JP2007152584A - 液体噴射装置及び液体噴射装置におけるフラッシング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】印刷処理時間を増大させることなく、フラッシング量の増大に良好に対応することができる液体噴射装置及び液体噴射装置におけるフラッシング方法を提供する。
【解決手段】往復移動するキャリッジと、キャリッジに搭載され、ノズルからインクを噴射する記録ヘッドと、記録ヘッドがターゲットに対してインクを噴射する際のキャリッジの往復移動領域内であって、ターゲットの縁からはみ出した位置に設定される加速領域に設けられ、フラッシング時に記録ヘッドのノズルから吐出されるインクを受容するフラッシング受容部と、フラッシング時に、インク噴射状態が通常印刷状態よりもフラッシング量を多く必要とする高画質印刷状態であるか否かを判断する判断手段(CPU)と、判断手段の判断結果に基づいてキャリッジの加速領域における速度を制御する制御手段(CPU)とを備える。
【選択図】図4
【解決手段】往復移動するキャリッジと、キャリッジに搭載され、ノズルからインクを噴射する記録ヘッドと、記録ヘッドがターゲットに対してインクを噴射する際のキャリッジの往復移動領域内であって、ターゲットの縁からはみ出した位置に設定される加速領域に設けられ、フラッシング時に記録ヘッドのノズルから吐出されるインクを受容するフラッシング受容部と、フラッシング時に、インク噴射状態が通常印刷状態よりもフラッシング量を多く必要とする高画質印刷状態であるか否かを判断する判断手段(CPU)と、判断手段の判断結果に基づいてキャリッジの加速領域における速度を制御する制御手段(CPU)とを備える。
【選択図】図4
Description
本発明は、液体噴射装置及び液体噴射装置におけるフラッシング方法に関する。
従来から、液体をターゲットに対して噴射させる液体噴射装置として、インクジェット式プリンタ(以下、「プリンタ」という。)が広く知られている。このプリンタは、往復移動するキャリッジに記録ヘッド(液体噴射ヘッド)を搭載し、この記録ヘッドに供給されたインクを記録ヘッドに形成されたノズルから噴射することにより、ターゲットとしての記録媒体に印刷を施すようになっている。このようなプリンタにおいては、記録ヘッドのノズルからインク溶媒が蒸発することによるインク粘度の上昇や固化によりノズルに目詰まりを生じ、印刷不良を引き起こすという問題があった。
そこで、これらの問題を解消するために、通常、プリンタは、ターゲットに対しての噴射とは無関係にノズル内のインクを強制的に吐出させるフラッシング動作を行うようになっている。このフラッシング動作は、記録ヘッドが搭載されたキャリッジを、非印刷領域に設けられているキャッピング装置(クリーニング機構)若しくはフラッシング専用のインク受け部まで移動させて行われる。そして、このフラッシング動作を所定時間(例えば20秒)経過するごとに行うことで、ノズル内のインク粘度の上昇や固化を抑制するようになっている。
しかし、上記フラッシングが行われるキャッピング装置やインク受け部は、キャリッジが印刷中に往復移動する印刷時移動領域から離れた位置である非印刷時移動領域にあるため、印刷中にフラッシング動作を行う場合には、印刷時移動領域にあるキャリッジ(及び記録ヘッド)を非印刷時移動領域までわざわざ移動させなければならない。そして、この移動に時間が費やされることで、印刷処理時間が増加し印刷効率が悪化するという問題があった。
そこで、このような問題を解決するため、特許文献1に記載のプリンタでは、キャリッジの印刷時移動領域のうち、キャリッジの加減速領域または予備領域(縁無し印刷時において用紙の縁からはみ出した位置に設定される領域)内においてフラッシング動作を行うようにしている。すなわち、1印刷パス印刷終了時に停止状態にあるキャリッジを等加速度運動させて所定の印刷速度まで加速させる間にフラッシング動作が行われる。この構成によれば、フラッシング時に、キャリッジをわざわざ非印刷時移動領域まで移動させる必要がないため、印刷処理時間が増加することなく効率的にフラッシングを行うことができるものとなっていた。
特開2000−127433号公報
ところで、キャリッジの移動スピードが遅い高画質印刷等において1印刷用パスの印刷時間が長くかかる場合には、それだけ前回のフラッシングからの時間間隔が広くなるため、フラッシング量を増大させる必要がある。しかし、特許文献1に記載のプリンタでは、キャリッジの加速開始から等加速度運動によって所定の印刷速度まで加速させているため、フラッシング量が多くなった際に、それだけのフラッシングを行うための時間が確保できずに、十分なフラッシングができないという問題があった。
このプリンタにおいて、例えば、キャリッジの加減速領域(等加速度運動をさせる領域)を広く設定することも考えられるが、この場合、予めプリンタのサイズを大きく設定しておく必要があり、近時求められる装置のコンパクト化に反することになる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、印刷処理時間を増大させることなく、フラッシング量の増大に良好に対応することができる液体噴射装置及び液体噴射装置におけるフラッシング方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射装置は、往復移動するキャリッジと、当該キャリッジに搭載され、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、当該液体噴射ヘッドがターゲットに対して液体を噴射する際の前記キャリッジの往復移動領域内であって、前記ターゲットの縁からはみ出した位置に設定される加速領域及び減速領域のうち少なくとも一方に設けられ、フラッシング時に前記液体噴射ヘッドのノズルから吐出される液体を受容するフラッシング受容部と、フラッシング時に、液体噴射状態が通常液体噴射状態よりもフラッシング量を多く必要とする特別液体噴射状態であるか否かを判断する判断手段と、当該判断手段の判断結果に基づいて前記加速領域及び減速領域のうち少なくとも一方における前記キャリッジの移動速度を制御する制御手段とを備える。
この構成によれば、判断手段により液体噴射状態が通常液体噴射状態よりもフラッシング量を多く必要とする特別液体噴射状態であるか否かが判断され、その判断結果に基づいてキャリッジの加速領域及び減速領域のうち少なくとも一方における移動速度が制御手段によって制御される。すなわち、液体噴射状態に応じてフラッシング受容部上を移動するキャリッジの速度制御がなされるため、フラッシング量の増大に良好に対応することができる。また、フラッシング受容部はキャリッジの往復移動領域内に設けられているため、液体噴射中にフラッシングを適宜行うことができ、液体噴射に要する処理時間が増加することがない。
本発明の液体噴射装置における前記制御手段は、前記判断手段の判断結果が肯定的判断である場合に、前記加速領域及び減速領域のうち少なくとも一方における前記キャリッジの通過に要する時間が前記判断手段の判断結果が否定的判断である場合よりも長くなるように、前記キャリッジの移動速度を制御する。
この構成によれば、フラッシング量を多く必要とする特別液体噴射状態である場合に、そうでない場合と比較して加速領域及び減速領域のうち少なくとも一方におけるキャリッジの通過時間が長くなるように制御される。そのため、キャリッジの通過時間内(加速領域または減速領域、もしくは両領域)で確実に所定量のフラッシングを実行することができる。
本発明の液体噴射装置における前記制御手段は、前記判断手段の判断結果が否定的判断である場合に、前記加速領域及び減速領域のうち少なくとも一方において前記キャリッジを等加速度運動させるように当該キャリッジの移動速度を制御する一方、前記判断手段の判断結果が肯定的判断である場合に、前記加速領域及び減速領域のうち少なくとも一方において前記キャリッジを不等加速度運動させるように当該キャリッジの移動速度を制御する。
ここで、「キャリッジを不等加速度運動させる」とは、例えば、加速領域や減速領域において、キャリッジを等加速度運動させる期間を設定するだけではなく、等速度運動させたり停止させたりする期間をも設定することを意味する。なお、ここでいう「加速度」とは、負の加速度(減速度)を含むものである。この構成によれば、キャリッジを不等加速度運動させることで、容易に、加速領域及び減速領域のうち少なくとも一方におけるキャリッジの通過時間が長くなるようにできる。
本発明の液体噴射装置における前記制御手段は、前記判断手段の判断結果が肯定的判断である場合に、前記加速領域及び減速領域のうち少なくとも一方において前記キャリッジを等速度運動させる期間を設定することで当該キャリッジを不等加速度運動させる。
この構成によれば、加速領域及び減速領域のうち少なくとも一方において、キャリッジを等速度運動させる期間を設定することでキャリッジが不等加速度運動するため、容易にキャリッジの通過時間が長くなるように移動速度を制御することができる。また、キャリッジを一旦停止させる期間を含む場合と比較した場合、フラッシング受容部に対して吐出された液体が1箇所に集中することもなく、まんべんなく液体を吐出することができる。
本発明の液体噴射装置におけるフラッシング方法は、往復移動するキャリッジに搭載されてノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置におけるフラッシング方法であって、液体噴射状態が通常液体噴射状態よりもフラッシング量を多く必要とする特別液体噴射状態である場合に、前記液体噴射ヘッドがターゲットに対して液体を噴射する際の前記キャリッジの往復移動領域内であって、前記ターゲットの縁からはみ出した位置に設定される加速領域及び減速領域のうち少なくとも一方における前記キャリッジの移動速度を制御する。
この方法によれば、通常液体噴射状態か特別液体噴射状態かによってキャリッジの往復移動領域内における加速領域及び減速領域のうち少なくとも一方におけるキャリッジの移動速度が制御されるため、フラッシング量の増大に良好に対応することができる。
以下、本発明を液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンタに具体化した第1実施形態を図1〜図6に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の液体噴射装置としてのプリンタ10は、略箱状をなすフレーム11を備え、このフレーム11内の下部には、その長手方向(図1に示す主走査方向X)に沿ってプラテン12が架設されている。このプラテン12は、ターゲットとしての用紙Pを支持する支持台であり、紙送り機構13が有する紙送りモータ14の駆動力に基づき、用紙Pを主走査方向Xと直交する搬送方向Yに沿って給送するようになっている。
図1に示すように、本実施形態の液体噴射装置としてのプリンタ10は、略箱状をなすフレーム11を備え、このフレーム11内の下部には、その長手方向(図1に示す主走査方向X)に沿ってプラテン12が架設されている。このプラテン12は、ターゲットとしての用紙Pを支持する支持台であり、紙送り機構13が有する紙送りモータ14の駆動力に基づき、用紙Pを主走査方向Xと直交する搬送方向Yに沿って給送するようになっている。
また、フレーム11内においてプラテン12の上方にはガイド軸15が架設され、このガイド軸15にはキャリッジ16が移動可能に挿通支持されている。また、フレーム11の内面においてガイド軸15の両端部と対応する位置には、駆動プーリ17及び従動プーリ18が回転自在に支持されている。駆動プーリ17にはキャリッジモータ19が連結され、これら一対のプーリ17,18間には、キャリッジ16を固定支持したタイミングベルト20が掛装されている。従って、キャリッジ16は、ガイド軸15にガイドされながら、キャリッジモータ19の駆動によりタイミングベルト20を介して主走査方向Xに移動可能となっている。
図1に示すように、キャリッジ16の下面側には、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド21が設けられている。この記録ヘッド21の下面側となるノズル形成面21aには、図2に示すように、複数のノズル22が、搬送方向Yに沿って、一定の間隔(ノズルピッチ)で整列して形成されている。
また、記録ヘッド21内には図示しない圧電素子が各ノズル22と個別対応するように配設されている。そして、各圧電素子が駆動制御されることにより、記録ヘッド21の下方に至った用紙Pに向けて、各ノズル22からインク(液体)が噴射されるようになっている。また、キャリッジ16上には記録ヘッド21に対してインクを供給するためのインクカートリッジ23,24が着脱可能に搭載されている。
さらに、フレーム11内においてプラテン12の下方には、廃液タンク25がプラテン12と平行に延びるように設けられている。この廃液タンク25には、例えば多孔質のパルプ材等からなる吸収部材(図示略)が収容されている。従って、周知のクリーニング時、及びワイピング時には、インクが廃液タンク25に排出されて吸収部材に吸収されるようになっている。
図1、図5に示すように、キャリッジ16の往復移動領域S内であって、キャリッジ16の加速領域S1及び減速領域S5に対応するプラテン12の両端には、フラッシング受容部としてのインク受容部26,27が陥没形成されている。このインク受容部26,27は記録ヘッド21のノズル形成面21aとほぼ同じ大きさに形成され、各インク受容部26,27内にはインク吸収材28,29が設けられている。定期フラッシング時には、キャリッジ16がインク受容部26,27上を通過する際に、印刷と無関係の駆動信号を記録ヘッド21に設けたピエゾ素子に印加することで、ノズル22からインクが噴射される。そして、噴射されたインクは、インク受容部26,27内のインク吸収材28,29に吸収されるようになっている。これにより定期フラッシング時には、記録ヘッド21のノズル22内のインクの粘度上昇や固化を抑制するのに十分な量のフラッシングを行うことができる。
また、プラテン12上において両端のインク受容部26,27の間には、紙案内前とも称される複数の凹部30が陥没形成され、各凹部30内にはインク吸収材34(図5参照)が設けられている。そして、縁なし印刷時には、用紙Pの縁より外側へはみ出した部分(所謂、はみ出し印刷領域S2,S4(図5参照))に噴射されたインクが、凹部30内のインク吸収材34で吸収されるようになっている。
一方、プリンタ10の一端部(図1においては右端部)、すなわち、用紙Pが至らない非印刷領域には、クリーニング機構31が設けられている。クリーニング機構31は、ノズル22内に残存したインクを吸引して、ノズル22の目詰まりを解消するための機構である。図1に示すように、クリーニング機構31は、記録ヘッド21を封止するキャップ32と、吸引手段としての吸引ポンプ33とを備えている。そして、キャップ32は、図示しない公知の昇降手段により上下動可能とされ、上昇すると、記録ヘッド21のノズル形成面21aに当接して、そのノズル形成面21aを封止するようになっている。
図3は、プリンタ10の電気構成を示すブロック図である。プリンタ10はCPU41、ROM42、RAM43、I/F44及びASIC45を備え、これら各デバイスはバス46を通じて電気接続されている。タイマ47を内部に有するCPU41はプリンタ10のメイン制御を司り、ROM42に記憶された制御プログラムに基づきRAM43を作業領域として動作する。本実施形態のタイマ47は、定期フラッシング間隔T1を計測する。さらに、ASIC45には、検出器群48、給紙ユニット49、ヘッドユニット50、キャリッジユニット51がそれぞれ接続されている。
検出器群48には、リニア式エンコーダ、ロータリー式エンコーダ、紙検出センサ、光学センサ等の各センサ(いずれも図示略)が含まれる。リニア式エンコーダは、キャリッジ16の移動方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダは、搬送ローラ(図示略)の回転量を検出する。紙検出センサは、印刷される用紙Pの先端位置を検出するためのものである。光学センサは、発光部から用紙Pに照射された光の反射光を受光部が検出することにより、用紙Pの有無を検出する。
給紙ユニット49は、印刷媒体としての用紙Pを印刷可能な位置に送り込み、印刷時に搬送方向Yに所定の搬送量で給紙するためのものである。給紙ユニット49は、紙送り機構13とプラテン12とを有する。ヘッドユニット50は、用紙Pにインクを吐出するためのものであり、記録ヘッド21を有する。そして、記録ヘッド21が主走査方向Xに移動中に断続的にノズル22からインクを噴射する。キャリッジユニット51は、記録ヘッド21を主走査方向Xに移動させるためのものであり、キャリッジ16と、キャリッジモータ19とを有する。
また、プリンタ10はI/F44を介してホストコンピュータ52に接続されている。ホストコンピュータ52はプリンタドライバ(図示略)を有しており、このプリンタドライバには、プリンタ10の各構成要素に対して印刷やフラッシング動作等を実行させるためのコマンドを送るソフトウェアを搭載している。このため、CPU41およびASIC45は、プリンタドライバ内のソフトウェアに従い、ヘッドユニット50の記録ヘッド21による印字やフラッシング動作を制御したり、キャリッジユニット51のキャリッジ16や給紙ユニット49の紙送りモータ14等の動作を制御したりする構成となっている。
次に、上述したプリンタ10の作用について特に定期フラッシング動作に着目して以下説明する。
図5は、キャリッジ位置とキャリッジ速度との関係を示すグラフであって、印刷処理及びフラッシング処理を説明するための図である。印刷が開始されると、キャリッジ16は、印刷処理前の停止位置から加速領域S1を経て、第1はみ出し印刷領域S2、印刷領域S3、第2はみ出し印刷領域S4、減速領域S5を経て停止するまでの往復移動領域S内での往復移動を、印刷が終了するまで繰り返す。加速領域S1は、停止状態にあるキャリッジ16が所定の印刷速度まで加速される領域であって、第1はみ出し印刷領域S2及び第2はみ出し印刷領域S4は、縁無し印刷時において用紙Pの縁からインクがはみ出す可能性のある位置に設定される領域である。また、印刷領域S3は用紙Pの幅に対応する領域であって、減速領域S5は、印刷速度で移動するキャリッジ16を停止させるために減速させる領域である。なお、本実施形態では、用紙Pに対して余白無く全面に亘って印刷を行う縁無し印刷が実行されたものとして第1はみ出し印刷領域S2及び第2はみ出し印刷領域S4をそれぞれ設定しているが、縁無し印刷でない場合には、これらの領域は設定しなくてもよい。また、フラッシングは加速領域S1(インク受容部26)で行われるものとする。以下、定期フラッシング動作を含めた印刷処理について、図4に示すフローチャートを参照して詳細に説明する。なお、印刷開始に際して、定期フラッシングの実行間隔は間隔T1に設定されるものとする。
図5は、キャリッジ位置とキャリッジ速度との関係を示すグラフであって、印刷処理及びフラッシング処理を説明するための図である。印刷が開始されると、キャリッジ16は、印刷処理前の停止位置から加速領域S1を経て、第1はみ出し印刷領域S2、印刷領域S3、第2はみ出し印刷領域S4、減速領域S5を経て停止するまでの往復移動領域S内での往復移動を、印刷が終了するまで繰り返す。加速領域S1は、停止状態にあるキャリッジ16が所定の印刷速度まで加速される領域であって、第1はみ出し印刷領域S2及び第2はみ出し印刷領域S4は、縁無し印刷時において用紙Pの縁からインクがはみ出す可能性のある位置に設定される領域である。また、印刷領域S3は用紙Pの幅に対応する領域であって、減速領域S5は、印刷速度で移動するキャリッジ16を停止させるために減速させる領域である。なお、本実施形態では、用紙Pに対して余白無く全面に亘って印刷を行う縁無し印刷が実行されたものとして第1はみ出し印刷領域S2及び第2はみ出し印刷領域S4をそれぞれ設定しているが、縁無し印刷でない場合には、これらの領域は設定しなくてもよい。また、フラッシングは加速領域S1(インク受容部26)で行われるものとする。以下、定期フラッシング動作を含めた印刷処理について、図4に示すフローチャートを参照して詳細に説明する。なお、印刷開始に際して、定期フラッシングの実行間隔は間隔T1に設定されるものとする。
図4に示すように、印刷が開始されると、まず、CPU41(ASIC45)は、定期フラッシングの間隔T1と対比される経過時間Tのカウントをスタートする(S11)。そして、1印刷用パスの印刷を実行させる(S12)。次いで、タイマ47から経過時間Tの情報を取得し、所定時間経過したか否か(T≧T1?)を判断する(S13)。所定時間経過していない場合(S13:NO)は、次の1印刷用パスの印刷を実行させ(S12)、所定時間が経過するまで本ステップを繰り返す。そして、所定時間経過した場合(S13:YES)は、次に、高画質印刷であるか否か(特別液体噴射状態であるか否か)を判断する(S14)。この判断は、例えば、印刷時にホストコンピュータ52のプリンタドライバから送られるコマンドに基づいて判断する。
そして、高画質印刷であると判断した場合(S14:YES)、CPU41(ASIC45)は、加速領域S1におけるキャリッジ16の移動速度を不等加速度運動させるように設定する(S15)。一方、高画質印刷でないと判断した場合(S14:NO)、CPU41(ASIC45)は、加速領域S1におけるキャリッジ16の移動速度を等加速度運動させるように設定する(S16)。そして、高画質印刷であるか否かの判断結果に応じてキャリッジ16の移動速度を制御しつつ加速領域S1を通過させてフラッシングを行わせ、さらに、第1はみ出し印刷領域S2、印刷領域S3、第2はみ出し印刷領域S4、減速領域S5を通過させて1印刷用パスの印刷を行わせる(S17)。このフラッシングを実行した後は、フラッシングタイマを一旦リセット(T=0)する(S18)。次いで、印刷が終了したか否かが判断され(S19)、印刷が終了した場合(S19:YES)には、処理を終了する。なお、印刷が終了していない場合(S19:NO)には、再び定期フラッシング間隔T1と対比される経過時間Tのカウントをスタートして(S11)、印刷終了となるまで以降の処理(S12〜S19)を繰り返す。
以上説明したように、本実施形態では、高画質印刷か否かの判断結果に応じて(S14)、加速領域S1におけるキャリッジ16の移動速度の制御が行われる。ここで、図5において実線で示すのが高画質印刷である場合におけるキャリッジ16の移動速度の速度変化Aであり、一点鎖線で示すのが通常印刷の場合におけるキャリッジ16の移動速度の速度変化Bである。そこで次に、キャリッジ16の移動速度の制御について、より具体的に、以下説明する。
さて、高画質印刷である場合には、図5において実線で示す速度変化Aのように、キャリッジ16は、加速領域S1を停止位置側から第1はみ出し印刷領域S2側に向けて移動する途中で、まず等加速度運動をした後、しばらく等速度運動をし、その後再び等加速度運動をして所定の印刷速度まで加速する。キャリッジ16がこの加速領域S1を停止することなく常に移動しつつ通過する際に、フラッシングが行われる。加速領域S1に対応するプラテン12の左端にはインク受容部26が陥没形成されているため、キャリッジ16が加速領域S1を移動中にフラッシングが行われて記録ヘッド21のノズル22からインクが噴射されると、噴射されたインクがインク受容部26内のインク吸収材28に吸収される。
一方、高画質印刷でない場合には、図5において一点鎖線で示す速度変化Bのように、キャリッジ16は、加速領域S1を停止位置側から第1はみ出し印刷領域S2側に向けて移動する際、等加速度運動をして一気に所定の印刷速度まで加速する。なお、フラッシングタイマがアップするまでの印刷時においても、加速領域S1においてキャリッジ16は、速度変化Bと同様の等加速度運動をするものとする。
図6は、主に加速領域S1における、時間経過とキャリッジ速度との関係を示すグラフである。図6において実線で示すのが高画質印刷の場合におけるキャリッジ16の移動速度の速度変化Cであり、一点鎖線で示すのが通常印刷の場合におけるキャリッジ16の移動速度の速度変化Dである。速度変化Dに示すように印刷速度まで一気に等加速度運動させる場合、キャリッジ16が加速領域S1を通過するのに要する時間はT2である。これに対し、速度変化Cに示すようにキャリッジ16を印刷速度まで不等加速度運動させるように当該キャリッジ16が等速度運動する期間を設けた場合、キャリッジ16が加速領域S1を通過するのに要する時間はT2よりも長いT3となる。つまり、本実施形態では、高画質印刷において、加速領域S1内でキャリッジ16が等速度運動する期間を設定することでキャリッジ16を印刷速度まで段階的に加速させるようにしており、高画質印刷でない通常印刷(通常液体噴射状態)の場合と比較してキャリッジ16が加速領域S1を通過する時間が長くなるようにその移動速度が制御される。
以上説明した実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)高画質印刷である場合、通常印刷に比べて印刷時のキャリッジ移動速度が一般に遅く、1印刷パスの印刷時間が長くかかるため、その分、定期フラッシングにおけるフラッシング量を多く必要とする。上記実施形態では、そうした高画質印刷である場合に、キャリッジ16が加速領域S1を通過する時間が、フラッシングを行わない印刷時に要する時間よりも長くなるように制御される(図6においてT2<T3)。そのため、フラッシング量が多い場合でも、そのフラッシング時間が確保されて、キャリッジ16が加速領域S1を通過する間に確実に必要なフラッシング量のフラッシングを実行することができる。
(1)高画質印刷である場合、通常印刷に比べて印刷時のキャリッジ移動速度が一般に遅く、1印刷パスの印刷時間が長くかかるため、その分、定期フラッシングにおけるフラッシング量を多く必要とする。上記実施形態では、そうした高画質印刷である場合に、キャリッジ16が加速領域S1を通過する時間が、フラッシングを行わない印刷時に要する時間よりも長くなるように制御される(図6においてT2<T3)。そのため、フラッシング量が多い場合でも、そのフラッシング時間が確保されて、キャリッジ16が加速領域S1を通過する間に確実に必要なフラッシング量のフラッシングを実行することができる。
(2)上記実施形態では、インク受容部26,27はキャリッジ16の往復移動領域S内に設けられており、印刷中にフラッシングを行う場合に、キャリッジ16を非印刷領域まで移動させることなくキャリッジ16の往復移動領域S内でフラッシング動作を適宜行うことができるため、印刷処理時間が増加することがない。
(3)上記実施形態では、高画質印刷におけるフラッシング時には、加速領域S1においてキャリッジ16を不等加速度運動させることで、容易に、加速領域S1をキャリッジ16が通過するのに要する時間T3が長くなるようにできる。
(4)上記実施形態では、高画質印刷におけるフラッシング時には、加速領域S1において、キャリッジ16を等速度運動させる期間を設定することでキャリッジ16の加速度が不等に設定される(すなわち、不等加速度運動する)ようになっている。そして、加速領域S1においてキャリッジ16は一旦停止することなくインク受容部26上を移動して通過する。よって、インク受容部26に対して吐出されるインクが1箇所に集中することもなく、まんべんなくインクを吐出することができる。
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態(別例)に変更してもよい。
・ 上記実施形態において、フラッシング動作は、減速領域S5(インク受容部27)で行うものとしてもよいし、加速領域S1(インク受容部26)と減速領域S5(インク受容部27)の両領域で行うものとしてもよい。また、プラテン12におけるインク受容部26,27は、加速領域S1及び減速領域S5のうちフラッシング動作を行う方の領域にのみ単数形成されるようにしてもよい。
・ 上記実施形態において、フラッシング動作は、減速領域S5(インク受容部27)で行うものとしてもよいし、加速領域S1(インク受容部26)と減速領域S5(インク受容部27)の両領域で行うものとしてもよい。また、プラテン12におけるインク受容部26,27は、加速領域S1及び減速領域S5のうちフラッシング動作を行う方の領域にのみ単数形成されるようにしてもよい。
・ 上記実施形態において、高画質印刷の際のフラッシング時における加速領域S1でのキャリッジ16の速度制御は、図7(a)に実線で示す速度変化Eのように、しばらく停止した期間を設けた後、等加速度運動させて印刷速度まで加速するようにしてもよい。この場合であっても、フラッシング時以外にキャリッジ16が加速領域S1を通過するのに要する時間T2よりも長い時間T4を確保することができ、確実に所定量のフラッシングを行うことができる。
また、図7(b)に実線で示す速度変化Fのように、加速度を徐々に増加させてキャリッジ16の速度が漸増するようにしてもよい。この場合であっても、フラッシング時以外にキャリッジ16が加速領域S1を通過するのに要する時間T2よりも長い時間T5を確保することができ、確実に所定量のフラッシングを行うことができる。
さらに、図7(c)に実線で示す速度変化Gのように、キャリッジ16の速度を途中で遅くしたりして、複数段階(図7(c)では2段階)の速度変化を経て印刷速度まで加速させるようにしてもよい。この場合であっても、フラッシング時以外にキャリッジ16が加速領域S1を通過するのに要する時間T2よりも長い時間T6を確保することができ、確実に所定量のフラッシングを行うことができる。こうした速度変化態様は、加速領域S1においてキャリッジ16の通過に要する時間が通常印刷時よりも長くなるような制御であれば、その他種々の態様が可能である。
なお、図7(a)〜(c)に示す各別例は、減速領域S5においてフラッシングを行う場合においても同様に適用できる。減速させる場合には、図7に示すグラフと左右対称のグラフとなり、(b)に示す変形例では、キャリッジ16の速度が漸減することになる。
・ 上記実施形態における高画質印刷か否かの判断に換えて、例えば1印刷用パスのデータ量が多い場合にキャリッジ16の移動速度の制御を調整するようにしてもよい。この場合、所定データ量を超える場合に特別液体噴射状態であると判断されることになる。その他、基準とする通常液体噴射状態と、通常液体噴射状態よりもフラッシング量を多く必要とする特別液体噴射状態とでキャリッジ16の移動速度の変化態様を異ならせるように構成してもよい。
・ 上記各実施形態では、インクカートリッジ23,24がキャリッジ16に搭載されたオンキャリッジタイプのインクジェット式プリンタに具体化したが、これに限らず、オフキャリッジタイプのインクジェット式プリンタに具体化してもよい。
・ 上記各実施形態においては、液体噴射装置として、インクを吐出するプリンタ10について説明したが、その他の液体噴射装置であってもよい。例えば、ファックス、コピア等を含む印刷装置や、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置であってもよい。また、液体もインクに限られず、他の液体に応用してもよい。
10…液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ、12…プラテン、16…キャリッジ、21…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、22…ノズル、26,27…フラッシング受容部としてのインク受容部、41…判断手段及び制御手段としてのCPU、45…判断手段及び制御手段としてのASIC、47…タイマ、T1…定期フラッシング間隔、P…ターゲットとしての紙、S…往復移動領域、S1…加速領域、S3…液体噴射領域としての印刷領域、S5…減速領域。
Claims (5)
- 往復移動するキャリッジと、
当該キャリッジに搭載され、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
当該液体噴射ヘッドがターゲットに対して液体を噴射する際の前記キャリッジの往復移動領域内であって、前記ターゲットの縁からはみ出した位置に設定される加速領域及び減速領域のうち少なくとも一方に設けられ、フラッシング時に前記液体噴射ヘッドのノズルから吐出される液体を受容するフラッシング受容部と、
フラッシング時に、液体噴射状態が通常液体噴射状態よりもフラッシング量を多く必要とする特別液体噴射状態であるか否かを判断する判断手段と、
当該判断手段の判断結果に基づいて前記加速領域及び減速領域のうち少なくとも一方における前記キャリッジの移動速度を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする液体噴射装置。 - 前記制御手段は、前記判断手段の判断結果が肯定的判断である場合に、前記加速領域及び減速領域のうち少なくとも一方における前記キャリッジの通過に要する時間が前記判断手段の判断結果が否定的判断である場合よりも長くなるように、前記キャリッジの移動速度を制御することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
- 前記制御手段は、前記判断手段の判断結果が否定的判断である場合に、前記加速領域及び減速領域のうち少なくとも一方において前記キャリッジを等加速度運動させるように当該キャリッジの移動速度を制御する一方、前記判断手段の判断結果が肯定的判断である場合に、前記加速領域及び減速領域のうち少なくとも一方において前記キャリッジを不等加速度運動させるように当該キャリッジの移動速度を制御することを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
- 前記制御手段は、前記判断手段の判断結果が肯定的判断である場合に、前記加速領域及び減速領域のうち少なくとも一方において前記キャリッジを等速度運動させる期間を設定することで前記キャリッジを不等加速度運動させることを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。
- 往復移動するキャリッジに搭載されてノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置におけるフラッシング方法であって、
液体噴射状態が通常液体噴射状態よりもフラッシング量を多く必要とする特別液体噴射状態である場合に、前記液体噴射ヘッドがターゲットに対して液体を噴射する際の前記キャリッジの往復移動領域内であって、前記ターゲットの縁からはみ出した位置に設定される加速領域及び減速領域のうち少なくとも一方における前記キャリッジの移動速度を制御することを特徴とする液体噴射装置におけるフラッシング方法。
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-
2005
- 2005-11-30 JP JP2005347050A patent/JP2007152584A/ja active Pending
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