JP2007157462A - 燃料電池およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】部品点数を削減して、複数の電極を電気的に容易に接続することができるとともに、簡易に製作することができる燃料電池およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】電解質膜15と、電解質膜15の一方の面に複数配設された酸素を還元する空気極と、電解質膜15の他方の面の各空気極に対向させて配設された燃料を酸化する燃料極とを具備し、電解質膜15の空気極と燃料極とが対向する所定位置に開口部400、401が形成され、開口部400、401を通じて、空気極とこの空気極に対向する燃料極に隣接する燃料極とが電気的に接合されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、同一平面上に並べた複数の電極を容易に電気的に直列に接続することができる燃料電池およびその製造方法に関する。
近年、電子技術の進歩により、電子機器の小型化、高性能化、ポータブル化が進んでおり、携帯用電子機器においては、使用される電池の高エネルギ密度化の要求が強まっている。このため、軽量で小型でありながら高容量の二次電池が要求されている。
このような状況のもと、小型の燃料電池が注目を集めている。例えば、メタノールを燃料として用いた直接メタノール型燃料電池(DMFC)は、水素ガスを使用する燃料電池に比べ、水素ガスの取り扱いの困難さや、有機燃料を改質して水素を作り出す装置などが必要なく、小型化に優れていると考えられる。DMFCでは、燃料極においてメタノールが酸化分解され、二酸化炭素、プロトンおよび電子が生成される。一方、空気極では、空気から得られる酸素と、電解質膜を経て燃料極から供給されるプロトン、および燃料極から外部回路を通じて供給される電子によって水が生成される。また、この外部回路を通る電子によって、電力が供給されることになる。
このような燃料電池では、1つの燃料電池セルからの電池出力が小さいため、複数の燃料電池セルを電気的に直列に接続して、電池出力を上げる工夫がなされている。従来の燃料電池では、リード線やリード板などを用い、電解質膜の外側を経由して複数の燃料電池セルの電極間を電気的に接続する方法などが採用されている。また、従来の燃料電池では、同一平面上に並べた複数の電極を電気的に直列に接続するために、隣り合う電極間の電解質膜に溝穴を形成し、この溝穴に配線部材を通して、隣り合うアノード電極とカソード電極とを接続していた(例えば、特許文献1参照。)。
特開2004−146092号公報
上記した従来の燃料電池では、電極間をリード線やリード板などを用い、電解質膜の外側を経由して接続するため、部品点数が増加し、組み立てに手間がかかる上、リード線やリード板の分だけ燃料電池全体の体積が増加していた。そのため燃料電池全体の小型化を図ることは難しかった。また、従来の燃料電池では、隣り合うアノード電極とカソード電極とを接続するために、配線部材を電解質膜に形成された溝穴を通し、この配線部材の一端側を一方の燃料電池セルのアノード電極に接続し、この配線部材の他端側をそれと隣り合う燃料電池セルのカソード電極に接続して、電気的に直列に接続していたため、製造工程が煩雑であり、部品点数の削減を図ることができなかった。また、溝穴に絶縁シール材を充填する工程も必要であり、さらに製造工程を煩雑にするとともに、溝穴の周囲を完全に遮断してガス漏れを防止することは困難であるなどの問題があった。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、部品点数を削減して、隣接する燃料電池セルを容易に電気的に直列に接続することができるとともに、簡易に製作することができる燃料電池およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の燃料電池は、電解質膜と、前記電解質膜の一方の面に複数配設された酸素を還元する空気極と、前記電解質膜の他方の面の前記各空気極に対向させて配設された燃料を酸化する燃料極とを具備する燃料電池であって、前記電解質膜の前記空気極と前記燃料極とが対向する所定位置に開口部が形成され、前記開口部を通じて、前記空気極と前記空気極に対向する燃料極に隣接する燃料極とが接触していることを特徴とする。
この燃料電池によれば、空気極と、この空気極に対向する燃料極に隣接する燃料極とを接触させることで、配線などを介さずに、各極間を電気的に直列に接続することができる。
また、本発明の燃料電池の製造方法は、電解質膜の所定の領域に複数の開口部を形成する開口部形成工程と、前記開口部が形成された電解質膜の一方の面に複数の空気極を配設し、前記電解質膜の他方の面の前記各空気極に対向させて燃料極を配設し、前記空気極および前記燃料極を前記電解質膜に熱圧着するとともに、前記開口部を通じて、前記空気極と前記空気極に対向する燃料極に隣接する燃料極とを熱圧着する熱圧着工程とを具備することを特徴とする。
この燃料電池の製造方法によれば、開口部を通じて、空気極と、この空気極に対向する燃料極に隣接する燃料極とを熱圧着することで、配線などを介さずに、各極間を電気的に直列に接続することができる。
本発明の燃料電池およびその製造方法によれば、部品点数を削減して、隣接する燃料電池セルを容易に電気的に直列に接続することができるとともに、簡易に製作することができる。
以下、本発明の一実施の形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明に係る一実施の形態の直接メタノール型の燃料電池1の断面を模式的に示した図である。図2は、膜電極接合体16の構成を示す分解斜視図である。図3Aおよび図3Bは、膜電極接合体16の各製造工程における図2のA−A断面を模式的に示した図である。図4は、他の膜電極接合体16の構成を示す断面図である。
図1に示すように、燃料電池1は、3つの燃料電池セル10からなる燃料電池セル群100と、液体燃料Fを収容し開口を有する液体燃料タンク30と、液体燃料タンク30の開口部分に配設された気液分離膜40と、燃料電池セル群100に面して、フレーム45によって気液分離膜40と所定の間隔をあけて配設された燃料分配層50とから主に構成されている。なお、ここでは、3つの燃料電池セル10を備える燃料電池1について説明するが、燃料電池セル10の設置数はこれに限られるものではなく、電池出力などの要求に対応して適宜に燃料電池セル10の設置数は設定される。
各燃料電池セル10は、アノード触媒層11およびアノードガス拡散層12からなる燃料極と、カソード触媒層13およびカソードガス拡散層14からなる空気極と、アノード触媒層11とカソード触媒層13との間に挟持されたプロトン(水素イオン)伝導性の電解質膜15とから構成される膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly )16を起電部として構成している。なお、電解質膜15は、各燃料電池セル10に共通の構成となっている。
アノード触媒層11およびカソード触媒層13に含有される触媒としては、例えば、白金族元素である、Pt、Ru、Rh、Ir、Os、Pd等の単体金属、白金族元素を含有する合金などを挙げることができる。具体的には、アノード触媒層11として、メタノールや一酸化炭素に対して強い耐性を有するPt−RuやPt−Moなど、カソード触媒層13として、白金やPt−Niなどを用いることが好ましいが、これらに限定されるものではない。また、炭素材料のような導電性担持体を使用する担持触媒、あるいは無担持触媒を使用してもよい。
電解質膜15を構成するプロトン伝導性材料としては、例えば、スルホン酸基を有する、例えば、パーフルオロスルホン酸重合体等のフッ素系樹脂(ナフィオン(商品名、デュポン社製)、フレミオン(商品名、旭硝子社製)等)、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂、タングステン酸やリンタングステン酸などの無機物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アノード触媒層11に積層されたアノードガス拡散層12は、アノード触媒層11に燃料を均一に供給する役割を果たすと同時に、アノード触媒層11の集電体としての機能も兼ね備えている。一方、カソード触媒層13に積層されたカソードガス拡散層14は、カソード触媒層13に酸化剤を均一に供給する役割を果たすと同時に、カソード触媒層13の集電体としての機能も兼ね備えている。
ここで、アノードガス拡散層12およびカソードガス拡散層14は、カーボンペーパ、カーボンクロス、カーボンシルク等の多孔性炭素質材、チタン、チタン合金、ステンレス、金などの金属材料からなる多孔質体またはメッシュなどで構成される。
アノードシール材19は、矩形枠状を有し、燃料分配層50と電解質膜15との間に位置する燃料電池セル群100のアノード触媒層11およびアノードガス拡散層12の周囲を囲んでいる。一方、カソードシール材20は、矩形枠状を有し、フレーム21と電解質膜15との間に位置する燃料電池セル群100のカソード触媒層13およびカソードガス拡散層14の周囲を囲んでいる。アノードシール材19およびカソードシール材20は、例えば、ゴム製のOリングなどで構成され、膜電極接合体16からの燃料漏れおよび酸化剤漏れを防止している。なお、アノードシール材19およびカソードシール材20の形状は、矩形枠状に限られず、燃料電池セル群100の外縁形に対応するように適宜に構成される。
また、カソードガス拡散層14上には、燃料電池1の外縁形に対応した形状で構成されたフレーム21(ここでは矩形のフレーム)を介して、保湿層22が積層されている。また、保湿層22上には、酸化剤である空気を取り入れるための空気導入口24が複数個形成された表面カバー23が積層されている。なお、フレーム21、保湿層22および表面カバー23は、各燃料電池セル10に共通の構成となっている。
表面カバー23は、膜電極接合体16を含む積層体を加圧して、その密着性を高める役割も果たしているため、例えば、SUS304のような金属で形成される。また、フレーム21は、電気絶縁材料で構成され、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)のような熱可塑性ポリエステル樹脂などで形成される。
また、保湿層22は、カソード触媒層13において生成した水の一部を含浸して、水の蒸散を抑制する役割をなすとともに、カソードガス拡散層14に酸化剤を均一に導入することにより、カソード触媒層13への酸化剤の均一拡散を促す補助拡散層としての機能も有している。この保湿層22は、例えば、ポリエチレン多孔質膜などの材料で構成される。
なお、燃料電池セル10は、各燃料電池セル10の燃料極が同方向になるように複数並設されて燃料電池セル群100を構成し、各燃料電池セル10は、電気的に直列に接続されている。
燃料分配層50は、燃料電池セル10の燃料極側に燃料電池セル群100に面して設けられている。この燃料分配層は、各燃料電池セル10へ燃料を分配して均一に供給するもので、燃料分配層には、各燃料電池セル10に対応して、燃料を通過させる燃料通過口51が形成されている。この燃料通過口51の形状は、円形、三角形、矩形、多角形などや、スリット形状としてもよい。また、燃料分配層50は、液体燃料Fの気化成分や液体燃料Fを透過させない薄板状の材料で構成されている。燃料分配層50を形成する具体的な材料として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)のような熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のような熱硬化性樹脂、チタンやステンレスのような金属材料、セラミックスのような無機材料などが挙げられる。
また、図1に示すように、液体燃料Fを収容する液体燃料タンク30の開口部を覆うように配設された気液分離膜40上には、燃料電池1の外縁形に対応した形状で構成されたフレーム45(ここでは矩形のフレーム)が配置されている。そして、このフレーム45の一方の面に、燃料分配層50が接するように積層配置されている。
また、気液分離膜40、燃料分配層50およびフレーム45で囲まれた気化燃料収容室60は、気液分離膜40を透過してきた液体燃料Fの気化成分を一時的に収容し、さらに気化成分における燃料の濃度分布を均一にする空間として機能する。ここで、フレーム45は、上記したフレーム21と同様に、電気絶縁材料で構成され、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)のような熱可塑性ポリエステル樹脂などで形成される。
気液分離膜40は、液体燃料Fの気化成分と液体燃料Fとを分離し、その気化成分をアノード触媒層11側に透過させるものである。具体的には、気液分離膜40は、シリコーンゴム、低密度ポリエチレン(LDPE)薄膜、ポリ塩化ビニル(PVC)薄膜、ポリエチレンテレフタレート(PET)薄膜、フッ素樹脂(たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)など)微多孔膜などの材料で構成される。なお、気液分離膜40は、それらの周縁から燃料などが漏れないように構成されている。
ここで、液体燃料タンク30に貯留される液体燃料Fは、濃度が50モル%を超えるメタノール水溶液、または純メタノールである。また、純メタノールの純度は、95重量%以上100重量%以下にすることが好ましい。また、液体燃料Fの気化成分とは、液体燃料Fとして液体のメタノールを使用した場合には、気化したメタノールを意味し、液体燃料Fとしてメタノール水溶液を使用した場合には、メタノールの気化成分と水の気化成分からなる混合気を意味する。
次に、図2を参照して、膜電極接合体16の構成について詳細に説明する。
膜電極接合体16は、前述したように、アノード触媒層11およびアノードガス拡散層12a、12b、12cからなる燃料極と、カソード触媒層13およびカソードガス拡散層14a、14b、14cからなる空気極と、アノード触媒層11とカソード触媒層13との間に挟持されたプロトン(水素イオン)伝導性の電解質膜15とから構成されている。
図2に示すように、アノードガス拡散層12aは、表面が長方形の薄板形状を有し、その電解質膜15に接する面には、全体に亘ってアノード触媒層11が形成されている。また、他の2つのアノードガス拡散層12b、12cは、表面が長方形で、アノードガス拡散層12aよりも長い薄板形状を有し、その電解質膜15に接する面は、アノード触媒層11が形成された面(アノード触媒層形成面200a)と、アノード触媒層11が形成されていない面(アノード触媒層非形成面200b)とに区分される。
カソードガス拡散層14cは、表面が長方形の薄板形状を有し、その電解質膜15に接する面には、全体に亘ってカソード触媒層13が形成されている。また、カソードガス拡散層14cは、電解質膜15を介して、アノードガス拡散層12cのアノード触媒層形成面200aに対向する位置に配設されている。また、他の2つのカソードガス拡散層14a、14bの電解質膜15に接する面は、カソード触媒層13が形成された面(カソード触媒層形成面300a)と、カソード触媒層13が形成されていない面(カソード触媒層非形成面300b)とに区分される。また、2つのカソードガス拡散層14a、14bにおいて、カソード触媒層非形成面300bを有する薄板は、カソード触媒層形成面300aを有する薄板の長手方向の中心とずらして形成されている。すなわち、カソードガス拡散層14aにおいては、カソード触媒層形成面300aは、電解質膜15を介して、アノードガス拡散層12aに対向する位置に形成され、カソード触媒層非形成面300bは、電解質膜15に形成された開口部400を介して、アノードガス拡散層12bのアノード触媒層非形成面200bに対向する位置に形成されている。カソードガス拡散層14bにおいては、カソード触媒層形成面300aは、電解質膜15を介して、アノードガス拡散層12bに対向する位置に形成され、カソード触媒層非形成面300bは、電解質膜15に形成された開口部401を介して、アノードガス拡散層12cのアノード触媒層非形成面200bに対向する位置に形成されている。
各燃料極においてはアノード触媒層11が形成された側が、各空気極においてはカソード触媒層13が形成された側が、電解質膜15に熱圧着されている。また、アノードガス拡散層12bのアノード触媒層非形成面200bとカソードガス拡散層14aのカソード触媒層非形成面300bは、開口部400を通して接合されている。また、アノードガス拡散層12cのアノード触媒層非形成面200bとカソードガス拡散層14bのカソード触媒層非形成面300bは、開口部401を通して接合されている。このように接合することで、各膜電極接合体16が電気的に直列に接続される。
次に、膜電極接合体16の製造工程について、図3Aおよび図3Bを参照して説明する。
まず、電解質膜15に開口部400を形成する(図3A参照)。続いて、アノードガス拡散層12aの一方の表面に形成されたアノード触媒層11を電解質膜15に対して所定の位置に配設し、さらに、カソードガス拡散層14aを、カソード触媒層形成面300aが電解質膜15を介して、アノードガス拡散層12aに対向する位置に、かつカソード触媒層非形成面300bが電解質膜15に形成された開口部400を介して、アノードガス拡散層12bのアノード触媒層非形成面200bに対向する位置に配設する。そして、熱圧着により、燃料極および空気極を電解質膜15に接合し、アノードガス拡散層12bのアノード触媒層非形成面200bとカソードガス拡散層14aのカソード触媒層非形成面300bが開口部400を通して接合する(図3B参照)。
上記した製造工程を実施することで、複数の膜電極接合体16が製作される。なお、ここでは、図2のA−A断面に基づいて説明したが、上記した製造方法により、備えられる燃料電池セル10の数に対応して、開口部が形成され、燃料極および空気極が熱圧着される。
また、前述したように、アノードガス拡散層12a、12b、12cおよびカソードガス拡散層14a、14b、14cは、カーボンペーパ、カーボンクロス、カーボンシルク等の多孔性炭素質材、チタン、チタン合金、ステンレス、金等の金属材料からなる多孔質体またはメッシュなどで構成され、所定の気孔率を有しているため、熱圧着された後も開口部400、401を通してガスなどを透過することがある。そのため、熱圧着後、アノードガス拡散層12b、12cのアノード触媒層非形成面200bを有する部分および/またはカソードガス拡散層14a、14bのカソード触媒層非形成面300bを有する部分に、導電性およびガス不透過性の導電不透過部材を含浸させて、開口部400、401を介してガスなどが透過しない構成にすることが好ましい。
導電不透過部材として、例えば、ポリアセチレンなどの導電性樹脂材料、金、ステンレス、チタンなどの金属材料、黒鉛、グラッシーカーボンなどの炭素材料などを用いることができる。例えば、これらの導電不透過部材を粉体にして、アノードガス拡散層12b、12cのアノード触媒層非形成面200bを有する部分および/またはカソードガス拡散層14a、14bのカソード触媒層非形成面300bを有する部分に含浸させてもよい。また、これらの導電不透過部材を粉体にし、それをポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン等の熱可塑性樹脂、エポキシ等の熱硬化性樹脂、アセトン、キシレン、トルエン、酢酸エチル等の揮発性溶剤に、アクリル樹脂、ポリスチレン等の樹脂を溶解したペースト、あるいはラッカー、エナメル、ワニスなどの塗料などの固化剤と混合した混合体を、アノードガス拡散層12b、12cのアノード触媒層非形成面200bを有する部分および/またはカソードガス拡散層14a、14bのカソード触媒層非形成面300bを有する部分に含浸させてもよい。
このように、アノードガス拡散層12b、12cのアノード触媒層非形成面200bを有する部分および/またはカソードガス拡散層14a、14bのカソード触媒層非形成面300bを有する部分に導電不透過部材を含浸させることで、導電性を維持したまま、ガスなどの透過を防止することができる。
また、図4に示すように、開口部400、401を通して、アノードガス拡散層12b、12cのアノード触媒層非形成面200b、200bとカソードガス拡散層14a、14bのカソード触媒層非形成面300b、300bを熱圧着する場合、アノードガス拡散層12b、12cとカソードガス拡散層14a、14bとの間に、導電性およびガス不透過性の導電不透過部材450を介して熱圧着してもよい。
この導電不透過部材450は、例えば、板状などの形状を有し、例えば、ポリアセチレンなどの導電性樹脂材料、金、ステンレス、チタンなどの金属材料、黒鉛、グラッシーカーボンなどの炭素材料などを用いることができる。また、導電不透過部材450は、これらの材料からなる粉体を固化したもので構成されてもよいし、これらの材料からなる粉体に、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン等の熱可塑性樹脂、エポキシ等の熱硬化性樹脂、アセトン、キシレン、トルエン、酢酸エチル等の揮発性溶剤に、アクリル樹脂、ポリスチレン等の樹脂を溶解したペースト、あるいはラッカー、エナメル、ワニスなどの塗料などの固化剤と混合して固化させたもので構成されてもよい。
このように、開口部400、401において、導電不透過部材450を介して、アノードガス拡散層12b、12cとカソードガス拡散層14a、14bとを接合することで、導電性を維持したまま、ガスなどの透過を防止することができる。なお、導電不透過部材450を介して、アノードガス拡散層12b、12cとカソードガス拡散層14a、14bとを接合する場合においても、上記したように、アノードガス拡散層12b、12cのアノード触媒層非形成面200bを有する部分および/またはカソードガス拡散層14a、14bのカソード触媒層非形成面300bを有する部分に導電不透過部材を含浸させてもよい。
次に、上記した燃料電池1における作用について説明する。
液体燃料タンク30内の液体燃料(例えば、メタノール水溶液)が気化し、気化したメタノールと水蒸気の混合気が、気液分離膜40を透過し、気化燃料収容室60に一旦収容され、濃度分布が均一にされる。気化燃料収容室60に一旦収容された混合気は、燃料分配層50に各燃料電池セル10に対応して形成された燃料通過口51を通過して、各燃料電池セル10内に流入する。
各燃料電池セル10内に流入した混合気は、アノードガス拡散層12で拡散され、アノード触媒層11に供給される。アノード触媒層11に供給された混合気は、次の式(1)に示す酸化反応であるメタノールの内部改質反応を生じる。
CHOH+HO → CO+6H+6e …式(1)
なお、液体燃料として、純メタノールを使用した場合には、液体燃料タンク30からの水蒸気の供給がないため、カソード触媒層13で生成した水や電解質膜15中の水などがメタノールと上記した式(1)の内部改質反応を生じるか、または上記した式(1)の内部改質反応によらず、水を必要としない他の反応機構により内部改質反応を生じる。
内部改質反応で生成されたプロトン(H)は、電解質膜15を伝導し、カソード触媒層13に到達する。また同時に、アノード触媒層11で生成した電子(e)は、燃料電池1に接続された外部回路を流れ、外部回路の負荷(抵抗等)に対して仕事をし、カソード触媒層13に流入する。
一方、表面カバー23の空気導入口24から取り入れられた空気は、保湿層22、カソードガス拡散層14を拡散して、カソード触媒層13に供給される。カソード触媒層13に供給された空気は、電解質膜15を通じて拡散してきたプロトンと、外部回路を流れてきた電子とともに、還元反応である次の式(2)に示す反応を生じる。
(3/2)O+6H+6e → 3HO …式(2)
上記した式(1)と式(2)の反応とが同時に生じることにより、燃料電池1としての発電反応が完結する。発電反応が進行すると、上述した式(2)の反応などによって、カソード触媒層13中に生成した水(HO)が、カソードガス拡散層14内を拡散し、保湿層22に到達する。そして、保湿層22によって蒸散を阻害され、カソード触媒層13中の水の量が増加する。その結果、浸透圧現象によって、カソード触媒層13に生成した水が、電解質膜15を通過してアノード触媒層11に移動し、前述した式(1)に示すメタノールの酸化反応に用いられる。このようにして、外部から水を供給しなくても、メタノールの酸化反応を継続することができる。
また、液体燃料として、メタノールの濃度が50モル%を超えるメタノール水溶液、または純メタノールを使用する場合でも、カソード触媒層13からアノード触媒層11に移動してきた水を内部改質反応に使用することができるので、アノード触媒層11への水の供給を安定して行うことが可能となる。これによって、メタノールの内部改質反応の反応抵抗をさらに低下することができ、長期の出力特性と負荷電流特性をより向上させることができる。さらに、液体燃料タンク30の小型化を図ることも可能である。
なお、上記した一実施の形態では、液体燃料に、メタノール水溶液、または純メタノールを使用した直接メタノール型の燃料電池について説明したが、液体燃料は、これらに限られるものではない。例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジメチルエーテル、ギ酸など、またはこれらの水溶液を用いた液体燃料直接供給型の燃料電池にも応用することができる。いずれにしても、燃料電池に応じた液体燃料が収容される。
上記したように、本発明の一実施の形態における燃料電池によれば、配線などを介さずに、燃料電池セル10のアノードガス拡散層12をそれと隣接する燃料電池セル10のカソードガス拡散層14に直接電気的に接続することができるので、部品点数を削減することができる。さらに、アノードガス拡散層12およびカソードガス拡散層14を集電体としても機能させることで、従来備えていた導電層を設ける必要がなくなり、部品点数を削減、さらに製作工程の簡易化を図ることができる。
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、本発明の実施の形態は、本発明の技術的思想の範囲内で拡張もしくは変更することができ、この拡張、変更した実施の形態も本発明の技術的範囲に含まれるものである。
一実施の形態の直接メタノール型の燃料電池の断面を模式的に示した図。 膜電極接合体の構成を示す分解斜視図。 膜電極接合体の各製造工程における図2のA−A断面を模式的に示した図。 膜電極接合体の各製造工程における図2のA−A断面を模式的に示した図。 他の膜電極接合体の構成を示す断面図。
符号の説明
1…燃料電池、10…燃料電池セル、11…アノード触媒層、12、12a、12b、12c…アノードガス拡散層、13…カソード触媒層、14、14a、14b、14c…カソードガス拡散層、15…電解質膜、16…膜電極接合体、17…アノード導電層、18…カソード導電層、19…アノードシール材、20…カソードシール材、22…保湿層、23…表面カバー、24…空気導入口、30…液体燃料タンク、40…気液分離膜、21、45…フレーム、50…燃料分配層、51…燃料通過口、60…気化燃料収容室、100…燃料電池セル群、200a…アノード触媒層形成面、200b…アノード触媒層非形成面、300a…カソード触媒層形成面、300b…カソード触媒層非形成面、400、401…開口部、F…液体燃料。

Claims (10)

  1. 電解質膜と、
    前記電解質膜の一方の面に複数配設された酸素を還元する空気極と、
    前記電解質膜の他方の面の前記各空気極に対向させて配設された燃料を酸化する燃料極と
    を具備する燃料電池であって、
    前記電解質膜の前記空気極と前記燃料極とが対向する所定位置に開口部が形成され、前記開口部を通じて、前記空気極と前記空気極に対向する燃料極に隣接する燃料極とが接触していることを特徴とする燃料電池。
  2. 前記空気極が、カソード拡散層の表面の所定領域にカソード触媒層を積層して構成され、前記カソード触媒層が前記電解質膜に接触し、
    前記燃料極が、アノード拡散層の表面の所定領域にアノード触媒層を積層して構成され、前記アノード触媒層が前記電解質膜に接触し、
    前記カソード拡散層と前記アノード拡散層とが前記開口部を通じて接触していることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  3. 前記空気極が、カソード拡散層の表面の所定領域にカソード触媒層を積層して構成され、前記カソード触媒層が前記電解質膜に接触し、
    前記燃料極が、アノード拡散層の表面の所定領域にアノード触媒層を積層して構成され、前記アノード触媒層が前記電解質膜に接触し、
    前記カソード拡散層と前記アノード拡散層とが、前記開口部を通じ、導電性およびガス不透過性を有する導電不透過部材を介して接触していることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  4. 前記導電不透過部材が、導電性樹脂材料、金属材料および炭素材料から選ばれる少なくとも1つの材料からなることを特徴とする請求項3記載の燃料電池。
  5. 前記カソード拡散層の前記カソード触媒層が積層されていない領域および/または前記アノード拡散層の前記アノード触媒層が積層されていない領域に、導電性およびガス不透過性を有する導電不透過部材を含浸していることを特徴とする請求項2または3記載の燃料電池。
  6. 前記導電不透過部材が、導電性樹脂材料、金属材料および炭素材料から選ばれる少なくとも1つの材料からなる粉体、または前記粉体と固化剤との混合体であることを特徴とする請求項5記載の燃料電池。
  7. 電解質膜の所定の領域に複数の開口部を形成する開口部形成工程と、
    前記開口部が形成された電解質膜の一方の面に複数の空気極を配設し、前記電解質膜の他方の面の前記各空気極に対向させて燃料極を配設し、前記空気極および前記燃料極を前記電解質膜に熱圧着するとともに、前記開口部を通じて、前記空気極と前記空気極に対向する燃料極に隣接する燃料極とを熱圧着する熱圧着工程と
    を具備することを特徴とする燃料電池の製造方法。
  8. 前記空気極が、カソード拡散層の表面の所定領域にカソード触媒層を積層して構成され、前記燃料極が、アノード拡散層の表面の所定領域にアノード触媒層を積層して構成され、
    前記熱圧着工程において、
    前記カソード触媒層を前記電解質膜に圧着し、前記アノード触媒層を前記電解質膜に圧着し、前記カソード拡散層と前記アノード拡散層とを前記開口部を通じて圧着することを特徴とする請求項7記載の燃料電池の製造方法。
  9. 前記空気極が、カソード拡散層の表面の所定領域にカソード触媒層を積層して構成され、前記燃料極が、アノード拡散層の表面の所定領域にアノード触媒層を積層して構成され、
    前記熱圧着工程において、
    前記カソード触媒層を前記電解質膜に圧着し、前記アノード触媒層を前記電解質膜に圧着し、前記カソード拡散層と前記アノード拡散層とを前記開口部を通じ、導電性およびガス不透過性を有する導電不透過部材を介して圧着することを特徴とする請求項7記載の燃料電池の製造方法。
  10. 前記熱圧着工程後、前記カソード拡散層の前記カソード触媒層が積層されていない領域および/または前記アノード拡散層の前記アノード触媒層が積層されていない領域に、導電性およびガス不透過性を有する導電不透過部材を含浸する導電不透過部材含浸工程をさらに具備することを特徴とする請求項8または9記載の燃料電池の製造方法。
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KR101176749B1 (ko) 2011-03-14 2012-08-23 현대중공업 주식회사 다공성 무기물을 사용한 리튬 고분자 2차 전지용 고체 전해질막 및 그 제조방법

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