型処理が施された面の常態剥離力が0.6N/50mmの基材シートを使用して転写シートを製造したが、製造直後から金属光沢層が基材シートから剥離してきたため、これを用いて金属調加飾シートを製造することはできなかった。
11 基材シート
12 金属光沢層
13 リーフィング顔料
Claims (2)
- 基材シートと、該基材シートの少なくとも片面に形成され、リーフィング顔料を含有する金属光沢層とを有し、
前記基材シートの前記金属光沢層側の面の常態剥離力が、1〜10N/50mmであることを特徴とする転写シート。 - 前記基材シートの前記金属光沢層側の面には、離型処理がなされていることを特徴とする請求項1に記載の転写シート。
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