本発明におけるフェノール類(A)としては、芳香族化合物に水酸基を持つものである限り、特に限定されるものではなく、例えば、フェノール、あるいはα−ナフトール、β−ナフトール等のナフトール類、ビスフェノールフルオレン型フェノール、あるいはクレゾール、キシレノール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール等のアルキルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシン、カテコール等の多価フェノール類、フェニルフェノール、アミノフェノール等が挙げられる。又、これらのフェノール類は、その使用にあたって一種類に限定されるものではなく、2種類以上の併用も可能である。
本発明における芳香族類(B)は、上記したフェノール類(A)を除く一または二以上の芳香族化合物である。芳香族類(B)は、フェノール類(A)と反応して化学結合できるものである限り、特に限定されるものではないが、次の一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
(式中、R1はビフェニル誘導体、フェニレン誘導体、ナフタレン誘導体、ビフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、ビスフェノールフルオレン誘導体のいずれかを表し、Xはハロゲン原子、水酸基、炭素数10以下のアルコキシル基のいずれかを表す。)ここでビフェニル誘導体とは、置換または無置換のビフェニルから誘導される2価の基をいう。ビフェニルの置換基としては、たとえば、アリル基をはじめとする炭素数1〜6の不飽和結合を含む鎖式構造の炭化水素基、炭素数1〜6のアルキル基等が挙げられる。フェニレン誘導体とは、置換または無置換のフェニレンから誘導される2価の基をいう。フェニレンの置換基としては、たとえば、アリル基をはじめとする炭素数1〜6の不飽和結合を含む鎖式構造の炭化水素基、炭素数1〜6のアルキル基等が挙げられる。フェニレン誘導体には、ジフェニルエーテルから誘導される2価の基、ビスフェノールAから誘導される2価の基、ビスフェノールSから誘導される2価の基およびビスフェノールFから誘導される2価の基を含む。ナフタレン誘導体とは、置換または無置換のナフタレンから誘導される2価の基をいう。ナフタレンの置換基としては、たとえば、アリル基をはじめとする炭素数1〜6の不飽和結合を含む鎖式構造の炭化水素基、炭素数1〜6のアルキル基等が挙げられる。ビフェニレン誘導体とは、置換または無置換のビフェニレンから誘導される2価の基をいう。ビフェニレンの置換基としては、たとえば、アリル基をはじめとする炭素数1〜6の不飽和結合を含む鎖式構造の炭化水素基、炭素数1〜6のアルキル基等が挙げられる。フルオレン誘導体とは、置換または無置換のフルオレンから誘導される2価の基をいう。フルオレンの置換基としては、たとえば、アリル基をはじめとする炭素数1〜6の不飽和結合を含む鎖式構造の炭化水素基、炭素数1〜6のアルキル基等が挙げられる。ビスフェノールフルオレン誘導体とは、置換または無置換のビスフェノールフルオレンから誘導される2価の基をいう。ビスフェノールフルオレンの置換基としては、たとえば、アリル基をはじめとする炭素数1〜6の不飽和結合を含む鎖式構造の炭化水素基、炭素数1〜6のアルキル基等が挙げられる。また、R1をアントラセン誘導体とすることもできる。アントラセン誘導体とは、置換または無置換のアントラセンから誘導される2価の基をいう。アントラセンの置換基としては、たとえば、アリル基をはじめとする炭素数1〜6の不飽和結合を含む鎖式構造の炭化水素基、炭素数1〜6のアルキル基等が挙げられる。このうち、R1がビフェニル誘導体またはフェニレン誘導体であることが好ましい。このようにすれば、適度に低い架橋密度を持つ熱硬化性樹脂組成物が得られる点で好ましく、着火時において耐熱分解性に優れたゴム状の発泡層が一層好適に形成される。さらに、ビフェニルとその誘導体やフェニレンとその誘導体は疎水性に優れるので、これらを導入すると樹脂組成物の耐湿性も大幅に改良される。
さらに、本発明における芳香族類(B)は、フェノール類(A)と反応して化学結合できるものである限り、特に限定されるものではないが、前記一般式(1)で表される化合物のメチレン鎖(-CH2-)の炭素原子に結合した水素原子が、他の置換基(R’)で置換された下記式で表される化合物でもよい。この置換基(R’)としては、例えば、炭素数1〜10の炭化水素基及び/又は炭素数1〜10のアルコキシル基が好ましい。さらに、他の炭化水素を主体とする重合物であってもよい。
本発明におけるヘテロ原子として窒素を含む複素環式化合物(C)は、不燃性ガスの発生源となるものであり、窒素を1乃至複数個含み、さらにヘテロ原子としてイオウなどの他の原子が含まれていてもよい。中でも、特に、ヘテロ原子として窒素を含む複素環式化合物(C)がトリアジン類であることが好ましい。トリアジン類とはトリアジン環を有する化合物群をいい、本発明では1または2以上のトリアジン環を有する化合物を用いることができる。これらの化合物を用いれば、効率的に不燃性の窒素系ガスを放出することができる。
ここでトリアジン類は、少なくとも一つのアミノ基を有することが好ましい。このようにすれば、トリアジン類と、フェノール類(A)及びフェノール類を除く芳香族類(B)を反応して得られる多芳香族類とを、アルデヒド類(D)を介して容易に縮合させることができる。
本発明においてトリアジン類は、次の一般式(2)及び/又は(3)で表される化合物とすることが好ましい。これにより一層効率的に不燃性の窒素系ガスを放出させることができる。
(式中、R2、R3、R4は、アミノ基、フェニル基、炭素数1〜12のアルキル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシルアルキル基、エーテル基、エステル基、カルボキシル基、不飽和炭化水素基、シアノ基、チオール基、ハロゲン原子のいずれかを表す。ただし、式中、R2、R3、R4が、アルキル基で置換される場合には、式中に含まれるアルキル基の数は2つ以下として、その他を上述の反応性官能基とすることが好ましい。)
(式中、R5、R6、R7は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシルアルキル基、エステル基、カルボキシル基、不飽和炭化水素基、シアノ基、ハロゲン原子のいずれかを表す。ただし、式中、R2、R3、R4が、アルキル基で置換される場合には、式中に含まれるアルキル基の数は2つ以下として、その他を上述の反応性官能基とすることが好ましい。)前述のように一般式(2)中、R2、R3、R4のうち少なくとも一つがアミノ基であることが好ましい。一般式(2)で示される化合物としては、具体的には、ベンゾグアナミン、アセトグアナミンあるいはメラミン等のトリアジン誘導体、シアヌル酸、あるいはメチルシアヌレート、エチルシアヌレート、アセチルシアヌレート、塩化シアヌル等のシアヌル酸誘導体等が挙げられる。これらの中でも、R2、R3、R4のうちいずれか二つ又は三つがアミノ基である、ベンゾグアナミン(下記式(4))、アセトグアナミン(下記式(5))、メラミン(下記式(6))等のトリアジン誘導体が、より好ましい。これらの中でも特にベンゾグアナミンが好ましく、この化合物を用いると、本発明の難燃性樹脂材料を合成する場合に、フェノール類(A)及びフェノール類を除く芳香族類(B)を反応して得られる多芳香族類や、アルデヒド類(D)と、相溶しやすいので、効率的に反応が進むとともに、本発明の難燃性樹脂材料の耐湿性をより向上できる。
また、一般式(3)中、R5、R6、R7のうち少なくとも一つが、水素原子であることが好ましい。一般式(3)で示される化合物としては、具体的には、イソシアヌル酸、メチルイソシアヌレート、エチルイソシアヌレート、アリルイソシアヌレート、2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、2−カルボキシルエチルイソシアヌレート、塩素化イソシアヌル酸等のイソシアヌル酸誘導体等が挙げられる。これらの中でも、R5、R6、R7のすべてが、水素原子であるイソシアヌル酸が最も好ましい。又、この互変異性体である一般式(2)で表される化合物にあたる、シアヌル酸も同様に好ましい化合物である。
これらの、一般式(2)、(3)で表される化合物も、使用にあたって1種類のみに限定されるものではなく、2種類以上の併用も可能である。
本発明におけるアルデヒド類(D)は、特に限定されるものではないが、取扱いが容易であることから、ホルムアルデヒドが好ましい。ホルムアルデヒドとしては、特に限定するものではないが、代表的な供給源として、ホルマリン、パラホルムアルデヒド等が挙げられる。
本発明の難燃性フェノール系樹脂材料は、以上述べた(A)〜(D)の成分を縮合させたフェノール系縮合体を含む。また、本発明の難燃性エポキシ樹脂材料は、このフェノール系縮合体をグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂を含む。
本発明の難燃性フェノール系樹脂材料に対しエポキシ樹脂をさらに含有させることにより、難燃性、配合安定性、耐熱性および耐湿性などの諸物性に優れた樹脂組成物が得られる。この場合、本発明のフェノール系縮合体はエポキシ樹脂組成物用の硬化剤となる。
同様に、本発明の難燃性エポキシ樹脂材料に対し、エポキシ樹脂用の硬化剤をさらに含有させることにより、難燃性、配合安定性、耐熱性および耐湿性などの諸物性に優れた樹脂組成物が得られる。
本発明の難燃性樹脂材料は、エポキシ樹脂組成物の難燃化に特に効果的である。本発明の難燃性樹脂材料を含有するエポキシ樹脂組成物の母材となるエポキシ樹脂やエポキシ樹脂用硬化剤としては、ノボラック構造を含むエポキシ樹脂やノボラック構造を含むフェノール系樹脂が好ましく、さらに、ノボラック構造の主鎖骨格に芳香環を持つフェノールアラルキル型のエポキシ樹脂やフェノール系樹脂がより好ましい。前記フェノールアラルキル型のエポキシ樹脂やフェノール系樹脂として、例えば、フェノールビフェニルアラルキル型のエポキシ樹脂やフェノール系樹脂、フェノールフェニレンアラルキル型のエポキシ樹脂やフェノール系樹脂、フェノールジフェニルエーテルアラルキル型のエポキシ樹脂やフェノール系樹脂、ナフトールアラルキル型のエポキシ樹脂やフェノール系樹脂及び、フェノールアントラセンアラルキル型のエポキシ樹脂やフェノール系樹脂の内少なくとも一つを、エポキシ樹脂組成物の母材に用いると、難燃性、耐熱性及び耐湿性等の諸物性に特に優れたエポキシ樹脂組成物が得られる。
以上のように、本発明の難燃性樹脂材料と、エポキシ樹脂及び/又はエポキシ樹脂用硬化剤を併用することが効果的であり、これにより、たとえば半導体装置の封止材やプリント基板用絶縁材料として好適な樹脂組成物を与えることができる。
本発明の難燃性樹脂材料は、エポキシ樹脂組成物以外の、他の樹脂組成物の難燃化にも効果的である。特に、本発明の難燃性樹脂材料が良好に相溶又は均一に分散できる、芳香環を主鎖骨格に有する芳香族系熱硬化性樹脂、例えば、フェノール樹脂やポリエステルを母材とする樹脂組成物、さらに芳香環を主鎖骨格に有する芳香族系熱可塑性樹脂、例えばポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリルとスチレンの共重合体(AS)、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンの共重合体(ABS)、ポリフェニレンエーテル及びポリブチレンテレフタレート、さらにナイロン等及び、これらのうち少なくとも二種類から成るポリマーアロイを母材とする樹脂組成物に対して効果的である。さらに、オレフィン類を母材とする樹脂組成物にも効果があり、分散剤との併用で、より高い難燃化の効果が得られる。
本発明の難燃性フェノール系樹脂材料は、上記(A)〜(D)成分を一分子中に含むという特有な構造の縮合体を用いることを特徴としている。従って、その分子量等については特に制限はなく、フェノール系縮合体として、分子量等の異なる数種類のものが含まれていても良い。
同様に、本発明の難燃性エポキシ樹脂材料は、上記(A)〜(D)成分を一分子中に含むという特有な構造の縮合体を用いることを特徴としている。従って、その分子量等については特に制限はなく、エポキシ樹脂として、分子量等の異なる数種類のものが含まれていても良い。
本発明の難燃性樹脂組成物は、上記難燃性フェノール系樹脂材料または難燃性エポキシ樹脂材料を含むものであるが、これらの両方を含んでいても良い。ここで、本発明の難燃性樹脂組成物は、芳香環を主鎖骨格に有する芳香族系熱硬化性樹脂または芳香族系熱可塑性樹脂をさらに含有するものであることが好ましく、特に、上記芳香族系熱硬化性樹脂を含有するものであることが好ましい。これらの樹脂は、本発明の難燃性樹脂材料に対し良好な相溶性を示すことから、着火時に、均一で極めて安定な発泡層が得られ、顕著な難燃作用が得られるためである。特に、上記芳香族系熱硬化性樹脂が、ノボラック構造を含むエポキシ樹脂及び/又はノボラック構造を含むフェノール系樹脂である場合、たとえば、上記芳香族系熱硬化性樹脂が、ノボラック構造の主鎖骨格に芳香環を有するフェノールアラルキル型のエポキシ樹脂及び/又はノボラック構造の主鎖骨格に芳香環を有するフェノールアラルキル型のフェノール系樹脂である場合に、一層顕著な難燃作用が得られる。ここで、フェノールアラルキル型のエポキシ樹脂及び前記フェノールアラルキル型のフェノール系樹脂は、主鎖骨格に、ビフェニル誘導基及び/又はフェニレン誘導基を含むものであることが好ましい。なお、これらの芳香族系熱硬化性樹脂は、樹脂組成物中において母材樹脂として用いられることが望ましい。これらの相乗作用によって、難燃性の改善効果が顕著となるからである。
以下、本発明に係るフェノール系縮合体の代表的な製造方法について説明する。ただし、製造方法はこれに限定されるものではない。
まず、フェノール類(A)と芳香族類(B)を、酸触媒の存在下で縮合反応させて、一般式(7)で表される縮合体を得る。上記縮合反応を行う場合、フェノール類(A)の使用量は、芳香族類(B)で表される化合物1モルに対して、通常0.3〜20モル、好ましくは、0.4〜15モルである。
式中、nは、0.0〜10の数値を示すが、0.0〜3.0がより好ましく、0.0〜1.0であることが特に好ましい。R0OHは、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、ビスフェノールフルオレン誘導体、または、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシン、カテコール等の多価フェノール類の誘導体、アルキルフェノール類の誘導体のいずれかを表す。R1はビフェニル誘導体、フェニレン誘導体、ナフタレン誘導体、ビフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、ビスフェノールフルオレン誘導体のいずれかを表す。ここでビフェニル誘導体とは、置換または無置換のビフェニルから誘導される2価の基をいう。ビフェニルの置換基としては、たとえば、アリル基をはじめとする炭素数1〜6の不飽和結合を含む鎖式構造の炭化水素基、炭素数1〜6のアルキル基等が挙げられる。フェニレン誘導体とは、置換または無置換のフェニレンから誘導される2価の基をいう。フェニレンの置換基としては、たとえば、アリル基をはじめとする炭素数1〜6の不飽和結合を含む鎖式構造の炭化水素基、炭素数1〜6のアルキル基等が挙げられる。フェニレン誘導体には、ジフェニルエーテルから誘導される2価の基、ビスフェノールAから誘導される2価の基、ビスフェノールSから誘導される2価の基およびビスフェノールFから誘導される2価の基を含む。ナフタレン誘導体とは、置換または無置換のナフタレンから誘導される2価の基をいう。ナフタレンの置換基としては、たとえば、アリル基をはじめとする炭素数1〜6の不飽和結合を含む鎖式構造の炭化水素基、炭素数1〜6のアルキル基等が挙げられる。ビフェニレン誘導体とは、置換または無置換のビフェニレンから誘導される2価の基をいう。ビフェニレンの置換基としては、たとえば、アリル基をはじめとする炭素数1〜6の不飽和結合を含む鎖式構造の炭化水素基、炭素数1〜6のアルキル基等が挙げられる。フルオレン誘導体とは、置換または無置換のフルオレンから誘導される2価の基をいう。フルオレンの置換基としては、たとえば、アリル基をはじめとする炭素数1〜6の不飽和結合を含む鎖式構造の炭化水素基、炭素数1〜6のアルキル基等が挙げられる。ビスフェノールフルオレン誘導体とは、置換または無置換のビスフェノールフルオレンから誘導される2価の基をいう。ビスフェノールフルオレンの置換基としては、たとえば、アリル基をはじめとする炭素数1〜6の不飽和結合を含む鎖式構造の炭化水素基、炭素数1〜6のアルキル基等が挙げられる。また、R1をアントラセン誘導体とすることもできる。アントラセン誘導体とは、置換または無置換のアントラセンから誘導される2価の基をいう。アントラセンの置換基としては、たとえば、アリル基をはじめとする炭素数1〜6の不飽和結合を含む鎖式構造の炭化水素基、炭素数1〜6のアルキル基等が挙げられる。一般式(7)の縮合体としては、例えば、以下の式(8)〜(18)で表されるものがあるが、特にこれらに限定されるものではない。
上記縮合反応においては、酸触媒を用いる。酸触媒としては、種々のものが使用できるが、p−トルエンスルホン酸、硫酸、塩酸、シュウ酸等の有機あるいは無機酸、三弗化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸が好ましく、特に、p−トルエンスルホン酸、硫酸、塩酸が好ましい。これら酸触媒の使用量は、特に限定されるものではないが、式(1)で表される芳香族類(B)に対し、0.1〜30重量%用いるのが好ましい。
上記縮合反応は、無溶剤下で、あるいは有機溶剤の存在下で行うことができる。使用できる有機溶剤の具体例としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。有機溶剤の使用量は、仕込んだ原料の総重量に対して、通常50〜300重量%、好ましくは、100〜250重量%である。反応温度は、通常40〜180℃、反応時間は、通常1〜10時間である。これらの有機溶剤は、単独で、あるいは数種類を混合して用いることができる。また、反応中に生成する水あるいは、アルコール類等を系外に分留管等を用いて留去することは、反応を速やかに行う上で好ましい。
反応終了後、反応混合物の洗浄液のpH値が、3〜7、好ましくは5〜7になるまで水洗処理を行う。水洗処理を行う場合には、必要により、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、リン酸二水素ナトリウム、さらには、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、アニリン、フェニレンジアミン等の有機アミン類等、様々な塩基性物質を中和剤として用いてもよい。また、水洗処理は常法に従って行えばよい。例えば、反応混合物中に、上記中和剤を溶解した水を加えて、分液抽出操作を繰り返す。
中和処理を行った後、減圧加熱下で、溶剤及び未反応物を留去して生成物の濃縮を行い、一般式(7)で表される縮合体を得ることができる。
このように製造された、一般式(7)で代表される縮合体と、ヘテロ原子として窒素を含む複素環式化合物(C)とアルデヒド類(D)とを、系のpH値が、4〜10、好ましくは5〜9の条件下で反応させる。これにより、一般式(7)で代表される縮合体と、ヘテロ原子として窒素を含む複素環式化合物(C)とが、アルデヒド類(D)を介して縮合したフェノール系縮合体が得られる。この時、触媒を用いても、用いなくてもよい。触媒を用いる場合、触媒の種類は、特に限定されるものではないが、塩基性触媒を使用することが好ましい。
この塩基性触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、及びこれらの酸化物、アンモニア、1〜3級アミン類、ヘキサメチレンテトラミン、炭酸ナトリウム等が挙げられる。ただし、電気・電子部品用のエポキシ樹脂組成物の硬化剤として、本発明のフェノール系樹脂を使用する場合には、金属などの無機物が、触媒残として残ると好ましくないので、前記の塩基性触媒のうち、アミン類を使用するのが特に好ましい。
この様な各構成成分の反応順序には、特に制限はなく、一般式(7)で表される縮合体とアルデヒド類(D)をまず反応させてから、ヘテロ原子として窒素を含む複素環式化合物(C)を加えてもよく、逆に、ヘテロ原子として窒素を含む複素環式化合物(C)とアルデヒド類(D)を反応させてから、一般式(7)で表される縮合体を加えて反応させてもよく、さらに、全ての原料を同時に加えて反応させてもよい。この時、一般式(7)で表される縮合体、ヘテロ原子として窒素を含む複素環式化合物(C)、アルデヒド類(D)のモル比は、特に限定されるものではないが、1:(0.1〜10):(0.1〜10)が好ましく、1:(0.2〜5):(0.2〜5)がより好ましい。
また、反応制御の面から、各種溶剤の存在下で反応を行うこともできる。この際、溶剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、N,N'−ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で、あるいは二種類以上を混合して用いることができる。
次に、必要に応じて、中和、水洗して塩類などの不純物を除去する。ただし、触媒にアミン類を使用した場合には、この工程は必要ない。反応終了後、一般式(7)で表される縮合体、ヘテロ原子として窒素を含む複素環式化合物(C)及びアルデヒド類(D)の、未反応物、溶媒等を、常圧蒸留、真空蒸留等の常法に従って除去する。この時、未反応アルデヒド類とメチロール基を実質的に含まない樹脂を得るためには、120℃以上の加熱処理を必要とする。120℃未満の加熱処理では、メチロール基を実質的に消失させることは困難である。また、120℃以上の温度であれば、充分に時間をかけることで、メチロール基を消失させることができるが、効率的に消失させるには、より高い温度、好ましくは150℃以上の加熱処理を行うことが好ましい。この時、高温においては、ノボラック樹脂を得るときの常法に従って、加熱とともに、蒸留することが好ましい。
上記により得られた、本発明のフェノール系縮合体は、樹脂組成物用の難燃剤又は硬化剤等に使用することができる。以下の式(19)〜(30)に、本発明のフェノール系縮合体の具体例を示すが、本発明は、これらに限定されるものではない。
なお、以下の式中、R8は、フェニル基、炭素数1〜12のアルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシルアルキル基、エーテル基、エステル基、カルボキシル基、不飽和炭化水素基、チオール基、シアノ基のいずれかを表す。式中、nは0.0〜10の数値を示すが、0.0〜3.0がより好ましく、0.0〜1.0であることが特に好ましい。また、mは1.0〜10を示すが、1.0〜5.0がより好ましく、1.0〜2.0であることが特に好ましい。
上記により得られたフェノール系縮合体を含む難燃性樹脂材料は、樹脂組成物用の難燃剤又は硬化剤として、その他のフェノール系樹脂やアミン系化合物と組み合わせて使用することができる。併用できるフェノール系樹脂は、特に限定されるものではないが、例えば、フェノールビフェニルアラルキル型樹脂、フェノールフェニレンアラルキル型樹脂、フェノールジフェニルエーテルアラルキル型樹脂、ナフトールアラルキル型樹脂等のナフタレン含有フェノール系樹脂、フェノールアントラセンアラルキル型樹脂、ビスフェノールフルオレン型樹脂、フェノールトリアジン型樹脂、ビフェニル−4,4’−ジヒドロキシエーテールと3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジヒドロキシエーテルの内の少なくとも一つ又は混合物、テトラフェニロールエタン、トリスフェニロールエタン、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールS型樹脂、ポリフェノール型樹脂、脂肪族フェノール樹脂、芳香族エステル型フェノール樹脂、環状脂肪族エステル型フェノール樹脂、エーテルエステル型フェノール樹脂等が挙げられる。併用できるアミン系化合物は、特に限定されるものではないが、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、ジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられる。これらのフェノール系樹脂やアミン系化合物を、単独又は数種類混合して用いても差し支えない。これらの中で、フェノールビフェニルアラルキル型樹脂、フェノールフェニレンアラルキル型樹脂、フェノールジフェニルエーテルアラルキル型樹脂、ナフトールアラルキル型樹脂が特に好ましい。
次に、本発明の難燃性エポキシ樹脂材料について説明する。この難燃性エポキシ樹脂材料に含まれるエポキシ樹脂は、本発明の難燃性フェノール系樹脂材料のフェノール性水酸基を所定の化合物を用いてグリシジルエーテル化することにより得られる。このような化合物は、効率的にグリシジルエーテル化できる化合物である限り特に限定されるものではないが、例えば、エピクロロヒドリン等のエピハロヒドリンを挙げることができる。ここで、実質的に全部のフェノール性水酸基をグリシジルエーテル化することとすれば、製造が容易となり、かつ耐熱性(耐熱分解性)や耐湿性に優れる樹脂組成物を与えることができる、難燃性樹脂材料とすることができる。さらに、グリシジルエーテル化以外の方法、すなわち、エポキシ基を含有した他の化合物を用いてエポキシ化する方法で、本発明の難燃性フェノール系樹脂材料のフェノール性水酸基をエポキシ化することもできる。
本発明において、フェノール系縮合体をグリシジルエーテル化する方法としては、例えば、上述のようにして得たフェノール系縮合体を、過剰のエピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン等のエピハロヒドリンと溶解・混合し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を添加し、又は、添加しながら20〜120℃で1〜10時間反応させる方法が採用できる。
この際、アルカリ金属水酸化物は、その水溶液を使用してもよく、その場合は、該アルカリ金属水酸化物の水溶液を、連続的に反応系内に添加するとともに、減圧下、又は常圧下で、連続的に水及びエピハロヒドリンを留去させて、さらに分液し、水は除去して、エピハロヒドリンは反応系内に連続的に戻す方法でもよい。
また、フェノール系縮合体とエピハロヒドリンの溶解混合物に、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加し、50〜150℃で1〜5時間反応させてハロヒドリンエーテル化物を得た後、アルカリ金属水酸化物の固体、または水溶液を加えて、20〜120℃で1〜10時間反応させて、脱ハロゲン化水素(閉環)させる方法を採用することもできる。この場合使用される4級アンモニウム塩の量は、上記フェノール系縮合体の水酸基1モルに対して、通常1〜10gであり、好ましくは2〜8gである。
通常、これらの反応において使用されるエピハロヒドリンの量は、本発明のフェノール系縮合体の水酸基1当量に対して、通常1〜20モル、好ましくは2〜10モルである。アルカリ金属水酸化物の使用量は、本発明のフェノール系縮合体の水酸基1当量に対して、通常0.8〜1.5モル、好ましくは0.9〜1.1モルである。さらに、反応を円滑に進行させるために、メタノール、エタノール等のアルコール類の他、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等を添加して反応を行うことが好ましい。
アルコール類を使用する場合、その使用量は、エピハロヒドリンの量に対して、通常2〜20重量%、好ましくは4〜15重量%である。また、非プロトン性極性溶媒を用いる場合は、エピハロヒドリンの量に対して、通常5〜100重量%、好ましくは10〜90重量%である。
これらのグリシジルエーテル化反応の反応物を、水洗後、または水洗しないで、加熱減圧下、110〜250℃、圧力10mmHg以下で、エピハロヒドリンや溶媒などを除去する。又、さらに、加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、得られたエポキシ樹脂を、トルエン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて、さらに反応を行い、閉環を確実なものにすることもできる。この場合、アルカリ金属水酸化物の使用量は、グリシジルエーテル化に使用した、本発明のフェノール系縮合体の水酸基1当量比に対して、通常0.01〜0.3モル、好ましくは0.05〜0.2モルである。反応温度は、通常50〜120℃、反応時間は、通常0.5〜2時間である。
反応終了後、生成した塩を、ろ過、水洗等で除去した後、さらに、加熱減圧下、トルエン、イソブチルケトン等の溶剤を留去することにより、本発明の難燃性エポキシ樹脂材料を構成するエポキシ樹脂が得られる。
以下の式(31)〜(42)に、上記エポキシ樹脂の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の式中、Gはグリシジル基を表す。R8は、フェニル基、炭素数1〜12のアルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシルアルキル基、エーテル基、エステル基、カルボキシル基、不飽和炭化水素基、チオール基、シアノ基のいずれかを表す。式中、nは、0.0〜10の数値を示すが、0.0〜3.0がより好ましく、0.0〜1.0であることが特に好ましい。式中、mは1.0〜10を示すが、1.0〜5.0がより好ましく、1.0〜2.0が特に好ましい。
上記により得られたエポキシ樹脂を含む難燃性エポキシ樹脂材料は、樹脂組成物の難燃剤として、又はエポキシ樹脂組成物の主剤として、その他のエポキシ樹脂と組み合わせて、使用することができる。併用できるエポキシ樹脂は、特に限定されるものではないが、例えば、フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールフェニレンアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールジフェニルエーテルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のナフタレン含有エポキシ樹脂、フェノールアントラセンアラルキル型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、フェノールトリアジン型エポキシ樹脂、ビフェニル−4,4’−ジグリシジルエーテールと3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジグリシジルエーテルの内の少なくとも一つ又は混合物、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、トリスフェニロールエタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、芳香族エステル型エポキシ樹脂、環状脂肪族エステル型エポキシ樹脂及びエーテルエステル型エポキシ樹脂等が挙げられる。併用できるアミン系エポキシ樹脂は、特に限定されるものではないが、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン及びジアミノジフェニルスルフォン等のアミン系化合物のグリシジル化物が挙げられる。これらのエポキシ樹脂を単独又は数種類混合して用いても差し支えない。これらの中で、フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールフェニレンアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールジフェニルエーテルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂が特に好ましい。
本発明の難燃性フェノール系樹脂材料に含まれるフェノール系縮合体および本発明の難燃性エポキシ樹脂材料に含まれるエポキシ樹脂の重量平均分子量は、特に制限はないが、たとえば300〜10000とする。
本発明の難燃性樹脂材料は、未反応ホルムアルデヒド類及びメチロール基を、実質的に含まないことが好ましい。このようにすれば、エポキシ樹脂組成物用の主剤または硬化剤として使用する場合、エポキシ樹脂または硬化剤との配合安定性が一層良好となる。
本発明の難燃性樹脂材料に含まれる未反応一官能性フェノール単量体は、3重量%以下であることが好ましい。未反応一官能性フェノール単量体を、3重量%以下にすることにより、配合安定性が向上し、特に、得られるエポキシ樹脂組成物の、耐熱性、耐湿性が良くなる。
なお、ここでいう未反応一官能性フェノール単量体とは、一分子中に、エポキシ基と反応し得るフェノール性水酸基を一つだけ含むフェノール単量体を意味する。
本発明の難燃性樹脂組成物は、上述した本発明に係る難燃性フェノール系樹脂材料や難燃性エポキシ樹脂材料を含むものであるが、これらを添加する形態については特に制限がない。上記樹脂材料をそれぞれ単独で添加してもよいし、両方を添加してもよい。たとえば、上記難燃性フェノール系樹脂材料と上記難燃性エポキシ樹脂材料の混合物、または、この混合物を半硬化あるいは硬化させた後に粉砕して得られた粉砕物を、樹脂組成物に添加して用いても良い。
本発明の難燃性樹脂組成物においては、下記式によって表される、本発明のフェノール系縮合体及びこのフェノール系縮合体をグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂の合計含有率(X)は、0.1重量%≦X≦45重量%が好ましく、特に0.3重量%≦X≦30重量%が好ましい。X=(b/a)×100a:樹脂組成物を構成する樹脂分の総重量b:本発明のフェノール系縮合体及びこのフェノール系縮合体をグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂の合計重量
上記数値が0.1重量%未満の場合には、窒素系の不燃性ガスの発生量が少ないために、難燃性が不十分の場合がある。さらに、45重量%を超える場合には、理由は明らかではないが、難燃性が不十分の場合がある。加えて、45重量%を超える場合には、ヘテロ原子として窒素を含む複素環式化合物の樹脂組成物中の濃度が高くなるので、耐湿性が低下する場合がある。
さらに、本発明の難燃性樹脂組成物中に、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂用硬化剤とを含有させる場合、硬化剤の水酸基数の合計(OH)に対する、エポキシ樹脂のエポキシ基数の合計(Ep)の比(OH/Ep)が、0.7≦(OH/Ep)≦2.5であると、これらを硬化させてなる硬化物の難燃性を向上する上でより適当である。前記(OH/Ep)が0.7に満たない場合には、前記硬化物中の、エポキシ樹脂と硬化剤が形成した架橋構造に残余しているエポキシ基に由来する、アリルアルコール等の可燃成分の発生量が増加することから、難燃性の向上を阻害する可能性がある。また、前記(OH/Ep)が2.5を超える場合には、エポキシ樹脂と硬化剤を硬化させてなる、前記硬化物の架橋密度が低くなりすぎるために、このエポキシ樹脂組成物の硬化が不十分となり、硬化物の耐熱性や強度が不十分となる場合がある。
また、本発明の難燃性樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤や硬化促進剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
上記の各種添加剤のうち、充填剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、溶融シリカ粉末、結晶シリカ粉末、アルミナ粉末、窒化ケイ素、ガラス繊維、カーボンファイバー、アラミド繊維等が挙げられる。これらの充填剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
硬化促進剤としては、一般にエポキシ樹脂と硬化剤の硬化に用いられているものが使用できる。例えば、トリフェニルホスフィン、2−メチルイミダゾ−ル、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等が挙げられる。これらの硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
さらに、他の添加剤として、必要に応じて、カーボンブラック等の着色剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力成分、天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸及びその金属塩類、パラフィン等の離型剤といった各種添加剤を適宣配合しても差し支えない。この他必要に応じて、他の難燃剤、例えば、赤リンやリン酸エステル等のリン化合物や、金属水酸化物(例えばマグネシウム、アルミニウム、亜鉛、ホウ素、カルシウム、ニッケル、コバルト、スズ、銅、鉄、チタンから選ばれた少なくとも一つの金属から構成される金属水酸化物)との併用も可能である。さらに、前記金属水酸化物との併用ではじめて難燃性改良の効果を示す金属酸化物も使用できる。加えて、前記金属水酸化物と前記金属酸化物が複合化した複合化金属水酸化物も難燃性改良の目的で併用できる。但し本発明の難燃性樹脂組成物においては、本発明に係る難燃性フェノール系樹脂材料や難燃性エポキシ樹脂材料を含有するため、上記難燃剤の添加量は少なくて済み、耐湿性等の他の物性が低下するのを抑えることができる。
本発明の難燃性樹脂材料を含有する熱硬化性樹脂組成物は、リボンブレンダーやヘンシェルミキサーなどで予備混練した後、加熱ロールやニーダーなどを用いて混合又は、有機溶剤に溶解させて混合することで製造できる。この熱硬化性樹脂組成物を、必要に応じて有機溶媒や水分を脱気してから、トランスファー成型機や加熱プレス成型機によって所定の成形条件で加熱して、架橋反応を起こさせて硬化させることで、高度な難燃性を有する樹脂硬化物の成形体を得ることができる。
本発明の難燃性樹脂材料を含有するエポキシ樹脂組成物を封止材として使用した半導体装置は、高度な難燃性や耐熱性(耐熱分解性)とともに、耐湿信頼性等の信頼性に優れる。前記の半導体装置としては、半導体素子をリードフレームのダイパッド上に搭載し、これらをワイヤーボンディングして接続したものを、樹脂で封止してなる半導体装置、リードオンチップ方式の樹脂封止型半導体装置、ボールグリッドアレイ(BGA)の樹脂封止型半導体装置等を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、半導体素子等の電子部品を、本発明の難燃性樹脂材料を含有するエポキシ樹脂組成物で封止したものを全て包含する。
本発明の難燃性樹脂材料を含有するエポキシ樹脂組成物は、ガラス繊維等を含むプリント配線基板等の絶縁材として使用した場合にも、難燃性、耐熱性(耐熱分解性)及び耐湿性に優れる。加えて、この他の用途、すなわち、成形材、注型材、接着剤、塗料等として使用した場合にも、難燃性、耐熱性(耐熱分解性)及び耐湿性に優れる。
本発明の難燃性樹脂材料を含有する熱可塑性樹脂組成物は、構成成分を、2軸、1軸又は石臼式等の押出し機で溶融混練して製造することができる。この熱可塑性樹脂組成物を、必要に応じて水分等を脱気してから、射出成型機や加熱プレス成型機等によって所定の条件で成形して、高度な難燃性を有する、熱可塑性樹脂組成物の成形体を得ることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
実施例及び比較例で用いた充填剤は、平均粒径16μm、比表面積(BET法で測定)が1.9m2/g、粒径75μm以上の成分が0.5重量%以下の溶融球状シリカである。
また、実施例及び比較例で用いた、シランカップリング剤は、信越化学工業(株)製、KBM573(N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン)である。
実施例1温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、攪拌機を取り付けたフラスコに、フェノール99重量部(1.05モル)、式(43)で表される化合物121重量部(0.5モル)を仕込み、室温下、窒素を吹き込みながら攪拌した。p−トルエンスルホン酸(1水和物)0.5重量部(0.0026モル)を発熱に注意しながら、液温が50℃を超えないように、ゆっくり添加した。その後、油浴中で120℃まで加熱し、分留管を用いて、生成するメタノールを抜き出した後、さらに5時間反応させた。反応終了後、さらにメチルイソブチルケトン500mlを加え、分液ロートに移し、水洗した。ついで、洗浄水が中性を示すまで水洗した後、有機層から溶媒及び未反応の一官能性フェノールを、加熱減圧下に除去し、下記式(44)で表される、縮合体(E)を得た。
(式中、nは0.0〜1.0の数値を示す。)
実施例2実施例1で得られた縮合体(E)81.3重量部(0.22モル)、メラミン26.4重量部(0.22モル)に、41.5重量%ホルムアルデヒド水溶液8.1重量部(0.11モル)、及び25重量%アンモニア水溶液0.2重量部(0.01モル)を加え、発熱に注意しながら徐々に100℃まで昇温した。100℃で5時間反応させた後、常圧下で水を除去しながら180℃まで2時間かけて昇温し、次に減圧下にて未反応物を除去して、軟化点95℃、水酸基当量252、窒素含有量が8重量%のフェノール系縮合体(P1)を得た。
(式中、nは0.0〜1.0、mは1.0〜2.0の数値を示す)
実施例3実施例1で得られた、フェノール系樹脂(P1)25重量部(0.05モル)に、エピクロロヒドリン50重量部(0.54モル)を加えて、105℃に加熱して溶解させた。さらに、20重量%水酸化ナトリウム水溶液20重量部(0.1モル)を3時間かけて滴下した後、30分間保持して、静置分液し、下層(水層)を除去した。
次に過剰のエピクロロヒドリンを蒸留回収し、メチルイソブチルケトン20重量部(2モル)を加え溶解した。20重量%水酸化ナトリウム水溶液0.5重量部(0.0025モル)を加え、70℃で3時間保持した後、静置分液して水層を除去し、さらに、蒸留水200重量部で水洗した。ついで、揮発分を蒸留除去して、軟化点75℃、エポキシ当量308、加水分解性塩素400ppm以下、窒素含有量が6重量%の、エポキシ樹脂(PE1)を得た。
(式中、nは0.0〜1.0、mは1.0〜2.0の数値を示す)
実施例4温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、攪拌機を取り付けたフラスコに、フェノール99重量部(1.05モル)、式(47)で表される化合物83重量部(0.5モル)を仕込み、室温下、窒素を吹き込みながら攪拌した。p−トルエンスルホン酸(1水和物)0.5重量部(0.0026モル)を発熱に注意しながら、液温が50℃を超えないように、ゆっくり添加した。その後、油浴中で120℃まで加熱し、分留管を用いて、生成するメタノールを抜き出した後、さらに5時間反応させた。反応終了後、さらにメチルイソブチルケトン500mlを加え、分液ロートに移し、水洗した。ついで、洗浄水が中性を示すまで水洗した後、有機層から溶媒及び未反応の一官能性フェノールを、加熱減圧下に除去し、下記式(48)で表される、縮合体(F)を得た。
(式中、nは0.0〜1.0の数値を示す。)
実施例5実施例4で得られた縮合体(F)63.8重量部(0.22モル)、メラミン26.4重量部(0.22モル)に、41.5重量%ホルムアルデヒド水溶液8.1重量部(0.11モル)、及び25重量%アンモニア水溶液0.2重量部(0.01モル)を加え、発熱に注意しながら徐々に100℃まで昇温した。100℃で5時間反応させた後、常圧下で水を除去しながら180℃まで2時間かけて昇温した。次に減圧下にて未反応物を除去して、軟化点92℃、水酸基当量245、窒素含有量が8重量%の、フェノール系縮合体(P2)を得た。
(式中、nは0.0〜1.0、mは1.0〜2.0の数値を示す)
実施例6実施例5で得られた、フェノール系縮合体(P2)25重量部(0.05モル)に、エピクロロヒドリン50重量部(0.54モル)を加えて、105℃に加熱して溶解させた。さらに、20重量%水酸化ナトリウム水溶液20重量部(0.1モル)を3時間かけて滴下した後、30分間保持して、静置分液し、下層(水層)を除去した。
次に過剰のエピクロロヒドリンを蒸留回収し、メチルイソブチルケトン20重量部(1.2モル)を加え溶解した。20%水酸化ナトリウム水溶液0.5重量部(0.0025モル)を加え、70℃で3時間保持した後、静置分液して水層を除去し、さらに、蒸留水200重量部で水洗した。揮発分を蒸留除去して、軟化点69℃、エポキシ当量270、加水分解性塩素400ppm未満、窒素含有量が6重量%の、エポキシ樹脂(PE2)を得た。
(式中、Gはグリシジル基、nは0.0〜1.0、mは1.0〜2.0の数値を示す)
次に、後述する実施例および比較例で使用するエポキシ樹脂および硬化剤の構造を式(51)〜(60)に示すとともに、熱可塑性樹脂の製造元および品番を示す。
(式中、Gはグリシジル基を示す。n=0.0〜10、軟化点57℃、エポキシ当量270)
(n=0.0〜10、軟化点120℃、水酸基当量208)
(式中、Gはグリシジル基を表す。nは0.0〜10、軟化点55℃、エポキシ当量238)
(nは0.0〜10、軟化点83℃、水酸基当量175)
2官能ビフェニルエポキシ樹脂(エポキシ樹脂3)
(融点111℃、エポキシ当量170)
クレゾールノボラックエポキシ樹脂(エポキシ樹脂4)
(nは0.0〜10、軟化点68℃、エポキシ当量194)
(式中、Gはグリシジル基を表す。nは0.0〜10、mは1.0〜10、軟化点65℃、エポキシ当量220、窒素含有量6重量%)
(nは0.0〜10、mは1.0〜10、軟化点90℃、水酸基当量124、窒素含有量8重量%)
(nは0.0〜10、mは1.0〜10、軟化点105℃、水酸基当量220、窒素含有量19重量%)
(式中、Gはグリシジル基を表す。nは0.0〜10、mは1.0〜10、軟化点80℃、エポキシ当量276、窒素含有量15重量%)熱可塑性樹脂組成物1アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(住化A&L製、GA−704、以下ABSと呼ぶ)熱可塑性樹脂2ポリスチレン樹脂(新日鉄化学製 H−65、以下PSと呼ぶ)
実施例7フェノールビフェニルアラルキルエポキシ樹脂(エポキシ樹脂1)を11.2重量%、フェノールビフェニルアラルキル樹脂(フェノール系樹脂1)を7.5重量%、実施例2で得られたフェノール系樹脂(P1)を1.4重量%、溶融球状シリカ粉末79.0重量%、カーボンブラック0.4重量%、シランカップリング剤0.1重量%、カルナバワックス0.2重量%、トリフェニルホスフィン(T.P.P.)0.2重量%を、常温で予備混合した後、100℃のロール上で約5分間混練したものを、冷却後粉砕して樹脂組成物とした。
実施例7に示した樹脂組成物を、錠剤状に圧縮したもの(タブレット)を、85℃に予熱して、シングルプランジャータイプのトランスファー成形機を用いて、注入時間15秒、注入圧力100kg/cm2(実行圧)、成形温度175℃、成形時間120秒で、UL94難燃規格に従って成形した後、後硬化(175℃、6時間)させて難燃性試験用の成形板を得た。
実施例8〜12実施例7と同様の手順により、表1に示す配合の樹脂組成物を得た後、成形を行った。
実施例13上記ABS89.5重量%、実施例2で得られたフェノール系樹脂(P1)10重量%、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)0.5重量%を、石臼式の押出し機で溶融混練して、樹脂組成物を得た。ただし、この時の混練温度は220℃に設定した。この樹脂組成物を、120℃で3時間乾燥後、プレス成形法により、厚さ3.2mmの平板を成形した。成型条件は、200℃で1分間とした。
実施例14実施例13と同様の手順により、表1に示す配合の樹脂組成物を得た後、成形を行った。
上記のようにして得られた成形板について、難燃性、煮沸吸水率、耐熱性および耐湿性を評価した。以下、評価方法について説明する。
難燃性試験成形板(長さ127mm×幅12.7mm×厚み〈1.6mm又は3.2mm〉)の長さ方向と地面が垂直になるように、サンプル支持具(クランプ)で成形板を固定する。次に、クランプと反対側の成形板の端面にバーナーで10秒間接炎した後、バーナーを遠ざけて成形板上に炎が残っている時間(残炎時間、秒)を測定する(1回目の残炎時間=F1)。この炎が消えたら、再度バーナーで10秒間接炎した後、バーナーを遠ざけて、1回目と同じように残炎時間(2回目の残炎時間=F2)を測定する。この試験を、一つの樹脂硬化物につき5枚の成形板を用いて行い、難燃性を評価した。ただし、難燃性の判定基準を最高のものから最低のものの順に並べると、UL94V-0、V-1、V-2、NOTV-2の順番になる。
(UL94V-0)・ΣF≦50秒(ΣF=5枚の成形板を用いて行った試験の残炎時間の合計)・Fmax≦10秒(Fmax=試験で得られたF1又はF2の中で最長の残炎時間)・ドリップ(接炎により硬化物が液滴れする現象)なし、クランプまで燃えない。
(UL94V-1)・ΣF≦250秒、Fmax≦30秒、ドリップなし、クランプまで燃えない。
(UL94V-2)・ΣF≦250秒、Fmax≦30秒、ドリップあり、クランプまで燃えない。
(UL94 NOT V-2)ΣF>250秒、Fmax>30秒、クランプまで燃えきる。
以下に、煮沸吸水率の測定用サンプルと測定方法を示す。
煮沸吸水率実施例7に示した樹脂組成物を、円盤状(50mm×3mmt)に成型したものを、100℃の煮沸水に24時間浸積し、煮沸前後の重量変化から、煮沸吸水率(重量%)を求めた。評価結果を表1に示す。
以下に、耐熱性(耐熱分解性)の測定用サンプルと測定方法を示す。
耐熱性(耐熱分解性)上記実施例7の難燃性試験用の成形板を粉砕して得られた、80μm以下の粉体10mgを、昇温速度200℃/minで、室温より、空気中(流量200ml/min)で加熱した際に、5重量%減量した時の温度を測定することによって、耐熱性(耐熱分解性)を評価した。評価結果を表1に示す。
以下に、耐湿性の評価に用いた、半導体装置の成型方法を示す。
線幅及び線間隔10μmのアルミニウム製の配線(ただし、パッド部は70μm角)を施した縦3.0mm×横3.5mm×厚さ350μmのシリコン製チップを、16ピンDIP用の42アロイのフレームに搭載して、前記パッド部に直径が28μmの金線をワイヤボンドした後、これをシングルプランジャータイプのトランスファー成形機を用いて、上記実施例7のタブレットで封入して(予熱温度85℃、注入時間15秒、注入圧力100kg/cm2〈実行圧〉、成型温度175℃、成形時間120秒)、16ピンDIP型(縦18×横5×厚さ3mm)の半導体装置を成型した。これを、175℃で4時間、後硬化させたものを、耐湿性の評価用の半導体装置とした。
耐湿性試験上記の16ピンDIP型の半導体装置10個を用いて、125℃、100RH%、印可電圧20Vの条件で、プレッシャ−・クッカー・バイアス・試験(PCBT)を行い、回路のオープン不良率が、20%(不良が発生した前記装置が2個)に達した時間を測定し、これを耐湿性の指標とした。すなわち、この不良発生時間が長いほど耐湿性に優れているといえる。以上の項目について評価を行った結果を表1に示す。
比較例1〜5実施例7と同様の手順により、表2に示す配合の樹脂組成物を得た後、成形を行った。得られた成形板について、難燃性、煮沸吸水率、耐熱分解性及び耐湿性を、それぞれ評価した。
比較例6〜8実施例13と同様の手順により、表2に示す配合の樹脂組成物を得た後、成形を行った。得られた成形板について、難燃性、煮沸吸水率、耐熱分解性及び耐湿性を、それぞれ評価した。
実施例15実施例1で得られた縮合体(E)274.7重量部(0.5モル)、ベンゾグアナミン93.85重量部(0.5モル)に、37重量%ホルムアルデヒド水溶液52.7重量部(0.65モル)、及び29重量%アンモニア水溶液0.879重量部(0.015モル)を加え、発熱に注意しながら徐々に100℃まで昇温した。100℃で5時間反応させた後、常圧下で水を除去しながら180℃まで2時間かけて昇温し、次に減圧下にて未反応物を除去して、軟化点120℃、水酸基当量260、窒素含有量が10重量%の、フェノール系縮合体(P3)を得た。
(式中、nは0.0〜1.0、mは1.0〜2.0の数値を示す)
実施例16実施例15で得られた、フェノール系縮合体(P3)25重量部(0.05モル)に、エピクロロヒドリン50重量部(0.54モル)を加えて、115℃に加熱して溶解させた。さらに、20重量%水酸化ナトリウム水溶液20重量部(0.1モル)を3時間かけて滴下した後、30分間保持して、静置分液し、下層(水層)を除去した。
次に過剰のエピクロロヒドリンを蒸留回収し、メチルイソブチルケトン20重量部(2モル)を加え溶解した。20重量%水酸化ナトリウム水溶液0.5重量部(0.0025モル)を加え、70℃で3時間保持した後、静置分液して水層を除去し、さらに、蒸留水200重量部で水洗した。ついで、揮発分を蒸留除去して、軟化点80℃、エポキシ当量316、加水分解性塩素400ppm以下、窒素含有量が9重量%の、エポキシ樹脂(PE3)を得た。
(式中、Gはグリシジル基、nは0.0〜1.0、mは1.0〜2.0の数値を示す。)
実施例17実施例4で得られた縮合体(F)403.4重量部(0.5モル)、ベンゾグアナミン93.85重量部(0.5モル)に、37重量%ホルムアルデヒド水溶液52.7重量部(0.65モル)、及び29重量%アンモニア水溶液0.879重量部(0.015モル)を加え、発熱に注意しながら徐々に100℃まで昇温した。100℃で5時間反応させた後、常圧下で水を除去しながら180℃まで2時間かけて昇温し、次に減圧下にて未反応物を除去して、軟化点110℃、水酸基当量228、窒素含有量が10重量%の、フェノール系縮合体(P4)を得た。
(式中、nは0.0〜1.0、mは1.0〜2.0の数値を示す。)
実施例18実施例17で得られた、フェノール系縮合体(P4)25重量部(0.05モル)に、エピクロロヒドリン50重量部(0.54モル)を加えて、115℃に加熱して溶解させた。さらに、20重量%水酸化ナトリウム水溶液20重量部(0.1モル)を3時間かけて滴下した後、30分間保持して、静置分液し、下層(水層)を除去した。
次に過剰のエピクロロヒドリンを蒸留回収し、メチルイソブチルケトン20重量部(1.2モル)を加え溶解した。20%水酸化ナトリウム水溶液0.5重量部(0.0025モル)を加え、70℃で3時間保持した後、静置分液して水層を除去し、さらに、蒸留水200重量部で水洗した。揮発分を蒸留除去して、軟化点75℃、エポキシ当量284、加水分解性塩素400ppm未満、窒素含有量が8重量%の、エポキシ樹脂(PE4)を得た。
(式中、Gはグリシジル基、nは0.0〜1.0、mは1.0〜2.0の数値を示す。)
実施例19〜25実施例7と同様の手順により、表3に示す配合の樹脂組成物を得た後、成形を行った。得られた成形板について、難燃性、煮沸吸水率、耐熱分解性及び耐湿性を、それぞれ評価した。
実施例26〜27実施例13と同様の手順により、表3に示す配合の樹脂組成物を得た後、成形を行った。得られた成形板について、難燃性、煮沸吸水率、耐熱分解性及び耐湿性を、それぞれ評価した。
比較例9〜14実施例7と同様の手順により、表4に示す配合の樹脂組成物を得た後、成形を行った。得られた成形板について、難燃性、煮沸吸水率、耐熱分解性及び耐湿性を、それぞれ評価した。
比較例15実施例13と同様の手順により、表4に示す配合の樹脂組成物を得た後、成形を行った。得られた成形板について、難燃性、煮沸吸水率、耐熱分解性及び耐湿性を、それぞれ評価した。
実施例7、8、10、11、19〜21と比較例1、2、9、10の比較、実施例9と比較例3、4の比較、実施例12、22と比較例5、11の比較、実施例23と比較例12の比較、実施例24と比較例13の比較、実施例25と比較例14の比較、実施例13、26と比較例6、7の比較、および実施例14、27と比較例8、15の比較から、本発明の難燃性樹脂材料を含有する樹脂組成物は、従来の樹脂組成物よりも、高い難燃性を示すとともに、耐熱分解性及び耐湿性も優れていることが分かった。
すなわち、 分子骨格中にトリアジン環を持つフェノール系樹脂や分子骨格中にトリアジン環を持つエポキシ樹脂を含有する従来の樹脂組成物、 分子骨格中にビフェニル基を持つフェノールビフェニルアラルキルエポキシ樹脂とトリアジン環を持つフェノール系樹脂とを含有する従来の樹脂組成物は、分子骨格中にトリアジン環および芳香環を併せ持つ本発明の難燃性樹脂材料を含有する樹脂組成物に比べて、難燃性、耐熱性(耐熱分解性)及び耐湿性に劣ることが明らかになった。