JP2009126327A - ストロークシミュレータ及びブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】より実用性の高いストロークシミュレータを提供する。
【解決手段】ストロークシミュレータ24は、内部に磁性流体が封入されているシリンダ60と、シリンダ60の側壁内面に沿って往復動可能に設けられているピストン62と、を備える。ピストン62の外周端部64とシリンダ60の側壁内面との間の少なくとも一部に磁性流体を流通可能とするオリフィス66が画定され、ピストン62のうち少なくともオリフィス66に相当する部分が磁性流体よりも高透磁率である。ストロークシミュレータ24は、磁場発生器68をさらに備え、磁場発生器68はオリフィス66を含んで構成される磁気回路84に磁束を発生させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、ブレーキ操作に対する反力を発生させるためのストロークシミュレータ、及びストロークシミュレータを備えるブレーキ装置に関する。
特許文献1には、シリンダ内に磁性流体が充填されたストロークシミュレータを備える車両用制動制御装置が記載されている。このストロークシミュレータは、運転者によって操作されるブレーキ操作子とマスタシリンダとの間に介装されている。この制動制御装置によれば、異常発生時において磁性流体に磁力を作用させることにより磁性流体の粘度が増加され、ストロークシミュレータのストロークが抑制される。これにより、フェールセーフ時のブレーキ操作力の損失を低減するとされている。
特開2006−117117号公報
結局、上述の制動制御装置は、異常時に磁性流体に磁力を作用させて固くすることによりストロークシミュレータを単なるロッドの如く機能させるというものである。ストロークシミュレータとして本来機能させるべき制動中においては磁性流体は単なる流体として利用されているにすぎない。
そこで、本発明は、作動流体として磁性流体等の機能性流体を用いつつ、より実用性の高いストロークシミュレータ及びこれを用いるブレーキ装置を提供することを目的とする。例えば省エネルギー性、ブレーキフィーリング、またはフェイルセーフ性に優れるストロークシミュレータ及びこれを用いるブレーキ装置が提供される。
本発明のある態様のストロークシミュレータは、ブレーキ操作に対する反力を発生させるためのストロークシミュレータであって、内部に磁性流体が封入されているシリンダ部材と、シリンダ部材の側壁内面に沿って往復動可能に設けられているピストン部材であって、該ピストン部材の外周端部とシリンダ部材の側壁内面との間の少なくとも一部または該ピストン部材において磁性流体を流通可能とするオリフィス部が形成され、ピストン部材のうち少なくともオリフィス部に相当する部分が磁性流体よりも高透磁率であるピストン部材と、オリフィス部を含んで構成される磁気回路に磁束を発生させる磁束発生手段と、を備える。
この態様によれば、ピストン部材のうちオリフィス部を画定する部位が磁性流体よりも高透磁率である。よって、磁束発生手段により磁束を発生させたときに、ピストン部材の当該部位に磁束が比較的集中して流れることになる。その結果、オリフィス部を流通する磁性流体にも磁束が多く流れることになる。よって、オリフィス部において磁性流体の粘度を効率的に増加させることができ、省エネルギー性に優れるストロークシミュレータを実現することができる。例えば電流供給により磁束を発生させる場合には消費電力が低減されたストロークシミュレータを実現することができる。また、発生させる磁束を適切に調整することにより、良好なブレーキフィーリングを得ることも可能である。
磁束発生手段は、オリフィス部を含んで構成される磁気閉回路に磁束を発生させてもよい。
この態様によれば、磁気閉回路が構成されるから、磁気回路外部への磁束の漏れが低減される。よって、オリフィス部を流通する磁性流体により効率的に磁束を流すことができる。
シリンダ部材は、側壁内面のうち少なくともピストン部材の移動範囲に相当する部分が磁性流体よりも高透磁率であってもよい。
この態様によれば、シリンダ部材側壁のうちピストン部材の移動範囲に相当する部分とピストン部材の外周端部とがともに磁性流体よりも高透磁率であるから、ブレーキ操作によりピストン部材が移動されても、継続的にオリフィス部に磁束を集めて流すことができる。また、ピストン部材位置に応じてシリンダ部材側壁における磁路長が変化して磁気回路の磁気抵抗が変化する。よって、磁束発生手段における磁束調整に代替的にまたは補完的にピストン部材位置に応じてオリフィス部における磁束を調整することができ、ひいてはブレーキフィーリングを制御することができる。
磁気回路は、ブレーキ操作量の増加につれて磁気抵抗が減少するように構成されていてもよい。
この態様によれば、ブレーキ操作量の増加につれて磁気回路の磁気抵抗が減少される。回路の磁気抵抗の減少によりオリフィス部の磁性流体を流れる磁束が増大されることになる。つまり、ブレーキ操作量の増加とともに磁性流体の粘度が増大されストロークシミュレータの生成反力も増加することになる。そうすると、ブレーキ操作量が大きく要求減速度が大きいほどブレーキペダル位置が安定することになるから、良好なブレーキフィーリングを得ることができる。
シリンダ部材の側壁内面のうち少なくともピストン部材の移動範囲に相当する部分が、ピストン部材よりも低透磁率とされており、磁気回路は、ブレーキ操作量の増加につれてシリンダ部材における磁路長が減ることにより磁気抵抗が減少してもよい。
この態様によれば、ブレーキ操作量の増加につれて、相対的に透磁率の低いシリンダ部材における磁路長が減るように磁気回路が構成されている。このため、ブレーキ操作量の増加につれて磁気回路の磁気抵抗が減少されオリフィス部の磁性流体を流れる磁束を増加させることができる。
磁束発生手段は、電磁石と、該電磁石に与える電流を制御する電流制御部と、永久磁石とを含んでもよい。
この態様によれば、磁束発生手段として電磁石と永久磁石とが併用される。よって、電磁石への電流供給が停止された場合であっても永久磁石により磁性流体に磁場を作用させることができる。このため、フェイルセーフ性に優れるストロークシミュレータを得ることができる。
永久磁石は、電磁石が磁気回路に発生させる磁束とは逆向きの磁束を磁気回路に発生させるように配置されていてもよい。
この態様によれば、例えば通常の制御中においては電磁石が発生させる磁束によって永久磁石による磁束を打ち消しておくことができる。そうすると、通常時の電磁石による磁束の大きさの制御範囲を広くとることができるから、ブレーキフィーリングを柔軟に制御することができる。それとともに、電源失陥時には永久磁石によりフェイルセーフ性能も確保することができる。
電流制御部は、ブレーキ操作が解除されたときに電磁石に与える電流を低減してもよい。
この態様によれば、ブレーキ操作が解除されたときに電磁石への電流が低減される。好ましくは、電流供給が停止されてもよい。その結果、ブレーキ非操作時の消費電力を抑えることができる。また、電磁石により発生される磁束も低減されることになるため、磁気回路中の永久磁石の磁力への経時的影響を低減することができる。特に永久磁石が電磁石とは逆向きの磁束を発生させる場合においては永久磁石の磁力の経時的減少を抑制することができる。
オリフィス部は、ブレーキ操作量が増加するときの磁性流体の流れ方向に関して上流側に形成される第1オリフィスと、該第1オリフィスよりも下流側に形成され、磁性流体に対して該第1オリフィスよりも大きい流動抵抗を有する第2オリフィスと、を含んでもよい。
この態様によれば、オリフィス部のうち下流側に相対的に流動抵抗の大きい部位を設けることにより、オリフィス部における流動抵抗を効率的に生成ないし調整することができる。
ピストン部材は、第2オリフィスに相当する部位が第1オリフィスに相当する部位よりも低透磁率であってもよい。
この態様によれば、ピストン部材の第2オリフィスに相当する部位が第1オリフィスに相当する部位よりも低透磁率であり、好ましくは第2オリフィスに相当する部位は非磁性材料で形成される。そうすると、磁性流体の粘度増大はオリフィス部の上流側においてなされ、反力生成は流動抵抗が増大されている下流側の第2オリフィスで主としてなされることになる。このように、磁性流体の粘度増大とブレーキ反力生成とをオリフィス部における異なる部位に設計上担わせるようにすることにより、より柔軟にブレーキフィーリングを調整することが可能となる。
シリンダに接続されており、磁性流体を貯留するアキュムレータをさらに備えてもよい。
このようにアキュムレータを備えることにより、例えば温度変化等の環境変化による磁性流体の体積変動または液圧変動の影響を補償することが可能となる。
アキュムレータは、シリンダ部材内部においてピストン部材により仕切られて形成されるシリンダ室のうちブレーキ操作量が増加するときにピストン部材の移動により容積が増加するほうのシリンダ室に接続されていてもよい。
このようにアキュムレータをシリンダ部材に接続することにより、ブレーキ操作中に発生させるべき剛性感を損なうことを避けることができる。
ブレーキ操作量が増加するときには磁性流体の流通を抑制し、ブレーキ操作量が減少するときには磁性流体の流通を許容するチェック弁機構をさらに備えてもよい。
これにより、ブレーキ操作量が減少するとき例えばブレーキ操作が解除されつつあるときのピストン部材の戻り速度を相対的に速めることができる。よって、速やかに初期状態に回復され次回の制動へと備えることができるようになる。
本発明のさらに別の態様は、ブレーキ装置である。この装置は、作動流体として磁性流体を用いて運転者のブレーキ操作に対する反力を発生させるストロークシミュレータと、ブレーキバイワイヤによるブレーキ制御中に磁性流体に磁力を作用させる磁力作用手段と、を備える。
このようにすれば、ブレーキバイワイヤによるブレーキ制御中に運転者に与える反力を適切にまたは柔軟に制御して良好なブレーキフィーリングを実現することが可能となる。
磁力作用手段が発生させる磁力を運転者のブレーキ操作に応じて制御する制御部をさらに備えてもよい。
この態様によれば、ブレーキ操作入力に応じて磁力作用手段への制御指令が制御される。制御部は、好ましくは例えばブレーキ操作入力またはその変化速度が大きくなるにつれて磁性流体に作用させる磁力を大きくするように磁力作用手段を制御してもよい。このようにすれば、ブレーキ操作入力またはその変化速度の増大とともに適切な剛性感を運転者に与えることが可能となる。
ストロークシミュレータは、内部に磁性流体が封入されているシリンダ部材と、シリンダ部材の内部を往復動可能に設けられているピストン部材とを備え、ピストン部材とシリンダ部材との間に磁性流体を流通可能とするオリフィス部が画定されており、ピストン部材のうちオリフィス部に相当する部分とシリンダ部材のうちピストン部材の移動範囲に相当する部分とが磁性流体よりも高透磁率であるよう形成されており、磁力作用手段は、シリンダ部材、オリフィス部、及びピストン部材を含んで構成される磁気回路に磁束を流すことにより磁性流体に磁力を作用させてもよい。
磁力作用手段は電磁石と永久磁石とを備え、該電磁石と該永久磁石とはそれぞれが発生させる磁束を互いに弱め合うように配置されていてもよい。
本発明によれば、実用性に優れるストロークシミュレータ及びこれを用いるブレーキ装置が提供される。
本発明の一実施形態によれば、ストロークシミュレータと、ブレーキバイワイヤによるブレーキ制御中にストロークシミュレータの作動流体の粘度を変化させる粘度制御手段とを備えるブレーキ装置が提供される。例えば、作動流体として磁性流体が充填されたストロークシミュレータに磁力を作用させて磁性流体の粘度を変化させることにより、ストロークシミュレータにより生成される反力が調整される。または作動流体として、外部から与えられる電磁場や光、温度等の物理量を制御することにより粘性が変化する他の機能性流体を用いてもよい。例えば作動流体として電気粘性流体が充填されたストロークシミュレータに電場を印加して粘度を変化させることにより反力を調整することも可能である。
例えば作動流体として磁性流体が用いられている場合には、ストロークシミュレータに付設される磁力作用手段または磁束発生手段が磁性流体に磁力を作用させる。磁性流体に与えられる磁力または磁束は、例えばECU等の制御部が例えば運転者のブレーキ操作入力またはブレーキ操作入力の変化速度に応じて制御する。制御部は、例えばブレーキ操作入力または操作入力の変化速度が大きくなるにつれて作動流体の粘度を増加させるようにしてもよい。このようにすれば、運転者のブレーキ操作に対応させて適切なペダル剛性感を発生させる等、繊細なブレーキフィーリングを実現させることができる。また、磁性流体に与える磁束を制御することにより、例えば温度変化等の環境変化や経時変化等による作動流体の特性変化を補償することも可能である。
特に、例えばブレーキバイワイヤによるブレーキ制御中に作動流体の粘度を調整することにより、より良好なブレーキフィーリングを実現させることが可能となる。ここで、ブレーキバイワイヤによる制御とは、運転者による機械的な操作入力を例えば電気信号等の制御信号に変換し、該信号を利用して制動力を制御することである。運転者による操作入力とは独立にブレーキ液圧を制御し得る液圧制御系統を備えることによりブレーキバイワイヤによる制御が行われる。通常は、フェイルセーフの観点から、運転者の操作入力を機械的に直接伝達してブレーキ液圧を生じさせるブレーキ系統が当該液圧制御系統に並列にバックアップ用に設けられる。
また本発明の一実施形態によれば、シリンダ部材とピストン部材とを備えるストロークシミュレータが提供される。シリンダ部材には、内部に磁性流体等の作動流体が封入されている。ピストン部材はシリンダ部材の側壁内面に沿って往復動可能に設けられる。ピストン部材とシリンダ部材との間には作動流体を流通可能とするオリフィス部が形成されてもよい。ピストン部材に作動流体を流通可能とするオリフィス部が形成されてもよい。
磁束発生手段は、シリンダ部材、オリフィス部、及びピストン部材を含んで構成される磁気回路に磁束を発生させる。この磁気回路においては、シリンダ部材の側壁からオリフィス部を介してピストン部材へと磁束が流れ、最終的に再度シリンダ部材へと磁束が還流する磁気閉回路であってもよい。もちろん逆に、ピストン部材からオリフィス部を介してシリンダ部材の側壁に磁束が流れる磁気回路であってもよい。また、磁束発生手段は、ピストン部材に形成されているオリフィス部を含んで構成される磁気回路に磁束を発生させてもよい。
ピストン部材のうちオリフィス部を画定する部位、例えばピストン部材外周端部のオリフィス部に相当する部分が磁性流体よりも高い透磁率を有するようにピストン部材が形成されていてもよい。また、シリンダ部材の側壁のうち少なくともピストン部材の移動範囲に相当する部分が磁性流体よりも高い透磁率を有するようにシリンダ部材が形成されていてもよい。そうすると、透磁率の高い部位を磁束が流れることにより、結果としてオリフィス部に磁束を効率的に集めることができる。よって、オリフィス部において磁性流体の粘度を効率的に増加させることができる。
また本発明の一実施形態によれば、作動流体として磁性流体が用いられるストロークシミュレータであって、該磁性流体に磁場を作用させる磁束発生手段を備えるストロークシミュレータが提供される。磁束発生手段は電磁石と永久磁石とを備えてもよい。永久磁石を併用することにより、例えば電源の故障などにより電磁石への電流供給が停止された場合であっても永久磁石により磁性流体に継続して磁束をかけることができる。よって、フェイルセーフ性に優れるストロークシミュレータを提供することができる。電磁石と永久磁石とはそれぞれが発生させる磁束を互いに弱め合うように配置されていてもよい。特に、電磁石がオリフィス部に発生させる磁束と永久磁石がオリフィス部に発生させる磁束とが逆向きになるように電磁石及び永久磁石が配置されていてもよい。これにより、通常の制動制御中は永久磁石の影響を抑えつつ電磁石で磁性流体の粘度を制御することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る一実施形態についてさらに詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るブレーキ制御装置10を示す系統図である。同図に示されるブレーキ制御装置10は、車両用の電子制御式ブレーキシステムを構成しており、運転者によるブレーキ操作部材としてのブレーキペダル12への操作に応じて車両の4輪のブレーキを独立かつ最適に設定するものである。また、本実施形態に係るブレーキ制御装置10が搭載された車両は、4つの車輪のうちの操舵輪を操舵する図示されない操舵装置や、これら4つの車輪のうちの駆動輪を駆動する図示されない内燃機関やモータ等の走行駆動源等を備えるものである。
本実施形態に係るブレーキ制御装置10は、例えば、走行駆動源として電動モータと内燃機関とを備えるハイブリッド車両に搭載される。このようなハイブリッド車両においては、車両の運動エネルギを電気エネルギに回生することによって車両を制動する回生制動と、ブレーキ制御装置10による液圧制動とのそれぞれを車両の制動に用いることができる。本実施形態における車両は、これらの回生制動と液圧制動とを併用して所望の制動力を発生させるブレーキ回生協調制御を実行することができる。
制動力付与機構としてのディスクブレーキユニット21FR,21FL、21RRおよび21RLは、車両の右前輪、左前輪、右後輪、および左後輪のそれぞれに制動力を付与する。各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLは、それぞれブレーキディスク22とブレーキキャリパに内蔵されたホイールシリンダ20FR〜20RLを含む。そして、各ホイールシリンダ20FR〜20RLは、それぞれ異なる流体通路を介してブレーキアクチュエータ80に接続されている。なお以下では適宜、ホイールシリンダ20FR〜20RLを総称して「ホイールシリンダ20」という。
ブレーキ制御装置10においては後述の右マスタカット弁27FRおよび左マスタカット弁27FL、増圧弁40FR〜40RL、減圧弁42FR〜42RL、オイルポンプ34、アキュムレータ50等を含んでブレーキアクチュエータ80が構成されている。ホイールシリンダ20にブレーキアクチュエータ80からブレーキフルードが供給されると、車輪と共に回転するブレーキディスク22に摩擦部材としてのブレーキパッドが押し付けられる。これにより、各車輪に制動力が付与される。
なお、本実施形態においてはディスクブレーキユニット21FR〜21RLを用いているが、例えばドラムブレーキ等のホイールシリンダ20を含む他の制動力付与機構を用いてもよい。あるいは、流体力により摩擦部材の押圧力を制御するのではなく、例えば電動モータ等の電動の駆動機構を用いて摩擦部材の車輪への押圧力を制御する制動力付与機構を用いることもできる。
ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル12は、ストロークシミュレータ24を介してマスタシリンダ14に接続されている。ブレーキペダル12には、その踏み込みストロークを検出するためのストロークセンサ46が設けられている。ストロークシミュレータ24は、運転者によるブレーキペダル12の操作力に応じた反力を創出する。本実施形態においては、図2等を参照して後述するように、ストロークシミュレータ24には作動流体として磁性流体が封入されいる。ストロークシミュレータ24に付随して設けられている磁場発生器が発生させる磁場の作用により磁性流体の粘度を調整することができる。
なお、ストロークシミュレータ24はマスタシリンダ14の一方の出力ポートに接続されて設けられていてもよい。この場合、ストロークシミュレータ24はシミュレータカット弁を介してマスタシリンダ14に接続されてもよいし、シミュレータカット弁を介することなくマスタシリンダ14に直接接続されていてもよい。
マスタシリンダ14の一方の出力ポートにはさらに右前輪用のブレーキ油圧制御管16が接続されており、ブレーキ油圧制御管16は、図示されない右前輪に対して制動力を付与する右前輪用のホイールシリンダ20FRに接続されている。また、マスタシリンダ14の他方の出力ポートには、左前輪用のブレーキ油圧制御管18が接続されており、ブレーキ油圧制御管18は、図示されない左前輪に対して制動力を付与する左前輪用のホイールシリンダ20FLに接続されている。
右前輪用のブレーキ油圧制御管16の中途には、右マスタカット弁27FRが設けられており、左前輪用のブレーキ油圧制御管18の中途には、左マスタカット弁27FLが設けられている。なお、以下では適宜、右マスタカット弁27FRおよび左マスタカット弁27FLを総称して、マスタカット弁27という。
マスタカット弁27は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により閉弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされたマスタカット弁27は、マスタシリンダ14と前輪側のホイールシリンダ20FR及び20FLとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに規定の制御電流が通電されてマスタカット弁27が閉弁されるとブレーキフルードの流通は遮断される。
また、右前輪用のブレーキ油圧制御管16の中途には、右前輪側のマスタシリンダ圧を検出する右マスタ圧力センサ48FRが設けられており、左前輪用のブレーキ油圧制御管18の途中には、左前輪側のマスタシリンダ圧を計測する左マスタ圧力センサ48FLが設けられている。ブレーキ制御装置10では、運転者によってブレーキペダル12が踏み込まれた際、ストロークセンサ46によりその踏み込み操作量が検出されるが、これらの右マスタ圧力センサ48FRおよび左マスタ圧力センサ48FLによって検出されるマスタシリンダ圧からもブレーキペダル12の踏み込み操作力(踏力)を求めることができる。このように、ストロークセンサ46の故障を想定して、マスタシリンダ圧を2つの圧力センサ48FRおよび48FLによって監視することは、フェイルセーフの観点からみて好ましい。なお、以下では適宜、右マスタ圧力センサ48FRおよび左マスタ圧力センサ48FLを総称して、マスタシリンダ圧センサ48という。
また、マスタシリンダ14には、ブレーキフルードを貯留するためのリザーバタンク26が接続されている。リザーバタンク26には、油圧給排管28の一端が接続されており、この油圧給排管28の他端には、モータ32により駆動されるオイルポンプ34の吸込口が接続されている。オイルポンプ34の吐出口は、高圧管30に接続されており、この高圧管30には、アキュムレータ50とリリーフバルブ53とが接続されている。本実施形態では、オイルポンプ34として、モータ32によってそれぞれ往復移動させられる2体以上のピストン(図示せず)を備えた往復動ポンプが採用される。また、アキュムレータ50としては、ブレーキフルードの圧力エネルギを窒素等の封入ガスの圧力エネルギに変換して蓄えるものが採用される。なお、モータ32、オイルポンプ34、及びアキュムレータ50は、ブレーキアクチュエータ80とは別体のパワーサプライユニットとして構成されてブレーキアクチュエータ80の外部に設けられていてもよい。
アキュムレータ50は、オイルポンプ34によって例えば14〜22MPa程度にまで昇圧されたブレーキフルードを蓄える。また、リリーフバルブ53の弁出口は、油圧給排管28に接続されており、アキュムレータ50におけるブレーキフルードの圧力が異常に高まって例えば25MPa程度になると、リリーフバルブ53が開弁し、高圧のブレーキフルードは油圧給排管28へと戻される。更に、高圧管30には、アキュムレータ50の出口圧力、すなわち、アキュムレータ50におけるブレーキフルードの圧力を検出するアキュムレータ圧センサ51が設けられている。
そして、高圧管30は、増圧弁40FR,40FL,40RR,40RLを介して右前輪用のホイールシリンダ20FR、左前輪用のホイールシリンダ20FL、右後輪用のホイールシリンダ20RRおよび左後輪用のホイールシリンダ20RLに接続されている。以下適宜、増圧弁40FR〜40RLを総称して「増圧弁40」という。増圧弁40は、リニアソレノイドおよびスプリングを有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型の電磁流量制御弁(リニア弁)である。増圧弁40は、上流側のアキュムレータ圧と下流側のホイールシリンダ圧との差圧が当該弁を開弁させようとする力として作用するように設置されている。増圧弁40は、それぞれのソレノイドに供給される電流に比例して弁の開度が調整される。増圧弁40を通じて上流圧すなわちアキュムレータ圧が供給されホイールシリンダ20は増圧される。
また、右前輪用のホイールシリンダ20FRと左前輪用のホイールシリンダ20FLとは、それぞれ前輪側の減圧弁42FRまたは42FLを介して油圧給排管28に接続されている。減圧弁42FRおよび42FLは、必要に応じてホイールシリンダ20FR,20FLの減圧に利用される常閉型の電磁流量制御弁(リニア弁)である。減圧弁42FRおよび42FLは、それぞれリニアソレノイドおよびスプリングを有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされ、それぞれのソレノイドに供給される電流に比例して弁の開度が調整される。減圧弁42FRおよび42FLは、上流側のホイールシリンダ圧と下流側のリザーバ圧(大気圧)との差圧が当該弁を開弁させようとする力として作用するように設置されている。
一方、右後輪用のホイールシリンダ20RRと左後輪用のホイールシリンダ20RLとは、常開型の電磁流量制御弁である減圧弁42RRまたは42RLを介して油圧給排管28に接続されている。後輪側の減圧弁42RRまたは42RLは、それぞれリニアソレノイドおよびスプリングを有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に開とされ、それぞれのソレノイドに供給される電流に比例して弁の開度が調整される。また、電流の大きさがホイールシリンダ圧に応じて定まる所定の電流値を超えた場合には閉弁される。減圧弁42RRおよび42RLは、上流側のホイールシリンダ圧と下流側のリザーバ圧(大気圧)との差圧が当該弁を開弁させようとする力として作用するように設置されている。以下、適宜、減圧弁42FR〜42RLを総称して「減圧弁42」という。
また、右前輪用、左前輪用、右後輪用および左後輪用のホイールシリンダ20FR〜20RL付近には、それぞれ対応するホイールシリンダ20に作用するブレーキフルードの圧力であるホイールシリンダ圧を検出するホイールシリンダ圧センサ44FR,44FL,44RRおよび44RLが設けられている。以下、適宜、ホイールシリンダ圧センサ44FR〜44RLを総称して「ホイールシリンダ圧センサ44」という。
ブレーキアクチュエータ80は、本実施形態における制御部としての電子制御ユニット(以下「ECU」という)200によって制御される。ECU200は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、入出力インターフェース、メモリ等を備えるものである。
上述のように構成されたブレーキ制御装置10は、ブレーキ回生協調制御を実行することができる。ブレーキ制御装置10は制動要求を受けて制動を開始する。制動要求は、例えば運転者がブレーキペダル12を操作した場合など、車両に制動力を付与すべきときに生起される。制動要求を受けてECU200はブレーキペダル12の踏み込みストロークとマスタシリンダ圧とから目標減速度すなわち要求制動力を演算する。ECU200は、要求制動力から回生による制動力を減じることによりブレーキ制御装置10により発生させるべき制動力である要求液圧制動力を算出する。ここで、回生による制動力は、上位のハイブリッドECU(図示せず)からブレーキ制御装置10に供給される。そして、ECU200は、算出した要求液圧制動力に基づいて各ホイールシリンダ20FR〜20RLの目標液圧を算出する。ECU200は、ホイールシリンダ圧が目標液圧となるように、フィードバック制御則により増圧弁40や減圧弁42に供給する制御電流の値を決定する。ECU200は、目標減速度及び目標液圧の演算と制御弁の制御とを制動中に所定周期で繰り返し実行する。
その結果、ブレーキ制御装置10においては、ブレーキフルードがアキュムレータ50から増圧弁40を介して各ホイールシリンダ20に供給され、車輪に所望の制動力が付与される。また、各ホイールシリンダ20からブレーキフルードが減圧弁42を介して必要に応じて排出され、車輪に付与される制動力が調整される。このようにしていわゆるブレーキバイワイヤ方式の制動力制御が行われる。
なお、このようなブレーキバイワイヤによるブレーキ制御は回生制動力の有無にかかわらず実行可能である。回生協調制御を実行しない場合等の回生制動力を利用しない場合には、液圧制動力が目標制動力に追従するようにホイールシリンダ圧が制御される。
一方、このとき右マスタカット弁27FRおよび左マスタカット弁27FLは通常は閉状態とされる。ブレーキ回生協調制御中であれば、マスタカット弁27の上下流間には回生制動力の大きさに対応する差圧が作用する。運転者によるブレーキペダル12のストロークはストロークシミュレータ24により吸収されるとともに適切なペダル反力が生成される。
図2は、本実施形態に係るストロークシミュレータ24の内部構造を模式的に示す図である。図2はストロークシミュレータ24の中心軸を含む断面を模式的に示す図である。ストロークシミュレータ24は、シリンダ60及びピストン62を含んで構成されている。ストロークシミュレータ24は、一方がブレーキペダル12の入力ロッド13に連結されており、他方がマスタシリンダ14のプッシュロッド15に連結されている。ブレーキペダル12の入力ロッド13及びマスタシリンダ14のプッシュロッド15は、シリンダ60及びピストン62と同軸上に設けられている。
なお、ストロークシミュレータ24がマスタシリンダ14の下流に設けられる場合には、ピストン62にマスタシリンダ圧が作用するように構成すればよい。例えば、マスタシリンダ14とマスタカット弁とを接続する流路に設けられた分岐流路の末端にマスタシリンダ圧を受けるピストン部材を設け、このピストン部材から延びる出力軸を上述の入力ロッド13に代えてストロークシミュレータ24に連結してもよい。
シリンダ60は内部空間を有する例えば円筒状の部材であり、その内部空間にストロークシミュレータ24の作動流体としての磁性流体が液密に収容されている。シリンダ60の内部空間はピストン62により2つのシリンダ室すなわちペダル側シリンダ室70及びマスタシリンダ側シリンダ室72に仕切られている。シリンダ60は、円筒状のシリンダ側壁74と、シリンダ側壁74の両端を閉塞する円板状のペダル側端部76及びマスタシリンダ側端部78とを含んで構成されている。
シリンダ60には磁性流体を貯留するアキュムレータ92が接続されている。アキュムレータ92をシリンダ60に接続することにより、例えば温度変化等による磁性流体の体積変動または液圧変動を吸収してその影響を軽減することができる。アキュムレータ92は、2つのシリンダ室のうちペダル側シリンダ室70に接続されている。仮にペダル踏込時に液が圧縮されるほうのシリンダ室であるマスタシリンダ側シリンダ室72にアキュムレータ92を接続した場合には、ペダル踏込時の加圧がアキュムレータ92により相当程度吸収されることとなってペダル剛性感を創出させにくくなる。よって、ペダル側シリンダ室70に連通させることにより、ペダル踏込時にペダル剛性感が創出されにくくなるのを防ぐことができる。
ピストン62はシリンダ60の内部にシリンダ60と同軸に配置されており、シリンダ60の側壁の内面に沿ってシリンダ60の内部を直線的に移動可能に設けられている。シリンダ60とピストン62との間には、ピストン62が往復動する際にシリンダ室間を磁性流体が流通するための経路としてオリフィス66が形成されている。オリフィス66は、シリンダ60の側壁内面とピストン62の外周部の端面64とにより画定されており、シリンダ60の側壁内面とピストン62の外周端面64とに挟まれる同心円筒状の空隙である。
シリンダ60のマスタシリンダ側シリンダ室72には戻し弾性部材82が収容されている。戻し弾性部材82は一端がピストン62に接続され、他端がシリンダ60のマスタシリンダ側端部78に接続されている。戻し弾性部材82は、ブレーキ操作がなされていない状態においてピストン62をシリンダ60内部における初期位置に付勢する。なお、ブレーキ操作解除時にこの付勢力に対抗してピストン62を初期位置に保持するために、初期位置においてピストン62に接触して係止する係止部をシリンダ側壁74に設けてもよい。
ブレーキペダル12から延びる入力ロッド13は、シリンダ60のペダル側端部76の中心部を貫通する挿入口を通じてペダル側シリンダ室70へと挿入されピストン62に取り付けられている。ペダル側端部76の挿入口においては、ストロークシミュレータ24の作動流体が外部に漏れ出さないように、ペダル側端部76に対して入力ロッド13が液密状態を保ちつつ軸方向に摺動自在となるよう適切なシール構造が採用されている。また、マスタシリンダ14のプッシュロッド15は、シリンダ60のマスタシリンダ側端部78に一端が取り付けられている。なお逆に、プッシュロッド15がシリンダ60内部に挿入されてピストン62に取り付けられるとともに、入力ロッド13がシリンダ60の外表面に取り付けられるようにすることも可能である。
本実施形態においては、磁場発生器68がストロークシミュレータ24に付随して設けられている。磁場発生器68は少なくともオリフィス66を流通する磁性流体に磁場を作用させるように設けられており、ストロークシミュレータ24と一体的に設けられていてもよいし、あるいはストロークシミュレータ24とは別体に設けられていてもよい。
磁場発生器68は、外部からの電流供給により磁場を発生させる電磁石またはコイル86と、永久磁石88とを含む。コイル86はストロークシミュレータ24の中央部を包囲するよう配置されている。具体的には、コイル86はシリンダ60の中央部においてシリンダ側壁74の外表面に接触してシリンダ60を包囲するように設けられている。コイル86のシリンダ60との接触面以外の面はコイルカバー90により覆われている。コイルカバー90の一部に永久磁石88が取り付けられている。
磁場発生器68は磁気回路84に磁束を与える起磁力を有する。磁気回路84はオリフィス66を含んで構成されており、本実施形態においては磁気回路84はシリンダ側壁74の一部とオリフィス66とピストン62とを含んで構成される磁気閉回路である。
ピストン62及び入力ロッド13は、ストロークシミュレータ24の作動流体である磁性流体よりも透磁率が高い材料で形成されている。ピストン62及び入力ロッド13は、使用される磁性流体よりも高透磁率である例えば鉄等の磁性材料で形成されている。なおピストン62と入力ロッド13とは同じ材料で形成されていてもよいし、異なる材料で形成されていてもよい。ピストン62と入力ロッド13とは透磁率が等しい材料で形成されていてもよいし、透磁率が異なる材料で形成されていてもよい。なお、ピストン62及び入力ロッド13とはブレーキ操作に応じて一体的に進退するという意味で、以下では両者を合わせてピストン部材と称することがある。
また、ピストン部材の全体を均質に形成しなくてもよく、例えばピストン62または入力ロッド13の表面に磁性流体よりも高透磁率である材料層を形成してもよい。このようにすれば、成膜処理等の適当な表面処理により高透磁率層を形成することも可能である。また、高透磁率層の磁気特性及び厚さや基材の磁気特性等を変えることにより、部材の磁気特性を調整することも可能となる。
本実施形態ではピストン62の外周端部64の全周にわたってオリフィス66が設けられているので、オリフィス66に対応させてピストン62のうち少なくとも外周端部64全体を含む部位を磁性流体よりも高透磁率にすることが好ましい。しかし、オリフィス66に対応する部位全体を高透磁率とすることは必須ではなく、例えばピストン62の外周端部64の一部を高透磁率にすることも可能である。
また本実施形態においては、シリンダ60は、磁気特性の異なる複数の部位から構成されている。シリンダ60のうち少なくとも磁気回路84を構成する部位が、磁性流体よりも透磁率が高い材料で形成される。磁気回路84がシリンダ60の異なる部位に互いに異なる向きの磁束を流す場合には、当該異なる部位の間に、磁性流体よりも透磁率が低い材料好ましくは例えばステンレスやアルミニウム合金等の非磁性材料を介在させる。そうすると、磁気回路84が当該異なる部位間で短絡してオリフィス66及びピストン62へと流れる磁束が低減されるのを防ぐことができる。
また、シリンダ側壁74のうち少なくともピストン62の移動範囲に相当する部位が、磁性流体よりも透磁率が高い材料で形成される。シリンダ側壁74のうちピストン62の移動範囲に相当する部位は、ピストン62及び入力ロッド13よりも透磁率が低い材料で形成されてもよい。また、シリンダ側壁74のうちピストン62の移動範囲に相当する部位は、ピストン62の移動範囲外に相当する部位よりも透磁率が高い材料で形成されてもよい。シリンダ60のうち磁気回路84を構成する部位にもピストン62の移動範囲に相当する部位にも該当しない部位は、磁性流体よりも透磁率が低い材料、好ましくは非磁性材料により形成されてもよい。
シリンダ側壁74は、ペダル側から順に(図2において右から順に)、第1側壁部94、第2側壁部96、第3側壁部98、及び第4側壁部100の4つの部位から構成されている。各側壁部はいずれも共通の外形及び内径を有しており、肉厚も等しい。第3側壁部98がピストン62の移動範囲に対応している。つまり、ピストン62はブレーキ操作がなされていない初期状態では第3側壁部98のペダル側端部に当たる軸方向位置を初期位置とし、ブレーキ操作により最大で第3側壁部98の他端まで移動する。第1側壁部94の外側端部がペダル側端部76により閉塞されており、第4側壁部100の外側端部がマスタシリンダ側端部78により閉塞されている。各側壁部、ペダル側端部76、及びマスタシリンダ側端部78は、いずれも内部の磁性流体が漏れ出さないように例えば溶接等の適当な手法で液密に接合されている。
ペダル側端部76及び第1側壁部94は磁性流体よりも透磁率が高い材料で形成される。第2側壁部96は非磁性材料で形成される。第3側壁部は98は磁性流体よりも透磁率が高い材料で形成される。第4側壁部100及びマスタシリンダ側端部78は非磁性材料で形成される。なお図2においては、わかりやすくするために非磁性材料で形成されている部位を斜線により示している。なお、ピストン62及び入力ロッド13と同様に、第1側壁部94及び第3側壁部98等の全体を均質に形成しなくてもよく、例えば表面に所望の透磁率である材料層を形成して所望の磁気特性を得るようにしてもよい。
また、磁場発生器68のコイルカバー90は、磁性流体よりも透磁率が高い材料で形成される。コイルカバー90とシリンダ側壁74とのペダル側の接合部102は、第1側壁部94のマスタシリンダ側端部に形成されている。コイルカバーとシリンダ側壁74とのマスタシリンダ側の接合部104は、第3側壁部98のマスタシリンダ側端部に形成されている。
このようにして、図2において矢印で示されるように、磁気回路84が構成される。磁気回路84は、第3側壁部98、オリフィス66の磁性流体、ピストン62、入力ロッド13、シリンダ60のペダル側端部76、第1側壁部94、及びコイルカバー90により構成される磁気閉回路であり、この順に各部材を磁束が流れる。磁気閉回路を形成することにより、外部に漏れる磁束を抑制しつつ、磁気回路を横切って流れる磁性流体に効率的に磁束を与えることができる。磁束の流れる方向はコイル86に流す電流の向きによって決まるものであり、図2に示される向きとは逆向きであってもよい。なお、図2においては見やすくするために磁気回路84を中心軸よりも上の部分のみに代表的に示しているが、中心軸よりも下の部分にも同様に磁束が流れることになる。
磁場発生器68の永久磁石88は、発生させる磁束がコイル86の発生させる磁束と互いに弱め合うように配置される。好ましくは、永久磁石88及びコイル86が磁気回路84に発生させる磁束がそれぞれ逆向きとなって互いに打ち消し合うように配置される。本実施形態では、永久磁石88はコイルカバー90において磁気回路84上に配置され、かつコイル86が発生させる磁束の向きとは逆向きの極性を有するよう配置される。永久磁石88は、コイルカバー90の全周にわたって配置されてもよいし、あるいは例えば軸対称に離散的に等間隔に配置されてもよい。コイル86への電流供給がない状態において磁性流体に与えるべき磁束の大きさによって永久磁石88の配置及び磁気特性を適宜定めればよい。
このように永久磁石88を備えることにより、たとえコイル86への電流供給系に異常等が生じたとしても永久磁石88により代替的に継続して磁性流体に磁束を与えることができる。特に、ブレーキバイワイヤ制御のための液圧制御系統にも異常が生じた場合のフェイルセーフ性能が向上される。液圧制御系統の異常時にはバックアップ用のブレーキモードで制動されるので、ストロークシミュレータ24に吸収されるストロークを抑制して運転者によるペダル操作を極力完全にマスタシリンダに伝えることが要求される。吸収されるストロークを抑制する一手法は磁性流体の粘度を高めることである。よって本実施形態によれば、ブレーキバイワイヤ制御のための液圧制御系統及びコイル86への電流供給系の両方に異常が生じたとしても、永久磁石88により磁性流体に磁束を与えてストロークシミュレータ24に吸収されるストロークを抑制し、バックアップ用ブレーキモードでの制動力を確保することができる。
また、永久磁石88とコイル86との磁束を互いに逆向きにすることにより、フェイルセーフ性の向上に加えて通常制御中の制御性の向上も図ることができる。永久磁石88及びコイル86の磁束が同じ向きである場合には、少なくとも永久磁石88の磁束が磁性流体に作用することになりコイル86でさらに磁束を付加することしかできない。しかし、両者の磁束を逆向きにすれば磁束が互いに打ち消されることにより、より小さな磁束を磁性流体に与えることも可能であるし、さらにコイル86への電流を大きくすれば大きな磁束を与えることも可能である。これにより、磁性流体の粘度の調整可能範囲を大きくすることができる。なお、磁性流体の粘度は磁束の向きとは無関係に磁束の大きさによって決まるので、永久磁石88とコイル86との磁束の向きの違いによる粘度への影響は特にない。
なお、シリンダ60は全体が均一の磁気特性を有していてもよい。例えば、シリンダ60のうち磁気回路84に含まれる部分がピストン62の移動範囲に相当する部位に限られる場合には、シリンダ60全体を磁性流体よりも高透磁率の材料で均一に形成してもよい。この場合、入力ロッド13からの磁束の還流は、例えば入力ロッド13にコイルカバー90を接続して入力ロッド13からシリンダ60を介することなく直接コイルカバー90へと磁束を流すように磁気回路84を構成することにより実現してもよい。
図3は、本実施形態に係る制動制御処理の一例を説明するためのフローチャートである。図3に示される処理はECU200により所定周期で繰り返し実行される。処理が開始されると、まずECU200は、制動中であるか否かを判定する(S10)。この判定は例えばストロークセンサ46の検出値に基づいて行う。ECU200は、ペダルストロークが所定閾値(例えばゼロ)を超える場合には制動中であると判定し、該閾値以下である場合(例えばストロークがゼロである場合)には制動中ではないと判定する。
制動中であると判定された場合には(S10のYes)、ECU200は、ストロークシミュレータ24の使用が許可されている状態であるか否かを判定する(S12)。例えば、ブレーキバイワイヤによる制動制御を正常に行うことができる状態においてはストロークシミュレータ24の使用が許可される。バックアップ用のブレーキモードで制動力を発生させている場合にはストロークシミュレータ24の使用は許可されない。
ストロークシミュレータ24の使用が許可されている場合には(S12のYes)、ECU200は、コイル86に供給される電流を制御する(S14)。この電流の大きさは、例えばストローク量またはストローク速度に基づいて定められる。例えば、ストローク量またはストローク速度が大きいほどコイル86に大きな電流が供給されるようにしてもよい。この場合、ECU200は、ストローク量またはストローク速度とコイル86への供給電流との関係を表すマップを使用してもよい。このマップは例えば予め準備されてECU200に記憶されている。このようにすれば、運転者のペダル踏み込みが大きい場合や運転者がペダルを速踏みした場合のストロークシミュレータ反力を大きくすることができるので、安定したペダルフィーリングを実現できる。このようにいわゆるバイワイヤ制御中に電流を適宜制御することにより反力を自在に制御して、より繊細なブレーキフィーリングを生み出すことができる。
一方、制動外である判定された場合(S10のNo)、及びストロークシミュレータ24の使用が許可されていない場合(S12のNo)には、ECU200は、コイル86への電流供給を停止する(S16)。これにより、制動の有無にかかわらず電流供給を継続する場合に比べて消費電力の低減を図ることができる。また、本実施形態ではコイル86により永久磁石88に逆向きの磁束が与えられているが、不要時に電流供給を停止することにより永久磁石88の磁力が経時的に低減していくのを抑えることができる。またこの場合、ECU200は、磁性流体の粘度が所定の粘度初期値となるような大きさの供給電流へと低減するようにしてもよい。この所定の粘度初期値は、例えば磁性流体に磁場が作用していないときの粘度である。これは、永久磁石88の磁束をコイル86でちょうど打ち消すように電流を供給すれば実現し得る。
なお、ストロークシミュレータ24の使用が許可されていない場合において、バックアップ用ブレーキモードである場合には、ECU200は、電流供給を停止するのではなく、逆に最大電流を与えるようにしてもよい。そうすれば、ストロークシミュレータ24におけるストローク吸収が低減され、より多くの制動力を確保することができる。
また、後述するが、例えば磁気回路84の構成を工夫することによってもオリフィス66で磁性流体に与える磁束をストロークに応じて変化させることができる。このような場合にはコイル86に与える電流は一定の大きさであってもよい。
図4は、ブレーキ操作がなされてピストン62が初期位置から移動したときのストロークシミュレータ24を示す図である。図4においては、ピストン62は初期位置から距離Dだけマスタシリンダ14側に移動した状態が示されている。
上述のように通常のブレーキ制御中はコイル86に電流が供給されて磁気回路84に磁束が与えられる。磁気回路84は閉回路であるから外部に漏れる磁束は少ない。よって、シリンダ側壁74とピストン62とにより画定されるオリフィス66においてのみ基本的に磁性流体に磁束が与えられる。また、シリンダ側壁74のうちピストン62の移動ストロークに相当する部分すなわち第3側壁部98は、ピストン62と同様に磁性流体よりも高透磁率とされている。よって、ピストン62が可動範囲内で移動する間、継続してオリフィス66に磁束を集めておくことができる。このようにして、磁性流体の流路であるオリフィス66において効率的に磁性流体の粘度を増加させることができる。したがって、本実施形態によれば、磁性流体を利用しつつ消費電力が小さく省エネルギー性に優れるストロークシミュレータを提供することができる。
なおここで、ピストン62の初期位置からの移動量増加につれて磁気回路84の磁気抵抗が減少するように磁気回路84を構成してもよい。そうすると、ストロークの増加につれてオリフィスを通る磁束が増加され磁性流体の粘度も増加される。その結果、ストローク増につれて反力を大きくしてペダル剛性感を増すことができる。ブレーキ操作量が大きく要求減速度が大きいほどブレーキペダル位置が安定することになり、良好なブレーキフィーリングを得ることができる。
そのためにブレーキ操作時に互いに相対移動する部材の一方と他方とで磁気特性を異ならせることにより、移動量増加につれて磁気回路84の磁気抵抗が減少するように磁気回路84を構成する。例えば、シリンダ側壁74のうち少なくともピストン62の移動範囲に相当する部分をピストン部材よりも低透磁率とし、ストローク増加につれてシリンダ側壁74における磁路長が減るとともにピストン部材における磁路長が増えるようにしてもよい。具体的には、入力ロッド13よりも第3側壁部98を低透磁率とする。そうすると、図2及び図4からもわかるように、ピストン62の初期位置からの移動量Dが大きくなるにつれて第3側壁部98における磁路長が減少するとともに入力ロッド13における磁路長が相補的に増加する。これにより磁気回路84において相対的に低透磁率の磁路長が減少して相対的に高透磁率の磁路長が増加することになるから回路全体の磁気抵抗が減少し、結果としてオリフィス66を通る磁束が増大することになる。
あるいは、例えばシリンダ側壁74のうち少なくともピストン62の移動範囲に相当する部分の飽和磁束密度を低減することによって、ピストン62の初期位置からの移動量増加につれて磁気回路84の磁気抵抗が減少するようにしてもよい。例えば第3側壁部98をシリンダ側壁74の他の部位よりも薄肉とすることにより相対的に磁気抵抗を大きくすることが可能である。
以上のように本実施形態によれば、ストローク増減の際に磁性流体の流通するオリフィス部に磁束を集めるように磁気回路が構成されているので、効率的に磁性流体の粘度を増加させることができる。このため、消費電力が小さく省エネルギー性に優れるストロークシミュレータが提供される。また、制動中に磁性流体の粘度を制御することによりブレーキフィーリングを自在に制御することもできる。更に、磁束発生手段として電磁石に永久磁石を併用することにより電磁石への供給電流が停止された場合にも磁性流体に磁束を与えることができるので、フェイルセーフ性に優れたストロークシミュレータが提供される。
図5及び図6は、本実施形態の一変形例を示す図である。この実施例では流動抵抗増大部材106がピストン62の背後に取り付けられている点を除き、上述の実施形態と同様である。よって同様の箇所については説明を適宜省略し、異なる点を中心に説明する。図5は、図2と同様にストロークシミュレータ24の全体を模式的に示す図である。図6は、この変形例におけるオリフィス66の拡大図である。
流動抵抗増大部材106は、シリンダ側壁74との間にピストン62と一体的にオリフィス66を画定する。流動抵抗増大部材106は例えば、ピストン62よりも大径の円板状の部材であり、非磁性材料で形成されている。流動抵抗増大部材106は、入力ロッド13の外形に対応する開口が中心部に空けられており入力ロッド13に挿入されてピストン62に隣接して密着して取り付けられている。図示されるように、ピストン62の初期位置は第3側壁部98の端部に一致しているので、流動抵抗増大部材106は初期位置において第2側壁部96に包囲されている。なお流動抵抗増大部材106は全体が均質に形成されていなくてもよく、適当な基材の表面に例えば非磁性材料層が形成されたものであってもよい。
図6に拡大されて示されるように、この変形例ではオリフィス66は第1オリフィス108及び第2オリフィス110からなる。ピストン62が初期位置にある状態において、第1オリフィス108はシリンダ側壁74の第3側壁部98とピストン62の外周端面64との間に形成される間隙であり、第2オリフィス110はシリンダ側壁74の第2側壁部96と流動抵抗増大部材106の外周端面112との間に形成される間隙である。よって、オリフィス66は途中でステップ状にオリフィス幅が狭くなっている。なおシリンダ側壁74の内径は全域で共通であるから、ピストン62が移動しても第1オリフィス108及び第2オリフィス110の寸法は設計上変わらない。
この場合、磁気回路84を流れる磁束は、シリンダ側壁74の第3側壁部98から第1オリフィス108を通じてピストン62へと流れる。流動抵抗増大部材106は非磁性材料で形成されているからである。流動抵抗増大部材106が非磁性材料で形成されているので、シリンダ側壁74からピストン62へ磁束が流れるときの磁束の漏れ量をより低減することができる。なお、この磁束の漏れの低減という効果を重視する場合には、必ずしも流動抵抗増大部材106のほうがピストン62よりも大径でなくてもよく、例えば第1オリフィス108及び第2オリフィス110のオリフィス幅が等しくてもよいし、第2オリフィス110のほうが第1オリフィス108よりも広くてもよい。
この変形例によれば、運転者がブレーキペダルを踏み増して行くときに第1オリフィス108から第2オリフィス110へと磁性流体が流れることになる。よって、第1オリフィス108で磁束により粘度が増大された磁性流体がより狭い第2オリフィス110を流通することになる。このため、より大きなブレーキ反力を比較的容易に生成することができる。また、磁性流体の粘性増大を第1オリフィス108に担わせるとともに流動抵抗の生成を主として第2オリフィス110に担わせるというように一定の役割分担をさせることにより設計上のブレーキフィーリングの調整可能範囲を大きくすることができる。よって、最適なブレーキフィーリングの実現をより容易にすることができる。
なお、流動抵抗増大部材106は非磁性材料以外の素材で形成されていてもよい。例えばピストン62よりも透磁率の低い材料で形成されていてもよい。この場合、材料選択による流動抵抗増大部材106の磁気特性と第2オリフィス110のオリフィス幅とをトレードオフ的に調整して所望のブレーキフィーリングを実現させることが可能である。例えば、流動抵抗増大部材106の透磁率を高めにする場合には第2オリフィス110のオリフィス幅を広げることにより、第1オリフィス108に優先的に磁束が流れるようにすることは可能である。
また、上述の実施例においてはオリフィス66は途中にステップ状の段差を有する円環状の空隙であるが、他の形状を採用してもよい。例えば、ピストン62または流動抵抗増大部材106の外周部に更なる段差を有する多段形状のオリフィスであってもよい。あるいは、ピストン62及び流動抵抗増大部材106の外周部が連続的に接続されて段差を有しない形状とされていてもよい。また、第1オリフィス108及び第2オリフィス110は、ピストン62及び流動抵抗増大部材106の外周部の全周にわたって形成されていなくてもよく、外周部に部分的に例えば等間隔に形成されていてもよい。
図7乃至図10は、本実施形態の更なる変形例を示す図である。図7はストロークシミュレータ24のピストン位置における中心軸に垂直な断面を示している。この変形例は、ピストン62がチェック弁機構114を備えることと、シリンダ60とピストン62との接触を避けるための突起部116が設けられていることを除き、上述の実施形態と同様である。図8は、チェック弁機構114の拡大図である。図9及び図10はチェック弁機構114の動作を説明するための図である。
例えばピストン62及びシリンダ内面の同心度が不均一である等によりオリフィス66の寸法が場所によって異なると、磁場を発生させたときにオリフィス66がより小さい方向にピストン62が引きつけられて偏心移動してしまう。その結果ピストン62とシリンダ側壁74とが接触する可能性がある。そうすると、設計上のオリフィス寸法が実際の使用時には維持されないことになってしまう。また、ピストン62及びシリンダ60は通常金属で形成されているため部材の摩耗や摩耗による異物発生を引き起こすおそれがある。
そこで図7に示されるように、ピストン62の外周端面64上に突起部116が設けられている。突起部116は、ピストン62が移動中にシリンダ側壁74に接触するのを防止するために設けられている。突起部116は複数(例えば4つ)設けられており、外周端面64上に等間隔に設けられている。このように突起部116を設けることにより、ピストン62とシリンダ60との間隙を移動中に均等に保持することができる。なお、突起部116はピストン62に設けるのではなく、シリンダ側壁74の内面に設けてもよい。この場合、シリンダ側壁74の内面のうちピストン62の移動範囲にわたって設ければよい。
突起部116は、例えばゴム等の弾性部材であってもよいし、例えばフッ素樹脂等の耐摩耗性を有する材料であってもよい。このようにすれば、ピストン62とシリンダ60との摩耗を避けることができる。なお、両者の摩耗を避けるためには、ピストン62の外周端面64及びシリンダ側壁74の内面の少なくとも一方に耐摩耗性材料層を形成してもよい。
また、図7に示されるように、ピストン62の内部にはチェック弁機構114が設けられている。このチェック弁機構114は、ブレーキ操作量が増大するときにはシリンダ室間の磁性流体の流通を遮断し、ブレーキ操作量が減少するときにはシリンダ室間の磁性流体の流通を許容するように構成されている。これにより、ブレーキ操作が解除されるときに速やかにピストン62を初期位置へと戻すことができるようになり、次回の制動に速やかに備えることができる。
特に、コイル86への電流供給が停止されている場合においては永久磁石88の作用によりオリフィス66での磁性流体の粘性が高い状態にある。ところが磁性流体の粘性は高いものの完全に剛体となっているわけではない。このためブレーキペダルが比較的長時間踏み続けられると徐々にピストン62は移動されブレーキペダルが入り込んでしまうことが予想される。よって、ブレーキ操作量が減少するときにはシリンダ室間の磁性流体の流通を許容するチェック弁機構114を設けることにより速やかにピストン62を初期位置へと戻すことが可能となり好ましい。
また、ピストン62を流れる磁束は多くはピストン62の表層部を流れる傾向にある。このため、ピストン内部に形成されるチェック弁機構114内部の流路を横切って流れる磁束は少ない。よって、チェック弁機構114を流通する磁性流体はオリフィス66を流通する磁性流体よりも粘度が低くなる。したがって、ピストン62の内部にチェック弁機構114を設けることにより、一層迅速に次の制動へと備えることができるようになる。なお図7においてはチェック弁機構114はピストン62の内部の2箇所に設けられているが、1箇所に設けられていてもよいし、3箇所以上に設けられていてもよい。
図8及び図9を参照してチェック弁機構114の構成の一例を説明する。チェック弁機構114は、ピストン62に設けられた貫通孔115に配設されるボール部材118とボール止め部120とシール部材122とを含んで構成される。チェック弁機構114はピストン62のマスタシリンダ側シリンダ室72(例えば図2参照)を向くほうの面に設けられている。ボール部材118は例えば金属球であり貫通孔115の径よりも小さい径を有し、貫通孔115の内部で移動が許容されている。ボール止め部120は貫通孔115の周端部の一部から径方向内側に向けて張り出して形成されている。ボール止め部120は複数箇所(例えば2箇所)に設けられる。ボール止め部120の径方向内側への張出量は、ボール部材118が貫通孔115からピストン外部に抜け落ちないように設定される。また、シール部材122は例えばOリングである。
図9に示されるように、貫通孔115は軸方向において相対的に径の大きい拡径部124と相対的に径の小さい縮径部126とを有しており、拡径部124と縮径部126との接続位置には段差が形成されている。シール部材122の径は拡径部124の径に対応して設定されており、拡径部124において段差128に取り付けられている。ボール部材118は拡径部124に収容されており、ボール止め部120とシール部材122との間を軸方向に移動することが許容されている。拡径部124及び縮径部126により2つのシリンダ室を接続する流路が形成される。
図9及び図10を参照してチェック弁機構114の動作を説明する。図9は、ブレーキ操作量が増大するときのチェック弁機構114を示す図である。図10は、ブレーキ操作量が減少するときのチェック弁機構114を示す図である。図9に示されるように、ブレーキ操作量が増大するときには、図中矢印で示されるように磁性流体の動圧がボール部材118に作用して、ボール部材118はシール部材122に押し付けられることとなる。このため貫通孔115を磁性流体が流通することができない。このようにして、ブレーキ操作量が増大するときには、チェック弁機構114を通じてのシリンダ室間の磁性流体の流通は遮断される。
一方、図10に示されるように、ブレーキ操作量が減少するときには、図中矢印で示されるように磁性流体の動圧がボール部材118に作用して、ボール部材118はボール止め部120に押し付けられることとなる。この場合、ボール止め部120は拡径部124の全周にわたって設けられずに一部分に設けられているにすぎないから、ボール止め部120が設けられていない部位を通じて貫通孔115の内部を磁性流体が流通することができる。このようにして、ブレーキ操作量が減少するときにはシリンダ室間の磁性流体の流通が許容される。
なお、チェック弁機構114はブレーキ操作量が増大するときにシリンダ室間の磁性流体の流通を完全に遮断するものでなくてもよい。ブレーキ操作量が増大するときに流体の流通が許容される機構であってもよい。例えば、チェック弁機構114はブレーキ操作量が増大するときよりもブレーキ操作量が減少するときのほうが流体の流動抵抗が小さくなるように構成されていてもよい。つまりチェック弁機構114は流体の流動方向によって流動抵抗が異なるように形成される機構であってもよい。
以下では、更なる実施例をいくつか説明する。例えば、ECU200は、磁性流体の漏れを検知するための制御処理を実行してもよい。ストロークシミュレータ24から磁性流体が漏出した場合にはストロークシミュレータ24に気泡が入り込むと考えられる。そうすると、ブレーキ操作時のペダルストローク速度に対するマスタシリンダ圧の応答性に変化が生じることになる。具体的には、気泡によりマスタシリンダ圧の応答性が低下し、液圧の上昇が遅くなる。
よって、ECU200は、測定されたマスタシリンダ圧応答性を基準マスタシリンダ圧応答性と比較することにより磁性流体の漏れの有無を判定してもよい。基準マスタシリンダ圧応答性としては、正常時のマスタシリンダ圧応答性を予め測定し、ECU200に記憶したものを用いてもよい。基準マスタシリンダ圧応答性は、例えばペダルストローク速度とマスタシリンダ圧の増加速度との関係を示すマップ形式のデータであってもよい。ECU200は、測定されたマスタシリンダ圧応答性が所定の閾値を超えて基準マスタシリンダ圧応答性から乖離している場合に磁性流体の漏れがあると判定する。漏れがあると判定された場合には、ECU200は、例えば警告表示を行ってもよいし、漏れの発生が検出されたことを例えばダイアグツールに出力できるように記憶してもよい。
また、オリフィス部をピストン部材に形成してもよい。例えばピストン部材を複数の分割部材により形成しこれら分割部材間にオリフィス部が設けられてもよい。この場合、例えば分割部材間は、ゴムや非磁性金属材料等の分割部材よりも透磁率が低い材料で互いに接続される。また、オリフィス部が介在する複数の分割部材を通過するように磁気回路が構成される。このようにすれば、複数の分割部材間のオリフィス部に磁束が流れることになり、上述の実施形態と同様に効率的に磁性流体に磁場を作用させることができる。この場合、シリンダ部材とピストン部材との間にはオリフィス部を設けてもよいし、設けなくてもよい。
なお、上述の実施例のうちいずれかと、それ以外の他の実施例のいずれかとを組み合わせることも可能である。また、一実施例と特定の構成を他の実施例の対応する構成と置き換えることも可能である。
本発明の一実施形態に係るブレーキ制御装置を示す系統図である。 本実施形態に係るストロークシミュレータを模式的に示す図である。 本実施形態に係る制動制御処理の一例を説明するためのフローチャートである。 本実施形態に係るストロークシミュレータを模式的に示す図である。 本実施形態の一変形例に係るストロークシミュレータを模式的に示す図である。 本実施形態の一変形例におけるオリフィス部を示す図である。 本実施形態の一変形例に係るストロークシミュレータを模式的に示す図である。 本実施形態の一変形例におけるチェック弁機構を示す図である。 本実施形態の一変形例におけるチェック弁機構を示す図である。 本実施形態の一変形例におけるチェック弁機構を示す図である。
符号の説明
10 ブレーキ制御装置、 20 ホイールシリンダ、 24 ストロークシミュレータ、 27 マスタカット弁、 40 増圧弁、 42 減圧弁、 44 ホイールシリンダ圧センサ、 46 ストロークセンサ、 48 マスタシリンダ圧センサ、 51 アキュムレータ圧センサ、 60 シリンダ、 62 ピストン、 66 オリフィス、 68 磁場発生器、 80 ブレーキアクチュエータ、 84 磁気回路、 86 コイル 、 88 永久磁石、 92 アキュムレータ、 108 第1オリフィス、 110 第2オリフィス、 114 チェック弁機構、 200 ECU。

Claims (17)

  1. ブレーキ操作に対する反力を発生させるためのストロークシミュレータであって、
    内部に磁性流体が封入されているシリンダ部材と、
    前記シリンダ部材の側壁内面に沿って往復動可能に設けられているピストン部材であって、該ピストン部材の外周端部と前記シリンダ部材の側壁内面との間の少なくとも一部または該ピストン部材において前記磁性流体を流通可能とするオリフィス部が形成され、前記ピストン部材のうち少なくとも前記オリフィス部に相当する部分が前記磁性流体よりも高透磁率であるピストン部材と、
    前記オリフィス部を含んで構成される磁気回路に磁束を発生させる磁束発生手段と、
    を備えることを特徴とするストロークシミュレータ。
  2. 前記磁束発生手段は、前記オリフィス部を含んで構成される磁気閉回路に磁束を発生させることを特徴とする請求項1に記載のストロークシミュレータ。
  3. 前記シリンダ部材は、側壁内面のうち少なくとも前記ピストン部材の移動範囲に相当する部分が前記磁性流体よりも高透磁率であることを特徴とする請求項1または2に記載のストロークシミュレータ。
  4. 前記磁気回路は、ブレーキ操作量の増加につれて磁気抵抗が減少するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のストロークシミュレータ。
  5. 前記シリンダ部材の側壁内面のうち少なくとも前記ピストン部材の移動範囲に相当する部分が、前記ピストン部材よりも低透磁率とされており、
    前記磁気回路は、ブレーキ操作量の増加につれて前記シリンダ部材における磁路長が減ることにより磁気抵抗が減少することを特徴とする請求項4に記載のストロークシミュレータ。
  6. 前記磁束発生手段は、電磁石と、該電磁石に与える電流を制御する電流制御部と、永久磁石とを含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のストロークシミュレータ。
  7. 前記永久磁石は、前記電磁石が前記磁気回路に発生させる磁束とは逆向きの磁束を前記磁気回路に発生させるように配置されていることを特徴とする請求項6に記載のストロークシミュレータ。
  8. 前記電流制御部は、ブレーキ操作が解除されたときに前記電磁石に与える電流を低減することを特徴とする請求項6または7に記載のストロークシミュレータ。
  9. 前記オリフィス部は、ブレーキ操作量が増加するときの前記磁性流体の流れ方向に関して上流側に形成される第1オリフィスと、該第1オリフィスよりも下流側に形成され、前記磁性流体に対して該第1オリフィスよりも大きい流動抵抗を有する第2オリフィスと、を含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のストロークシミュレータ。
  10. 前記ピストン部材は、前記第2オリフィスに相当する部位が前記第1オリフィスに相当する部位よりも低透磁率であることを特徴とする請求項9に記載のストロークシミュレータ。
  11. 前記シリンダに接続されており、前記磁性流体を貯留するアキュムレータをさらに備えることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載のストロークシミュレータ。
  12. 前記アキュムレータは、前記シリンダ部材内部において前記ピストン部材により仕切られて形成されるシリンダ室のうちブレーキ操作量が増加するときに前記ピストン部材の移動により容積が増加するほうのシリンダ室に接続されていることを特徴とする請求項11に記載のストロークシミュレータ。
  13. ブレーキ操作量が増加するときには前記磁性流体の流通を抑制し、ブレーキ操作量が減少するときには前記磁性流体の流通を許容するチェック弁機構をさらに備える請求項1ないし12のいずれか1項に記載のストロークシミュレータ。
  14. 作動流体として磁性流体を用いて運転者のブレーキ操作に対する反力を発生させるストロークシミュレータと、
    ブレーキバイワイヤによるブレーキ制御中に前記磁性流体に磁力を作用させる磁力作用手段と、を備えることを特徴とするブレーキ装置。
  15. 前記磁力作用手段が発生させる磁力を運転者のブレーキ操作に応じて制御する制御部をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載のブレーキ装置。
  16. 前記ストロークシミュレータは、内部に磁性流体が封入されているシリンダ部材と、前記シリンダ部材の内部を往復動可能に設けられているピストン部材とを備え、前記ピストン部材と前記シリンダ部材との間に前記磁性流体を流通可能とするオリフィス部が画定されており、
    前記ピストン部材のうち前記オリフィス部に相当する部分と前記シリンダ部材のうち前記ピストン部材の移動範囲に相当する部分とが前記磁性流体よりも高透磁率であるよう形成されており、
    前記磁力作用手段は、前記シリンダ部材、前記オリフィス部、及び前記ピストン部材を含んで構成される磁気回路に磁束を流すことにより前記磁性流体に磁力を作用させることを特徴とする請求項14または15に記載のブレーキ装置。
  17. 前記磁力作用手段は電磁石と永久磁石とを備え、該電磁石と該永久磁石とはそれぞれが発生させる磁束を互いに弱め合うように配置されていることを特徴とする請求項14ないし16のいずれか1項に記載のブレーキ装置。
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