JP2007147364A - 絶縁劣化判定システム及び絶縁劣化判定方法 - Google Patents

絶縁劣化判定システム及び絶縁劣化判定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高電圧装置を取り外すことなく車両状態で劣化個所を特定する方法を提供することにより、劣化個所の特定精度を向上して検査に掛かる手間の低減をはかる。
【解決手段】電気モータ1と電気モータ1へ電力を供給する燃料電池2と電気モータ1及び燃料電池2との間で電力の充放電を行う2次電池3と電気モータ1、燃料電池2及び2次電池3の間を電気的に接続する高電圧経路4とを少なくとも有する高電圧部の絶縁劣化判定システムであって、高電圧部と接地電位間の抵抗値を測定し、この抵抗値から高電圧部の絶縁が劣化しているか否かを判断し、高電圧部の絶縁が劣化していると判断された場合に燃料電池2と高電圧経路4との接続を遮断し、この接続を遮断する前と後での抵抗値の違いから、遮断された燃料電池2と接地電位間の抵抗値を算出し、この抵抗値から燃料電池2の絶縁が劣化しているかを判断する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の高電圧装置を備える高電圧部の絶縁が劣化しているか否かを判定するシステム及びその方法に関する。
燃料電池を用いた電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)等の高電圧車両における高電圧部の地絡を検出する地絡検知装置及び地絡時の絶縁抵抗値を計測する絶縁抵抗計測装置が知られている。しかし、これまでの装置では、地絡の検出感度及び絶縁抵抗計測の精度が低く、ノイズに大きかった。
これらを技術的課題とした絶縁抵抗計測装置の発明が特許文献1に開示されている。この絶縁抵抗計測装置は、高電圧部に対してコンデンサを挟んで接続されている。よって、回路構成として絶縁性は保たれる構造になっており、これにより高電圧部に接続されている機器すべてを含んだ高電圧部全体の絶縁抵抗を計測することができる。
特開2004−138434
ところで、燃料電池による発電エネルギを用いて走行する自動車(燃料電池車)は、その動力源が燃料電池のみで作動する。よって、燃料電池車に搭載される総ての装置は電動化されており、作動電圧が高電圧である装置も多い。つまり、燃料電池車は高電圧部を構成する複数の装置を備えているのが一般的である。
しかし、特許文献1の絶縁抵抗計測装置は、高電圧部全体の地絡を検出し、その絶縁抵抗を測定できるが、高電圧部に接続されている機器を個別に検知対象及び測定対象にできない。したがって、上記の燃料電池車において、高電圧部全体の絶縁劣化を検知したとしても劣化個所を特定することはできない。絶縁劣化が発生した装置を特定するためには、装置の取り外しや個別部品ごとの検査などにかかる多くの手間と高電圧を扱うための適切な指示が必要である。
そこで、本発明では、装置を取り外すことなく車両状態で劣化個所を特定する方法を提供することにより、劣化個所の特定精度を向上して検査に掛かる手間の低減をはかることを目的とする。
また、劣化個所の特定精度が向上することにより、車両走行中の適切な対処方法を提示できることにもつなげることができる。
本発明の特徴は、電気モータと、この電気モータへ電力を供給する燃料電池と、電気モータ及び燃料電池との間で電力の充放電を行う2次電池と、電気モータ、燃料電池、及び2次電池の間を電気的に接続する高電圧経路とを少なくとも有する高電圧部の絶縁が劣化しているかどうかを判定するシステム及び方法であって、抵抗測定部が高電圧部と接地電位間の抵抗値を測定し、絶縁劣化判定部がこの抵抗値から高電圧部の絶縁が劣化しているか否かを判断し、高電圧部の絶縁が劣化していると判断された場合に、燃料電池遮断部が燃料電池と高電圧経路との接続を遮断し、個別抵抗算出部がこの接続を遮断する前と後での抵抗値の違いから、遮断された燃料電池と接地電位間の抵抗値を算出し、個別抵抗算出部が算出した前記抵抗値から、劣化部位判断部が燃料電池の絶縁が劣化しているかを判断することである。
本発明によれば、複数の高電圧装置を備えた高電圧部の絶縁抵抗劣化診断を実施するにあたり、高電圧部の絶縁抵抗劣化を発生させている高電圧装置の特定精度を向上することができる。
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の記載において同一あるいは類似の部分には同一あるいは類似な符号を付している。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係わる絶縁劣化判定システムを説明する。ここでは、絶縁劣化判定システムが、燃料ガスと酸化剤ガスとの化学反応により発電を行う燃料電池システムに対して適用された場合について説明する。更に、燃料電池システムが車両に搭載され、車両の駆動源として持ちられている場合について説明する。
絶縁劣化判定システムは、高電圧が印加される高電圧部と、高電圧部と接地電位間の抵抗値を測定する絶縁抵抗検知センサ5(抵抗測定部)と、絶縁抵抗検知センサ5が測定した抵抗値から高電圧部が絶縁劣化しているかの判断及び高電圧部のどの部位が劣化しているかの特定を行うコントローラ6とを備える。
高電圧部は、電気モータ1と、電気モータへ電力を供給する燃料電池2と、電気モータ1及び燃料電池2との間で電力の充放電を行う2次電池3と、電気モータ1、燃料電池2、及び2次電池3の間を電気的に接続する高電圧経路4と、高電圧部の絶縁が劣化していると判断された場合に、燃料電池2と高電圧経路4との接続を遮断する燃料電池側リレー8(燃料電池遮断部)と、2次電池3と高電圧経路4との間に接続されたコンバータ12と、高電圧経路4の電圧を計測する電圧センサ13と、燃料電池2の電流が流れる方向を限定するダイオード14と、2次電池3とコンバータ12との間に接続された2次電池側リレー19(バッテリ遮断部)と、燃料電池2に空気を供給するコンプレッサ20と、高電圧経路4とコンプレッサ20との間に接続されたコンプレッサ側リレー21(コンプレッサ遮断部)と、高電圧経路4に接続された低電圧補機22及び低電圧バッテリ23と、高電圧経路4と低電圧補機22及び低電圧バッテリ23の間に接続されたDCDCコンバータ24と、高電圧経路4とDCDCコンバータ24との間に接続された低電圧側リレー25(低電圧遮断部)と、高電圧経路4に接続されたエアコン26(エアコン装置)と、高電圧経路とエアコン26との間に接続されたエアコン側リレー27(エアコン遮断部)とを備える。
電気モータ1は、車両を駆動するための駆動モータとして用いられている。また、絶縁抵抗検知センサ5は、高電圧経路4に接地されている。
図2に示すように、コントローラは、絶縁抵抗検知センサ5が測定した抵抗値から高電圧部の絶縁が劣化しているか否かを判断する絶縁劣化判定部7と、高電圧部の絶縁が劣化していると判断された場合に、リレー8、19、21、25、27を動作させて高電圧経路4との接続を遮断する接続遮断判定部9と、接続を遮断する前と後での抵抗値の違いから、遮断された燃料電池2と接地電位間の抵抗値を算出する個別抵抗算出部10と、個別抵抗算出部10が算出した抵抗値から、燃料電池2の絶縁が劣化しているかを判断する絶縁劣化記憶部11(劣化部位判断部)と、燃料電池2と高電圧経路4の接続を復帰させる接続復帰部15と、絶縁劣化記憶部11が燃料電池2の絶縁が劣化していると判断した場合、2次電池3に蓄えておく電荷量を通常値から変更する診断SOC変更部16と、個別抵抗算出部10が抵抗値を算出している途中に車両の走行が開始された時、電気モータ1に要求される出力に対して電気モータ1へ供給する走行出力を制限し、接続復帰部15が接続を復帰させた後に走行出力の制限を解除する診断中制限部17と、燃料電池2、2次電池3、コンプレッサ20、低電圧バッテリ23、エアコン26のうち何れかを絶縁抵抗検出対象のユニットとして選択する検知対象選択部18とを備える。
図3のメインフローチャート及び図5乃至図14のフローチャートを参照して、図2のコントローラによる燃料電池システムの絶縁劣化判定方法を説明する。
(イ)先ずS1段階において、絶縁劣化判定部7が、絶縁抵抗検知センサ5が測定した抵抗値から高電圧部の絶縁が劣化しているか否かを判断する。具体的には、絶縁劣化判定部7は、電気モータ1と燃料電池2と2次電池3とが高電圧経路4に接続された状態で絶縁抵抗を検出し、絶縁抵抗劣化であるか否かを判断する。
(ロ)次にS2段階において、検知対象選択部18が、燃料電池2、2次電池3、コンプレッサ20、低電圧バッテリ23、エアコン26のうち何れかを絶縁抵抗検出対象のユニットとして選択する。
(ハ)次にS3段階において、絶縁劣化記憶部11が燃料電池2の絶縁が劣化していると判断した場合、診断SOC変更部16が2次電池3に蓄えておく電荷量を通常値から変更する。つまり、診断SOC変更部16は、絶縁劣化判定部7で絶縁抵抗劣化と判断した後に、2次電池に蓄えておくSOCを通常SOCから絶縁診断SOCに変更する。
(ニ)次にS4段階において、接続遮断判定部9が、リレー8、19、21、25、27を動作させて高電圧経路4との接続を遮断する。
(ホ)次にS5段階において、個別抵抗算出部10が抵抗値を算出している途中に車両の走行が開始された時、診断中制限部17が、電気モータ1に要求される出力に対して電気モータ1へ供給する走行出力を制限し、接続復帰部15が接続を復帰させた後に走行出力の制限を解除する。
(ヘ)次にS6段階において、個別抵抗算出部10が、接続を遮断している間に絶縁抵抗検知センサ5を用いて高電圧経路4の絶縁抵抗を読み取り、燃料電池2の絶縁抵抗を算出する。具体的には、接続を遮断する前と後での抵抗値の違いから、合成抵抗の式に基づいて遮断された燃料電池2と接地電位間の抵抗値を算出する。
(ト)次にS7段階において、絶縁劣化記憶部11は、燃料電池2と接地電位間の抵抗値が所定値以下の場合には、絶縁劣化部位としてメモリに記憶する。つまり、絶縁劣化記憶部11は、燃料電池2の絶縁抵抗が基本状態に対して低下しているか否か判断し、絶縁劣化部位としてメモリに記憶させる。
(チ)次にS8段階において、接続復帰部15は、コンバータ12の高電圧経路4側の出力電圧目標値を燃料電池2の開放端電圧値と同値に設定し、電圧センサ13が計測した高電圧経路4の電圧と燃料電池2の開放端電圧の差が所定範囲内となった時、燃料電池2と高電圧経路4の接続を復帰させる。
次に、S1〜S8段階の各段階をそれぞれ詳細に説明する。先ず、図5を参照して、絶縁劣化判定部7によるS1段階の詳細な手順を説明する。
S1段階がスタートすると、S101段階にて燃料電池2の起動が完了しているかどうか確認する。起動している場合(S101にてYES)には、S102、S103段階にてエアコン26の冷媒圧力を上昇させる。これにより、エアコン26の冷媒状態を基準の状態にして検知することができる。
次にS104段階に進み、絶縁抵抗センサを用いて高電圧部の絶縁抵抗値を測定する。S105段階に進み、この絶縁抵抗値が運転者に知らせる必要な値にまで低下しているか否かを判断する。この絶縁抵抗値が運転者に知らせる必要な値にまで低下している場合(S105にてYES)には、S106段階に進み、コーションランプを点灯すると共に、S108段階で高電圧部との接続を解除して個別に絶縁抵抗を調査する機能の要求するフラグ(接続分離診断要求フラグ:FBUNRI)を1に設定して終了する。絶縁抵抗値が運転者に知らせる必要な値にまで低下していない場合(S105にてNO)には、S107段階に進み、接続分離診断要求フラグ(FBUNRI)を0に設定して終了する。
S101〜S108段階を経て、絶縁劣化判定部7は、電気モータ1と燃料電池2と2次電池3とが高電圧経路4に接続された状態で絶縁抵抗を検出し、絶縁抵抗劣化であるか否かを判断する。その後、メインルーチンに戻り、S1段階の演算を終了したらS2段階を実施する。
次に、図6を参照して、検知対象選択部18によるS2段階の詳細な手順を説明する。
先ず、S2段階がスタートすると、S201段階において、接続分離診断要求フラグFBUNRIが1であるか否かを確認し、1である場合にはS202段階に進む。S202段階では前回のFBUNRIが0であるか否かを判断する。前回のFBUNRIが0である場合(S202にてYES)には、今回が接続分離診断要求のスタートであると判断し、S204段階に進み、個別診断中番号NOSINDを1に設定して終了する。
なお、所定の対応表に基づき診断順序を規定する。例えば、検知対象選択部18は、車両への組み付け初期時において個別の絶縁抵抗が低いものから順番に選択する。
一方、S201段階で接続分離診断要求フラグFBUNRIが0である場合には、接続分離要求がないと判断してS205段階に進み、個別診断中番号NOSINDを0に設定して終了する。
前回のFBUNRIが0でない場合(S202にてNO)、つまり診断分離要求フラグが継続して出ている場合には、S203段階に進む。S203段階では個別分離診断の一つが終了したことを知らせる個別分離診断フラグが1であれば終了したと判断して、個別診断中番号NOSINDをカウントアップして次の診断部位に進ませる(S206)。
S207段階では、後述するS808段階で演算された個別診断終了フラグFSINEND=1を、今回次の部位の診断に移行するためにFSINEND=0とする。次にS208段階に進み、個別診断中番号NOSINDをカウントアップした結果が予定の診断対象数を超えているか否かを判断する。予定の診断対象数を超えている場合には、S209段階に進みFBUNRIを0に設定して、接続分離診断を終了する。予定の診断対象数を超えていない場合には、そのままS2のサブルーチンを終了する。その後、メインルーチンに戻り、S2段階の演算を終了したらS3段階を実施する。
なお、個別診断中番号NOSINDの番号は、以下に示す高電圧部の構成部位を示す。
NOSIND
接続分離要求なし 0
燃料電池 1
コンプレッサ 2
エアコン 3
コンバータ 4
2次電池 5
次に、図7を参照して、診断SOC変更部16によるS3段階の詳細な手順を説明する。S3段階において、診断SOC変更部16は、燃料電池2の接続を切り離す場合には、あらかじめ2次電池3の荷電状態(SOC)を高めておき、診断中の消費電力によるSOC低下を防止する。
まずS3段階がスタートすると、S301段階において、車両の動力源である燃料電池2の運転を停止するものかどうかを判断する。ここでは、燃料電池2に対して接続分離要求が出されている場合、つまり個別診断中番号NOSINDが1である場合と、コンプレッサ20に対して接続分離要求が出されている場合、つまり個別診断中番号NOSINDが2である場合に、あらかじめ2次電池3のSOCを高めておく。
S301で個別診断中番号NOSINDが1もしくは2である場合(S301にてYES)、S302段階に進み、前回値と今回のNOSINDを比較し値が今回の方が大きければ(S302にてYES)、今回が接続分離診断の開始であると判断してS303段階に進む。S303段階ではSOCの充電が完了したことを示すSOC準備完了フラグFSOCOKを、SOCが診断SOC目標に達していないため、0に設定する。
一方、S302段階で個別診断中番号NOSINDの値が継続して同じ値ならば(S302にてNO)、診断が継続中であるとして、S304段階に進む。ここではSOC準備完了フラグFSOCOKが0か1かを判断する。つまり、SOCが目標に達しているか否かを判断する。なお、この演算に使用するフラグFSOCOKは前回の値になる。SOCが目標に達している場合(S304にてNO)、そのまま終了に進む。
SOCが目標に達していない場合(S304にてYES)、S305段階に進みここではじめて目標SOCを診断SOCにする。S306段階で、2次電池3の充電状態が目標SOCに到達しているか否かを判別する。目標SOCに到達している場合(S306にてYES)、S307段階にてSOC準備完了フラグFSOCOKを1に設定する。目標SOCに到達していない場合(S306にてNO)、S308段階にてSOC準備完了フラグFSOCOKを0に設定する。
S301で個別診断中番号NOSINDが1或いは2でない場合(S301にてNO)、S309段階に進み、目標SOCを通常の値に設定する。その後、S310段階に進み、SOC準備完了フラグFSOCOKを1に設定して終了する。
S301〜S311段階を経て、診断SOC変更部16は、絶縁劣化判定部7で絶縁抵抗劣化と判断した後に、2次電池3に蓄えておくSOCを通常SOCから絶縁診断SOCに変更する。以上により、S3の演算を終了し、メインルーチンに戻る。S3段階の演算を終了したのでS4段階を実施する。
次に、図8を参照して、接続遮断判定部9によるS4段階の詳細な手順を説明する。
先ず、S401段階において、事前に演算したSOC準備完了フラグFSOCOKが1であるか否かを確認する。まだ準備完了でない場合つまりFSOCOKが0である場合には、S4段階の演算を終了する。FSOCOKが1である場合には、次にS402段階に進む。S402段階では、接続遮断中であることを示す接続遮断中フラグRLYOFFにより、接続遮断中であるか否かを確認する。接続遮断中フラグRLYOFFが1である場合(S402にてYES)には、接続を遮断のための判断は終了しているため、S4段階の演算を終了する。一方、接続遮断中フラグRLYOFFが0である、つまり接続遮断中でない場合(S402にてNO)には、S403段階に進み、目的である接続を遮断してよいかの条件判断のルーチンに入る。
S403〜S407段階は、上記した個別診断中番号NOSINDに対応する各装置の接続を解除するために必要な条件に振り分けるための分岐ブロックである。条件の判定はS408〜S412段階に対応する。これら条件に合致したと判断されるとS413段階に進み、接続遮断を実施する。その後S415段階で接続遮断中フラグRLYOFFを1とする。
具体的には、検知対象選択部18がS2段階の演算において「燃料電池2」を絶縁抵抗検出対象のユニットとして選択した場合、つまり個別診断中番号NOSIND=1である場合(S403にてYES)、S408段階に進み、個別診断中番号NOSIND=0、2〜5である場合(S403にてNO)、S404に進む。車両がアイドルストップ状態であり且つ前記燃料電池の出力電圧が所定電圧以下であるか否かを判断する。前記条件が満たされている場合(S408にてYES)、S413に進み、リレー8により高電圧経路4と燃料電池2の接続を遮断する。
なお、S408段階では、上記の判断条件には限定されず、他の条件を適用しても構わない。例えば、燃料電池2を起動する前であり且つ高電圧部へ接続する前であること、燃料電池2を停止した後であり且つ高電圧部への接続を解除した後であることの何れかの条件を満たしている場合に、S413段階に進んでも構わない。
「コンプレッサ20」を絶縁抵抗検出対象のユニットとして選択した場合、つまり個別診断中番号NOSIND=2である場合(S404にてYES)、S409段階に進み、個別診断中番号NOSIND=0、3〜5である場合(S404にてNO)、S405に進む。S409段階において、燃料電池2がアイドルストップ中である時に限り(S409にてYES)、リレー21により高電圧経路4とコンプレッサ20間の接続を遮断する。
「エアコン26」を絶縁抵抗検出対象のユニットとして選択した場合、つまり個別診断中番号NOSIND=3である場合(S405にてYES)、S410段階に進み、個別診断中番号NOSIND=0、4〜5である場合(S405にてNO)、S406に進む。S410段階において、エアコン26の冷媒圧力が所定値以上であり、かつ、エアコン26への負荷が所定値以下である場合に限り(S410にてYES)、リレー27により高電圧経路4とエアコン26間の接続を遮断する。
「DCDCコンバータ24」を絶縁抵抗検出対象のユニットとして選択した場合、つまり個別診断中番号NOSIND=4である場合(S406にてYES)、S411段階に進み、個別診断中番号NOSIND=0、5である場合(S406にてNO)、S407に進む。S411段階において、低電圧補機22の消費電力が所定値以下であり、かつ燃料電池2を起動してから所定時間経過後である場合に限り(S411にてYES)、リレー25により高電圧経路4とDCDCコンバータ24間の接続を遮断する。
「2次電池3」を絶縁抵抗検出対象のユニットとして選択した場合、つまり個別診断中番号NOSIND=5である場合(S407にてYES)、S412段階に進み、個別診断中番号NOSIND=0である場合(S407にてNO)、S4段階の処理を終了する。S412段階において、車速が所定値以下であり、かつ2次電池3への入出力電力の絶対値が所定値以下である時に限り(S412にてYES)、リレー19により高電圧経路4と2次電池3間の接続を遮断する。
以上S401〜S414段階を経て、接続遮断判定部9は、リレー8、19、21、25、27を動作させて高電圧経路4との接続を遮断する。以上により、S4段階の演算を終了し、メインルーチンに戻る。S4段階の演算を終了したのでS5段階を実施する。
次に、図9を参照して、診断中制限部17によるS5段階の詳細な手順を説明する。
先ず、S901段階において、接続遮断中であることを示すフラグRLYOFFが1あれば、つまり接続中であれば、S502段階に進み、駆動電力制限値をLIMMOTに設定する。このLIMMOTは通常時に駆動モータとしての電気モータ1が消費する電力よりも小さい値で設定する。次にS503段階において、個別切断中制限部における処理に進む。S503段階の詳細な手順を図10を参照して後述する。S503段階では、各装置の診断中において、駆動モータの電力制限以外に、その他の処理を行う必要があるか否かを演算するものである。本実施例では、コンバータ12の出力電圧を燃料電池2の開放端電圧に設定する処理を実施する例を後述する。
S503段階の処理を終えた後には、S504段階に進む。S504段階以降は個別診断が終了時期になってから、電力の制限値を解放するための演算を行うものである。まずS504段階で制限値を開放してよいとする制限値開放フラグFLIMSTが1であるかどうかを確認する。FLIMST が1であれば(S504にてYES)、S510段階に進み、駆動電力制限値をDLLIMの分だけ増やして行く。FLIMSTが0である場合(S504にてNO)、S505段階に進む。
S505段階では、接続遮断中フラグRLYOFFの前回値と今回値の比較により、接続が復帰したかどうかを判断する。前回のRLYOFF=1であり且つ今回のRLYOFF=0である場合、接続が復帰したと判断する。これ以外の場合、接続が復帰していないと判断する。S505段階の判断結果がYESの場合、S506段階に進み、駆動モータの消費する電力と燃料電池2の発電した電力の比率を確認する。比率が所定以上である場合(S506にてYES)、2次電池3から駆動モータに供給していた分が定常的に燃料電池2に切り替わったと判断し、S508段階に進む。なお、診断中の制限の考え方として、最初に駆動モータの制限を行い、診断が終了してリレーが接続された時点でまず2次電池3の電圧を下げてゆき駆動モータの電力供給源を2次電池3から燃料電池2に切り替える。切り替わったら駆動モータの制限を開放するというものである。
燃料電池2への配分が終了していれば(S506にてNO)、S507段階に進み電力配分が完了したと判断して電力配分OKフラグFDERFCを1にする。さらにS509段階に進み、制限値を開放してよいとするフラグFLIMSTを1とする。次にS510段階に進み、駆動モータ電力制限値LIMMOTを所定の割合で増分DLLIMを加算してゆく。S512段階において、駆動モータ電力制限値LIMMOTが通常上限値に達したかを判断する。通常上限値に達している場合(S511にてYES)、S512段階に進み、制限値開放完了フラグFLIMFINを0として演算を終了する。
以上S501〜S513段階を経て、診断中制限部17は、電気モータ1に要求される出力に対して電気モータ1へ供給する走行出力を制限し、接続復帰部15が接続を復帰させた後に走行出力の制限を解除する。また、診断中制限部17は、コンバータ12が高電圧経路4側の電圧を徐々に下げることで、電気モータ1への電力供給の配分がすべて燃料電池2に移ったと判定した時に限り、走行出力の制限を解除する。以上により、S5段階の演算を終了し、メインルーチンに戻る。S5段階の演算を終了したのでS6段階を実施する。
次に、図10を参照して、個別切断中制限部におけるS503段階の処理の詳細な手順を説明する。個別診断中番号NOSIND=1である、つまり燃料電池2が絶縁抵抗検出対象のユニットとして選択されている場合(S5001にてYES)に限り、S5006段階に進み、コンバータ12の高電圧経路4側の電圧を燃料電池2の開放端電圧と同じ値に設定し、電圧センサ13が計測した高電圧経路4の電圧と燃料電池2の開放端電圧の差を所定値以下に設定する。
次に、図11を参照して、個別抵抗算出部10によるS6段階の詳細な手順を説明する。
先ず、S601段階において、接続遮断中フラグから接続遮断中であるか否かを判断する。遮断中であれば(S601にてYES)、S602段階に進み、例えば燃料電池2だけが外れた状態での車両絶縁抵抗VEHOHM1を求める。次にS603段階では接続前に検出した車両全体の絶縁抵抗をメモリから読み出してVEHOHMを呼び出す。S604段階に進み、接続中の抵抗値VEHOHMと遮断中の抵抗値VEHOHMに基づいて合成抵抗の式(1)より、燃料電池の絶縁抵抗を逆算する。

1/VEHOHM1=1/VEHOHM+1/OHM ・・・・(1)

式(1)のOHMは接続を解除された部位の絶縁抵抗である。ここでは燃料電池2の場合として説明する。式(1)を変形してOHMを導く式に変換すると、式(2)となる。

1/OHM=1/VEHOHM1−1/VEHOHM ・・・・式(2)

式(2)に基づいてOHMを算出する。なお、演算方法としては、浮動小数点演算機能付のマイコンによる計算や、除算式の結果を記憶させたテーブルを持たせて加減式として扱う方法などがあるが、ここでは特に限定されない。これらの演算方法によりOHMが算出されたらS605に進み、個別部位の絶縁抵抗が算出終了したことを示す算出終了フラグCALFINを1に設定する。以上によりS6段階の処理は終了する。
以上S601〜S605段階を経て、個別抵抗算出部10は、接続を遮断する前と後での抵抗値の違いから、合成抵抗の式(1)又は(2)に基づいて遮断された燃料電池2と接地電位間の抵抗値を算出する。以上により、S6段階の演算を終了し、メインルーチンに戻る。S6段階の演算を終了したのでS7段階を実施する。
次に、図12を参照して、絶縁劣化記憶部によるS7段階の詳細な手順を説明する。
先ずS701段階において、個別部位の絶縁抵抗の算出が終了していること、即ちフラグCALFINが1であることを確認する。個別部位の絶縁抵抗の算出が終了していない場合(S701にてNO)、S7段階の処理は終了する。フラグCALFINが1である場合、S702段階に進む。S702段階では、算出された個別部位の絶縁抵抗値OHMがメモリに記憶する必要があるか否かを判断する。即ち、すでに各部位の最新の絶縁抵抗値を記憶しているOHMMEM(NOSIND)よりさらに小さい値がOHMとして算出された場合(S702にてYES)に限り、S704段階に進み、算出された個別部位の絶縁抵抗値OHMがメモリに記憶する。これは、小さくなる側にのみメモリを記憶させるためである。
以上S701〜S704段階を経て、絶縁劣化記憶部11は、個別部位の絶縁抵抗が基本状態に対して低下しているか否か判断し、絶縁劣化部位としてメモリに記憶させる。以上により、S7段階の演算を終了し、メインルーチンに戻る。S7段階の演算を終了したのでS8段階を実施する。
次に、図13を参照して、接続復帰部15によるS8段階の詳細な手順を説明する。
先ず、S801段階において、接続遮断中フラグRLYOFFから接続が遮断された状態か否かを確認する。接続が遮断されている場合(S801にてYES)、S802段階に進み、個別部位の絶縁抵抗の算出が終了しているか否かを判断する。個別部位の絶縁抵抗の算出が終了している場合(S802にてYES)、さらにS803段階に進む。S803段階は、個別の条件で接続復帰させるに必要なものに関して判断するもので、特に本実施例では燃料電池2の場合のみさらに、駆動モータの電力の配分が燃料電池2に移ったときという条件を付加している。なお、S803段階はサブルーチンとなっており、その内容は、個別接続復帰条件の演算であり、その詳細は図14を参照して説明する。
S803段階のサブルーチンの演算を終了して図13の演算に戻ると、次にS804段階に進む。S804段階において、フラグFNOOKが1であることを確認し(S804にてYES)、S805に進み、実際に接続の復帰を実施し、S806段階において接続遮断中フラグRLYOFFを0に設定し、S808段階において個別診断終了フラグFSINENDを1に設定してS8段階を終了する。
なお、S801段階において接続が遮断されていない場合(S801にてNO)及びS804段階においてフラグFONOKが0である場合(S804にてNO)、そのままS8段階を終了し、S802段階において個別部位の絶縁抵抗の算出が終了していない場合(S802にてNO)、フラグFONOKを0に設定してS8段階を終了する。
次に、図14を参照して、図13のS803段階における個別接続復帰条件の演算の処理の詳細な手順を説明する。
「燃料電池2」を絶縁抵抗検出対象のユニットとして選択した場合、つまり個別診断中番号NOSIND=1である場合(S8001にてYES)、S8006段階に進む。そして、燃料電池2からの駆動モータ1への電力配分が所定以上になっているか否かを判断する。所定以上になっていない場合(S8006にてNO)、S8007段階に進み、コンバータ12の出力電圧を燃料電池2の出力電圧よりも下げる。これにより燃料電池2からの配分量が所定値以上となる。
接続復帰してよいという条件がそろった場合、S8008段階に進み、個別接続復帰条件OKフラグFONOKを1に設定する。このフラグが接続復帰してよいという最終的な判断のフラグである。具体的には、「コンプレッサ20」「エアコン」「DCDCコンバータ」或いは「2次電池」を絶縁抵抗検出対象のユニットとして選択した場合、つまり個別診断中番号NOSIND=2〜5である場合(S8002〜S8005にてYES)、及びS8006段階にてNOと判断された場合、S8008段階に進む。
以上S801〜S808段階を経て、接続復帰部15は、コンバータ12の高電圧経路4側の出力電圧目標値を燃料電池2の開放端電圧値と同値に設定し、電圧センサ13が計測した高電圧経路4の電圧と燃料電池2の開放端電圧の差が所定範囲内となった時、燃料電池2と高電圧経路4の接続を復帰させる。以上により、S8段階の演算を終了し、メインルーチンに戻る。S8段階の演算を終了したので、本実施例に係わる制御方法が終了する。
なお、図3に示した絶縁劣化の判定方法における高電圧部の各構成部位の電圧、及び各フラグの値の時間変化を図4に示す。燃料電池2をアイドルストップ状態にした後にリレーを用いて高電圧経路4との接続を遮断する。個別絶縁抵抗値の算出が終了した後に、コンバータ12の出力電圧を調整して、2次電池3と燃料電池2との電圧差を所定範囲内に収めた状態で、接続を復帰させる。また、接続が遮断されている状態において2次電池3のSOCは診断用SOCにまで充電されている。さらに、絶縁抵抗検知センサ5によれば、接続遮断前の抵抗値VEHOMが接続遮断後の抵抗値VEHOM1よりも低くなっている。そして、絶縁劣化記憶部11は、個別部位の絶縁抵抗OHMを絶縁劣化部位としてメモリに記憶させている。
以上説明したように、高電圧装置(2、3、20、24、26)ごとに高電圧システムとの接続を遮断する遮断装置(8、19、21、25、27)を設けておき、遮断装置を作動させても走行に支障が無い診断条件を設けておく。高電圧システム全体の絶縁抵抗が劣化したことを検知した場合、個別に絶縁抵抗の劣化を確認する個別診断モードに移行する。個別診断モードでは、所定の診断条件を満足した場合に限り、遮断装置を作動させて高電圧システムから高電圧装置を個別に遮断する。個別診断モードと通常状態での絶縁抵抗値を比較し、高電圧システムの絶縁抵抗を下げている要因が何であるかを判断する。なお、個別診断モードでは車両走行に支障が無いように、あらかじめ車両状態を特定の状態に設定しておいた上で実施する。
本発明の実施の形態によれば、以下に示す作用効果が得られる。
絶縁劣化判定部7により車両の絶縁抵抗が劣化したと判断された時に、燃料電池2を高電圧部から分離して再度絶縁抵抗診断を行い、燃料電池2の絶縁抵抗劣化分を検出することができる。よって、燃料電池2の絶縁抵抗が劣化していることを検知した場合には、これを運転者や作業者に警告して注意を促せることや、所定の場所で検査するに当たっての絶縁抵抗劣化場所の特定調査に掛かる手間や費用を低減することができる。
燃料電池2と高電圧経路4との接続を遮断するにあたり、車両の停車中もしくは低電力で走行している状態において実施する。具体的には、燃料電池2を起動する前であり且つ高電圧部へ接続する前であること、燃料電池2を停止した後であり且つ高電圧部への接続を解除した後であること、もしくは車両がアイドルストップ状態であり且つ燃料電池2の出力電圧が所定電圧以下であることの少なくともいずれか1つの条件を満たしている場合に限り実施する。これにより、燃料電池2の電力供給が停止しても駆動モータ1の消費電力を2次電池3だけで供給することが可能となるので、走行性能を損うことなく接続を遮断できる。アイドルストップ中であれば、燃料電池2に燃料を供給するシステムなど補記類のいくつかは停止しており、それら補記類の停止にかかる時間を省略できる。よって、接続を遮断して診断時間の短縮ができる。加えて、燃料電池2はオープンサーキットとなった時に、残留する燃料によって発電し電圧が上昇してしまうことによって熱が発生してしまうが、電圧が低いことを確認してから接続を遮断することで、診断終了時の到達温度を抑制し、この熱による弊害を防止することができる。
個別に絶縁劣化箇所を検知するために燃料電池2と高電圧経路4の接続を分離した後に再度接続を復帰する場合、2次電池3の電圧をコンバータ12によって昇圧もしく降圧して燃料電池2の開放短電圧と同じ電圧にあわせる。これにより、接続する時の接続装置に流れる電流を軽減できる。これにより接続装置を過電流から保護することができる。さらにダイオード14を設置することで燃料電池2への逆電流も防止することができる。
燃料電池2の接続を遮断した状態の絶縁抵抗値からは直接燃料電池2の絶縁抵抗は求められない。しかし、高電圧部が全て接続された状態での絶縁抵抗値を事前に測定することにより、接続遮断前後の抵抗値から合成抵抗の式に基づいて、燃料電池2の絶縁抵抗値を個別に算出することができる。
燃料電池2の接続を遮断している間は、燃料電池2からの電力供給は無く、2次電池3が駆動モータ1の電力と補機類の電力の供給源となるため、予め2次電池3のSOCを診断用のSOCまで高めておく。これにより、診断中に駆動モータ1と補機類の電力が停止してしまうことを防止することができる。
燃料電池2の接続を解除して絶縁劣化診断を行っている間に、運転者がアクセルを踏んで走行を開始した場合において、2次電池3の電力だけで駆動モータ1へ電力供給を行うが、駆動モータ1の電力を制限する。これにより、消費電力が過大となることによる2次電池3の過放電を防止することができる。一方で運転者が要求する出力電力が制限値以下であれば、2次電池3の電力供給は十分に行われるので、高速走行を除いて車両の移動は行うことができる。つまり過放電の防止と車両の移動の両立を果たすことができる。
燃料電池2の接続が復帰した直後は、上述したように、コンバータ12の出力電力は燃料電池2の開放短電圧に合わせている。しかし、この状態では燃料電池2は高電圧経路4の電圧よりも高くならず、高電圧経路4へ電力を供給できない。したがって、徐々に高電圧経路4の電圧を下げていくことで、徐々に燃料電池2からの電力を増やしていくことができる。徐々に増やしていくことで燃料電池2の急激な電流の変化を防止し、燃料の供給遅れなどに起因する燃料電池2の電圧低下などの弊害を防止することができる。
車両全体の絶縁抵抗を低下させる影響度の大きい装置を調査するにあたり、組み付け初期状態で絶縁抵抗が低い装置と絶縁抵抗が高い装置を比べる。そして、同じ割合で抵抗が劣化した場合には車両全体の絶縁抵抗を低下させる影響度の大きいものは、初期状態で絶縁抵抗が低い装置である。したがって、初期状態で絶縁抵抗が低い装置から順に個別診断を行うことにより、早い時点で絶縁抵抗の低下要因となっている装置を検出する可能性を高めることができる。
2次電池3の個別の絶縁抵抗劣化診断を行うにあたり、車速が所定値以下であり、且つ2次電池3の供給電流が低いときに接続を遮断することによって、駆動モータ1への供給電力の変化を最小に抑えることができる。よって、走行時の駆動力変化を最小にできる。また、車速が低い状況は、駆動モータ1の駆動電力を燃料電池2だけで供給することができるので、出力不足を回避することができる。一方で燃料電池2だけで駆動モータ1に電力供給する場合、燃料電池2の出力変化量が、駆動モータ1の出力変化に対して不足する場合があるが、駆動モータ1の出力変化量を制限することで、燃料電池2の過放電を防止することができる。
燃料電池2がアイドルストップ中であれば、発電する必要がないと判断して空気の供給を停止することができるので、高電圧経路4とコンプレッサ20間の接続を遮断する。つまり、コンプレッサ20の接続を解除しても、燃料電池2の空気供給と燃料供給のバランスを崩すことはなく、アイドルストップを持続することができる。
DCDCコンバータ24を停止した場合には、低電圧補機22は低電圧バッテリ23を電力供給源として作動する。しかし、低電圧補機22の消費電力が低ければ診断のためにDCDCコンバータ24を停止している間も低電圧バッテリ23による供給が可能である。また、燃料電池2を起動して十分な時間が経過していれば、DCDCコンバータ24によって低電圧バッテリ23に十分に電力を充電することができる。よって、診断中に低電圧バッテリ23の電圧が低下することを防止できる。
絶縁抵抗検知センサ5はコンデンサカップリング方式の検知方式を採用する。この場合、エアコン26の冷媒は浮遊容量となって絶縁抵抗検知精度を低下させる要因で、冷媒圧力の大小によって浮遊容量が変化する。これに対して、絶縁抵抗を検知する基準を一定の冷媒圧力に規定することで、常に同一条件で検出することができ検知誤差を低減することができる。また、エアコン26の負荷が高い場合にエアコン26の接続を解除すると運転者は違和感を感じる。したがって、エアコン26の冷媒圧力が所定値以上であり、かつ、エアコン26への負荷が所定値以下である場合に限り、高電圧経路4との接続を解除することにより室内の快適性を維持することができる。
上記のように、本発明は、1つの実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、実施の形態では、絶縁劣化判定システムが、燃料ガスと酸化剤ガスとの化学反応により発電を行う燃料電池システムに対して適用された場合、更には、燃料電池システムが車両に搭載され、車両の駆動源として持ちられている場合について説明した。しかし、本発明は、これに限定されることはなく、複数の高電圧装置を備える高電圧システムに対する絶縁劣化を判定するシステム及び方法に対して適用することができる。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ限定されるものである。
本発明の実施の形態に係わる燃料電池システムを示すブロック図である。 図1のコントローラの構成を示すブロック図である。 図2のコントローラによる絶縁劣化の判定方法の流れを示すメインフローチャートである。 図3に示した絶縁劣化の判定方法における高電圧部の構成部位の電圧、各フラグの値の時間変化を示すグラフである。 図3の絶縁劣化判定部によるS1段階の詳細な手順を示すフローチャートである。 図3の検知対象選択部によるS2段階の詳細な手順を示すフローチャートである。 図3の診断SOC変更部によるS3段階の詳細な手順を示すフローチャートである。 図3の接続遮断判定部によるS4段階の詳細な手順を示すフローチャートである。 図3の診断中制限部によるS5段階の詳細な手順を示すフローチャートである。 図9の個別切断中制限部におけるS503段階の詳細な手順を示すフローチャートである。 図3の個別抵抗算出部によるS6段階の詳細な手順を示すフローチャートである。 図3の絶縁劣化記憶部によるS7段階の詳細な手順を示すフローチャートである。 図3の接続復帰部によるS8段階の詳細な手順を示すフローチャートである。 図3のS803における個別接続復帰条件の演算の詳細な手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1…駆動モータ(電気モータ)
2…燃料電池
3…2次電池
4…高電圧経路
5…絶縁抵抗検知センサ(抵抗測定部)
6…コントローラ
7…絶縁劣化判定部
8…燃料電池側リレー
9…接続遮断判定部
10…個別抵抗算出部
11…絶縁劣化記憶部(劣化部位判断部)
12…コンバータ
13…電圧センサ
14…ダイオード
15…接続復帰部
16…診断SOC変更部
17…診断中制限部
18…検知対象選択部
19…2次電池側リレー
20…コンプレッサ
21…コンプレッサ側リレー
22…低電圧補機
23…低電圧バッテリ
24…DCDCコンバータ
25…低電圧側リレー
26…エアコン
27…エアコン側リレー

Claims (13)

  1. 電気モータと、前記電気モータへ電力を供給する燃料電池と、前記電気モータ及び燃料電池との間で電力の充放電を行う2次電池と、前記電気モータ、燃料電池、及び2次電池の間を電気的に接続する高電圧経路とを少なくとも有する高電圧部と、
    前記高電圧部と接地電位間の抵抗値を測定する抵抗測定部と、
    前記抵抗値から前記高電圧部の絶縁が劣化しているか否かを判断する絶縁劣化判定部と、
    前記高電圧部の絶縁が劣化していると判断された場合に、前記燃料電池と前記高電圧経路との接続を遮断する燃料電池遮断部と、
    前記接続を遮断する前と後での前記抵抗値の違いから、遮断された前記燃料電池と接地電位間の抵抗値を算出する個別抵抗算出部と、
    個別抵抗算出部が算出した前記抵抗値から、前記燃料電池の絶縁が劣化しているかを判断する劣化部位判断部
    とを備えることを特徴とする絶縁劣化判定システム。
  2. 前記燃料電池遮断部は、前記燃料電池を起動する前であり且つ前記高電圧部へ接続する前であること、前記燃料電池を停止した後であり且つ前記高電圧部への接続を解除した後であること、もしくは車両がアイドルストップ状態であり且つ前記燃料電池の出力電圧が所定電圧以下であることの少なくともいずれか1つの条件を満たしている場合に限り、前記高電圧経路との接続を遮断することを特徴とする請求項1記載の絶縁劣化判定システム。
  3. 前記2次電池と前記高電圧経路との間に接続されたコンバータと、
    前記高電圧経路の電圧を計測する電圧センサと、
    前記燃料電池の電流が流れる方向を限定するダイオードと、
    前記前記燃料電池と前記高電圧経路の接続を復帰させる接続復帰部とを更に備え、
    前記接続復帰部は、前記コンバータの高電圧経路側の電圧を燃料電池の開放端電圧と同じ値に設定し、前記電圧センサが計測した高電圧経路の電圧と前記燃料電池の開放端電圧の差が所定値以下となった時に、前記燃料電池と前記高電圧経路の接続を復帰させることを特徴とする請求項1記載の絶縁劣化判定システム。
  4. 前記劣化部位判断部は、合成抵抗の式に基づいて前記燃料電池の抵抗値を算出し、前記燃料電池の抵抗値から前記燃料電池の絶縁が劣化しているか否かを判断することを特徴とする請求項2記載の絶縁劣化判定システム。
  5. 前記劣化部位判断部が前記燃料電池の絶縁が劣化していると判断した場合、前記2次電池に蓄えておく電荷量を通常値から変更する診断SOC変更部を更に備えることを特徴とする請求項1記載の絶縁劣化判定システム。
  6. 前記個別抵抗算出部が抵抗値を算出している途中に車両の走行が開始された時、前記電気モータに要求される出力に対して前記電気モータへ供給する走行出力を制限し、前記接続復帰部が前記接続を復帰させた後に前記走行出力の制限を解除する診断中制限部を更に備えることを特徴とする請求項3記載の絶縁劣化判定システム。
  7. 前記診断中制限部は、前記コンバータが高電圧経路側の電圧を下げることで、前記電気モータへの電力供給の配分がすべて前記燃料電池に移ったと判定した時に限り、前記走行出力の制限を解除することを特徴とする請求項6記載の絶縁劣化判定システム。
  8. 前記燃料電池及び2次電池のうち何れかを絶縁抵抗検出対象のユニットとして選択する検知対象選択部を更に備え、
    前記検知対象選択部は、車両への組み付け初期時において個別の絶縁抵抗が低い前記ユニットから選択することを特徴とする請求項1記載の絶縁劣化判定システム。
  9. 前記2次電池と前記コンバータとの間に接続されたバッテリ遮断部を更に備え、
    前記検知対象選択部が前記2次電池を選択した場合、前記バッテリ遮断部は、車速が所定値以下で、かつ前記2次電池への入出力電力の絶対値が所定値以下である時に限り、前記2次電池と前記コンバータ間の接続を遮断し、
    前記診断中制限部は、診断中には電気モータの走行出力の変化量を、前記燃料電池の出力の最大変化量以下に設定することを特徴とする請求項6記載の絶縁劣化判定システム。
  10. 前記高電圧部に含まれ、前記燃料電池に空気を供給するコンプレッサと、
    前記高電圧経路と前記コンプレッサとの間に接続されたコンプレッサ遮断部とを更に備え、
    前記コンプレッサ遮断部は、前記燃料電池がアイドルストップ中である時に限り、前記高電圧経路と前記コンプレッサ間の接続を遮断することを特徴とする請求項7記載の絶縁劣化判定システム。
  11. 前記高電圧経路に接続された低電圧補機及び低電圧バッテリと、
    前記高電圧経路と前記低電圧補機及び低電圧バッテリの間に接続されたDCDCコンバータと、
    前記高電圧経路とDCDCコンバータとの間に接続された低電圧遮断部とを更に備え、
    前記低電圧遮断部は、前記低電圧補機の消費電力が所定値以下であり、かつ前記燃料電池を起動してから所定時間経過後である時に、前記高電圧経路とDCDCコンバータ間の接続を遮断することを特徴とする請求項7記載の絶縁劣化判定システム。
  12. 前記高電圧経路に接続されたエアコン装置と、
    前記高電圧経路と前記エアコン装置との間に接続されたエアコン遮断部とを更に備え、
    前記抵抗測定部はコンデンサカップリング方式による検知方式を採用し、
    前記エアコン遮断部は、前記エアコン装置の冷媒圧力が所定値以上であり、かつ、エアコン装置への負荷が所定値以下である場合に限り、前記高電圧経路と前記エアコン装置間の接続を遮断することを特徴とする請求項7記載の絶縁劣化判定システム。
  13. 電気モータと、前記電気モータへ電力を供給する燃料電池と、前記電気モータ及び燃料電池との間で電力の充放電を行う2次電池と、前記電気モータ、燃料電池、及び2次電池の間を電気的に接続する高電圧経路とを少なくとも有する高電圧部の絶縁が劣化しているか否かを判定する方法であって、
    前記高電圧部と接地電位間の抵抗値を測定し、
    前記抵抗値から前記高電圧部の絶縁が劣化しているか否かを判断し、
    前記高電圧部の絶縁が劣化していると判断された場合に、前記燃料電池と前記高電圧経路との接続を遮断し、
    前記接続を遮断する前と後での前記抵抗値の違いから、遮断された前記燃料電池と接地電位間の抵抗値を算出し、
    算出した前記抵抗値から、前記燃料電池の絶縁が劣化しているかを判断する
    ことを特徴とする絶縁劣化判定方法。
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