JP2005327375A - 位相光学素子及び光ピックアップ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差を位相光学素子で補正する。
【解決手段】位相光学素子20は、第1レーザー光L1の基準波長λ1と同じ値の波長を設計波長λとして設定した時に、内周領域に内周側階段状位相差パターン部20a1が階段の段差を略1λの位相差に相当する高さで複数段輪帯状に形成されていると共に、内周側階段状位相差パターン部と連接した外周領域に外周側平坦部20a2が内周側階段状位相差パターン部20a1の最も低い階段位置と最も高い階段位置との中間の高さで且つ最も低い階段位置に対して設計波長λの略整数倍の位相差に相当する高さで平坦に形成されていることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、波長が異なる第1,第2レーザー光により基板厚さが異なる第1,第2光記録媒体を選択的に記録又は再生する際に、第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差を補正するための位相光学素子及びこの位相光学素子を備えた光ピックアップ装置に関するものである。
一般的に、円盤状の光ディスクやカード状の光カードなどの光記録媒体は、映像情報とか音声情報やコンピュータデータなどの情報信号を透明基板上で螺旋状又は同心円状に形成したトラックに高密度に記録し、且つ、記録済みのトラックを再生する際に所望のトラックを高速にアクセスできることから多用されている。
この種の光記録媒体となる光ディスクとして例えばDVD(Digital Versatile Disc)などは既に市販されているが、最近になって光ディスクに対してより一層高密度化を図るために、DVDよりも情報信号を超高密度に記録又は再生できるBlu−ray Discの開発が盛んに行われている。
上記したDVDは、波長が650nm前後のレーザー光を開口数(NA)が0.6程度の対物レンズで絞って得たレーザービームを照射して、レーザービーム入射面から略0.6mm隔てた位置にある信号面上に情報信号を記録又は再生している。この際、DVDの記録容量はディスク基板の直径が12cmの時に片面で4.7GB(ギガバイト)程度である。
一方、上記したBlu−ray Discは、波長が450nm以下のレーザー光を開口数(NA)が0.75以上の対物レンズで絞って得たレーザービームを照射して、レーザービーム入射面から略0.1mm隔てた位置にある信号面上に情報信号を記録又は再生できるように開発が進められている。この際、Blu−ray Discの記録容量はディスク基板の直径が12cmの時に片面で25GB(ギガバイト)前後である。
ところで、Blu−ray Discの開発が進むにつれて、一つの対物レンズを用いて記録密度が超高密度であるBlu−ray Discと、このBlu−ray Discよりも記録密度が低いDVDとを下位互換性を確保して記録又は再生できる光ピックアップ装置が開発されている(例えば、特許文献1及び非特許文献1)。
特開2002−236253号公報(第57−58頁、第31図) Phase Shift Element for Blu-ray Disc / DVD Compatibility, Katsuhiro Koike et. al., Technical digest for ODS 2003, WA6 。
図12は従来例1の光ピックアップ装置の光学系を模式的に示した図、
図13は従来例2の光ピックアップ装置の光学系を模式的に示した図である。
まず、図12に示した従来例1の光ピックアップ装置110は、上記した特許文献1に開示されているものであり、特許文献1を参照して簡略に説明すると、従来例1の光ピックアップ装置110では、透明基板の厚さが0.1mmである第1光ディスク(例えば青色レーザー使用の次世代高密度光ディスク)101と、透明基板の厚さが0.6mmである第2光ディスク(例えばDVD)102とが選択的に適用可能に構成されている。
上記した従来例1の光ピックアップ装置110内には、第1光ディスク(例えば次世代高密度光ディスク)101に対応して波長が400nm程度の第1レーザー光(青色レーザー光)を出射する第1半導体レーザー111と、第2光ディスク(例えばDVD)102に対応して波長が650nm程度の第2レーザー光(赤色レーザー光)を出射する第2半導体レーザー112と、第1,第2ビームスプリッタ113,114と、1次元アクチュエータ115によって光軸方向に移動可能なコリメータ116と、1/4波長板117と、絞り118と、2次元アクチュエータ119によって第1,第2レーザー光を第1,第2光ディスク101,102上に結像するために開口数NAが0.7以上で少なくとも1面上に不図示の回折輪帯レンズが形成された対物レンズ120と、第1,第2光ディスク101,102からの戻り光を検出するためのシリンドリカルレンズ121及び光検出器122とを備えている。
そして、第1,第2半導体レーザー111,112から出射した各発散光束は、2個の第1,第2ビームスプリッタ113,114,コリメータ116,1/4波長板117,絞り118を介して、第1,第2光ディスク101,102の情報記録面101a,102a上にそれぞれ選択的に集光され、各スポットを形成する。
この際、第1,第2光ディスク101,102の基板厚さに誤差がある場合とか、第1,第2半導体レーザー111,112の製造誤差により各発振波長に誤差がある場合とか、集光光学系を構成するレンズに厚さ誤差がある場合に発生する球面収差をコリメータ116の移動により補正している。
更に、対物レンズ120は、第1半導体レーザー111からの光束に対して像側開口数NA1内で回折限界内となるように集光させるので、高密度な第1光ディスク101を再生でき、一方、第2半導体レーザー112からの光束に対して像側開口数NA2内で回折限界内となるように集光させるので、第2光ディスク102を再生できる。
また、第2半導体レーザー112からの光束を第2光ディスク102の情報記録面102a上に集光させる際、対物レンズ120の少なくとも1面上に形成された回折輪帯レンズの作用により、像側開口数NA1から像側開口数NA2の領域を通過する光束をフレア成分とするので、第2半導体レーザー112からの光束を、像側開口数NA1で決定される絞り118をすべて通過させても、像側開口数NA1から像側開口数NA2の領域を通過する光束は第2光ディスク102の情報記録面102a上にスポットを結ばないため、像側開口数NA1と像側開口数NA2との開口切り替え手段を設ける必要がないように構成されている。
次に、図13に示した従来例2の光ピックアップ装置130は、上記した非特許文献1に開示されているものであり、非特許文献1を参照して簡略に説明すると、従来例2の光ピックアップ装置130では、レンズホルダ131内に、位相光学素子(PSE:Phase Shift Element)132と、開口数(NA)が0.85である対物レンズ133とが取り付けられており、405nmの波長に対応したBlu−ray Discと、650nmの波長に対応したDVDとを選択的に適用可能に構成されており、位相光学素子132でBlu−ray DiscとDVDとの基板厚さの異なりによって生じる球面収差を補正できるようになっている。
ここで、上記した位相光学素子(PSE:Phase Shift Element)132は、内周に階段状位相差パターン部132aが形成され、この階段状位相差パターン部132aの外周に平坦部132bが形成されている。
そして、Blu−ray Discに対して波長が405nmの第1レーザー光を位相光学素子132の階段状位相差パターン部132aと平坦部132bとをそのまま透過させて対物レンズ133によりBlu−ray Disc上に集光させる一方、DVDに対して波長が650nmの第2レーザー光を位相光学素子132の階段状位相差パターン部132aのみを透過させてこの階段状位相差パターン部132aで球面収差を補正しながら対物レンズ133によりDVD上に集光させている。
ところで、上記した従来例1の光ピックアップ装置110では、開口数NAが0.7以上で少なくとも1面上に回折輪帯レンズが形成された対物レンズ120によって、透明基板の厚さが0.1mmである第1光ディスク101と、透明基板の厚さが0.6mmである第2光ディスク102とを選択的に適用可能に構成されているものの、対物レンズ120の少なくとも1面上に形成した回折輪帯レンズはピッチが狭くなり、対物レンズ120の加工が困難であり、レンズ性能に悪影響を及ぼす危険性がある。
また、上記した従来例2の光ピックアップ装置130では、位相光学素子132と、開口数NAが0.85である対物レンズ133とで405nmの波長に対応したBlu−ray Discと、650nmの波長に対応したDVDとを選択的に適用可能に構成されているものの、位相光学素子132の内周に形成した階段状位相差パターン部132aで第2レーザー光に対して球面収差が補正されるものの、内周に形成した階段状位相差パターン部132aと外周に形成した平坦部132bとをそのまま透過する第1レーザー光では、波長誤差が生じた時に外周が単に平坦であるためにBlu−ray Discへの球面収差補正が甘くなってしまう。
そこで、一つの対物レンズを用いて記録密度が超高密度である第1光記録媒体(例えば、Blu−ray Disc)と、この第1光記録媒体よりも記録密度が低い第2光記録媒体(例えば、DVD)とを下位互換性を確保して記録又は再生でき、波長変化が生じた場合の球面収差の変動が少なく、且つ、Blu−ray Discに対して色収差の増大を防ぐことができる位相光学素子及び光ピックアップ装置が望まれている。
請求項1記載の発明は、第1光記録媒体と、前記第1光記録媒体よりも記録密度が低く且つ前記第1光記録媒体よりも基板厚さが厚い第2光記録媒体とを開口数(NA)が0.75以上に設定された一つの対物レンズを用いて選択的に記録又は再生する際に、前記第1光記録媒体に対応して波長が450nm以下の第1レーザー光と、前記第2光記録媒体に対応して前記第1レーザー光よりも波長が長い第2レーザー光とが選択的に入射され、且つ、前記第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差を補正するための位相光学素子において、
前記第1レーザー光の基準波長λ1と同じ値の波長を設計波長λとして設定した時に、内周領域に内周側階段状位相差パターン部が階段の段差を略1λの位相差に相当する高さで複数段輪帯状に形成されていると共に、前記内周側階段状位相差パターン部と連接した外周領域に外周側平坦部が前記内周側階段状位相差パターン部の最も低い階段位置と最も高い階段位置との中間の高さで且つ前記最も低い階段位置に対して前記設計波長λの略整数倍の位相差に相当する高さで平坦に形成されたことを特徴とする位相光学素子である。
また、請求項2記載の発明は、前記第1レーザー光は前記内周側階段状位相差パターン部及び前記外周側平坦部を透過させる一方、前記第2レーザー光は前記内周側階段状位相差パターン部のみを透過させることを特徴とする請求項1記載の位相光学素子である。
また、請求項3記載の発明は、第1光記録媒体と、前記第1光記録媒体よりも記録密度が低く且つ前記第1光記録媒体よりも基板厚さが厚い第2光記録媒体とを選択的に記録又は再生する光ピックアップ装置において、
前記第1光記録媒体に対応して波長が450nm以下の第1レーザー光を出射させる第1レーザー光源と、
前記第2光記録媒体に対応して前記第1レーザー光よりも波長が長い第2レーザー光を出射させる第2レーザー光源と、
第1光記録媒体用として開口数(NA)が0.75以上に設定され、且つ、互いに対向する各面のうち少なくとも一方の面が非球面に形成されて、前記第1,第2レーザー光を前記第1,第2光記録媒体の各信号面に集光させる対物レンズと、
前記第1,第2レーザー光源側と前記対物レンズとの間に設けられ、且つ、前記第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差を補正するための位相光学素子とを少なくとも備え、
前記位相光学素子は、前記第1レーザー光の基準波長λ1と同じ値の波長を設計波長λとして設定した時に、内周領域に内周側階段状位相差パターン部が階段の段差を略1λの位相差に相当する高さで複数段輪帯状に形成されていると共に、前記内周側階段状位相差パターン部と連接した外周領域に外周側平坦部が前記内周側階段状位相差パターン部の最も低い階段位置と最も高い階段位置との中間の高さで且つ前記最も低い階段位置に対して前記設計波長λの略整数倍の位相差に相当する高さで平坦に形成されたことを特徴とする光ピックアップ装置である。
また、請求項4記載の発明は、前記第1レーザー光は前記位相光学素子の前記内周側階段状位相差パターン部及び前記外周側平坦部を透過させる一方、前記第2レーザー光は前記位相光学素子の前記内周側階段状位相差パターン部のみを透過させることを特徴とする請求項3記載の光ピックアップ装置である。
請求項1,2記載の位相光学素子によると、第1光記録媒体と、第1光記録媒体よりも記録密度が低く且つ第1光記録媒体よりも基板厚さが厚い第2光記録媒体とを開口数(NA)が0.75以上に設定された一つの対物レンズを用いて選択的に記録又は再生する際に、位相光学素子の内周側階段状位相差パターン部で第2レーザー光L2に対する球面収差を補正でき、且つ、位相光学素子の外周側平坦部で第1レーザー光L1の基準波長λ1のバラツキによる球面収差を補正できるので、これにより第1,第2記録媒体に対して性能の良い位相光学素子を提供できる。
請求項3,4記載の光ピックアップ装置によると、第1光記録媒体と、第1光記録媒体よりも記録密度が低く且つ第1光記録媒体よりも基板厚さが厚い第2光記録媒体とを開口数(NA)が0.75以上に設定された一つの対物レンズを用いて選択的に記録又は再生する際に、位相光学素子の内周側階段状位相差パターン部で第2レーザー光L2に対する球面収差を補正でき、且つ、位相光学素子の外周側平坦部で第1レーザー光L1の基準波長λ1のバラツキによる球面収差を補正できるので、これにより第1,第2記録媒体に対して性能の良い光ピックアップ装置を提供できる。
以下に本発明に係る位相光学素子及び光ピックアップ装置の一実施例を図1乃至図11を参照して詳細に説明する。
本発明に係る位相光学素子及び光ピックアップ装置は、第1光記録媒体(例えば、Blu−ray Disc)と、第1光記録媒体よりも記録密度が低く且つ第1光記録媒体よりも基板厚さが厚い第2光記録媒体(例えば、DVD)と、第1,第2光記録媒体の各信号面を組み合わせて一体的に積層した組み合わせ型光記録媒体とを開口数(NA)が0.75以上に設定された一つの対物レンズを用いて選択的に記録又は再生する際に、第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差を補正するように構成されており、とくに、位相光学素子は、第1レーザー光の基準波長λ1と同じ値の波長を設計波長λとして設定した時に、内周領域に内周側階段状位相差パターン部が階段の段差を略1λの位相差に相当する高さで複数段輪帯状に形成され、且つ、内周側階段状位相差パターン部と連接した外周領域に外周側平坦部が内周側階段状位相差パターン部の最も高い階段位置と最も低い階段位置の中間の高さで且つ設計波長λの略整数倍の位相差に相当する高さで平坦に形成されることで、第1レーザー光の波長が基準波長λ1からずれても波面収差の発生を低く押さえられることを特徴とするものである。
図1は本発明に係る位相光学素子を適用した光ピックアップ装置の全体構成を示した図である。
図1に示した如く、本発明に係る位相光学素子を適用した光ピックアップ装置10は、基準波長λ1が450nm以下の第1レーザー光L1により情報信号を基板厚さが薄い信号面1bに超高密度に記録又は再生する第1光記録媒体1と、基準波長λ2が第1レーザー光L1の基準波長λ1より長く650nm前後の第2レーザー光L2により情報信号を前記した第1光記録媒体1の信号面1bよりも基板厚さが厚い信号面2bに高密度に記録又は再生する第2光記録媒体2と、第1,第2レーザー光L1,L2のいずれかが入射するレーザービーム入射面を共通化し且つ第1,第2光記録媒体1,2の各信号面1b,2bを組み合わせて一体的に積層した組み合わせ型光記録媒体とを選択的に適用可能に開発したものである。
尚、ここでの図示を省略するものの、第1,第2光記録媒体1,2の各信号面1b,2bを組み合わせた組み合わせ型光記録媒体は合計のディスク基板厚さが略1.2mmに形成されるものであるが、以下の説明では第1,第2光記録媒体1,2の個々について詳述し、組み合わせ型光記録媒体の場合はその応用であるので説明を省略する。
また、以下の説明では、第1,第2光記録媒体1,2として、円盤状の光ディスクに適用した場合について説明するが、これに限ることなく、カード状の光記録媒体であっても良い。
そして、上記した第1,第2光記録媒体1,2は、光ディスク駆動装置5内に回転自在に設けたスピンドルモータ6の軸に固着したターンテーブル7上に選択的に装着されるようになっている。
ここで、上記した第1光記録媒体となるBlu−ray Disc1は、次世代光ディスク規格に基づいてレーザービーム入射面1aと信号面1bとの間のディスク基板厚さd1が略0.05mm〜0.15mmに薄く設定されて、この上に補強板(図示せず)を貼り合せて合計厚さが厚く形成されており、この合計厚さは例えば略1.2mmである。尚、以下の説明では、第1光記録媒体をBlu−ray Disc1と記す。
また、上記した第2光記録媒体となるDVD(Digital Versatile Disc)2は、DVD規格に基づいてレーザービーム入射面2aと信号面2bとの間のディスク基板厚さd2がBlu−ray Disc1よりも厚く0.6mmに設定されて、この上に補強板(図示せず)を貼り合せて合計厚さが略1.2mmに形成されている。尚、以下の説明では、第2光記録媒体をDVD2と記す。
尚、この実施例では、Blu−ray Disc1,DVD2の各ディスク基板厚さd1,d2が、例えば0.1mm,0.6mmにそれぞれ設定されているものとする。
また、Blu−ray Disc1のレーザービーム入射面1a又はDVD2のレーザービーム入射面2aの下方には、本発明に係る位相光学素子を適用した光ピックアップ装置10がBlu−ray Disc1又はDVD2の径方向に移動自在に設けられている。
上記した光ピックアップ装置10内には、Blu−ray Disc1に対応して基準波長λ1が450nm以下の第1レーザー光L1を出射するための第1レーザー光源(以下、青色半導体レーザーと記す)11と、DVD2に対応して基準波長λ2が650nm前後の第2レーザー光L2を出射するためにDVD用集積デバイス30内の第2レーザー光源(以下、赤色半導体レーザーと記す)31とが設けられている。
尚、この実施例では、青色半導体レーザー11から出射される第1レーザー光L1の基準波長λ1は例えば408nmに設定され、また、赤色半導体レーザー31から出射される第2レーザー光L2の基準波長λ2は例えば655nmに設定されているものとする。
まず、Blu−ray Disc1に対応する青色半導体レーザー11側について説明すると、青色半導体レーザー11から出射した第1レーザー光L1は直線偏光の発散光であり、この発散光が回折格子(グレーティング)12に入射され、この回折格子12内に形成された凹凸状格子(図示せず)のピッチと傾斜の角度に応じて0次回折光と±1次回折光とからなる3本のビーム(以下、3ビームと記す)に分離された後に、3ビームが偏光ビームスプリッタ13に入射される。
尚、この実施例では、回折格子12により3ビームを生成しているが、回折格子12を設けない構成もあり、この場合には青色半導体レーザー11から出射した第1レーザー光L1を1ビームのままで偏光ビームスプリッタ13に直接入射させれば良い。
上記した偏光ビームスプリッタ13は、回折格子12からの3ビームを透過させ、且つ、後述するBlu−ray Disc1からの反射光を反射させて略90°方向を転じさせるために偏光性を有する半透過反射誘電体多層膜13aが膜付けされている。
この後、偏光ビームスプリッタ13内の半透過反射誘電体多層膜13aを透過した第1レーザー光L1による3ビームは、コリメーターレンズ14で平行光に変換されて、球面収差補正手段15に入射される。
上記した球面収差補正手段15は、Blu−ray Disc1のディスク基板厚さd1のバラツキとか、青色半導体レーザー11から出射した第1レーザー光L1の波長誤差などに伴って青色半導体レーザー11とBlu−ray Disc1の信号面1bとの間に配置された光学系によって発生する球面収差を補正するものであり、青色半導体レーザー11側に設けた凹レンズ(負レンズ)15Aと、後述の対物レンズ21側に設けた凸レンズ(正レンズ)15Bと、凸レンズ15Bを光軸方向に沿って変位させるアクチュエータ15Cとから構成されている。そして、凸レンズ15Bをアクチュエータ15Cによって凹レンズ15Aに対して光軸方向に変位させ、凹レンズ15Aと凸レンズ15Bとの間隔を制御して、対物レンズ21に入射する3ビームの平行度を調整して、対物レンズ21の倍率誤差による球面収差を発生させて他の球面収差と相殺することで球面収差が零になるように補正するものである。尚、凹レンズ(負レンズ)15Aを凸レンズ15Bに対して光軸方向に変位させる方法でも良い。
尚、球面収差補正手段として、この実施例では凹レンズ15Aと凸レンズ15Bとアクチュエータ15Cとの組み合わせを用いたが、これに代えて液晶素子などを用いた波面変調素子を適用することも可能である。
この後、球面収差補正手段15を通った第1レーザー光L1による3ビームは、波長板16を透過する際に、第1レーザー光L1による3ビームに対して、波長板の進相軸と遅相軸に対応する偏光成分に、略1/4波長(90°)の位相差を与えて円偏光に変換した後に、色収差補正素子17に入射する。
上記した色収差補正素子17は、凹レンズ17Aと凸レンズ17Bと凹レンズ17Cとを貼り合わせて形成されており、第1レーザー光L1に対して色収差を補正する機能を有している。
尚、この実施例では、上記したような色収差補正素子17を用いているが、これに代えて特開平6−82725号公報に開示されているような光入射端面,光出射端面の少なくとも一方に、光軸に対して垂直な平面を同心円状の輪帯として階段状に形成した色収差補正素子を適用しても良い。また、この同心円上の輪帯は屈折面(曲面)の上に形成しても良い。
尚更に、第1レーザー光L1の基準波長λ1が408nmであれば色収差が発生しないために、Blu−ray Disc1に対して色収差を測定する場合には、第1レーザー光L1の波長が例えば411nmである青色半導体レーザー11を用いて測定すれば良い。
そして、色収差補正素子17を通過した第1レーザー光L1による3ビームは、ダイクロイックプリズム18を通過する。このダイクロイックプリズム18は、青色半導体レーザー11から出射した第1レーザー光L1を透過させる一方、赤色半導体レーザー31から出射した第2レーザー光L2に対して反射させて略90°方向を転じさせるために波長選択性を有する半透過反射ダイクロイック膜18aが膜付けされている。
この後、ダイクロイックプリズム18内の半透過反射ダイクロイック膜18aを透過した第1レーザー光L1による3ビームは、レンズホルダ19内の下方部位に取り付けた位相光学素子20を平行光のままで直進してレンズホルダ19内の上方部位に取り付けた対物レンズ21に入射し、この対物レンズ21で絞り込んだ第1レーザービーム(3ビーム)がBlu−ray Disc1のレーザービーム入射面1aから入射して信号面1bに集光される。
この際、上記した位相光学素子20は、後述するように第2レーザー光L2により発生する波面収差をキャンセルするために上面20aの内周領域に階段を複数段輪帯状に形成した内周側階段状位相差パターン部20a1と、第1レーザー光L1の波長誤差により発生する波面収差をキャンセルするために内周側階段状位相差パターン部20a1に連接して上面20aの外周領域に内周側階段状位相差パターン部20a1の最も高い階段位置と最も低い階段位置の中間の高さで平坦に形成された外周側平坦部20a2とを備えており、且つ、レンズホルダ19内に対物レンズ21と光軸を一致させて取り付けられている。そして、青色半導体レーザー11から出射した第1レーザー光L1に対して位相光学素子20の内周側階段状位相差パターン部20a及び外周側平坦部20bを平行光のまま透過させた後に、第1レーザー光L1を対物レンズ21に入射させている。
尚、上記した位相光学素子20は、実施例の要部を構成するものであり、この位相光学素子20の形状と、位相光学素子20による第1レーザー光L1に対する動作については後で詳述する。
また、上記した対物レンズ21は、Blu−ray Disc用として開口数が0.75以上に設定され、且つ、互いに対向する面21a,21bのうち少なくとも一方の面が非球面に形成されているものであるが、この実施例では開口数(NA)が0.85でアプラナートな特性、又は、アプラナートに近い特性を持った単玉レンズを用いている。尚、ここで言うアプラナートとは、軸上の球面収差を完全に補正しつつ正弦条件(軸外でコマ収差を発生しない条件)を満足したものである。
また、レンズホルダ19の外周にはフォーカスコイル22とトラッキングコイル23とが一体的に取り付けられ、且つ、レンズホルダ19の外周に固着させた不図示の複数本のサスペンションワイヤを介してレンズホルダ19と一体に位相光学素子20と対物レンズ21とがBlu−ray Disc1のフォーカス方向とトラッキング方向とに制御されている。
尚、後述するDVD2の場合にも、位相光学素子20と対物レンズ21とがレンズホルダ19と一体となってDVD2のフォーカス方向とトラッキング方向とに制御されるものである。
この後、対物レンズ21で絞り込んだ第1レーザービーム(3ビーム)をBlu−ray Disc1のレーザービーム入射面1aから入射させて信号面1b上に集光し、第1レーザービームによって信号面1bへの再生、記録、または消去が行われる。
更にこの後、Blu−ray Disc1の信号面1bで反射された第1レーザービームによる戻りの第1反射光は、上記とは逆に対物レンズ21に再入射して、位相光学素子20,ダイクロイックプリズム18,色収差補正素子17,波長板16,球面収差補正手段15,コリメーターレンズ14を順に通過して、偏光ビームスプリッタ13内の偏光性を有する半透過反射誘電体多層膜13aで反射されて略90°方向を転じた後にシリンドリカルレンズ24を介して第1光検出器25に集光する。そして、第1光検出器25でBlu−ray Disc1の信号面1bを再生した時のトラッキングエラー信号,フォーカスエラー信号,メインデータ信号を検出している。
次に、DVD2に対応する赤色半導体レーザー31側について説明すると、DVD2を記録又は再生する場合には、Blu−ray Disc1を記録又は再生する際に用いた球面収差補正手段15及び色収差補正素子17を用いない光学系になっている。
尚、球面収差補正手段15と色収差補正素子17は、上記ではBlu−ray Disc1を記録又は再生する光学系のみに配置されているが、これに限らず、DVD2を記録又は再生する場合でも、その両者15,17を含んだ光学系として構成することも可能である。この場合には第2レーザー光L2に対して収差が小さくなるように球面収差補正手段15を成業するか、又は、球面収差補正手段15及び色収差補正素子17に入射する第2レーザー光L2の平行度を適切に設定して収差を小さくすれば良い。
ここで、DVD用集積デバイス30は、赤色半導体レーザー31と、赤色半導体レーザー31の右方に設置した第2光検出器32とが不図示の半導体基板上に一体化されており、且つ、赤色半導体レーザー31の上方にホログラム素子33が設置されている。
尚、この実施例ではDVD用集積デバイス30を用いているが、これに限ることなく、図示を省略するが赤色半導体レーザーからの第2レーザー光をビームスプリッタで分離させる構成でも良い。
ここで、赤色半導体レーザー31から出射した第2レーザー光L2は直線偏光の発散光であり、この発散光がホログラム素子33を通過する。この後、ホログラム素子33を通過した第2レーザー光L2は、コリメータレンズ34で平行光となり、この平行光が第2レーザー光用の位相板35を透過して円偏光となる。この際、第2レーザー光用の位相板35は第2レーザー光L2が透過する時に、その進相軸と遅相軸の間に(λ2)/4の位相差を与えて円偏光に変換するものである。
更に、位相板35を通った第2レーザー光L2は、ダイクロイックプリズム18内の波長選択性を有する半透過反射ダイクロイック膜18aで反射されて略90°光線方向を転じた後、第2レーザー光L2に対して位相光学素子20により対物レンズ21への開口数(NA)が0.6相当になるように開口を制限させると共に、位相光学素子20の内周側階段状位相差パターン部20aのみを略平行光の状態で透過させて球面収差を補正しながら対物レンズ21に入射させている。
尚、位相光学素子20による第2レーザー光L2に対する動作については後で詳述する。
この後、対物レンズ21で絞り込んだ第2レーザービームをDVD2のレーザービーム入射面2aから入射させて信号面2b上に集光し、第2レーザービームによってDVD2の信号面2bへの再生、記録、または消去が行われる。
更にこの後、DVD2の信号面2bで反射された第2レーザービームによる戻りの第2反射光は、上記とは逆に対物レンズ21に再入射し、位相光学素子20を経てダイクロイックプリズム18内の半透過反射ダイクロイック膜18aで反射されて略90°光線方向を転じた後、第2レーザー光用の位相板35,コリメータレンズ34を順に通過して、ホログラム素子33によって回折されて、第2光検出器32に集光する。そして、第2光検出器32でDVD2の信号面2bを再生した時のトラッキングエラー信号,フォーカスエラー信号,メインデータ信号を検出している。
ここで、実施例の要部となる位相光学素子20について新たな図2〜図9を用いて説明する。
図2は本発明に係る位相光学素子を拡大して示した縦断面図、
図3はDVDをBlu−ray Disc用の対物レンズで再生した場合の球面収差及びデフォーカス成分収差を示した図、
図4はDVDをBlu−ray Disc用の対物レンズで再生した場合に、球面収差とデフォーカス成分収差とを加算した波面収差を示した図、
図5は位相光学素子の内周領域設計方法を説明するための図、
図6は第1レーザー光の基準波長の近傍で波長が長波長側に変化した場合の波面の様子を示した図、
図7は位相光学素子の外周領域設計方法を説明するための図、
図8はDVDをBlu−ray Disc用の対物レンズで再生した場合に、球面収差と、適切な値に設定したデフォーカス成分収差とを加算した波面収差を示した図、
図9は本発明に係る位相光学素子を一部変形した変形例を拡大して示した縦断面図である。
まず、図2に拡大して示した如く、実施例の要部となる位相光学素子20は、Blu−ray Disc1と、DVD2との基板厚さの異なりにより発生する球面収差を補正するものであり、これと対応して、Blu−ray Disc1に対応する第1レーザー光L1の波長と、DVD2に対応する第2レーザー光L2の波長の違いにより発生する球面収差を補正している。
上記した位相光学素子20は、光透過性を有する透明なBK7(ホウケイ酸クラウンガラス)とか、石英基板とか、透明樹脂などを用いて第1レーザー光L1の基準波長λ1と同じ値(408nm)の波長を設計波長λとして設定しており、対物レンズ21(図1)と対向する上面20aの内周領域に内周側階段状位相差パターン部20a1が中心“0”を中心にして内周から外周に向かって階段の段差を略1λの位相差に相当する高さで複数段輪帯状に形成されていると共に、内周側階段状位相差パターン部20a1に連接した外周領域に外周側平坦部20a2が内周側階段状位相差パターン部20a1の最も低い階段位置と最も高い階段位置との中間の高さで且つ内周側階段状位相差パターン部20a1の最も低い階段位置に対して設計波長λの略整数倍(例えば3λ)の位相差に相当する高さで平坦に形成されている。
また、位相光学素子20は、上面20aと対向する下面20bが平坦に形成されており、且つ、上記した外周側平坦部20a2と対向する下面20bの外周領域に第2レーザー光L2に対して対物レンズ21への開口数(NA)が0.6相当になるように制限するための第2レーザー光用開口制限部20b1がダイクロイック膜を用いてリング状に成膜されている。
尚、位相光学素子20の内周領域に形成した内周側階段状位相差パターン部20a1と外周領域に形成した外周側階平坦部20a2とは区分けできるので、上記した第2レーザー光用開口制限部20b1は必要に応じて形成すれば良いものであるが、第2レーザー光用開口制限部20b1を形成した方が第2レーザー光L2への開口制限が確実となるものである。
この際、位相光学素子20の下面20bに形成した第2レーザー光用開口制限部20b1は、波長選択性を有するダイクロイック膜により青色半導体レーザー11(図1)から出射した基準波長λ1=408nm±8nmの第1レーザー光L1を透過し、且つ、赤色半導体レーザー31(図1)から出射した基準波長λ2=655nm±10nmの第2レーザー光L2を遮光する特性を有している。
従って、位相光学素子20の内周領域に形成した内周側階段状位相差パターン部20a1と外周領域に形成した外周側階平坦部20a2とには、Blu−ray Disc1に対応した第1レーザー光L1が透過する一方、DVD2に対応した第2レーザー光L2は内周側階段状位相差パターン部20a1のみを透過するようになっている。
ここで、上記した位相光学素子20において、DVD2の再生を担うための内周側階段状位相差パターン部20a1は、DVD2を再生した時に生じる波面収差をキャンセルするように後述する波面収差W(図4)とは反対の符号を有した波面を発生するように設計されている。
即ち、図3に示した如く、DVD2をBlu−ray Disc用の対物レンズ21(図1)で再生した場合に、球面収差Wsaが3次の球面収差のみならず、5次以上の高次の球面収差も含んだ状態で図3中の第3,第4象限側に発生する。
そして、位相光学素子20の内周側階段状位相差パターン部20a1は、上記した球面収差Wsaに適切な量のデフォーカス成分収差Wdfを組み合わせて、図4に示したような波面収差W=Wsa+Wdfを補正するように設計される。この際、デフォーカス成分収差Wdfは、対物レンズ21のDVD2への焦点誤差(デフォーカス)による2次の収差であり図3中の第1,第2象限側に発生するものである。
ここで、球面収差WsaはDVD2のディスク基板厚さd2(図1)と、第2レーザー光L2の波長の違いで決まるため一定であるから、波面収差Wは、デフォーカス成分収差Wdfの値、すなわちDVD2の場合にどこを像面にするかにより変化する。
従って、図4に示した波面収差Wは、DVD2のディスク基板厚さ誤差による球面収差Wsaに、適切な量のデフォーカス成分収差Wdfを付加して、波面の変化量が大きくなりすぎないようにしている。この場合は、DVD用の第2レーザー光L2に対する波面の最大位相は、約1.8λ2である。
さて、位相光学素子20は、第1レーザー光L1の基準波長λ1では作用せず、第2レーザー光L2の基準波長λ2で図4の逆符号の波面を発生するように作る。なお、この場合、DVD2の再生に対応するように、対物レンズ21(図1)の開口数(NA)が0.6ないし0.65の内周側にこれを実現する構造を設ければ良い。
この際、位相光学素子20の内周側階段状位相差パターン部20a1の段差は、図5に拡大して示したように、第1レーザー光L1の基準波長λ1の1波長分に相当する位相差を発生する段差となるように作っている。
具体的には、位相光学素子20の内周側階段状位相差パターン部20a1の段差は、次式で示される高さになる。 段差=第1レーザー光L1の基準波長λ1/(位相光学素子の屈折率−1) この際、第1レーザー光L1の基準波長λ1が0.408μmで、位相光学素子20の屈折率が1.5の場合には、段差=0.816μmとなる。
そして、位相光学素子20の内周側階段状位相差パターン部20a1を透過した第2レーザー光L2の波面の様子は内周側階段状位相差パターン部20a1に略沿って図5に示したようになる一方、内周側階段状位相差パターン部20a1を透過した第1レーザー光L1の波面は実質的に変化がない。
これに対して、第2レーザー光L2では、位相光学素子20の内周側階段状位相差パターン部20a1の段差により、回折が生じ、複数の波面が生じる。このなかで、最も光量が大きい波面は、第2レーザー光L2が位相光学素子20の内周側階段状位相差パターン部20a1を透過するときの波面変化量(Δ)と、第2レーザー光L2の波長λ2の差に相当する位相差(λ2−Δ)を有した波面となる。仮に、位相光学素子20に対する屈折率が第1レーザー光L1と、第2レーザー光L2とで同じであると仮定すると、内周側階段状位相差パターン部20a1の段差ごとに、第1,第2レーザー光L1,L2の各波長の差に相当する位相差を有した波面となる。従って、第1レーザー光L1の基準波長λ1を0.408μm、第2レーザー光L2の基準波長λ2を0.655μmとすると、この位相差は、0.247μmとなる。この位相差を波面単位で表すと、0.377λ2となり、この値は(0.655−0.408)λ2/0.655から得られる。
この際、図5には、この波面が描いてある。縦軸はλ2単位である。図に示すように、この波面は一段が0.377λ2の階段状の波面である。更に、図5には、図4に示した、内周側の波面を逆符合にした波面を描いている。前述の位相差が、この逆符合にした波面を、離散的に表した形状になるように、図5に示した位相光学素子20の内周側階段状位相差パターン部20a1の階段のピッチが定められる。前述のように、補正すべき波面位相は1.8λ2であるから、段差数は、略5段(=1.8λ2/0.377λ2)となる。
尚、図5に示した、内周側階段状位相差パターン部20a1の階段状の波面は、素子通過直後の波面であって、遠視野においては、回折により図5の逆符合にした波面と同一の形状に近づく。
さて、上記したように、この位相光学素子20を、第2レーザー光L2の波長が透過した場合、回折の効果により、DVD2が発生する図4の波面と逆符号の球面収差の波面が発生される。このため、光学系全体としては、球面収差がキャンセルされて、DVD2を良好に再生することができる。
次に、位相光学素子20の外周側について図6及び図7を用いて詳述する。
前述したように、位相光学素子20の内周領域に形成した内周側階段状位相差パターン部20a1の段差は、第1レーザー光L1の基準波長λ1と同じ値の設計波長λの相差を発生するように為されているので、第1レーザー光L1の基準波長λ1では、この位相光学素子20の内周側階段状位相差パターン部20a1は、見かけ上何らの作用をせずに、波面は変化を受けずに内周側階段状位相差パターン部20a1を出射する。
これに対して、第1レーザー光L1の基準波長λ1から波長が変化した場合には、波長変化に応じて、位相差が発生する。この際、図6には、第1レーザー光L1の波長が基準波長λ1より長波長側に変化した場合に、位相光学素子20の内周側階段状位相差パターン部20a1を出射した波面の様子を模式的に示している。この図6で明らかに示すように、第1レーザー光L1の基準波長λ1から波長が変化した場合には、僅かな量ではあるが波面が変化し、位相光学素子20の内周側階段状位相差パターン部20a1は収差を発生する。
この実施例では、この事実を基づいて、位相光学素子20の外周側の構造を最適化することで、収差の発生を最小に抑えるようにするものであり、位相光学素子20の外周側の設計は、第1レーザー光L1の基準波長λ1の近傍での、内周と外周の波面変化を考慮して成される。
即ち、位相光学素子20の外周側は、上記した内周側の波面変化に対応して、位相光学素子20全体を出射する光束全体の波面収差の増加が少なくなるように構造を定める。これは、位相光学素子20の内周領域と外周領域とで波長誤差がある場合の波面が最適な状態で接続されていれば、実現される。
これを実現するためには、第1レーザー光L1に波長の変化がある場合に、内周側階段状位相差パターン部20a1の波面の平均値の位置に、その波長で外周側の波面が接続されるように、外周側の構造を定めれば良い。
そこで、図7に示したように、位相光学素子20の外周領域に平坦に形成した外周側平坦部20a2の構造を、内周領域に階段輪体状に形成した内周側階段状位相差パターン部20a1の最も低い階段位置と、最も高い階段位置との中間の高さで且つ内周側階段状位相差パターン部20a1の最も低い階段位置に対して設計波長λの略整数倍の位相差を持った高さに設定することで、第1レーザー光L1に波長誤差がある場合に、前記した内周側の出射波面の平均値に最も近くなる高さとなる。
この際、位相光学素子20の内周領域に形成した内周側階段状位相差パターン部20a1の各階段も、設計波長λの整数倍に設定されているので、外周側は、内周側の階段の適切な位置と一致して設定されることになる。
このようにすれば、第1レーザー光L1の基準波長λ1では何ら波面の変化が生じることなく、第1レーザー光L1の波長が長くなったり短くなったりした場合には、各々の場合の内周側の波面の平均値と外周側の波面との乖離が小さく押さえられ、収差の発生が最小限に押さえられる。
そして、図5及び図7に示した例において、位相光学素子20の内周領域に形成した内周側階段状位相差パターン部20a1の段差は5段である。この段差が第1レーザー光L1の基準波長λ1の近傍における、平均波面に最も近い3段目と同じ高さに外周側を設定すれば良い。尚、この3段目の段差を用いず、この前後の段差を用いても、最内周あるいは、最外周と同じ高さに外周側を設定した従来例に比べて、収差の発生を大きく押さえることが可能である。
更に、前述した、デフォーカス成分収差の設定を適切にして、図8に示すような波面とすれば、内周側の最も最外周に近い段差を、平均波面に近づける事が可能になるため、変形例の位相光学素子20’の構造を図9に示したように、内外周の境界での急激な変化を回避して、位相光学素子20’の製作を容易にすることも可能である。
ここで、実施例における光学系を用いた時の動作について図10及び図11を用いて説明する。
図10はBlu−ray Discを記録又は再生する場合の光路図、
図11はDVDを記録又は再生する場合の光路図である。
まず、Blu−ray Disc1を記録又は再生する場合に、Blu−ray Discでの光路図を図10に示す。
即ち、図10に示した光学系によりBlu−ray Disc1を記録又は再生する場合には、青色半導体レーザー11(図1)側に凹レンズ17Aと凸レンズ17Bと凹レンズ17Cとを貼り合わせて形成した色収差補正素子17が配置されている。
そして、青色半導体レーザー11(図1)から出射した第1レーザー光L1をコリメーターレンズ14(図1)で平行光にし、この第1レーザー光L1の平行光を色収差補正素子17を介して位相光学素子20の下面20bの内周領域及び外周領域に入射させている。ここで、位相光学素子20の下面20bには、外周領域にダイクロイック膜を用いて第2レーザー光用開口制限部20b1がリング状に成膜されているものの、第1レーザー光L1を下面20bの内周領域と外周領域に形成した第2レーザー光用開口制限部20b1とをそのまま透過させた後、更に、位相光学素子20の上面20aの内周領域に形成した内周側階段状位相差パターン部20a1と外周領域に形成した外周側平坦部20a2とをそのまま透過させ、平行光のままで対物レンズ21の面21aに入射させている。
この際、位相光学素子20の内周側階段状位相差パターン部20a1及び外周側平坦部20a2は、設計波長λの略整数倍の位相差に相当する高さに設定されているので、基準波長λ1が408nmの第1レーザー光L1に対して波面は変化が生じない。
そして、対物レンズ21で絞った第1レーザービームをBlu−ray Disc1のレーザービーム入射面1aから入射させてディスク基板厚さが0.1mmの信号面1b上に集光している。
次に、DVD2を記録又は再生する場合に、DVDでの光路図を図11に示す。
即ち、図11に示した如く、赤色半導体レーザー31(図1)側には色収差補正素子が配置されてなく、赤色半導体レーザー31(図1)から出射した第2レーザー光L2をコリメーターレンズ34(図1)で平行光にし、この第2レーザー光L2の平行光を位相光学素子20の下面20bの外周領域に形成した第2レーザー光用開口制限部20b1により遮光して対物レンズ21への開口数(NA)が0.6相当になるように制限させると共に、第2レーザー光L2の平行光を位相光学素子20の下面20bの内周領域のみに入射させている。この後、位相光学素子20の上面20aの内周領域に形成した内周側階段状位相差パターン部20a1により球面収差を補正して、略平行光の状態で対物レンズ21の面21aに入射させている。
そして、対物レンズ21で絞った第2レーザービームをDVD2のレーザービーム入射面2aから入射させてディスク基板厚さが0.6mmの信号面2b上に集光している。
この場合、対物レンズ21はBlu−ray Disc用として設計されているので、赤色半導体レーザー31(図1)から出射した波長λ2が655nmの第2レーザー光L2に対して球面収差が大きくなるものの、位相光学素子20の上面20aの内周領域に形成した内周側階段状位相差パターン部20a1により波面補正を行うことによって球面収差を補正しているので、DVD2への記録又は再生に支障をきたさない。
本発明に係る位相光学素子を適用した光ピックアップ装置の全体構成を示した図である。 本発明に係る位相光学素子を拡大して示した縦断面図である。 DVDをBlu−ray Disc用の対物レンズで再生した場合の球面収差及びデフォーカス成分収差を示した図である。 DVDをBlu−ray Disc用の対物レンズで再生した場合に、球面収差とデフォーカス成分収差とを加算した波面収差を示した図である。 位相光学素子の内周領域設計方法を説明するための図である。 第1レーザー光の基準波長の近傍で波長が長波長側に変化した場合の波面の様子を示した図である。 位相光学素子の外周領域設計方法を説明するための図である。 DVDをBlu−ray Disc用の対物レンズで再生した場合に、球面収差と、適切な値に設定したデフォーカス成分収差とを加算した波面収差を示した図である。 本発明に係る位相光学素子を一部変形した変形例を拡大して示した縦断面図である。 Blu−ray Discを記録又は再生する場合の光路図である。 DVDを記録又は再生する場合の光路図である。 従来例1の光ピックアップ装置の光学系を模式的に示した図である。 従来例2の光ピックアップ装置の光学系を模式的に示した図である。
符号の説明
1…第1光記録媒体(Blu−ray Disc)
1a…レーザービーム入射面、1b…信号面、
2…第2光記録媒体(DVD)、2a…レーザービーム入射面、2b…信号面、
5…光ディスク駆動装置、6…スピンドルモータ、7…ターンテーブル、
10…光ピックアップ装置、
11…第1レーザー光源(青色半導体レーザー)、
12…回折格子(グレーティング)、13…偏光ビームスプリッタ、
14…コリメーターレンズ、
15…球面収差補正手段、
15A…凹レンズ、15B…凸レンズ、15C…アクチュエータ、
16…波長板、
17…色収差補正素子、
17A…凹レンズ、17B…凸レンズ、17C…凹レンズ、
18…ダイクロイックプリズム、19…レンズホルダ、
20…実施例の位相光学素子、20’…実施例を一部変形させた位相光学素子、
20a…上面、
20a1…内周側階段状位相差パターン部、20a2…外周側平坦部、
20b…下面,20b1…第2レーザー光用開口制限部、
21…対物レンズ、22…フォーカスコイル、23…トラッキングコイル、
24…シリンドリカルレンズ、25…第1光検出器、
30…DVD用集積デバイス、31…第2レーザー光源(赤色半導体レーザー)、
32…第2光検出器、33…ホログラム素子、
L1,L2…第1,第2レーザー光、
λ1,λ2…第1,第2レーザー光の各基準波長、
λ…位相光学素子の設計波長、
d1,d2…第1,第2光記録媒体の基板厚さ。

Claims (4)

  1. 第1光記録媒体と、前記第1光記録媒体よりも記録密度が低く且つ前記第1光記録媒体よりも基板厚さが厚い第2光記録媒体とを開口数(NA)が0.75以上に設定された一つの対物レンズを用いて選択的に記録又は再生する際に、前記第1光記録媒体に対応して波長が450nm以下の第1レーザー光と、前記第2光記録媒体に対応して前記第1レーザー光よりも波長が長い第2レーザー光とが選択的に入射され、且つ、前記第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差を補正するための位相光学素子において、
    前記第1レーザー光の基準波長λ1と同じ値の波長を設計波長λとして設定した時に、内周領域に内周側階段状位相差パターン部が階段の段差を略1λの位相差に相当する高さで複数段輪帯状に形成されていると共に、前記内周側階段状位相差パターン部と連接した外周領域に外周側平坦部が前記内周側階段状位相差パターン部の最も低い階段位置と最も高い階段位置との中間の高さで且つ前記最も低い階段位置に対して前記設計波長λの略整数倍の位相差に相当する高さで平坦に形成されたことを特徴とする位相光学素子。
  2. 前記第1レーザー光は前記内周側階段状位相差パターン部及び前記外周側平坦部を透過させる一方、前記第2レーザー光は前記内周側階段状位相差パターン部のみを透過させることを特徴とする請求項1記載の位相光学素子。
  3. 第1光記録媒体と、前記第1光記録媒体よりも記録密度が低く且つ前記第1光記録媒体よりも基板厚さが厚い第2光記録媒体とを選択的に記録又は再生する光ピックアップ装置において、
    前記第1光記録媒体に対応して波長が450nm以下の第1レーザー光を出射させる第1レーザー光源と、
    前記第2光記録媒体に対応して前記第1レーザー光よりも波長が長い第2レーザー光を出射させる第2レーザー光源と、
    第1光記録媒体用として開口数(NA)が0.75以上に設定され、且つ、互いに対向する各面のうち少なくとも一方の面が非球面に形成されて、前記第1,第2レーザー光を前記第1,第2光記録媒体の各信号面に集光させる対物レンズと、
    前記第1,第2レーザー光源側と前記対物レンズとの間に設けられ、且つ、前記第1,第2光記録媒体の基板厚さの異なりによって生じる球面収差を補正するための位相光学素子とを少なくとも備え、
    前記位相光学素子は、前記第1レーザー光の基準波長λ1と同じ値の波長を設計波長λとして設定した時に、内周領域に内周側階段状位相差パターン部が階段の段差を略1λの位相差に相当する高さで複数段輪帯状に形成されていると共に、前記内周側階段状位相差パターン部と連接した外周領域に外周側平坦部が前記内周側階段状位相差パターン部の最も低い階段位置と最も高い階段位置との中間の高さで且つ前記最も低い階段位置に対して前記設計波長λの略整数倍の位相差に相当する高さで平坦に形成されたことを特徴とする光ピックアップ装置。
  4. 前記第1レーザー光は前記位相光学素子の前記内周側階段状位相差パターン部及び前記外周側平坦部を透過させる一方、前記第2レーザー光は前記位相光学素子の前記内周側階段状位相差パターン部のみを透過させることを特徴とする請求項3記載の光ピックアップ装置。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011180290A (ja) * 2010-02-26 2011-09-15 Hamamatsu Photonics Kk 収差補正方法、この収差補正方法を用いた顕微鏡観察方法、この収差補正方法を用いたレーザ照射方法、収差補正装置、及び、収差補正プログラム

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