JP2007144818A - 記録装置および記録装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 熱エネルギーを用いて記録を行う記録装置において、たとえ長期間にわたり記録を行ったとしても高品位な記録を維持し、記録ヘッドの寿命を長くすることを実現する。
【解決手段】 複数の記録素子を備えた記録ヘッドを駆動して記録媒体に記録を行う記録装置であって、記録装置による記録動作に先立って記録動作の繰り返しによって抵抗値が変化する複数の記録素子を代表する抵抗値を持つモニタ素子の抵抗値を検出する検出手段と、検出手段によって検出された抵抗値に従って複数の記録素子に対して投入されるエネルギーが一定になるように記録ヘッドの駆動条件を制御する制御手段とを有する。
【選択図】図4
【解決手段】 複数の記録素子を備えた記録ヘッドを駆動して記録媒体に記録を行う記録装置であって、記録装置による記録動作に先立って記録動作の繰り返しによって抵抗値が変化する複数の記録素子を代表する抵抗値を持つモニタ素子の抵抗値を検出する検出手段と、検出手段によって検出された抵抗値に従って複数の記録素子に対して投入されるエネルギーが一定になるように記録ヘッドの駆動条件を制御する制御手段とを有する。
【選択図】図4
Description
本発明は、記録装置および記録装置の制御方法に関するものである。特に熱エネルギーを発生することにより記録を行う記録素子の制御技術に関するものである。
インクを吐出させて画像を記録するインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッドと呼ぶ)を用いたプリンタにおいて、インク滴の吐出特性(例えば、インク滴のサイズや飛翔速度)が不均一であると記録画像の品位が低下する。また、濃度むら等に起因した画質の劣化が発生したりするため、高品位な記録を行うにはインク滴の吐出特性を常に一定に保つことが望まれている。インクジェット記録ヘッドの中でもインクを加熱して発泡させ、その圧力によりインクを吐出させる方式の記録ヘッドでは、発泡状態を安定化することにより一定の吐出特性で液滴を吐出させることができる。
また、ヒータへの投入エネルギーが過小であると発泡力が不足し、インクの吐出が不安定になったり、また投入エネルギーが過剰であると、ヒータ素子が劣化して断線を起こしたりすることがある。このためヒータによりインクを加熱する場合、ヒータでの発熱量を一定にすることは重要である。
半導体の成膜技術によって製造されるヒータ素子の抵抗値は、製造ロットの異なるヒータ基板間においてばらつきがある。ヒータの抵抗値が異なると、ヒータに印加される電圧が一定でも、ヒータに投入される電気エネルギーが変化し、前述の問題を生じる。そこで、個々のヒータ基板におけるヒータ抵抗のばらつきを補正するために、ヒータの抵抗値のバラツキを検知する素子を設け、その情報を基にプリンタ本体から記録ヘッドに入力される駆動信号の条件を調節することでヒータの発熱量を一定に補正する方法が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
特開平10−95116号公報
特開2003−11373号公報
しかしながら、ヒータ基板上に成膜されたヒータは、使用を続けていくに従い、多数回の発熱・冷却を繰り返す(以降、熱履歴と呼ぶ)ことになる。このため、熱履歴によるヒータ材料の改質や消泡時のキャビテーションなどによるヒータ状態変化、もしくはその他の理由が原因となり、ヒータの抵抗値が経年変化する場合がある。この場合、ヒータにおける発熱量(投入エネルギー)が変化することとなり、記録品質の劣化や記録ヘッドの寿命の低下を招くという問題が生じる。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、たとえ長期間にわたり記録を行ったとしても、高品位な記録を維持し、記録ヘッドの寿命を長くすることを目的としている。
複数の記録素子を備えた記録ヘッドを駆動して記録媒体に記録を行う記録装置であって、記録装置による記録動作に先立って記録動作の繰り返しによって抵抗値が変化する複数の記録素子を代表する抵抗値を持つモニタ素子の抵抗値を検出する検出手段と、検出手段によって検出された抵抗値に従って複数の記録素子に対して投入されるエネルギーが一定になるように記録ヘッドの駆動条件を制御する制御手段とを有する。
ここで、駆動条件は記録素子に投入する駆動信号のパルス幅である。
または、駆動条件は記録素子に印加する駆動電圧である。
また、複数の記録素子全体に対する平均的な駆動履歴を記憶する記憶手段と、モニタ素子の駆動履歴が平均的な駆動履歴と同等となるようモニタ素子に駆動信号を投入する履歴再現手段とをさらに有する。
さらに、記録ヘッドはインクジェット記録ヘッドであって、記録素子はインクの吐出を行う素子であり、モニタ素子はインクの吐出を行わない素子であり、平均的な駆動履歴に対し記録素子のインクによる冷却の影響の補正を行うことによりモニタ素子の駆動履歴を導出する駆動履歴補正手段をさらに有する。
または、記録ヘッドはインクジェット記録ヘッドであって、記録素子およびモニタ素子はインクの吐出を行う素子であり、履歴再現手段は、記録装置内の予め設定された位置においてモニタ素子に対して駆動信号を投入する。
また、モニタ素子を駆動する駆動回数を累積する第1累積手段と、複数の記録素子の平均駆動回数を累積する第2累積手段と、検出手段により検出されたモニタ端子の抵抗値を第1累積手段及び第2累積手段によって累積された累積値に基づいて補正する抵抗値補正手段とをさらに有する。
さらに、検出手段により検出されたモニタ端子の抵抗値とモニタ端子の抵抗値が検出された時点における前記第1累積手段により累積された駆動回数とを記憶する記憶手段をさらに有し、抵抗値補正手段は記憶手段により記憶された前記モニタ端子の抵抗値と駆動回数とを用いて導出した推定式と第2累積手段により累積された平均駆動回数とを用いて抵抗値を補正する。
複数の記録素子を備えた記録ヘッドを駆動して記録媒体に記録を行う記録装置の制御方法であって、記録装置による記録動作に先立って記録動作の繰り返しによって抵抗値が変化する複数の記録素子を代表する抵抗値を持つモニタ素子の抵抗値を検出する検出工程と、検出工程において検出された抵抗値に従って複数の記録素子に対して投入されるエネルギーが一定になるように記録ヘッドの駆動条件を制御する制御工程とを有する。
本発明によれば、たとえ長期間にわたり記録を行ったとしても、記録のための複数の記録素子に投入するエネルギーを一定にすることが出来るので、高品位な記録を維持し、記録ヘッドの寿命を長くすることが出来るという効果がある。
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施例について詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。なお、以下に説明する実施例では、インクジェット記録方式を用いた記録装置としてプリンタを例に挙げ説明する。なお、本発明は、熱転写記録方式、昇華型記録方式など熱エネルギーを利用して記録を行う他の記録方式においても適用可能である。
<装置構成>
図1は、本発明の代表的な実施例であるインクジェット記録装置(プリンタ)の構造の概要を示す外観斜視図である。プリンタ100は、筐体103、記録媒体150(紙など)を供給する給紙機構104、画像の記録を行った記録媒体150を排出する排紙機構(不図示)などを備える。また、一定方向に往復走査するキャリッジ102、、記録状態を良好に保つためのメンテナンスユニット106を備える。キャリッジ102には記録ヘッドカートリッジ110が装着され、位置ぎめ部及び電気接点により所定の状態に固定支持される。
図1は、本発明の代表的な実施例であるインクジェット記録装置(プリンタ)の構造の概要を示す外観斜視図である。プリンタ100は、筐体103、記録媒体150(紙など)を供給する給紙機構104、画像の記録を行った記録媒体150を排出する排紙機構(不図示)などを備える。また、一定方向に往復走査するキャリッジ102、、記録状態を良好に保つためのメンテナンスユニット106を備える。キャリッジ102には記録ヘッドカートリッジ110が装着され、位置ぎめ部及び電気接点により所定の状態に固定支持される。
記録ヘッドカートリッジ110は、記録ヘッド111、およびインクタンク112を備える。記録ヘッド111には複数のノズルが設けられ、キャリッジ102を図中A方向に走査しながら、キャリッジ102の電気接点より受信する記録データに応じて各ノズルから所定のタイミングでインク吐出を行い、記録媒体150上に画像を記録する。サーマルインクジェット方式の場合、記録ヘッド111内にヒータ基板を備え、熱エネルギーを発生させるヒータを有する。ヒータに通電・加熱することでインク中に発泡を引き起こし、発生した圧力によって各ノズルからインクの吐出を行う。
メンテナンスユニット106は、例えば記録ヘッド111の前面をキャップするキャップ部材(不図示)やキャップ内を吸引する吸引器(不図示)を備え、キャップ内開口を介して記録ヘッドの吸引回復を行う。また、クリーニングブレード(不図示)を有し、記録ヘッドの吐出面に付着した余分なインクなどをワイパー清掃する。さらに、記録状態を良好に保つため、記録とは別にインク吐出を行う予備吐出モードを備え、記録前のノズル内をリフレッシュすることも効果的である。なお、図1においては、記録ヘッドがインクタンクと分離可能な構成を例に挙げているが、一体型であってもよい。
図2は、図1に示すインクジェット記録装置の内部機能ブロック図である。
図2に示すように、コントローラ200は、MPU201、後述する制御シーケンスに対応したプログラム、所要のテーブル、その他の固定データを格納したROM202を備えている。また、キャリッジモータM1の制御、搬送モータM2の制御、及び、記録ヘッド111の制御のための制御信号を生成する特殊用途集積回路(ASIC)203を備えている。さらに、画像データの展開領域やプログラム実行のための作業用領域等を設けたRAM204、以下に説明するセンサ群からのアナログ信号を入力してA/D変換し、デジタル信号をMPU201に供給するA/D変換器206などを備えている。なお、MPU201、ASIC203、RAM204はシステムバス205により相互に接続されデータの送受信を行う。
また、図2において、210は画像データの供給源となる外部コンピュータ(或いは、画像読取り用のリーダやデジタルカメラなど)でありホスト装置と総称される。ホスト装置210とプリンタ100との間ではインタフェース(I/F)211を介して画像データ、コマンド、ステータス信号等を送受信する。
さらに、220はスイッチ群であり、操作者による指令入力を受けるためのスイッチから構成される。スイッチとしては、電源スイッチ221、プリント開始を指令するためのプリントスイッチ222がある。また、記録ヘッド111のインク吐出性能を良好な状態に維持するための処理(回復処理)の起動を指示するための回復スイッチ223などがある。230はホームポジションを検出するためのフォトカプラなどの位置センサ231、環境温度を検出するために記録装置の適宜の箇所に設けられた温度センサ232等から構成される装置状態を検出するためのセンサ群である。
さらに、240はキャリッジ102をに往復走査させるためのキャリッジモータM1を駆動させるキャリッジモータドライバ、242は記録媒体150を搬送するための搬送モータM2を駆動させる搬送モータドライバである。
ASIC203は、記録ヘッド111による記録の際に、RAM204の記憶領域に直接アクセスしながら記録ヘッド111に対して記録素子の駆動データ(DATA)を転送する。さらに記録ヘッド111に電力を供給するための電力回路(不図示)を有している。
<ヒータ基板およびコントローラの構成>
以下、記録ヘッド111内のヒータ基板301およびコントローラ200の機器構成ついて詳細に述べる。なお、コントローラ200については、ヒータ基板301の制御に関連する部分のみを説明する。
以下、記録ヘッド111内のヒータ基板301およびコントローラ200の機器構成ついて詳細に述べる。なお、コントローラ200については、ヒータ基板301の制御に関連する部分のみを説明する。
図3はヒータ基板上の回路およびプリンタ筐体内の制御回路を示す図である。
301は、ヒータ基板301であり、シリコンの半導体基板上にヒータおよびその駆動素子が半導体の成膜工程を用いて形成されている。304−1〜304−nはインク中に発泡を引き起こし、画像記録を行うための熱を発生させる吐出ヒータ(記録素子)であり、305−1〜305−nは吐出ヒータ304−1〜304−nに電流を供給する駆動素子である。
また、302は抵抗値変化のモニタが可能なモニタヒータを、303はモニタヒータ302への電流供給を制御するモニタ用駆動素子を示す。ここで、駆動素子305−1〜305−nおよびモニタ用駆動素子303としてはMOSトランジスタが用いられる。モニタヒータ302は、吐出ヒータ304−1〜304−nと同じ成膜条件、同じ成膜工程で形成される。従って、モニタヒータ302、および、吐出ヒータ304−1〜304−nは、同一の熱履歴においてほぼ同様の抵抗値変化が生じると考えてよい。特に、以下の説明では、簡単化のため、駆動パルス(ヒート回数1回)あたりの熱履歴は等しいとみなし、熱履歴はヒート回数に比例するものとする。また、駆動パルス幅が一定である場合はヒート回数の関数として表すことが可能であるとする。
吐出ヒータ304−1〜304−nおよびモニタヒータ302の駆動エネルギーは、電源端子308、311間の電位差によって与えられ、それぞれ電源部321、グラウンドに接続される。ここで、モニタヒータ302は吐出ヒータ304−1〜304−nに対して1つもしくは複数個設置される。
なお、この実施例ではモニタヒータ302はインクの吐出を行う構成とはなっていない。いずれにしろ、任意のタイミングで所望量の電気エネルギーを印加できる構成であるものとする。309、310はモニタヒータの抵抗値を測定するためのモニタ端子で、モニタヒータ302の両端に接続される。
ビット選択部307はデータ端子313を通してプリンタ本体の記録制御回路327より受信した記録データに基づき、吐出ヒータ304およびモニタヒータ302に駆動あるいは非駆動を指示する。駆動制御回路306はMOSトランジスタ(駆動素子303、305)のゲートに各々接続され、ビット選択部からの指示に応じ、吐出ヒータ304やモニタヒータ302を制御端子312を介して受信した駆動制御信号に従った条件で駆動する。
電源端子308、311は、ヒータ基板301の外部で、それぞれ電源部321、グラウンドに接続され、MOSトランジスタがONされた吐出ヒータ304あるいはモニタヒータ302に対し一定の駆動電圧を印加する。
ヒータ基板301の外部に設けられた抵抗値導出部322はモニタ端子309、310に接続され、必要に応じてモニタヒータ302の抵抗値の測定を行う。抵抗値の導出方法としては、例えばモニタヒータ302に対し定電流を通電した際の電圧値を測定し、理論式(オームの法則)に従い導出する方法を用いることが出来る。あるいは、モニタヒータ302に対し定電圧を印加した際の電流値を測定し、抵抗値の導出を行ってもよい。
前述したように、モニタヒータ302は吐出ヒータ304−1〜304−nと成膜条件や工程、サイズ、形状が同一の場合、両者のヒータがほぼ同一の熱履歴−抵抗値特性となるため演算制御が簡略化さる。ただし、吐出ヒータ304とモニタヒータ302の相対的な特性値が明らかな場合は、特性値を利用し補正を行うことが出来るため、両者間で上記の条件や特質が異なっていてもよい。
また、抵抗値検出時の電源として電源部321を利用する場合は、吐出ヒータ304およびモニタヒータ302に対する電源端子308とモニタ端子309を共通化し、ヒータ基板301上の端子数を減少させることもできる。
エネルギー演算部323は、吐出ヒータ304−1〜304−nの駆動回数(以降では、ヒート回数と呼ぶ)を計測するヒート回数計測部325、抵抗値導出部322と接続される。そして、吐出ヒータ304の駆動エネルギーをほぼ一定となるよう駆動制御部306を制御する。なお、モニタヒータ302の抵抗値検出は、ヒート回数計測部325により計測された回数に応じ抵抗値導出部322に測定指示を出すことにより導出される。
ここで、電源部321によって吐出ヒータ304およびモニタヒータ302に与えられる駆動電圧は固定値である。よって、駆動エネルギーはヒータの抵抗値と駆動パルス幅から決定される。すなわち、検出された抵抗値に対する駆動パルス幅をエネルギー演算部323によって導出し、吐出ヒータ304の駆動エネルギー(発熱量)が一定になるよう駆動制御部306は制御を行う。なお、駆動パルス幅の導出は、記憶部324にあらかじめ記憶された駆動条件テーブルをエネルギー演算部323が読み出すことによってなされる。
演算の結果設定された駆動条件(ここでは駆動パルス幅)のデータは、制御端子312を介して駆動制御部306に伝達され、吐出ヒータ304およびモニタヒータ302の駆動条件に反映される。
なお、抵抗値導出部322や駆動条件導出のための演算・制御手段(エネルギー演算部323、記憶部324、ヒート回数計測部325など)は必ずしもヒータ基板301の外部に存在する必要はない。たとえば、記録ヘッドの汎用性を向上させる目的や、プリンタのコストダウン、あるいはその他の目的によって、それらの手段の一部もしくは全ての機能をヒータ基板301の内部に設けても良い。
記録制御部327、ヒート回数計測部325およびエネルギー演算部323は専用のハードウェアにより実現してもよいし、ROM202に記憶されたプログラムをMPU201が実行することにより実現してもよい。また、抵抗値導出部322は電流(または電圧)センサ(不図示)および専用ハードウェアにより実現してもよいし、ROM202に記憶されたプログラムをMPU201が実行することにより電流(または電圧)センサを制御することにより実現してもよい。
<動作フロー>
図4は、実施例1に係る記録動作の制御フローチャートである。プリンタへの電源投入などをトリガに制御が開始される。
図4は、実施例1に係る記録動作の制御フローチャートである。プリンタへの電源投入などをトリガに制御が開始される。
ステップS401では、抵抗値導出部322はプリンタ使用開始前にモニタヒータ302の抵抗値を導出する。
ステップS402では、エネルギー演算部323はステップS401で検出した抵抗値をもとに駆動条件(ここでは駆動パルス幅)を決定する。つまり、上述したように、例えば抵抗値が低下した場合にはより短い駆動パルス幅を導出する。なお、ここでは記憶部324に記憶された駆動条件テーブルを参照し導出することを想定するが、記憶部324に変換式とパラメータを記憶し導出するような構成であってもよい。
ステップS403では、プリンタが稼動状態に入り、記録動作を繰り返す間、ヒート回数計測部325は吐出ヒータ304−1〜304−nのヒート回数をカウントし、EEPROMのような記憶素子(不図示)に記憶し随時更新する。なお、個々の吐出ヒータ304−1〜304−nについてヒート回数を個別に記憶してもよい。しかし、より簡略的に各吐出ヒータを共通の駆動条件で制御されるグループ(例えば、インク色別、駆動ブロック別など)に分類し、各グループの総ヒート回数を記憶するよう構成してもよい。さらに、全吐出ヒータを一つのグループとして扱っても良い。
また、記録動作と並行して、モニタヒータ102に吐出ヒータ104と同等の熱履歴が再現されるように駆動パルスを投入する。例えば、エネルギー演算部323は、吐出ヒータ304−1〜304−nの平均ヒート回数の駆動パルスをモニタヒータ102に投入する。なお、複数の吐出口304をグループ化してヒート回数を記憶している場合は、例えば、グループ内の総ヒート回数およびグループの対象となっている吐出ヒータ304の個数から平均ヒート回数を導出する。
つまり、吐出ヒータ304−1〜304−nが持つ熱履歴平均と同等の熱履歴が再現されるように駆動パルスをモニタヒータ302に投入する。そうすることにより、吐出ヒータ304−1〜304−nの平均抵抗値と同等の抵抗値をモニタヒータ302が持つようにしているのである。
なお、モニタヒータ302を吐出ヒータ304−1〜304−nと同一条件で駆動すると、インク(液)による冷却のないモニタヒータ302の方が一般的には大きい熱履歴を経ることになる。そのため、モニタヒータ302に吐出ヒータ304と同等の熱履歴を与えるには、駆動条件の補正値をあらかじめ導出しておき、その補正値を元にモニタヒータ302に対する駆動条件および駆動回数の補正(調整)をする必要がある。例えば、モニタヒータ302に対してはインクによる冷却部分の寄与により散逸するエネルギー量だけ少ない熱エネルギーが生じるように駆動パルス幅などを調整する。
ステップS404では、吐出ヒータ304のヒート回数が所定値を超えたか否かを判断する。超えた場合、エネルギー演算部323から抵抗値導出部322に対し、モニタヒータ302の抵抗値測定の指示信号が送られ、ステップS405に進む。超えていない場合は、ステップS703に戻り、記録動作を続ける。なお、抵抗値のモニタを行うヒート回数の周期は、モニタヒータ302の熱履歴−抵抗値特性に応じて適切な回数に設定する。例えば、十分抵抗値変化の線形性が保持される範囲での回数(周期)であることが望ましい。
ステップS405では、抵抗値導出部322がエネルギー演算部323から受信した測定指示に従いモニタヒータ302の抵抗値を導出する。
ステップS406では、ステップS405で導出されたモニタヒータ302の抵抗値をもとに、吐出ヒータ304の駆動条件(ここでは駆動パルス幅)を更新する。駆動条件の決定方法はステップS402と同様である。駆動条件を更新後、ステップS403に戻り、次の抵抗値測定タイミングに到達するまで記録動作を継続する。
ここでは、ヒート回数を計測することにより、周期的に駆動条件更新を行うよう構成し説明した。しかし、ヒート回数の替わりに一定の時間毎に抵抗値計測を行い、制御を行ってもよい。また、駆動条件更新を予備吐出モードによる記録ヘッドの回復動作の際に合わせて行うようにしてもよい。
(変形例)
図5は実施例1の変形例に係るヒータ基板上の回路およびプリンタ筐体内の制御回路を示す図である。その構成は、図3とほぼ同様であるがエネルギー演算部323から電源部321に対して電圧制御が可能となっている点が異なる。
図5は実施例1の変形例に係るヒータ基板上の回路およびプリンタ筐体内の制御回路を示す図である。その構成は、図3とほぼ同様であるがエネルギー演算部323から電源部321に対して電圧制御が可能となっている点が異なる。
また、動作フローについても、図4とほぼ同様であるが、駆動条件変更(ステップS402およびステップS406)に係る動作が上述した実施例1と異なる。つまり、制御する駆動条件として駆動電圧値の変更を行うことにより、吐出ヒータ304の駆動エネルギーをほぼ一定に保持する。
以上、実施例1およびその変形例で説明したように、ヒータ基板301が有する吐出ヒータ304−1〜304−nの抵抗値変化に従った、駆動条件(駆動パルス幅、駆動電圧値など)の変更を行う。そのことにより、吐出ヒータ304−1〜304−nに投入するエネルギーをほぼ一定に保持可能となる。その結果、記録動作の繰り返しに伴う記録品質の低下を低減することが可能となる。なお、上述した実施例1とその変形例については、それぞれ1つの駆動条件のみを変化させるよう説明を行ったが、もちろん、駆動パルス幅制御と駆動電圧制御とを組み合わせて使用してもよい。
なお、モニタヒータ302を吐出ヒータ304とは別個に設けることにより、吐出ヒータ304とは独立して任意の熱履歴を投入可能となる。そのため、吐出ヒータ304−1〜304−nの熱履歴平均値をモニタヒータ302に投入することにより、吐出ヒータ304−1〜304−nの平均的な状態により近いモニタヒータ302の状態(抵抗値)を実現することが容易となる。
また、吐出ヒータ304の駆動を高周波数で行う場合には、駆動パルス幅の制御が困難となるため、駆動パルス幅を一定のまま投入エネルギーを変更可能である変形例の構成(駆動電圧値を制御)が有利となる。
さらに、モニタヒータ302がインク吐出可能な構成であってもよい。ただし、モニタヒータ302が加熱されることによりインクが吐出されることとなる。そのため、モニタヒータ302を駆動する場合は、プリンタ本体内部に設けられた記録以外の吐出を行うための領域(例えば、予備吐出実施ポジションや所定の吸収体、吸引可能なキャップ部材内など)に行うとより好適である。モニタヒータ302がインク吐出可能な構成とすることにより、そのモニタヒータ302には吐出ヒータと同じ熱履歴を与えればよい。そのため、ステップS403において説明した、駆動条件および駆動回数の補正(調整)を省略することが出来るので、より簡単な構成で両者の熱履歴を同等にできるという利点がある。
以下、本発明の好適な第2の実施形態について説明する。本実施形態では、プリンタ内部の機能ブロック、動作フローなどは実施例1と同様であるが、ヒータ基板およびコントローラの構成、および、抵抗値の導出方法が異なる。
<ヒータ基板およびコントローラの構成>
図6は実施例2に係るヒータ基板上の回路およびプリンタ筐体内の制御回路を示す図である。図3とは、吐出ヒータ304−1〜304−nとは別途に設けられたモニタヒータ302を有しない点が大きく異なる。なお、以下では、吐出ヒータ304−1を測定するよう説明を行うが、吐出ヒータ304−1〜304−nの何れの抵抗を測定してもよい。なお、ヒート回数計測部325においては、実施例1と同様に吐出ヒータ304−1〜304−nの全体についてのヒート回数計測を行う。さらに、吐出ヒータ304−1のヒート回数については独立して計測され、抵抗値測定時にヒート回数が参照できるよう構成されている。また、吐出ヒータ304の抵抗値の履歴を記憶するための抵抗値記憶部601を有しており、計測時における吐出ヒータ304−1のヒート回数および抵抗値の履歴が記憶される。
図6は実施例2に係るヒータ基板上の回路およびプリンタ筐体内の制御回路を示す図である。図3とは、吐出ヒータ304−1〜304−nとは別途に設けられたモニタヒータ302を有しない点が大きく異なる。なお、以下では、吐出ヒータ304−1を測定するよう説明を行うが、吐出ヒータ304−1〜304−nの何れの抵抗を測定してもよい。なお、ヒート回数計測部325においては、実施例1と同様に吐出ヒータ304−1〜304−nの全体についてのヒート回数計測を行う。さらに、吐出ヒータ304−1のヒート回数については独立して計測され、抵抗値測定時にヒート回数が参照できるよう構成されている。また、吐出ヒータ304の抵抗値の履歴を記憶するための抵抗値記憶部601を有しており、計測時における吐出ヒータ304−1のヒート回数および抵抗値の履歴が記憶される。
なお、吐出ヒータ304−1〜304−nは同一製造プロセス・同一条件で形成されたものであるため、特性のばらつきは十分小さいとみなせる。つまりn個の吐出ヒータ304−1〜304−nについて、同様の熱履歴に対してほぼ同様の抵抗値変化を示す。
<抵抗値の導出>
本実施例においては、吐出ヒータ群の平均抵抗値の導出に特徴がある。つまり、実施例1のように平均的な熱履歴を与えたモニタヒータを用い抵抗値の代表とする代わりに、少なくとも1つの吐出ヒータの抵抗値履歴と吐出ヒータ群の平均ヒート回数とを用いて、吐出ヒータ群の平均抵抗値を推定することにより導出する。
本実施例においては、吐出ヒータ群の平均抵抗値の導出に特徴がある。つまり、実施例1のように平均的な熱履歴を与えたモニタヒータを用い抵抗値の代表とする代わりに、少なくとも1つの吐出ヒータの抵抗値履歴と吐出ヒータ群の平均ヒート回数とを用いて、吐出ヒータ群の平均抵抗値を推定することにより導出する。
図7は、吐出ヒータ群の平均抵抗値変化を例示的に示す図である。図中の実線の曲線は吐出ヒータ304−1〜104−nの実際の平均抵抗値の変化を示す。一般に、吐出ヒータ304−1の抵抗値のみから、吐出ヒータ304−1〜304−nの実際の平均抵抗値を精度良く求めることは困難である。しかしながら、この実施例では吐出ヒータ304−1〜304−nが同一の成膜条件や工程、サイズ、形状であるり、熱履歴に対する抵抗値の変化特性がほぼ等しいと見なせることを利用して1つの吐出ヒータ304−1の測定値を補正することで吐出ヒータ304−1〜304−nの平均的な抵抗値を推定する。
図8は、平均抵抗値推定のフローチャートである。なお、図4におけるステップ401およびステップS405に相当する部分であるが、個別に実行してもよい。なお、フローの開始に先立って、ヒート回数計測部325には吐出ヒータ304−1〜304−nに投入された総ヒート回数が、抵抗値記憶部601には吐出ヒータ304−1の過去の測定値が少なくとも1つ記憶されているものとする。
新規に記録ヘッドの使用をはじめた場合など、抵抗値記憶部601に過去の測定値の情報が存在しない場合には、測定した吐出ヒータ304−1の抵抗値を代表値として用いることが出来る。なぜなら、新規に記録ヘッドの使用をはじめた場合には、各吐出ヒータ304におけるヒート回数は十分少なく、抵抗値のばらつきも少ないと考えられるからである。もちろん、出荷時に所定の値をROM等に記憶しておき、そのデータを利用してもよい。
なお、抵抗値導出部322は、実施例1と同様、電流(または電圧)センサ(不図示)および専用ハードウェアにより実現してもよい。また、ROM202に記憶されたプログラムをMPU201が実行し電流(または電圧)センサを制御することにより実現してもよい。
ステップS801では、抵抗値導出部322は、吐出ヒータ304−1の抵抗値およびヒート回数を導出する(図7の測定値B)。
ステップS802では、抵抗値導出部322は、抵抗値記憶部601から過去の測定値(図7の測定値A)データ(抵抗値およびヒート回数)を読み出す。
ステップS803では、抵抗値導出部322は、ステップS801で導出された測定値BおよびステップS802で読み出された測定値Bをもちいて推定式(図7の破線の直線)を導出する。例えば、測定点Aおよび測定点Bは、吐出ヒータ304−1に対する累積ヒート回数(熱履歴)が、それぞれM(回)およびN(回)の時点(M<N)において測定された抵抗値RM(Ω)およびRN(Ω)である。
図7から示唆されるように、累積ヒート回数であるMとNとの差が十分に小さい場合、測定対象となる吐出ヒータ304−1の抵抗値の変化は、累積ヒート回数に対して線形的であると近似してよい。そのため、吐出ヒータ304−1〜304−nの平均ヒート回数をU(回)、その時の平均抵抗値をV(Ω)とするとVの値は以下の式により基づいて得ることが出来る。
V=α×U+β ただし、α=(RN−RM)/(N−M)、β=RM−α×M
なお、ここでは抵抗値を推定するための式として直線(一次関数)を導出しているが、ROM等にあらかじめ記憶した推定式などを用いて導出してもよい。つまり、吐出ヒータ304−1の熱履歴に対応した抵抗値変化を、吐出ヒータ304−1〜304−nに投入された熱履歴に対応した抵抗値変化と見なすのである。なお、推定の精度を高めるため、図に示されているようにN>U>Mとなることが望ましい。もちろんU>N>MやN>M>Uであっても同様に推定値を得ることは可能である。なお、抵抗値のモニタを行うヒート回数の周期は、モニタヒータ302の熱履歴−抵抗値特性に応じて適切な回数に設定する。
なお、ここでは抵抗値を推定するための式として直線(一次関数)を導出しているが、ROM等にあらかじめ記憶した推定式などを用いて導出してもよい。つまり、吐出ヒータ304−1の熱履歴に対応した抵抗値変化を、吐出ヒータ304−1〜304−nに投入された熱履歴に対応した抵抗値変化と見なすのである。なお、推定の精度を高めるため、図に示されているようにN>U>Mとなることが望ましい。もちろんU>N>MやN>M>Uであっても同様に推定値を得ることは可能である。なお、抵抗値のモニタを行うヒート回数の周期は、モニタヒータ302の熱履歴−抵抗値特性に応じて適切な回数に設定する。
ステップS804では、抵抗値導出部322は、ヒート回数計測部325から総ヒート回数を読み出し、たとえば吐出ヒータ304の個数nで除算を行うことにより、1つあたりの吐出ヒータ304に対する平均ヒート回数を導出する。
ステップS805では、抵抗値導出部322は、ステップS803で導出された推定式およびステップS804で導出された平均ヒート回数から、吐出ヒータ群の平均抵抗値の推定値を導出しフローを終了する。
なお、記録ヘッドを交換する際は、生産ロットによる抵抗値のばらつきの影響を低減するため、抵抗値記憶部に記憶されているデータを消去するなどする。そのようにして、交換後の記録ヘッドにおける吐出ヒータ304の抵抗値の推定には、交換前の記録ヘッドの情報は用いないようにすることが望ましい。
以上で述べた構成にすることにより、少なくとも1つの吐出ヒータ304−1の抵抗値の履歴を利用して、検出した吐出ヒータ304−1の抵抗値を補正することにより、精度の高い吐出ヒータ群の平均抵抗値を導出することが可能となる。また、前述した実施例1に比較しヒータ基板301のサイズを小さくすることが可能な点で有利である。
Claims (9)
- 複数の記録素子を備えた記録ヘッドを駆動して記録媒体に記録を行う記録装置であって、
前記記録装置による記録動作に先立って、記録動作の繰り返しによって抵抗値が変化する前記複数の記録素子を代表する抵抗値を持つモニタ素子の抵抗値を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された抵抗値に従って、前記複数の記録素子に対して投入されるエネルギーが一定になるように、前記記録ヘッドの駆動条件を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする記録装置。 - 前記駆動条件は前記記録素子に投入する駆動信号のパルス幅であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記駆動条件は前記記録素子に印加する駆動電圧であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記複数の記録素子全体に対する平均的な駆動履歴を記憶する記憶手段と、
前記モニタ素子の駆動履歴が前記平均的な駆動履歴と同等となるよう、前記モニタ素子に駆動信号を投入する履歴再現手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の記録装置。 - 前記記録ヘッドはインクジェット記録ヘッドであって、
前記記録素子はインクの吐出を行う素子であり、前記モニタ素子はインクの吐出を行わない素子であり、
前記平均的な駆動履歴に対し前記記録素子のインクによる冷却の影響の補正を行うことにより、前記モニタ素子の駆動履歴を導出する駆動履歴補正手段をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の記録装置。 - 前記記録ヘッドはインクジェット記録ヘッドであって、
前記記録素子および前記モニタ素子はインクの吐出を行う素子であり、
前記履歴再現手段は、前記記録装置内の予め設定された位置において前記モニタ素子に対して駆動信号を投入することを特徴とする請求項4に記載の記録装置。 - 前記モニタ素子を駆動する駆動回数を累積する第1累積手段と、
前記複数の記録素子の平均駆動回数を累積する第2累積手段と、
前記検出手段により検出されたモニタ端子の抵抗値を、第1累積手段及び第2累積手段によって累積された累積値に基づいて補正する抵抗値補正手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の記録装置。 - 前記検出手段により検出された前記モニタ端子の抵抗値と該モニタ端子の抵抗値が検出された時点における前記第1累積手段により累積された駆動回数とを記憶する記憶手段をさらに有し、
前記抵抗値補正手段は、前記記憶手段により記憶された前記モニタ端子の抵抗値と前記駆動回数とを用いて導出した推定式と前記第2累積手段により累積された平均駆動回数とを用いて抵抗値を補正することを特徴とする請求項7に記載の記録装置。 - 複数の記録素子を備えた記録ヘッドを駆動して記録媒体に記録を行う記録装置の制御方法であって、
前記記録装置による記録動作に先立って、記録動作の繰り返しによって抵抗値が変化する前記複数の記録素子を代表する抵抗値を持つモニタ素子の抵抗値を検出する検出工程と、
前記検出工程において検出された抵抗値に従って、前記複数の記録素子に対して投入されるエネルギーが一定になるように、前記記録ヘッドの駆動条件を制御する制御工程と、
を有することを特徴とする記録装置の制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005342847A JP2007144818A (ja) | 2005-11-28 | 2005-11-28 | 記録装置および記録装置の制御方法 |
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JP (1) | JP2007144818A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010100016A (ja) * | 2008-10-27 | 2010-05-06 | Canon Inc | ヘッド基板、記録ヘッド、ヘッドカートリッジ、及び記録装置 |
-
2005
- 2005-11-28 JP JP2005342847A patent/JP2007144818A/ja not_active Withdrawn
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