《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。図1には、本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置20の概略構成が示されている。
この図1に示される光ディスク装置20は、光ディスク15を回転駆動するためのスピンドルモータ22、光ピックアップ装置23、該光ピックアップ装置23をシーク方向に駆動するためのシークモータ21、レーザ制御回路24、エンコーダ25、駆動制御回路26、再生信号処理回路28、バッファRAM34、バッファマネージャ37、インターフェース38、フラッシュメモリ39、CPU40及びRAM41などを備えている。なお、図1における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。また、本実施形態では、光ディスク装置20は片面多層ディスクに対応しているものとする。
ここでは、光ディスク15は、片面3層ディスクであり、レーザ光の入射側から順に、第1記録層(L1とする。)、第2記録層(L2とする。)、第3記録層(L3とする。)を有しているものとする(図2参照)。さらに、一例として、光ディスク15はDVD系の情報記録媒体であるものとする。
前記光ピックアップ装置23は、光ディスク15の3つの記録層に同時にレーザ光を照射するとともに、3つの記録層からの反射光を同時に受光することが可能な光ピックアップ装置である。
この光ピックアップ装置23は、一例として図2に示されるように、3個の光源(LDa、LDb、LDc)、3個のホログラム素子(71a、71b、71c)、コリメートレンズ52、偏光ビームスプリッタ54、λ/4板55、対物レンズ60、検出レンズ58、シリンダレンズ73、2個のハーフプリズム(76a、76b)、3個のピンホール(75a、75b、75c)、3個の受光器(PDa、PDb、PDc)、及び対物レンズ60を駆動するための不図示の駆動系などを備えている。
各光源は、いすれも波長が660nmのレーザ光を発光する半導体レーザを有し、同等の発光特性を有している。各光源からそれぞれ出射されるレーザ光の最大強度出射方向は、いずれも+Z方向である。ここでは、光源LDbは光源LDaの+X側に隣接して配置され、光源LDcは光源LDbの+X側に隣接して配置されている。また、一例として各光源からは偏光ビームスプリッタ54の入射面に平行な偏光(P偏光)の光がそれぞれ出射されるものとする。
各ホログラム素子は、いずれもいわゆる体積ホログラム素子である。体積ホログラム素子とは、例えば、小山次郎、西原浩著の「光波電子光学」(コロナ社)117頁〜132頁によると、次の(1)式で算出されるパラメータQの値(Q値)が10を超えるホログラム素子とされている。ここで、λ0は入射光の波長(空気中:ここでは660nm)、Tは素子の厚さ、n0はホログラム素子基板の屈折率、Λはパターン溝のピッチ(ホログラムピッチ)である。
Q=2πλ0T/(n0Λ2) ……(1)
体積ホログラム素子は、よく知られているように、特定の回折条件(いわゆるブラッグ条件)を満足する波長及び入射角度の光だけを回折する。一例として図3に示されるように、Q=10の時の1次回折効率P(%)は、入射角度がブラッグ条件を満足する時にピーク値を持つ。なお、図3におけるαは、−sin(入射角度)/2sin(ブラッグ角度)である。
ここでは、各ホログラム素子の材料にサーモプラスチックを用い、T=2mm、n0=1.5、Λ=0.7×λ0/n0とした。上記(1)式にそれぞれの値を代入すると、この場合には、Q≒5800となり十分に体積ホログラム素子の条件を満足している。なお、各ホログラム素子の材料にフォトポリマーのようにあまり厚くできない材料を用いる場合には、材料層を2枚のガラスで挟んだ構成とする。このときにQ>10を満足する材料層の厚さTは、4μm以上となる。なお、各ホログラム素子は、全体がホログラム領域となっている。また、各ホログラム素子のブラッグ条件は互いに異なっている。
ホログラム素子71aは、光源LDaの+Z側に配置され、光源LDaからの光が入射される。光源LDaからの光は、一例として図4(A)に示されるように、ホログラム素子71aのホログラム領域HAで繰り返し回折され、境界面で繰り返し反射される。そして、ホログラム素子71aから+X方向に回折光が出射される。ホログラム素子71aからの回折光は、コリメートレンズ52の光軸上であって、コリメートレンズ52の焦点よりも−X側に位置する仮想発光点S1から発せられた光と同等の発散光である。なお、ホログラム素子71aからの回折光は、ホログラム素子71b及びホログラム素子71cに入射するが、これらではブラッグ条件が満足されないため、そのまま透過する。
このホログラム素子71aは、一例として図5に示されるように、いわゆる2光干渉法を用いて作成される。例えば、ホログラムパターンがまだ形成されていないホログラム素子に、図5の紙面下面から、光源LDaと同等の参照光用光源Lrからの参照光が入射され、図5の紙面左側から、点S1を発光点とする情報光が入射される。これにより、ホログラム素子の内部にホログラムパターンが形成される。このようにしてホログラムパターンが形成されたホログラム素子がホログラム素子71aである。
図2に戻り、ホログラム素子71bは、光源LDbの+Z側に配置され、光源LDbからの光が入射される。光源LDbからの光は、ホログラム素子71bのホログラム領域で繰り返し回折され、境界面で繰り返し反射される。そして、ホログラム素子71bから+X方向に回折光が出射される。ホログラム素子71bからの回折光は、コリメートレンズ52の焦点位置である仮想発光点S2から発せられた光と同等の発散光である。なお、ホログラム素子71bからの回折光はホログラム素子71cに入射するが、ここではブラッグ条件が満足されないため、そのまま透過する。
ホログラム素子71cは、光源LDcの+Z側に配置され、光源LDcからの光が入射される。光源LDcからの光は、ホログラム素子71cのホログラム領域で繰り返し回折され、境界面で繰り返し反射される。そして、ホログラム素子71cから+X方向に回折光が出射される。ホログラム素子71cからの回折光は、上記仮想発光点S2よりも+X側に位置する仮想発光点S3から発せられた光と同等の発散光である。
すなわち、各ホログラム素子は、回折光の光強度が最大となるブラッグ条件が互いに異なっている。そして、一例として図4(B)に示されるように、ホログラム素子から出射される回折光は、該ホログラム素子の光軸に対して軸対称の強度分布を有し、該強度分布の半値全角θbは入射光の半値全角θaよりも大きい。
また、ホログラム素子71b及びホログラム素子71cは、上記ホログラム素子71aとほぼ同様にして作成される。
なお、各仮想発光点の間隔は、コリメートレンズ52と対物レンズ66とで決定される光学的倍率、及び光ディスク15の各記録層間の距離から決められている。
また、各仮想発光点が、コリメートレンズ52の光軸上において、上記決定された値だけ離れた位置となるように設定されているため、対物レンズ60に対する各記録層の位置の違いによる球面収差が補正される。すなわち、各ホログラム素子は、対物レンズ60に対する記録層の位置の違いに起因する収差を補正する機能を有している。さらに、ホログラム素子の作成時に高次の球面収差を補正するための収差を付加したり、対物レンズ60のトラックサーボ動作によるシフトに起因して発生する収差(主としてコマ収差)を補正するための収差を付加することにより、高次の球面収差及びコマ収差を補正することも可能である。
コリメートレンズ52は、ホログラム素子71cの+X側に配置されている。ホログラム素子71aからの回折光は、コリメートレンズ52を透過後、若干収束した光となる。ホログラム素子71bからの回折光は、コリメートレンズ52を透過後、平行光となる。ホログラム素子71cからの回折光は、コリメートレンズ52を透過後、若干発散した光となる。
偏光ビームスプリッタ54は、コリメートレンズ52の+X側に配置されている。この偏光ビームスプリッタ54は、入射する光の偏光状態に応じてその反射率が異なっている。ここでは、偏光ビームスプリッタ54は、一例としてP偏光に対する反射率が小さく、S偏光に対する反射率が大きくなるように設定されている。従って、コリメートレンズ52からの光の大部分は、偏光ビームスプリッタ54を透過することができる。
λ/4板55は、偏光ビームスプリッタ54の+X側に配置され、入射した光に1/4波長の光学的位相差を付与する。この1/4波長板55の+X側には、前記対物レンズ60が配置され、1/4波長板55を透過した光を集光する。
ここでは、光源LDaからの光が第1記録層L1に集光され、光源LDbからの光が第2記録層L2に集光され、光源LDcからの光が第3記録層L3に集光される。すなわち、各光源を同時に発光させると、各記録層に同時に光スポットを形成することができる。
検出レンズ58は、偏光ビームスプリッタ54の−Z側に配置され、偏光ビームスプリッタ54で−Z方向に反射された戻り光を収束光に変換する。
シリンダレンズ73は、検出レンズ58の−Z側に配置され、検出レンズ58からの光に非点収差を付与する。
ハーフプリズム76aは、シリンダレンズ73の−Z側に配置され、シリンダレンズ73からの光に含まれる第3記録層L3からの戻り光成分を+X方向に反射し、残りを透過させる。
ハーフプリズム76bは、ハーフプリズム76aの−Z側に配置され、ハーフプリズム76aを透過した光に含まれる第2記録層L2からの戻り光成分を+X方向に反射し、残りを透過させる。
ピンホール75aは、ハーフプリズム76aの+X側に配置され、ハーフプリズム76aで反射された光が入射される。このピンホール75aを通過した光は、受光器PDaで受光される。従って、受光器PDaで受光される光は、主として第3記録層L3からの戻り光である。
ピンホール75bは、ハーフプリズム76bの+X側に配置され、ハーフプリズム76bで反射された光が入射される。このピンホール75bを通過した光は、受光器PDbで受光される。従って、受光器PDbで受光される光は、主として第2記録層L2からの戻り光である。
ピンホール75cは、ハーフプリズム76bの−Z側に配置され、ハーフプリズム76aを透過した光が入射される。このピンホール75cを通過した光は、受光器PDcで受光される。従って、受光器PDcで受光される光は、主として第1記録層L1からの戻り光である。
前記駆動系は、対物レンズ60の光軸方向であるフォーカス方向に対物レンズ60を微少駆動するためのフォーカシングアクチュエータ、及びトラックの接線方向に直交する方向であるトラッキング方向に対物レンズ60を微少駆動するためのトラッキングアクチュエータを有している。
上記のように構成される光ピックアップ装置23の作用を簡単に説明する。
光源LDaから出射された直線偏光(ここではP偏光)の光は、ホログラム素子71aで+X方向に回折され、ホログラム素子71b、ホログラム素子71c、及びコリメートレンズ52を介して、やや収束光状態で偏光ビームスプリッタ54に入射する。光源LDbから出射された直線偏光(ここではP偏光)の光は、ホログラム素子71bで+X方向に回折され、ホログラム素子71c及びコリメートレンズ52を介して、略平行光状態で偏光ビームスプリッタ54に入射する。光源LDcから出射された直線偏光(ここではP偏光)の光は、ホログラム素子71cで+X方向に回折され、コリメートレンズ52を介して、やや発散光状態で偏光ビームスプリッタ54に入射する。各回折光の大部分は偏光ビームスプリッタ54をそのまま透過し、1/4波長板55で円偏光とされ、対物レンズ60を介して光ディスク15の各記録層に微小スポットとして集光される。
光ディスク15の各記録層からの反射光は、往路とは反対回りの円偏光となり、戻り光として対物レンズ60を介して1/4波長板55に入射し、ここで往路と直交した直線偏光(ここではS偏光)とされる。そして、この戻り光は偏光ビームスプリッタ54に入射する。
偏光ビームスプリッタ54で−Z方向に反射された戻り光は、検出レンズ58及びシリンダレンズ73を介してハーフプリズム76aに入射する。戻り光に含まれる第3記録層L3からの戻り光成分は、ハーフプリズム76aで反射され、ピンホール75aを介して受光器PDaで受光される。
ハーフプリズム76aを透過した戻り光は、ハーフプリズム76bに入射する。この戻り光に含まれる第2記録層L2からの戻り光成分は、ハーフプリズム76bで反射され、ピンホール75bを介して受光器PDbで受光される。
ハーフプリズム76bを透過した戻り光(主として第1記録層L1からの戻り光成分)は、ピンホール75cを介して受光器PDcで受光される。
なお、各ピンホールは、層間クロストークを除去するために設けられている。
また、各受光器は、通常の光ディスク装置と同様に、ウォブル信号情報、再生データ情報、フォーカスエラー情報及びトラックエラー情報などを含む信号を出力する複数の受光素子(又は複数の受光領域)を含んで構成されている。各受光素子(又は各受光領域)はそれぞれ光電変換により受光量に応じた信号を生成し、再生信号処理回路28に出力する。
図1に戻り、前記再生信号処理回路28は、前記各受光器の出力信号(複数の光電変換信号)に基づいて、サーボ信号(フォーカスエラー信号やトラックエラー信号など)、アドレス情報、同期情報、及びRF信号などを取得する。
ここで得られたサーボ信号は前記駆動制御回路26に出力され、アドレス情報はCPU40に出力され、同期信号はエンコーダ25や駆動制御回路26などに出力される。さらに、再生信号処理回路28は、RF信号に対して復号処理及び誤り検出処理などを行い、誤りが検出されたときには誤り訂正処理を行った後、再生データとして前記バッファマネージャ37を介して前記バッファRAM34に格納する。また、再生データに含まれるアドレス情報はCPU40に出力される。
前記駆動制御回路26は、再生信号処理回路28からのサーボ信号に基づいて、前記駆動系の駆動信号を生成し、光ピックアップ装置23に出力する。これにより、トラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。また、駆動制御回路26は、CPU40の指示に基づいて、シークモータ21を駆動するための駆動信号、及びスピンドルモータ22を駆動するための駆動信号を生成する。各モータの駆動信号は、それぞれシークモータ21及びスピンドルモータ22に出力される。
前記バッファRAM34には、光ディスク15に記録するデータ(記録用データ)、及び光ディスク15から再生したデータ(再生データ)などが一時的に格納される。このバッファRAM34へのデータの入出力は、前記バッファマネージャ37によって管理されている。
前記エンコーダ25は、CPU40の指示に基づいて、バッファRAM34に蓄積されている記録用データをバッファマネージャ37を介して取り出し、データの変調及びエラー訂正コードの付加などを行ない、光ディスク15への書き込み信号を生成する。ここで生成された書き込み信号はレーザ制御回路24に出力される。
前記レーザ制御回路24は、前記各光源の発光パワーを制御する。例えば記録の際には、前記書き込み信号、記録条件、及び各光源の発光特性などに基づいて、各光源の駆動信号がレーザ制御回路24にて生成される。
前記インターフェース38は、上位装置90(例えば、パソコン)との双方向の通信インターフェースであり、ATAPI(AT Attachment Packet Interface)、SCSI(Small Computer System Interface)及びUSB(Universal Serial Bus)などの標準インターフェースに準拠している。
前記フラッシュメモリ39には、CPU40にて解読可能なコードで記述された各種プログラム、及び各光源の発光特性などが格納されている。
前記CPU40は、フラッシュメモリ39に格納されている上記プログラムに従って前記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータなどをRAM41及びバッファRAM34に保存する。
《記録処理》
次に、上位装置90からユーザデータの記録要求があったときの、光ディスク装置20における処理(記録処理)について図6を用いて説明する。図6のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。なお、ここでは、第1記録層L1と第2記録層L2と第3記録層L3とにユーザデータが記録されるものとする。
上位装置90から記録要求コマンドを受信すると、図6のフローチャートに対応するプログラムの先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、記録処理がスタートする。
最初のステップ401では、所定の線速度(又は角速度)で光ディスク15が回転するように駆動制御回路26に指示するとともに、上位装置90から記録要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。
次のステップ403では、バッファRAM34に蓄積されている上位装置90からのユーザデータ(記録用データ)を、第1記録層L1に記録するユーザデータ、第2記録層L2に記録するユーザデータ、及び第3記録層L3に記録するユーザデータに分割する。
次のステップ405では、指定アドレスに対応する目標位置近傍に光スポットが形成されるように、駆動制御回路26に指示する。これにより、シーク動作が行なわれる。なお、シーク動作が不要であれば、ここでの処理はスキップされる。
次のステップ407では、記録を許可する。これにより、エンコーダ25、レーザ制御回路24及び光ピックアップ装置23を介して、光ディスク15の各記録層にユーザデータがそれぞれ記録される。
次のステップ409では、記録が完了したか否かを判断する。完了していなければ、ここでの判断は否定され、所定時間経過後に再度判断する。記録が完了していれば、ここでの判断は肯定され、記録処理を終了する。ここでは、各記録層への記録がほぼ同時に行われるため、従来よりも単時間で記録処理を終了することができる。
《再生処理》
次に、上位装置90から再生要求があったときの、光ディスク装置20における処理(再生処理)について図7を用いて説明する。図7のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。なお、ここでは、第1記録層L1と第2記録層L2と第3記録層L3とから再生するものとする。
上位装置90から再生要求コマンドを受信すると、図7のフローチャートに対応するプログラムの先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、再生処理がスタートする。
最初のステップ501では、所定の線速度(又は角速度)で光ディスク15が回転するように駆動制御回路26に指示するとともに、上位装置90から再生要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。
次のステップ503では、指定アドレスに対応する目標位置近傍に光スポットが形成されるように、駆動制御回路26に指示する。これにより、シーク動作が行なわれる。なお、シーク動作が不要であれば、ここでの処理はスキップされる。
次のステップ505では、再生を許可する。これにより、光ピックアップ装置23及び再生信号処理回路28を介して、光ディスク15の各記録層に記録されているデータがそれぞれ再生される。
次のステップ507では、再生が完了したか否かを判断する。完了していなければ、ここでの判断は否定され、所定時間経過後に再度判断する。再生が完了していれば、ここでの判断は肯定され、ステップ509に移行する。
このステップ509では、第1記録層L1からの再生データと第2記録層L2からの再生データと第3記録層L3からの再生データとを連結し、上位装置90に転送する。そして、再生処理を終了する。ここでは、各記録層からの再生がほぼ同時に行われるため、従来よりも単時間で再生処理を終了することができる。
以上の説明から明らかなように、本第1の実施形態に係る光ディスク装置20では、再生信号処理回路28と、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって、処理装置が実現されている。なお、CPU40によるプログラムに従う処理によって実現された処理装置の少なくとも一部をハードウェアによって実現することとしても良いし、あるいは全てをハードウェアによって実現することとしても良い。
また、本第1の実施形態に係る光ピックアップ装置23では、3個の光源(LDa、LDb、LDc)と3個のホログラム素子(71a、71b、71c)とによって光源ユニットが実現されている。
以上説明したように、本第1の実施形態に係る光ピックアップ装置23によると、光源LDaから+Z方向に出射される光を+X方向に回折するホログラム素子71aと、光源LDbから+Z方向に出射される光を+X方向に回折するホログラム素子71bと、光源LDcから+Z方向に出射される光を+X方向に回折するホログラム素子71cと、を各光源から対物レンズ60に向かう光の光路上に配置しているため、性能低下を招くことなく、小型化を図ることが可能となる。
また、本第1の実施形態に係る光ディスク装置20によると、性能低下を招くことなく、小型化を図ることができる光ピックアップ装置23を備えているため、複数の記録層を有する光ディスクに対するアクセス精度を低下させることなく、小型化を図ることが可能となる。
また、本第1の実施形態に係る光ディスク装置20によると、第1記録層L1への記録と第2記録層L2への記録と第3記録層L3への記録とをほぼ同時に行うことができるため、複数の記録層を有する光ディスクに対する記録処理を迅速に行うことが可能となる。
また、本第1の実施形態に係る光ディスク装置20によると、第1記録層L1からの再生と第2記録層L2からの再生と第3記録層L3からの再生とをほぼ同時に行うことができるため、複数の記録層を有する光ディスクに対する再生処理を迅速に行うことが可能となる。
なお、上記第1の実施形態において、記録と再生をほぼ同時に行うことも可能である。例えば、第1記録層L1への情報の記録を行いつつ、第2記録層L2から情報を再生することができる。
また、上記第1の実施形態において、図8に示されるように、前記ハーフプリズム76aに代えてホログラム素子77aを用い、前記ハーフプリズム76bに代えてホログラム素子77bを用い、ホログラム素子77bの−Z側にホログラム素子77cを設けても良い。このホログラム素子77aは体積ホログラムであり、第3記録層L3からの戻り光を+X方向に回折する。また、ホログラム素子77bは体積ホログラムであり、第2記録層L2からの戻り光を+X方向に回折する。ホログラム素子77cは体積ホログラムであり、第1記録層L1からの戻り光を+X方向に回折する。ここでは、前記受光器PDcは、ホログラム素子77cの+X側に配置される。すなわち、3個のホログラム素子(77a、77b、77c)は、回折光の光強度が最大となるブラッグ条件が互いに異なっている。また、3個のホログラム素子(77a、77b、77c)は、対物レンズ60に対する記録層の位置の違いに起因する収差を補正する機能を有している。この場合には、3個のホログラム素子(77a、77b、77c)と3個の受光器(PDa、PDb、PDc)とによって光検出ユニットが実現されている。そして、前記各ピンホールは不要である。
この場合に、図9に示されるように、図8における各受光器が一体化されても良い。これにより、組み立て工程での位置決めが容易となる。
また、この場合に、図10に示されるように、上記ホログラム素子77a、ホログラム素子77b、ホログラム素子77cに代えて、入射光に対して出射光の発散度を変更する前記検出レンズ58、及び入射光に非点収差を付与するシリンダレンズ73と、同等の機能が更に付加されたホログラム素子78a、ホログラム素子78b、ホログラム素子78cを用いても良い。これにより、前記検出レンズ58及びシリンダレンズ73を省くことが可能となり、更なる小型化を図ることができる。この場合には、3個のホログラム素子(78a、78b、78c)と3個の受光器(PDa、PDb、PDc)によって光検出ユニットが実現されている。
また、上記第1の実施形態では、光源が3個の場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記第1の実施形態では、各ホログラム素子の全体がホログラム領域となっている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、各ホログラム素子における予め設定されている大きさの領域(例えば、図11における灰色部分)をホログラム領域HAとしても良い。具体的には、対物レンズ60のトラッキング時のシフト量を考慮して、対物レンズ60の開口径よりも0.2〜0.4mm大きい領域をホログラム領域としても良い。これにより、光利用効率を向上させることができる。この場合には、図12に示されるように、前記ホログラム素子71aを作成する際には、前記点S1を発光点とする情報光はアパーチャAPを介してホログラム素子に入射される。なお、このようにホログラム領域を限定するときには、全体をホログラム領域とするときよりも情報光の露光量を増やすのが好ましい。
さらに、前記各ホログラム素子にビーム整形作用を持たせることができる。一例として図13(B)に示されるように、通常のガウス分布に類似した強度分布PB2を持つ情報光で体積ホログラム素子を作成すると、光源側の屈折率変化が大きくなるので、一例として図13(A)に示されるように、回折光の強度分布PB1は偏ったガウス分布になり、光ディスクに形成される光スポットの形状が変形して信号特性が劣化するおそれがある。一例として図14(A)に示されるように、軸対称のガウス分布に類似した強度分布PB3を持つ回折光を得るには、一例として図14(B)に示されるように、ピーク強度位置が参照光用光源Lrから離れる方向にシフトした強度分布PB4をもつ情報光で露光すると良い。また、一例として図15(A)に示されるように、均一な強度分布PB5を有する回折光を得るには、一例として図15(B)に示されるように、参照光用光源Lrから離れるにつれて強度が大きくなるような強度分布PB6をもつ情報光で露光すると良い。そこで、情報光の強度分布を調整することにより、回折光の端部強度(RIM強度)を調整することができる。
また、上記第1の実施形態において、一例として図16に示されるように、前記ホログラム素子71a、ホログラム素子71b、ホログラム素子71cに代えて、入射光に対して出射光の発散度を変更するレンズ機能が更に付加されたホログラム素子72a、ホログラム素子72b、ホログラム素子72cを用いても良い。これにより、前記コリメートレンズ52を省くことができ、更なる小型化を図ることができる。この場合には、3個の光源(LDa、LDb、LDc)と3個のホログラム素子(72a、72b、72c)とによって光源ユニットが実現されている。
《第2の実施形態》
この第2の実施形態は、前述した第1の実施形態における各光源に代えてホログラムユニットを用いる点に特徴を有する。光ピックアップ装置を除く光ディスク装置の構成は、前述した第1の実施形態と同様である。従って、以下においては、前述した第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
本第2の実施形態に係る光ピックアップ装置23は、図17に示されるように、3個のホログラムユニット(HUa、HUb、HUc)、3個のホログラム素子(171a、171b、171c)、コリメートレンズ52、λ/4板55、対物レンズ60、及び対物レンズ60を駆動するための不図示の駆動系などを備えている。
各ホログラム素子は、いずれもいわゆる体積ホログラム素子であり、回折光の光強度が最大となるブラッグ条件が互いに異なっている。また、各ホログラム素子は、対物レンズ60に対する記録層の位置の違いに起因する収差を補正する機能を有している。
ホログラム素子171bは、ホログラム素子171aの+X側に配置され、ホログラム素子171cは、ホログラム素子171bの+X側に配置されている。
ホログラムユニットHUaは、半導体レーザa1、受光器a2及び偏光ホログラムa3を有し、ホログラム素子171aの−Z側に配置されている。半導体レーザa1からはP偏光の光が+Z方向に向けて出射されるものとする。偏光ホログラムa3は、半導体レーザa1の+Z側に配置され、P偏光に対する回折効率が小さく、S偏光に対する回折効率が大きくなるように設定されている。受光器a2は、半導体レーザa1の近傍に配置され、偏光ホログラムa3で偏向された戻り光を受光する。従って、半導体レーザa1から出射された光は、偏光ホログラムa3を介してホログラム素子171aに入射する。
ホログラムユニットHUaからの光は、ホログラム素子171aのホログラム領域で繰り返し回折され、境界面で繰り返し反射される。そして、ホログラム素子171aから+X方向に向けて回折光が出射される。ホログラム素子171aからの回折光は、コリメートレンズ52の光軸よりも−Z側で、かつ前記仮想発光点S2よりも−X側に位置する仮想発光点S1aから発せられた光と同等の発散光である。なお、ホログラム素子171aからの回折光はホログラム素子171b及びホログラム素子171cに入射するが、これらではブラッグ条件が満足されないため、そのまま透過する。
ホログラムユニットHUbは、半導体レーザb1、受光器b2及び偏光ホログラムb3を有し、ホログラム素子71bの+Z側に配置されている。半導体レーザb1からはP偏光の光が−Z方向に向けて出射されるものとする。偏光ホログラムb3は、半導体レーザb1の−Z側に配置され、P偏光に対する回折効率が小さく、S偏光に対する回折効率が大きくなるように設定されている。受光器b2は、半導体レーザb1の近傍に配置され、偏光ホログラムb3で偏向された戻り光を受光する。従って、半導体レーザb1から出射された光は、偏光ホログラムb3を介してホログラム素子171bに入射する。
ホログラムユニットHUbからの光は、ホログラム素子171bのホログラム領域で繰り返し回折され、境界面で繰り返し反射される。そして、ホログラム素子171bから+X方向に向けて回折光が出射される。ホログラム素子171bからの回折光は、前記仮想発光点S2から発せられた光と同等の発散光である。なお、ホログラム素子171bからの回折光はホログラム素子171cに入射するが、ここではブラッグ条件が満足されないため、そのまま透過する。
ホログラムユニットHUcは、半導体レーザc1、受光器c2及び偏光ホログラムc3を有し、ホログラム素子71cの−Z側に配置されている。半導体レーザc1からはP偏光の光が+Z方向に向けて出射されるものとする。偏光ホログラムc3は、半導体レーザc1の+Z側に配置され、P偏光に対する回折効率が小さく、S偏光に対する回折効率が大きくなるように設定されている。受光器c2は、半導体レーザc1の近傍に配置され、偏光ホログラムc3で偏向された戻り光を受光する。従って、半導体レーザc1から出射された光は、偏光ホログラムc3を介してホログラム素子171cに入射する。
ホログラムユニットHUcからの光は、ホログラム素子171cのホログラム領域で繰り返し回折され、境界面で繰り返し反射される。そして、ホログラム素子171cから+X方向に向けて回折光が出射される。ホログラム素子171cからの回折光は、コリメートレンズ52の光軸よりも+Z側で、かつ前記仮想発光点S2よりも+X側に位置する仮想発光点S3aから発せられた光と同等の発散光である。
コリメートレンズ52は、ホログラム素子171cの+X側に配置されている。
λ/4板55及び対物レンズ60は、いずれも前述した第1の実施形態と同様に配置されている。
上記のように構成される本第2の実施形態に係る光ピックアップ装置23の作用を簡単に説明する。
半導体レーザa1から出射された直線偏光(ここではP偏光)の光は、偏光ホログラムa3を介してホログラム素子171aに入射し、ホログラム素子171aで回折され、ホログラム素子171b、及びホログラム素子171cを介してコリメートレンズ52に入射する。半導体レーザb1から出射された直線偏光(ここではP偏光)の光は、偏光ホログラムb3を介してホログラム素子171bに入射し、ホログラム素子171bで回折され、ホログラム素子171cを介してコリメートレンズ52に入射する。半導体レーザc1から出射された直線偏光(ここではP偏光)の光は、偏光ホログラムc3を介してホログラム素子171cに入射し、ホログラム素子171cで回折され、コリメートレンズ52に入射する。コリメートレンズ52を透過した各回折光は1/4波長板55で円偏光とされ、対物レンズ60を介して光ディスク15の各記録層に微小スポットとして集光される。
本第2の実施形態では、半導体レーザa1からの光が第1記録層L1に集光され、半導体レーザb1からの光が第2記録層L2に集光され、半導体レーザc1からの光が第3記録層L3に集光される。すなわち、各半導体レーザを同時に発光させると、各記録層に同時に光スポットを形成することができる。但し、前述した第1の実施形態と異なり、Z軸方向における各光スポットの位置は互いに異なっている(図17参照)。すなわち、各光スポットの、光ディスク15の回転中心からの距離は、互いに異なっている。
光ディスク15からの反射光は、往路とは反対回りの円偏光となり、戻り光として対物レンズ60を介して1/4波長板55に入射し、ここで往路と直交した直線偏光(ここではS偏光)とされる。そして、この戻り光はコリメートレンズ52を介してホログラム素子171cに入射する。
ホログラム素子171cでは、第3記録層L3からの戻り光成分が−Z方向に向けて回折される。ホログラム素子171cを透過した戻り光は、ホログラム素子171bに入射する。ホログラム素子171bでは、第2記録層L2からの戻り光成分が+Z方向に向けて回折される。ホログラム素子171bを透過した戻り光は、ホログラム素子171aに入射する。ホログラム素子171aでは、第1記録層L1からの戻り光成分が−Z方向に向けて回折される。
ホログラム素子171cからの回折光(第3記録層L3からの戻り光成分)は、偏光ホログラムc3で偏向され、受光器c2で受光される。ホログラム素子171bからの回折光(第2記録層L2からの戻り光成分)は、偏光ホログラムb3で偏向され、受光器b2で受光される。ホログラム素子171aからの回折光(第1記録層L1からの戻り光成分)は、偏光ホログラムa3で偏向され、受光器a2で受光される。
また、各受光器は、前述した第1の実施形態と同様に構成され、受光量に応じた信号を再生信号処理回路28に出力する。
以上の説明から明らかなように、本第2の実施形態に係る光ディスク装置20では、3個の光源(a1、b1、c1)と3個のホログラム素子(171a、171b、171c)とによって光源ユニットが実現されている。そして、3個のホログラム素子(171a、171b、171c)と3個の受光器(a2、b2、c2)によって光検出ユニットが実現されている。
以上説明したように、本第2の実施形態に係る光ピックアップ装置23によると、半導体レーザa1からの光束を回折して対物レンズ60に向けて出射するとともに、半導体レーザa1から出射された光束の対物レンズ60を介した戻り光を回折する体積ホログラム素子171aと、半導体レーザb1からの光束を回折して対物レンズ60に向けて出射するとともに、半導体レーザb1から出射された光束の対物レンズ60を介した戻り光を回折する体積ホログラム素子171bと、半導体レーザc1からの光束を回折して対物レンズ60に向けて出射するとともに、半導体レーザc1から出射された光束の対物レンズ60を介した戻り光を回折する体積ホログラム素子171cと、を有しているため、前述した第1の実施形態よりも更に、光ピックアップ装置及び光ディスク装置の小型化を促進することができる。
また、本第2の実施形態では、各ホログラム素子の仮想発光点の位置を、コリメートレンズ52の光軸方向だけでなく、該光軸方向に直交する方向においても異なるようにしている。これにより、各ホログラム素子に対する、第1記録層L1からの戻り光成分の入射角と、第2記録層L2からの戻り光成分の入射角と、第3記録層L3からの戻り光成分の入射角とを、それぞれ異ならせることができる。従って、ホログラム素子171cでは第3記録層L3からの戻り光成分のみを回折し、ホログラム素子171bでは第2記録層L2からの戻り光成分のみを回折し、ホログラム素子171aでは第1記録層L1からの戻り光成分のみを回折することが可能となる。すなわち、各ホログラム素子における戻り光の分離特性が向上する。
また、本第2の実施形態では、互いに隣接する2つのホログラム素子における入射光の入射方向が互いに異なっているため、ホログラムユニットの幅よりもホログラム素子の幅を小さくすることができる。
なお、本第2の実施形態でも、光源が3個の場合に限定されるものではない。
《第3の実施形態》
この第3の実施形態は、前述した第1の実施形態及び第2の実施形態と異なり、同一の記録層に複数の光スポットを同時に形成できる点に特徴を有する。光ピックアップ装置を除く光ディスク装置の構成は、データ処理及び信号処理の部分以外は前述した第1の実施形態とほぼ同様である。従って、以下においては、前述した第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。なお、ここでは、光ディスク15は、一例として、1つの記録層を有するDVD系の光ディスクであるものとする。
本第3の実施形態に係る光ピックアップ装置23は、図18に示されるように、3個の光源(LDa、LDb、LDc)、3個のホログラム素子(172a、172b、172c)、コリメートレンズ52、偏光ビームスプリッタ54、λ/4板55、対物レンズ60、検出レンズ58、シリンダレンズ73、3個の受光器(PDa、PDb、PDc)、及び対物レンズ60を駆動するための不図示の駆動系などを備えている。
各光源は、いすれも波長が660nmのレーザ光を発光する半導体レーザを有し、同等の発光特性を有している。各光源から出射されるレーザ光の最大強度出射方向は、いずれも+Z方向である。ここでは、光源LDbは光源LDaの+X側に隣接して配置され、光源LDcは光源LDbの+X側に隣接して配置されている。また、一例として各光源からは偏光ビームスプリッタ54の入射面に平行な偏光(P偏光)の光が出射されるものとする。
各ホログラム素子は、いずれもいわゆる体積ホログラム素子であり、回折光の光強度が最大となるブラッグ条件が互いに異なっている。
ホログラム素子172aは、光源LDaの+Z側に配置され、光源LDaからの光が入射される。光源LDaからの光は、ホログラム素子172aのホログラム領域で繰り返し回折され、境界面で繰り返し反射される。そして、ホログラム素子172aからは+X方向に向けて回折光が出射される。ホログラム素子172aからの回折光は、前記仮想発光点S2よりも+Z側に位置する仮想発光点S1bから発せられた光と同等の発散光である。なお、ホログラム素子172aからの回折光は、ホログラム素子172b及びホログラム素子172cに入射するが、これらではブラッグ条件が満足されないため、そのまま透過する。
ホログラム素子172bは、光源LDbの+Z側に配置され、光源LDbからの光が入射される。光源LDbからの光は、ホログラム素子172bのホログラム領域で繰り返し回折され、境界面で繰り返し反射される。そして、ホログラム素子172bからは+X方向に向けて回折光が出射される。ホログラム素子172bからの回折光は、前記仮想発光点S2から発せられた光と同等の発散光である。なお、ホログラム素子172bからの回折光は、ホログラム素子172cに入射するが、ここではブラッグ条件が満足されないため、そのまま透過する。
ホログラム素子172cは、光源LDcの+Z側に配置され、光源LDcからの光が入射される。光源LDcからの光は、ホログラム素子172cのホログラム領域で繰り返し回折され、境界面で繰り返し反射される。そして、ホログラム素子172cからは+X方向に向けて回折光が出射される。ホログラム素子172cからの回折光は、前記仮想発光点S2よりも−Z側に位置する仮想発光点S3bから発せられた光と同等の発散光である。
なお、各仮想発光点の間隔は、コリメートレンズ52と対物レンズ66とで決定される光学的倍率、及び光ディスク15のトラックピッチから決められている。
コリメートレンズ52は、ホログラム素子172cの+X側に配置されている。
偏光ビームスプリッタ54、λ/4板55、対物レンズ60、検出レンズ58、及びシリンダレンズ73は、いずれも前述した第1の実施形態と同様に配置されている。
受光器PDbは、シリンダレンズ73の−Z側であって、シリンダレンズ73の光軸上に配置されている。受光器PDaは、受光器PDbの+X側に配置され、受光器PDcは、受光器PDbの−X側に配置されている。
上記のように構成される本第3の実施形態に係る光ピックアップ装置23の作用を簡単に説明する。
光源LDaから出射された直線偏光(ここではP偏光)の光は、ホログラム素子172aで回折され、ホログラム素子172b、ホログラム素子172c、及びコリメートレンズ52を介して偏光ビームスプリッタ54に入射する。光源LDbから出射された直線偏光(ここではP偏光)の光は、ホログラム素子172bで回折され、ホログラム素子172c及びコリメートレンズ52を介して偏光ビームスプリッタ54に入射する。光源LDcから出射された直線偏光(ここではP偏光)の光は、ホログラム素子172cで回折され、コリメートレンズ52を介して偏光ビームスプリッタ54に入射する。各回折光の大部分は偏光ビームスプリッタ54をそのまま透過し、1/4波長板55で円偏光とされ、対物レンズ60を介して光ディスク15の記録層に微小スポットとして集光される。
ここでは、光源LDbからの光は、対物レンズの光軸と交差する第1トラック上の位置A2に集光され、光源LDaからの光は、前記第1トラックに隣接する2つのトラックのうち前記第1トラックの−Z側に位置する第2トラック上の位置A1bに集光され、光源LDcからの光は、前記第1トラックに隣接する2つのトラックのうち前記第1トラックの+Z側に位置する第3トラック上の位置A3bに集光される。
光ディスク15からの反射光は、往路とは反対回りの円偏光となり、戻り光として対物レンズ60を介して1/4波長板55に入射し、ここで往路と直交した直線偏光(ここではS偏光)とされる。そして、この戻り光は偏光ビームスプリッタ54に入射する。
偏光ビームスプリッタ54で−Z方向に反射された戻り光は、検出レンズ58及びシリンダレンズ73を介して各受光器で受光される。ここでは、位置A1bからの戻り光は受光器PDaで受光され、位置A2からの戻り光は受光器PDbで受光され、位置A3bからの戻り光成分は受光器PDcで受光される。
本第3の実施形態に係る光ピックアップ装置23では、各光源を同時に発光させると、3つのトラック上に同時に3つの光スポットを形成することができる。従って、3つのトラックに対する同時記録及び同時再生が可能となる。また、光ディスク15に対する記録と再生を同時に行うことも可能となる。
以上の説明から明らかなように、本第3の実施形態に係る光ピックアップ装置23では、3個の光源(LDa、LDb、LDc)と3個のホログラム素子(172a、172b、172c)とによって光源ユニットが実現されている。
以上説明したように、本第3の実施形態に係る光ピックアップ装置23によると、光源LDaから+Z方向に出射される光を+X方向に回折するホログラム素子172aと、光源LDbから+Z方向に出射される光を+X方向に回折するホログラム素子172bと、光源LDcから+Z方向に出射される光を+X方向に回折するホログラム素子172cと、を各光源から対物レンズ60に向かう光の光路上に配置しているため、性能低下を招くことなく、小型化を図ることが可能となる。
また、本第3の実施形態に係る光ディスク装置によると、性能低下を招くことなく、小型化を図ることができる光ピックアップ装置23を備えているため、光ディスクに対するアクセス精度を低下させることなく、小型化を図ることが可能となる。
また、本第3の実施形態に係る光ディスク装置によると、第1トラックへの記録と第2トラックへの記録と第3トラックへの記録とをほぼ同時に行うことができるため、光ディスクに対する記録処理を迅速に行うことが可能となる。
また、本第3の実施形態に係る光ディスク装置によると、第1トラックからの再生と第2トラックからの再生と第3トラックからの再生とをほぼ同時に行うことができるため、光ディスクに対する再生処理を迅速に行うことが可能となる。
なお、本第3の実施形態において、記録と再生をほぼ同時に行うことも可能である。例えば、第1トラックへの情報の記録を行いつつ、第2トラックから情報を再生することができる。
なお、本第3の実施形態でも、光源が3個の場合に限定されるものではない。
《第4の実施形態》
この第4の実施形態は、前述した第1の実施形態、第2の実施形態及び第3の実施形態と異なり、前記DVD及び前記BDのいずれにも対応可能である点に特徴を有する。光ピックアップ装置を除く光ディスク装置の構成は、データ処理及び信号処理の部分以外は前述した第1の実施形態とほぼ同様である。従って、以下においては、第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。なお、ここでは、光ディスク15は、DVD及びBDのいずれかであるものとする。そして、DVDを光ディスク15aとし、BDを光ディスク15bとする。
本第4の実施形態に係る光ピックアップ装置23は、図19に示されるように、2個の光源(LDd、LDe)、カップリングレンズ79、ホログラム素子173、コリメートレンズ52、偏光ビームスプリッタ54、2波長用のλ/4板55、開口波長フィルタ57、対物レンズ60、検出レンズ58、シリンダレンズ73、ダイクロイックプリズム76c、2個の受光器(PDa、PDb)、及び対物レンズ60を駆動するための不図示の駆動系などを備えている。
光源LDdは、光ディスクがBDのときに用いられ、波長が405nmのレーザ光を発光する半導体レーザを有している。光源LDdから出射されるレーザ光の最大強度出射方向は+X方向である。光源LDdは、その発光点がコリメートレンズ52の焦点と一致する位置に配置されている。光源LDeは、光ディスクがDVDのときに用いられ、波長が660nmのレーザ光を発光する半導体レーザを有している。光源LDeから出射されるレーザ光の最大強度出射方向は+Z方向である。なお、光源LDd及び光源LDeからは偏光ビームスプリッタ54の入射面に平行な偏光(P偏光)の光が出射されるものとする。
カップリングレンズ79は、光源LDeの+Z側に配置され、光源LDeから出射された光を収束光とする。
ホログラム素子173は、体積ホログラム素子であり、光源LDdの+X側であって、かつカップリングレンズ79の+Z側に配置され、カップリングレンズ79を透過した光が入射される。カップリングレンズ79を透過した光は、ホログラム素子173のホログラム領域で繰り返し回折され、境界面で繰り返し反射される。そして、ホログラム素子173からは+X方向に向けて回折光が出射される。ホログラム素子173からの回折光は、コリメートレンズ52の焦点よりも+X側に位置する仮想発光点S4から発せられた光と同等の発散光である。
また、対物レンズ60は、BDに対して最適化されているものとする。そこで、仮想発光点S4は、BDとDVDとの基板厚の違いを考慮して決定される。これにより、BDとDVDとの基板厚の違いに起因する収差が補正される。
コリメートレンズ52は、ホログラム素子173の+X側に配置されている。
偏光ビームスプリッタ54、λ/4板55、対物レンズ60、検出レンズ58、及びシリンダレンズ73は、いずれも前述した第1の実施形態と同様に配置されている。
開口波長フィルタ57は、λ/4板55と対物レンズ60との間の光路上に配置され、波長によって開口径が異なるように設計されている。ここでは、光源LDdからの光は対物レンズ60の開口数(NA)が0.85となるように開口制限され、光源LDeからの光は対物レンズ60の開口数(NA)が0.65となるように開口制限される。この開口波長フィルタ57は、対物レンズ60と一体でサーボ駆動される。
ダイクロイックプリズム76cは、シリンダレンズ73の−Z側に配置され、光ディスクがDVDのときに、戻り光を+X方向に反射する。このダイクロイックプリズム76cの+X側に受光器PDaが配置されており、ダイクロイックプリズム76cで反射された戻り光を受光する。受光器PDbは、ダイクロイックプリズム76cの−Z側に配置され、ダイクロイックプリズム76cを透過した戻り光を受光する。
上記のように構成される本第4の実施形態に係る光ピックアップ装置23の作用を簡単に説明する。
《光ディスクがDVDの場合》
光源LDeから出射された直線偏光(ここではP偏光)の光は、カップリングレンズ79を介してホログラム素子173に入射し、ホログラム素子173で回折され、コリメートレンズ52で若干発散した光となって偏光ビームスプリッタ54に入射する。回折光の大部分は偏光ビームスプリッタ54をそのまま透過し、1/4波長板55で円偏光とされ、開口波長フィルタ57で開口制限され、対物レンズ60を介して光ディスク15aの記録層に微小スポットとして集光される。
光ディスク15aからの反射光は、往路とは反対回りの円偏光となり、戻り光として対物レンズ60及び開口波長フィルタ57を介して1/4波長板55に入射し、ここで往路と直交した直線偏光(ここではS偏光)とされる。そして、この戻り光は偏光ビームスプリッタ54に入射する。
偏光ビームスプリッタ54で−Z方向に反射された戻り光は、検出レンズ58及びシリンダレンズ73を介してダイクロイックプリズム76cに入射し、ダイクロイックプリズム76cで反射されて、受光器PDaで受光される。
《光ディスクがBDの場合》
光源LDdから出射された直線偏光(ここではP偏光)の光は、ホログラム素子173をそのまま透過し、コリメートレンズ52で略平行光となって偏光ビームスプリッタ54に入射する。コリメートレンズ52からの光の大部分は偏光ビームスプリッタ54をそのまま透過し、1/4波長板55で円偏光とされ、開口波長フィルタ57で開口制限され、対物レンズ60を介して光ディスク15bの記録層に微小スポットとして集光される。
光ディスク15bからの反射光は、往路とは反対回りの円偏光となり、戻り光として対物レンズ60及び開口波長フィルタ57を介して1/4波長板55に入射し、ここで往路と直交した直線偏光(ここではS偏光)とされる。そして、この戻り光は偏光ビームスプリッタ54に入射する。
偏光ビームスプリッタ54で−Z方向に反射された戻り光は、検出レンズ58及びシリンダレンズ73を介してダイクロイックプリズム76cに入射し、ダイクロイックプリズム76cをそのまま透過して、受光器PDbで受光される。
ここでは、DVDの場合には、対物レンズ60に入射する光が発散光となり、BDのとの基板厚及び波長の違いに起因する収差が補正される。
以上の説明から明らかなように、本第4の実施形態に係る光ピックアップ装置23では、2個の光源(LDd、LDe)とホログラム素子173とによって光源ユニットが実現されている。
以上説明したように、本第4の実施形態に係る光ピックアップ装置23によると、光源LDeから+Z方向に出射される光を+X方向に回折するホログラム素子173を各光源から対物レンズ60に向かう光の光路上に配置しているため、性能低下を招くことなく、小型化を図ることが可能となる。
また、本第4の実施形態に係る光ディスク装置によると、性能低下を招くことなく、小型化を図ることができる光ピックアップ装置23を備えているため、基板厚が互いに異なる複数種類の光ディスクに対するアクセス精度を低下させることなく、小型化を図ることが可能となる。
なお、上記第4の実施形態において、図20に示されるように、前記ダイクロイックプリズム76cに代えてホログラム素子77dを用いても良い。このホログラム素子77dは体積ホログラムであり、光ディスクが光ディスク15aのときに戻り光を+X方向に回折する。そして、ホログラム素子77dは、基板厚の違いに起因する収差を補正する機能も有している。この場合には、2個の受光器(PDa、PDb)とホログラム素子77dとによって光検出ユニットが実現されている。
《第5の実施形態》
この第5の実施形態は、前述した第1の実施形態〜第4の実施形態と異なり、前記CD、前記DVD及び前記BDのいずれにも対応可能である点に特徴を有する。光ピックアップ装置を除く光ディスク装置の構成は、データ処理及び信号処理部分以外は前述した第1の実施形態とほぼ同様である。従って、以下においては、第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。なお、ここでは、光ディスク15は、CD、DVD、及びBDのいずれかであるものとする。そして、DVDを光ディスク15aとし、BDを光ディスク15bとし、CDを光ディスク15cとする。
本第5の実施形態に係る光ピックアップ装置23は、図21に示されるように、3個の光源(LDd、LDe、LDf)、3個のホログラム素子(174a、174b、174c)、偏光ビームスプリッタ54、3波長用のλ/4板55、回折光学素子56、開口波長フィルタ57、対物レンズ60、検出レンズ58、シリンダレンズ73、2個のダイクロイックプリズム(76d、76e)、3個の受光器(PDa、PDb、PDc)、及び対物レンズ60を駆動するための不図示の駆動系などを備えている。
光源LDdは、光ディスクがBDのときに用いられ、波長が405nmのレーザ光を発光する半導体レーザを有している。光源LDdから出射されるレーザ光の最大強度出射方向は+Z方向である。光源LDeは、光ディスクがDVDのときに用いられ、波長が660nmのレーザ光を発光する半導体レーザを有している。光源LDeから出射されるレーザ光の最大強度出射方向は+Z方向である。光源LDfは、光ディスクがCDのときに用いられ、波長が780nmのレーザ光を発光する半導体レーザを有している。光源LDfから出射されるレーザ光の最大強度出射方向は−Z方向である。なお、各光源からは偏光ビームスプリッタ54の入射面に平行な偏光(P偏光)の光が出射されるものとする。
ホログラム素子174aは、光源LDdの+Z側に配置され、光源LDdからの光が入射される。光源LDdからの光は、ホログラム素子174aのホログラム領域で繰り返し回折され、境界面で繰り返し反射される。そして、ホログラム素子174aからは+X方向に向けて略平行の回折光が出射される。
ホログラム素子174bは、ホログラム素子174aの+X側であって、かつ光源LDfの−Z側に配置され、光源LDfからの光が入射される。光源LDfからの光は、ホログラム素子174bのホログラム領域で繰り返し回折され、境界面で繰り返し反射される。そして、ホログラム素子174bからは+X方向に向けて略平行の回折光が出射される。
ホログラム素子174cは、ホログラム素子174bの+X側であって、かつ光源LDeの+Z側に配置され、光源LDeからの光が入射される。光源LDeからの光は、ホログラム素子174cのホログラム領域で繰り返し回折され、境界面で繰り返し反射される。そして、ホログラム素子174cからは+X方向に向けて若干発散ぎみの回折光が出射される。
すなわち、本第5の実施形態では、各ホログラム素子は入射光に対して出射光の発散度を変更するレンズ機能が付加されている。
偏光ビームスプリッタ54は、ホログラム素子174cの+X側に配置されている。
λ/4板55、対物レンズ60、検出レンズ58、及びシリンダレンズ73は、いずれも前述した第1の実施形態と同様に配置されている。
また、対物レンズ60は、BDに対して最適化されているものとする。そこで、ホログラム素子174b及びホログラム素子174cは、ホログラムパターン作成時に、基板厚の違いに起因する収差を補正するための収差が付加されている。
回折光学素子56は、λ/4板55の+X側に配置され、各波長に対応した収差補正を行う。開口波長フィルタ57は、回折光学素子56の+X側に配置され、各波長に対応した開口制限を行う。回折光学素子56及び開口波長フィルタ57は、いずれも対物レンズ60と一体でサーボ駆動される。
ダイクロイックプリズム76dは、シリンダレンズ73の−Z側に配置され、光ディスクがCDのときに、戻り光を+X方向に反射する。このダイクロイックプリズム76dの+X側に受光器PDcが配置されており、ダイクロイックプリズム76dで反射された戻り光を受光する。
ダイクロイックプリズム76eは、ダイクロイックプリズム76dの−Z側に配置され、光ディスクがDVDのときに、戻り光を+X方向に反射する。このダイクロイックプリズム76eの+X側に受光器PDaが配置されており、ダイクロイックプリズム76eで反射された戻り光を受光する。受光器PDbは、ダイクロイックプリズム76eの−Z側に配置され、ダイクロイックプリズム76eを透過した戻り光を受光する。
上記のように構成される本第5の実施形態に係る光ピックアップ装置23の作用を簡単に説明する。
《光ディスクがDVDの場合》
光源LDfから出射された直線偏光(ここではP偏光)の光は、ホログラム素子174bに入射し、ホログラム素子174bで回折され、平行光となってホログラム素子174cをそのまま透過し、偏光ビームスプリッタ54に入射する。回折光の大部分は偏光ビームスプリッタ54をそのまま透過し、1/4波長板55で円偏光とされ、回折光学素子56で収差補正され、開口波長フィルタ57で開口制限され、対物レンズ60を介して光ディスク15aの記録層に微小スポットとして集光される。
光ディスク15aからの反射光は、往路とは反対回りの円偏光となり、戻り光として対物レンズ60及び開口波長フィルタ57を介して回折光学素子56に入射する。回折光学素子56で略平行光となった戻り光は1/4波長板55に入射し、ここで往路と直交した直線偏光(ここではS偏光)とされる。そして、この戻り光は偏光ビームスプリッタ54に入射する。
偏光ビームスプリッタ54で−Z方向に反射された戻り光は、検出レンズ58及びシリンダレンズ73を介してダイクロイックプリズム76dに入射し、ダイクロイックプリズム76dをそのまま透過してダイクロイックプリズム76eに入射し、ダイクロイックプリズム76eで反射されて、受光器PDaで受光される。
《光ディスクがBDの場合》
光源LDdから出射された直線偏光(ここではP偏光)の光は、ホログラム素子174aに入射し、ホログラム素子174aで回折され、平行光となってホログラム素子174b及びホログラム素子174cをそのまま透過し、偏光ビームスプリッタ54に入射する。回折光の大部分は偏光ビームスプリッタ54をそのまま透過し、1/4波長板55で円偏光とされ、回折光学素子56をそのまま透過し、開口波長フィルタ57で開口制限され、対物レンズ60を介して光ディスク15bの記録層に微小スポットとして集光される。
光ディスク15bからの反射光は、往路とは反対回りの円偏光となり、戻り光として対物レンズ60及び開口波長フィルタ57を介して回折光学素子56に入射する。回折光学素子56で略平行光となった戻り光は1/4波長板55に入射し、ここで往路と直交した直線偏光(ここではS偏光)とされる。そして、この戻り光は偏光ビームスプリッタ54に入射する。
偏光ビームスプリッタ54で−Z方向に反射された戻り光は、検出レンズ58及びシリンダレンズ73を介してダイクロイックプリズム76dに入射し、ダイクロイックプリズム76dをそのまま透過してダイクロイックプリズム76eに入射し、ダイクロイックプリズム76eをそのまま透過して受光器PDbで受光される。
《光ディスクがCDの場合》
光源LDeから出射された直線偏光(ここではP偏光)の光は、ホログラム素子174cに入射し、ホログラム素子174cで回折され、やや発散光となって偏光ビームスプリッタ54に入射する。回折光の大部分は偏光ビームスプリッタ54をそのまま透過し、1/4波長板55で円偏光とされ、回折光学素子56で収差補正され、開口波長フィルタ57で開口制限され、対物レンズ60を介して光ディスク15cの記録層に微小スポットとして集光される。
光ディスク15cからの反射光は、往路とは反対回りの円偏光となり、戻り光として対物レンズ60及び開口波長フィルタ57を介して回折光学素子56に入射する。回折光学素子56からの戻り光は1/4波長板55に入射し、ここで往路と直交した直線偏光(ここではS偏光)とされる。そして、この戻り光は偏光ビームスプリッタ54に入射する。
偏光ビームスプリッタ54で−Z方向に反射された戻り光は、検出レンズ58及びシリンダレンズ73を介してダイクロイックプリズム76dに入射し、ダイクロイックプリズム76dで反射されて、受光器PDcで受光される。
以上の説明から明らかなように、本第5の実施形態に係る光ピックアップ装置23では、3個の光源(LDd、LDe、LDf)と3個のホログラム素子(174a、174b、174c)とによって光源ユニットが実現されている。
以上説明したように、本第5の実施形態に係る光ピックアップ装置23によると、光源LDdから+Z方向に出射される光を+X方向に回折するホログラム素子174a、光源LDeから+Z方向に出射される光を+X方向に回折するホログラム素子174c、及び光源LDfから−Z方向に出射される光を+X方向に回折するホログラム素子174bを、各光源から対物レンズ60に向かう光の光路上に配置しているため、性能低下を招くことなく、小型化を図ることが可能となる。
また、本第5の実施形態に係る光ディスク装置によると、性能低下を招くことなく、小型化を図ることができる光ピックアップ装置23を備えているため、基板厚が互いに異なる複数種類の光ディスクに対するアクセス精度を低下させることなく、小型化を図ることが可能となる。
また、本第5の実施形態では、各ホログラム素子にレンズ機能が付加されているため、コリメートレンズを省くことができ、光ピックアップ装置及び光ディスク装置の小型化を図ることができる。
また、本第5の実施形態では、互いに隣接する2つのホログラム素子における入射光の入射方向が互いに異なっているため、光源の幅よりもホログラム素子の幅を小さくすることができる。
なお、上記第5の実施形態において、図22に示されるように、前記ダイクロイックプリズム76dに代えてホログラム素子77eを用い、前記ダイクロイックプリズム76eに代えてホログラム素子77fを用い、ホログラム素子77fの−Z側にホログラム素子77gを設けても良い。このホログラム素子77eは体積ホログラムであり、光ディスクがCDのときに、戻り光を+X方向に回折する。また、ホログラム素子77fは体積ホログラムであり、光ディスクがDVDのときに、戻り光を+X方向に回折する。ホログラム素子77gは体積ホログラムであり、光ディスクがBDのときに、戻り光を+X方向に回折する。そして、前記受光器PDbは、ホログラム素子77gの+X側に配置される。
3個のホログラム素子(77e、77f、77g)は、回折光の光強度が最大となるブラッグ条件が互いに異なっている。また、3個のホログラム素子(77e、77f、77g)は、基板厚の違いに起因する収差を補正する機能を有している。さらに、3個のホログラム素子(77e、77f、77g)は、出射される回折光に非点収差を付与している。この場合には、3個の受光器(PDa、PDb、PDc)と3個のホログラム素子(77e、77f、77g)とによって光検出ユニットが実現されている。
《第6の実施形態》
この第6の実施形態は、前述した第5の実施形態における各光源に代えてホログラムユニットを用いる点に特徴を有する。従って、以下においては、第5の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、前述した第5の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
本第6の実施形態に係る光ピックアップ装置23は、図23に示されるように、3個のホログラムユニット(HUd、HUe、HUf)、3個のホログラム素子(175a、175b、175c)、コリメートレンズ52、3波長用のλ/4板55、回折光学素子56、開口波長フィルタ57、対物レンズ60、及び対物レンズ60を駆動するための不図示の駆動系などを備えている。
ホログラム素子175bは、ホログラム素子175aの+X側に配置され、ホログラム素子175cは、ホログラム素子175bの+X側に配置されている。各ホログラム素子は、回折光の光強度が最大となるブラッグ条件が互いに異なっている。
ホログラムユニットHUdは、光ディスクがBDのときに用いられ、波長が405nmのレーザ光を発光する半導体レーザd1、受光器d2及び偏光ホログラムd3を有し、ホログラム素子175aの−Z側に配置されている。半導体レーザd1からはP偏光の光が+Z方向に向けて出射される。偏光ホログラムd3は、半導体レーザd1の+Z側に配置され、P偏光に対する回折効率が小さく、S偏光に対する回折効率が大きくなるように設定されている。受光器d2は、半導体レーザd1の近傍に配置され、偏光ホログラムd3で偏向された戻り光を受光する。従って、半導体レーザd1から出射された光は、偏光ホログラムd3を介してホログラム素子175aに入射する。
ホログラムユニットHUdからの光は、ホログラム素子175aのホログラム領域で繰り返し回折され、境界面で繰り返し反射される。そして、ホログラム素子175aから+X方向に向けて回折光が出射される。ホログラム素子175aからの回折光は、前記仮想発光点S2から発せられた光と同等の発散光である。なお、ホログラム素子175aからの回折光はホログラム素子175b及びホログラム素子175cに入射するが、これらではブラッグ条件が満足されないため、そのまま透過する。
ホログラムユニットHUeは、光ディスクがDVDのときに用いられ、波長が660nmのレーザ光を発光する半導体レーザe1、受光器e2及び偏光ホログラムe3を有し、ホログラム素子75bの+Z側に配置されている。半導体レーザe1からはP偏光の光が−Z方向に向けて出射される。偏光ホログラムe3は、半導体レーザe1の−Z側に配置され、P偏光に対する回折効率が小さく、S偏光に対する回折効率が大きくなるように設定されている。受光器e2は、半導体レーザe1の近傍に配置され、偏光ホログラムe3で偏向された戻り光を受光する。従って、半導体レーザe1から出射された光は、偏光ホログラムe3を介してホログラム素子175に入射する。
ホログラムユニットHUeからの光は、ホログラム素子175bのホログラム領域で繰り返し回折され、境界面で繰り返し反射される。そして、ホログラム素子175bから+X方向に向けて回折光が出射される。ホログラム素子175bからの回折光は、前記仮想発光点S2から発せられた光と同等の発散光である。なお、ホログラム素子175bからの回折光はホログラム素子175cに入射するが、ここではブラッグ条件が満足されないため、そのまま透過する。
ホログラムユニットHUfは、光ディスクがCDのときに用いられ、波長が780nmのレーザ光を発光する半導体レーザf1、受光器f2及び偏光ホログラムf3を有し、ホログラム素子175cの−Z側に配置されている。半導体レーザf1からはP偏光の光が+Z方向に向けて出射されるものとする。偏光ホログラムf3は、半導体レーザf1の+Z側に配置され、P偏光に対する回折効率が小さく、S偏光に対する回折効率が大きくなるように設定されている。受光器f2は、半導体レーザf1の近傍に配置され、偏光ホログラムf3で偏向された戻り光を受光する。従って、半導体レーザf1から出射された光は、偏光ホログラムf3を介してホログラム素子175cに入射する。
ホログラムユニットHUfからの光は、ホログラム素子175cのホログラム領域で繰り返し回折され、境界面で繰り返し反射される。そして、ホログラム素子175cから+X方向に向けて回折光が出射される。ホログラム素子175cからの回折光は、前記仮想発光点S2から発せられた光と同等の発散光である。
また、対物レンズ60は、BDに対して最適化されているものとする。そこで、ホログラム素子175bは、ホログラムパターン作成時に、BDとDVDの基板厚の違いに起因する収差を補正するための収差が付加されている。ホログラム素子175cは、ホログラムパターン作成時に、BDとCDとの基板厚の違いに起因する収差を補正するための収差が付加されている。
コリメートレンズ52は、ホログラム素子175cの+X側に配置されている。λ/4板55、回折光学素子56、開口波長フィルタ57、及び対物レンズ60は、いずれも前述した第5の実施形態と同様に配置されている。
上記のように構成される本第6の実施形態に係る光ピックアップ装置23の作用を簡単に説明する。
《光ディスクがDVDの場合》
半導体レーザe1から出射された直線偏光の光は、偏光ホログラムe3を介してホログラム素子175bに入射し、ホログラム素子175bで回折され、ホログラム素子175cを介してコリメートレンズ52に入射する。コリメートレンズ52で略平行光となった回折光は1/4波長板55で円偏光とされ、回折光学素子56で収差補正され、開口波長フィルタ57で開口制限され、対物レンズ60を介して光ディスク15aの記録層に微小スポットとして集光される。
光ディスク15aからの反射光は、往路とは反対回りの円偏光となり、戻り光として対物レンズ60及び開口波長フィルタ57を介して回折光学素子56に入射する。回折光学素子56で略平行光となった戻り光は1/4波長板55に入射し、ここで往路と直交した直線偏光とされる。そして、この戻り光はコリメートレンズ52を介してホログラム素子175cに入射し、ホログラム素子175cをそのまま透過してホログラム素子175bに入射する。ホログラム素子175bでは、戻り光が+Z方向に回折される。ホログラム素子175bからの回折光は、偏光ホログラムe3で偏向され、受光器e2で受光される。
《光ディスクがBDの場合》
半導体レーザd1から出射された直線偏光の光は、偏光ホログラムd3を介してホログラム素子175aに入射し、ホログラム素子175aで回折され、ホログラム素子175b及びホログラム素子175cを介してコリメートレンズ52に入射する。コリメートレンズ52で略平行光となった回折光は1/4波長板55で円偏光とされ、回折光学素子56をそのまま透過し、開口波長フィルタ57で開口制限され、対物レンズ60を介して光ディスク15bの記録層に微小スポットとして集光される。
光ディスク15bからの反射光は、往路とは反対回りの円偏光となり、戻り光として対物レンズ60及び開口波長フィルタ57を介して回折光学素子56に入射する。回折光学素子56で略平行光となった戻り光は1/4波長板55に入射し、ここで往路と直交した直線偏光とされる。そして、この戻り光はコリメートレンズ52を介してホログラム素子175cに入射し、ホログラム素子175cをそのまま透過してホログラム素子175bに入射し、ホログラム素子175bをそのまま透過してホログラム素子175aに入射する。ホログラム素子175aでは、戻り光が−Z方向に回折される。ホログラム素子175aからの回折光は、偏光ホログラムd3で偏向され、受光器d2で受光される。
《光ディスクがCDの場合》
半導体レーザf1から出射された直線偏光の光は、偏光ホログラムf3を介してホログラム素子175cに入射し、ホログラム素子175cで回折され、コリメートレンズ52に入射する。コリメートレンズ52で略平行光となった回折光は1/4波長板55で円偏光とされ、回折光学素子56で収差補正され、開口波長フィルタ57で開口制限され、対物レンズ60を介して光ディスク15cの記録層に微小スポットとして集光される。
光ディスク15cからの反射光は、往路とは反対回りの円偏光となり、戻り光として対物レンズ60及び開口波長フィルタ57を介して回折光学素子56に入射する。回折光学素子56で略平行光となった戻り光は1/4波長板55に入射し、ここで往路と直交した直線偏光とされる。そして、この戻り光はコリメートレンズ52を介してホログラム素子175cに入射する。ホログラム素子175cでは、戻り光が−Z方向に回折される。ホログラム素子175cからの回折光は、偏光ホログラムf3で偏向され、受光器f2で受光される。
以上の説明から明らかなように、本第6の実施形態に係る光ディスク装置20では、3個の光源(d1、e1、f1)と3個のホログラム素子(175a、175b、175c)とによって光源ユニットが実現されている。そして、3個のホログラム素子(175a、175b、175c)と3個の受光器(d2、e2、f2)によって光検出ユニットが実現されている。
以上説明したように、本第6の実施形態に係る光ピックアップ装置23によると、半導体レーザd1からの光束を回折して対物レンズ60に向けて出射するとともに、半導体レーザd1から出射された光束の対物レンズ60を介した戻り光を回折する体積ホログラム素子175aと、半導体レーザe1からの光束を回折して対物レンズ60に向けて出射するとともに、半導体レーザe1から出射された光束の対物レンズ60を介した戻り光を回折する体積ホログラム素子175bと、半導体レーザf1からの光束を回折して対物レンズ60に向けて出射するとともに、半導体レーザc1から出射された光束の対物レンズ60を介した戻り光を回折する体積ホログラム素子175cと、を有しているため、性能低下を招くことなく、小型化を図ることが可能となる。
また、本第6の実施形態に係る光ディスク装置によると、性能低下を招くことなく、小型化を図ることができる光ピックアップ装置23を備えているため、基板厚が互いに異なる複数種類の光ディスクに対するアクセス精度を低下させることなく、小型化を図ることが可能となる。
また、本第6の実施形態では、互いに隣接する2つのホログラム素子における入射光の入射方向が互いに異なっているため、ホログラムユニットの幅よりもホログラム素子の幅を小さくすることができる。
15…光ディスク、20…光ディスク装置、23…光ピックアップ装置、28…再生信号処理回路(処理装置の一部)、40…CPU(処理装置の一部)、60…対物レンズ、71a、71b、71c…ホログラム素子(体積ホログラム素子)、72a、72b、72c…ホログラム素子(体積ホログラム素子)、77a、77b、77c、77d、77e、77f、77g…ホログラム素子(体積ホログラム素子)、78a、78b、78c…ホログラム素子(体積ホログラム素子)、171a、171b、171c…ホログラム素子(体積ホログラム素子)、172a、172b、172c…ホログラム素子(体積ホログラム素子)、173…ホログラム素子(体積ホログラム素子)、174a、174b、174c…ホログラム素子(体積ホログラム素子)、175a、175b、175c…ホログラム素子(体積ホログラム素子)、a1、b1、c1、d1、e1、f1…光源、LDa、LDb、LDc…光源。