JP2007158834A - マルチキャリア通信装置及びマルチキャリア通信システム - Google Patents

マルチキャリア通信装置及びマルチキャリア通信システム Download PDF

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和久 藤本
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勝広 酒井
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Abstract

【課題】遅延波及びドップラーシフトの状況に応じて安定したデータ伝送を可能にすること。
【解決手段】送信装置100が備えるGI長設定部108、IFFT動作速度設定部109及びIFFT入力データ配置設定部110には、受信装置が遅延波及びドップラーシフトによる受信品質の劣化を判断し、その劣化の度合いに応じて選択したガードインターバル長、IFFT動作速度及びIFFT入力データ配置が共有手段によって格納されている。送信装置100では、これらの共有する情報に基づき送信するOFDM信号の周波数帯域幅を一定に保持しつつサブキャリア周波数間隔(OFDMシンボル長)及びガードインターバル長を任意の周期で更新する。
【選択図】図1

Description

本発明は、多数の搬送波を用いたマルチキャリア・デジタル変調方式の一種であるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式を用いたマルチキャリア通信装置及びマルチキャリア通信システムに関する。
OFDM方式は、伝送すべき高速情報信号を多数の低速情報信号に分割し、それぞれを互いに直交関係を有する搬送波(サブキャリア)で変調し、多数の狭帯域信号として伝送する方式である。このOFDM方式は、個々の伝送帯域が狭帯域であるので、周波数選択性フェージングの影響を受け難い。また、互いのサブキャリアが直交関係にあるので、高い周波数利用効率が得られるという優れた特徴を有している。そのため、無線LANや地上波デジタルテレビ放送などの分野で盛んに研究開発が行われている。
ところで、OFDM方式での送信信号である送信シンボルは、OFDMシンボルと、このOFDMシンボルの先頭に付加したガードインターバルとで構成される。このガードインターバルは、OFDMシンボルの後方の一部を複製して生成されるが、以下、図4を参照して、ガードインターバルを付加する意義について説明する。なお、図4では、(a)ガードインターバルを付加しない場合の送受信関係と、(b)ガードインターバルを付加した場合の送受信関係とが示されている。
図4(a)に示すように、ガードインターバルを付加しない場合は、送信側(1)は、OFDMシンボル長Tの各OFDMシンボルを、OFDMシンボル(#1)401、OFDMシンボル(#2)402、・・と順次時間的に連続して出力していく。なお、各OFDMシンボルは、送信データを直/並列変換した後、それぞれを隣接間で互いに直交するサブキャリアに割り当てて逆高速フーリエ変換(IFFT)を施し、周波数領域の伝送データを時間領域の伝送データに変換したものである。
受信側(2)では、マルチパス伝播環境下においては、直接波の他に、各種の遅延時間を有する遅延波も到来する。図4では、想定される最大遅延時間τを有する遅延波が到来する場合を示す。即ち、受信側(2)では、送信側が送出出したOFDMシンボル(#1)401、OFDMシンボル(#2)402・・が、最大遅延時間τ経過後のOFDMシンボル(#1)403、OFDMシンボル(#2)404・・として到来する。
この場合に、受信側(2)では、直接波と遅延波とが合成されるので、図示例で言えば、遅延波のOFDMシンボル(#1)403の最大遅延時間τに相当する後方部は、直接波のOFDMシンボル(#2)402の前方部と重なり、干渉部分405となる。このような直接波と遅延波の合成波についてサブキャリア分離を行う各シンボル区間にて高速フーリエ変換(FFT)を行うと、干渉部分405が含まれるので、シンボル間干渉(Inter Symbol Interference)が発生し、正しく復調されず、誤り率の増加が起こる。
そこで、このような遅延波の影響を除去するため図4(b)に示すように、送信側(1)は、OFDMシンボル長Tの各OFDMシンボルの先頭にOFDMシンボルの後方の一部を複製したガードインターバルを付加するようにしている。図示例で言えば、OFDMシンボル(#1)401の先頭には、OFDMシンボル(#1)401の後方の一部を複製したガードインターバル(GI1)406が付加され、OFDMシンボル(#2)402の先頭には、OFDMシンボル(#2)402の後方の一部を複製したガードインターバル(GI2)407が付加される。
ガードインターバル長Tgは、通常、想定される最大遅延時間τよりも長く設定され、OFDMシンボル長Tの数十%を占める。したがって、受信側(2)では、「ガードインターバル」と「OFDMシンボル」とからなる直接波と遅延波とを合成するので、図示例で言えば、遅延波のOFDMシンボル(#1)403の最大遅延時間τに相当する後方部は、直接波のOFDMシンボル(#2)402の前方に設けたガードインターバル(GI2)407内で重なり、干渉部分408となる。
つまり、この場合には、このような直接波と遅延波の合成波についてサブキャリア分離を行う各シンボル区間にて高速フーリエ変換を行っても、干渉部分408は含まれないので、シンボル間干渉は発生せず、正しく復調できるようになる。
このように、ガードインターバルを付加することにより、マルチパス伝播環境下において、遅延波の最大遅延時間τがガードインターバル長Tgを超えない限り、OFDMのシンボル間干渉はガードインターバル内に留まるので、ガードインターバルの削除後に、サブキャリア分離のための高速フーリエ変換を行うシンボル区間では直交性が保たれ、遅延波の影響を軽減することが可能となり、誤り率の劣化を防ぐことができる(例えば、非特許文献1,2)。
なお、送信側では、OFDMシンボルとガードインターバルとを合わせた送信シンボルのシンボル同期を取る必要がある。これは、シンボル同期専用のパイロット信号を用いる方法や、受信した信号についてコピーしたガードインターバル区間の相関を利用して同期を取りシンボル区間を検出する方法を用いることにより実現できる。
また、受信側では、周波数変換に用いる発振器の発振周波数誤差や、受信装置が高速に移動する場合に生じるドップラーシフトによる周波数誤差があると、IQ平面上のシンボルが位相回転を起こすだけでなく、サブキャリア間の直交性が崩れサブキャリア間干渉(Inter Carrier Interference)が生ずることがある。例えば、2GHz帯の搬送波周波数を用い時速200kmで移動する受信装置でのドップラー周波数は約350Hzに及ぶ。このような搬送波周波数の補正(同期)については、搬送波周波数同期用のパイロットシンボルを用いる方法、あるいはシンボル同期と同様にガードインターバルを利用する方法を用いることにより実現することができる。
高畑文雄著「デジタル無線通信入門」、61頁、2.7直交周波数分割多重(OFDM)、培風館 「〜デジタル放送/移動通信のための〜 OFDM変調技術」、2000年3月、トリケップス
このように、従来のOFDM方式を用いるマルチキャリア通信装置では、サブキャリア周波数間隔(OFDMシンボル長)は固定され、ガードインターバル長はOFDMシンボル長の数十%程度で、想定される遅延波の最大遅延時間よりも長くなるように設定され固定されている。
したがって、遅延波の遅延時間が想定したガードインターバル長を超える場合は、サブキャリア分離のための高速フーリエ変換を行う区間内にシンボル間干渉が発生することから、サブキャリア間の直交性が崩れ、サブキャリア間干渉が生じ、急速に誤り率が劣化するという問題があった。
また、想定される最大遅延時間に対して十分長いガードインターバル長を設定することは、送信シンボル長が長くなりすぎて伝送効率の低下を招くことから、できるだけ短いガードインターバル長を設定したいという相反する問題もあった。
さらに、高速で移動する移動体では、比較的経路差の小さなマルチパスによるフェージングに対応しなければならないが、固定受信あるいは準静止受信では、複数の送信機から送信される比較的時間差の大きい固定的なマルチパスに対応することが必要である。しかしながら、従来のマルチキャリア通信装置ではサブキャリア周波数間隔であるOFDMシンボル長やガードインターバル長が固定され変更できないので、上記のように固定受信から準静止、高速移動にわたる広い範囲におけるマルチパスフェージングに対応して高効率な通信を行うことが困難であった。
具体例を挙げると、遅延波の遅延時間が比較的長い地上デジタル放送ではサブキャリア周波数間隔は1kHzであり、遅延波の遅延時間が短い室内伝播を想定した無線LANではサブキャリア周波数間隔は312.5kHzに設定されており、おおよそ300倍の違いがある。また、送信シンボル長についても地上デジタル放送は1msであるのに対し、無線LANでは4μsと約250倍の違いがある。
要するに、従来では、サブキャリア周波数間隔(OFDMシンボル長)やガードインターバル長が固定され変更できないので、通信システムに応じた様々な通信状況における遅延波に柔軟に対応することが困難であった。
また、マルチパス伝播環境では、遅延波によって周波数軸上で振幅特性が周期的な落ち込みを示す周波数選択性フェージングが生ずることが知られている。この周波数選択性フェージングは、遅延波の遅延時間が長くなるほど振幅周波数特性の落ち込み周期(周波数)が小さくなる性質を持っている。即ち、遅延時間が長いほど、周波数選択性フェージングによる振幅周波数特性の落ち込み周期(周波数)は小さくなるので、サブキャリア周波数間隔はより狭くする方が好都合であるが、従来では、サブキャリア周波数間隔(OFDMシンボル長)やガードインターバル長が固定され、変更できないために対応することができなかった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、遅延波及びドップラーシフトの状況に応じて安定したデータ伝送を可能にするマルチキャリア通信装置及びマルチキャリア通信システムを提供することを目的とする。
かかる課題を解決するため、本発明に係るマルチキャリア通信装置は、OFDM方式を用いたマルチキャリア通信装置において、受信品質の劣化原因が遅延波の遅延時間にあるか、ドップラーシフトによる周波数誤差にあるか、それらの組合せにあるかに応じて、送信するOFDM信号のサブキャリア周波数間隔を可変設定する変更機構を具備する構成を採る。
この構成によれば、通信装置の移動速度や遅延波の状況に応じて、サブキャリア周波数間隔を任意の更新周期で適応的に変更することができるので、マルチパスのような遅延波がある場合は、最適なガードインターバル時間を選択して誤り率の増加を抑制することができ、高速移動時における搬送波周波数のドップラーシフトがある場合は、最適なサブキャリア周波数間隔を選択することにより周波数ずれによるサブキャリア間の直交性の崩れを改善することができる。したがって、いかなるマルチパス伝播環境下においても、遅延波及びドップラーシフトの状況に応じて安定したデータ伝送が可能になる。
本発明によれば、いかなるマルチパス伝播環境下においても、遅延波及びドップラーシフトの状況に応じて安定したデータ伝送を可能にすることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態に係るマルチキャリア通信装置における送信装置の構成を示すブロック図である。図2は、本発明の一実施の形態に係るマルチキャリア通信装置における受信装置の構成を示すブロック図である。
図1に示す送信装置100は、送信データ発生部101と、直列/並列変換部(S/P部)102と、逆高速フーリエ変換部(IFFT部)103と、ガードインターバル挿入部(GI挿入部)104と、デジタル/アナログ変換部(D/A部)105と、無線送信処理部106と、アンテナ107と、ガードインターバル長設定部(GI長設定部)108と、IFFT動作速度設定部109と、IFFT入力データ配置設定部110とを備えている。
また、図2に示す受信装置200は、アンテナ201と、無線受信処理部202と、アナログ/デジタル変換部(A/D部)203と、ガードインターバル除去部(GI除去部)204と、高速フーリエ変換部(FFT部)205と、並列/直列変換部(P/S部)206と、受信データ記憶部207と、誤り率検出部208と、遅延波検出部209と、遅延劣化検出部210と、周波数誤差検出部211と、周波数誤差劣化検出部212と、ガードインターバル長設定部(GI長設定部)213と、IFFT動作速度設定部214と、IFFT入力データ配置設定部215とを備えている。
ここで、受信装置200が備えるGI長設定部213、IFFT動作速度設定部214及びIFFT入力データ配置設定部215の内容は、受信処理過程で設定されるが、その各設定内容が、図示しない共有手段によって、送信装置100が備えるGI長設定部108、IFFT動作速度設定部109及びIFFT入力データ配置設定部110に転記される。送信装置100は、受信側が検出して設定したGI、IFFT動作速度(サンプリング周波数)及びIFFT入力データ配置を用いて送信動作を行うようになっている。
次に、以上のように構成されるマルチキャリア通信装置の動作について説明する。まず送信装置100では、送信データ発生部101がビット直列の送信データを発生し、S/P部102に与える。S/P部102は、送信データ発生部101から入力されるビット直列の送信データを、IFFT入力データ配置設定部110に設定されているデータ配置に基づいてビット並列のパラレルデータに変換し、逆高速フーリエ変換部(IFFT部)103に与える。
IFFT部103は、S/P部102にてパラレルデータに変換された各送信データにIFFT動作速度設定部109に設定されているIFFT動作速度(サンプリング周波数)に基づいて逆高速フーリエ変換処理を施して各サブキャリアの周波数領域送信データを時間領域送信データ(OFDMシンボル)に変換し、それをガードインターバル挿入部(GI挿入部)104に与える。
GI挿入部104は、IFFT部103から供給されるOFDMシンボル毎に、そのOFDMシンボルの前部にGI長設定部108に設定されているGI長のGI(ガードインターバル)を挿入する。
このように生成されたデジタルOFDM信号は、デジタル/アナログ変換部(D/A部)105にてアナログOFDM信号に変換され、無線送信処理部106にて無線周波のOFDM信号となり、アンテナ107から無線送出される。
また、受信装置200では、アンテナ201にて無線受信された無線周波のOFDM信号は、無線受信処理部202にてベースバンドのアナログOFDM信号に変換され、アナログ/デジタル変換部(A/D部)203にてデジタルOFDM信号となり、ガードインターバル除去部(GI除去部)204と遅延波検出部209と周波数誤差検出部211とに並列に入力される。
GI除去部204は、A/D部203から供給されるデジタルOFDM信号から、ガードインターバル長設定部(GI長設定部)213に設定されているGI長の各ガードインターバル(GI)を除去し、残りの各OFDMシンボル部分を高速フーリエ変換部(FFT部)205に与える。
FFT部205は、GI除去部204にて各ガードインターバル(GI)が除去されたOFDM信号に、IFFT動作速度設定部214に設定されているIFFT動作速度(サンプリング周波数)に基づく高速フーリエ変換処理を施し、復調したビット並列の各OFDMシンボルパラレルデータを並列/直列変換部(P/S部)206に与える。
P/S部206は、復調された各OFDMシンボルパラレルデータを、IFFT入力データ配置設定部215に設定されているIFFT入力データ配置に従ってビット直列のシリアルデータに変換する。変換された各OFDMシンボルシリアルデータは、受信データとして受信データ記憶部207に格納される。
誤り率検出部208は、受信データ記憶部207に格納される受信データに含まれるビット誤りを検出し、誤り率を算出する。ここで検出された誤り率が、次のように、GI長設定部213、IFFT動作速度設定部214及びIFFT入力データ配置設定部215の各設定値を定める基礎資料として用いられる。
即ち、遅延波検出部209は、A/D部203から供給されるデジタルOFDM信号から、遅延波の遅延時間を任意の更新周期で検出し、それを遅延劣化検出部210に与える。遅延劣化検出部210は、検出された遅延波の遅延時間によって受信信号の品質劣化有無を判断する。
また、周波数誤差検出部211は、A/D部203から供給されるデジタルOFDM信号から、ドップラーシフトによる周波数誤差を任意の更新周期で検出し、それを周波数誤差劣化検出部212に与える。周波数誤差劣化検出部212は、検出された周波数誤差によって受信信号の品質劣化有無を判断する。
誤り率検出部208の出力と遅延劣化検出部210の出力との相関を取ることで、受信品質の劣化原因が遅延波の遅延時間にあるのか否かが判断できる。また、誤り率検出部208の出力と周波数誤差劣化検出部212の出力との相関を取ることで、受信品質の劣化原因が周波数誤差にあるのか否かが判断できる。
そこで、GI長設定部213、IFFT動作速度設定部214及びIFFT入力データ配置設定部215は、それぞれ、誤り率検出部208の出力と遅延劣化検出部210の出力との相関を取る手段と、誤り率検出部208の出力と周波数誤差劣化検出部212の出力との相関を取る手段と、両相関結果に基づき受信品質の劣化原因が遅延波の遅延時間にあるのか否か、周波数誤差にあるのか否か、あるいは双方の組合せにあるのか否かを判断する手段とを備え、その判断結果に応じて、GI長、IFFT動作速度及びIFFT入力データ配置を任意の更新周期で変更設定するようになっている。
つまり、受信品質の劣化原因が遅延波の遅延時間にあるのか、周波数誤差にあるのか、あるいは双方の組合せにあるのかに応じて、GI長設定部213ではGI長を最適値に変化させて設定する。IFFT動作速度設定部214では送信側が行うIFFTの動作速度(サンプリング周波数)を最適値に変化させ、サブキャリア周波数間隔を変化させる。IFFT入力データ配置設定部215では送信側が行うIFFTの入力データ配置を、IFFT動作速度設定部214が変更設定したIFFT動作速度(サンプリング周波数)に最適な入力データ配置となるように設定する。
そして、以上のように、GI長設定部213、IFFT動作速度設定部214及びIFFT入力データ配置設定部215に変更設定されたGI長、IFFT動作速度及びIFFT入力データ配置が、図示しない共有手段によって、送信装置100のGI長設定部108、IFFT動作速度設定部109及びIFFT入力データ配置設定部110に任意の更新周期で変更設定される。受信装置200でのGI長設定部213、IFFT動作速度設定部214及びIFFT入力データ配置設定部215への変更設定も共有手段の制御下に同じ更新周期で行われる。
換言すれば、送信装置100は、受信装置200が遅延波及びドップラーシフトによる受信品質の劣化を判断し、その劣化の度合いに応じて選択したガードインターバル長、逆高速フーリエ変換(IFFT)の動作速度及びサブキャリア周波数間隔、逆高速フーリエ変換(IFFT)の入力データ配置を共有するので、例えば図3に示すように、OFDM信号の周波数帯域幅を一定に保持しつつ間隔サブキャリア周波数間隔及びガードインターバル長をドップラー周波数(移動速度)や遅延波の遅延時間に応じて適応的に変更することができる。
これによって、マルチパスのような遅延波が存在する場合は、最適なガードインターバル長を選択して誤り率の増加を抑制することができる。また、高速移動時におけるサブキャリア周波数のドップラーシフトが存在する場合は、最適なサブキャリア周波数間隔を選択することにより、周波数ずれによるサブキャリア間の直交性の崩れを改善することができる。
したがって、遅延波による劣化の度合いが小さくドップラーシフトなどによる周波数誤差による劣化の度合いが著しい場合、またはドップラーシフトなどによる周波数誤差による劣化の度合いが小さく遅延波による劣化の度合いが著しい場合に、伝送効率を損なうことなく最適な送受信間の通信を確立することができる。
図3は、変更設定されるサブキャリア周波数間隔(OFDMシンボル長)及びガードインターバル長の一例を説明する図である。図3(a)(b)(c)では、周波数軸上のサブキャリア301a,301b,301cの周波数間隔302a,302b,302cと、それに対応する時間軸上の送信シンボル長303a,303b,303cにおけるOFDMシンボル長304a,304b,304c及びガードインターバル長305a,305b,305cとが示されている。図3(a)での周波数間隔302aに対し、図3(b)(c)での周波数間隔302b,302cは、それぞれ、2倍ずつ増加した関係になっている。
図3(a)において、サブキャリア周波数間隔302aをfs1とすると、このOFDMスペクトラムの時間軸におけるOFDMシンボル長304aはTs1となり、fs1=1/Ts1の関係がある。また、ガードインターバル長305aをGI1とし、送信シンボル長303aをTx1とすると、Tx1=Ts1+GI1である。ここで、ガードインターバル長(GI1)305aは、OFDMシンボル長(Ts1)304aの20%とする。
次に、図3(b)において、サブキャリア周波数間隔(fs2)302bは、図3(a)に示したサブキャリア周波数間隔(fs1)302aの2倍である。したがって、OFDMシンボル長(Ts2)304bは、fs2=1/Ts2の関係から、図3(a)に示すOFDMシンボル長(Ts1)304aの1/2倍の長さになる。そして、ガードインターバル長(GI2)305bをOFDMシンボル長(Ts2)304bの20%とすると、送信シンボル長(Tx2)303bは、図3(a)に示す送信シンボル長(Tx1)303aの丁度1/2倍の長さとなる。
次に、図3(c)において、サブキャリア周波数間隔(fs3)302cは、図3(b)に示したサブキャリア周波数間隔(fs1)302bの2倍である。したがって、OFDMシンボル長(Ts3)304cは、fs3=1/Ts3の関係から、図3(b)に示すOFDMシンボル長(Ts2)304bの1/2倍の長さになる。そして、ガードインターバル長(GI3)305cをOFDMシンボル長(Ts3)303cの20%とすると、送信シンボル長(Tx3)303cは、図3(b)に示す送信シンボル長(Tx2)303bの丁度1/2倍の長さとなる。
このように、ガードインターバル長GIとOFDMシンボル長Tsの比を一定とすることにより、上記のようにサブキャリア周波数間隔fsを最小サブキャリア周波数間隔fsminのn倍にした場合、送信シンボル長Txは1/n倍になる。周波数帯域幅(fo)306及び中心周波数307は、いずれの場合においても変更無く一定である。
また、図3での説明から理解できるように、ガードインターバル長GIとOFDMシンボル長Tsの比が一定であるので、サブキャリア当たりのデータ伝送量が同じであれば、単位時間あたりのデータ伝送量は同じである。
この図3に示したサブキャリア周波数間隔の変更設定は、例えば次のようなケースで行われる。即ち、遅延波が殆どないか、あっても遅延時間が短い場合は、広いサブキャリア周波数間隔が選択される。この場合は、サブキャリア周波数間隔が広いことから、高速に移動した場合に生じるドップラーシフトに対しても耐性を持つことになる。
また、遅延波の遅延時間がかなり長い場合は、狭いサブキャリア周波数間隔が選択される。この場合は、長いガードインターバルによる遅延波に対しても劣化することなく、長い遅延波による周波数選択性フェージングに対しても耐性を持つことになる。
このように、本実施の形態によれば、マルチパス伝播環境下のいかなる遅延波に対しても、遅延波の遅延時間及びドップラー周波数(移動速度)を検出し、最適なサブキャリア周波数間隔(OFDMシンボル長)及びガードインターバル長を選択することができるので、従来のマルチキャリア通信装置では対応できないような遅延波の広い範囲にわたる遅延時間に対応できるようになり、また通信の状況によってはドップラーシフトに対する耐性を備えるようになり、遅延波及びドップラーシフトの状況に応じて安定したデータ伝送が可能になる。
本発明は、マルチパス伝播環境下において遅延波及びドップラーシフトの状況に応じて安定したデータ伝送を実現するのに有用である。
本発明の一実施の形態に係るマルチキャリア通信装置における送信装置の構成を示すブロック図 本発明の一実施の形態に係るマルチキャリア通信装置における受信装置の構成を示すブロック図 変更設定されるサブキャリア周波数間隔(OFDMシンボル長)及びガードインターバル長の一例を説明する図 ガードインターバルを付加する意義を説明する図
符号の説明
100 マルチキャリア通信装置における送信装置
101 送信データ発生部
102 直列/並列変換部(S/P部)
103 逆高速フーリエ変換部(IFFT部)
104 ガードインターバル挿入部(GI挿入部)
105 デジタル/アナログ変換部(D/A部)
106 無線送信処理部
107 アンテナ
108 ガードインターバル長設定部(GI長設定部)
109 IFFT動作速度設定部
110 IFFT入力データ配置設定部
200 マルチキャリア通信装置における受信装置
201 アンテナ
202 無線受信処理部
203 アナログ/デジタル変換部(A/D部)
204 ガードインターバル除去部(GI除去部)
205 高速フーリエ変換部(FFT部)
206 並列/直列変換部(P/S部)
207 受信データ記憶部
208 誤り率検出部
209 遅延波検出部
210 遅延劣化検出部
211 周波数誤差検出部
212 周波数誤差劣化検出部
213 ガードインターバル長設定部(GI長設定部)
214 IFFT動作速度設定部
215 IFFT入力データ配置設定部

Claims (8)

  1. OFDM方式を用いたマルチキャリア通信装置において、受信品質の劣化原因が遅延波の遅延時間にあるか、ドップラーシフトによる周波数誤差にあるか、それらの組合せにあるかに応じて、送信するOFDM信号のサブキャリア周波数間隔を可変設定する変更機構、を具備することを特徴とするマルチキャリア通信装置。
  2. 前記変更機構は、受信信号から遅延波の遅延時間を任意の更新周期で検出する遅延波検出手段と、検出された前記遅延波の遅延時間によって受信信号の品質劣化有無を判断する遅延劣化検出手段と、前記受信信号から測定した誤り率と前記遅延劣化検出手段の判断結果とに基づき判断した前記受信品質の劣化原因が前記遅延波の遅延時間にあるとき当該遅延波の遅延時間に応じて前記サブキャリア周波数間隔を決定することを任意の更新周期で適応的に実行する更新手段と、を具備することを特徴とする請求項1記載のマルチキャリア通信装置。
  3. 前記変更機構は、受信信号からドップラーシフトによる周波数誤差を任意の更新周期で検出する周波数誤差検出手段と、検出された前記周波数誤差によって受信信号の品質劣化有無を判断する周波数誤差劣化検出手段と、前記受信信号から測定した誤り率と前記周波数誤差劣化検出手段の判断結果とに基づき判断した前記受信品質の劣化原因が前記周波数誤差にあるとき当該周波数誤差に応じて前記サブキャリア周波数間隔を決定することを任意の更新周期で適応的に実行する更新手段と、を具備することを特徴とする請求項1記載のマルチキャリア通信装置。
  4. 前記変更機構は、受信信号から遅延波の遅延時間を任意の更新周期で検出する遅延波検出手段と、検出された前記遅延波の遅延時間によって受信信号の品質劣化有無を判断する遅延劣化検出手段と、受信信号からドップラーシフトによる周波数誤差を任意の更新周期で検出する周波数誤差検出手段と、検出された前記周波数誤差によって受信信号の品質劣化有無を判断する周波数誤差劣化検出手段と、前記受信信号から測定した誤り率と前記遅延劣化検出手段の判断結果と前記周波数誤差劣化検出手段の判断結果とに基づき判断した前記受信品質の劣化原因が前記遅延波の遅延時間と前記周波数誤差との組合せにあるとき、当該組合せに応じて前記サブキャリア周波数間隔を決定することを任意の更新周期で適応的に実行する更新手段と、を具備することを特徴とする請求項1記載のマルチキャリア通信装置。
  5. 前記変更機構は、受信信号から遅延波の遅延時間を任意の更新周期で検出する遅延波検出手段と、検出された前記遅延波の遅延時間によって受信信号の品質劣化有無を判断する遅延劣化検出手段と、受信信号からドップラーシフトによる周波数誤差を任意の更新周期で検出する周波数誤差検出手段と、検出された前記周波数誤差によって受信信号の品質劣化有無を判断する周波数誤差劣化検出手段と、前記受信信号から測定した誤り率と前記遅延劣化検出手段の判断結果と前記周波数誤差劣化検出手段の判断結果とに基づき、OFDM信号の周波数帯域幅を一定にするように逆高速フーリエ変換及び高速フーリエ変換における入力データ配置及びサンプリング周波数を変更する手段、を具備することを特徴とする請求項1記載のマルチキャリア通信装置。
  6. 前記変更機構は、前記サブキャリア周波数間隔であるOFDMシンボル長とガードインターバル長との比率を一定にする手段、を具備することを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載のマルチキャリア通信装置。
  7. 前記変更機構は、前記サブキャリア周波数間隔を最小サブキャリア周波数間隔の整数倍に制御する手段、を具備することを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載のマルチキャリア通信装置。
  8. OFDM方式を用いたマルチキャリア通信システムにおいて、受信装置は、受信信号から遅延波の遅延時間を任意の更新周期で検出する遅延波検出手段と、検出された前記遅延波の遅延時間によって受信信号の品質劣化有無を判断する遅延劣化検出手段と、受信信号からドップラーシフトによる周波数誤差を任意の更新周期で検出する周波数誤差検出手段と、検出された前記周波数誤差によって受信信号の品質劣化有無を判断する周波数誤差劣化検出手段と、前記受信信号から測定した誤り率と前記遅延劣化検出手段の判断結果と前記周波数誤差劣化検出手段の判断結果とに基づき、ガードインターバル長、逆高速フーリエ変換における入力データ配置及びサンプリング周波数を変更する手段とを具備し、当該変更設定した情報に基づき受信動作を行い、送信装置は、前記受信装置にて任意の更新周期で変更設定されるガードインターバル長、逆高速フーリエ変換における入力データ配置及びサンプリング周波数を共有する手段を具備し、当該共有した情報に基づき送信するOFDM信号の周波数帯域幅を一定に保持しつつサブキャリア周波数間隔を可変設定することを特徴とするマルチキャリア通信システム。
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