本発明の実施例1である電池システムについて説明する。図1は、本実施例である電池システムの構成を示す図である。本実施例の電池システムは、車両に搭載することができる。なお、車両以外であっても、本発明を適用することができる。
電池システムが搭載される車両としては、電気自動車やハイブリッド自動車がある。電気自動車は、車両を走行させる動力源として、後述する組電池だけを備えている。ハイブリッド自動車は、車両を走行させる動力源として、後述する組電池の他に、エンジンや燃料電池を備えている。
第1組電池(蓄電装置に相当する)10は、直列に接続された複数の単電池11を有する。ここで、第1組電池10には、並列に接続された複数の単電池11を含めることもできる。第2組電池(蓄電装置に相当する)20は、直列に接続された複数の単電池21を有する。ここで、第2組電池20には、並列に接続された複数の単電池21を含めることもできる。
組電池10,20を構成する単電池11,21の数は、組電池10,20の要求出力などを考慮して適宜設定することができる。本実施例では、2つの組電池10,20を並列に接続しているが、3つ以上の組電池を並列に接続することもできる。並列に接続される組電池の数は、適宜設定することができる。複数の組電池を並列に接続することにより、電池容量を増やすことができ、組電池の出力を用いた車両の走行距離を延ばすことができる。
単電池11,21としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタを用いることができる。単電池11,21としては、同一構成の単電池を用いたり、互いに異なる構成の単電池を用いたりすることができる。単電池11,21の構成を互いに異ならせることにより、単電池11,21の特性を互いに異ならせることができる。
例えば、単電池11は、単電池21よりも大きな電流で充放電を行うことができるようにすることができる。このような単電池11を高出力型電池という。また、単電池21には、単電池11よりも大きなエネルギ容量を持たせることができる。このような単電池21を高容量型電池という。
高出力型電池の出力密度は、高容量型電池の出力密度よりも高くなる。出力密度は、例えば、単電池の単位質量当たりの電力(単位[W/kg])や、単電池の単位体積当たりの電力(単位[W/L])として表すことができる。一方、高容量型電池の電力容量密度は、高出力型電池の電力容量密度よりも高くなる。電力容量密度は、例えば、単電池の単位質量当たりの容量(単位[Wh/kg])や、単電池の単位体積当たりの容量(単位[Wh/L])として表すことができる。
第1監視ユニット(電圧センサに相当する)31は、第1組電池10の電圧VB_bt1を取得するために用いられる。第1監視ユニット31の出力信号は、コントローラ100に入力される。ここで、第1監視ユニット31が第1組電池10の端子間電圧を検出することにより、電圧VB_bt1を取得することができる。また、第1監視ユニット31が、第1組電池10を構成する各単電池11の電圧を検出するとき、すべての単電池11の電圧を加算することにより、電圧VB_bt1を取得することができる。
第2監視ユニット(電圧センサに相当する)32は、第2組電池20の電圧VB_bt2を取得するために用いられる。第2監視ユニット32の出力信号は、コントローラ100に入力される。ここで、第2監視ユニット32が第2組電池20の端子間電圧を検出することにより、電圧VB_bt2を取得することができる。また、第2監視ユニット32が、第2組電池20を構成する各単電池21の電圧を検出するとき、すべての単電池21の電圧を加算することにより、電圧VB_bt2を取得することができる。
コントローラ100は、メモリ101を有しており、メモリ101は、コントローラ100が所定の処理を行うときに用いられる情報を記憶する。本実施例では、メモリ101がコントローラ100に内蔵されているが、コントローラ100の外部にメモリ101を設けることもできる。
第1組電池10および第2組電池20は、並列に接続されている。第1組電池10の正極端子および第2組電池20の正極端子には、正極ライン(ケーブル)PLが接続されている。正極ラインPLの一部は分岐しており、分岐部分が、組電池10,20の正極端子とそれぞれ接続されている。
また、第1組電池10に対応した正極ラインPL(分岐部分)には、システムメインリレーSMR−B1が設けられており、第2組電池20に対応した正極ラインPL(分岐部分)には、システムメインリレーSMR−B2が設けられている。システムメインリレーSMR−B1,SMR−B2は、コントローラ100からの制御信号を受けて、オンおよびオフの間で切り替わる。
システムメインリレーSMR−B1をオンにすれば、第1組電池10を充放電させることができ、システムメインリレーSMR−B1をオフにすれば、第1組電池10の充放電が行われなくなる。システムメインリレーSMR−B2をオンにすれば、第2組電池20を充放電させることができ、システムメインリレーSMR−B2をオフにすれば、第2組電池20の充放電が行われなくなる。
第1組電池10の負極端子および第2組電池20の負極端子には、負極ライン(ケーブル)NLが接続されている。負極ラインNLの一部は、分岐しており、分岐部分が、組電池10,20の負極端子とそれぞれ接続されている。負極ラインNLには、システムメインリレーSMR−Gが設けられている。システムメインリレーSMR−Gは、コントローラ100からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。
システムメインリレーSMR−Pおよび電流制限抵抗R1は、互いに直列に接続されているとともに、システムメインリレーSMR−Gに対して並列に接続されている。システムメインリレーSMR−Pは、コントローラ100からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。電流制限抵抗R1は、組電池10,20を負荷と接続するときに、後述するコンデンサCなどに突入電流が流れることを抑制するために用いられる。
本実施例の電池システムでは、システムメインリレーSMR−P,SMR−Gおよび電流制限抵抗R1が、組電池10,20に対して共通に用いられているが、これに限るものではない。すなわち、組電池10,20のそれぞれに対して、システムメインリレーSMR−P,SMR−Gおよび電流制限抵抗R1を設けることができる。ここで、本実施例のように、システムメインリレーSMR−P,SMR−Gおよび電流制限抵抗R1を、組電池10,20に対して共通に用いることにより、部品点数を減らすことができ、コストを低減することができる。
正極ラインPLおよび負極ラインNLには、コンデンサCが接続されている。コンデンサCは、正極ラインPLおよび負極ラインNLの間における電圧を平滑化するために用いられる。また、正極ラインPLおよび負極ラインNLには、抵抗R2が接続されている。電圧センサ33は、コンデンサCにおける電圧VLを検出し、検出結果をコントローラ100に出力する。電圧VLは、組電池10,20および負荷の間における電圧となる。
組電池10,20は、正極ラインPLおよび負極ラインNLを介して、インバータ40と接続されている。このため、組電池10,20の出力電力は、インバータ40に供給されたり、インバータ40の出力電力が組電池10,20に供給されたりする。インバータ40は、組電池10,20から出力された直流電力を交流電力に変換して、交流電力をモータ・ジェネレータ(三相交流モータ)50に出力する。また、モータ・ジェネレータ50は、車両の制動時に発生する運動エネルギを電気エネルギ(交流電力)に変換し、交流電力をインバータ40に出力する。インバータ40は、モータ・ジェネレータ50が生成した交流電力を直流電力に変換し、直流電力を組電池10,20に出力する。
インバータ40は、U相アームと、V相アームと、W相アームとを有する。U相アーム、V相アームおよびW相アームは、並列に接続されている。
U相アームは、トランジスタ411,412およびダイオード413,414を有する。トランジスタ411,412は、正極ラインPLおよび負極ラインNLの間で、直列に接続されている。ダイオード413,414は、トランジスタ411,412に対して、それぞれ並列に接続されている。具体的には、ダイオード413,414のアノードは、トランジスタ411,412のエミッタと接続され、ダイオード413,414のカソードは、トランジスタ411,412のコレクタと接続されている。
V相アームは、トランジスタ421,422およびダイオード423,424を有する。トランジスタ421,422は、正極ラインPLおよび負極ラインNLの間で、直列に接続されている。ダイオード423,424は、トランジスタ421,422に対して、それぞれ並列に接続されている。具体的には、ダイオード423,424のアノードは、トランジスタ421,422のエミッタと接続され、ダイオード423,424のカソードは、トランジスタ421,422のコレクタと接続されている。
W相アームは、トランジスタ431,432およびダイオード433,434を有する。トランジスタ431,432は、正極ラインPLおよび負極ラインNLの間で、直列に接続されている。ダイオード433,434は、トランジスタ431,432に対して、それぞれ並列に接続されている。具体的には、ダイオード433,434のアノードは、トランジスタ431,432のエミッタと接続され、ダイオード433,434のカソードは、トランジスタ431,432のコレクタと接続されている。
モータ・ジェネレータ50は、インバータ40から供給された電気エネルギ(交流電力)を運動エネルギに変換する。モータ・ジェネレータ50は、車輪と接続されており、モータ・ジェネレータ50によって生成された運動エネルギ(回転力)は、車輪に伝達される。これにより、車両を走行させることができる。また、車両を減速させたり、停止させたりするとき、モータ・ジェネレータ50は、車輪からの回転力を受けて発電する。モータ・ジェネレータ50によって生成された交流電力は、インバータ40に出力される。
第1組電池10をインバータ40と接続するとき、コントローラ100は、まず、システムメインリレーSMR−B1,SMR−Pをオフからオンに切り替える。これにより、電流制限抵抗R1に電流を流しながら、コンデンサCをプリチャージすることができる。次に、コントローラ100は、システムメインリレーSMR−Gをオフからオンに切り替えた後に、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替える。これにより、第1組電池10およびインバータ40の接続が完了する。
第2組電池20をインバータ40と接続するとき、コントローラ100は、まず、システムメインリレーSMR−B2,SMR−Pをオフからオンに切り替える。これにより、電流制限抵抗R1に電流を流しながら、コンデンサCをプリチャージすることができる。次に、コントローラ100は、システムメインリレーSMR−Gをオフからオンに切り替えた後に、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替える。これにより、第2組電池20およびインバータ40の接続が完了する。
第1組電池10および第2組電池20の少なくとも一方がインバータ40と接続されたとき、図1に示す電池システムは、起動状態(Ready-On)となる。また、第1組電池10および第2組電池20がインバータ40と接続されていないとき、電池システムは停止状態(Ready-Off)となる。電池システムが停止状態にあるとき、システムメインリレーSMR−B1,SMR−B2,SMR−P,SMR−Gは、オフとなっている。
一方、正極ラインPLおよび負極ラインNLには、充電器61が接続されている。具体的には、充電器61は、充電リレーRCH1,RCH2を介して、システムメインリレーSMR−B1,SMR−B2およびインバータ40を接続する正極ラインPLと、システムメインリレーSMR−Gおよびインバータ40を接続する負極ラインNLとに接続されている。充電器61には、インレット(コネクタ)62が接続されている。充電リレーRCH1,RCH2は、コントローラ100からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。
インレット62には、不図示の外部電源と接続されたプラグ(コネクタ)が接続される。外部電源とは、図1に示す電池システムとは別に設けられた電源であり、外部電源としては、例えば、商用電源を用いることができる。プラグをインレット62に接続することにより、外部電源からの電力を、充電器61を介して組電池10,20に供給することができる。これにより、外部電源を用いて、組電池10,20を充電することができる。外部電源が交流電力を供給するとき、充電器61は、外部電源からの交流電力を直流電力に変換し、直流電力を組電池10,20に供給する。コントローラ100は、充電器61の動作を制御することができる。
外部電源の電力を組電池10,20に供給するとき、充電器61は、電圧を変換することもできる。ここで、外部電源の電力を組電池10,20に供給して、組電池10,20を充電することを外部充電という。本実施例の電池システムでは、充電リレーRCH1,RCH2およびシステムメインリレーSMR−B1,SMR−Gがオンであるときに、外部電源からの電力が第1組電池10に供給されるようになっている。また、充電リレーRCH1,RCH2およびシステムメインリレーSMR−B2,SMR−Gがオンであるときに、外部電源からの電力が第2組電池20に供給されるようになっている。
外部充電を行うとき、組電池10,20には一定の電流を供給することができ、定電流の下で、組電池10,20を充電することができる。
外部電源の電力を組電池10,20に供給するシステムは、図1に示すシステムに限るものではない。例えば、充電器61は、システムメインリレーSMR−B1,SMR−B2,SMR−P,SMR−Gを介さずに、組電池10,20と接続することができる。
すなわち、充電器61は、充電リレーRCH1,RCH2を介して、第1組電池10の正極端子およびシステムメインリレーSMR−B1を接続する正極ラインPLと、第1組電池10の負極端子およびシステムメインリレーSMR−Gを接続する負極ラインNLとに接続することができる。また、充電器61は、充電リレーRCH1,RCH2を介して、第2組電池20の正極端子およびシステムメインリレーSMR−B2を接続する正極ラインPLと、第2組電池20の負極端子およびシステムメインリレーSMR−Gを接続する負極ラインNLとに接続することができる。
この場合には、充電リレーRCH1,RCH2をオフからオンに切り替えるだけで、外部充電を行うことができる。また、充電器61から組電池10,20に電力を供給する経路において、電圧センサを用いて電圧を検出する必要がある。この電圧は、上述した電圧VLに相当する。
本実施例では、プラグをインレット62に接続することにより、外部充電を行うようにしているが、これに限るものではない。具体的には、いわゆる非接触方式の充電システムを用いることにより、外部電源の電力を組電池10,20に供給することができる。非接触方式の充電システムでは、電磁誘導や共振現象を利用することにより、ケーブルを介さずに電力を供給することができる。非接触方式の充電システムとしては、公知の構成を適宜採用することができる。
本実施例では、充電器61が車両に搭載されているが、これに限るものではない。すなわち、充電器61は、車両の外部において、車両とは別に設けられていてもよい。この場合には、コントローラ100および充電器61の間の通信によって、コントローラ100は、充電器61の動作を制御することができる。
各組電池10,20には、電流経路を遮断する電流遮断器を設けることがある。ここで、電流遮断器が動作すると、組電池10,20には電流が流れなくなる。また、組電池10,20は、複数の単電池11,21が電気的に接続されることによって構成されているが、電気的な接続部分が過度の外力を受けて変形することなどにより、組電池10,20の電流経路が遮断されてしまうおそれがある。また、組電池10,20およびライン(ケーブル)PL,NLの接続部分が過度の外力を受けて変形することなどにより、組電池10,20の電流経路が遮断されてしまうおそれがある。
上述したような電流経路の遮断を断線という。本実施例では、組電池10,20のいずれか一方において、断線状態が発生しているか否かを判別するものである。
上述した電流遮断器としては、例えば、ヒューズ、PTC(Positive Temperature Coefficient)素子又は、電流遮断弁を用いることができる。これらの電流遮断器は、個別に用いることもできるし、併用することもできる。
ヒューズは、ヒューズに流れる電流に応じて溶断する。ヒューズを溶断させることにより、電流経路を機械的に遮断することができる。これにより、単電池11,21に過大な電流が流れることを防止して、単電池11,21を保護することができる。ヒューズは、単電池11,21の外装を構成するケースに収容することもできるし、単電池11,21の外部に設けることもできる。
PTC素子は、電流経路に配置されており、PTC素子の温度上昇に応じてPTC素子の抵抗が増加する。PTC素子に流れる電流が増加すると、ジュール熱によってPTC素子の温度が上昇する。PTC素子の温度上昇に応じて、PTC素子の抵抗が増加することにより、PTC素子において、電流を遮断することができる。これにより、単電池11,21に過大な電流が流れることを防止して、単電池11,21を保護することができる。
電流遮断弁は、単電池11,21の内圧上昇に応じて変形し、単電池11,21の内部における電流経路を遮断することができる。単電池11,21の内部は、密閉状態となっており、過充電などによってガスが発生すると、単電池11,21の内圧が上昇する。単電池11,21の内圧が上昇することに応じて、電流遮断弁を変形させることにより、電流経路を機械的に遮断することができる。これにより、ガスが発生した単電池11,21に電流が流れることを阻止し、単電池11,21を保護することができる。
次に、組電池10,20における断線状態を検出する処理について、図2に示すフローチャートを用いて説明する。図2に示す処理は、コントローラ100によって実行される。図2に示す処理は、図1に示す電池システムが起動状態となったときに開始される。
ステップS101において、コントローラ100は、第1監視ユニット31の出力から第1組電池10の電圧VB_bt1を取得するとともに、第2監視ユニット32の出力から第2組電池20の電圧VB_bt2を取得する。また、コントローラ100は、電圧センサ33の出力から電圧VLを取得する。
ステップS102において、コントローラ100は、電圧VLを基準として、電圧VB_bt1,VB_bt2を補正する。すなわち、各電圧VB_bt1,VB_bt2が電圧VLとなるように、各電圧VB_bt1,VB_bt2の補正値を算出する。補正値は、各電圧VB_bt1,VB_bt2および電圧VLの差分となる。補正後の電圧VB_bt1,VB_bt2は、電圧VLと等しくなる。
監視ユニット31,32および電圧センサ33には、検出誤差が発生することがある。また、各監視ユニット31,32によって電圧を検出するタイミングや、電圧センサ33によって電圧を検出するタイミングが互いに異なっているときには、電圧VB_bt1,VB_bt2,VLにバラツキが発生することがある。
そこで、本実施例では、電池システムを起動したときに、上述したように、電圧VB_bt1,VB_bt2を補正しておくことにより、電圧VB_bt1,VB_bt2,VLのバラツキを解消させることができる。各電圧VB_bt1,VB_bt2の補正値に関する情報は、メモリ101に記憶することができる。ステップS102以降の処理では、電圧VB_bt1,VB_bt2として、補正後の電圧が用いられる。なお、ステップS102の処理(補正処理)を省略することもできる。
ステップS103において、コントローラ100は、充電器61の動作を制御することにより、組電池10,20の外部充電を開始させる。当然のことながら、ステップS103の処理を行う前に、プラグはインレット62に接続されている。外部充電を開始することにより、外部電源からの電力が組電池10,20に供給され、組電池10,20の電圧は上昇することになる。
ステップS104において、コントローラ100は、外部充電を行っている間、監視ユニット31,32および電圧センサ33の出力に基づいて、電圧VB_bt1,VB_bt2,VLを取得する。取得された電圧VB_bt1,VB_bt2は、ステップS102の処理で算出された補正値を用いて補正される。
また、ステップS104において、コントローラ100は、補正後の電圧VB_bt1および電圧VLの差である偏差ΔVB1を算出する。また、コントローラ100は、補正後の電圧VB_bt2および電圧VLの差である偏差ΔVB2を算出する。偏差ΔVB1,ΔVB2は、下記式(1),(2)に示すように絶対値となる。
ΔVB1=|VB_bt1−VL| ・・・(1)
ΔVB2=|VB_bt2−VL| ・・・(2)
偏差ΔVB1,ΔVB2を算出するとき、電圧VB_bt1,VB_bt2,VLとしては、監視ユニット31,32および電圧センサ33の検出電圧に対して平滑化処理(徐変処理)を行った値を用いることができる。監視ユニット31,32や電圧センサ33の出力にノイズなどが含まれると、短時間の間だけ、電圧VB_bt1,VB_bt2,VLが急激に変化してしまう。平滑化処理を行えば、電圧VB_bt1,VB_bt2,VLの急激な変化を抑制することができ、偏差ΔVB1,ΔVB2を適切に把握しやすくなる。なお、平滑化処理としては、公知の処理を適宜採用することができる。
本実施例では、所定の周期において、電圧VB_bt1,VB_bt2,VLが取得され、電圧VB_bt1,VB_bt2,VLを取得するたびに、偏差ΔVB1,ΔVB2が算出される。
組電池10,20が断線状態ではないとき、外部充電が進行するほど、電圧VB_bt1,VB_bt2,VLは同様の挙動を示す。ここで、組電池10,20は並列に接続されているため、各電圧VB_bt1,VB_bt2,VLの変化量は等しくなる。電圧VB_bt1,VB_bt2は、ステップS102の処理で説明したように、電圧VLに揃えられているため、各電圧VB_bt1,VB_bt2,VLの変化量が等しければ、偏差ΔVB1,ΔVB2は、ゼロとなる。
一方、組電池10,20のいずれかにおいて、断線が発生したとき、断線状態である組電池の電圧は、断線が発生する直前の電圧に維持される。すなわち、断線状態である組電池には、充電電流が流れないため、組電池の電圧は変化しないことになる。また、外部充電が進行するほど、断線状態ではない組電池の電圧が上昇するとともに、組電池の電圧上昇に伴って電圧VLも上昇する。例えば、第1組電池10だけが断線状態であるとき、電圧VB_bt1は変化しなくなり、電圧VB_bt2,VLが上昇する。これにより、偏差ΔVB2は変化しないが、偏差ΔVB1は増加する。
ステップS105において、コントローラ100は、偏差ΔVB1,ΔVB2を算出するたびに、各偏差ΔVB1,ΔVB2を積算する。積算値Σ(ΔVB1),Σ(ΔVB2)に関する情報は、メモリ101に記憶される。ここで、電圧VB_bt1,VB_bt2の差が所定値以下であるとき、すなわち、組電池10,20の電圧が揃っているとみなせるとき、コントローラ100は、積算値Σ(ΔVB1),Σ(ΔVB2)を0にリセットすることができる。所定値は、組電池10,20の電圧が揃っているとみなす範囲の上限値とすることができる。
ステップS106において、コントローラ100は、ステップS105の処理で算出した積算値Σ(ΔVB1),Σ(ΔVB2)の差分ΔVtotalを算出する。差分ΔVtotalは、下記式(3)に基づいて算出することができる。下記式(3)に示すように、差分ΔVtotalは、積算値Σ(ΔVB1),Σ(ΔVB2)の差の絶対値となる。
ΔVtotal=|Σ(ΔVB1)−Σ(ΔVB2)| ・・・(3)
組電池10,20が断線状態ではないとき、偏差ΔVB1,ΔVB2は変化せず、積算値Σ(ΔVB1),Σ(ΔVB2)も変化しない。ただし、外部充電が進行すると、監視ユニット31,32および電圧センサ33によって検出される電圧にバラツキが発生するおそれがある。すなわち、ステップS102の処理によって、電圧VB_bt1,VB_bt2を電圧VLに揃えても、外部充電が進むにつれて、補正後の電圧VB_bt1,VB_bt2が電圧VLからずれることがある。この場合には、偏差ΔVB1,ΔVB2が増加し、積算値Σ(ΔVB1),Σ(ΔVB2)も増加することになる。
一方、例えば、第1組電池10が断線状態であるとき、上述したように、外部充電が進行するにつれて、偏差ΔVB1が増加する。偏差ΔVB1が増加すれば、積算値Σ(ΔVB1)も増加することになる。積算値Σ(ΔVB1)は、偏差ΔVB1を積算しているため、積算値Σ(VB1)の増加率は、偏差ΔVB1の増加率よりも大きくなる。ここで、第2組電池20は断線していないため、偏差ΔVB2は変化せず、積算値Σ(ΔVB2)も変化しない。このような状況では、外部充電が進行するにつれて、差分ΔVtotalが上昇することになる。
ステップS107において、コントローラ100は、差分ΔVtotalが閾値ΔVth以上であるか否かを判別する。閾値ΔVthは、監視ユニット31,32および電圧センサ33の誤差などを考慮して予め定めておくことができる。閾値ΔVthに関する情報は、メモリ101に記憶することができる。
上述したように、外部充電が進行したとき、監視ユニット31,32および電圧センサ33によって検出される電圧にバラツキが発生することがある。この場合には、偏差ΔVB1,ΔVB2が増加し、積算値Σ(ΔVB1),Σ(ΔVB2)も増加してしまう。
偏差ΔVB1,ΔVB2が互いに異なるときには、積算値Σ(ΔVB1),Σ(ΔVB2)も互いに異なることになり、差分ΔVtotalは増加してしまう。この増加分は、上述したように、監視ユニット31,32および電圧センサ33の誤差などによって発生するものであり、組電池10,20の断線によるものではない。本実施例では、監視ユニット31,32や電圧センサ33の誤差などによって発生する差分ΔVtotalを排除するために、閾値ΔVthを設定している。
すなわち、差分ΔVtotalが閾値ΔVth以上であれば、この差分ΔVtotalは、上述した誤差などによって発生し得ないものであり、組電池10,20の断線によるものであると判別することができる。後述するように、積算値Σ(ΔVB1),Σ(ΔVB2)が互いに異なっているときには、積算値Σ(ΔVB1),Σ(ΔVB2)の大小関係に基づいて、組電池10,20の一方が断線状態であると判別している。
このため、上述した誤差などによって差分ΔVtotalが発生しているときにも、積算値Σ(ΔVB1),Σ(ΔVB2)の大小関係に基づいて、断線状態を判別してしまうと、誤った判別を行ってしまうことがある。本実施例では、閾値ΔVthを用いて、誤差などによって発生する差分ΔVtotalを排除しているため、断線状態の判別を誤ってしまうことを防止することができる。
差分ΔVtotalが閾値ΔVth以上であるときには、ステップS108の処理に進む。一方、差分ΔVtotalが閾値ΔVthよりも小さいときには、図2に示す処理を終了する。ステップS108において、コントローラ100は、積算値Σ(ΔVB1)が積算値Σ(ΔVB2)よりも大きいか否かを判別する。ここで、コントローラ100は、ステップS105の処理で得られた積算値Σ(ΔVB1),Σ(ΔVB2)を用いる。
積算値Σ(ΔVB1)が積算値Σ(ΔVB2)よりも大きいときには、ステップS109の処理に進み、積算値Σ(ΔVB1)が積算値Σ(ΔVB2)よりも小さいときには、ステップS111の処理に進む。上述したように、組電池が断線状態にあるとき、断線状態にある組電池に対応した積算値Σ(ΔVB)は増加する。例えば、第1組電池10が断線状態にあるとき、積算値Σ(ΔVB1)は増加する。ここで、第2組電池20が断線状態ではないとき、積算値Σ(ΔVB2)は増加し難くなっている。
上述したように、断線状態にある組電池の積算値Σ(ΔVB)は、断線状態ではない組電池の積算値Σ(ΔVB)よりも大きくなる。このため、積算値Σ(ΔVB)の大小関係を特定することにより、断線状態にある組電池を特定することができる。
ここで、積算値Σ(ΔVB1),Σ(ΔVB2)の変化(一例)を図3に示す。図3において、縦軸は積算値Σ(ΔVB)であり、横軸は時間である。図3に示す例では、第1組電池10だけが断線状態となっている。第1組電池10が断線状態となることで、第1組電池10に対応した積算値Σ(ΔVB1)は、断線状態ではない第2組電池20に対応した積算値Σ(ΔVB2)よりも大きくなる。図3に示すように、時間が経過するほど、差分ΔVtotalが広がりやすくなる。
ステップS109において、コントローラ100は、第1組電池10が断線状態であると判別する。ステップS111において、コントローラ100は、第2組電池20が断線状態であると判別する。組電池10,20が断線状態であると判別したとき、コントローラ100は、ユーザなどに対して判別結果を通知することができる。この通知手段は、適宜設定することができ、例えば、音やディスプレイを用いることができる。ユーザは、音を聞いたり、ディスプレイの表示内容を見たりすることにより、組電池10,20が断線状態であることを確認することができる。
ステップS110において、コントローラ100は、第2組電池20を用いて車両を走行させることができる。第1組電池10は、断線状態であるため、第2組電池20の電力だけをモータ・ジェネレータ50に供給したり、モータ・ジェネレータ50が生成した電力を第2組電池20だけに供給したりすることができる。
ステップS112において、コントローラ100は、第1組電池10を用いて車両を走行させることができる。第2組電池20は、断線状態であるため、第1組電池10の電力だけをモータ・ジェネレータ50に供給したり、モータ・ジェネレータ50が生成した電力を第1組電池10だけに供給したりすることができる。
本実施例では、監視ユニット31,32および電圧センサ33の検出結果を用いて、組電池10,20の一方における断線状態を判別するようにしている。ここで、組電池10,20の断線状態を判別する方法としては、電流センサを用いることが考えられる。具体的には、各組電池10,20に対して電流センサを設けておけば、電流センサの出力に基づいて、各組電池10,20に電流が流れているか否か、すなわち、各組電池10,20が断線状態であるか否かを判別することができる。
しかし、電流センサの検出結果には、誤差が含まれることがあり、電流センサの検出結果を用いても、各組電池10,20の断線状態を判別し難いことがある。外部充電を行うときに組電池10,20に流れる電流は、車両を走行させるときに組電池10,20に流れる電流よりも小さいことがある。このような微小電流が組電池10,20に流れているときには、電流センサの検出結果を用いても、組電池10,20が断線状態であるか否かを判別し難い。
本実施例では、上述したように、偏差ΔVB1,ΔVB2を算出し、この偏差ΔVB1,ΔVB2を積算している。ここで、偏差ΔVB1,ΔVB2を比較することによって、断線状態を判別することも考えられる。例えば、第1組電池10が断線状態にあるときには、上述したように、偏差ΔVB1は、偏差ΔVb2よりも大きくなる。このため、偏差ΔVB1,ΔVB2の大小関係を確認することにより、断線状態を判別することができる。
しかし、微小な電流を組電池10,20に流して、組電池10,20を充電するときには、組電池10,20の電圧が僅かに上昇していくだけである。組電池10,20の電圧が僅かに上昇する状況では、偏差ΔVB1,ΔVB2を比較し難い。偏差ΔVB1,ΔVB2を比較し難ければ、断線状態の判別を誤ってしまうおそれがある。
そこで、本実施例では、偏差ΔVB1,ΔVB2を積算し、積算値Σ(ΔVB1),Σ(ΔVB2)を比較している。偏差ΔVB1,ΔVB2の差が僅かであっても、偏差ΔVB1,ΔVB2を積算することによって、積算値Σ(ΔVB1),Σ(ΔVB2)の差分ΔVtotalを広げることができる。すなわち、積算値Σ(ΔVB1),Σ(ΔVB2)を算出することにより、積算値Σ(ΔVB1),Σ(ΔVB2)を比較しやすくなる。これにより、偏差ΔVB1,ΔVB2を比較する場合と比べて、断線状態の判別を素早く行ったり、断線状態の判別を精度良く行ったりすることができる。
本実施例では、組電池10,20を外部充電するときに、断線状態の判別を行っているが、これに限るものではない。すなわち、組電池10,20を充電又は放電するときに、積算値Σ(ΔVB1),Σ(ΔVB2)を比較することによって、断線状態を判別することができる。ここで、断線状態の判別は、組電池10,20を継続的に充電又は放電するときに行うことが好ましい。
組電池10,20を放電しているときに、断線状態を判別する場合としては、以下に説明する場合がある。例えば、電池システムが起動状態となっており、車両を走行させていないが、組電池10,20の電力が車両に搭載された補機(電子機器)に継続的に供給されているとき、本実施例と同様の方法によって、断線状態の判別を行うことができる。車両を走行させていない場合としては、シフトポジションがパーキングレンジ(Pレンジ)又はニュートラルレンジ(Nレンジ)に設定される場合がある。
組電池10,20の電力を補機に供給し続けているとき、例えば、第1組電池10が断線状態になると、第1組電池10の電圧VB_bt1は、第2組電池20の電圧VB_bt2や電圧VLよりも高くなる。第2組電池20の電圧VB_bt2は、放電し続けるほど低下し、これに応じて、電圧VLも低下する。このため、第2組電池20の積算値Σ(ΔVB2)は、変化し難くなり、第1組電池10の積算値Σ(ΔVB1)は、増加し続ける。したがって、積算値Σ(ΔVB1),Σ(ΔVB2)を比較することにより、組電池10,20の断線状態を判別することができる。
本実施例で説明した断線状態の判別処理を用いれば、システムメインリレーSMR−B1,SMR−B2の固着を判別することもできる。具体的には、システムメインリレーSMR−B1,SMR−B2をオンにする制御を行っているにもかかわらず、積算値Σ(ΔVB1),Σ(ΔVB2)が互いに異なっているときには、システムメインリレーSMR−B1,SMR−B2の一方がオフのままで固着していると判別することができる。例えば、積算値Σ(ΔVB1)が積算値Σ(ΔVB2)よりも大きいときには、システムメインリレーSMR−B1がオフのままで固着していると判別することができる。
また、システムメインリレーSMR−B1,SMR−B2をオフにする制御を行っているにもかかわらず、積算値Σ(ΔVB1),Σ(ΔVB2)が互いに異なっているときには、システムメインリレーSMR−B1,SMR−B2の一方がオンのままで固着していると判別することができる。例えば、積算値Σ(ΔVB1)が積算値Σ(ΔVB2)よりも大きいときには、システムメインリレーSMR−B2がオンのままで固着していると判別することができる。