JP2007150900A - 集合住宅用インターホンシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】スイッチング電源回路を用いながら伝送線路に誘導されるハムを抑制する。
【解決手段】電源回路27は、スイッチング電源回路からなり、互いに静電容量が等しく且つ商用交流電源の各ラインと回路グランドGとの間に挿入された一対のラインバイパスコンデンサC1,C2を具備する。幹線電源供給部200は、互いにインピーダンスZ1,Z2が等しく且つ音声信号に対する整合インピーダンスZよりも高いインピーダンスZ1,Z2を介して住戸別線L2の各線に直流電圧を印加する。故に、伝送線路(信号線Ld)の平衡度を崩すことなしに幹線電源供給部200から直流電圧を印加することができる。そのため、各線に流れる電流(コモンモードノイズ)の差を低減することができ、その結果、伝送線路(信号線Ld)にハムが誘導されるのを防ぐことができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、集合住宅の共用玄関に設置された共用部装置と各住戸にそれぞれ設置される住戸機の何れか1台との間で択一的に通信路を確立して通話可能とする集合住宅用インターホンシステムに関するものである。
従来、集合住宅の共用玄関に設置され音声の入出力が可能な共用部装置と、集合住宅の各住戸にそれぞれ設置され共用部装置とは伝送線路を介して接続されるとともに共用部装置が有する選択手段を来訪者が操作することにより選択されると共用部装置との間で通信路を確立する複数台の住戸機と、集合住宅の各住戸にそれぞれ設置され住戸機とは通話用の子器接続線を介して接続されるドアホン子器とを備えた集合住宅用インターホンシステムが提供されている。
ここで、伝送線路は、共用部装置に接続された幹線と各住戸機に接続された住戸別線とを含むとともに幹線と各住戸別線との接続部位にそれぞれ介装された複数台の分岐器を有し、伝送線路には音声信号と映像信号が多重化されて伝送される。この分岐器は、住戸別線について共用部装置側の幹線を送り側の幹線に接続する状態と共用部装置側の幹線を住戸別線に接続する状態とが択一的に切替可能な接点部と、共用部装置により選択された住戸機に対応する住戸別線の線間に直流電圧が印加されると接点部を切り替えて幹線を住戸別線に接続する状態とする接点切替部とを備えている。
而して、共用部装置と選択された何れか1台の住戸機との間で通話を行う場合、選択された住戸機が住戸別線に直流電圧を印加することで当該住戸別線と幹線との接続部位に介装された分岐器において共用部装置側の幹線を住戸別線に接続する状態へ接点切替部が接点部を切り替えることにより、他の全ての住戸機が幹線から切り離された状態となるから、伝送線路の容量成分や誘導成分の増大を抑えて音声信号や映像信号の伝送損失を低減することができるものである。
ところで住戸機においては、商用交流電源から内部回路の動作電源(直流電源)を作成する電源部が設けられており、従来は商用交流電源をトランスで降圧するとともに整流平滑回路で整流平滑して直流電圧を得るタイプの電源回路が電源部に用いられていた。また近年では、主に住戸機の小型化のために半導体スイッチング素子を利用したスイッチング電源回路が電源部に用いられている。かかるスイッチング電源回路においては、一般にコモンモードノイズ対策として商用交流電源からの入力側にコモンモードチョークコイル(バラン)とラインバイパスコンデンサが挿入されている。しかしながら、ラインバイパスコンデンサが住戸機の回路グランドに接地されるとともに商用交流電源ラインの一方(中性線)が接地されており、しかも、住戸機から共用部装置までの伝送線路の配線長が数十メートルから数百メートル以上にも及ぶため、伝送線路の浮遊容量とラインバイパスコンデンサとを介してループが形成されてしまう。そして、このループに電流が流れることで生じるコモンモードノイズは、本来、コモンモードチョークコイル並びにラインバイパスコンデンサによって抑制されるのであるが、各ラインに流れる電流(コモンモードノイズ)が不平衡である場合には、その差に相当するノイズ電圧がノーマルモードノイズとして伝送線路に重畳されるために伝送線路にハム(商用交流電源の電源周波数及びその高調波成分を含む雑音)が誘導されてしまうという問題がある。
このような問題を解決するものとしては特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載のものにおいては、電源部にスイッチング電源回路が用いられ、伝送線路とスイッチング電源回路から電源供給を受ける回路との間を絶縁トランスで絶縁することで上述のループが形成されるのを防いでいる。
特開平6−113026号公報
しかしながら、上述のように幹線と住戸機との接続を開閉するために住戸機が住戸別線に直流電圧を印加するようなシステムにおいては、特許文献1に記載されているように絶縁トランスを使って伝送線路(住戸別線)と電源部との間を絶縁することができないという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、スイッチング電源回路を用いても伝送線路に誘導されるハムが抑制できる集合住宅用インターホンシステムを提供することにある。
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、集合住宅の共用玄関に設置され音声の入出力が可能な共用部装置と、集合住宅の各住戸にそれぞれ設置され共用部装置とは伝送線路を介して接続されるとともに共用部装置が有する選択手段を来訪者が操作することにより選択されると共用部装置との間で通信路を確立する複数台の住戸機とを備え、伝送線路は、共用部装置に接続された幹線と各住戸機に接続された住戸別線とを含むとともに幹線若しくは幹線と各住戸別線との接続部位に介装された1乃至複数台の幹線機器を有し、幹線および住戸別線は、少なくとも選択手段の操作に伴って発生し通話の開始を指示する制御信号を伝送する制御線と、音声信号を伝送する信号線とからなり、住戸機は、共用部装置との間で信号線を介した通話を行う通話手段と、通話手段と住戸別線との間に挿入されて平衡−不平衡変換を行う平衡トランスと、スイッチング電源回路により商用交流電源から所望の直流電源を作成する電源手段と、電源手段で作成される直流電源により住戸別線の信号線の線間に直流電圧を印加する幹線電源供給手段と、制御線を介して伝送される制御信号を受信したときに幹線電源供給手段に直流電圧を印加させる制御手段とを備え、幹線機器は、信号線について共用部装置側の幹線を共用部装置により選択された住戸機に繋がる送り側の幹線若しくは住戸別線に接続する状態と接続しない状態とが択一的に切替可能な接点部と、共用部装置により選択された住戸機に対応する住戸別線若しくは幹線の線間に直流電圧が印加されると接点部を前記接続する状態に切り替える接点切替部とを備え、電源手段は、互いに静電容量が等しく且つ商用交流電源の各ラインと回路グランドとの間に挿入された一対のラインバイパスコンデンサを具備し、幹線電源供給手段は、互いにインピーダンスが等しく且つ音声信号に対する整合インピーダンスよりも高いインピーダンスを介して住戸別線の各線に直流電圧を印加することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、電源手段は、互いに絶対値が等しく且つ極性が異なるプラス電圧とマイナス電圧を供給してなり、幹線電源供給手段は、音声信号に対する整合インピーダンスよりも高い出力インピーダンスを有し住戸別線の一方の線にプラス電圧を印加する給電回路と、音声信号に対する整合インピーダンスよりも高く且つ給電回路の出力インピーダンスと等しい入力インピーダンスを有し住戸別線の他方の線にマイナス電圧を印加する受電回路とを有し、給電回路並びに受電回路は、ベース接地されたトランジスタで構成されることを特徴とする。
請求項3の発明は、上記目的を達成するために、集合住宅の共用玄関に設置され音声の入出力が可能な共用部装置と、集合住宅の各住戸にそれぞれ設置され共用部装置とは伝送線路を介して接続されるとともに共用部装置が有する選択手段を来訪者が操作することにより選択されると共用部装置との間で通信路を確立する複数台の住戸機とを備え、伝送線路は、共用部装置に接続された幹線と各住戸機に接続された住戸別線とを含むとともに幹線若しくは幹線と各住戸別線との接続部位に介装された1乃至複数台の幹線機器を有し、幹線および住戸別線は、少なくとも選択手段の操作に伴って発生し通話の開始を指示する制御信号を伝送する制御線と、音声信号を伝送する信号線とからなり、住戸機は、共用部装置との間で信号線を介した通話を行う通話手段と、通話手段と住戸別線との間に挿入されて平衡−不平衡変換を行う平衡トランスと、スイッチング電源回路により商用交流電源から所望の直流電源を作成する電源手段と、電源手段で作成される直流電源により住戸別線の信号線の線間に直流電圧を印加する幹線電源供給手段と、制御線を介して伝送される制御信号を受信したときに幹線電源供給手段に直流電圧を印加させる制御手段とを備え、幹線機器は、信号線について共用部装置側の幹線を共用部装置により選択された住戸機に繋がる送り側の幹線若しくは住戸別線に接続する状態と接続しない状態とが択一的に切替可能な接点部と、共用部装置により選択された住戸機に対応する住戸別線若しくは幹線の線間に直流電圧が印加されると接点部を前記接続する状態に切り替える接点切替部とを備え、電源手段は、互いに静電容量が等しく且つ商用交流電源の各ラインと回路グランドとの間に挿入された一対のラインバイパスコンデンサを具備し、平衡トランスは、住戸別線と接続される2次側が互いにインダクタンスの等しい一対の巻線と、各巻線の一端間に挿入されるコンデンサとで構成され、幹線電源供給手段は、平衡トランスの2次側を構成する一対の巻線を介して直流電圧を印加することを特徴とする。
請求項1の発明によれば、互いに静電容量が等しく且つ商用交流電源の各ラインと回路グランドとの間に挿入された一対のラインバイパスコンデンサを電源手段に具備するとともに、幹線電源供給手段が、互いにインピーダンスが等しく且つ音声信号に対する整合インピーダンスよりも高いインピーダンスを介して住戸別線の各線に直流電圧を印加することにより、伝送線路の平衡度を崩すことなしに幹線電源供給手段から直流電圧を印加することができるため、各線に流れる電流(コモンモードノイズ)の差を低減することができ、その結果、伝送線路にハム(商用交流電源の電源周波数及びその高調波成分を含む雑音)が誘導されるのを防ぐことができる。
請求項2の発明によれば、幹線電源供給手段を構成する給電回路並びに受電回路がベース接地されたトランジスタで構成されるため、幹線電源供給手段をインダクタで構成する場合に比較して小型化できる。
請求項3の発明によれば、互いに静電容量が等しく且つ商用交流電源の各ラインと回路グランドとの間に挿入された一対のラインバイパスコンデンサを電源手段に具備するとともに、平衡トランスが、住戸別線と接続される2次側が互いにインダクタンスの等しい一対の巻線と、各巻線の一端間に挿入されるコンデンサとで構成され、幹線電源供給手段が、平衡トランスの2次側を構成する一対の巻線を介して直流電圧を印加することにより、伝送線路の平衡度を崩すことなしに幹線電源供給手段から直流電圧を印加することができるため、各線に流れる電流の差を低減することができ、その結果、伝送線路にハムが誘導されるのを防ぐことができ、しかも、電源供給をするためにトランス以外のインダクタンスやトランジスタ回路が不要であるので小型化並びにコストダウンが図れる。
(実施形態1)
本実施形態のシステム構成例を図1に示す。本実施形態では、集合住宅の共用玄関に設置される共用部装置(ロビーインターホン)1と、各住戸にそれぞれ配置される複数台の住戸機2とを備え、ロビーインターホン1と住戸機2とが伝送線路を介して接続されている。伝送線路は、ロビーインターホン1に接続される幹線L1と、各住戸機2にそれぞれ接続される住戸別線L2とを含み、幹線L1と各住戸別線L2との間にはそれぞれ分岐器7が介装される。さらに、本実施形態では幹線L1を複数系統(図では2系統)に分岐するための幹線機器である経路切替器10が設けられている。
伝送線路は、経路切替器10を介してロビーインターホン1に接続される幹線L1と、幹線L1から分岐されて各住戸機2にそれぞれ接続される住戸別線L2とを含む。この伝送線路としては、2対以上のペア線をシース内に備える多対ツイストペアケーブルを用いており、図示例ではロビーインターホン1と住戸機2との間で、ロビーインターホン1が具備するカメラ(図示せず)で撮像された映像信号と音声信号とを多重伝送する信号線Ldと、ロビーインターホン1が有する選択手段(後述する)により選択された住戸機2を指定する制御信号を伝送する制御線Lcとにそれぞれペア線を用いている。つまり、図示例の伝送線路では2対のペア線を用いている。ここで、信号線Ldを介して伝送される映像信号はロビーインターホン1において周波数変調され、周波数変調された映像信号(以下、「FM映像信号」と呼ぶ)と音声信号とは周波数帯域が異なるから(音声信号に対してFM映像信号は周波数が十分に高い)、周波数多重化の技術によって多重化することができる。そして、信号線Ldを介して音声信号と多重化されて伝送されるFM映像信号が、後述するように各住戸機2に設けた多重分離回路201で分離された後にFM復調部25aで周波数復調されてモニタ22に表示される。
ロビーインターホン1は、音声を入出力するマイクロホン及びスピーカと、来訪者を撮像するカメラと、カメラから出力する映像信号を周波数変調するFM変調回路と、住戸番号を指定するための番号キーと呼出釦を有する選択手段とを備え、来訪者が番号キーを操作して訪問先の住戸番号を選択した後に呼出釦を操作すると住戸番号に対応する住戸機2を選択したことになる。ここで、ロビーインターホン1には通話線La及び制御線Lcを介して通話制御装置5が接続されており、ロビーインターホン1で選択された住戸番号が制御線Lcを介して通話制御装置5に伝送されると、通話制御装置5が当該住戸番号に対応する住戸機2に対して制御線Lcを介して制御信号(呼出コマンド)を送出する。またロビーインターホン1から通話制御装置5を経由する通話線Laを介して伝送される音声信号と、ロビーインターホン1から映像線Lbを介して伝送されるFM映像信号とを多重化する機能を持った幹線制御装置3がロビーインターホン1と各住戸機2との間に設けられる。さらに、通話制御装置5には通話線La及び制御線Lcを介して管理室インターホン4が接続されている。
一方、住戸機2は、音声を入出力するマイクロホン21a及びスピーカ21bを備え、マイクロホン21aとスピーカ21bとはそれぞれ増幅器24a,24bを介して音声回路24cに接続されている。ここで、上述のように音声信号と映像信号との両方で信号線Ldを用いるために、幹線制御装置3及び住戸機2にはそれぞれ多重分離回路201を設けている。幹線制御装置3と住戸機2とにそれぞれ用いている多重分離回路201は同構成であって、音声回路24cと信号線Ldとの間に挿入される低周波通過部201aと、結合トランス25cと信号線Ldとの間に挿入される高周波通過部201bとからなる(但し、幹線制御装置3については図示を省略する。)。低周波通過部201aは音声信号に対して低インピーダンスであって映像信号に対して高インピーダンスのものを用い、高周波通過部201bは音声信号に対して高インピーダンスであって映像信号に対して低インピーダンスのものを用いる。図示例では、低周波通過部201aとしてインダクタを用い、高周波通過部201bとしてコンデンサを用いている。尚、低周波通過部201aよりも音声回路24c側で信号線Ldの線間に幹線電源供給部200により直流電圧が印加されるようになっており、この直流電圧が音声信号に与える影響を取り除くために低周波通過部201aと音声回路24cとの間には直流電圧を阻止するコンデンサ202並びに平衡−不平衡変換のためのトランス(以下、平衡トランスと呼ぶ。)203が挿入されている。音声回路24cは、2線の信号線Ldと2個の増幅器24a,24bの入力線及び出力線とを2線4線変換する回路を含み、マイクロホン21aから入力される音声信号を多重分離回路201を介して信号線Ldに送出し、多重分離回路201で分離された信号線Ldからの音声信号をスピーカ21b側に出力する機能を備えている。したがって、ロビーインターホン1と住戸機2との間で信号線Ldを通して音声信号を授受することができ、来訪者がロビーインターホン1を用いるとともに居住者が住戸機2を用いることによって、来訪者と居住者との間で音声通話が可能となる。
住戸機2に設けた音声回路24cには、子器インタフェース回路23及び子器接続線L3を介してドアホン子器6が接続される。ドアホン子器6は集合住宅の各住戸の玄関先に配置されるものであってマイクロホンおよびスピーカを備え、子器インタフェース回路23はドアホン子器6との通話のための音声双方向増幅回路や音声回路24cを接続するための開閉路回路などを備える。したがって、ドアホン子器6と住戸機2との間での通話が可能になっている。また、ドアホン子器6には呼出釦が設けられ、子器インタフェース回路23ではドアホン子器6での呼出釦の操作時に呼出音を音声回路24cに入力して、スピーカ21bから送出させる機能も備える。ドアホン子器6の電源は住戸機2に内蔵した子器電源部28aから電源重畳回路28bを介して供給される。電源重畳回路28bは音声信号伝送帯域に対するインピーダンスを高くして子器接続線L3に電源を重畳する回路である。ここに、子器接続線L3には伝送線路とは別シースのケーブルを用いるのが一般的であるが、伝送線路の中の1対のペア線を流用することも可能である。
住戸機2において、モニタ22には液晶表示器あるいはCRTが用いられる。信号線Ldを通して住戸機2に入力されるFM映像信号は、多重分離回路201で分離された後に平衡−不平衡変換のための結合トランス25cを介して増幅器25bに入力され、増幅器25bで増幅された後にFM復調部25aにおいて周波数復調される。FM復調部25aから出力された映像信号は、モニタ22に入力されることによってモニタ22の画面に映像を表示する。つまり、ロビーインターホン1のカメラにおいて撮像された来訪者の映像が住戸機2のモニタ22に表示されるから、住戸内の居住者が来訪者を確認することができるのである。
住戸機2には内部回路を制御するCPU20が設けられ、CPU20には制御線Lcとのインタフェースとなる制御信号送受信回路26が接続される。制御信号送受信回路26は、CPU20から出力された制御信号を制御線Lcに送出し、制御線Lcから受信した制御信号をCPU20に引き渡す機能を有する。住戸機2の内部電源(直流電源)は、電源回路27によって商用電源(交流100V)から作成される。
ここで、制御線Lcについては、幹線L1と住戸別線L2とが分岐器7内において直結され、経路切替器10において各系統の幹線L1を直結している。したがって、通話制御装置5から送出された制御信号は制御線Lcに接続されるすべての住戸機2に伝送される。ここに、住戸機2のCPU20には個別にアドレス(たとえば、住戸番号)が設定されており、ロビーインターホン1においてアドレスを選択することによって、アドレスを指定する制御信号(呼出コマンド)が通話制御装置5から制御線Lcを介して全ての住戸機2に伝送することが可能になっている。住戸機2のCPU20は、制御信号に含まれるアドレスが自己のアドレスであれば、住戸別線L2の信号線Ldにおける幹線L1と音声回路24cとの間に挿入された住戸機リレーのリレー接点29を閉成してロビーインターホン1との間に通信路を確立するとともに、FM復調部25aやモニタ22を起動してロビーインターホン1のカメラにおいて撮像された来訪者の映像を住戸機2のモニタ22に表示させ、さらに音声回路24cを通じてスピーカ21bから呼出音を送出させるように構成されている。なお、制御信号はロビーインターホン1から住戸機2の呼出に用いるだけではなく、管理室インターホン4からの一斉放送の開始を指示する目的にも用いられる。この種の制御信号にはベースバンド信号を用いることもあり、ベースバンド信号は周波数帯域が広く、音声信号や映像信号との分離が困難であるから、このことからも音声信号および映像信号と制御信号とを各別に伝送することが伝送品質の点から必要になる。
幹線機器たる経路切替器10は、1系統の幹線L1(信号線Ld及び制御線Lc)を2系統の幹線L1に分岐し、分岐した2系統の各幹線L1における信号線Ldに切替型の幹線リレー接点11A,11Bをそれぞれ挿入して構成されている。但し、以下では説明を簡単にするために、幹線制御装置3と経路切替器10の間を接続する幹線L1を幹線L10、経路切替器10を介して分岐された2系統の幹線L1をそれぞれ幹線L11及び幹線L12と表記し、一方の幹線L11に分岐器7を介して分岐接続された複数台の住戸機2を住戸機211,212,…、他方の幹線L12に分岐器7を介して分岐接続された複数台の住戸機2を住戸機221,222,…、各住戸機211,212,…、221,…と住戸別線L2で接続される分岐器7をそれぞれ分岐器711,712,…、721,…と表記する。
幹線リレー接点11A,11Bは、各幹線L11,L12の幹線L10側に設けられた共通接点11aと、共通接点11aに対して常閉である常閉側切替接点11bと、共通接点11aに対して常開であって各幹線L11,L12の住戸機2側に設けられた常開側切替接点11cとからなり、一方の常閉側切替接点11bと他方の常開側切替接点11c同士が直流電圧を阻止する直流電圧阻止用のコンデンサ13A,13Bを介してそれぞれ接続されて構成されている。そして、これら2つの幹線リレー接点11A,11Bは、幹線リレー駆動部12A,12Bにより幹線リレー(図示せず)を駆動することで共通接点11aが常閉側切替接点11bから常開側切替接点11cに切替接続されるものであって、幹線リレー駆動部12A,12Bが幹線リレーを駆動していない状態では、ロビーインターホン1側の幹線L10と一方の系統の幹線L11とが幹線リレー接点11B及びコンデンサ13Bを介して接続されるとともにロビーインターホン1側の幹線L10と他方の系統の幹線L12とが幹線リレー接点11A及びコンデンサ13Aを介して接続された状態にあり、幹線リレー駆動部12Aが制御対象である幹線リレーを駆動している状態では、幹線リレー接点11Aの共通接点11aと常開側切替接点11cが接続されることにより、ロビーインターホン1側の幹線L10と一方の系統の幹線L11とが接続されて周波数多重された音声信号および映像信号が通過するとともに、幹線リレー接点11Bについては共通接点11aと常閉側切替接点11bは接続されたままであることにより、ロビーインターホン1側の幹線L10および一方の系統の幹線L11と、他方の系統の幹線L12は切り離された状態になる。また、幹線リレー駆動部12Bが制御対象である幹線リレーを駆動している状態では、幹線リレー接点11Bの共通接点11aと常開側切替接点11cが接続されることにより、ロビーインターホン1側の幹線L10と他方の系統の幹線L12とが接続されて周波数多重された音声信号および映像信号が通過するとともに、幹線リレー接点11Aについては共通接点11aと常閉側切替接点11bは接続されたままであることにより、ロビーインターホン1側の幹線L10および他方の系統の幹線L12と、一方の系統の幹線L11は切り離された状態になる。この幹線リレー駆動部12A,12Bは、音声信号並びに映像信号の通過を阻止する一対のインダクタ12aと、交流入力端がそれぞれインダクタ12aを介して信号線Ldに接続されたダイオードブリッジ12bと、ダイオードブリッジ12bの脈流出力端から取り出した直流電圧を定電圧化して幹線リレーの励磁コイルに励磁電流を流す駆動回路12cとで構成されている。
次に、本発明の要旨である住戸機2の電源回路27並びに幹線電源供給部200の構成を説明する。
電源回路27は、図2に示すように商用交流電源の入力側に設けられたコモンモードチョークコイルLxと、互いに静電容量が等しく且つ商用交流電源の各ラインと回路グランドGとの間に挿入された一対のラインバイパスコンデンサC1,C2と、商用交流電源を全波整流するダイオードブリッジDBと、1次側がダイオードブリッジDBの脈流出力端と接続されるトランスTと、トランスTの2次側出力を整流平滑するダイオードD並びに平滑コンデンサC0と、トランスTの1次側に流れる電流を断続する半導体スイッチング素子(図示せず)を具備し、平滑コンデンサC0の両端に所望の直流電圧が得られるように半導体スイッチング素子のスイッチング周波数若しくはオンデューティ比を調整する帰還回路27aとで構成される。なお、このような回路構成は従来周知であるから詳細な動作についての説明は省略する。
一方、幹線電源供給部200は、信号線Ldの一方に一端が接続されたインダクタLAと、インダクタLAの他端と電源回路27の正極との間に挿入されたスイッチSW1と、信号線Ldの他方に一端が接続されるとともに他端が回路グランドGに接地されたインダクタLBとを有し、CPU20によってスイッチSW1がオンされたときに2つのインダクタLA,LBを介して信号線Ld(住戸別線L2)に直流電圧を印加するように構成されている。ここで、2つのインダクタLA,LBのインダクタンスZ1,Z2は互いに等しく(Z1=Z2)且つ住戸別線L2から直流阻止用のコンデンサ202側を見たときのインピーダンスZ、つまり音声信号に対する整合インピーダンスよりも高く(Z≪Z1=Z2)設定されている。
而して、互いに静電容量が等しく且つ商用交流電源の各ラインと回路グランドGとの間に挿入された一対のラインバイパスコンデンサC1,C2を電源回路27に具備するとともに、幹線電源供給部200が、互いにインピーダンスZ1,Z2が等しく且つ音声信号に対する整合インピーダンスZよりも高いインピーダンスZ1,Z2を介して住戸別線L2の各線に直流電圧を印加することにより、伝送線路(信号線Ld)の平衡度を崩すことなしに幹線電源供給部200から直流電圧を印加することができる。そのため、各線に流れる電流(コモンモードノイズ)の差を低減することができ、その結果、伝送線路(信号線Ld)にハムが誘導されるのを防ぐことができる。
最後に図1を参照して本実施形態の動作を説明する。まず、ロビーインターホン1と、ロビーインターホン1で選択された1台の住戸機2(例えば、住戸機211)との間で1対1で通話(以下、個別通話と呼ぶ。)する場合について説明する。ロビーインターホン1で選択された住戸機211に対して通話制御装置5から制御線Lcを介して制御信号(呼出コマンド)が伝送され、この制御信号に含まれるアドレスが一致した住戸機211では、CPU20が呼出コマンドに応じて住戸機リレーのリレー接点29を閉成するとともにFM復調部25aやモニタ22を起動してロビーインターホン1のカメラにおいて撮像された来訪者の映像を住戸機2のモニタ22に表示させ、さらに音声回路24cを通じてスピーカ21bから呼出音を送出させる。そして、ロビーインターホン1からの呼出に応答して居住者が住戸機211の応答釦(図示せず)を押操作すると、住戸機211のCPU20が音声回路24cを動作させて通話可能な状態にするとともにスイッチSW1をオンして幹線電源供給部200により幹線L11における信号線Ldの線間に直流電圧を印加する。経路切替器10の幹線リレー駆動部12Aでは、幹線L11における信号線Ldの線間に直流電圧が印加されると駆動回路12cが動作して幹線リレーの励磁コイルに励磁電流を流すことにより幹線リレーを駆動し、幹線L11に挿入されている幹線リレー接点11Aにおいて共通接点11aを常閉側切替接点11bから常開側切替接点11cに切替接続する。一方、ロビーインターホン1に選択されなかった住戸機212,…、221,…では、CPU20が住戸機リレーのリレー接点29を閉成せず、また幹線電源供給部200によって信号線Ldの線間に直流電圧を印加しないから、ロビーインターホン1に選択されなかった住戸機221,…のみが分岐接続されている幹線L12に挿入されている幹線リレー接点11Bにおいては共通接点11aが常閉側切替接点11bに接続された状態のままとなる。このとき、経路切替器10では幹線リレー接点11Aの常開側切替接点11cと幹線リレー接点11Bの常閉側切替接点11bとの間に挿入されたコンデンサ13Aにより、住戸機211の幹線電源供給部200によって信号線Ldの線間に印加された直流電圧を阻止しているため、幹線リレー接点11Bを介して他方の幹線リレー駆動部12Bに直流電圧が印加されることがなく、幹線L12における信号線Ldに挿入された幹線リレー接点11Bが誤って切り替えられることを防いでいる。
上述した動作により、経路切替器10においては2系統の幹線L11,L12のうちでロビーインターホン1に選択された住戸機211が分岐接続された幹線L11のみがロビーインターホン1側の幹線L10と接続され、他方の幹線L12がロビーインターホン1側の幹線L10と切り離されるから、ロビーインターホン1と選択された住戸機211との間でのみ通話が可能になるとともに、選択された住戸機211でのみロビーインターホン1のカメラで撮像された来訪者をモニタ22に表示することが可能になる。
次に集合住宅の管理室に設置された管理室インターホン4から全ての住戸の住戸機2に対して避難誘導等のための音声を一斉に放送する場合について説明する。一斉放送を開始するに当たって全ての住戸機2に対して通話制御装置5から制御線Lcを介して制御信号(一斉放送開始コマンド)が伝送され、この一斉放送開始コマンドに応じて全ての住戸機2のCPU20が住戸機リレーのリレー接点29を閉成する。但し、何れの住戸機2においてもCPU20は幹線電源重畳回路200による信号線Ldの線間への直流電圧印加を行わない。したがって、経路切替器10の幹線リレー駆動部12A,12Bでは、幹線L11,L12における信号線Ldの線間に直流電圧が印加されないことから、2つの幹線リレー駆動部12A,12Bにおける駆動回路12cが双方とも動作せず、各幹線L11,L12における信号線Ldに挿入された幹線リレー接点11A,11Bは双方とも共通接点11aが常閉側切替接点11bに接続された状態に維持される。
そして、全ての住戸機2に対して通話制御装置5から制御線Lcを介して制御信号(一斉放送終了コマンド)が伝送され、この一斉放送終了コマンドに応じて全ての住戸機2のCPU20が住戸機リレーのリレー接点29を開成することによって、一斉放送を終了する。
上述した動作により、経路切替器10においては2系統の幹線L11,L12が双方ともロビーインターホン1側の幹線L10と接続されるから、一斉放送機器から通話制御装置5を介して通話線Laに送出される一斉放送用の音声信号が各幹線L11,L12にそれぞれ分岐接続されている全ての住戸機2に伝送されてスピーカ21bから出力される。このとき、経路切替器10では幹線リレー接点11A,11Bにおける共通接点11aが常閉側切替接点11bに接続されて各幹線L11,L12が幹線L10と接続された状態にあるため、何れの住戸機2からも信号線Ldの線間に直流電圧を印加する必要がないから、一斉放送時に信号線Ldの線間に印加される直流電圧の衝突も生じない。但し、一斉放送の対象をシステムに含まれる全ての住戸機2として説明したが、必ずしも全ての住戸機2を一斉放送の対象とする必要はなく、例えば、一斉放送の内容に応じて対象とする住戸機2を限定しても構わない。また、本実施形態では幹線機器として経路切替器10を用いたが、幹線L11,L12から住戸別線L2を分岐している分岐器711,…を幹線機器とし、住戸機2から信号線Ldに印加される直流電圧によって住戸別線L2を幹線L11,L12に接続する状態と接続しない状態に切り替えるようにしても構わない。
(実施形態2)
本実施形態は、幹線電源供給部200の構成に特徴があり、その他の構成並びに動作については実施形態1と共通である。よって、実施形態1と共通の構成要素には同一の符号を付して図示並びに説明を省略する。
本実施形態においては、電源回路27から出力される直流電圧より、互いに絶対値が等しく且つ極性が異なるプラス電圧とマイナス電圧を得ており、これらプラス電圧並びにマイナス電圧がそれぞれ幹線電源供給部200に供給される。
幹線電源供給部200は、図4に示すように音声信号に対する整合インピーダンスZよりも高い出力インピーダンスZ3を有し信号線Ldの一方の線にプラス電圧を印加する給電回路200aと、給電回路200aへのプラス電圧の印加を入切するスイッチSW2と、音声信号に対する整合インピーダンスZよりも高く且つ給電回路200aの出力インピーダンスZ3と等しい入力インピーダンスZ4を有し信号線Ldの他方の線にマイナス電圧を印加する受電回路200bと、受電回路200bへのマイナス電圧の印加を入切するスイッチSW3とを有し、2つのスイッチSW2,SW3がCPU20によってオンされたときに給電回路200a並びに受電回路200bを介して信号線Ld(住戸別線L2)に直流電圧を印加するように構成されている。
給電回路200aは、PNP型のバイポーラトランジスタQ1のコレクタが一方の信号線Ldに接続され、トランジスタQ1のベースが抵抗R2を介して回路グランドGに接地されるとともに、スイッチSW2に接続されたトランジスタQ1のエミッタとベースの間に抵抗R1が挿入されて構成されている。また、受電回路200bは、NPN型のバイポーラトランジスタQ2のコレクタが他方の信号線Ldに接続され、トランジスタQ2のベースが抵抗R4を介して回路グランドGに接地されるとともに、スイッチSW3に接続されたトランジスタQ2のエミッタとベースの間に抵抗R3が挿入されて構成されている。ここで、2つのトランジスタQ1,Q2には特性がほぼ同一の素子を用いるとともに抵抗R1〜R4の抵抗値を調整することにより、信号線Ldから見たインピーダンス、つまり、給電回路200aの出力インピーダンスZ3と受電回路200bの入力インピーダンスZ4とが互いに等しく且つ音声信号に対する整合インピーダンスZよりも高く設定されている(Z≪Z3=Z4)。
而して、本実施形態においても実施形態1と同様に、伝送線路(信号線Ld)の平衡度を崩すことなしに幹線電源供給部200から直流電圧を印加することができる。そのため、各線に流れる電流(コモンモードノイズ)の差を低減して伝送線路(信号線Ld)にハムが誘導されるのを防ぐことができる。しかも、実施形態1のようにインダクタLA,LBを用いる場合に比較して幹線電源供給部200の実装面積や体積を小さくして小型化が図れるという利点がある。
(実施形態3)
本実施形態は、幹線電源供給部200の構成に特徴があり、その他の構成並びに動作については実施形態1と共通である。よって、実施形態1と共通の構成要素には同一の符号を付して図示並びに説明を省略する。
本実施形態においては、図5に示すように平衡トランス203が信号線Ldと接続される2次側が互いにインダクタンスの等しい一対の巻線203a,203bと、各巻線203a,203bの一端間に挿入されるコンデンサ203cとで構成されている。そして、幹線電源供給部200は、平衡トランス203の2次側の巻線203a,203bと、一方の巻線203aの一端と電源回路27の正極との間に挿入されたスイッチSW4とを有し、CPU20によってスイッチSW4がオンされたときに平衡トランス203の巻線203a,203bを介して信号線Ld(住戸別線L2)に直流電圧を印加するように構成されている。つまり、平衡トランス203の2次側の巻線203a,203bが実施形態1におけるインダクタLA,LBと同じ機能を持つことになるから、伝送線路(信号線Ld)の平衡度を崩すことなしに幹線電源供給部200から直流電圧を印加することができる。そのため、各線に流れる電流(コモンモードノイズ)の差を低減することができて伝送線路(信号線Ld)にハムが誘導されるのを防ぐことができる。しかも、本実施形態では平衡トランス203の2次側の巻線203a,203bを幹線電源供給部200に兼用しているから、実施形態1,2に比べて幹線電源供給部200の小型化並びにコストダウンが図れるという利点がある。
本発明の実施形態1を示すシステム構成図である。 同上における電源回路の概略回路構成図である。 同上における幹線電源供給部の概略回路構成図である。 実施形態2における幹線電源供給部の概略回路構成図である。 実施形態3における幹線電源供給部の概略回路構成図である。
符号の説明
1 ロビーインターホン(共用部装置)
11,212,221 住戸機
10 経路切替器(幹線機器)
27 電源回路
200 幹線電源供給部

Claims (3)

  1. 集合住宅の共用玄関に設置され音声の入出力が可能な共用部装置と、集合住宅の各住戸にそれぞれ設置され共用部装置とは伝送線路を介して接続されるとともに共用部装置が有する選択手段を来訪者が操作することにより選択されると共用部装置との間で通信路を確立する複数台の住戸機とを備え、
    伝送線路は、共用部装置に接続された幹線と各住戸機に接続された住戸別線とを含むとともに幹線若しくは幹線と各住戸別線との接続部位に介装された1乃至複数台の幹線機器を有し、幹線および住戸別線は、少なくとも選択手段の操作に伴って発生し通話の開始を指示する制御信号を伝送する制御線と、音声信号を伝送する信号線とからなり、
    住戸機は、共用部装置との間で信号線を介した通話を行う通話手段と、通話手段と住戸別線との間に挿入されて平衡−不平衡変換を行う平衡トランスと、スイッチング電源回路により商用交流電源から所望の直流電源を作成する電源手段と、電源手段で作成される直流電源により住戸別線の信号線の線間に直流電圧を印加する幹線電源供給手段と、制御線を介して伝送される制御信号を受信したときに幹線電源供給手段に直流電圧を印加させる制御手段とを備え、
    幹線機器は、信号線について共用部装置側の幹線を共用部装置により選択された住戸機に繋がる送り側の幹線若しくは住戸別線に接続する状態と接続しない状態とが択一的に切替可能な接点部と、共用部装置により選択された住戸機に対応する住戸別線若しくは幹線の線間に直流電圧が印加されると接点部を前記接続する状態に切り替える接点切替部とを備え、
    電源手段は、互いに静電容量が等しく且つ商用交流電源の各ラインと回路グランドとの間に挿入された一対のラインバイパスコンデンサを具備し、
    幹線電源供給手段は、互いにインピーダンスが等しく且つ音声信号に対する整合インピーダンスよりも高いインピーダンスを介して住戸別線の各線に直流電圧を印加することを特徴とする集合住宅用インターホンシステム。
  2. 電源手段は、互いに絶対値が等しく且つ極性が異なるプラス電圧とマイナス電圧を供給してなり、
    幹線電源供給手段は、音声信号に対する整合インピーダンスよりも高い出力インピーダンスを有し住戸別線の一方の線にプラス電圧を印加する給電回路と、音声信号に対する整合インピーダンスよりも高く且つ給電回路の出力インピーダンスと等しい入力インピーダンスを有し住戸別線の他方の線にマイナス電圧を印加する受電回路とを有し、給電回路並びに受電回路は、ベース接地されたトランジスタで構成されることを特徴とする請求項1記載の集合住宅用インターホンシステム。
  3. 集合住宅の共用玄関に設置され音声の入出力が可能な共用部装置と、集合住宅の各住戸にそれぞれ設置され共用部装置とは伝送線路を介して接続されるとともに共用部装置が有する選択手段を来訪者が操作することにより選択されると共用部装置との間で通信路を確立する複数台の住戸機とを備え、
    伝送線路は、共用部装置に接続された幹線と各住戸機に接続された住戸別線とを含むとともに幹線若しくは幹線と各住戸別線との接続部位に介装された1乃至複数台の幹線機器を有し、幹線および住戸別線は、少なくとも選択手段の操作に伴って発生し通話の開始を指示する制御信号を伝送する制御線と、音声信号を伝送する信号線とからなり、
    住戸機は、共用部装置との間で信号線を介した通話を行う通話手段と、通話手段と住戸別線との間に挿入されて平衡−不平衡変換を行う平衡トランスと、スイッチング電源回路により商用交流電源から所望の直流電源を作成する電源手段と、電源手段で作成される直流電源により住戸別線の信号線の線間に直流電圧を印加する幹線電源供給手段と、制御線を介して伝送される制御信号を受信したときに幹線電源供給手段に直流電圧を印加させる制御手段とを備え、
    幹線機器は、信号線について共用部装置側の幹線を共用部装置により選択された住戸機に繋がる送り側の幹線若しくは住戸別線に接続する状態と接続しない状態とが択一的に切替可能な接点部と、共用部装置により選択された住戸機に対応する住戸別線若しくは幹線の線間に直流電圧が印加されると接点部を前記接続する状態に切り替える接点切替部とを備え、
    電源手段は、互いに静電容量が等しく且つ商用交流電源の各ラインと回路グランドとの間に挿入された一対のラインバイパスコンデンサを具備し、
    平衡トランスは、住戸別線と接続される2次側が互いにインダクタンスの等しい一対の巻線と、各巻線の一端間に挿入されるコンデンサとで構成され、
    幹線電源供給手段は、平衡トランスの2次側を構成する一対の巻線を介して直流電圧を印加することを特徴とする集合住宅用インターホンシステム。
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