JP2007154940A - 液化ガス容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 容器本体内での気相と液相の界面を拡大して、液化ガスの気化を促進し気化効率を高めて長時間にわたり安定したガス圧を維持できるようにした液化ガス容器を提供する。
【解決手段】 液化ガス容器1の容器本体2の内部には、スポンジからなる横断面ドーナツ型の液化ガス担持体6を充填する。これによって、容器本体2の内部における液化ガス担持体6の占有容積が大きくなり、毛細管現象による液化ガス8の担持能力が高められる。このため、液化ガス8の液面8aが低下して液化ガス担持体6が露出しても、露出部位の大部分に液化ガス8が吸い上げられるので、気相と液相の界面が拡大され、これに容器本体2内での液化ガス8の液面8aと容器本体1内の気体との気相と液相の界面が加算されて、液化ガス8の気化を促進して気化効率を高め、長時間にわたって安定したガス圧を維持する。
【選択図】 図1
【解決手段】 液化ガス容器1の容器本体2の内部には、スポンジからなる横断面ドーナツ型の液化ガス担持体6を充填する。これによって、容器本体2の内部における液化ガス担持体6の占有容積が大きくなり、毛細管現象による液化ガス8の担持能力が高められる。このため、液化ガス8の液面8aが低下して液化ガス担持体6が露出しても、露出部位の大部分に液化ガス8が吸い上げられるので、気相と液相の界面が拡大され、これに容器本体2内での液化ガス8の液面8aと容器本体1内の気体との気相と液相の界面が加算されて、液化ガス8の気化を促進して気化効率を高め、長時間にわたって安定したガス圧を維持する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、液化ガス容器に係り、詳しくは、液化ガスの気化促進により気化効率を高めることで長時間にわたって安定したガス圧を維持できるようにした液化ガス容器に関するものである。
従来、図10に示すように、密閉された円筒容器からなる容器本体101の頭部に流路遮断弁102を装備し、容器本体101の内部には、連続気泡を有する多孔物質で形成した薄肉円筒状の吸液体103を容器本体101の周壁内面104との間に微小な隙間105を隔てた状態で対向配置した液化ガス容器100が提案されている(たとえば、特許文献1)。
前記特許文献1に記載の液化ガス容器100では、容器本体101の内部に貯溜されている液化ガス106は、吸液体103での毛細管現象および吸液体103と容器本体101の周壁内面104との隙間105での毛細管現象により、液化ガス106の液位よりも高い位置まで吸い上げられ、周壁内面104と広い面積で接触することになるから、周壁部分を介して容器本体101外から気化潜熱に相当する入熱量を得られる。このため、液化ガス106の気化を促進して安定したガス圧を維持できるとされている。
ところが、前記特許文献1に記載の液化ガス容器100の吸液体103は、薄肉円筒状であるから液化ガス106の担持能力が低い。このため、液化ガス106の使用が進んで液化ガス106の液面が低下するにつれて吸液体103の露出度が大きくなっても、毛細管現象による液化ガス106の吸い上げ能力によって吸液体103の露出部位の大部分に液化ガス106を吸い上げることができなくなる。したがって、吸液体103の露出部位では液化ガス106が周壁内面104に接触しなくなって、液化ガス106と周壁内面104との接触面積が縮小されるので、周壁部分を介して容器本体101の外から気化潜熱に相当する入熱量が得られず、液化ガス106の気化が妨げられて安定したガス圧を長時間維持できなくなる難点を有している。
ところで、液化ガス106の気化は、容器本体101内での気相と液相の接触面積によって決定され、気相と液相の接触面積が拡大されることで液化ガス106の気化が促進される。しかし、前述のように、吸液体103が薄肉円筒状のものであって、液化ガス106の担持能力が低いために、液化ガス106の液面が低下するにつれて吸液体103の露出度が大きくなっても、吸液体103の露出部位の大部分に液化ガス106が吸い上げられないので、気相と液相の接触面積が容器本体101内での液化ガス106の液面の面積のみに制限されることになり、液化ガス106の積極的な気化促進が期待できず安定したガス圧を維持できなくなる難点を有している。
本発明は、このような問題を解決するものであって、その目的とするところは、容器本体内での気相と液相の界面を拡大して、液化ガスの気化を促進し気化効率を高めて長時間にわたって安定したガス圧を維持できるようにした液化ガス容器を提供するものである。
本発明は、液化ガスを貯溜する容器本体の内部に液化ガス担持体が充填されていることを特徴とするものである。
これによれば、容器本体の内部に液化ガス担持体が充填されていることによって、容器本体の内部における液化ガス担持体の占有容積が大きくなり、それだけ毛細管現象による液化ガスの担持能力が高くなる。このため、液化ガスの液面が低下するにつれて液化ガス担持体の露出度が大きくなっても、液化ガス担持体の露出部位の大部分に液化ガスが吸い上げられることになって、気相と液相の接触面積が拡大される。つまり、気相と液相の界面が拡大する。したがって、拡大された気相と液相の界面に、容器本体内での液化ガスの液面と容器本体内の気体との気相と液相の界面が加算されることになるので、液化ガスの気化を促進し気化効率を高めて長時間にわたって安定したガス圧を維持することができる。
また、本発明は、液化ガス担持体を多孔質体で構成することが望ましい。これによると、液化ガス担持体の単位体積当たりの毛細管現象による液化ガスの担持能力が高められるので、気相と液相の界面が拡大する。このため、液化ガスの気化を促進し気化効率を高めて長時間にわたって安定したガス圧を維持することができる。なお、多孔質体としては、樹脂製スポンジ、発泡ウレタン、不織布などが好適である。
さらに、本発明は、液化ガス担持体を繊維状物質で構成することが望ましい。これによっても、液化ガス担持体の単位体積当たりの毛細管現象による液化ガスの担持能力が高められるので、気相と液相の界面が拡大する。このため、液化ガスの気化を促進し気化効率を高めて長時間にわたって安定したガス圧を維持することができる。なお、繊維状物質としては、パルプ、故紙、段ボール紙などが好適である。また、前記「故紙」は、たとえばチリ紙の原料として使用されるもので、脱墨粉砕済みの極短繊維からなるものである。
また、本発明は、液化ガス担持体を粒体群で構成することが望ましい。これによると、単一粒体相互間に形成される隙間において気相と液相の界面が拡大する。これにより、液化ガスの気化を促進し気化効率を高めて長時間にわたって安定したガス圧を維持することができる。なお、樹脂製スポンジの粒体群、発泡ウレタンの粒体群あるいはパルプの粒体群などが粒体群として好適である。
さらに、本発明は、液化ガス担持体をシート状に形成することが望ましい。これによると、シート状の多孔質体は、表裏両面が気相と液相の接触面として機能するので、同一体積の中実の多孔質体と比較して、気相と液相の界面が拡大する。このため、液化ガスの気化を促進し気化効率を高めて長時間にわたって安定したガス圧を維持することができる。また、液化ガス担持体をシート状に形成することによって、うず巻き状に巻回して充填できるから、多孔質体の充填が容易になる。
また、本発明は、シート状の液化ガス担持体を蛇腹状や波板状に折りたたむことが望ましい。これによると、折りたたまれて互いに対向する折りたたみ片間の隙間においても気相と液相の界面が拡大することになるので、液化ガスの気化を促進し気化効率を高めて長時間にわたって安定したガス圧を維持することができる。
さらに、本発明は、容器本体内の高圧ガスを噴出させるための噴出口と、この噴出口直前の負圧域に臨む塗料吸引口とを備えたスプレーガンが容器本体に装着されていることを特徴とするものである。これによると、液体塗料容器を取付けて該液体塗料容器の内部を塗料吸引口に連通させることによって、たとえば、自動車のボディ塗膜に生じた瑕疵に向けて瑕疵修復用の液体塗料を噴射する携帯スプレーガンとして使用することができる。
本発明によれば、容器本体内での気相と液相の界面を拡大することによって、液化ガスの気化を促進し気化効率を高めて長時間にわたって安定したガス圧を維持することが可能になる。
図1は、本発明の第1実施形態を一部断面にして示す正面図、図2は、図1のA−A線に沿う横断面図である。これらの図において、液化ガス容器1は、金属製の円筒容器からなる容器本体2と、容器本体2の頭部に装着した合成樹脂製のスプレーガン3とを備えている。
容器本体2には、上端の口金部4を気密に貫通して常時は弁閉している流路遮断弁5が固着されており、その開閉用のステムが口金部4よりも上方に突出し、流路遮断弁5の入口は容器本体2内部の高圧ガス域2aに臨んでいる。そして、容器本体2の内部には、横断面ドーナツ型の液化ガス担持体6が容器本体2の周壁内面2bとの間に微小な隙間7を隔てた状態または容器本体2の周壁内面2bに接触した状態で充填されているとともに液化ガス8を貯溜してある。前記横断面ドーナツ型の液化ガス担持体6は、樹脂製スポンジ、発泡ウレタン、不織布などの多孔質体、あるいはパルプや故紙などの繊維状物質によって構成されている。
スプレーガン3は、横向きに開口するガス噴出口9と、この噴出口9の直前下側の負圧域に上向きに開口する塗料吸引口10とを有し、ガス噴出口9はフレキシブルチューブ11を介して流路遮断弁開放用の押圧子12に設けたガス噴出通路13の出口側に連通し、ガス噴出通路13の入口は流路遮断弁5の出口に通じている。また、塗料吸引口10の直下には、液体塗料を貯溜した塗料容器14の上端開口部14aが取付けられ、塗料吸引口10に連通して取付けた下向きにのびる塗料吸引通路15を塗料容器14内の液体塗料14bに浸漬してある。なお、塗料吸引口10の外周域の適所には、塗料容器14内の液体塗料14bの液面よりも上位の空間14cを外気(大気)に連通させる空気孔16を設けてある。
前記構成において、流路遮断弁開放用の押圧子12を押し下げて、流路遮断弁5を開放すると、容器本体2内部の高圧ガス域2aにある高圧ガスは、ガス噴出通路13とフレキシブルチューブ11とを通過してガス噴出口9から噴出し、噴出口9の直前に負圧域を形成する。このため、塗料容器14内の液体塗料14bは、塗料吸引通路15を経て塗料吸引口10から吸い上げられて、ガス噴出口9から噴出している高速ガス流と混合し、たとえば、自動車のボディ塗膜に生じた瑕疵などの被塗装部に向けて所定のパターンで吹き付けられるので、被塗装部を修復する携帯スプレーガンとして使用することができる。
一方、容器本体2の内部には、樹脂製スポンジ、発泡ウレタン、不織布などの多孔質体、あるいはパルプや故紙などの繊維状物質によって構成した横断面ドーナツ型の液化ガス担持体6が充填されているので、容器本体2の内部における液化ガス担持体6の占有容積が大きくなり、それだけ毛細管現象による液化ガス8の担持能力が高くなる。このため、液化ガス8の液面8aが低下するにつれて液化ガス担持体6の露出度が大きくなっても、液化ガス担持体6の露出部位の大部分に液化ガス8が吸い上げられることになって、気相と液相の接触面積が拡大される。つまり、気相と液相の界面が拡大する。したがって、拡大された気相と液相の界面に、容器本体2内での液化ガス8の液面8aと容器本体1内の気体との気相と液相の界面が加算されることになるので、液化ガス8の気化を促進して気化効率を高めて長時間にわたって安定したガス圧を維持することができる。
また、占有容積の大きい液化ガス担持体6の液化ガス8の担持能力が高くなることによって、容器本体2内に貯溜される液化ガス8の割合が容器本体2の内容積に比べて著しく小さくなるのを回避して、容器本体2の内容積に釣り合う液化ガス8を貯溜することができる。さらに、液化ガス8の液面8aが低下するにつれて液化ガス担持体6の露出度が大きくなっても、液化ガス担持体6の露出部位の大部分に液化ガス8が吸い上げられることによって、容器本体2の周壁部分を介して該容器本体2の外から気化潜熱に相当する入熱量が得られるため、これによっても、液化ガス8の気化を促進して安定したガス圧を維持することができる。
前記樹脂製スポンジ、発泡ウレタン、不織布などの多孔質体、あるいはパルプや故紙などの繊維状物質によって構成した液化ガス担持体6はシート状に形成することが容易である。液化ガス担持体6をシート状に形成することによって、図3に示すように、複数枚のシート状の液化ガス担持体6を、中心部に軸方向にのびる中空部20を備えた放射状に配置して容器本体2内に充填することができる。このような構成であれば、シート状の液化ガス担持体6は、その表裏両面が気相と液相の接触面として機能するので、同一体積の中実体と比較して、気相と液相の界面が拡大されるので、液化ガス8の気化を促進して気化効率を高めて、長時間にわたって安定したガス圧を維持することができる。
また、液化ガス担持体6をシート状に形成することで、図4に示すように、液化ガス担持体6を中心部に軸方向にのびる中空部20を備えたうず巻き状に巻回して容器本体2内に充填できるから、液化ガス担持体6の充填が容易になるばかりか、その表裏両面が気相と液相の接触面として機能するので、同一体積の中実体と比較して、気相と液相の界面が拡大されるので、液化ガス8の気化を促進し気化効率を高めて長時間にわたって安定したガス圧を維持することができる。
さらに、液化ガス担持体6を段ボール紙によって構成しても、図5に示すように、段ボール紙19をうず巻き状に巻回した液化ガス担持体6を容器本体2内に充填することができる。このような構成であっても、前記図4で説明した実施形態と同様の作用。効果を奏することができる。なお、図5において、図4と同一部分には同一符号を付して、重複する説明は省略する。
また、液化ガス担持体6をシート状に形成することで、図6に示すように、液化ガス担持体6を蛇腹状や波板状に折りたたみ、中心部に軸方向にのびる中空部20を備えた状態で容器本体2内に充填にすることができる。このような構成であると、折りたたまれて互いに対向する折りたたみ片6c,6c間の隙間7cにおいて気相と液相の界面が拡大することになるので、液化ガス8の気化を促進し気化効率を高めて長時間にわたって安定したガス圧を維持することができる。
一方、本発明に係る液化ガス容器1では、シート状に形成した樹脂製スポンジ、発泡ウレタン、不織布などの多孔質体、あるいはパルプや故紙などの繊維状物質からなる液化ガス担持体6に代えて、図7に示すように、多数の粒体17aからなる粒体群(樹脂製スポンジの粒体群、発泡ウレタンの粒体群あるいはパルプの粒体群)17によって液化ガス担持体6を構成してもよい。このような構成であれば、単一粒体17a相互間に形成される隙間18において気相と液相の界面が拡大するので、液化ガスの気化を促進し気化効率を高めて長時間にわたって安定したガス圧を維持することができる。
前記各実施形態では、横断面ドーナツ型の液化ガス担持体6(図2参照)、中心部に軸方向にのびる中空部20を備えて放射状に配置したシート状の液化ガス担持体6(図3参照)、中心部に軸方向にのびる中空部20を備えてうず巻き状に巻回したシート状の液化ガス担持体6(図4参照)あるいは蛇腹状や波板状に折りたたんだシート状の液化ガス担持体6(図6参照)で説明しているが、本発明は、樹脂製スポンジ、発泡ウレタン、不織布などの多孔質体、あるいはパルプや故紙などの繊維状物質によって構成した中実円柱状の液化ガス担持体6を、液化ガス担持体6を容器本体2内に充填した構成であってもよい。
前記実施形態において、図4では、巻回密度の低いうず巻き状の液化ガス担持体6を容器本体2に充填した構成で説明しているが、図8に示すように、巻回密度の高いうず巻き状の液化ガス担持体6を容器本体2に充填した構成であっても、図4の構成と略同様の作用・効果を奏することができる。また、図6では、互いに対向する折りたたみ片6c,6cの間に隙間7c設けて蛇腹状あるいは波板状に折りたたんだ液化ガス担持体6を容器本体2に充填した構成で説明しているが、図8に示すように、互いに対向する折りたたみ片6c,6cの間の隙間7cを微小にして蛇腹状あるいは波板状に折りたたんだ液化ガス担持体6を容器本体2に充填した構成であっても、図6の構成と略同様の作用・効果を奏することができる。なお、図8、図9において、図4、図6と同一部分には同一符号を付して、重複する説明は省略する。
1 液化ガス容器
2 容器本体
3 スプレーガン
6 液化ガス担持体
8 液化ガス
9 ガス噴出口
10 塗料吸引口
17 粉体群
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8 液化ガス
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10 塗料吸引口
17 粉体群
Claims (7)
- 液化ガスを貯溜する容器本体の内部に液化ガス担持体が充填されていることを特徴とする液化ガス容器。
- 請求項1に記載の液化ガス容器において、
液化ガス担持体が多孔質体であることを特徴とする液化ガス容器。 - 請求項1に記載の液化ガス容器において、
液化ガス担持体が繊維状物質であることを特徴とする液化ガス容器。 - 請求項1に記載の液化ガス容器において、
液化ガス担持体が粒体群であることを特徴とする液化ガス容器。 - 請求項1,請求項2または請求項3に記載の液化ガス容器において、
液化ガス担持体がシート状に形成されていることを特徴とする液化ガス容器。 - 請求項5に記載の液化ガス容器において、
前記シート状の液化ガス担持体が蛇腹状や波板状に折りたたまれていることを特徴とする液化ガス容器。 - 請求項1,請求項2,請求項3,請求項4,請求項5または請求項6のいずれかに記載の液化ガス容器において、
前記容器本体内の高圧ガスを噴出させるための噴出口と、この噴出口直前の負圧域に臨む塗料吸引口とを備えたスプレーガンが容器本体に装着されていることを特徴とする液化ガス容器。
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