JP2007137330A - ブレーキ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ディスクロータの部分的な硬さの差による偏摩耗を抑制することができるブレーキ制御装置を提供する。
【解決手段】車輪に設けられたディスクロータ54に付与される制動力を制御するブレーキ制御装置10であって、作動流体が供給されてディスクロータ54に摩擦部材を介して制動力を付与するホイールシリンダ20と、摩擦部材が押し付けられるディスクロータ54の表面温度を測定する温度センサ60と、測定した表面温度の分布に基づいて、摩擦部材をディスクロータ54に押し付けるためにホイールシリンダ20に作用するホイールシリンダ圧を制御するECU200と、を備える。
【選択図】図1
【解決手段】車輪に設けられたディスクロータ54に付与される制動力を制御するブレーキ制御装置10であって、作動流体が供給されてディスクロータ54に摩擦部材を介して制動力を付与するホイールシリンダ20と、摩擦部材が押し付けられるディスクロータ54の表面温度を測定する温度センサ60と、測定した表面温度の分布に基づいて、摩擦部材をディスクロータ54に押し付けるためにホイールシリンダ20に作用するホイールシリンダ圧を制御するECU200と、を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両に設けられた車輪に付与される制動力を制御するブレーキ制御装置に関する。
従来、タイヤとともに回転するディスクロータを、油圧によって動くブレーキパッドで両側から挟み込むことで車両の制動を行うディスクブレーキが知られている。ディスクロータを製造する方法としては、鋳物成型空間、堰および湯道を具備した鋳型を用いる方法が特許文献1に開示されている。
特開2004−344944号公報
しかしながら、鋳造でディスクロータを製造する方法では、堰前、堰間における冷却速度をディスクロータの全周にわたり完全に均一にすることは生産性やコストの観点から困難である。そのため、ディスクロータには冷却速度の違いによる材料組織の差がどうしても生じてしまう。このようなディスクロータにブレーキパッドを押し付けるブレーキ操作を繰り返すと、材料組織の差に起因する偏摩耗が生じ、ディスクロータに肉厚の厚い箇所と薄い箇所が周方向に形成される。その結果、制動時にディスクロータにブレーキパッドを均一な力で押し付けると、ディスクロータの肉厚が周方向に不均一なためブレーキ振動が発生する。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ディスクロータの部分的な硬さの差による偏摩耗を抑制することができるブレーキ制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のブレーキ制御装置は、車輪に設けられたディスクロータに付与される制動力を制御するブレーキ制御装置であって、作動流体が供給されてディスクロータに摩擦部材を介して制動力を付与するホイールシリンダと、摩擦部材が押し付けられるディスクロータの表面温度を測定する温度センサと、測定した表面温度の分布に基づいて、摩擦部材をディスクロータに押し付けるために前記ホイールシリンダに作用するホイールシリンダ圧を制御する制御部と、を備える。
この態様によると、ディスクロータに摩擦部材を均一な押圧力で押し付けた場合に偏摩耗するようなディスクロータであっても、部分的な硬さの差をディスクロータ表面の温度分布から推測し、測定した表面温度の分布に基づいてホイールシリンダ圧を制御するので、ディスクロータの部分的な硬さの差による偏摩耗を抑制することができる。
前記制御部は、ディスクロータの表面のうち表面温度が低い位置と摩擦部材との摩擦力が、ディスクロータの表面のうち表面温度が高い位置と摩擦部材との摩擦力より小さくなるように、ホイールシリンダ圧を制御してもよい。
この態様によると、ディスクロータの他の位置より制動時の表面温度が低い位置は、鋳造時の冷却速度の相違により材料組織が他の位置と異なり、硬さが低く摩耗されやすいので、その位置での摩擦力を、ディスクロータの表面のうち表面温度が高い位置と摩擦部材との摩擦力より小さくできる。よって、ディスクロータの部分的な硬さの差による偏摩耗を抑制することができる。
前記制御部は、表面温度が低い位置に対応するディスクロータの回転位相を記憶してもよい。この態様によれば、繰り返し表面温度を測定してホイールシリンダ圧を制御する必要がなくなり、簡便な制御が可能である。なお、記憶するタイミングは、例えば、工場でディスクロータを車両本体に組み込んだ後調整する際や、ディスクロータが消耗し交換した際に実行してもよい。
本発明によれば、ディスクロータの部分的な硬さの差による偏摩耗を抑制することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。はじめに、本発明に好適に用いることができるブレーキ制御装置の概略構成について説明する。
(ブレーキ制御装置の概略構成)
図1は、本実施形態に係るブレーキ制御装置10を示す系統図である。同図に示されるブレーキ制御装置10は、車両用の電子制御式ブレーキシステム(ECB)を構成しており、運転者によるブレーキ操作部材としてのブレーキペダル12の操作に応じて車両の4輪のブレーキを独立かつ最適に設定するものである。ブレーキペダル12は、運転者による踏み込み操作に応じて作動流体(作動液)としてのブレーキオイルを送り出すマスタシリンダ14に接続されている。また、ブレーキペダル12には、その踏み込みストロークを検出するためのストロークセンサ46が設けられている。更に、マスタシリンダ14には、リザーバタンク26が接続されており、マスタシリンダ14の一方の出力ポートには、開閉弁23を介して、運転者によるブレーキペダル12の操作力に応じた反力を創出するストロークシミュレータ24が接続されている。なお、開閉弁23は、非通電時に閉状態にあり、運転者によるブレーキペダル12の操作が検出された際に開状態に切り換えられる常閉型電磁弁である。
図1は、本実施形態に係るブレーキ制御装置10を示す系統図である。同図に示されるブレーキ制御装置10は、車両用の電子制御式ブレーキシステム(ECB)を構成しており、運転者によるブレーキ操作部材としてのブレーキペダル12の操作に応じて車両の4輪のブレーキを独立かつ最適に設定するものである。ブレーキペダル12は、運転者による踏み込み操作に応じて作動流体(作動液)としてのブレーキオイルを送り出すマスタシリンダ14に接続されている。また、ブレーキペダル12には、その踏み込みストロークを検出するためのストロークセンサ46が設けられている。更に、マスタシリンダ14には、リザーバタンク26が接続されており、マスタシリンダ14の一方の出力ポートには、開閉弁23を介して、運転者によるブレーキペダル12の操作力に応じた反力を創出するストロークシミュレータ24が接続されている。なお、開閉弁23は、非通電時に閉状態にあり、運転者によるブレーキペダル12の操作が検出された際に開状態に切り換えられる常閉型電磁弁である。
マスタシリンダ14の一方の出力ポートには、右前輪用のブレーキ油圧制御管16が接続されており、ブレーキ油圧制御管16は、図示されない右前輪に対して制動力を付与する右前輪用のホイールシリンダ20FRに接続されている。また、マスタシリンダ14の他方の出力ポートには、左前輪用のブレーキ油圧制御管18が接続されており、ブレーキ油圧制御管18は、図示されない左前輪に対して制動力を付与する左前輪用のホイールシリンダ20FLに接続されている。右前輪用のブレーキ油圧制御管16の中途には、右電磁開閉弁22FRが設けられており、左前輪用のブレーキ油圧制御管18の中途には、左電磁開閉弁22FLが設けられている。これらの右電磁開閉弁22FRおよび左電磁開閉弁22FLは、何れも、非通電時に開状態にあり、運転者によるブレーキペダル12の操作が検出された際に閉状態に切り換えられる常開型電磁弁である。
また、右前輪用のブレーキ油圧制御管16の中途には、右前輪側のマスタシリンダ圧を検出する右マスタ圧力センサ48FRが設けられており、左前輪用のブレーキ油圧制御管18の途中には、左前輪側のマスタシリンダ圧を検出する左マスタ圧力センサ48FLが設けられている。ブレーキ制御装置10では、運転者によってブレーキペダル12が踏み込まれた際、ストロークセンサ46によりその踏み込み操作量が検出されるが、これらの右マスタ圧力センサ48FRおよび左マスタ圧力センサ48FLによって検出されるマスタシリンダ圧からもブレーキペダル12の踏み込み操作力(踏力)を求めることができる。このように、ストロークセンサ46の故障を想定して、マスタシリンダ圧を2つの右マスタ圧力センサ48FRおよび左マスタ圧力センサ48FLによって監視することは、フェイルセーフの観点からみて好ましい。
一方、リザーバタンク26には、油圧給排管28の一端が接続されており、この油圧給排管28の他端には、モータ32により駆動されるオイルポンプ34の吸込口が接続されている。オイルポンプ34の吐出口は、高圧管30に接続されており、この高圧管30には、アキュムレータ50とリリーフバルブ53とが接続されている。本実施形態では、オイルポンプ34として、モータ32によってそれぞれ往復移動させられる2体以上のピストン(図示せず)を備えた往復動ポンプが採用される。また、アキュムレータ50としては、ブレーキオイルの圧力エネルギを窒素等の封入ガスの圧力エネルギに変換して蓄えるものが採用される。
アキュムレータ50は、オイルポンプ34によって例えば14〜22MPa程度にまで昇圧されたブレーキオイルを蓄える。また、リリーフバルブ53の弁出口は、油圧給排管28に接続されており、アキュムレータ50におけるブレーキオイルの圧力が異常に高まって例えば25MPa程度になると、リリーフバルブ53が開弁し、高圧のブレーキオイルは油圧給排管28へと戻される。更に、高圧管30には、アキュムレータ50の出口圧力、すなわち、アキュムレータ50におけるブレーキオイルの圧力を検出するアキュムレータ圧センサ51が設けられている。
そして、高圧管30は、増圧弁40FR,40FL,40RR,40RLを介して右前輪用のホイールシリンダ20FR、左前輪用のホイールシリンダ20FL、右後輪用のホイールシリンダ20RRおよび左後輪用のホイールシリンダ20RLに接続されている。以下、適宜、ホイールシリンダ20FR〜20RLを総称して「ホイールシリンダ20」といい、適宜、増圧弁40FR〜40RLを総称して「増圧弁40」という。増圧弁40は、何れも、非通電時は閉じた状態にあり、必要に応じてホイールシリンダ20の増圧に利用される常閉型の電磁流量制御弁(リニア弁)である。
なお、図示されない車両の各車輪に対しては、ディスクブレーキユニットが設けられており、各ディスクブレーキユニットは、ホイールシリンダ20に作用するホイールシリンダ圧によって摩擦部材としてのブレーキパッド(不図示)をディスクロータ54(54FR,54FL,54RR,54RL)に押し付けることで制動力を発生する。ディスクロータ54の外周部近傍には、ディスクロータ54の表面温度を周方向に測定可能な温度センサ60(60FR,60FL,60RR,60RL)が配置されている。
また、右前輪用のホイールシリンダ20FRと左前輪用のホイールシリンダ20FLとは、それぞれ減圧弁42FRまたは42FLを介して油圧給排管28に接続されている。減圧弁42FRおよび42FLは、必要に応じてホイールシリンダ20FR,20FLの減圧に利用される常閉型の電磁流量制御弁(リニア弁)である。一方、右後輪用のホイールシリンダ20RRと左後輪用のホイールシリンダ20RLとは、常開型の電磁流量制御弁である減圧弁42RRまたは42RLを介して油圧給排管28に接続されている。以下、適宜、減圧弁42FR〜42RLを総称して「減圧弁42」という。
更に、右前輪用、左前輪用、右後輪用および左後輪用のホイールシリンダ20FR〜20RL付近には、それぞれ対応するホイールシリンダ20に作用するブレーキオイルの圧力であるホイールシリンダ圧を検出するシリンダ圧センサ44FR,44FL,44RRおよび44RLが設けられている。以下、適宜、シリンダ圧センサ44FR〜44RLを総称して「シリンダ圧センサ44」という。
上述の右電磁開閉弁22FRおよび左電磁開閉弁22FL、増圧弁40FR〜40RL、減圧弁42FR〜42RL、オイルポンプ34、アキュムレータ50等は、ブレーキ制御装置10の油圧アクチュエータ80を構成する。そして、かかる油圧アクチュエータ80は、電子制御ユニット(以下「ECU」という)200によって制御される。ECU200は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、入出力インターフェース、メモリ等を備えるものである。
図2は、本実施形態に係るブレーキ制御装置10の制御ブロック図である。ECU200には、図2に示されるように、上述の右電磁開閉弁22FR、左電磁開閉弁22FL、開閉弁23、増圧弁40FR〜40RL、減圧弁42FR〜42RL等が電気的に接続されている。これらの右電磁開閉弁22FR、左電磁開閉弁22FL、開閉弁23、増圧弁40FR〜40RL、および減圧弁42FR〜42RLは、ECU200に構築されたバルブ制御部201によってそれぞれ制御される。
また、ECU200には、シリンダ圧センサ44FR〜44RLから、ホイールシリンダ20FR〜20RLにおけるホイールシリンダ圧を示す信号が与えられる。更に、ECU200には、ストロークセンサ46からブレーキペダル12の踏み込みストロークを示す信号が与えられ、右マスタ圧力センサ48FRおよび左マスタ圧力センサ48FLからマスタシリンダ圧を示す信号が与えられる。本実施形態に係るECU200には、更に、温度センサ60からディスクロータ54の表面温度を示す信号が与えられる。
このように構成されるブレーキ制御装置10では、通常時においてはECU200が次のように各車輪に付与される制動力を算出する。ECU200に構築された要求制動力算出部203は、ブレーキペダル12の踏み込みストロークとマスタシリンダ圧とから車両の目標減速度を算出し、その目標減速度を達成するために必要とされる要求制動力を算出する。次いでECU200に構築された圧力設定部202は、要求制動力に応じた全作動流体圧を算出する。ここで全作動流体圧とは、前輪用のホイールシリンダ20FR、20FLに作用する前輪側ホイールシリンダ圧と後輪用のホイールシリンダ20RR、20RLに作用する後輪側ホイールシリンダ圧との総和に相当するものである。
全作動流体圧に対する前輪側ホイールシリンダ圧と後輪側ホイールシリンダ圧との配分は、予め定められてECU200に記憶されている。前輪側ホイールシリンダ圧および後輪側ホイールシリンダ圧はともに、運転者によるブレーキペダル12の踏力が比較的小さい場合には踏力に比例して増加され、ホイールシリンダ圧が所定の上限値に達した場合には踏力の大きさとは無関係にその上限値に維持される。なお、踏力は、例えば右マスタ圧力センサ48FRおよび左マスタ圧力センサ48FLにより測定されるマスタシリンダ圧から求められる。
前輪側ホイールシリンダ圧の上限値は例えば10.8MPa〜11.3MPaの値とすることができ、本実施形態では例えば10.8MPaとしている。後輪側ホイールシリンダ圧の上限値は例えば4.0MPa〜5.0MPaとすることができ、本実施形態では例えば5.0MPaとしている。なお、このように後輪側の上限値を前輪側の上限値よりも低く設定しているのは、常開型の電磁弁である後輪側の減圧弁42RR,42RLの制動時における連続通電による発熱を抑えるためである。
このような配分に基づいて、圧力設定部202は、各ホイールシリンダの目標圧を設定する。そして、バルブ制御部201によって、各ホイールシリンダ圧が目標圧になるように増圧弁40および減圧弁42への制御電流値が定められ、増圧弁40および減圧弁42が開閉される。
ブレーキペダル12の操作量が増加して要求制動力が増加している間は、増圧弁40が開状態とされるとともに減圧弁42は閉状態とされる。その結果、開状態とされた増圧弁40を介してアキュムレータ50に蓄えられたブレーキオイルがホイールシリンダ20に供給される。このとき、減圧弁42は閉状態とされているので、ホイールシリンダ圧は要求制動力に応じた目標圧を目指して上昇する。逆に、要求制動力が減少している間は、減圧弁42が開状態とされ、ホイールシリンダ20内のブレーキオイルはリザーバタンク26へと戻される。
(ディスクロータの製造方法)
次に、本発明を適用することができるディスクロータの製造方法の一例を図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係るディスクロータを鋳造方法により製造する際の鋳型を模式的に示した上面図である。
次に、本発明を適用することができるディスクロータの製造方法の一例を図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係るディスクロータを鋳造方法により製造する際の鋳型を模式的に示した上面図である。
図3に示すように、鋳型100には、ディスクロータ54の形状に対応した4つのキャビティCが形成されており、各キャビティCにつき4つの堰102が設けられている。それぞれの堰102は、鋳型100内を折れ線状に巡る湯道104を介して湯口106に連結されている。
このような鋳型100に湯口106から溶湯を流し込むと、溶湯は各堰102を経由してキャビティCに流れ込む。その際、堰102に直接連通している部分(以下、堰前108という)と、堰102に直接連通していないその他の部分(以下、堰間110という)との間で溶湯の冷却速度又は凝固速度に差ができることとなる。そのため、製造されたディスクロータ54の堰前108に対応する位置(以下、適宜堰位置という)と堰間110に対応する位置とで材料組織に差が生じ、部分的な硬さの違いによる偏摩耗が生じることとなる。
そこで、本実施形態では、偏摩耗が生じる原因として材料組織の差に注目した。具体的には、材料組織の差に起因して、堰前108と堰間110とで熱拡散率(熱伝導率)が異なる。制動時にディスクロータ54に摩擦部材を押し付ける際に発生する摩擦熱によってディスクロータ54が昇温するが、その際に材料組織に差がある、つまり熱拡散率が部分的に異なることから、ディスクロータ54表面の温度分布は均一とならない。本実施形態では、鋳鉄を材料とするディスクロータを例に説明するが、この場合、熱拡散率の違いから堰位置の方がそれ以外の領域より温度が低く、硬さも低い。そのため、摩擦部材をディスクロータに均一に押し付けると硬さの違いにより偏摩耗を生じる。
本実施形態では、ディスクロータ54の表面を温度センサ60で測定した温度分布から堰位置を判別し、ディスクロータ54の堰位置に摩擦部材を押し付ける力を制御することで、堰位置における偏摩耗を抑制することができる。温度センサ60は、ディスクロータ54の外周部近傍に設けると良い。これは、ブレーキパッドがディスクロータ54の外周部を押圧するため、その位置を測定することで精度の高い制御が可能であるからである。また、鋳造においてディスクロータ54を製造する場合、外周部の方が冷却速度に差が出やすく、結果的に材料組織の差が発生しやすいからである。
図4は、ディスクロータに摩擦部材を均一な押圧力で押し付けた場合に、温度センサによりディスクロータの表面温度を周方向に測定した温度分布を模式的に示したグラフである。図4に示すように、ディスクロータ54の表面温度は周期的に変動しており、周囲より温度が高い高温部TH(TH1〜TH4)と、周囲より温度が低い低温部TL(TL1〜TL4)とが周期的に発生している。本実施形態に係るディスクロータ54は、図3に示すように、堰が4カ所ずつ設けられた鋳型100により作製されているため、高温部TH、低温部TLは共に4カ所ある。また、低温部TL同士の位相差はおおよそ90°となっており、堰位置と対応する。
(堰位置設定および制御方法)
次に、上述したブレーキ制御装置によって、ディスクロータの偏摩耗を解消、あるいは偏摩耗の発生を抑制する制御方法について説明する。
次に、上述したブレーキ制御装置によって、ディスクロータの偏摩耗を解消、あるいは偏摩耗の発生を抑制する制御方法について説明する。
図5は、本実施形態に係るブレーキ制御装置における制御処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、車両の運行中に一定時間毎に繰り返し実行してもよいし、例えば、工場でディスクロータを車両本体に組み込んだ後調整する際や、ディスクロータが消耗し交換した際に実行してもよい。なお、以下の説明では、複数の車輪のうち一つの車輪に設けられているディスクロータについて説明しているが、これを各車輪ごとに行えば、車両全体で最適なブレーキ制御が行われるのはもちろんである。
まず、堰位置が設定されているか否かが判別される(S12)。堰位置が既に設定されている場合(S12のYes)、再度温度分布を測定する必要がないため、後述するステップS24にすすむ。一方、堰位置が設定されていない場合(S12のNo)、車両が制動中か否かを判別する(S14)。車両が制動中でないと判別された場合(S14のNo)、車両が制動中になるまでループする。車両が制動中であると判別された場合(S14のYes)、ディスクロータ54の表面の温度を全周にわたり温度センサ60にて測定し、図4に示すような温度分布を得る(S16)。
測定により作成された温度分布から、周囲より温度が高い高温部TH(TH1〜TH4)と、周囲より温度が低い低温部TL(TL1〜TL4)を抽出する(S18)。そして、複数の高温部TH1〜TH4から最も温度の高い高温部の温度をTHmax、複数の低温部TL(TL1〜TL4)から最も温度の低い低温部の温度をTLminとし、THmaxとTLminとの温度差を所定の閾値aと比較する(S20)。
温度差THmax−TLmin<aの場合(S20のNo)、制動によるディスクロータ54の昇温が大きくなく温度分布に差があまりでていない、あるいは、ディスクロータ54における材料組織の差があまりなく温度分布が均一である、と判別し処理を終了する。
一方、温度差THmax−TLmin≧aの場合(S20のYes)、低温部TL(TL1〜TL4)の位相θ(θ1〜θ4)を圧力設定部202が備える不図示の記憶部に記憶する(S22)。前述のように、圧力設定部202は各ホイールシリンダの目標圧を設定するが、その際、測定した表面温度の分布に基づいて、摩擦部材をディスクロータ54に押し付けるためにホイールシリンダに作用する目標圧を、ディスクロータ54の回転位相で変化するように算出し設定する(S24)。そして、バルブ制御部201は、各ホイールシリンダ圧が目標圧となるように増圧弁40および減圧弁42を制御する(S26)。
以上のように、本実施形態に係るブレーキ制御装置10によれば、ディスクロータ54とディスクパッドとの摩擦力を表面温度の分布に基づいてディスクロータ54の周方向で増減させることができ、偏摩耗を抑制することができる。また、摩擦力を制御することでディスクロータ54表面の周方向への温度分布を制御することができる。
具体的には、圧力設定部202は、記憶部に記憶されている低温部TLの位相θに対応するディスクロータ54の位置がディスクパッドを通過するタイミングでホイールシリンダ圧が小さくなるように、バルブ制御部201を制御する。
換言すれば、圧力設定部202は、ディスクロータ54の表面のうち表面温度が低い低温部TLと摩擦部材との摩擦力を、ディスクロータ54の表面のうち表面温度が高い高温部THと摩擦部材との摩擦力より小さくするために、位相θに対応するディスクロータ54の位置がディスクパッドを通過するタイミングでホイールシリンダ圧が小さくなるように、バルブ制御部201を制御する。これにより、摩耗しやすい低温部TLでの摩擦力を小さくし、ディスクロータ54表面における偏摩耗を抑制することができる。
10 ブレーキ制御装置、 12 ブレーキペダル、 14 マスタシリンダ、 20 ホイールシリンダ、 24 ストロークシミュレータ、 26 リザーバタンク、 28 油圧給排管、 30 高圧管、 32 モータ、 34 オイルポンプ、 40 増圧弁、 42 減圧弁、 44 シリンダ圧センサ、 46 ストロークセンサ、 50 アキュムレータ、 51 アキュムレータ圧センサ、 53 リリーフバルブ、 54 ディスクロータ、 60 温度センサ、 100 鋳型、 102 堰、 104 湯道、 106 湯口、 108 堰前、 110 堰間、 200 ECU、 201 バルブ制御部、 202 圧力設定部。
Claims (3)
- 車輪に設けられたディスクロータに付与される制動力を制御するブレーキ制御装置であって、
作動流体が供給されてディスクロータに摩擦部材を介して制動力を付与するホイールシリンダと、
摩擦部材が押し付けられるディスクロータの表面温度を測定する温度センサと、
測定した表面温度の分布に基づいて、摩擦部材をディスクロータに押し付けるために前記ホイールシリンダに作用するホイールシリンダ圧を制御する制御部と、
を備えるブレーキ制御装置。 - 前記制御部は、ディスクロータの表面のうち表面温度が低い位置と摩擦部材との摩擦力が、ディスクロータの表面のうち表面温度が高い位置と摩擦部材との摩擦力より小さくなるように、ホイールシリンダ圧を制御することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
- 前記制御部は、表面温度が低い位置に対応するディスクロータの回転位相を記憶することを特徴とする請求項2に記載のブレーキ制御装置。
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WO2022131134A1 (ja) * | 2020-12-18 | 2022-06-23 | 日立Astemo株式会社 | ディスクブレーキ、ブレーキキャリパ、ブレーキキャリパの鋳造方法、ブレーキキャリア及びブレーキキャリアの鋳造方法 |
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