JP2007146756A - スクロール式流体機械 - Google Patents

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俊介 森
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Abstract

【課題】 チップシールの表面に低耐摩耗性層を設け、この層によってシール本体の断面形状の歪みを補償することにより、シール性を向上させる。
【解決手段】 固定スクロール3と旋回スクロール8のシール溝7,12には、紐状のシール用原材料23を渦巻状に湾曲させて装着することにより、チップシール20をそれぞれ設ける。また、チップシール20のシール本体21の表面には、これよりも耐摩耗性が低い材料によって形成された低耐摩耗性層22を設ける。そして、低耐摩耗性層22は、チップシール20が湾曲したことによってシール本体21の断面形状が歪んだとしても、この歪みを補償するように適度に偏摩耗し、相手方の鏡板4,9と面接触した状態を保持する。これにより、チップシール20の曲率が大きな内径部20A等でも、高いシール性を得ることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、空気圧縮機、真空ポンプ等に用いて好適なスクロール式流体機械にに関する。
一般に、スクロール式流体機械としては、例えばモータ等の駆動源によって一方のスクロールを他方のスクロールに対して旋回運動させることにより、空気等を圧縮するようにしたスクロール式圧縮機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−23801号公報
この種の従来技術によるスクロール式圧縮機は、鏡板の歯底面に渦巻状のラップ部が立設された固定スクロールと、該固定スクロールに対向して設けられ、鏡板の歯底面に該固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成する渦巻状のラップ部が立設された旋回スクロールとを備えている。
また、固定スクロールと旋回スクロールのラップ部は、鏡板の内径側から外径側に向けて渦巻状に巻回され、その歯先面には、ラップ部の長さ方向に沿って延びる渦巻状のシール溝が開口している。そして、これらのシール溝内には、各圧縮室の気密性を確保するチップシールが設けられている。
ここで、チップシールは、耐熱性、耐摩耗性、摺動性等の条件を満たすために、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を含む樹脂材料によって形成されている。また、チップシールの断面形状(横断面)は、例えばシール溝の溝形状よりも一回り小さな長方形状に形成されている。
そして、チップシールの断面形状を構成する四辺のうちの一辺は、圧縮機の運転時に相手方の鏡板の歯底面に面接触するシール面となり、このシール面は、相手方の歯底面に摺接することによってシール性を発揮する構成となっている。
また、一般に、PTFEを含む樹脂材料は、渦巻状のチップシールとして射出成形するのが難しい。このため、従来技術では、シール溝に装着する前のチップシールを、例えば可撓性を有する細長い紐状のシール用原材料として予め樹脂成形しておき、圧縮機の組立時には、このシール用原材料を渦巻状に湾曲させながら、シール溝に嵌め込む構成としている。
一方、他の従来技術として、チップシールをシール溝に装着したときに、その断面形状が平行四辺形や台形となるように構成したものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開平7−119669号公報
ところで、上述の特許文献1に記載された従来技術では、例えばPTFEを含む紐状のシール用原材料を湾曲させることにより、これを渦巻状のチップシールとしてシール溝に嵌め込む構成としている。この場合、シール溝の曲率は外径側で小さく、内径側に向けて徐々に大きくなるから、シール溝の外径側には、シール用原材料を緩やかに湾曲させるだけで嵌め込むことができる。
しかし、シール溝の内径側には、シール用原材料を折曲げるように極端に湾曲させた状態で嵌め込む必要がある。このような湾曲部位では、例えばシール用原材料の断面形状が潰れることによって平行四辺形や台形状に歪んでしまい、これによってチップシールのシール面が相手方の歯底面に対して斜めに傾斜した状態となることがある。
このため、特許文献1の従来技術では、圧縮運転を行うときに、チップシールの先端側の一部だけが相手方の歯底面に摺接した状態(片当り状態)となることがある。この状態では、チップシールが十分に機能できずに圧縮性能が低下したり、シールの耐久性が低下するという問題がある。
一方、特許文献2に記載された従来技術では、チップシールをシール溝に装着したときに、その断面形状が平行四辺形や台形となるように構成している。しかし、この場合には、チップシールを渦巻状に湾曲させたときに生じる断面形状の歪み等を考慮していない。
このため、特許文献2の従来技術でも、例えば紐状のシール用原材料を湾曲させてシール溝に嵌め込んだときに、その断面形状に想定外の歪み、変形等が生じ易い。また、チップシールの断面形状が常に平行四辺形や台形に保持されているから、その角隅部で片当り状態が生じ易くなり、特許文献1の場合と同様の問題が生じる。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、チップシールの断面形状の歪み等を補償することができ、チップシールと鏡板とを安定的に摺接させることができ、圧縮性能や耐久性を向上できるようにしたスクロール式流体機械を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明は、鏡板の内径側から外径側に向けて渦巻状のラップ部が立設された一方のスクロールと、該一方のスクロールに対向して設けられ鏡板に該一方のスクロールのラップ部と重なり合う渦巻状のラップ部が立設された他方のスクロールと、前記各スクロールのラップ部のうち少なくとも一方のラップ部の歯先面に開口して設けられた渦巻状のシール溝と、該シール溝内に装着されて相手方の鏡板に摺接するチップシールとを備えてなるスクロール式流体機械に適用される。
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記チップシールは、前記シール溝に沿って渦巻状に延びるシール本体と、該シール本体よりも耐摩耗性が低く少なくとも相手方の鏡板と摺接する位置で該シール本体の表面を覆う低耐摩耗性層とによって構成したことにある。
また、請求項2の発明によると、前記シール本体はポリテトラフルオロエチレンを含んだ樹脂材料により形成し、前記低耐摩耗性層は二硫化モリブデンを含んだ材料により形成する構成としている。
請求項1の発明によれば、チップシールをシール溝に装着した状態では、低耐摩耗性層の少なくとも一部を相手方の鏡板と摺接させることができる。このとき、例えばシール本体の断面形状の歪み等が原因となって、低耐摩耗性層が傾いた状態で相手方の鏡板と部分的に摺接していたとしても、短期間の初期運転等によって低耐摩耗性層の摺接部位だけを早期に偏摩耗させることができる。
これにより、初期運転後の低耐摩耗性層を相手方の鏡板と面接触した状態に保持することができ、低耐摩耗性層と鏡板とを容易に馴染ませることができる。このため、シール本体の断面形状に歪みが生じ易い内径部等においても、この歪みを低耐摩耗性層の摩耗変形によって補償することができる。
従って、チップシールを、内径部から外径部にわたって相手方の鏡板と安定的に面接触させることができる。また、低耐摩耗性層が摩耗によって消失したときには、これよりも硬質なシール本体を鏡板と長期間にわたって安定的に摺接させることができる。これにより、シール本体の断面形状が歪んでいたとしても、圧縮運転時に高いシール性を発揮させることができ、シール不良等による空気漏れを抑えることができるから、圧縮性能や耐久性を向上させることができる。
また、請求項2の発明によれば、低耐摩耗性層を形成する材料として、二硫化モリブデンを含み耐摩耗性が低い材料を用いることができ、PTFE等からなるシール本体よりも摩耗し易い材料によって低耐摩耗性層を形成することができる。これにより、初期状態のチップシールを用いて圧縮運転を行うときには、低耐摩耗性層のうち不要な部位だけを意図的に摩耗させることができ、低耐摩耗性層と鏡板とを早期に馴染ませることができる。
以下、本発明の実施の形態によるスクロール式流体機械として、車載型の空気圧縮機を例に挙げ、図1ないし図10を参照して詳細に説明する。
図中、1は圧縮機の外殻を構成するケーシングで、該ケーシング1は、軸方向一側が開口した有底筒状に形成され、その軸方向他側には、出力軸2Aを有するモータ2が取付けられている。また、本実施の形態のスクロール式空気圧縮機は、例えば自動車等の車両に空圧アクチュエータとして搭載される小型の圧縮機となっている。
3はケーシング1の軸方向一側に設けられた固定スクロールで、該固定スクロール3は、例えばアルミニウム等の金属材料、またはその合金等を用いて形成され、円板状の鏡板4と、該鏡板4の歯底面4Aに軸方向に向けて立設された渦巻状のラップ部5と、鏡板4の外周側に設けられ、該ラップ部5を取囲む筒状の支持部6とによって大略構成されている。
ここで、ラップ部5は、図2に示す如く、例えば最内径端を巻始め端として、最外径端を巻終り端としたときに、内径側から外径側に向けて例えば3巻前,後の渦巻状に巻回されている。そして、ラップ部5の歯先面5Aは、図3に示す如く、後述する旋回スクロール8のラップ部10と同様に、相手方となる鏡板9の歯底面9Aから一定の寸法だけ軸方向に離間し、この歯先面5Aには後述のシール溝7が設けられている。
7はラップ部5の歯先面5Aに開口して設けられたシール溝で、該シール溝7は、後述のチップシール20が装着されるものである。ここで、シール溝7は、図2、図10に示す如く、後述のシール溝12とほぼ同様に、渦巻状の凹溝として形成され、ラップ部5の長さ方向に延びている。
また、シール溝7の断面形状(横断面)は、図3に示す如く、例えば略コ字状または四角形状に形成されている。そして、シール溝7は、底面7Aと、該底面7Aの径方向内側に位置する内側壁面7Bと、底面7Aの径方向外側に位置する外側壁面7Cとを有している。
8は固定スクロール3に対向してケーシング1内に旋回可能に設けられた旋回スクロールで、該旋回スクロール8は、固定スクロール3とほぼ同様に、例えばアルミニウム等の金属材料、またはその合金等を用いて形成されている。
そして、旋回スクロール8は、図1に示す如く、表面側が歯底面9Aとなった円板状の鏡板9と、該鏡板9の歯底面9Aから固定スクロール3の鏡板4に向けて軸方向に立設された渦巻状のラップ部10と、鏡板9の裏面中央に突設され、後述の駆動軸13が連結されるボス部11とによって構成されている。
ここで、ラップ部10は、図2、図3に示す如く、内径側から外径側に向けて例えば3巻前,後の渦巻状に巻回されている。そして、ラップ部10の歯先面10A側には、底面12A、内側壁面12Bおよび外側壁面12Cを有するシール溝12が設けられ、このシール溝12にはチップシール20が装着されている。
13はケーシング1内に軸受等を介して回転可能に設けられた駆動軸で、該駆動軸13は、図1に示す如く、基端側がモータ2の出力軸2Aに取付けられ、モータ2によって回転駆動される。また、駆動軸13の先端側には、偏心ブッシュ14と旋回軸受15とを介して旋回スクロール8のボス部11が旋回可能に連結されている。この偏心ブッシュ14は、ボス部11と駆動軸13とを径方向に偏心させた状態で互いに連結するものである。
これにより、駆動軸13が回転するときには、その軸線を中心として旋回スクロール8が一定の旋回半径で旋回運動を行う。この場合、ケーシング1と旋回スクロール8の背面側との間には、旋回スクロール8が旋回運動時に自転するのを防止する例えば3個の自転防止機構16(1個のみ図示)が設けられている。
また、旋回スクロール8は、固定スクロール3に対し例えば180度ずらして重なり合うように配設され、両者のラップ部5,10間には、外径側から内径側(中央)にかけて複数の圧縮室17が画成されている。そして、圧縮機の運転時には、固定スクロール3に設けられた吸込口18から外径側の圧縮室17内に空気を吸込みつつ、この空気を各圧縮室17内で順次圧縮し、最後に、中央側の圧縮室17内に収容された圧縮空気を、固定スクロール3に設けられた吐出口19から外部に吐出する。
次に、固定スクロール3と旋回スクロール8のシール溝7,12内にそれぞれ装着されたチップシール20について説明する。
まず、旋回スクロール8のシール溝12に装着されたチップシール20を例に挙げて説明すると、このチップシール20は、旋回スクロール8のラップ部10と、相手方となる固定スクロール3の鏡板4との間をシールするものである。
ここで、チップシール20は、可撓性を有する後述のシール用原材料23を渦巻状に湾曲させてシール溝12に装着したものであり、図2に示す如く、シール溝12の内径側と外径側のうち曲率が大きな内径側に装着された内径部20Aと、曲率が小さな外径側に装着された外径部20Bとを有している。また、チップシール20は、後述のシール本体21と低耐摩耗性層22とによって構成されている。
そして、チップシール20は、図3ないし図6に示す如く、圧縮機の運転時にシール溝7,12の内周側に圧縮空気が流入すると、この圧縮空気の押圧力A,Bによって相手方の鏡板4とシール溝7の外側壁面7Cとに押付けられた状態となり、これによってシール性を発揮する。
一方、固定スクロール3のシール溝7に装着されたチップシール20は、相手方となる旋回スクロール8(鏡板9)の歯底面9Aとの間をシールするもので、このチップシール20についても、旋回スクロール8側のチップシール20と同様に構成されている。
21はチップシール20の本体部分を構成するシール本体で、該シール本体21は、例えば耐熱性、耐摩耗性、摺動性に優れた樹脂材料として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を含む樹脂材料を用いて形成され、シール溝12の長さ方向に沿って渦巻状に延びている。
また、シール本体21は、図3ないし図6に示すように略四角形の断面形状を有し、シール溝12の底部側に配置される底面21Aと、該底面21Aと対向してシール溝12の開口側に配置されるシール面21Bと、底面21Aとシール面21Bとを内周側で接続する内周面21Cと、底面21Aとシール面21Bとを外周側で接続する外周面21Dとを備えている。
22はシール本体21の表面に設けられた低耐摩耗性層を示し、該低耐摩耗性層22は、固定スクロール3の鏡板4と摺接することによって適度に摩耗し、鏡板4の歯底面4Aに面接触した状態(鏡板4に馴染んだ状態)となるものである。
ここで、低耐摩耗性層22は、固定スクロール3及びシール本体21よりも耐摩耗性が低い(磨耗し易い)材料を用いて形成されている。このような材料の具体例として、低耐摩耗性層22は、例えば二硫化モリブデンを含んだ材料、またはPTFEよりも耐磨耗性が低い他のフッ素樹脂を含んだ材料等によって形成されている。これらの低耐摩耗性材料は、後述の如くシール本体21の表面に吹付けたり、塗布することにより、適度な厚さもつ被膜として形成されている。
また、低耐摩耗性層22は、図3、図5に示す如く、初期状態(固定スクロール3の鏡板4に馴染む前の状態)において、シール本体21の四辺を覆いつつ、その全長にわたって延びている。即ち、低耐摩耗性層22は、シール本体21の底面21A、シール面21B、内周面21C及び外周面21Dをそれぞれ覆う底部22A、シール部22B、内周部22C及び外周部22Dによって構成されている。
そして、初期状態のシール部22Bは、例えばチップシール20の内径部20A等において、シール本体21の断面形状の歪みに応じて傾いた状態となっている。この場合、チップシール20の内径部20Aでは、シール本体21が大きな曲率で湾曲することによってその断面形状が平行四辺形や台形状に歪んでしまうことがあり、シール部22Bはこの歪みに伴って斜めに傾斜している。
この状態で、圧縮機の運転(初期運転等)を行うと、シール部22Bは、後述の如く圧縮空気の押圧力A等を受けることにより、鏡板4と偏接触(片当り)しつつ摺動し、その接触部位だけが大きな面圧を受けて摩耗する。特に、チップシール20の内径部20Aでは、圧縮熱等によって温度が上昇するから、シール部22Bの摩耗が進行し易い。
これにより、初期運転が済んだ後のシール部22Bは、図4に示す如く、例えば斜めに偏摩耗したシール部22B′となり、このシール部22B′は鏡板4と面接触した状態を保持する。このように、シール部22B′は、シール本体21の断面形状の歪みを補償して相手方の鏡板4に馴染むことにより、シール性を高めることができる。
一方、チップシール20の外径部20Bでは、シール本体21が比較的緩やかに湾曲しているため、シール本体21の断面形状には、図5に示す如く、大きな歪みが生じていないことが多い。この結果、外径部20Bのシール部22Bは、初期状態でも鏡板4と面接触し易くなる。
そして、圧縮機を使用し続けると、外径部20Bのシール部22Bは、全体的にほぼ均等に摩耗し、最終的には、図6に示す如く、摩耗によって消失することもある。しかし、この消失部位では、硬質なシール本体21が鏡板4と面接触した状態で摺動するようになるから、チップシール20は、鏡板4と長期間にわたって安定的に面接触し続けることができる。
次に、シール溝7,12に装着する前のチップシールであるシール用原材料23について説明する。このシール用原材料23は、図8、図10に示す如く、可撓性を有する細長い紐状体として形成され、渦巻状に湾曲させた状態でシール溝7,12に装着することによってチップシール20となるものである。
また、シール用原材料23は、図9に示す如く、シール本体21となる母材24と、該母材24の表面に設けられ、低耐摩耗性層22となる低耐摩耗性材料25とによって構成されている。そして、母材24の断面形状は、外力等により変形していない自由状態において、四隅が直角となった四角形状に形成されている。
本実施の形態によるスクロール式空気圧縮機は、上述の如き構成を有するもので、次にチップシール20(シール用原材料23)の形成、装着作業及び初期状態について説明する。
まず、図7に示すように、例えばPTFE等を含む樹脂材料を用いて紐状の母材24を樹脂成形する。そして、例えば二硫化モリブデンを含んだ材料、またはPTFEよりも耐摩耗性が低い他のフッ素樹脂等からなる微粒子状の低耐摩耗性材料25を、スプレー装置26等によって母材24の表面に吹付ける。この工程では、液体状の低耐摩耗性材料25を母材24の表面に塗布する構成としてもよい。
これにより、図8、図9に示すように、母材24の表面に低耐摩耗性材料25の層(被膜)を形成し、シール用原材料23を完成する。そして、このシール用原材料23を、図10に示すように渦巻状に変形させつつ、チップシール20として固定スクロール3と旋回スクロール8のシール溝7,12にそれぞれ装着し、各スクロール3,8を衝合して組立てる。
このとき、チップシール20は、図3、図5に示すように初期状態であるため、その内径部20A等では、シール本体21の歪みによって低耐摩耗性層22のシール部22Bが相手方の鏡板4,9に対して傾いた状態となっている。この状態で圧縮機を初期運転すると、チップシール20は、図4、図6に示す如く、低耐摩耗性層22が適度に偏摩耗することにより、シール面21B側のほぼ全面が鏡板4,9に面接触した状態となる。このため、チップシール20を鏡板4,9に馴染ませることができ、そのシール性能を十分に発揮させることができる。
次に、空気圧縮機の作動について説明すると、まずモータ2によって駆動軸13を回転駆動したときには、駆動軸13の回転が偏心ブッシュ14、旋回軸受15等を介して旋回スクロール8に伝えられる。これにより、旋回スクロール8は、自転防止機構16によって自転を規制された状態で、駆動軸13を中心として旋回運動を行う。
このとき、固定スクロール3のラップ部5と旋回スクロール8のラップ部10との間に画成された圧縮室17は、外径側から内径側に向けて連続的に縮小する。これにより、圧縮機は、吸込口18から吸込んだ外気を各圧縮室17で順次圧縮し、吐出口19から外部のタンク(図示せず)等に向けて圧縮空気を吐出する。
また、圧縮運転時には、各シール溝7,12の内周側に位置する圧縮室17の方が外周側に位置する圧縮室17よりも高圧となるため、シール溝7,12の内周側には、図4、図6に示すように圧縮室17から圧縮空気が流入する。
これにより、シール溝7内のチップシール20は、圧縮空気の押圧力Aによって相手方の鏡板9の歯底面9Aに摺接しつつ、押圧力Bによってシール溝7の外側壁面7Cに押付けられた状態となる。また、シール溝12内のチップシール20も同様に、相手方の鏡板4の歯底面4Aに摺接しつつ、シール溝12の外側壁面12Cに押付けられた状態となる。
このとき、チップシール20は、内径部20Aから外径部20Bに至る個々の部位において、低耐摩耗性層22のシール部22B′等が適度に摩耗した状態で相手方の鏡板4,9と面接触する。また、低耐摩耗性層22が摩耗によって消失したときには、これよりも硬質なシール本体21が鏡板4,9と摺動する。このため、チップシール20の全長にわたって高いシール性を発揮することができ、各圧縮室17の気密性を安定的に確保することができる。
かくして、本実施の形態によれば、チップシール20をシール本体21と低耐摩耗性層22とによって構成している。このため、例えばシール本体21の断面形状の歪み等が原因となって、低耐摩耗性層22が傾いた状態で相手方の鏡板4,9と部分的に摺接していたとしても、短期間の初期運転等によって低耐摩耗性層22の摺接部位だけを早期に偏摩耗させることができる。
これにより、初期運転後の低耐摩耗性層22を相手方の鏡板4,9と面接触した状態に保持することができ、低耐摩耗性層22と鏡板4,9とを容易に馴染ませることができる。このため、シール本体21の断面形状に歪みが生じ易いチップシール20の内径部20A等においても、この歪みを低耐摩耗性層22の摩耗変形によって補償することができる。
従って、チップシール20を、内径部20Aから外径部20Bにわたって相手方の鏡板4,9と安定的に面接触させることができる。また、低耐摩耗性層22が摩耗によって消失したときには、これよりも硬質なシール本体21を鏡板4,9と長期間にわたって安定的に摺接させることができる。これにより、シール本体21の断面形状が歪んでいたとしても、圧縮運転時に高いシール性を発揮させることができ、シール不良等による空気漏れを抑えることができるから、圧縮性能や耐久性を向上させることができる。
特に、本実施の形態では、例えばラップ部5,10(シール溝7,12)の内径側の曲率が極端に大きくなる小型の圧縮機に適用しているので、このような小型圧縮機においても、高いシール性能を得ることができる。
また、低耐摩耗性層22を形成する材料として、例えば二硫化モリブデンを含んだ材料、またはPTFEよりも耐摩耗性が低い他のフッ素樹脂を含んだ材料を用いているので、シール本体21よりも摩耗し易い材料によって低耐摩耗性層22を形成することができる。これにより、圧縮機の初期運転を行うときには、低耐摩耗性層22のうち不要な部位だけを意図的に摩耗させることができ、低耐摩耗性層22と鏡板4,9とを早期に馴染ませることができる。
また、シール用原材料23の形成時には、例えば微粒子状の低耐摩耗性材料25を母材24の表面に吹付けるようにしたので、低耐摩耗性材料25の層(被膜)を安定した品質で容易に形成することができ、シール用原材料23の製造を効率よく行うことができる。
なお、前記実施の形態では、シール本体21の四辺に低耐摩耗性層22を設ける構成とした。しかし、本発明の低耐摩耗性層は必ずしも四辺の全てに設ける必要はなく、四辺のうち少なくとも相手方の鏡板4,9と摺接する部位に設ければよいものであり、例えば図11に示す変形例のように構成してもよい。この場合、低耐摩耗性層31は、シール本体21の四辺のうちシール面21Bだけに設けられ、他の底面21A、内周面21C及び外周面21Dでは省略されている。
また、実施の形態では、シール本体21の表面に低耐摩耗性材料25を吹付けたり、塗布することにより、低耐摩耗性層22を形成する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば被膜状または板状に形成した低耐摩耗性層をシール本体21の表面に接着する構成としてもよい。
また、実施の形態では、シール本体21をPTFE等の樹脂材料によって形成し、低耐摩耗性層22は、二硫化モリブデンを含んだ材料、またはPTFEよりも耐摩耗性が低い他のフッ素樹脂を含んだ材料によって形成する構成とした。しかし、本発明のチップシールに用いる材料は実施の形態に限るものではなく、例えばシール本体21をPTFE以外の材料によって構成してもよい。また、低耐摩耗性層も同様に、シール本体よりも耐摩耗性が低い材料であれば、任意の材料を用いてよいものである。
さらに、実施の形態では、固定スクロール3と旋回スクロール8のラップ部5,10にチップシール20をそれぞれ設ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、ラップ部5,10の一方だけにチップシールを設け、他方のチップシールを省略する構成としてもよい。
一方、実施の形態では、スクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば真空ポンプ、冷媒圧縮機等にも広く適用できるものである。
本発明の実施の形態によるスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。 各スクロールのラップ部等を図1中の矢示II−II方向から拡大してみた断面図である。 チップシールの内径部が相手方の歯底面に馴染む前の状態を図2中の矢示III−III方向から拡大してみた要部拡大端面図である。 チップシールの内径部が相手方の歯底面に馴染んだ状態を図3と同様位置からみた要部拡大端面図である。 チップシールの外径部が相手方の歯底面に馴染む前の状態を図2中の矢示V−V方向から拡大してみた要部拡大端面図である。 チップシールの外径部が相手方の歯底面に馴染んだ状態を図5と同様位置からみた要部拡大端面図である。 チップシールとなるシール用原材料の母材に低耐摩耗性材料を吹付ける状態を示す斜視図である。 シール用原材料を示す斜視図である。 シール用原材料を図8中の矢示IX−IX方向から拡大してみた拡大断面図である。 シール用原材料を湾曲させることによりチップシールとしてシール溝に装着する状態を示す斜視図である。 本発明の変形例によるスクロール式空気圧縮機を図3と同様位置からみた要部拡大端面図である。
符号の説明
1 ケーシング
2 モータ
3 固定スクロール
4,9 鏡板
4A,9A 歯底面
5,10 ラップ部
5A,10A 歯先面
7,12 シール溝
7A,12A 底面
7B,12B 内側壁面
7C,12C 外側壁面
8 旋回スクロール
13 駆動軸
16 自転防止機構
17 圧縮室
18 吸込口
19 吐出口
20 チップシール
20A 内径部
20B 外径部
21 シール本体
21A 底面
21B シール面
21C 内周面
21D 外周面
22,31 低耐摩耗性層
22A 底部
22B,22B′ シール部
22C 内周部
22D 外周部
23 シール用原材料

Claims (2)

  1. 鏡板の内径側から外径側に向けて渦巻状のラップ部が立設された一方のスクロールと、該一方のスクロールに対向して設けられ鏡板に該一方のスクロールのラップ部と重なり合う渦巻状のラップ部が立設された他方のスクロールと、前記各スクロールのラップ部のうち少なくとも一方のラップ部の歯先面に開口して設けられた渦巻状のシール溝と、該シール溝内に装着されて相手方の鏡板に摺接するチップシールとを備えてなるスクロール式流体機械において、
    前記チップシールは、前記シール溝に沿って渦巻状に延びるシール本体と、該シール本体よりも耐摩耗性が低く少なくとも相手方の鏡板と摺接する位置で該シール本体の表面を覆う低耐摩耗性層とによって構成したことを特徴とするスクロール式流体機械。
  2. 前記シール本体はポリテトラフルオロエチレンを含んだ樹脂材料により形成し、前記低耐摩耗性層は二硫化モリブデンを含んだ材料により形成してなる請求項1に記載のスクロール式流体機械。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8057202B2 (en) 2007-10-23 2011-11-15 Tecumseh Products Company Tip seal for a scroll compressor
CN105579707A (zh) * 2013-09-27 2016-05-11 大丰工业株式会社 涡旋构件和涡旋型流体机器
WO2017208829A1 (ja) * 2016-05-30 2017-12-07 サンデン・オートモーティブコンポーネント株式会社 スクロール型流体機械
GB2595892A (en) * 2020-06-10 2021-12-15 Edwards Ltd Vacuum pump

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