JP2007139857A - シングルモード光ファイバ及びファイバレーザ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ほぼ均一な屈折率分布を有するコアと、該コアを囲むように設けられたコアより低屈折率のクラッドとを有し、コアの比屈折率差が0.15%以下であり、コア直径が10μm以上である光ファイバであって、そのモードフィールド径が使用波長において12μm以上あり、かつ1m以下の条長でもカットオフ波長が使用波長以下であることを特徴とする、1W以上の高パワー光の導光に用いられるシングルモード光ファイバ。
【選択図】図2
Description
そのような目的に使用される光ファイバに要求される特性は、ビーム品質と耐パワー性がある。ビーム品質は、導光後のビーム集光性に関係しており、主として狭い領域にビームを照射するようなアプリケーションへの適用時に、ビーム品質が高いことが必要となる。一方、耐パワー性に関しては、それが不十分であると高パワーの導光時に導光媒体である光ファイバが損傷を受けてしまうので、より高パワーを必要とするアプリケーションへの適用時に、より重要な指標となる。この耐パワー性は、損傷しきい値で表され、媒質の材料物性と光のパワー密度の関係から決まる数値である。
導光に用いられる光ファイバの主成分は、比較的損傷しきい値の高い石英ガラスであり、媒質の材料物性は大きく変えることが難しい。故に、損傷しきい値を高めるには、光のパワー密度を下げる、即ち導光断面積(モードフィールド径)を大きくすることが有効である。
http://www.corning.com/photonicmaterials/products__services/specialty_fiber/Frame.asp?BodyURL=/photonicmaterials/pdf/pi1263%2Epdf http://www.optoscience.com/pdf/nufern/3-pdf.pdf 川添博司編、非晶質シリカ材料応用ハンドブック;6.2章
前述したように、石英ガラス製の光ファイバにおいて耐パワー性を向上させるには、モードフィールド径を大きくすることが有効である。なお、モードフィールド径の定義、並びに説明は、例えば、ITU−T Recommendation G.650.1等に記載されている。
・実質的に単峰型であればよく、意図的に単峰型でない屈折率分布を作製していない場合は全て当てはまる。
例1:そのコアの屈折率の平均が理想的なプロファイルでの屈折率分布条件を満たしており、コアの径方向の屈折率の変動が平均値に対し、±25%以内であるものは本例に当てはまる。
例2:そのコアの屈折率の平均が理想的なプロファイルでの屈折率分布条件を満たしており、コアの中心直径2μm以下の範囲で急峻な屈折率の変動がある場合は本例にあてはまる。
例1は、VAD法等でコアを作製した場合に現れる製造上の変動を例示したものであり、例2は、MCVD法やPCVD法でコラプスする際に現れる製造上の意図しない屈折率変動を例示したものである。
・コアの外径は、そのコアの屈折率の平均に対し理想的なプロファイル(矩形状のプロフィル)において、外径が前記範囲にあり、その光学特性が前記特性を満たしていれば当てはまる。実質的には、コアの平均の屈折率の20%〜80%にあたる屈折率をもつ部分の径のいずれかが前記範囲内にあって前記光学特性を満たしていれば当てはまる。
図5(a),(b)に屈折率分布のゆらぎの例を示す。
ここで、具体的な屈折率分布について開示する。
図3に示す屈折率分布を持つ場合にも、図2の場合と同様の効果を示す。さらには、コア2の外周に低屈折率部4を持つことにより、図2の構造に比して、高次モードの損失が大きくなるため、シングルモード導光により好適な構造となる。そのため、同じモードフィールド径でも曲げ損失を低減できたり、よりモードフィールド径が大きい構造でも、シングルモード導光が可能になるという特徴をもつ。表1中にその得られた光学特性と共に光ファイバの構造を示す。このとき、低屈折率部4の比屈折率差は、−0.02%より低くないと効果が期待できず、−0.10%より低いと製造性の観点から、コスト対効果の面で望ましくない。
図4に示す屈折率分布を持つ場合にも、図3の場合と同様の効果を示す。クラッド3の径方向中間部分に低屈折率部4を持つことにより、図3の構造に比して、高次モードの損失がさらに大きくなるため、シングルモード導光により好適な構造となる。そのため、同じモードフィールド径でも曲げ損失を低減できたり、よりモードフィールド径が大きい構造でも、シングルモード導光が可能になるという特徴をもつ。表1中にその得られた光学特性と共に光ファイバの構造を示す。このとき、低屈折率部4の比屈折率差は、−0.02%より低くないと効果が期待できず、−0.10%より低いと製造性の観点から、コスト対効果の面で望ましくない。さらに、低屈折率部4がコア径の2倍から5倍の範囲内であると、高次モードのモード分布に近い位置で低屈折率部4が配置されることになるので、本構造の効果が高い。
近年、ファイバレーザは、ビーム品質やメンテナンスフリー性、アラインメントフリー性等の観点から注目を浴びている。そのようなシステムでは当然、高パワー光の導光部が必要となる。そのようなシステムに本発明のシングルモード光ファイバを用いることにより、高パワー・高品質ファイバレーザの実現に大きく寄与する。
また、比較例1として市販品のシングルモード光ファイバ(Corning社製HI1060)及び比較例2として市販のマルチモードファイバを用い、試作No.1〜10の光ファイバと同様に特性を調べた。これらの結果を表1にまとめて記す。
なお、表1中「耐パワー」とは、所定光量の光をファイバに入射し、入射した光量でファイバが損傷を生じる光量(単位:W)であり、「>5」は実験に用いた最大光量である5Wでも損傷を起こさなかった場合を示している。
また、M2の実験結果において「<1.1」とあるのは、測定精度の観点で1.1未満が測定不可能であるため、1.1より低い場合を<1.1と記している。
また、図3に示す屈折率分布を持ったNo.4〜6の光ファイバは、No.1〜3の光ファイバと同様に、高いビーム品質(M2が1.1未満)を維持しつつ、高い耐パワー性(耐パワーが5W以上)を達成することができた。さらに、No.4〜6の光ファイバは、コアの外周に低屈折率部を持つことにより、図2の構造に比して、高次モードの損失が大きくなるため、シングルモード導光により好適な構造となる。そのため、同じモードフィールド径でも曲げ損失を低減できたり、よりモードフィールド径が大きい構造でも、シングルモード導光が可能になるという特徴をもつ。
また、図4に示す屈折率分布を持ったNo.7〜10の光ファイバは、No.1〜3の光ファイバと同様に、高いビーム品質(M2が1.1未満)を維持しつつ、高い耐パワー性(耐パワーが5W以上)を達成することができた。さらに、No.7〜10の光ファイバは、クラッドの径方向中間部分に低屈折率部を持つことにより、図3の構造に比して、高次モードの損失がさらに大きくなるため、シングルモード導光により好適な構造となる。そのため、同じモードフィールド径でも曲げ損失を低減できたり、よりモードフィールド径が大きい構造でも、シングルモード導光が可能になるという特徴をもつ。
また、比較例2のマルチモードファイバは、コア直径及びモードフィールド径が大きいことから、耐パワー性に関しては十分な性能を有するが、ビーム品質に関しては実施例のNo.1〜10の光ファイバと比べて劣っている。
Claims (12)
- ほぼ均一な屈折率分布を有するコアと、該コアを囲むように設けられたコアより低屈折率のクラッドとを有し、コアの比屈折率差が0.15%以下であり、コア直径が10μm以上である光ファイバであって、そのモードフィールド径が使用波長において12μm以上あり、かつ1m以下の条長でもカットオフ波長が使用波長以下であることを特徴とする、1W以上の高パワー光の導光に用いられるシングルモード光ファイバ。
- 少なくとも2層のクラッドを有し、その内側のクラッドの屈折率が周囲のクラッドの屈折率よりも低い低屈折率部になっていることを特徴とする請求項1に記載のシングルモード光ファイバ。
- 前記低屈折率部の比屈折率差が−0.02%〜−0.10%の範囲であることを特徴とする請求項2に記載のシングルモード光ファイバ。
- 前記低屈折率部が前記コアと接していることを特徴とする請求項2又は3に記載のシングルモード光ファイバ。
- 前記低屈折率部の直径が、前記コア直径の1.5倍以上であることを特徴とする請求項4に記載のシングルモード光ファイバ。
- 前記低屈折率部と前記コアとの間に、コアの屈折率と低屈折率部の屈折率の間となる屈折率を持つ部位を有することを特徴とする請求項2又は3に記載のシングルモード光ファイバ。
- 前記低屈折率部がコア径の2倍から5倍の範囲内にあることを特徴とする請求項6に記載のシングルモード光ファイバ。
- クラッド直径が180μm以上あることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のシングルモード光ファイバ。
- 使用波長におけるモードフィールド径が15μm以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のシングルモード光ファイバ。
- 使用波長が900〜1200nmの範囲であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のシングルモード光ファイバ。
- 使用波長が400〜600nmの範囲であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のシングルモード光ファイバ。
- 請求項1〜11のいずれかに記載のシングルモード光ファイバを構成要素の一部として含むことを特徴とするファイバレーザ。
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