JP2007145666A - シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】結晶変形などによる歩留まりの低下を抑えることが可能なシリコン単結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】ルツボ内の融液にカスプ磁場を印加するチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造方法であって、前記融液5に種結晶を接触させてネック部6を育成する工程と、前記ネック部6を育成後、拡径して拡径部7を育成する工程と、前記拡径部7を前記融液5から切り離す工程と、直胴部8育成中、直胴部8最外周部の磁束の角度θを結晶引上げ軸方向Lに対して30〜60°で引上げる工程とを具備する。
【選択図】図1
【解決手段】ルツボ内の融液にカスプ磁場を印加するチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造方法であって、前記融液5に種結晶を接触させてネック部6を育成する工程と、前記ネック部6を育成後、拡径して拡径部7を育成する工程と、前記拡径部7を前記融液5から切り離す工程と、直胴部8育成中、直胴部8最外周部の磁束の角度θを結晶引上げ軸方向Lに対して30〜60°で引上げる工程とを具備する。
【選択図】図1
Description
本発明はチョクラルスキー法を用いた、シリコン単結晶引上げに関し、より詳しくは半導体材料として使用されるシリコン単結晶の結晶特性、特に結晶内に溶け込む酸素濃度分布および抵抗率の均一性を高めることができ、かつ単結晶歩留まりを向上させる結晶成長方法に関するものである。
チョクラルスキー法(CZ法)によりシリコン単結晶を引上げるには、シリコン融液を入れたルツボを回転させながら、種結晶をシリコン融液中に浸け、種結晶にシリコンを析出させて、単結晶を成長させ、徐々に引上げてゆくことにより棒状に成長した単結晶を得る。
このCZ法を用いる場合、引き上げ中に石英ルツボから融液内に溶け出した酸素がシリコン結晶中に取り込まれ、また、必要な抵抗帯を制御するためBやPなどを添加し結晶特性を制御する。
しかしながら、結晶中の酸素濃度の均一性が低いと、逆に酸素析出による結晶欠陥の発生の主たる原因となる。また、添加物を取り込んだ単結晶についても面内で不均一では、デバイスの歩留まり悪化の原因となる。したがって半導体用のシリコン単結晶を成長させる場合には結晶中の酸素濃度および抵抗率を制御すること、すなわち濃度分布を面内均一にすることが重要な課題となる。
従来のCZ法引上げでは、高磁場下での引上げが必要とされているが、特許文献1では、固層と溶融層を用いた2層引上げを一定の低磁場下で行うことにより、安い製造コストで酸素濃度の均一性が優れた単結晶の育成が可能とされている。
特開平7−267776号公報
本発明は、結晶変形などによる歩留まりの低下を抑えることが可能なシリコン単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
以上の問題を解決するために、本発明は、ルツボ内の融液にカスプ磁場を印加するチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造方法であって、
前記融液に種結晶を接触させてネック部を育成する工程と、
前記ネック部を育成後、拡径して拡径部を育成する工程と、
前記拡径部を前記融液から切り離す工程と、
直胴部育成中、直胴部最外周部の磁束の角度を結晶引上げ軸方向に対して30〜60°で引上げる工程と
を具備することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法である。
前記融液に種結晶を接触させてネック部を育成する工程と、
前記ネック部を育成後、拡径して拡径部を育成する工程と、
前記拡径部を前記融液から切り離す工程と、
直胴部育成中、直胴部最外周部の磁束の角度を結晶引上げ軸方向に対して30〜60°で引上げる工程と
を具備することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法である。
より好ましいのは、上記条件で磁場強度を200〜500Gaussの範囲で引上げる特徴としたシリコン単結晶の製造方法である。
本発明によれば、結晶変形などによる歩留まりの低下を抑えることが可能なシリコン単結晶の製造方法を提供することができる。
本発明者らは、カスプ磁場の結晶および融液に与える磁束密度の角度を制御し、かつ低磁場(200〜500Gauss)を印加することにより、通常のCZ法でも酸素濃度および抵抗の均一性が優れた結晶を低コストで引上げが可能であり、結晶変形を起こすことなく安定した引上げが可能となることを見出し、本発明を完成させたのである。
図1は、本発明の一実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法が適用される単結晶引上装置の概念図である。
図1に示すように、単結晶引上装置は、単結晶原料を充填するための石英坩堝1を備える。石英坩堝1は制動手段(図示しない)により昇降、回転が可能となっている。この石英坩堝1の外側には、黒鉛製の外側支持坩堝2が嵌合されており、石英坩堝1と外側支持坩堝2からなる二重構造となっている。外側支持坩堝2の周囲には、ヒータなどの加熱手段(図示しない)と磁場印加用電気コイル(図示しない)とが配置されている。石英坩堝1の上方には、ワイヤ3が配置されている。ワイヤ3は、昇降、回転可能な制動手段(図示しない)に取り付けられている。種結晶を保持するためのチャック4は、ワイヤ3の先端に取り付けられている。
かかる構成の単結晶引上装置を用いて単結晶を育成する場合には、まず石英坩堝1に単結晶育成の原料となるポリシリコン及び燐、ボロン、アンチモンなどのドープ剤を充填する。次いで、加熱手段により石英坩堝1を加熱してポリシリコン融液5とし、種結晶を浸漬して引上げ、ネック部6を育成する。ネック部6を育成後、所望の直径まで拡径して拡径部7を育成する。次いで、拡径部7をポリシリコン融液から切り離す。直胴部8の育成中、直胴部8の最外周部の磁束9の角度θを結晶引上げ軸方向Lに対して30〜60°で引上げる。
融液にカスプ磁場を印加する事により、縦磁場の様な軸対称の磁場を印加可能でかつ、水平磁場の効果も持つためルツボ壁での流れが抑制され、酸素濃度の制御も可能ということは知られている。また、このカスプ磁場の磁場中心の位置を変化させることにより、より精密な制御も可能となる。
本発明では、このカスプ磁場による磁束の角度θを制御することによって、結晶特性および結晶変形などによる歩留まり悪化を防ぐ目的とした。
カスプ中心位置が固液界面に位置した場合、界面付近では磁場印加効果が現れず、安定した引上げが望まれない。よって、角度θは60°以下にすることが望ましい。逆に、角度θを30°未満として大きく上下に移動させた場合には、縦磁場引上げの大きな問題である、結晶特性の面内不均一性が生じてしまう。このため、カスプ磁場中心には最適な位置が存在することになり、角度θは30〜60°の範囲にすることが望ましい。
また、磁場強度については、強い磁場を印加すると、融液表面の低温部面積(結晶)が広くなる為、通常ルツボ壁から自由表面を伝わって結晶に向かう流れが、融液内部から結晶に向かう流れに変化する。
このため、融液内部の流れは複雑になり、また結晶回転によるルツボ壁側への流れと、内部からの結晶へ向かう流れとが干渉し合い結晶外周部と自由表面との境界付近で渦が生じる。この付近での酸素は、自由表面で必要以上に蒸発する事になり、結果的に結晶外周部の酸素濃度低下につながってしまう。
また、磁場を200Gauss未満にしてしまうと、ルツボから結晶に向かう流れが強くなりすぎてしまい、結晶の変形につながり、安定した引上げが望めなくなる。
以上のことより、カスプ磁場の磁場印加角度を制御することにより、結晶特性の面内均一性を向上させ、かつ単結晶化率が高い安定した結晶育成を行う事が可能となる。
ここで、磁場算出方法について説明する。石英坩堝1内のポリシリコン融液5に図2の矢印に示す方向に一定電流をかけた際の磁場測定を行い、F=J×Bという形でローレンツ力が掛かるようにフィッティングをする。
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
φ300mm結晶引上げ(32”ルツボ、300・360kgチャージ)で、磁場強度300Gauss一定のもと結晶最外周部での磁場の角度が変化するように磁場印加コイルを制御し、引上げた場合、図3の様に30〜60°の範囲で結晶変形発生度が低くなることがわかった。また、磁場の角度を45°に保ち磁場強度を200〜500Gaussの範囲で引上げた結果、n=20本で単結晶化率70%から95%へ向上し、かつ酸素濃度の面内バラツキが1.5%以下、抵抗率の面内バラツキが4.0%以下となり、良好な結果が得られた。これらの結果から、磁場印加角度を30〜60°の間で制御することにより、単結晶化率が向上することがわかる。
図4は、磁場強度を変化させた際の酸素濃度及び抵抗率の面内分布を示す。図5は、磁場強度を変化させた際の酸素濃度の分布を示す。図5から、磁場強度が200〜500Gaussの範囲内においては、直胴部の酸素濃度の面内バラツキが小さく、磁場強度が500Gaussを超えると、ウェハー外周部で酸素濃度のバラツキがやや大きくなることが理解できる。一方、図6は、磁場強度を変化させた際の抵抗率の分布を示す。図6から、磁場強度が200〜500Gaussの範囲内においては、抵抗率の面内バラツキが小さく、磁場強度が500Gaussを超えると、ウェハー中心付近で抵抗率が大きく変化することがわかる。
これらの結果から、直胴部においては、磁場強度を200〜500Gaussに低下させることにより酸素濃度及び抵抗率の面内バラツキが軽減され、効果的であることが確認された。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1…石英坩堝、2…外側支持坩堝、3…ワイヤ、4…チャック、5…シリコン融液、6…ネック部、7…拡径部、8…直胴部、9…最外周部の磁束。
Claims (2)
- ルツボ内の融液にカスプ磁場を印加するチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造方法であって、
前記融液に種結晶を接触させてネック部を育成する工程と、
前記ネック部を育成後、拡径して拡径部を育成する工程と、
前記拡径部を前記融液から切り離す工程と、
直胴部育成中、直胴部最外周部の磁束の角度を結晶引上げ軸方向に対して30〜60°で引上げる工程と
を具備することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。 - 前記直胴部育成時、200〜500Gaussの範囲内で行うことを特徴とする請求項1記載のシリコン単結晶の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2005344161A JP2007145666A (ja) | 2005-11-29 | 2005-11-29 | シリコン単結晶の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009298613A (ja) * | 2008-06-11 | 2009-12-24 | Sumco Corp | シリコン単結晶の引上げ方法及び該方法により引上げられたインゴットから得られたシリコン単結晶ウェーハ |
JP2012206936A (ja) * | 2012-06-20 | 2012-10-25 | Sumco Corp | シリコン単結晶の引上げ方法により引上げられたインゴットから得られたシリコン単結晶ウェーハ |
JP7124938B1 (ja) | 2021-07-29 | 2022-08-24 | 信越半導体株式会社 | シリコン単結晶の製造方法 |
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2005
- 2005-11-29 JP JP2005344161A patent/JP2007145666A/ja active Pending
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WO2023008508A1 (ja) * | 2021-07-29 | 2023-02-02 | 信越半導体株式会社 | シリコン単結晶の製造方法 |
JP2023019420A (ja) * | 2021-07-29 | 2023-02-09 | 信越半導体株式会社 | シリコン単結晶の製造方法 |
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