JP2007160268A - 脱硝触媒の再生処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】実用上適用範囲が広く、洗浄によって被毒した触媒の活性を容易に回復することができ、洗浄作業が簡便で、洗浄終了確認が容易で、しかも再生処理後の触媒の性能確認が不要な脱硝触媒の再生処理方法を提供する。
【解決手段】Na等の被毒により脱硝性能が低下した排煙脱硝装置の脱硝触媒の再生にあたり、脱硝触媒ユニット(1)を洗浄槽(2)に静地し、洗浄液(3)として、常温の純水を供給入口(8aまたは8b)から供給し、出口(9aまたは9b)から排水し、循環ライン(AまたはB)を介してポンプ(4)により循環させて洗浄するとともに、10〜30分間隔で洗浄液中のNaイオンの濃度を水質分析装置(5)で測定し、前記Naイオン濃度がほぼ一定になった時点で洗浄を終了する。
【選択図】図1
【解決手段】Na等の被毒により脱硝性能が低下した排煙脱硝装置の脱硝触媒の再生にあたり、脱硝触媒ユニット(1)を洗浄槽(2)に静地し、洗浄液(3)として、常温の純水を供給入口(8aまたは8b)から供給し、出口(9aまたは9b)から排水し、循環ライン(AまたはB)を介してポンプ(4)により循環させて洗浄するとともに、10〜30分間隔で洗浄液中のNaイオンの濃度を水質分析装置(5)で測定し、前記Naイオン濃度がほぼ一定になった時点で洗浄を終了する。
【選択図】図1
Description
本発明は、火力発電所などの排煙脱硝装置で使用される脱硝触媒の再生処理方法に関する。
石炭、LNG、LPG、重油等を燃料とした火力発電所のボイラには、排ガス中の窒素酸化物(NOx)を除去するため、ボイラの後段に排煙脱硝装置が設けられる。排煙脱硝装置内には、正方形の孔形状を有するハニカム形状等に成形された脱硝触媒が適当な間隔をとって設置され、この脱硝触媒の上流でアンモニア(還元剤)を排ガス中に注入すると、排ガスが触媒層を通過することで、NOx(主にNO)がアンモニアによって窒素に還元されて、脱硝が行われる。脱硝触媒としては、担体としてTiO2、活性成分としてバナジウム、タングステン、モリブデン等を含んだものが優れており、主に二元系のTiO2−WO3触媒もしくはTiO2−MoO3触媒、および三元系のTiO2−V2O5−WO3触媒もしくはTiO2−V2O5−MoO3触媒等が用いられている。ハニカム形状の脱硝触媒は、基材でハニカム形状を製造した後、触媒成分をコーティングしたタイプ、基材に触媒成分を混練して成形したタイプ、ハニカム形状の基材に触媒成分を含浸させたタイプなどがあるが、排ガス中のダストによる閉塞防止とガス接触面積が広いことから、主流となっている。このような脱硝触媒は、使用を継続していくと、燃料中の触媒性能を劣化させる物質(以下、「被毒物質」という。)が、触媒表面および内部に付着することにより、触媒性能が低下するが、性能低下原因もボイラ等の排ガス発生源となる燃料の違いにより異なっている。
例えば、重油焚きボイラ排ガスにおいては、主に排ガス中のダストに含有されるNaやKが触媒に蓄積して、触媒の性能が低下する。また、石炭焚きボイラ排ガスにおいては、主に排ガス中のダストに含有されるNa、Ca、K、As分が触媒表面に付着する。このうちCa分は、排ガス中の硫酸根と反応して硫酸カルシウムを生成して触媒表面を覆い、触媒内部へのNOおよびアンモニアガスの拡散を妨げ、触媒性能を低下させる。従来、これらの劣化原因による性能低下触媒の再生に際しては、水による洗浄が効果的であることが知られている。また、排ガス発生源の燃料の違いにより排煙脱硝装置内での脱硝触媒の設置方法も異なり、実用上は、石炭焚きボイラ排ガスの処理では、排ガス中のダストが脱硝触媒表面に付着することによる触媒性能の低下を極力防止するため、排煙路が上から下になるように脱硝触媒ユニットを設置し、一方、重油焚きボイラ排ガスの処理では、排煙路が水平方向になるように脱硝触媒ユニットを設置することが多い。
上記したように、排煙脱硝装置においては、排ガス発生源の燃料の違いによって付着する物質が異なるため、被毒物質の除去方法も多種多様である。例えば、特許文献1には、重油焚きボイラの排煙脱硝触媒の再生処理方法として、バナジウム分が付着した脱硝触媒をシュウ酸水溶液とスルファミン酸水溶液との混酸で洗浄する方法が提案されている。特許文献2および特許文献3には、石炭焚きボイラの排煙脱硝触媒の再生処理方法として、触媒表面のシリカをフッ化水素酸で洗浄し、洗浄触媒を乾燥後、触媒活性成分を触媒に含浸担持する再生方法、および、排ガス中に含まれるアルカリ類が付着して性能低下した触媒を、シリカ粉末等を含む硫酸水素アンモニウム水溶液を用いて洗浄する方法が提案されている。しかしながら、酸洗浄した場合は、装置の腐食を考慮すると、洗浄剤を水洗して洗い流す工程が必要となり、また、洗浄剤中に無機物粉末が含まれる場合は、洗浄液の調製および後処理が煩雑となる。
また、特許文献3には、常温(約25℃)の純水の中に脱硝触媒を浸漬した後、取り出して水を切ることで脱硝触媒を再生し、再生した脱硝触媒を乾燥することなく排煙脱硝装置にセットする方法が提案されている。しかしながら、水に溶出した被毒物質が触媒孔の下の方に溜まるため洗浄が均一に行われ難く、洗浄終点を見極めるのも難しい。また、この方式は、重油焚きボイラの排煙脱硝装置の脱硝触媒のように、排煙路を水平方向に設置した触媒には適用できない。
特開平10−337483号公報
特開平10−235209号公報
特開2000−475号公報
特開2005−199108号公報
本発明は、上記のような事情に鑑み、実用上適用範囲が広く、洗浄によって被毒した触媒の活性を容易に回復することができ、洗浄作業が簡便で、洗浄終了確認が容易で、しかも再生処理後の触媒の性能確認が不要な、脱硝触媒の再生処理方法を提供することを課題とする。
そこで、本発明者は、触媒の劣化原因とその対策を解明するべく、排煙脱硝装置の入口、中程及び出口付近から取り外した劣化した脱硝触媒(洗浄前)と、それを水で洗浄したものと、未使用のものについて、脱硝率を試験した。その結果、触媒の劣化原因は、(1)脱硝触媒の焼き締まりによる比表面積の低下と、(2)付着物の影響による反応阻害が起きるためであり、焼き締まりによる影響は触媒全体にほぼ均一に起こるが、付着物は排煙脱硝装置の入口側に多く付く傾向にあるため、入口側の劣化度合が大きくなる傾向にあるとの知見を得た。そして、脱硝触媒を水洗浄することにより、付着物が除去され、焼き締りの影響による劣化のみの状態までは回復可能との知見を得た。
また、脱硝触媒のNa付着量と脱硝率とは逆比例する関係にあり、Na付着量が少なくなるほど触媒の脱硝率が高くなるとの知見を得、水に溶出する物質の被毒により脱硝性能が低下した触媒に対しては、水洗浄のみでも、比較的簡易に再生可能との知見を得、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
1)被毒により脱硝性能が低下した排煙脱硝装置の脱硝触媒の再生にあたり、被毒物質の中から選択した特定の金属について、洗浄液中の金属イオン濃度を測定しながら洗浄を実施し、該金属イオン濃度がほぼ一定になった時点で洗浄を終了することを特徴とする脱硝触媒の再生処理方法、
2)金属がNa、K、Ca、Asのいずれかであることを特徴とする前記1)に記載の脱硝触媒の再生処理方法。
3)脱硝触媒ユニットを洗浄槽に静地し、循環手段を介して、洗浄液を循環させて洗浄を実施することを特徴とする前記1)または2)に記載の脱硝触媒の再生処理方法、
4)洗浄液として、常温の純水を用いることを特徴とする前記1)〜3)のいずれかに記載の脱硝触媒の再生処理方法、
5)10〜30分間隔で測定した時の金属イオン濃度の変化量が±10%以内になった時を洗浄終点とすることを特徴とする前記1)〜4)のいずれかに記載の脱硝触媒の再生処理方法、
6)脱硝触媒ユニットを排煙路が上下方向になるように洗浄槽に静地し、洗浄液を洗浄槽の上部から供給して洗浄することを特徴とする前記1)〜5)のいずれかに記載の脱硝触媒の再生処理方法、
7)脱硝触媒ユニットを排煙路が水平方向になるように洗浄槽に静地し、洗浄液を洗浄槽の側部から供給して洗浄することを特徴とする前記1)〜5)のいずれかに記載の脱硝触媒の再生処理方法、および、
8)脱硝触媒が、チタン−バナジウム−タングステン系触媒またはチタン−バナジウム−モリブデン系触媒であることを特徴とする前記1)〜7)のいずれかに記載の脱硝触媒の再生処理方法。
1)被毒により脱硝性能が低下した排煙脱硝装置の脱硝触媒の再生にあたり、被毒物質の中から選択した特定の金属について、洗浄液中の金属イオン濃度を測定しながら洗浄を実施し、該金属イオン濃度がほぼ一定になった時点で洗浄を終了することを特徴とする脱硝触媒の再生処理方法、
2)金属がNa、K、Ca、Asのいずれかであることを特徴とする前記1)に記載の脱硝触媒の再生処理方法。
3)脱硝触媒ユニットを洗浄槽に静地し、循環手段を介して、洗浄液を循環させて洗浄を実施することを特徴とする前記1)または2)に記載の脱硝触媒の再生処理方法、
4)洗浄液として、常温の純水を用いることを特徴とする前記1)〜3)のいずれかに記載の脱硝触媒の再生処理方法、
5)10〜30分間隔で測定した時の金属イオン濃度の変化量が±10%以内になった時を洗浄終点とすることを特徴とする前記1)〜4)のいずれかに記載の脱硝触媒の再生処理方法、
6)脱硝触媒ユニットを排煙路が上下方向になるように洗浄槽に静地し、洗浄液を洗浄槽の上部から供給して洗浄することを特徴とする前記1)〜5)のいずれかに記載の脱硝触媒の再生処理方法、
7)脱硝触媒ユニットを排煙路が水平方向になるように洗浄槽に静地し、洗浄液を洗浄槽の側部から供給して洗浄することを特徴とする前記1)〜5)のいずれかに記載の脱硝触媒の再生処理方法、および、
8)脱硝触媒が、チタン−バナジウム−タングステン系触媒またはチタン−バナジウム−モリブデン系触媒であることを特徴とする前記1)〜7)のいずれかに記載の脱硝触媒の再生処理方法。
本発明によれば、石炭を燃料とする火力発電所、あるいは、LNG、LPG、重油等を燃料とする火力発電所、のいずれの発電所のボイラの排煙脱硝装置に使用された劣化触媒であっても、洗浄するだけでその触媒活性を回復させることができ、洗浄作業が簡便で、洗浄終点管理が可能となる。そのため、洗い残しが無く、洗浄時間ロスも少なく、洗浄後の触媒性能を予測できるので再生処理後の触媒の性能確認が不要である。また、洗浄水は微量の金属イオンが含まれているだけなので、排水として発電所構内で比較的容易に処理することができる。
本発明の脱硝触媒の再生処理方法は、被毒により脱硝性能が低下した排煙脱硝装置の脱硝触媒の再生にあたり、被毒物質の中から選択した特定の金属について、洗浄液中の金属イオン濃度を測定しながら洗浄を実施し、該金属イオン濃度がほぼ一定になった時点で洗浄を終了することを特徴とするものである。脱硝触媒としては、一般に使用される、TiO2−WO3触媒、TiO2−MoO3触媒、TiO2−V2O5−WOx(x;3〜5の整数)触媒、TiO2−V2O5−MoO3触媒などが挙げられるが、特に、チタン−バナジウム−タングステン系触媒またはチタン−バナジウム−モリブデン系触媒は好ましい触媒である。
本発明において脱硝触媒を再生処理する場合は、脱硝触媒ユニットを洗浄槽に静地し、洗浄液として常温の純水を用い、循環手段を介して、洗浄液を循環させて洗浄を実施し、洗浄液中の特定の金属イオン濃度を測定し、前記金属イオン濃度がほぼ一定になった時点で洗浄を終了することが好ましい。洗浄の際には、洗浄液を循環させて洗浄することにより、金属イオン濃度を安定させることができる。
図1は本発明の脱硝触媒の再生処理方法の好ましい一実施形態を示す説明図である。図1において、触媒ユニット1は、排煙脱硝装置に設置され、ボイラ排ガス中に含まれるアルカリ金属や砒素等の被毒により脱硝性能が低下した脱硝触媒であり、2は洗浄槽、3は洗浄液、4は洗浄液を循環するポンプ、5は金属イオン濃度分析用の水質分析装置、6はストレーナー、7は洗浄水槽である。
先ず、排煙脱硝装置から取り外した脱硝触媒ユニットを、設置時の向きを変更することなく、洗浄槽2に静地する。具体的には、触媒ユニットには、石炭焚きボイラの排煙脱硝装置に使用され、上下方向に排煙路が設置されていた脱硝触媒ユニット(以下、「縦置き触媒ユニット」という。)と、LNG、LPG、DME、重油焚きボイラの排煙脱硝装置に使用され、水平方向に排煙路が設置されていた脱硝触媒ユニット(以下、「横置き触媒ユニット」という。)の2種類が存在するので、縦置き触媒ユニットは排煙路が上下方向になるように、横置き触媒ユニットは排煙路が水平方向になるように、洗浄槽2内に静地する。前記の縦置き触媒ユニットを横置きに静地して洗浄した場合は、触媒の開口部が先浄水の流れ方向と異なる方向となるため触媒内部に洗浄水が流れなくなり、被毒物質を洗浄しきれなくなるおそれがある。一方、横置き触媒ユニットを縦置きに静地して洗浄した場合も、触媒の開口部が洗浄水の流れと異なる方向となるため触媒内部に洗浄水が流れなくなり、触媒が破損するおそれもある。
洗浄槽2には、洗浄液供給入口8a,8bと、洗浄液出口9a,9bが設けられており、洗浄液供給入口8aおよび出口9aは主に縦置き触媒ユニットの洗浄に使用され、また、洗浄液供給入口8bおよび出口9bは主に横置き触媒ユニットの洗浄に使用される。洗浄液の供給方法は特に限定されないが、触媒の破損防止および洗浄効率を考慮すると、純水を放射状に拡散して供給可能な供給口を設置するのが好ましく、例えば、供給入口8aには図2(a)、供給入口8bには図2(b)に例示した、放射状に水供給用孔10を設けた部材を設置してもよい。洗浄槽2に、触媒ユニット1が浸漬される程度に純水を供給した後は、純水の供給を停止する。次いで洗浄液3を、ポンプ4で循環させ、触媒ユニット1の内部を流通させながら、洗浄液が洗浄槽2内で滞留しないように、洗浄槽2の外に排出させる。縦置き触媒ユニットの洗浄時には循環ラインA、横置き触媒ユニットの洗浄時には循環ラインBを用いるのがよい。また、洗浄液出口には、図2(c)および(d)に例示した、多数の排水用孔11を備えた部材を設置してもよい。
洗浄槽に供給する洗浄水としては、常温の純水を使用するのが、触媒に対して安定で、しかも入手が容易でかつ、すすぎが不要である点より好ましい。常温とは、いわゆる環境温度をいい、通常5℃〜40℃程度の温度範囲である。洗浄槽2への純水の供給量は脱硝触媒ユニットが浸漬される量であればよいが、体積で脱硝触媒ユニットの5〜10倍量が好ましい。純水の量が少なすぎる場合は洗浄効率が悪くなり、一部の洗浄水が洗浄槽内に滞留することによって洗浄水の水質測定結果にばらつきが生じ易くなる。一方、純水の量が多すぎる場合は洗浄槽を大きく設計する必要が生じ、経済性に劣る。
循環ライン上には、触媒に付着していて洗浄により除去された鉄分等を除去するため、ストレーナー6を設置してもよい。洗浄液の金属イオン濃度を測定する水質分析装置装置(イオンクロマトグラフィー、原子吸光分析装置等)5は、循環ライン上に設置すればよい。図1に示す説明図では、洗浄水槽7を設置し、該洗浄水槽内の水質を分析する方法を示しているが、該洗浄水槽7を設けるかどうかは任意であり、循環ラインから洗浄液をサンプリングし、それの金属イオン濃度を測定してもよい。また、洗浄水槽7を設置する場合は、予め水槽中に純水を供給しておくことが好ましい。
金属イオン濃度を測定する場合は、Na、K、CaおよびAsから選ばれるいずれか一種の金属について、金属イオン濃度を測定することが好ましく、これらの金属の中から測定に最も適した金属を決定する場合は、劣化脱硝触媒について予め、水洗浄による金属溶出試験あるいは表面付着金属量の測定等を実施し、劣化要因を特定するのがよい。そして劣化要因となっている物質について金属イオン濃度を測定することが、ばらつきを少なくできる点より好ましい。
洗浄終了は、前記金属イオン濃度がほぼ一定になった時点とする。ここで、「ほぼ一定」とは、下記式で表わされる金属イオン濃度の変化量が±10%以下となった時点をいう。式中、(T1−T2)の差、即ち測定間隔は、触媒ユニットの大きさ、洗浄水量、洗浄水の循環速度等を考慮すると、10分以上30分以下が好ましい。
洗浄終了後、洗浄水を排水して触媒ユニットを取り出し、乾燥する。乾燥は常温で十分であり、触媒の焼成は不要である。
以下、試験例、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(試験例1)
重油焚きボイラの排煙脱硝装置(NH3/NOモル比1.0)より、装置入口から出口に至るまでの設置位置が異なる触媒ユニットを取り外し、脱硝性能が低下したこれらの触媒(洗浄前)を、体積比で6倍量(対触媒)の常温(約25℃)の純水中で30分緩やかに攪拌しながら洗浄した。洗浄後、触媒ユニットを取り出し、乾燥した。洗浄品、未洗浄品および新品(未使用)の触媒について、脱硝率と触媒位置との関係を試験した。なお、脱硝率(%)は、触媒入口のNO濃度cと触媒出口のNO濃度eを求め、下記式に基づいて算出した。その結果を図3に示した。
重油焚きボイラの排煙脱硝装置(NH3/NOモル比1.0)より、装置入口から出口に至るまでの設置位置が異なる触媒ユニットを取り外し、脱硝性能が低下したこれらの触媒(洗浄前)を、体積比で6倍量(対触媒)の常温(約25℃)の純水中で30分緩やかに攪拌しながら洗浄した。洗浄後、触媒ユニットを取り出し、乾燥した。洗浄品、未洗浄品および新品(未使用)の触媒について、脱硝率と触媒位置との関係を試験した。なお、脱硝率(%)は、触媒入口のNO濃度cと触媒出口のNO濃度eを求め、下記式に基づいて算出した。その結果を図3に示した。
図3の結果から、触媒の劣化原因は、脱硝触媒の焼き締まりによる比表面積の低下と付着物の影響による反応阻害が起きるためであり、焼き締まりによる影響は触媒全体にほぼ均一に起こるが、付着物は脱硝装置の入口側に多く付く傾向にあるため、入口側の劣化度合が大きくなる傾向にあった。従って、脱硝触媒を水洗浄することにより付着物が除去されるので、新品レベルにまで回復することはできないが、焼き締りの影響による劣化のみの状態までは回復可能であることがわかった。
(試験例2)
試験例1で用いた脱硝装置の入口付近から取り外した脱硝性能が低下した触媒ユニットを、体積比で6倍量(対触媒)の常温(約25℃)の純水中で30分〜60分緩やかに攪拌しながら洗浄し、Na付着量の異なる試験触媒を調製した。洗浄後、触媒ユニットを取り出し、乾燥した。試験触媒ユニットについて、洗浄液中のNa濃度を測定し、触媒から溶出したNa量を算出すると共に、試験触媒ユニットの脱硝率を求めた。その結果を図4に示した。
試験例1で用いた脱硝装置の入口付近から取り外した脱硝性能が低下した触媒ユニットを、体積比で6倍量(対触媒)の常温(約25℃)の純水中で30分〜60分緩やかに攪拌しながら洗浄し、Na付着量の異なる試験触媒を調製した。洗浄後、触媒ユニットを取り出し、乾燥した。試験触媒ユニットについて、洗浄液中のNa濃度を測定し、触媒から溶出したNa量を算出すると共に、試験触媒ユニットの脱硝率を求めた。その結果を図4に示した。
図4の結果から明らかなように、脱硝触媒に対するNa付着量と脱硝率とは逆比例する関係にあり、Na付着量が少ないほど脱硝率が高くなることより、被毒物質であるNa化合物を水に溶出させることで、触媒を再生可能になることがわかった。
(実施例1)
火力発電所の重油焚きボイラ排煙脱硝装置の入口部分より、図5に示した形状の脱硝性能が低下したハニカム形状の脱硝触媒(TiO2−V2O5−WO5)を160cm3(4cm×4cm×10cm)の大きさに切り出し、常温(約25℃)の純水1000cm3の中に入れ、循環ポンプ(送液量1リットル/分)により純水を循環する装置(図6)を作成した。洗浄時間を0分、3分、15分、30分、60分に設定し、洗浄時間毎に触媒試験片を作成し、それぞれ別個に触媒試験片を洗浄した。洗浄後、触媒試験片を取り出し、乾燥した。
火力発電所の重油焚きボイラ排煙脱硝装置の入口部分より、図5に示した形状の脱硝性能が低下したハニカム形状の脱硝触媒(TiO2−V2O5−WO5)を160cm3(4cm×4cm×10cm)の大きさに切り出し、常温(約25℃)の純水1000cm3の中に入れ、循環ポンプ(送液量1リットル/分)により純水を循環する装置(図6)を作成した。洗浄時間を0分、3分、15分、30分、60分に設定し、洗浄時間毎に触媒試験片を作成し、それぞれ別個に触媒試験片を洗浄した。洗浄後、触媒試験片を取り出し、乾燥した。
乾燥後、洗浄液中のNa濃度をイオンクロマトグラフィーで測定し、触媒より溶出したNa量を、触媒1gあたりのNa溶出量(g)として算出すると共に、触媒の脱硝率を測定した。その結果を図7に示した。上記のNa溶出量は30分で57g、60分で57gであり、変化量は0%であった。
図7の結果から、新品触媒の脱硝率(%)を100としたとき、30分洗浄することにより脱硝率は95%回復したが、60分洗浄しても回復率は変わらなかった。
これらの結果より、Naイオン濃度がほぼ一定になるまで脱硝触媒を洗浄することによって、Na等が触媒の活性点に着くことによるNH3の吸着能力の低下を回復させることができ、酸化チタンのシンタリングで比表面積が減少する所謂焼き締りによる劣化のみの状態までは、脱硝触媒を再生可能になることがわかった。
1 脱硝触媒ユニット
2 触媒洗浄槽
3 洗浄液
4 ポンプ
5 水質分析装置
6 ストレーナー
7 洗浄水槽
8a,8b 洗浄液供給入口
9b,9b 洗浄液出口
10,11 孔
A,B 洗浄液循環ライン
2 触媒洗浄槽
3 洗浄液
4 ポンプ
5 水質分析装置
6 ストレーナー
7 洗浄水槽
8a,8b 洗浄液供給入口
9b,9b 洗浄液出口
10,11 孔
A,B 洗浄液循環ライン
Claims (8)
- 被毒により脱硝性能が低下した排煙脱硝装置の脱硝触媒の再生にあたり、被毒物質の中から選択した特定の金属について、洗浄液中の金属イオン濃度を測定しながら洗浄を実施し、該金属イオン濃度がほぼ一定になった時点で洗浄を終了することを特徴とする脱硝触媒の再生処理方法。
- 金属がNa、K、Ca、Asのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の脱硝触媒の再生処理方法。
- 脱硝触媒ユニットを洗浄槽に静地し、循環手段を介して、洗浄液を循環させて洗浄を実施することを特徴とする請求項1または2に記載の脱硝触媒の再生処理方法。
- 洗浄液として、常温の純水を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の脱硝触媒の再生処理方法。
- 10〜30分間隔で測定した時の金属イオン濃度の変化量が±10%以内になった時を洗浄終点とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の脱硝触媒の再生処理方法。
- 脱硝触媒ユニットを排煙路が上下方向になるように洗浄槽に静地し、洗浄液を洗浄槽の上部から供給して洗浄することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の脱硝触媒の再生処理方法。
- 脱硝触媒ユニットを排煙路が水平方向になるように洗浄槽に静地し、洗浄液を洗浄槽の側部から供給して洗浄することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の脱硝触媒の再生処理方法。
- 脱硝触媒が、チタン−バナジウム−タングステン系触媒またはチタン−バナジウム−モリブデン系触媒であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の脱硝触媒の再生処理方法。
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