JP2007144938A - 剥離フィルム - Google Patents

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卓生 西田
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Abstract

【課題】基材フィルムと剥離層との密着性に優れ、大気環境に影響されない安定した帯電防止性能を有し、かつ表面平滑性に優れる剥離フィルムを提供する。
【解決手段】プラズマイオン注入法により、表面部にイオン注入層が形成された基材フィルムと、該基材フィルムのイオン注入層上に形成された剥離層とを有することを特徴とする剥離フィルム。剥離層は、シリコーン樹脂、アルキド系樹脂、オレフィン系樹脂、ゴム系樹脂及びアクリル系樹脂の中から選ばれるのが好ましい。又剥離層の表面固有抵抗値は、1×1013Ω/□以下とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、帯電防止性及び表面平滑性に優れる剥離フィルムに関する。
剥離フィルムは、キャスト製膜用の保護フィルムや、粘着製品の粘着剤層の保護フィルム、転写用シートの剥離フィルムとして広く利用されている。特に、近年においては、エレクトロニクス分野での応用が広がっている。
従来、剥離フィルムは、基材フィルム表面に、付加反応型シリコーン樹脂等の硬化性樹脂及び硬化剤等を含有する剥離層形成溶液を塗布し、得られた塗膜を乾燥(硬化)して剥離層を形成することによって製造されている。しかしながら、このようにして得られる剥離フィルムは、キャスト製膜した樹脂フィルム、粘着製品の粘着剤層、転写用シートの転写層等から剥離される際に帯電し易く、製品に異物が付着するといった不都合が発生する場合があった。
そこで、この問題を解決すべく、剥離フィルムに帯電防止剤を含有する帯電防止層を設けることが提案されている。
例えば、特許文献1には、ポリエステルフィルムに、イオン性を基本性能とする帯電防止剤を含有するコート液組成物から形成された帯電防止層を有する剥離用ポリエステルフィルムが記載されている。
しかし、イオン性を基本性能とする帯電防止剤は、基材フィルムと帯電防止層との間、あるいは帯電防止層と剥離層との間の密着性を低下させるという問題があった。また、金属酸化物等の金属フィラーを使用すると、表面が粗くなるという問題を引き起こしていた。
特許文献2には、基材フィルムに、Al、Ag、Au及びNiから選択された金属からなる金属蒸着層(帯電防止層)を形成し、その蒸着層上に付加反応型シリコーン樹脂の代わりにポリオレフィン樹脂からなる剥離層を設けてなる剥離フィルムが開示されている。
また、特許文献3には、基材フィルムの表面に、ポリアルキレンジオキシチオフェン系、ポリアニリン系又はポリピロール系導電性高分子、光開始剤、及びバインダーからなる光硬化型コーティング剤を塗布し、得られた塗布膜を光硬化して形成された帯電防止層と、該帯電防止層の表面に付加反応型シリコーン樹脂から形成された剥離層を有する剥離フィルムが開示されている。
しかしながら、これらの文献に記載された帯電防止層の帯電防止性能は、大気中の水分により影響を受けやすく、安定した帯電防止効果が得られない場合があった。また、基材フィルムと帯電防止層の間、あるいは帯電防止層と剥離層との間の密着性が低下するという問題があった。
したがって、安定した帯電防止性能が得られ、表面平滑性に優れ、密着性に優れる剥離フィルムの開発が望まれていた。
特開2001−341263号公報 特開2002−59515号公報 特開2005−153250号公報
本発明は、上記した従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、基材フィルムと剥離層との密着性に優れ、大気環境に影響されない安定した帯電防止性能を有し、かつ表面平滑性に優れる剥離フィルムを提供することを課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく、基材フィルム上に剥離層を形成する剥離フィルムについて鋭意検討した。その結果、用いる基材フィルムとして、表面部にイオン注入層が形成された基材フィルムを用い、該基材フィルムのイオン注入層上に剥離層を形成すると、基材フィルムと剥離層との密着性に優れ、大気環境に影響されない安定した帯電防止性能を有し、かつ表面平滑性に優れる剥離フィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記(1)〜(5)の剥離フィルムが提供される。
(1)表面部にイオン注入層が形成された基材フィルムと、該基材フィルムのイオン注入層上に形成された剥離層とを有することを特徴とする剥離フィルム。
(2)前記剥離層が、シリコーン系樹脂、アルキド系樹脂、オレフィン系樹脂、ゴム系樹脂及びアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種から形成されたものであることを特徴とする(1)の剥離フィルム。
(3)前記剥離層の厚さが0.01〜1μmであることを特徴とする(1)又は(2)の剥離フィルム。
(4)前記剥離層表面の表面固有抵抗値が、1×1013Ω/□以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの剥離フィルム。
(5)前記表面部にイオン注入層が形成された基材フィルムが、基材フィルム表面部に、プラズマ中のイオンを注入することにより得られたフィルムであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかの剥離フィルム。
本発明によれば、基材フィルムと剥離層との密着性に優れ、大気中の水分等の大気環境に影響されない安定した帯電防止性能を有し、かつ表面平滑性に優れた剥離フィルムが提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の剥離フィルムは、表面部にイオン注入層が形成された基材フィルムと、該基材フィルムのイオン注入層上に形成された剥離層とを有することを特徴とする。
なお、本発明において「フィルム」には、シート及びテープの概念を含むものとする。
(1)基材フィルム
本発明に用いる基材フィルムは、表面部にイオン注入層が形成されたものであれば、特に制限されず、単層のものであっても、同種又は異種の2層以上の多層からなるものであってもよい。
基材フィルムに用いる高分子としては、特に制約はなく、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系ポリマー、芳香族系重合体等が挙げられる。
これらの中でも、汎用性があり、表面部にイオン注入層を形成することにより、帯電防止性能及び表面平滑性に優れた剥離フィルムが得られることから、ポリエステル、ポリアミド又はシクロオレフィン系ポリマーが好ましく、ポリエステル又はシクロオレフィン系ポリマーがより好ましい。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等が挙げられる。
ポリアミドとしては、全芳香族ポリアミド、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン共重合体等が挙げられる。
シクロオレフィン系ポリマーとしては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物が挙げられる。その具体例としては、アペル(三井化学(株)製のエチレン−シクロオレフィン共重合体)、アートン(JSR(株)製のノルボルネン系重合体)、ゼオノア(日本ゼオン(株)製のノルボルネン系重合体)等が挙げられる。
基材フィルムの厚みは特に制限されないが、通常1〜1000μm、好ましくは10〜500μm、より好ましくは20〜200μmである。
基材フィルムの幅は、その用途等に合わせて適宜決定すればよいが、実用性の面から、通常100〜1000mm程度である。
基材フィルムの長さは特に制限されず、フィルムの用途、製造規模等に合わせて適宜決定することができるが、生産性の観点から長尺であるのが好ましい。
(2)イオン注入層
本発明においては、表面部にイオン注入層が形成された基材フィルムを用いる。
基材フィルムとして、表面部にイオン注入層が形成された基材フィルムを用いることにより、基材フィルムと剥離層との密着性に優れ、大気環境に影響されない安定した帯電防止性能を有し、かつ表面平滑性に優れる剥離フィルムを得ることができる。
基材フィルムの表面部にイオン注入層を形成する方法としては、基材フィルムの表面部にイオンを注入してイオン注入層を形成できる方法であれば、特に限定されない。なかでも、プラズマ中に曝した基材フィルムに負の高電圧パルスを印加することによりプラズマを発生させ、該プラズマ中のイオンを基材フィルムの表面部に注入してイオン注入層を形成する方法、すなわち、プラズマイオン注入法により、基材フィルムの表面部にイオン注入層を形成する方法が好ましい。
プラズマイオン注入法としては、(A)プラズマ中のイオンを注入する際の圧力を0.01〜0.1Paとする方法、及び/又は(B)外部電界を用いることなく基材フィルムに印加する高電圧パルスによる電界のみで生成させたプラズマ中に存在するイオンを、基材フィルムの表面部に注入する方法が好ましい。
前記(A)の方法は、イオン注入する際の圧力(プラズマイオン注入時の圧力)を0.01〜0.1Paとするものである。プラズマイオン注入時の圧力がこのような範囲にあるときに、簡便にかつ効率よく均一なイオン注入層を形成することができ、透明性、帯電防止性、表面平滑性を兼ね備えたイオン注入層を効率よく形成することができる。
前記(B)の方法は、外部電界を用いることなく基材フィルムに印加する高電圧パルスによる電界のみで生成させたプラズマ中に存在するイオンを、基材フィルムの表面部に注入するものである。この方法によれば、従来に比して減圧度を高くする必要がなく、処理操作が簡便であり、処理時間も大幅に短縮することができる。また、基材フィルム全体にわたって均一に処理することができ、負の高電圧パルス印加時にプラズマ中のイオンを高エネルギーで基材フィルムの表面部に連続的に注入することができる。さらに、高周波(RF)や、マイクロ波等の高周波電力源等の特別の他の手段を要することなく、基材フィルムに、負の高電圧パルスを印加するだけで、基材フィルムの表面部に良質のイオン注入層を均一に形成することができる。
前記(A)及び(B)のいずれの方法においても、プラズマを生成させるときのパルス幅は、1〜10μsecであるのが好ましい。プラズマを生成させるときのパルス幅がこのような範囲にあるときに、透明で均一な膜質のイオン注入層をより簡便にかつ効率よく形成することができる。
また、プラズマを生成させるときの印加電圧は、好ましくは−1kV〜−50kV、より好ましくは−1kV〜−30kV、特に好ましくは−5kV〜−15kVである。印加電圧が−1kVより大きい値でイオン注入を行うと、イオン注入量(ドーズ量)が不十分となり、所望の性能が得られない。一方、−50kVより小さい値でイオン注入を行うと、イオン注入時に基材フィルムが帯電し、またフィルムへの着色等の不具合が生じ、好ましくない。
イオン注入するイオン種としては、水素、窒素、酸素、アルゴン、ヘリウム、フルオロカーボン等の希ガス又は非金属のイオン;金、銀、銅、白金、ニッケル、アルミニウム等の導電性の金属のイオン;等が挙げられる。これらの中でも、より簡便にイオン注入することができ、透明で優れた帯電防止性能を有するフィルムを効率良く製造することができることから、希ガス又は非金属イオンが好ましく、窒素、酸素、アルゴン、ヘリウムがより好ましい。
なお、イオン注入するイオン種として金属イオンを用いる場合、イオン注入層が形成されると共に、注入された金属イオンは、基材フィルム中に拡散して金属原子として残存した基材フィルムを得ることができる。
また、まず希ガス又は非金属イオンを注入し、その後に金属イオンを注入することにより、希ガス又は非金属イオンを注入した場合と同じ厚さのイオン注入層を形成でき、かつ、金属原子が拡散した基材フィルムを得ることができる。
本発明において、基材フィルムへのイオン注入は、基材フィルムの一方の面側からのみであっても、両方の面側からであってもよい。
基材フィルムの表面部にプラズマ中のイオンを注入するのに使用するプラズマイオン注入装置としては、具体的には、(1)基材フィルムに負の高電圧パルスを印加するフィードスルーに高周波電力を重畳して基材フィルム周囲を均等にプラズマで囲み、プラズマ中のイオンを誘引、注入、衝突、堆積させる装置(特開2001-26887号公報)、(2)チャンバー内にアンテナを設け、高周波電力を与えてプラズマを発生させて基材フィルム周囲にプラズマが到達後、基材フィルムに正と負のパルスを交互に印加することで、正のパルスでプラズマ中の電子を誘引衝突させて基材フィルムを加熱し、パルス定数を制御して温度制御を行いつつ、負のパルスを印加してプラズマ中のイオンを誘引、注入させる装置(特開2001−156013号公報)、(3)マイクロ波等の高周波電力源等の外部電界を用いてプラズマを発生させ、高電圧パルスを印加してプラズマ中のイオンを誘引、注入させるプラズマイオン注入装置、(4)外部電界を用いることなく高電圧パルスの印加により発生する電界のみで生成するプラズマ中のイオンを注入するプラズマイオン注入装置等が挙げられる。
これらの中でも、処理操作が簡便であり、処理時間も大幅に短縮でき、連続使用に適していることから、(3)及び(4)のプラズマイオン注入装置を用いるのが好ましく、(4)のプラズマイオン注入装置を用いるのがさらに好ましい。
以下、前記(3)及び(4)のプラズマイオン注入装置を用いる方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、前記(3)のプラズマイオン注入装置を備える連続的プラズマイオン注入装置の概要を示す図である。
図1(a)において、1aは長尺の基材フィルム、11はチャンバー、20はターボ分子ポンプ、3はイオン注入される前の基材フィルム1aを送り出す巻き出しロール、5はイオン注入された基材フィルム1をロール状に巻き取る巻取りロール、2は高電圧印加回転キャン、10はガス導入口、7は高電圧パルス電源、4はプラズマ放電用電極(外部電界)である。図1(b)は、前記高電圧印加回転キャン2の斜視図であり、15は高電圧導入端子(フィードスルー)である。
図1に示す連続的プラズマイオン注入装置においては、基材フィルム1aは、チャンバー11内において、巻き出しロール3から図1中矢印A方向に搬送され、高電圧印加回転キャン2を通過して、巻取りロール5に巻き取られる。基材フィルム1aの巻取りの方法や、基材フィルム1aを搬送する方法等は特に制約はないが、本実施形態においては、高電圧印加回転キャン2を一定速度で回転させることにより、基材フィルム1aの搬送を行っている。また、高電圧印加回転キャン2の回転は、高電圧導入端子15の中心軸13をモーターにより回転させることにより行われる。
高電圧導入端子15、及び基材フィルム1aが接触する複数の送り出し用ロール6等は絶縁体からなり、例えば、アルミナの表面をポリテトラフルオロエチレン等の樹脂で被覆して形成されている。また、高電圧印加回転キャン2は導体からなり、例えば、ステンレス、SUS(Steel special Use Stainless)等で形成することができる。
基材フィルム1aの搬送速度は適宜設定できる。基材フィルム1aが巻き出しロール3から搬送され、巻取りロール5に巻き取られるまでの間に基材フィルム1aの表面部にイオン注入され、所望のイオン注入層(アモルファスカーボン化層)が形成されるだけの時間が確保される速度であれば、特に制約されない。基材フィルムの巻取り速度(ライン速度)は、印加電圧、装置規模等にもよるが、通常0.1〜2m/min、好ましくは0.2〜0.7m/minである。
まず、チャンバー11内をロータリーポンプに接続されたターボ分子ポンプ20により排気して減圧とする。減圧度は、通常1×10−4Pa〜1Pa、好ましくは1×10−2Pa〜1×10−1Paである。
次に、ガス導入口10よりチャンバー11内に、窒素等のイオン注入用のガス(以下、「イオン注入用ガス」ということがある。)を導入して、チャンバー11内を減圧イオン注入用ガス雰囲気とする。
次いで、プラズマ放電用電極4(外部電界)によりプラズマを発生させる。プラズマを発生させる方法としては、マイクロ波やRF等の高周波電力源等による公知の方法が挙げられる。
一方、高電圧導入端子15を介して高電圧印加回転キャン2に接続されている高電圧パルス電源7により、負の高電圧パルス9が印加される。高電圧印加回転キャン2に負の高電圧パルスが印加されると、プラズマ中のイオンが誘因され、高電圧印加回転キャン2の周囲の基材フィルムの表面に注入される(図1(a)中、矢印B)。
前述のように、イオン注入する際の圧力は、0.01〜0.1Paであるのが好ましく、プラズマを生成させるときのパルス幅は、1〜10μsecであるのが好ましく、高電圧印加回転キャン2に負の高電圧を印加する際の印加電圧は、−1kV〜−50kVであるのが好ましい。
次に、図2に示す連続的プラズマイオン注入装置を使用して基材フィルムの表面部にイオン注入する方法を説明する。図2に示す装置は、前記(4)のプラズマイオン注入装置を備える。このプラズマイオン注入装置は、外部電界(すなわち、図1におけるプラズマ放電用電極)を用いることなく印加する高電圧パルスによる電界のみでプラズマを生成させるものである。
図2に示す連続的プラズマイオン注入装置においては、基材フィルム1bは、前記図1の装置と同様に高電圧印加回転キャン2を回転させることによって巻き出しロール3から図2中矢印A方向に搬送され、巻取りロール5に巻き取られる。
図2に示す連続的プラズマイオン注入装置では、基材フィルムの表面部へのイオン注入は次のように行われる。なお、図2に示す装置は、窒素イオンを注入するものであるが、他の元素のイオンの場合も同様である。
まず、図1に示すプラズマイオン注入装置と同様にしてチャンバー11内に基材フィルム1bを設置し、チャンバー11内をロータリーポンプに接続されているターボ分子ポンプ20により排気して減圧とする。
そこへ、ガス導入口10よりチャンバー11内に、イオン注入用ガスとして窒素(N)ガスを導入して、チャンバー11内を減圧窒素雰囲気とする。
イオン注入する際の圧力(チャンバー11内のプラズマガスの圧力)は、10Pa以下、好ましくは0.01〜5Pa、より好ましくは0.01〜1Paである。
次に、基材フィルム1bを、図2中Aの方向に搬送させながら、高電圧導入端子15を介して高電圧印加回転キャン2に接続されている高電圧パルス電源7から高電圧パルス9を印加する。
高電圧印加回転キャン2に負の高電圧が印加されると、高電圧印加回転キャン2の周囲の基材フィルム1bに沿ってプラズマが生成し、そのプラズマ中の窒素イオンが誘因され、高電圧印加回転キャン2の周囲の基材フィルム1bの表面に注入される(図2中、矢印B)。基材フィルム1bの表面部に窒素イオンが注入されると、フィルムの表面部が改質されて、フィルム表面部にイオン注入層が形成される。
高電圧印加回転キャン2に負の高電圧を印加する際の印加電圧、パルス幅及び注入イオン濃度は、図1に示す連続的プラズマイオン注入装置の場合と同様である。
図2に示すプラズマイオン注入装置では、プラズマを発生させるプラズマ発生手段を高電圧パルス電源によって兼用しているため、RFやマイクロ波等の高周波電力源等の特別の他の手段を要することなく、負の高電圧パルスを印加するだけで、プラズマを発生させ、基材フィルム表面部にプラズマ中のイオンを注入し、良質のイオン注入層を連続的に形成し、表面部にイオン注入層が形成された基材フィルムを量産することができる。
以上のようにして、長尺の基材フィルムの表面部にイオン注入層を形成することができる。得られる基材フィルムは、その極表層部のみがイオン注入層に変化しているため、透明性等の基材フィルムの特徴は損なわれない。
得られるイオン注入層の厚みは、基材フィルムの巻取り速度(ライン速度)、処理時間、プラズマ中のイオンの加速電圧等により制御することができ、基材フィルムの使用目的に応じて適宜定めることができる。イオン注入層の厚みは、通常、0.1〜100nmである。このようにして形成されるイオン注入層は、基材フィルムに形成される従来の帯電防止層に比べ非常に薄い厚みで、帯電防止性能を発揮する。
得られるイオン注入層表面の表面固有抵抗値は、1×1013Ω/□以下であるのが好ましく、1×1012Ω/□以下であるのがより好ましい。このようなイオン注入層が形成された基材フィルムを有する本発明の剥離フィルムは、大気環境に左右されない優れた帯電防止性能を有する。
また後述するように、基材フィルムの表面部は、イオン注入されたことにより濡れ性が向上し、表面粗さが小さくなり、表面平滑性に優れたものとなる。
(3)剥離層
本発明の剥離フィルムは、表面部にイオン注入層が形成された基材フィルムのイオン注入層上に、剥離層を有する。
剥離層を構成する樹脂としては、剥離性を有するものであれば特に制限されないが、シリコーン系樹脂、アルキド系樹脂、オレフィン系樹脂、ゴム系樹脂及びアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種から形成されるのが、優れた剥離性を有することから好ましい。
シリコーン系樹脂としては、付加反応型シリコーン樹脂、エネルギー線硬化型シリコーン樹脂等が挙げられる。
付加反応型シリコーン樹脂としては、例えば、分子中に官能基としてアルケニル基を有するポリオルガノシロキサンの中から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。なかでも、官能基としてビニル基を有するポリジメチルシロキサン、官能基としてヘキセニル基を有するポリジメチルシロキサンが好ましい。
エネルギー線硬化型シリコーン樹脂としては、例えば、ビニルエーテル基若しくはエポキシ基が導入されたシリコーン系オリゴマー又はモノマー等の光カチオン硬化型シリコーン樹脂や、アクリロイル基が導入されたシリコーン系オリゴマー又はモノマー等の光ラジカル硬化型シリコーン樹脂が挙げられる。
アルキド系樹脂は、多塩基酸と多価アルコールの縮合物であり、変性剤により変性したものも含まれる。
アルキド系樹脂の製造に用いる多塩基酸としては、無水フタル酸、テレフタル酸等の芳香族多塩基酸;コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等の脂肪族多塩基酸等が挙げられる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の二価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン等の三価アルコール;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール;等が挙げられる。また、用いる変性剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられる。
オレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等のα−オレフィンから選ばれる少なくとも一種を(共)重合して得られる(共)重合体が挙げられる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられる。
ゴム系樹脂としては、天然ゴム系樹脂;スチレン−ブタジエンゴム、メチルメタクリレート−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等の合成ゴム系樹脂;等が挙げられる。
アクリル系樹脂としては、下記式(I)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(I)」という)を含有するポリ(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
Figure 2007144938
式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数12〜28の長鎖アルキル基を示す。Rの炭素数が12未満であると剥離性能が低下し、また炭素数が28を超えると溶解性等の塗工適性に支障を生じるおそれがある。
前記ポリ(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、(i)式(II)
Figure 2007144938
(式中、R、Rは前記と同じ意味を表す。)で表される単量体(以下、「単量体(II)」という)の一種を重合して得られる重合体、(ii)単量体(II)の二種以上を共重合して得られる共重合体、(iii)単量体(II)の一種又は二種以上と、その他の単量体とを共重合して得られる共重合体が挙げられる。
単量体(II)の具体例としては、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、テトラコシル(メタ)アクリレート、ヘキサコシル(メタ)アクリレート、オクタコシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他の単量体としては、炭素数1〜11のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の官能基を含む(メタ)アクリル酸エステル;等が挙げられる。
これらの中でも、剥離層を構成する樹脂としては、付加反応型シリコーン樹脂、アルキド系樹脂、オレフィン系樹脂、ゴム系樹脂又はアクリル系樹脂が特に好ましい。
剥離層は、前記樹脂の少なくとも一種及び希釈剤を含有する剥離層形成溶液を、前記基材フィルムのイオン注入層上に塗布し、得られた塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することにより、又はエネルギー線を照射することにより形成することができる。
剥離層形成溶液の調製に用いる希釈剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素;等が挙げられる。
希釈剤の使用量は、剥離層形成溶液の粘度が適当な範囲になるように適宜選定すればよいが、剥離層形成溶液の固形分が0.05〜10重量%となる量が好ましく、0.1〜5重量%となる量がより好ましい。
また、剥離層形成溶液には、用いる樹脂の種類により、硬化触媒(硬化剤)を適宜選択して添加してもよい。
硬化触媒としては、ヘキサメチレンテトラミン、エチレンジアミン等のアミン類;塩化亜鉛等のルイス酸;パラトルエンスルホン酸等の酸;メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水物;有機酸金属塩;塩化白金酸等の白金系触媒;等が挙げられる。
さらに、剥離層形成溶液には、前記樹脂に加えて、その他の樹脂を添加してもよい。その他の樹脂としては、ユリア樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂等のアミノ樹脂;ノボラック樹脂、レゾール樹脂等のフェノール樹脂;フラン樹脂;エポキシ樹脂;ジアリルフタレート樹脂;ケトン樹脂;等の熱硬化性樹脂が挙げられる。その他の樹脂の添加量は、剥離層形成溶液に含まれる固形分全体に対して、通常0〜10重量%程度である。
剥離層形成溶液の塗布方法としては、特に制約はなく、公知の方法を採用できる。例えば、マイヤバー法、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ダイコート法等が挙げられる。
剥離層形成溶液の塗膜を乾燥し、加熱する方法としては、特に制限されず、公知の方法が採用できる。乾燥温度は、通常20〜150℃程度である。また、加熱温度は、通常50〜200℃程度である。
乾燥時間及び加熱時間はともに、通常、10秒から5分程度である。また、乾燥及び加熱は同時に行ってもよい。
また、剥離層形成溶液の塗膜を乾燥し、エネルギー線を照射する方法としては、特に制限されず、公知の方法が採用できる。エネルギー線としては、通常紫外線、電子線が用いられる。紫外線を照射する方法としては、超高圧水銀燈、高圧水銀燈、低圧水銀燈、カーボンアーク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ等を用いる方法が挙げられる。
以上のようにして形成される剥離層の厚みは、特に制限されないが、通常0.01〜1μm、好ましくは0.01〜0.8μmである。剥離層の厚みが0.01μm未満であると、剥離性能が不安定となる場合がある。一方、剥離層の厚みが1μmを超えると、良好な帯電防止性能、表面平滑性を得られにくくなる。また、剥離フィルムをロール状に巻き取ったときの剥離層面が、剥離フィルムの背面とブロッキングし易くなり、剥離層面の剥離性能が低下するおそれがある。
以上のようにして得られる本発明の剥離フィルムは、イオン注入層の上に剥離層を形成された層構造を有する。
上述したように、イオン注入層は基材フィルムの表面部にイオン注入することにより形成されるため、表面平滑性に優れている。
本発明の剥離フィルムの剥離層の平均表面粗さ(Ra)は、好ましくは1nm以下、より好ましくは0.5nm以下である。平均表面粗さ(Ra)は、例えば、公知の原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定することができる。
また、前記イオン注入層は、その表面の水の接触角が、好ましくは60°以下であり、濡れ性に優れている。すなわち、前記基材フィルムのイオン注入層上に、剥離層形成溶液を均一に塗布することができ、均一な剥離層を形成することができる。従って、本発明の剥離フィルムは、イオン注入層との密着性と表面平滑性に優れた剥離層が形成されたものである。なお、前記イオン注入層の水の接触角は、公知の接触角計により測定することができる。
剥離層表面の、23℃、湿度50%以下での表面固有抵抗値は、好ましくは1×1013Ω/□以下、より好ましくは1×1012Ω/□以下であり、帯電防止性能に優れる。これは、基材フィルムの表面部に形成されたイオン注入層が、優れた帯電防止性能を有することによる。すなわち、イオン注入層上に剥離層が形成されても、剥離層は極薄であるため、剥離層上の帯電防止性能(剥離フィルムの帯電防止性能)も同様に優れたものとなる。
剥離層表面の表面固有抵抗値は、JIS K 6911に準じて、公知の表面抵抗器により測定して求めることができる。
上述のように、本発明の剥離フィルムは帯電防止性能に優れるので、搬送時や剥離フィルムを用いる作業時において、静電気の発生によるゴミ、異物等の付着を防止でき、良好な作業性を確保することができる。
また、本発明の剥離フィルムは、大気環境の変化、特に湿度の変化に影響されることなく、安定して優れた帯電防止性能を発揮する。
以上説明したように、本発明の剥離フィルムは、帯電防止性能、表面平滑性に優れるため、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等のキャスト製膜用の保護フィルム;粘着製品の粘着剤層の保護フィルム;転写用シートの剥離フィルム;等として好ましく用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
図2に示す連続的プラズマイオン注入装置を用いて、厚み100μm、巾300mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名:ルミラー、東レ(株)製)の表面部にイオン注入層が形成された長尺のPETフィルムを得た。
イオン注入層を形成した条件は以下のとおりである。
なお、高電圧パルス電源は、栗田製作所製のPV−3−HSHV−0835を用い、高電圧導入端子は、栗田製作所製のPV3−FD45を用いた。
・プラズマ生成ガス(イオン注入用ガス):酸素
・ライン速度:0.5m/min
・繰り返し周波数:1000Hz
・イオン注入時の圧力:0.1Pa
・印加電圧:−10kV
・Duty比(パルス印加時間と非印加時間との比):0.5%
・パルス幅:5μsec
次に、表面部にイオン注入層が形成されたPETフィルムのイオン注入層上に、付加反応型シリコーン樹脂(商品名:KS−847H、信越化学社製)100重量部及び塩化白金酸系硬化剤(商品名:CAT−PL−50T、信越化学社製)1.5重量部をトルエンにて固形分濃度1.1重量%に希釈して調製した剥離層形成溶液を、乾燥後の膜厚が0.1μmとなるようにマイヤバーを用いて塗布した。次いで、得られた塗膜を、130℃で1分間加熱乾燥して剥離層を形成することにより、剥離フィルム1を得た。
(実施例2)
実施例1において、プラズマ生成ガスをアルゴンガスとしたほかは、実施例1と同様にして剥離フィルム2を得た。
(実施例3)
実施例1において、プラズマ生成ガスをヘリウムガスとしたほかは、実施例1と同様にして剥離フィルム3を得た。
(実施例4)
プラズマ生成ガスを窒素ガスとしたほかは、実施例1と同様にしてPETフィルムにイオン注入層を形成した。
次に、表面部にイオン注入層が形成されたPETフィルムのイオン注入層上に、ポリアクリル酸ステアリル(分子量:約6万)100重量部、アミノ樹脂(テスファイン303、日立化成ポリマー社製)1重量部、及びパラトルエンスルホン酸0.03重量部をトルエンにて固形分濃度1.0重量%に希釈して調製した剥離層形成溶液を、乾燥後の膜厚が0.1μmとなるようにマイヤバーを用いて塗布した。次いで、得られた塗膜を140℃で1分間加熱乾燥して剥離層を形成することにより、剥離フィルム4を得た。
(実施例5)
プラズマ生成ガスを窒素ガスとしたほかは、実施例1と同様にしてPETフィルムにイオン注入層を形成した。
次に、表面部にイオン注入層が形成されたPETフィルムのイオン注入層上に、シリコーン変性アルキド樹脂(商品名:KS−882、信越化学工業(株)製)100重量部、及びパラトルエンスルホン酸3重量部をトルエンにて固形分濃度1重量%に希釈して調製した剥離層形成溶液を、乾燥後の膜厚が0.1μmとなるようにマイヤバーを用いて塗布した。次いで、得られた塗膜を140℃で1分間加熱乾燥して剥離層を形成することにより、剥離フィルム5を得た。
(比較例1)
厚み100μm、巾300mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名:ルミラー、東レ(株)製)に、実施例1で用いた剥離層形成溶液を使用して実施例1と同様に剥離層を形成することにより、剥離フィルム6を得た。
(比較例2)
厚み100μm、巾300mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名:ルミラー、東レ(株)製)に、実施例4で用いた剥離層形成溶液を使用して実施例4と同様に剥離層を形成することにより、剥離フィルム7を得た。
(1)接触角の測定
実施例1〜5において、PETフィルムに形成したイオン注入層表面の純水に対する接触角を、23℃、湿度50%の条件で24時間調湿後、接触角計(FACE接触角計、CA−D型、協和界面科学(株)社製)を用いて測定した。比較例1,2については、イオン注入層を形成していないPETフィルム表面の接触角を測定した。測定結果を第1表に示す。
(2)平均表面粗さ(Ra)の測定
実施例1〜5、及び比較例1,2で得られた剥離フィルム1〜7(剥離層)の平均表面粗さ(Ra)を、AFM(型番号:SPI3800、セイコーインスツルメント社製)で測定して求めた。測定結果を第1表に示す。
(3)表面固有抵抗値の測定(1)
実施例1〜5、及び比較例1,2で得られた剥離フィルム1〜7から、100mm×100mmのサンプルを切り出し、このものを23℃、湿度50%の条件下24時間調湿し、JIS K 6911に準拠して、剥離層表面の表面固有抵抗値を表面抵抗測定器((株)アドバンテスト製「R12704レジスティビティ/チェンバ」、タケダ理研工業(株)社製「デジタルエレクトロメーターTR8652」)により測定して求めた。測定結果を、第1表中、表面固有抵抗値(1)として示す。
(4)表面固有抵抗値の測定(2)
実施例1〜5、及び比較例1,2で得られた剥離フィルム1〜7から、100mm×100mmのサンプルを切り出し、このものをベルジャー(真空容器)中に入れ、40℃、0.1MPaの条件下で24時間放置した後、測定直前にベルジャーから取り出し、23℃、湿度50%の雰囲気で、剥離層表面の表面固有抵抗値を表面抵抗測定器((株)アドバンテスト製「R12704レジスティビティ/チェンバ」、タケダ理研工業(株)社製「デジタルエレクトロメーターTR8652」)により測定して求めた。測定結果を、第1表中、表面固有抵抗値(2)として示す。
(5)剥離力の測定
実施例1〜5、及び比較例1,2で得られた剥離フィルム1〜7の剥離層表面に、巾25mm、長さ15cmのポリエステル製粘着テープ(No.31B 75ハイ、日東電工(株)製)をゴムローラーで1往復圧着して貼り合わせた。23℃、湿度50%の条件下で30分放置後、引っ張り試験機を用いて、剥離フィルム側を0.3m/minの速度で180°方向に引っ張ることによって剥離力を測定した。測定結果を第1表に示す。
Figure 2007144938
第1表から、次の事柄がわかる。
(1)実施例1,4の剥離フィルムのイオン注入層の水の接触角は、PETフィルム表面(比較例1,2)の水の接触角に比して小さくなっており、濡れ性が増していた。
(2)実施例1〜5の剥離フィルムの剥離層の平均表面粗さ(Ra)は、比較例1,2の剥離フィルム表面の剥離層の平均表面粗さ(Ra)に比して大幅に小さくなっており、表面平滑性に優れていた。
(3)実施例1〜5の剥離フィルムの、23℃、湿度50%の条件下24時間調湿した後の表面固有抵抗値(表面固有抵抗値(1))は、8.5×1011(Ω/□)以下であり、優れた帯電防止性能を有することが示された。
(4)実施例1〜5の剥離フィルムの表面固有抵抗値は、低湿度環境下に長時間置かれた後(40℃、0.1MPaの条件下で24時間放置した後)であっても、表面固有抵抗値(1)と大きな変化が認められなかった。従って、実施例1〜5の剥離フィルムは、湿度が大きく変化した場合であっても、安定して、優れた帯電防止性能を発揮することが示された。
(5)実施例1,4の剥離フィルムの剥離力は、比較例1,2の剥離フィルムの剥離力とほぼ同等であった。
本発明の剥離フィルムの形成に用いる連続的プラズマイオン注入装置の一例の概略構成を示す図である。 本発明の剥離フィルムの形成に用いる連続的プラズマイオン注入装置の他の例の概略構成を示す図である。
符号の説明
1,1a,1b…基材フィルム、2…高電圧印加回転キャン、3…巻き出しロール、4…プラズマ放電用電極(外部電界)、5…巻取りロール、7…高電圧パルス電源、9…高電圧パルス、10…ガス導入口、11…チャンバー、15…高電圧導入端子、20…ターボ分子ポンプ


Claims (5)

  1. 表面部にイオン注入層が形成された基材フィルムと、該基材フィルムのイオン注入層上に形成された剥離層とを有することを特徴とする剥離フィルム。
  2. 前記剥離層が、シリコーン系樹脂、アルキド系樹脂、オレフィン系樹脂、ゴム系樹脂及びアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種から形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の剥離フィルム。
  3. 前記剥離層の厚さが0.01〜1μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の剥離フィルム。
  4. 前記剥離層表面の表面固有抵抗値が、1×1013Ω/□以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の剥離フィルム。
  5. 前記表面部にイオン注入層が形成された基材フィルムが、基材フィルム表面部に、プラズマ中のイオンを注入することにより得られたフィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の剥離フィルム。

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