JP2007137925A - インクジェットインクおよび印刷物 - Google Patents

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Abstract

【課題】AMES試験陰性である安全で、しかも高い安定性を有し、UV硬化型インクジェットインクとして好適に使用し得るインクジェットインクを提供する。
【解決手段】カチオン重合性の有機系分散媒、顔料、および光カチオン重合開始剤を含有するインクジェットインクである。前記有機系分散媒は、炭素数10以上のα−オレフィンエポキシドを5重量%以上20重量%以下の割合で含むことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェットインクおよび印刷物に関する。
インクジェット方式のプリンタに用いられるインクとしては、耐水性、耐光性などの印字品質を改善するため、顔料を着色剤として用いたインクが提案されてきた。特に高速硬化が可能で有機溶剤の揮発も少なく、密着性に優れる紫外線硬化型のインク(UVインク)が注目されつつある。
UVインクとしては、ラジカル重合性モノマーと光重合開始剤と顔料とを含有した組成が代表的である(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。また、カチオン重合性モノマーと光カチオン発生剤と顔料とを含有する光重合性のUVインクも提案されている(例えば、特許文献3、4、5、6、および7参照)。こうしたUVインクは、光を照射することによってインク層を瞬時に非流動化することができるので、安全でかつ高品質の印刷物を得ることができる。
近年、環境問題や製品の安全性への消費者の関心は高まってきており、インクについても安全性への一段の配慮が不可欠となってきている。カチオン重合タイプのインクにおいては、その重合性モノマーとしてエポキシ化合物が用いられるのが一般的である。エポキシ化合物は、AMES試験(細菌を用いる復帰突然変異試験)で陽性を示すものが多く、変異原性などの観点から安全とはいいきれない。AMES試験陰性であるエポキシ化合物は限られている。したがって、こうしたエポキシ化合物を用いて調製されたインクは、十分な密着性が得られない。また、硬化性能が十分でないといった問題点を伴なっていた。
これまでに、AMES試験陰性のエポキシ化合物を使用したインクも提案されている(例えば、特許文献8参照)。脂環式エポキシを用いた場合には、耐溶剤性が十分でなく、材料コストも高いなどの難点があった。
一般に、カチオン重合タイプのインクに使用されるモノマーは極性の低いものが多く、光重合開始剤の溶解性を低下させる。特に、インクジェットインクとして用いる場合には、いったん溶解した光重合開始剤が析出するといった現象が生じる。こうした現象が起こった場合には、ノズルに詰まってインクの吐出性が劣化するといった問題が生ずる可能性があった。
特開平8−62841号公報 特開2001−272529号公報 特公平2−47510号公報(EUP−0071345−A2) 特開平9−183928号公報 特開2001−220526号公報 特開2000−44857号公報 特開平10−250052号公報 特開2002−317139号公報
本発明は、AMES試験陰性である安全で、しかも高い安定性を有し、UV硬化型インクジェットインクとして好適に使用し得るインクジェットインク、およびこれを用いた印刷物を提供することを目的とする。
本発明の一態様にかかるインクジェットインクは、カチオン重合性の有機系分散媒、顔料、および光カチオン重合開始剤を含有し、前記有機系分散媒は、炭素数10以上のα−オレフィンエポキシドを5重量%以上20重量%以下の割合で含むことを特徴とする。
本発明の一態様にかかる印刷物は、前述のインクジェットインクを硬化させてなる硬化物を含むことを特徴とする。
本発明の一態様によれば、AMES試験陰性である安全で、しかも高い安定性を有し、UV硬化型インクジェットインクとして好適に使用し得るインクジェットインク、およびこれを用いた印刷物が提供される。
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明の実施態様にかかるインクジェットインクは、インクジェット方式により記録装置のインクジェットヘッドから吐出されることが意図されるインクジェットインクである。このため、使用温度において印刷ヘッドから吐出可能な粘度であることが求められる。インクジェットインクの粘度は、通常、用いる分散媒によるところが大きいことから、本発明の実施形態においては、この点も考慮して光カチオン重合性の有機分散媒が選択される。
光カチオン重合性の有機分散媒としては、安全性の観点からAMES試験陰性の結果を示すものが用いられ、特に、炭素数10以上のα−オレフィンエポキシドが所定の割合で含有される。α−オレフィンエポキシドとしては、具体的には、下記一般式(1)で表わされる化合物が挙げられる。こうしたα−オレフィンエポキシドが含有されるインクは、AMES試験陰性である。しかも、硬化後の硬化物の記録媒体への密着性を改善することができる。
Figure 2007137925
上記一般式(1)中、R11は、炭素数7以上の直鎖アルキル基である。炭素数がこれより少ないアルキル基の場合にはα−オレフィンエポキシドを含有するインクがAMES試験で陽性を示してしまうために、R11の炭素数は7以上に規定される。また、インクの密着性は直鎖アルキル基である場合に比較的良好であることから、R11は分岐であってはならず、直鎖アルキル基に限定される。
インクジェットインクの有機系分散媒中に炭素数が9以下のα−オレフィンエポキシドが含有された場合には、AMES試験陽性となってしまう。ただし、炭素数が大きすぎる場合には、インク粘度の増加、光硬化性の低下、硬化膜の硬度の低下といった不都合が生じるおそれがあるため、α−オレフィンエポキシドの炭素数の上限は、20程度にとどめることが望まれる。具体的には、AOE−X24(ダイセル化学・炭素数12〜14)やAOE−X68(ダイセル化学・炭素数16〜18)等を用いることができる。
α−オレフィンエポキシドが含有されることによって、特にポリプロピレンや塩化ビニル系の樹脂からなる記録媒体に対して高い密着性を有するインクを得ることができる。また、材料コストの面からも、脂環式エポキシやその他の密着性を改善する材料に比較して、α−オレフィンエポキシドは格段に安価であるため好ましい。
上述したようなα−オレフィンエポキシドの含有量は、有機系分散媒の総量の5重量%以上20重量%以下に規定される。含有量が5重量%未満の場合には、記録媒体への密着性向上の効果を得ることができない。一方、20重量%を越えて過剰に含有された場合には、硬化性能が損なわれて十分な硬度を有する硬化物が得られない。α−オレフィンエポキシドの含有量は、有機系分散媒の総量の8重量%以上15重量%以下であることがより好ましい。
有機系分散媒の残部の少なくとも一部としては、リモネンジオキサイド、オキセタン環含有化合物、およびビニルエーテル構造を含む化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。こうした化合物が含有されることによって、インクジェットインクの硬化速度および到達硬度、また耐溶剤性などの硬化性能をより高めることができる。
これらの含有量は、特に限定されるものではないが、有機系分散媒の総量の50重量%以上90重量%以下の割合で含有されていれば、十分な効果が発揮される。こうした化合物の含有量は、有機系分散媒の総量の60重量%以上80重量%以下であることがより好ましい。
リモネンジオキサイドとしては、例えば、1,2,8,9−ジエポキシリモネン等が挙げられる。
耐溶剤性を考慮すると、上述した化合物のなかでも、オキセタン環含有化合物もしくはビニルエーテル構造を含む化合物を使用することが望まれる。特に、数十m毎分という高速な印字と同時に、得られた印刷物の耐溶剤性も要求される場合には、光カチオン重合性の有機系分散媒として、オキセタン化合物を使用することが好ましい。脂肪族または脂環式のオキセタン化合物を添加することによって、インクの粘度が上昇するのを避けることができる。かかるオキセタンは、その脂肪族鎖または脂環構造内の一部にエーテル結合を含有した(ポリ)アルキレンオキシドやオキソラン構造であっても構わない。
2価以上の脂肪族または脂環式オキセタン化合物としては、例えば、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、[(1−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]シクロヘキサン、ビス[(1−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]シクロヘキサンや、ビス[(1−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]ノルボルナンなどの脂環に1以上のオキセタン含有基が導入された化合物が挙げられる。また、エチレングリコールやプロピレンゴリコール、ネオペンチルアルコールなどの脂肪族多価アルコールに、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンのようなオキセタン含有アルコールを脱水縮合させたエーテル化合物なども用いることができる。
有機系分散媒の総量の40重量%以下であれば、芳香族オキセタン化合物が含有されても、インクジェットインクの粘度を過剰に上昇させることはない。溶解性のさらに高い溶剤に対する耐性が硬化後の印刷物に求められる場合は、上述した範囲を越えて、芳香族オキセタン化合物の含有量を増加することができる。その場合には、インクの粘度が上昇するため、低粘度化合物を併用することが望まれる。例えば、低粘度エポキシ化合物や、アクリル側鎖にオキセタンを有する化合物、およびビニルエーテル化合物などである。
芳香族骨格を含むオキセタン化合物としては、例えば、1,4−ビス((1−エチル−3オキセタニル)メトキシ)ベンゼン、1,3−ビス((1−エチル−3オキセタニル)メトキシ)ベンゼン、4,4’−ビス((3−エチル−3オキセタニル)メトキシ)ビフェニル、およびフェノールノボラックオキセタン類が挙げられる。
これらの化合物のなかでも、粘度が低いためジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルが好適に用いられる。オキセタン基を側鎖に有するアクリル化合物またはメタクリル化合物などを用いた場合も、粘度の上昇を抑えられるのに加えて、オキセタン化合物と同様の硬化加速効果を得ることができる。
硬化速度の向上や印字画像の溶剤耐性に加えて、粘度をさらに低下させ、硬化速度をよりいっそう高めることが要求される場合には、オキセタン化合物に加えてビニルエーテル化合物を配合することが望ましい。ビニルエーテルとしては、比較的揮発性の低いポリ(アルキレングリコール)骨格を有するビニルエーテル化合物が一般によく知られており、本発明の実施形態においても、こうした化合物を用いることができる。特に、ポリ(アルキレングリコール)骨格を有するビニルエーテル化合物であるトリエチレングリコールジビニルエーテルは安価に入手でき、材料コストの面からも好ましい。また、AMES試験も陰性であり安全性の面からも好ましい。この場合、硬化物の密着性の低下を避けるために、ビニルエーテル化合物の含有量は、有機系分散媒の総量の80重量%以下であることが望まれる。
このようなポリ(アルキレングリコール)骨格を有するビニルエーテル化合物を使用した場合、硬化物の到達硬度が低下する傾向がある。環式骨格を有するビニルエーテル化合物をさらに配合することによって、印刷物に必要な硬化硬度を達成することが可能である。特に、シクロヘキサンジメタノールビニルエーテルを添加することにより、少量の添加で硬化硬度を増すことができる。しかも、AMES試験も陰性であることから好ましい。この場合、有機系分散媒中における含有量は、3重量%以上20重量%以下であることが望ましい。3重量%以下の場合には十分な硬化硬度を得ることができず、一方、20重量%以上の場合には硬化収縮が大きすぎるなどの問題が発生する。
さらなる高い硬化硬度を達成するには、下記一般式(2)で表わされるビニルエーテル化合物をインクジェットインク中に配合することが好ましい。かかるビニルエーテル化合物は、単独または組み合わせて用いることができ、有機系分散媒の総量の30重量%以上80重量%以下の割合で含有されていれば、その効果を十分に発揮することができる。
Figure 2007137925
上記一般式(2)中、R12の少なくともひとつはビニルエーテル骨格を有する基であり、残りはビニルエーテル基、および水酸基から選択される置換基を示す。R13は脂環式骨格あるいは環状エーテル化合物、テルペノイド骨格または芳香族骨格から選択される(p+1)価の基であり、pは0を含む正の整数である。
一般に、脂肪族グリコール誘導体やシクロヘキサンジメタノールなどのメチレン基に結合したビニルエーテル化合物は、よく知られている。このようなビニルエーテル化合物の重合反応は、顔料によって顕著に阻害される。しかも、比較的粘度が高いことから、これまでインク成分として配合することが難しかった。前記一般式(2)で表わされるビニルエーテル化合物においては、脂環式骨格、環状エーテル化合物、テルペノイド骨格あるいは芳香族骨格に、少なくとも1つのビニルエーテル基が直接結合しており、顔料と同時に含有されても硬化性能に優れる。
前記一般式(2)において、R12として導入されるビニルエーテル骨格を有する基としては、例えば、イソプロペニルエーテル基、およびアリルエーテル基等が挙げられる。製造コスト、硬化性能および粘度などを考慮すると、R12としては、ビニルエーテル基が好ましい。
前記一般式(2)において(p+1)価の有機基R13としては、例えば、ベンゼン環やナフタレン環、ビフェニル環を含む(p+1)価の基、シクロアルカン骨格や、ノルボルナン骨格、アダマンタン骨格、トリシクロデカン骨格、テトラシクロドデカン骨格、テルペノイド骨格、および、コレステロール骨格などの橋かけ脂環化合物から誘導される(p+1)価の基などが挙げられる。
より具体的には、シクロヘキサン(ポリ)オール、ノルボルナン(ポリ)オール、トリシクロデカン(ポリ)オール、アダマンタン(ポリ)オール、ベンゼン(ポリ)オール、ナフタレン(ポリ)オール、アントラセン(ポリ)オール、ビフェニル(ポリ)オールなどの脂環ポリオールやフェノール誘導体おける水酸基の水素原子が、ビニル基に置換された化合物などが挙げられる。また、ポリビニルフェノールやフェノールノボラックなどのポリフェノール化合物における水酸基の水素原子が、ビニル基に置換された化合物などを用いることもできる。上述したような化合物は、水酸基の一部が残留していてもよい。あるいは、脂環式骨格の一部のメチレン原子がケトン基やラクトン、酸素原子などに酸化あるいは置換されていても問題ない。こうした場合には、インクの揮発性が低減するため望ましいものとなる。
特に、シクロヘキシルモノビニルエーテル化合物は揮発性に富むため、シクロヘキシルモノビニルエーテル化合物が用いられる場合は、シクロヘキサン環は少なくともシクロヘキサノン環等に酸化されていることが望ましい。
かかる化合物のなかでも、ビニルエーテル構造を含む置換基を有する環状エーテル化合物がより好ましい。硬化性や安全性の面では、酸素原子を含む5員環骨格を含み、橋かけ構造やスピロ構造を同時に有する環状エーテル骨格が最も好適である。こうしたビニルエーテル化合物は、相当するアルコール化合物と酢酸ビニルやプロペニルエーテルのようなビニルエーテル源とを出発原料として、例えば、塩化イリジウムのような触媒を用いてアルコールをビニルエーテルに置換するような方法(J.Am.Chem.Soc.Vol124,No8,1590−1591(2002))を用いて、好適に合成することができる。かかる環状エーテル化合物のなかでも、硬化性能、硬化における湿度などの環境影響性、安全性およびインク吐出性を考慮すると、ヒドロキシメチル−ヒドロキシオキサノルボルナンジオールジビニルエーテルを使用するのが好ましい。
本発明の実施形態にかかるインクジェットインクにおいては、以下のような化合物が有機系分散媒に含有されてもよい。
例えば、環状カーボネートまたは環状ラクトンが挙げられる。一般的に、カチオン重合タイプのインクに使用されるモノマーは極性の低いものが多く、光重合開始剤の溶解性を低下させる場合があった。特に、インクジェットインクとして用いる場合には、いったん溶解した光重合開始剤が析出するとノズルに詰まり、インクの吐出性が低下するおそれがある。
本発明の実施形態にかかるインクは、有機系分散媒中にα−オレフィンエポキシドが含有されることに起因して極性が比較的低い。こうしたインクに環状カーボネートまたは環状ラクトンを添加することによって極性が高められ、光重合開始剤の溶解性を向上させて安定なインクジェットインクとすることが可能となる。
特にインクジェットヘッドに電極が露出し、インクと電極が接するようなヘッドが用いられると、電極に析出物が生ずるおそれがある。この場合には、光重合開始剤の溶解性を向上させることによって、析出物を抑える効果が高くなる。
環状カーボネートまたは環状ラクトンの含有量は、有機系分散媒の総量の3重量%以上15重量%であることが好ましい。3重量%未満の場合には、インクジェットヘッド内でインクが電極に接する場合、電極上に析出物が生じてしまう。また、光重合開始剤が一度溶解した後に低温で保存されると、析出が徐々に生じるおそれがあり、インクの吐出性能に悪影響を及ぼす可能性がある。一方、15重量%を越えて過剰に含有された場合には、十分に高い硬化性能を得ることが困難となる。
環状カーボネートとしては、プロピレンカーボネートが最も望ましい。ピロピレンカーボネートは、十分な硬化性能を有しており、コストも安価である。これに限定はされず、エチレンカーボネートなどの他の環状カーボネートを用いることもできる。環状ラクトンとしては、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサラクトン、およびε−カプロラクトンなどが使用できるが、これらに限定はされない。
有機系分散媒の成分として、エポキシ化植物油がさらに含有されてもよい。エポキシ化植物油は、天然由来品を出発原料とするために安全性が高く、AMES試験も陰性である。また、非常に安価であるため、材料コストの面からも好ましい。エポキシ化植物油を配合することによって、硬化性能が向上し、耐溶剤性および硬化硬度を高めることができる。エポキシ化植物油としては、例えば、エポキシ化大豆油(ESO)、およびエポキシ化亜麻仁油(ELO)などを用いることができる。エポキシ化植物油の有機系分散媒中における含有量は特に限定されないが、10重量%以上50重量%以下で含有されていれば、上述したような効果を十分に得ることができる。
本発明の実施形態にかかるインクジェットインクに用いられる顔料としては、一般に顔料として知られている色材であって分散可能なものであれば、いずれの顔料でも構わない。所望される光学的な発色・着色機能を有し、平均粒子径が300nm以下の顔料であれば特に限定されず任意のものを用いることができる。顔料の平均粒子径が300nmを越えるとインクジェットヘッドからの吐出において、インクの飛翔形状の乱れや印字再現性の減少が生じる。最悪の場合には吐出不良、インクつまりなどが多く発生してしまう。こうした不都合を避けるため、インク中における顔料の平均粒子径は、300nm以下であることが望まれる。なお、顔料の平均粒子径は、例えば、まず、インク試料を500倍程度に溶媒に希釈し、この希釈した試料について動的光散乱法による粒子径測定を行なう。キュムラント解析によりキュムラント平均粒子径を算出して得られた値を、顔料の平均粒子径とするといった手法により求めることができる。
また、顔料は、発色・着色性に加えて、磁性、蛍光性、導電性、あるいは誘電性等のような他の性質をさらに示すものであってもよい。この場合には、画像に様々な機能を付与することができる。さらに、耐熱性や物理的強度を向上させ得る粉体を加えることもできる。
使用可能な顔料の例としては、例えば光吸収性の顔料を挙げることができる。具体的には、カーボンブラック、カーボンリファインド、およびカーボンナノチューブ等の炭素系顔料;鉄黒、コバルトブルー、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化クロム、および酸化鉄等の金属酸化物顔料;硫化亜鉛等の硫化物顔料;フタロシアニン系顔料;金属の硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、およびリン酸塩等の塩からなる顔料、並びにアルミ粉末、ブロンズ粉末、および亜鉛粉末等の金属粉末からなる顔料が挙げられる。
また、例えば、染料キレート、ニトロ顔料、アニリンブラック、ナフトールグリーンB等のニトロソ顔料、ボルドー10B、レーキレッド4Rおよびクロモフタールレッド等のアゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む。)、ピーコックブルーレーキおよびローダミンレーキ等のレーキ顔料、フタロシアニンブルー等のフタロシアニン顔料、多環式顔料(ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラノン顔料など)、チオインジゴレッドおよびインダトロンブルー等のスレン顔料、キナクリドン顔料、キナクリジン顔料、並びにイソインドリノン顔料等の有機系顔料を使用することもできる。
黒インクで使用可能な顔料としては、例えば、コロンビア社製のRaven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700、キャボット社製のRegal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch900、Monarch1000、Monarch 1100、Monarch1300、Monarch1400、三菱化学社製のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B、デグッサ社製のColor Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4、およびSpecial Black 250などのようなカーボンブラック系顔料を挙げることができる。
イエローインクで使用可能な顔料としては、例えば、C.I.Yellow 128、C.I.Pigment Yellow 129、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 154、C.I.Pigment Yellow 1、C.I.Pigment Yellow 2、C.I.Pigment Yellow 3、C.I.Pigment Yellow 12、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 14C、C.I.Pigment Yellow 16、C.I.Pigment Yellow 17、C.I.Pigment Yellow 73、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 75、C.I.Pigment Yellow 83、C.I.Pigment Yellow 93、C.I.Pigment Yellow95、C.I.Pigment Yellow97、C.I.Pigment Yellow 98、C.I.Pigment Yellow 114、C.I.Pigment Yellow 139、C.I.Pigment Yellow 180、およびC.I.Pigment Yellow 150等が挙げられる。特にこれらの黄色系顔料の中でも、ニッケルアゾ系顔料あるいはイソインドリン顔料が望ましく、なかでも分散安定性の優れたPigment Yellow 150やPigment Yellow 139が望ましい。
また、マゼンタインクで使用可能な顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 123、C.I.Pigment Red 168、C.I.Pigment Red 184、C.I.Pigment Red 202、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 7、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 48(Ca)、C.I.Pigment Red 48(Mn)、C.I.Pigment Red 57(Ca)、C.I.Pigment Red 57:1、C.I.Pigment Red 112、およびC.I.Pigment Violet 19等が挙げられる。
さらに、シアンインクで使用可能な顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 15、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15−15:2、C.I.Pigment Blue 15:3−15:4、C.I.Pigment Blue 15:5、C.I.Pigment Blue 15:34、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Blue 17、C.I.Pigment Blue 20、C.I.Pigment Blue 22、C.I.Pigment Blue 25、C.I.Pigment Blue 45、C.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blue 1、C.I.Pigment Blue 2、C.I.Pigment Blue 3、C.I.Acid Blue 45、C.I.Vat Blue 4、およびC.I.Vat Blue 60等が挙げられる。特にこれらのシアン顔料の中でも、酸に対する色劣化が少ないフタロシアニン系顔料が望ましい。さらに、分散安定性や着色性の観点からは、Pigment Blue 15:3が最も望ましい。
天然クレイ、鉛白や亜鉛華や炭酸マグネシウムなどの金属炭酸化物、バリウムやチタンなどの金属酸化物のような白色顔料も有用である。白色顔料を含有したインクジェット用インクは、白色印刷に使用可能なだけでなく、重ね書きによる印刷訂正や下地補正に使用することができる。
蛍光性を示す顔料としては、無機蛍光体および有機蛍光体の何れを使用してもよい。無機蛍光体の材料としては、例えば、MgWO4、CaWO4、(Ca,Zn)(PO42:Ti+、Ba227:Ti、BaSi25:Pb2+、Sr227:Sn2+、SrFB23.5:Eu2+、MgAl1627:Eu2+、タングステン酸塩、イオウ酸塩のような無機酸塩類を挙げることができる。また、有機蛍光体の材料としては、以下のものが挙げられる。例えば、アクリジンオレンジ、アミノアクリジン、キナクリン、アニリノナフタレンスルホン酸誘導体、アンスロイルオキシステアリン酸、オーラミンO、クロロテトラサイクリン、メロシアニン、1,1’−ジヘキシル−2,2’−オキサカルボシアニンのようなシアニン系色素、ダンシルスルホアミド、ダンシルコリン、ダンシルガラクシド、ダンシルトリジン、ダンシルクロリドのようなダンシルクロライド誘導体、ジフェニルヘキサトリエン、エオシン、ε−アデノシン、エチジウムブロミド、フルオレセイン、フォーマイシン、4−ベンゾイルアミド−4’−アミノスチルベン−2,2’−スルホン酸、β−ナフチル3リン酸、オキソノール色素、パリナリン酸誘導体、ペリレン、N−フェニルナフチルアミン、ピレン、サフラニンO、フルオレスカミン、フルオレセインイソシアネート、7−クロロニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾル、ダンシルアジリジン、5−(ヨードアセトアミドエチル)アミノナフタレン−1−スルホン酸、5−ヨードアセトアミドフルオレセイン、N−(1−アニリノナフチル4)マレイミド、N−(7−ジメチル−4−メチルクマニル)マレイミド、N−(3−ピレン)マレイミド、エオシン−5−ヨードアセトアミド、フルオレセインマーキュリーアセテート、2−(4’−(2”−ヨードアセトアミド))アミノナフタレン−6−スルホン酸、エオシン、ローダミン誘導体、有機EL色素、有機ELポリマーや結晶、およびデンドリマー等である。
上述したような顔料は、吸光性、彩度、および色感などを高めるために、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
顔料成分の含有量は、分散媒に対して2重量%以上40重量%以下の範囲内とすることが望ましい。2重量%未満の場合には、その後の加工で、色材とした場合の充分な色濃度を確保することが困難となる。一方、40重量%を超えると、安定性が低下する場合がある。顔料の含有量は、分散媒に対して3重量%から30重量%の範囲であることがより好ましい。
顔料の平均粒径は、インクジェット吐出可能で、機能発現可能な限り小さいことが望ましい。こうした顔料の粒径は、通常、液体インクを吐出するノズルの開口径の1/3以下であり、より好ましくは1/10程度である。なお、このサイズは典型的には10μm以下であり、好ましくは5μm以下である。印刷用インクジェットインクとして好適な粒子径は0.3μm以下の大きさであり、通常は0.05〜0.2μmの間の平均粒子径を有する。
また、本発明の実施形態にかかるインクジェットインクにおいては、色彩を調整するために、顔料の補助成分として染料を添加することが可能である。例えば、アゾイック染料、硫化(建材)染料、分散染料、蛍光増白剤、油溶染料のような、酸性、塩基性が低く、溶媒に対して溶解性の高い染料が通常用いられる。なかでもアゾ系、トリアリールメタン系、アントラキノン系、アジン系などの油溶染料が好適に用いられる。例えば、C.I.Slovent Yellow−2、6、14、15、16、19、21、33,56,61,80など、Diaresin Yellow−A、F、GRN、GGなど、C.I.Solvent Violet−8,13,14,21,27など,C.I.Disperse Violet−1、Sumiplast Violet RR、C.I.Solvent Blue−2、11、12、25、35など、Diresin Blue−J、A、K、Nなど、Orient Oil Blue−IIN、#603など、Sumiplast Blue BGなどを挙げることができる。
本発明の実施形態にかかるインクジェットインクにおいては、上述したような顔料を有機系分散媒中に均一に分散させるために、樹脂分散剤が用いられる。樹脂分散剤は、顔料粒子の表面を被覆することにより顔料粒子と分散媒の間に入り込んで、顔料粒子の凝集を妨げる。これに加えて樹脂分散剤は、分散媒への顔料の親和力を高めて、顔料が沈降するのを防止する作用を有する。
基本的には、有機系分散媒に対して良好な親和性を備え、顔料同士の凝集を阻止する立体的分離性を有する任意の樹脂を、分散剤として使用することができる。例えば、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、およびエポキシ樹脂からなる群から選択することができる。こうした樹脂の少なくとも1種を主成分とするものが、樹脂分散剤として用いられる。なお、本明細書において「主成分とする」とは、成分の40重量%以上を占めることをさす。
分散剤として作用するために、こうしたポリマーにおいては、ポリマー末端は、顔料に対する結合性や親和力を有することが好ましい。一方のポリマー主鎖は、有機系分散媒への親和性、さらには他の顔料粒子との再凝縮を阻害する物理的斥力または静電的斥力を備えていることが望ましい。例えば、分散媒と同等の(±5MPa1/2程度)溶解度パラメ−ターを有し、分子量数百〜数万、重合度10〜200程度であって、摂氏10℃以上200℃以下のTgを有するポリマーが好ましい。さらに、末端が比較的強い化学結合(共有結合あるいは静電力等)によって、顔料に対する親和力を有するポリマーが望ましい。通常、2種ないし数種のモノマーの共重合体とすることによって、このような複合機能を付与することができる。かかるポリマーとしては、ブロック共重合体も好適に用いられる。
上述したようなポリマーの末端は、必ずしも単一である必要はないが、一般にグラフト共重合した先端部や、櫛形ポリマーの先端部などに導入されうる。こうしたポリマーは、結合が強固であり、しかも、立体障害を形成しやすい。これによって、顔料どうしの再凝集を抑制することができる。
このようなポリマーを合成するためのモノマーとしては、より具体的には、スチレンおよび置換スチレン、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アミド類、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸エステル、イタコン酸およびそのエステル化合物、ヒドロキシスチレンおよびその水素原子置換誘導体などが挙げられる。また、長鎖のアルキルや、ポリエーテル、ポリカーボネート、あるいはポリエステル鎖などをエステル側鎖に有する場合には、前述の櫛型ポリマーを形成するうえで有利である。
また、ポリマーとしては、次のものを用いることも可能である。すなわち、poly(oxyphthaloyloxymethylene-1,4-phenylenemethylene)、poly(1,4-cyclohexylenedimethylene succinate)等のヒドロキシ化合物とジカルボン酸との脱水縮合によるポリエステル化合物;アジピン酸とヘキサメチレンジアミン等のジアミンとジカルボン酸との縮合によって得られるポリアミド類;ε−カプロラクタム等の環状ラクトンの開環によって得られるポリアミド類;ピロメリット酸等のテトラカルボン酸と脂肪族ジアミンとが縮合してなるポリアミド類のうち比較的Tgの低いポリマー;イソフォロンジシアネート等の脂肪族ジイソシアネートとジヒドロキシ化合物とが反応してなるポリウレタン系樹脂;ポリビニルピリジン系化合物;ポリジメチルシロキサンおよびそのラダー形ポリマー;ポリビニルアルコールやビニルエーテル化合物、および比較的リジッドな骨格を有するオキシラン化合物が重合したポリエーテル系重合体等である。こうしたポリマーの末端は、アミノ基やリン酸基など、顔料に対して親和力のある官能基を有する化合物でキャップされていてもよい。
さらに、重合性基および両親媒性を有する重合性界面活性剤と、架橋性モノマーおよび/または単官能モノマーとを重合させて得られる高分子化合物もまた、分散剤として好ましく用いられる。重合性界面活性剤における重合性基としては、不飽和炭化水素基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロぺニル基、ビニリデン基、およびビニレン基等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上を用いてもよい。重合性界面活性剤における親水性基は、分散媒に応じて選択することができる。例えば分散媒が水系の場合には、スルホン基、スルホン酸基、カルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基およびこれらの塩等の一種以上が、親水性基として好ましく用いられる。一方、分散媒が油性の場合には、親水性基としては、カルボキシル基やそのエステル、ラクトン系化合物、カルボニル基、およびヒドロキシル基などを挙げることができる。
顔料の分散安定性を高めるために、顔料の表面修飾を行なってもかまわない。これは、分散剤と顔料との結合性を高める目的で行なわれる。例えば、代表的な分散剤末端であるアミノ基との結合が強いカルボキシル基や、スルホン酸基を顔料表面に部分形成した場合には、顔料の分散安定性を飛躍的に高めることが可能となる。
官能基で顔料表面を修飾するためには、例えば顔料粒子の表面を適切な酸化剤によって酸化したり、スルホン化剤などを作用させるといった手法を採用することができる。スルホン化剤としては、硫酸、発煙硫酸、SO2、SO3単独もしくはおよびハロゲン化スルホン酸などの誘導体、さらには希土類との触媒の組み合わせ、スルホン酸基を有するオルガノメタリックあるいはビニル化合物などの反応性に富む化合物などが挙げられる。あるいは、ハロゲン化処理を行なった後、ソジウムサルファイドのような塩を作用させるStrecker's Reactionなども好適に用いられる。
一般的には、顔料に対して物理的吸着力の高い、スルホン修飾顔料(シナジスト)を顔料粒子の表面に吸着させた場合も、類似した効果が得られる場合がある。通常、表面がスルホン化剤で直接修飾された表面修飾顔料は、シナジストと比較して顔料とスルホン酸基との結合力に優れ、分散安定性が良好であるため好適に用いることができる。取り扱いの容易さやコストの面から、シナジストを用いてもその安定性が維持できていれば問題がない。
さらに強力な表面修飾としては、上述した樹脂分散剤と顔料との共有結合形成に加え、マイクロカプセル化処理などを施すことがより好ましい。このようなマイクロカプセル化顔料は、公知の手法により製造することができる。例えば、相分離法(コアセルベーション)、液中乾燥法(界面沈殿法)、スプレードライング法、パンコーティング法、液中硬化被覆法、界面重合法、in situ法、および超音波法等を、特に制限されずに用いることができる。より具体的には、特開平9−151342号公報に記載されているアニオン性マイクロカプセル化顔料の製法や、特開平10−316909号公報に記載されている方法が挙げられる。
なお、官能基による修飾率は、例えば修飾元素が硫黄原子やリンなどを含む場合、EDXなどの表面分光分析法などによって直接的に測定することができる。通常は、対象となる元素含有量が顔料の表面組成の0.1%程度以上であることが望まれる。ただし、修飾率が大きすぎる場合には、顔料の酸性度が強くなりすぎて分散媒と反応し、凝集や増粘が加速されるおそれがある。こうした不都合を避けるため、官能基による修飾率は、最大でも、顔料の表面組成の30%程度にとどめておくことが好ましい。EDXなどにより求めにくいカルボン酸や、樹脂による被覆率などの修飾率は、吸着法などにより定量した表面積、および滴定法などから見積もった修飾基の数に基づいて概算することができる。あるいは、顔料が分解しない程度まで熱重量分析等を行なうことによって、修飾率を概算することも可能である。
本発明の実施形態にかかるインクジェットインクには、上述した有機系分散媒および顔料に加えて、光カチオン重合開始剤が必須成分として含有される。光カチオン重合開始剤としては、例えば、光照射により酸を発生する光酸発生剤を用いることができ、オニウム塩化合物が最も好適である。
使用し得るオニウム塩としては、例えば、フルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロアンチモン酸アニオン、ヘキサフルオロヒ素酸アニオン、トリフルオロメタンスルホネートアニオン、パラトルエンスルホネートアニオン、およびパラニトロトルエンスルホネートアニオン、ハロゲン系アニオン、スルホン酸系アニオン、カルボン酸系アニオン、硫酸アニオンを対イオンとするジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、およびイオドニウム塩などを挙げることができる。なかでも、色材の安定性と環境配慮の観点から、アニオン種はボロン、アンチモン、ヒ素などを含まないものが望ましく、なかでもフルオロホウ酸アニオンが最も望ましい。
オニウム塩のより詳細な具体例としては、例えば、下記化学式で表わされる化合物が挙げられる。
Figure 2007137925
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Figure 2007137925
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市販のオニウム塩化合物としては、例えば、みどり化学社製MPI−103(CAS.NO.(87709−41−9))、みどり化学社製BDS−105(CAS.NO.(145612−66−4))、みどり化学社製NDS−103(CAS.NO.(110098−97−0))、みどり化学社製MDS−203(CAS.NO.(127855−15−5))、みどり化学社製DTS−102(CAS.NO.(75482−18−7))、みどり化学社製DTS−103(CAS.NO.(71449−78−0))、みどり化学社製MDS−103(CAS.NO.(127279−74−7))、みどり化学社製MDS−105(CAS.NO.(116808−67−4))、みどり化学社製MDS−205(CAS.NO.(81416−37−7))、みどり化学社製BMS−105(CAS.NO.(149934−68−9))、みどり化学社製TMS−105(CAS.NO.(127820−38−6))、ダイセルUCB社製UVACURE1591、1590、ダウケミカル社製UVI-6992や6976、ランバーティ社ESACURE−1064、およびチバガイギー社のIRGACURE250などを挙げることができる。
上述したオニウム塩のなかでも、スルホニウム塩やヨードニウム塩は、安定性に優れている。こうした塩は、その製造過程に起因して、通常、1価の塩(1価のカチオンと1個のアニオンとの塩)と2価以上の塩(例えば2価のカチオンと2個のアニオンとの塩)との混合物の状態である。2価以上の塩は、不可避的に75%程度まで混合物中に含まれることが知られている。市販品もこうした混合物の状態であり、特にスルホニウム塩では、この傾向が顕著である。多価の塩がインク中に含有されると、感光波長が長波長側にシフトして感度が高められることが一般に知られている。こうした利点を確保するために、2価以上の塩が意図的に混入される場合もある。例えば、UVACURE1591、1590(いずれもダイセルUCB社製)、UVI−6992や6976(いずれもダウケミカル社製)、ESACURE−1064(ランバーティ社)等などの市販品がそれらに該当する。しかしながら、多価の塩は、特に微小粒子を必要とするインクジェット顔料分散体の凝集安定性に大きく影響を及ぼす。具体的には、多価の塩は、顔料粒子と分散剤との間に弱い結合を生じさせて、ゲルまたは凝集体を引き起こすといった欠点も有する。このため、通常、これら多価の塩の存在を極力抑えることが、顔料粒子の分散安定性およびインクジェットの吐出性能の向上に繋がる。
多価のオニウム塩の含有率は、通常、全オニウム塩総量の20重量部以下であることが望ましい。多価のオニウム塩の含有率は、より好ましくは5重量部以下であり、含まれないことが最も好ましい。
一般的に、カラー顔料は有機顔料が用いられることが多いことから、その構造によってはカーボンブラックなどのようなブラック顔料と比較して凝集しやすい傾向にある。顔料としてカラー顔料が用いられる場合には、アリールスルホニウムのフルオロフォスフェート塩、あるいはアリールヨードニウムのフルオロフォスフェート塩が望ましい。これらのオニウム塩は、カラー顔料の凝集安定性に格段に優れる。また、1価のオニウム塩であっても、分散剤が不足した場合には、分散剤である末端アミン樹脂を経時的に徐々に置換する作用を有する。そのため、オニウム塩は、顔料表面と分散剤末端との結合部分には、極力近づきにくい構造を有することが望ましい。比較的大きな置換基を構造内に有するオニウム塩化合物を用いることによって、これが可能となる。
さらに、顔料粒子の表面へのイオン吸着が立体障害によって低減できることから、オニウム塩中のベンゼン環は、炭素数1以上20以下の有機基を有することが好ましい。具体的には、メチル基、イソプロピル基などのアルキル基やメトキシ基などのアルコキシ基などの有機基が挙げられる。ベンゼン環の50モル%以上が、炭素数4以上20以下の有機基を有することがより好ましい。この場合には、分散安定性に加えて、光反応時の空気中への分解物の飛散が抑制されるために安全性が高められる。かかる化合物は、溶媒としての有機系分散媒に対する溶解性が高くなるため、インク中での塩の析出といった現象も低減することができる。ひいては、吐出不良の原因となりやすい数ミクロンサイズの粒子生成も低減され、大変望ましいものとなる。
1価のオニウム塩が用いられると、その感光波長が短波長側にシフトするため、感度が低下する傾向がある。VI元素である硫黄や酸素を複素環内や連結基として有する芳香族置換基が構造内に含まれると、こうした不都合を回避することができるため望ましいものとなる。
さらに、下記一般式(3)または(4)に示されるように、比較的大きな有機基を構造内に含むオニウム塩の場合には、溶解安定性が高く、分散安定性も良好であるという利点を有する。
Figure 2007137925
上記一般式中、A-はフルオロフォスフェートアニオンである。R22、R23およびR24の少なくとも1つは炭素数4乃至20の有機基であり、残りは水素原子または炭素数1乃至20の有機基である。R25は2価の芳香族置換基であり、VI原子を構造内に含んでもよい。
22、R23、R24として導入されうる炭素数4乃至20の有機基としては、例えば、アルキル基、アルキルオキシ基、およびエチレングリコールが脱水縮合したポリエチレンオキシド骨格を有する置換基等が挙げられる。アルキル基としては、例えば、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデカニル基などが挙げられる。また、アルキルオキシ基としては、例えば、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、およびデカニルオキシ基などが挙げられる。
25として導入され得る2価の芳香族置換基としては、例えば、フェニレンおよびビフェニレン等のフェニレンを有する基;フェニレンサルファイドおよびフェニレンジサルファイド等のフェニレンサルファイド骨格を有する基;ベンゾチオフェニレン、チオフェニレン、およびビチオフェニレン基等のチオフェン骨格を有する基;フラニレンおよびベンゾフラニレン等のフラン骨格を有する基などが挙げられる。
さらに、上述したようなオニウム塩化合物は、光反応の過程で、有害なベンゼンなどの副生成物の生成を抑制する作用も有する。その結果、本発明の実施形態にかかるインクジェットインクとして用いることで、環境面・安全面の効果が高く望ましいものとなりうる。
インクジェットインク中における光カチオン重合開始剤の含有量は、使用する光カチオン重合開始剤の酸発生効率や添加する色成分の量などに応じて設定することができる。光カチオン重合開始剤の含有量は、有機系分散媒の総量に対して1重量%乃至10重量%であることが好ましい。1重量%未満の場合には、十分な感度を確保することが困難となる。一方、10重量%を越えて過剰に含有された場合には、分散の劣化や分散媒の暗重合のため、インクの経時間的増粘が激しくなり塗膜性や光硬化後のインク膜の硬度が低下する。また、記録装置の配管やヘッド部材の腐食が生じることもある。光カチオン重合開始剤の含有量は、有機系分散媒の総量の2重量%乃至8重量%がより好ましく、2重量%乃至6重量%が最も好ましい。
顔料の分散安定性を高めるため、また、配管やヘッド部材といった金属部材の腐食を低減するために、増感剤を併用することが望まれる。この場合には、光カチオン重合開始剤の添加量を2重量%乃至4重量%程度にまで低減することができる。
増感色素としては、例えば、アクリジン化合物、ベンゾフラビン類、ペリレン類、アントラセン類、チオキサントン化合物類、およびレーザ色素類などを挙げることができる。なかでも、ジヒドロキシアントラセンの水素原子を有機基で置換した化合物やチオキサントン誘導体などは、配合して効果が高いため望ましいものとなる。かかる増感色素は、光カチオン重合開始剤に対して20重量%乃至100重量%の割合で含有されていれば効果を発揮する。増感剤の含有量は、光カチオン重合開始剤に対して30重量%乃至60重量%であることがより好ましい。
上述したようなオニウム塩化合物とともに、比較的強力な他の酸を発生する非極性光酸発生剤を併用することができる。これによって、オニウム塩の添加量を減じて、顔料粒子の経時的な凝集をさら抑制することが可能となる。このような化合物としては、スルフォニル化合物、スルフォネート化合物、スルファミド化合物、有機ハロゲン化合物のいずれからか選択される光酸発生剤を含有することが望ましい。なかでも、強力なフルオロメタンスルフォン酸や、塩酸、臭素酸を発生するような化合物が、非極性光酸発生剤として望ましい。
より具体的には、N−ヒドロキシナフタルイミドのトリフルオロメタンスルフォン酸イミドのようなスルファミド化合物、ハロゲン化トリアジン化合物などの有機ハロゲン化化合物などが非極性光酸発生剤として挙げられる。オニウム塩化合物の含有量が有機系分散媒の総量に対して0.3乃至2重量%の場合には、非極性光酸発生剤は、有機系分散媒の総量に対して2乃至10重量%で配合されることが望ましい。オニウム塩化合物と非極性光酸発生剤の割合がこうした範囲内であれば、上述した効果を十分に得ることが可能となる。
本発明の実施形態にかかるインクジェットインクは、常温で流動性を有することが求められる。具体的には、25℃における粘度が50cp(=mPa・s)、より好ましくは30mPa・sec以下であるインクがインクジェット用途に適している。また、インクジェットのヘッドが温調可能な場合、ヘッドの温調温度におけるインクの粘度が5乃至20mPa・secの範囲にあるインクがより望ましい。
本発明の実施形態にかかるインクジェットインクには、顔料の分散安定性を確保するために種々の添加剤を添加することが可能である。例えば、前述した樹脂分散剤(第1の樹脂分散剤)を顔料分散時に添加するのに加えて、第2の樹脂分散剤をインク調製時に添加してもよい。第2の樹脂分散剤としては、アミノ基などの塩基性基を末端に有する樹脂を用いることができる。第2の樹脂分散剤が含有されることによって、光カチオン重合開始剤などのイオン性化合物の吸着あるいは相互作用が生じる。その結果、顔料粒子とそれをとりまく第1の樹脂分散剤との全体にわたって、斥力などの分散安定性を確保することができる。
こうした条件を備えた第2の樹脂分散剤は、前述の第1の樹脂分散剤との組み合わせにより一概に規定できないが、通常、アミノ末端を有するポリオレフィン、アミノ末端を有するポリエステル、およびアミノ末端を有するエポキシ樹脂などが挙げられる。より具体的には、数平均分子量が500〜50,000の片末端にカルボキシル基を有する線状ポリマーと、二級アミノ基を1個有する有機アミノ化合物とを反応させて得られるアミン価が5〜200mgKOH/gで数平均分子量が1,000〜100,000の範囲にあるポリエポキシ化合物が挙げられる。また、遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとアミドとの共縮合物、遊離のカルボキシル基を有するポリアミドとアミドとの共縮合物(ポリエステルアミド)、およびエステルとアミドとの共縮合物(ポリエステルアミド)の3種の化合物の中から選ばれる1種以上の化合物を、ポリアリルアミンと反応させて得られるポリアリルアミン誘導体を用いることもできる。
さらに、次のような化合物も挙げられる。数平均分子量が500〜50000の片末端にカルボキシル基を有する化合物と、2級アミノ基を1個有する化合物とを反応させて得られるアミン価が5〜200mgKOH/g、数平均分子量が1000〜100000の範囲にあるアミノ基を有するポリエステル系高分子;3級アミノ基および/または塩基性を示す含窒素複素環を有するアクリルポリマーとポリエステルとを反応させて得られるアミン価が10〜200mgKOH/g、数平均分子量1000〜100000の範囲であるアミノ基を有するポリエステル系高分子などである。
ポリエポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルなどのポリグリシジルエーテル化合物などが挙げられる。さらに、グリシジル(メタ)アクリレートとそれ以外の重合性ビニル単量体との共重合により得られるグリシジルエステル基含有アクリルポリマー等が挙げられる。この場合、重合性ビニル単量体としては、メチルメタクリレートおよびスチレン等を用いることができる。
本発明の実施形態にかかるインクジェットインクは、インクジェット吐出の安定性が高いことが望まれるが、一般に、経時的粘度増加が高い傾向にあり、長期間にわたって性能を維持できない場合がある。こうした場合には、塩基性化合物および塩基性を発現する化合物の少なくとも一方を、粘度安定化剤としてさらに配合することが望ましい。塩基性化合物は、記録装置のインクジェットヘッド内部や、インク配管の金属部分の酸からの腐食を著しく低減させる効果も同時に有する。このため、塩基性化合物は、本発明の実施形態にかかるインクジェットインク全般に添加することが好ましい。
塩基性化合物としては、上述したような酸重合性化合物に溶解可能な任意の無機塩基および有機塩基を使用することができるが、溶解性を考慮すると有機塩基がより望ましい。有機塩基としては、例えば、アンモニアやアンモニウム化合物、置換または非置換アルキルアミン、置換または非置換の芳香族アミン、ピリジン、ピリミジン、およびイミダゾールなどのヘテロ環骨格を有する有機アミンが挙げられる。より具体的には、n−ヘキシルアミン、ドデシルアミン、アニリン、ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロウンデカン、3−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、ルチジン、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、4−メチルベンゼンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、および1,3−ベンゼンジスルホニルヒドラジドのようなスルホニルヒドラジドなどが挙げられる。
また、塩基性化合物としてアンモニウム化合物を用いることもできる。好ましいアンモニウム化合物としては、第四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、アンモニウム原子の置換基として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ドデシル、フェニル、ベンジルなどであり、対イオンが水酸イオン、-ORであって(Rは炭素数1乃至4のアルキル基)、-OCOR’(R’はアルキル、アリール、アルキルアリール)、OCOO-、OSOO-で表わされるアニオンが好ましく用いられる。特に好ましくは、水酸化テトラメチルアンモニウム、および水酸化テトラブチルアンモニウム塩などが挙げられる。これらの塩基性化合物は、単独であるいは2種以上の混合物として用いることができる。
イミダゾールなどの極めて強力な塩基性化合物が配合された場合には、例えば逆に経時重合を生じたり、あるいは光酸発生剤の分解などの副反応を生じやすくなるおそれがある。一方、塩基性の低すぎる化合物では、添加による粘度安定化の効果を十分に得ることが困難になる。塩基性化合物は、水溶液の状態での温度25℃における塩基解離定数pKbが4以上11未満であることが望まれる。そのような条件を満たす化合物としては、例えば、ピリジン誘導体、アニリン誘導体、アミノナフタレン誘導体、その他の含窒素ヘテロ環化合物およびその誘導体が好適である。
これらの中でも、塩基性化合物がアニリン誘導体である場合には、粘度安定性、揮発性、塩基性、さらに低副反応性の点で特に望ましいものとなる。
ただし、アニリン化合物は、塩基性が低いために、一般に化合物自体が塩基性を有しているオキセタン化合物との組み合わせでは望ましくない。オキセタン化合物としては、より塩基性の高い化合物が望ましく、例えば、25℃でのpKbが7以下3以上の化合物である。より具体的には、脂肪族骨格を有するアミンや脂環骨格を有するアミンのような塩基性化合物を、好適に用いることができる。
また、上述したような塩基性化合物がアニオンと塩を形成し、しかもアニオンの酸性度が低い場合には、化合物自体が弱い塩基としての作用があるので同様に用いることができる。
さらに、本発明の実施形態にかかるインクジェットインクには、表面張力等を調整するために、少量のノニオン系またはイオン系界面活性剤や帯電剤のような低分子添加剤を添加することができる。低分子添加剤としてカチオン系添加剤を使用する場合には、酸性度がカルボン酸より低い化合物を選択することが望ましい。カチオン系添加剤のなかには、インクの硬化暗反応を促進するものもある。また、強い塩基性を有する低分子添加剤や色素なども、インクの感度を低下させるのみならず、同様に硬化暗反応を促進することがある。こうした不都合を避けるため、低分子添加剤は中性に近いものやノニオン系が望ましい。
本発明の実施形態にかかるインクジェットインクは、インクジェット印刷用ヘッドを用い、印刷ヘッドからインク液滴を基材に飛翔させて画像を記録するために使用される。感光性インクジェットインクの場合、得られたインク層に光を照射すると、光酸発生剤(光カチオン重合開始剤)から酸が発生し、重合性化合物(光カチオン重合性の有機系溶媒)の連鎖反応の開始剤や架橋反応の触媒として機能する。感光性インクジェットインクにおいては、上述した重合性化合物によって溶媒が構成される。印刷時に有機溶剤が揮発することは殆どない。したがって、有機溶剤の揮発に起因した雰囲気汚染の問題を防止することができ、排気設備や溶剤回収機構などが不要となる。
また、光照射により光酸発生剤(光カチオン重合開始剤)から発生した酸は、インク層内を拡散して触媒として機能する。酸の拡散および酸を触媒とした架橋反応は、加熱することにより加速することができ、この架橋反応はラジカル重合とは異なって、酸素の存在によって阻害されることがない。そのため、1つの光子で複数の架橋反応を生じさせることが可能であり、高い感度が得られる。しかも、インク層の深部や吸収性を有する記録媒体の内部でも、架橋反応は速やかに進行することから、得られるインク層は、ラジカル重合系の場合と比較して密着性にも格段に優れる。
したがって、このようなインクジェットインクを用いると、被印刷面にインクを吐出した後に光照射および若干の加熱を行なうことによって、インク層を速やかに非流動化することができる。すなわち、大規模な露光システムを設けなくても、高品質な印刷物が得られる。
以下、具体例を示して本発明をさらに詳細に説明する。
顔料としてのSpecial Black 250(デグッサ社:カーボンブラック)を用いて、顔料分散体を調製した。この顔料の平均粒子径は、100nmである。まず、前述の顔料と、分散剤樹脂としての末端アミノ基を有するポリエステル樹脂(アビシア社:ソルスパース32000)、ポリエステル樹脂に対して1/10量のシナジスト(アビシア社、ソルスパース5000)とを、予備分散媒としてのMEK(メチルエチルケトン)に添加し、ホモジェナイザーで予備分散処理を施した。
その後、0.1ミリのジルコニアビーズとビーズミル(シンマルエンタープライゼス社)で周測8m/sec、1時間循環処理して、表面被覆顔料のMEK溶液(分散体前駆体)を得た。分散体前駆体中における顔料含有量は20重量%であった。また分散剤樹脂の顔料に対する比率は30重量%であった。
次に、この分散体前駆体に対し、本分散剤としての溶剤を等量添加した。これを1時間攪拌した後、50℃50mmHgで攪拌しつつ1時間加熱し、さらに5mmHgで3時間加熱してMEKを除去した。このようにして、種々の分散媒の顔料分散体を製造した。
なお、本分散媒は、C3000:セロキサイド3000(リモネンジオキサイド:ダイセル化学)、OXT−221(ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル:東亞合成(株))、ONB−DVE(ヒドロキシメチル−ヒドロキシオキサノルボルナンジオールジビニルエーテル:ダイセル化学)より選択した。このときの分散体中の顔料含有量は16重量%であった。
得られた顔料分散体を用いて、下記表1,2に示す処方によりインクジェットインクを調製した。いずれにおいても、インク中における顔料濃度が4重量%となるように顔料分散体を配合した。表中の各成分は、以下の化合物である。
α−オレフィンエポキシド(C12〜14):AOE X24(ダイセル化学)
α−オレフィンエポキシド(C16〜18):AOE X68(ダイセル化学)
プロピレンカーボネート(昭和電工)
γ−ブチロラクトン(アルドリッチ)
エポキシ化亜麻仁油:ELSO(ダイセル化学)
トリエチレングリコールジビニルエーテル:DVE3(ISP)
シクロヘキサンジメタノールビニルエーテル:CHVE(ISP)
表中の数字は、分散媒中での重量%である。上述した成分に加えて、光カチオン重合開始剤としてのUVACURE1590(ダイセルUCB)と、増感剤としてのジブトキシアントラセン(川崎化成)とを、全てのインクに添加した。光カチオン重合開始剤の含有量は、有機系分散媒に対して8重量%とし、増感剤の含有量は、光カチオン重合開始剤に対して30重量%とした。
Figure 2007137925
Figure 2007137925
得られた各インクの硬化性能について、以下のように評価した。
まず、バーコーターを用いて、HPフィルム上に約6μmの膜厚でインクを塗布した。得られた塗膜に対し、Light Hammer 6(Fusion社製)を用いて積算光量140mJ/cm2の照射を行なって硬化させた。照射長後の硬化状態、鉛筆硬度、耐溶剤性、および密着性を以下の手法により調べ、その結果を、前記表1および表2にまとめた。
照射直後の硬化状態は、キムワイプで塗膜を擦った際、べとついたり塗膜が剥がれたりしないものを“○”とした。硬化せずにべとついたり容易に剥がれたものは“×”とした。
鉛筆硬度の評価には、照射後直ちに100℃で1分間加熱して得られた硬化膜試料を用いた。この試料について、鉛筆硬度試験(JIS K5600−5−4、ISO/DIS 15184)により硬度を評価した。
耐溶剤性は、有機溶媒を含浸させた綿棒で塗膜の表面を擦り、塗膜が剥がれるまでの回数で調べた。有機溶媒としては、エタノールおよびアセトンを用い、それぞれについて、以下の基準で評価した。
×:20回未満
△:20回以上50回未満
○:50回以上
密着性は、クロスカット法(JIS K5600−5−6、ISO 2409)により調べた。評価は、JIS K5600−5−6に準拠して分類し、前記表1,2にまとめた。
回転式粘度計(RE500U、東機産業)により25℃における粘度を測定したところ、いずれのインクも50mPa・sec以下であった。
前記表1に示されるように、α−オレフィンエポキシドとしてのAOE X24を5重量%以上20重量%以下の割合で含有するインクは、鉛筆硬度、耐溶剤性、密着性、照射直後の硬度、および電極析出物の全てについて、いずれも良好な結果が得られた。
特に、AOE X24に加えて、OXT221、ELSOおよびプロピレンカーボネートを含む有機系分散剤を用いた実施例1のインクでは、硬化硬度、耐溶剤性、および密着性が極めて優れていた。また、プロピレンカーボネートをγ−ブチロラクトンに変更した以外は実施例1と同様の組成の実施例2のインクも、ほぼ同程度の硬化性能を得ることができた。
実施例3,4に示されるように、AOE X24に加えて、OXT221、DVE3、CHVEおよびプロピレンカーボネートを含有する有機系分散媒を用いた場合にも、硬化硬度および密着性とも優れていた。これらのインクは、耐溶剤性ではアセトンに対して若干低下するもののエタノールでは問題なく、十分合格レベルであった。
実施例5は、OXT221をC3000に変更した以外は、実施例1と同様の組成であり、実施例6は、OXT221をONB−DVEに変更した以外は、実施例1と同様の組成である。十分に高い耐溶剤性や密着性、および適切な硬化硬度を同時に確保するには、OXT221が最も好ましいことが、これらの結果に示されている。
密着性を十分に高めるためには、AOE X24の含有量は10重量%以上が好ましいことが、実施例2と実施例7との比較からわかる。
AOE X24を、炭素数の多いAOE X68に変更した場合にも、実施例8に示すようにAOE X24と同様の硬化性能が得られた。
プロピレンカーボネートを使用しない場合でも、実施例9に示すように実施例8と同様に十分な硬化性能が得られた。電極幅80μmのくし型モデル電極(Ni製)を用いて、各インクに、前述のくし型モデル電極を浸漬して48kHz、±20Vの矩形波を印加した。30分後、電極表面を光学顕微鏡により観察して析出物の有無を確認したところ、実施例9のインクでは析出物が観測された。このことから、インクジェットヘッドとして電極がインクと接触するようなものを用いる場合には、実施例9に示したインクでは注意を要することがわかる。
これらの実施例に対して、AOE X24を使用しない場合には、比較例1および4に示したように、密着性が著しく低下した。一方、AOE X24を過剰に加えた比較例2および3の場合には、硬度が低下してしまった。こうした結果から、所定量のAOE X24を含有することによって、インクの密着性を大きく向上させることが可能であることがわかる。
AOE X24を使用しなかった場合には、比較例5に示すように密着性が大きく低下してしまった。
さらに、実施例1〜3,7〜9、比較例1〜5のインクについて、光照射後、加熱せずに常温で6時間保存した以外は上述と同様の条件で硬化させ、その結果を調べた。いずれについても、加熱した場合と同等の硬化性能結果を得ることができた。
実施例1から8のインクについてサルモネラ菌(TA100、TA1535、TA98、TA1537株)および大腸菌(WP2 uvrA株)を用いたAMES試験を行なった。その結果、いずれもインクも、AMES試験の結果は陰性であったことから、安全であることが確認された。

Claims (16)

  1. カチオン重合性の有機系分散媒、顔料、および光カチオン重合開始剤を含有し、
    前記有機系分散媒は、炭素数10以上のα−オレフィンエポキシドを5重量%以上20重量%以下の割合で含むことを特徴とするインクジェットインク。
  2. 前記顔料は、前記有機系分散媒に対して2重量%以上40重量%以下の割合で含有されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットインク。
  3. 前記顔料は、平均粒子径300nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットインク。
  4. 前記有機系分散媒は、リモネンジオキサイド、オキセタン環含有化合物、およびビニルエーテル化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットインク。
  5. 前記有機系分散媒は、50重量%以上90重量%以下のオキセタン環含有化合物を含有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  6. 前記オキセタン環含有化合物は、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルであることを特徴とする請求項5に記載のインクジェットインク。
  7. 前記ビニルエーテル化合物は、トリエチレングリコールジビニルエーテルであることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットインク。
  8. 前記ビニルエーテル化合物は、環状骨格を有するビニルエーテル化合物を含むことを特徴とする請求項4に記載のインクジェットインク。
  9. 前記環状骨格を有するビニルエーテル化合物は、シクロヘキサンジメタノールビニルエーテルを含むことを特徴とする請求項8に記載のインクジェットインク。
  10. 前記ビニルエーテル化合物は、ビニルエーテル構造を含む置換基を有する環状エーテル化合物であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットインク。
  11. 前記有機系分散媒は、環状カーボネートまたは環状ラクトンを含有することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  12. 前記環状カーボネートまたは環状ラクトンは、有機系分散媒の3重量%以上15重量%以下の量で含有されることを特徴とする請求項11に記載のインクジェットインク。
  13. 前記有機系分散媒は、エポキシ化植物油をさらに含有することを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  14. 前記光カチオン重合開始剤は、オニウム塩化合物であることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  15. 25℃における粘度が50mPa・sec以下であることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  16. 請求項1ないし15のいずれか1項に記載のインクジェットインクを硬化させてなる硬化物を含むことを特徴とする印刷物。
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