JP2007154076A - ジエン系ゴム接着用水添スチレン系エラストマー成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ビニル芳香族化合物単位からなる重合体ブロック(i)を2個以上、および共役ジエン化合物単位からなり、炭素−炭素不飽和二重結合の90モル%以上が水素添加されている重合体ブロック(ii)を1個以上有するブロック共重合体(A)からなる成形体の少なくとも一部の表面に、有機過酸化物(B)またはそれを含有する組成物を塗布、積層等の方法により、実質的に存在させてなるジエン系ゴム接着用水添スチレン系エラストマー成形体。
【選択図】 なし
Description
ビニル芳香族化合物単位からなる重合体ブロック(i)を2個以上、および共役ジエン化合物単位からなり、炭素−炭素不飽和二重結合の90モル%以上が水素添加されている重合体ブロック(ii)を1個以上有するブロック共重合体(A)からなる成形体の少なくとも一部の表面に、有機過酸化物(B)が実質的に存在してなるジエン系ゴム接着用水添スチレン系エラストマー成形体に関する。
<1>有機過酸化物(B)またはその希釈物、溶液、分散液等をブロック共重合体(A)からなる成形体の表面に塗布する方法。この方法で有機過酸化物(B)の希釈物、溶液、分散液等の希釈媒体、溶媒、分散媒等が、揮発性や蒸発性である場合には、適宜それらを除去するものとする。
<2>ブロック共重合体(A)に有機過酸化物(B)を配合した組成物をフィルム状に成形し、これをブロック共重合体(A)からなる成形体上に積層する方法。この方法での有機過酸化物(B)を含有するフィルムまたは成形体上に積層された該組成物からなる層の厚さは、例えば1μm〜2mmとすることができる。
<3>ブロック共重合体(A)からなる成形体に有機過酸化物(B)またはそれを含有する粉体を振りかけるなどの方法で直接付着させ、必要に応じて圧着等をする方法。
本発明のジエン系ゴム接着用水添スチレン系エラストマー成形体に用いることのできる無機充填剤や染顔料としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化チタン等を挙げることができる。
本発明のジエン系ゴム接着用スチレン系エラストマー成形体に用いることのできる添加剤としては、滑剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、シリコンオイル、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、発泡剤、香料等が挙げられる。
機器 : 日本電子社製核磁気共鳴装置(JNM−LA)
溶媒 : 重クロロホルム
(2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)の測定
機器 : 東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC−8020)
カラム : 東ソー社製TSKgel GMHXL、G4000HXLおよびG5000HXLを直列に連結
溶離液 : テトラヒドロフラン、流量1.0ml/分
カラム温度 : 40℃
検量線 : 標準ポリスチレンを用いて作成
検出方法 : 示差屈折率(RI)
(3)引張破断強度、引張破断伸びの測定
作製した水添スチレン系エラストマー成形体シートからダンベル状3号形試験片を打ち抜いて作製し、JIS K6251に準拠して、万能材料試験機(インストロンジャパン社製「TM−MS−134」)を用い、500mm/分の条件下で測定した。
(4)ジエン系ゴムとの接着性試験
表1に示した割合で各種材料を配合して作製した厚さ2mmの未加硫ゴムシートと、作製した水添スチレン系エラストマー成形体シートを有機過酸化物が存在する面が未加硫ゴムシート側に接触するように重ね合わせ、170℃で15分間加硫接着を行った。接着したサンプルを25mm幅の短冊状に切り出し、JIS K6256に準拠して、万能材料試験機(インストロンジャパン社製「TM−MS−134」)を用い、90°、500mm/分の条件下で剥離強さを測定した。
(1)窒素置換を十分に行ったオートクレーブ中に、α−メチルスチレン152g、シクロヘキサン221g、ヘキサン38.5gおよびテトラヒドロフラン9.6gを投入した。
(2)続いてsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液10mL(sec−ブチルリチウムとして10ミリモル)を投入し、−10℃で3時間重合反応を行った。重合開始5時間後のポリα−メチルスチレン(重合体ブロック(i)に相当)のMn、Mw/MnをGPCにより測定したところ、Mn=10500、Mw/Mn=1.05であり、α−メチルスチレンの重合転化率は90%であった。
(3)次に、1,3−ブタジエン10gを加え30分間攪拌した後、10℃まで昇温しシクロヘキサン109gを加えて重合溶液を希釈した。続いて重合溶液317gを抜き取り、さらにシクロヘキサン524gを加えた。
(4)次に、1,3−ブタジエン128gを加え、50℃で2時間重合を行った。この時点のサンプリングで得られたポリマーのMn、Mw/MnをGPCにより測定したところ、Mn=59700、Mw/Mn=1.05、1H−NMR測定から求めたポリブタジエン部の1,4−結合量は60モル%であった。
(5)続いて、安息香酸フェニルのシクロヘキサン溶液10mL(安息香酸フェニルとして2.64ミリモル)をゆっくりと加え50℃にて1時間攪拌した。攪拌終了後、少量の脱気したメタノールを加えて重合を完結させた。得られたポリマーの数平均分子量をGPCにより測定したところ、Mn=119600、Mw/Mn=1.06であった。1H−NMR測定から求めたα−メチルスチレン重合体ブロックの質量分率は30質量%、ブタジエン重合体ブロックの1,4−結合量は60モル%であった。
(6)オクチル酸ニッケルとトリイソブチルアルミニウムの反応生成物を水添触媒として上記(5)で得られた溶液に添加し、水素をオートクレーブ内に導入することで水添反応を行った。水添反応は水添触媒導入後、1時間かけて50℃まで昇温した後、7時間行った。得られた溶液をクエン酸と過酸化水素の水溶液、水で十分に洗浄して水添触媒を除去した後、有機層をアセトン/メタノール混合溶媒に注いでブロック共重合体を沈殿させた。得られたブロック共重合体をメタノールにて十分に洗浄し、0.1質量部の酸化防止剤(チバ・スペシャリティーズ・ケミカル社製「Irganox1010」)を添加し、60℃で真空乾燥してブロック共重合体(A−1)を得た。
上記参考製造例1において、工程(6)における水添反応の時間を4時間に変更すること以外は同様の操作を行いブロック共重合体(A−2)を得た。ブロック共重合体(A−2)の分子構造を表2に示す。
上記参考製造例1において、工程(5)において安息香酸フェニルを用いなかったこと以外は同様の操作を行い水添スチレン系エラストマー(A−3)を得た。ブロック共重合体(A−3)の分子構造を表2に示す。
ブロック共重合体(A−4) : クラレ社製 セプトン8007 ポリスチレン−水添ブタジエン−スチレン、スチレン含量30質量%
ラジカル発生剤(B−2) : 日本油脂社製 パーメンタH p−メンタンヒドロパーオキシドのトルエン溶液 1分間半減期温度 199.5℃
ラジカル発生剤(B−3) : 日本油脂社製 パークミルP ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシドの酢酸エチル溶液 1分間半減期温度 232.5℃
ラジカル発生剤(B−4) : 和光純薬社製 アゾビスイソブチロニトリルのシクロヘキサン溶液
ラジカル発生剤(B−5) : 粉末硫黄のシクロヘキサン分散液
ブロック共重合体(A)としてブロック共重合体(A−1)又は(A−4)の縦15cm、横15cm、厚さ2mmのシートを圧縮成形により作製した。作製したシートについて引張破断強度、引張破断伸び、ジエン系ゴムとの接着性を評価したところ表3および表4に示すとおりであった。
ブロック共重合体(A)としてブロック共重合体(A−1)又は(A−4)の縦15cm、横15cm、厚さ2mmのシート状成形体を圧縮成形により作製し、片側の表面にラジカル発生剤(B−1)〜(B−5)を、その使用量が0.67mg/cm2(ラジカル発生剤を0.15g使用)となるように刷毛で塗布した。得られたジエン系ゴム接着用水添スチレン系エラストマー成形体について引張破断強度、引張破断伸び、ジエン系ゴムとの接着性を評価したところ表3および表4に示すとおりであった。
ブロック共重合体(A−1)又は(A−4)のシクロヘキサン溶液にラジカル発生剤(B−1)を0.15g加えてガラス基板上に流延して乾燥することにより縦15cm、横15cm、厚さ0.2mmのフィルムを作製した。このフィルムを、別途圧縮成形により作製したブロック共重合体(A−1)の縦15cm、横15cm、厚さ2mmのシート状成形体の上に重ね合わせることでジエン系ゴム接着用水添スチレン系エラストマー成形体を製造した。得られたジエン系ゴム接着用水添スチレン系エラストマー成形体について引張破断強度、引張破断伸び、ジエン系ゴムとの接着性を評価したところ表3に示すとおりであった。
Claims (4)
- ビニル芳香族化合物単位からなる重合体ブロック(i)を2個以上、および共役ジエン化合物単位からなり、炭素−炭素不飽和二重結合の90モル%以上が水素添加されている重合体ブロック(ii)を1個以上有するブロック共重合体(A)からなる成形体の少なくとも一部の表面に、有機過酸化物(B)が実質的に存在してなるジエン系ゴム接着用水添スチレン系エラストマー成形体。
- ブロック共重合体(A)の重合体ブロック(i)を構成するビニル芳香族化合物単位がα−メチルスチレン単位である、請求項1に記載のジエン系ゴム接着用水添スチレン系エラストマー成形体。
- ブロック共重合体(A)からなる成形体の少なくとも一部の表面に、有機過酸化物(B)を塗布することにより付着させた、請求項1又は2に記載のジエン系ゴム接着用水添スチレン系エラストマー成形体。
- ブロック共重合体(A)からなる成形体の少なくとも一部の表面に、有機過酸化物(B)とブロック共重合体(A)との組成物からなる層を有する、請求項1又は2に記載のジエン系ゴム接着用水添スチレン系エラストマー成形体。
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