JP2007132225A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】可変動弁機構により吸入空気量を可変制御する場合の燃料カット時のより適切な制御を提供する。
【解決手段】吸気弁のリフト・作動角を拡大・縮小させる第1可変動弁機構(VEL)と、作動角の中心角を遅進させる第2可変動弁機構(VTC)と、吸入負圧Boostを可変制御するための負圧制御弁とを備える。非燃料カット中は、リフト・作動角は、燃焼不安定化の虞のない最小作動角限界VELlimに制限され、それ以上小さくならない。燃料カットの際には、所定のディレイ時間FCID経過後、燃料カットが開始されると同時にリフト・作動角の制限が解除され、機構上取りうる最小のリフト・作動角(VEL0)まで小さくなる。これに伴い、吸入負圧Boostが相対的に弱くなるように制御されるので、その後の燃料リカバーの際のトルク応答が向上する。
【選択図】図4
【解決手段】吸気弁のリフト・作動角を拡大・縮小させる第1可変動弁機構(VEL)と、作動角の中心角を遅進させる第2可変動弁機構(VTC)と、吸入負圧Boostを可変制御するための負圧制御弁とを備える。非燃料カット中は、リフト・作動角は、燃焼不安定化の虞のない最小作動角限界VELlimに制限され、それ以上小さくならない。燃料カットの際には、所定のディレイ時間FCID経過後、燃料カットが開始されると同時にリフト・作動角の制限が解除され、機構上取りうる最小のリフト・作動角(VEL0)まで小さくなる。これに伴い、吸入負圧Boostが相対的に弱くなるように制御されるので、その後の燃料リカバーの際のトルク応答が向上する。
【選択図】図4
Description
この発明は、所定の減速時に燃料カットを行う内燃機関の制御装置、特に、吸気弁のバルブリフト特性を可変制御可能な可変動弁装置によって吸入空気量の制御を達成するようにした内燃機関における制御装置に関する。
ガソリン機関においては、一般に吸気通路中に設けたスロットル弁の開度制御によって吸気量を制御しているが、良く知られているように、この種の方式では、特にスロットル弁開度の小さな中低負荷時におけるポンピングロスが大きい、という問題がある。これに対し、吸気弁の開閉時期やリフト量を変化させることで、スロットル弁に依存せずに吸気量を制御しようとする試みが以前からなされており、この技術を利用して、ディーゼル機関と同様に吸気系にスロットル弁を具備しないいわゆるスロットルレスの構成を実現することが提案されている。
特許文献1,2は、本出願人が先に提案した吸気弁の可変動弁装置を示しており、吸気弁のリフト・作動角を同時にかつ連続的に拡大,縮小可能な第1可変動弁機構(リフト・作動角可変機構)と、作動角の中心角を連続的に遅進させることが可能な第2可変動弁機構(位相可変機構)と、を備え、両者を独立して制御することにより、種々のリフト特性に可変制御し得る技術が開示されている。この種の可変動弁機構によれば、スロットル弁の開度制御に依存せずにシリンダ内に流入する空気量を可変制御することが可能であり、特に負荷の小さな領域において、いわゆるスロットルレス運転ないしはスロットル弁の開度を十分に大きく保った運転を実現でき、ポンピングロスの大幅な低減が図れる。そして、アイドル運転時には、バルブリフト量を微小量とすることで、吸入空気量を精度良く制御するようにしている。
ここで、吸気弁のバルブリフト特性の可変制御により吸入空気量を制御するように構成した場合、スロットル弁を具備しない完全なスロットルレスの構成であると、吸気系に負圧が発生しないため、例えば、ブローバイガスやキャニスタからのパージガスなどを吸気系に還流させる既存のシステムが利用できなくなったり、種々のアクチュエータなどの駆動源としても利用されている負圧が容易に得られない、といった新たな課題が派生する。そのため、吸気通路にいわゆる電子制御スロットル弁を負圧制御弁として設け、その開度制御と組み合わせることで、略一定の負圧を確保しつつ吸気弁のバルブリフト特性による吸入空気量の制御を実現することが特許文献1,2に開示されている。
特開2004−232467号公報
特開2004−251274号公報
内燃機関の減速時におけるエミッションの低減や燃費の低減のために、所定の条件を満たす減速時に、燃料供給の停止いわゆる燃料カットを行うことが知られているが、この燃料カット中に、いわゆるエンジンブレーキ作用を十分に得るために上記負圧制御弁により吸入負圧を大きく与えるようにすると、燃料供給の再開いわゆる燃料リカバー時に、トルク応答性が悪化する。
この発明は、可変動弁機構により吸入空気量を可変制御する場合の燃料カット時のより適切な制御を提供しようとするものである。
この発明は、吸気弁のリフト・作動角の少なくとも一方を連続的に変更可能な可変動弁機構と、吸気通路に介装され、かつ開度が連続的に変化する負圧制御弁と、内燃機関の所定の減速時に燃料供給を停止する燃料カット手段と、を備え、上記負圧制御弁により吸入負圧を目標の吸入負圧に維持しつつ吸気弁のリフト特性によって吸気量の制御が可能な内燃機関の制御装置において、非燃料カット状態では、リフト・作動角の制御範囲を所定の第1の下限値以上に制限し、燃料カット中は、上記第1の下限値よりも小さな第2の下限値まで許容するとともに、上記負圧制御弁の開度を相対的に大きく与えることを特徴としている。なお、上記可変動弁機構としては、前述した特許文献1,2のように、リフトと作動角との双方が同時に増減変化する構成であることが望ましいが、リフトと作動角のいずれか一方のみが変化するものであっても、本発明に含まれる。従って、請求項の「リフト・作動角」の用語は、いずれか一方もしくは双方を意味している。また、吸気弁の作動角の中心角を連続的に変更可能な第2の可変動弁機構をさらに備えていてもよい。
上記第1の下限値は、例えば、気筒間の吸気量ばらつきによる燃焼安定性の限界として設定される。また、上記第2の下限値は、例えば、上記可変動弁機構の機構上の限界により定まる値である。
すなわち、アイドル時のように必要な吸気量が極端に少ないときには、吸気弁のリフト・作動角が非常に小さく制御されるが、このような条件下では、各気筒のリフト・作動角が僅かでもばらつくと、各気筒の吸気量のばらつきによって各気筒の空燃比が大きく変化し、一部気筒で失火が生じたりして、機関の燃焼が不安定化しやすい。そのため、リフト・作動角が所定の第1の下限値よりも小さくならないように制限することで、この燃焼不安定化が確実に回避される。なお、リフト・作動角が第1の下限値にある状態で、吸気量をさらに少なくする必要がある場合には、上記負圧制御弁の開度を小さくして吸入負圧を大とすることで、吸気量を抑制することが可能である。
一方、燃料カット中には、リフト・作動角は上記第1の下限値よりもさらに小さくなり、例えば、機構上の限界まで縮小される。これによりシリンダ内に流入する吸気量は十分に制限されるので、吸入負圧を相対的に(つまりリフト・作動角を第1の下限値に制限した場合に比較して)弱くすることが可能である。つまり、負圧制御弁開度を相対的に大きくした状態で、リフト・作動角を第1の下限値に制限した場合と同様の十分なエンジンブレーキ作用が得られる。ここで、リフト・作動角を第1の下限値よりもさらに小さくすることで、気筒間の吸気量のばらつきが相対的に大きく生じるが、燃料カット中は燃焼が行われないので、この吸気量のばらつきは実質的に問題とならない。
そして、燃料カット後の燃料リカバーの際には、必要な吸気量を得るべくリフト・作動角が増大するが、予め吸入負圧が弱い状態にあるので、シリンダ内に流入する吸気の応答性が高くなり、高いトルク応答性が得られる。
燃料カットの際には、一般に、燃料カット条件の成立後、適当なディレイ時間(いわゆる燃料カットインディレイ)が経過してから燃料噴射を停止するするようにしているが、この実際の燃料カットまでのディレイ期間の間、リフト・作動角を上記第1の下限値に制限することが望ましい。これにより、ディレイ期間の間に燃焼不安定化を生じるような事態が確実に回避される。
また燃料カット後の燃料リカバーの際に、リフト・作動角が上記第1の下限値以上となるまで実際の燃料リカバーを遅延させるようにしてもよい。
この発明によれば、通常の制御中にリフト・作動角が過度に小さくなって気筒間ばらつきにより燃焼不安定化を招来するようなことがないとともに、燃料カット中に良好なエンジンブレーキ作用を確保でき、かつ燃料リカバーの際のトルク応答性が向上する。
図1は、この発明に係る内燃機関の制御装置のシステム構成を示す構成説明図であって、内燃機関1は、吸気弁3と排気弁4とを有し、かつ吸気弁3の動弁機構として、吸気弁3のリフト・作動角を両者同時に連続的に拡大・縮小させることが可能な第1可変動弁機構(VEL)5および作動角の中心角を連続的に遅進させることが可能な第2可変動弁機構(VTC)6を備えている。また、吸気通路7のコレクタ7a上流側には、モータ等のアクチュエータにより開度が制御される電子制御スロットル弁型の負圧制御弁2が設けられている。ここで、上記負圧制御弁2は、吸気通路7内に、ブローバイガスの処理などのために必要な僅かな負圧(例えば−50mmHg)を発生させるために用いられており、基本的に、吸入空気量の調整は、上記第1、第2可変動弁機構5、6により吸気弁3のリフト特性を変更することで行われる。より詳しくは、所定の低負荷側の領域(第1の領域)では、吸入負圧が一定(例えば−50mmHg)となるように負圧制御弁2の開度が制御される。そして、この一定の負圧を発生させながらリフト特性の変更で実現できる最大負荷を要求負荷が超える高負荷側の領域(第2の領域)では、その限界となる点のリフト特性に固定され、負荷、例えばアクセル開度APOの増加に伴い、負圧制御弁2の開度がさらに増加する。つまり、ある負荷までは比較的弱い吸入負圧を維持しつつ吸気弁3のリフト特性を変更することで吸入空気量の調整が行われ、全開領域に近い高負荷側の領域では、吸入負圧を減少させることによって、吸入空気量の調整が行われる。
これらの第1、第2可変動弁機構5、6および負圧制御弁2は、コントロールユニット10によって制御されている。
また、燃料噴射弁8が吸気通路7に配置されており、上記のように吸気弁3もしくは負圧制御弁2により調整された吸入空気量に応じた量の燃料が、この燃料噴射弁8から噴射される。従って、内燃機関1の出力は、第1の領域では、第1、第2可変動弁機構5、6により吸入空気量を調整することによって制御され、第2の領域では、負圧制御弁2により吸入空気量を調整することによって制御される。
上記のコントロールユニット10は、運転者により操作されるアクセルペダルに設けられたアクセル角度センサ11からのアクセル開度信号APO、エンジン回転数センサ12からのエンジン回転数信号N、吸入空気量センサ13からの吸入空気量信号、冷却水温度センサ14からの水温信号、空燃比センサ15からの信号、等を受け取り、これらの信号に基づいて、燃料噴射量、点火時期、第1可変動弁機構目標角度(目標作動角tVEL)、第2可変動弁機構目標角度(目標中心角tVTC)および負圧制御弁目標開度(目標スロットル開度tTVO)をそれぞれ演算する。そして、要求の燃料噴射量および点火時期を実現するように燃料噴射弁8および点火プラグ9を制御するとともに、第1可変動弁機構目標角度、第2可変動弁機構目標角度を実現するための制御信号を、第1可変動弁機構5のアクチュエータおよび第2可変動弁機構6のアクチュエータへそれぞれ出力し、かつ負圧制御弁2の開度を上記目標開度となるように制御する。なお、上記第1可変動弁機構5および第2可変動弁機構6は、その機械的な構成は公知であり、例えば上述した特許文献1に記載の装置と同様の構成を有している。従って、その詳細な説明は省略する。
図2は、上記コントロールユニット10において実行される第1、第2可変動弁機構5、6および負圧制御弁2の制御ルーチンを示しており、以下、これを説明する。このルーチンは、機関運転中、所定時間毎に繰り返し実行されるものであって、まずステップ11で、機関回転速度Nおよびアクセル開度APOを読み込み、ステップ12で、この機関回転速度Nおよびアクセル開度APOに基づき、目標トルクtT、目標残留ガス率tR、目標吸入負圧tBを算出する。なお、エンジンブレーキが必要となるような条件における目標トルクtTは、負の値となる。ステップ13では、上記の目標トルクtT、目標残留ガス率tR、目標吸入負圧tBに基づき、目標作動角tVEL、目標中心角tVTC、目標スロットル開度tTVO、をそれぞれ算出する。なお、目標トルクtTが負の値であるとき、目標作動角tVELは、第1可変動弁機構5が機構上取りうる最小のリフト・作動角に設定される。つまり、この機構上取りうる最小のリフト・作動角が、本実施例では、第2の下限値となる。
次に、ステップ14では、燃料カットフラグfFCが0であるか否かを判断する。燃料カットフラグfFCは、後述の燃料カット制御ルーチンで設定されるものであり、値が0であるときに燃料カットしないことを意味し、値が1であるときに燃料カットすることを意味する。このステップ14において燃料カットフラグfFCが0であると判断された場合は、ステップ15へ進み、ステップ13で算出した目標作動角tVELが最小作動角限界VELlimよりも小さいか否か判断する。この最小作動角限界VELlimは、第2可変動弁機構6や負圧制御弁2の制御状態に関係なく安定燃焼を確保できる最小のリフト・作動角であって、上述した機構上の最小のリフト・作動角よりも大きなリフト・作動角に設定されている。つまり、この最小作動角限界VELlimが第1の下限値となる。
ステップ15において目標作動角tVELが最小作動角限界VELlimよりも小さいと判断された場合は、ステップ16へ進み、目標作動角tVELの値を、最小作動角限界VELlimで制限する。
一方、ステップ14において燃料カットフラグfFCが1であると判断された場合、および、ステップ15において目標作動角tVELが最小作動角限界VELlim以上であると判断された場合は、ステップ13で算出した目標作動角tVELの値をそのまま用いる。従って、ステップ13で算出した目標作動角tVELが最小作動角限界VELlimより小さい場合でも、燃料カットフラグfFCが1であるときは、その目標作動角tVELの値がそのまま用いられる。
次に、図3は、燃料カット制御ルーチンを示している。このルーチンは、やはり機関運転中、所定時間毎に繰り返し実行されるものであって、まずステップ21で、機関回転速度Nおよびアクセル開度APOを読み込み、ステップ22で、アクセル開度APOがほぼ0であるか否かを判断する。なお、アクセル開度センサ11のほかに、アクセル開度が0であることを検出するアイドルスイッチを備えている場合には、このアイドルスイッチがONであるか否かを判断するようにしてもよい。
ステップ22においてアクセル開度APOがほぼ0であると判断された場合は、ステップ23へ進み、燃料カットフラグfFCが0であるか否かを判断する。ここで燃料カットフラグfFCが0であると判断された場合は、ステップ24へ進み、機関回転速度Nが所定の燃料カット回転速度Nfcよりも大きいか否かを判断する。
ステップ24において機関回転速度Nが燃料カット回転速度Nfcより大であれば、ステップ25へ進み、燃料カットインディレイ時間を計測しているタイマの値TIMERが所定値FCIDを越えたか否かを判断する。タイマの値TIMERが所定値FCIDを越えるまでは、ステップ27へ進み、燃料カットフラグfFCを0に設定する。タイマの値TIMERが所定値FCIDを越えたら、ステップ26へ進み、燃料カットフラグfFCを1に設定する。ステップ24において機関回転速度Nが燃料カット回転速度Nfc以下であると判断された場合もステップ27へ進み、燃料カットフラグfFCを0に設定する。
一方、ステップ23において燃料カットフラグfFCが1であると判断された場合は、燃料カット中であることを意味し、ステップ28へ進み、機関回転速度Nが所定の燃料カットリカバー回転速度Nfcrよりも大きいか否かを判断する。このステップ28において機関回転速度Nが燃料カットリカバー回転速度Nfcrよりも大であれば、ステップ29へ進み、燃料カットフラグfFCを1のまま維持する。ステップ28において機関回転速度Nが燃料カットリカバー回転速度Nfcr以下である場合には、ステップ30へ進み、燃料カットフラグfFCを0に設定する。
コントロールユニット10は、機関回転に同期して実行する燃料噴射制御において燃料噴射弁8に対し所定のタイミングで燃料噴射パルス信号を出力するが、上記の燃料カット制御ルーチンで設定した燃料カットフラグfFCが1であるときには、この燃料噴射パルス信号のパルス幅が強制的に0となる。つまり、燃料カットが行われる。
次に、上記のような制御による作用を、図4に示すタイムチャートに従って説明する。この図4は、走行中に、運転者により減速ならびに再加速が行われた場合の、アクセル開度APO、機関回転速度N、燃料カットフラグfFC、目標作動角tVEL、目標スロットル開度tTVOおよび吸入負圧Boost、の変化を対比して示している。例えば一定車速で走行中に、時刻t0においてアクセルが全閉とされ、燃料カット条件が成立する。このとき、目標トルクtTが負の値となり、これを実現するための目標作動角tVELとして、図4に細線で示すように第1可変動弁機構5の機構上の最小作動角(これをVEL0とする)が設定されるが、上述したステップ25における所定の燃料カットインディレイ時間FCIDが経過するまでは燃料カットフラグfFCが1にならないので、この間の目標作動角tVELは、最小作動角限界VELlimに制限される。燃料カットインディレイ期間中は、燃料噴射が継続されているが、上記の処理により、燃料カットインディレイ期間中に燃焼が悪化(例えば失火)することが回避される。また同時に、負の目標トルクtT(つまりエンジンブレーキ作用)を実現するために、吸入負圧Boostを大とすべく目標スロットル開度tTVOは小となる。
時刻t1において燃料カットインディレイ時間FCIDが経過すると、燃料カットフラグfFCが1となって燃料供給が停止されるが、同時に、最小作動角限界VELlimによる目標作動角tVELの制限が解除され、以後は、リフト・作動角は、機構上取りうる最小のリフト・作動角(VEL0)に制御される。これにより、十分なエンジンブレーキトルクが得られるので、吸入負圧を大幅に発達させる必要はない。従って、ステップ13で設定される目標スロットル開度tTVOは、最小作動角限界VELlimを前提とした場合の特性(一点鎖線で示すVEL制限時の特性)に比較して、相対的に大きくなり、吸入負圧Boostは、やはり一点鎖線で示すVEL制限時の特性に比較して、より小さい(大気圧に近い)ものとなる。
時刻t2において運転者によりアクセルが踏み込まれると、燃料カットフラグfFCが0となって燃料噴射が再開されるとともに、目標作動角tVELが最小作動角限界VELlimよりも大きな通常の運転中の値に設定される。このとき、同時に、目標スロットル開度tTVOが大となり、吸入負圧Boostが通常の状態(非燃料カット時の特性)に復帰するので、良好なトルク応答を得ることができる。特に、燃料カット中の吸入負圧Boostが比較的小さく保たれているので、トルクの立ち上がりが早くなる。これに対し、燃料カット中も最小作動角限界VELlimによる制限を解除しない場合には、エンジンブレーキ作用確保のために、目標スロットル開度tTVOおよび吸入負圧Boostが一点鎖線で示すような特性となるので、燃料リカバーの際の吸入負圧Boostの復帰に時間が掛かり、リフト・作動角を大きくしても、所望のトルクを得ることができない。
なお、第1可変動弁機構5にも作動遅れが存在し、時刻t2において瞬時に目標作動角tVELが実現できるわけではないが、吸入負圧Boostの応答遅れと比較すると、その影響は遙かに小さい。
また、第1可変動弁機構5の作動遅れにより、実際のリフト・作動角が最小作動角限界VELlimまで拡大する前に燃料噴射が再開される可能性があるが、機構上の最小のリフト・作動角(VEL0)から最小作動角限界VELlimまで変化するのに要する時間は極短時間であり、その間で多少燃焼が悪化しても特に問題とはならないので、本実施例では、トルク応答を優先してアクセル踏込と同時に燃料噴射を再開させるようにしている。但し、トルク応答を重視する必要のない燃料リカバーの場合、例えば、機関回転速度Nが緩やかに低下して燃料カットリカバー回転速度Nfcrを下回った場合、などでは、実際のリフト・作動角が最小作動角限界VELlim以上になるのを待って燃料噴射を再開(燃料カットフラグfFCを1から0へ切り換える)ようにしてもよい。
2…負圧制御弁
5…第1可変動弁機構
6…第2可変動弁機構
10…コントロールユニット
11…アクセル開度センサ
5…第1可変動弁機構
6…第2可変動弁機構
10…コントロールユニット
11…アクセル開度センサ
Claims (6)
- 吸気弁のリフト・作動角の少なくとも一方を連続的に変更可能な可変動弁機構と、吸気通路に介装され、かつ開度が連続的に変化する負圧制御弁と、内燃機関の所定の減速時に燃料供給を停止する燃料カット手段と、を備え、上記負圧制御弁により吸入負圧を目標の吸入負圧に維持しつつ吸気弁のリフト特性によって吸気量の制御が可能な内燃機関の制御装置において、非燃料カット状態では、リフト・作動角の制御範囲を所定の第1の下限値以上に制限し、燃料カット中は、上記第1の下限値よりも小さな第2の下限値まで許容するとともに、上記負圧制御弁の開度を相対的に大きく与えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
- 上記第1の下限値は、気筒間の吸気量ばらつきによる燃焼安定性の限界として設定されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 上記第2の下限値は、上記可変動弁機構の機構上の限界であることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。
- 燃料カット条件の成立後、実際の燃料カットまでの遅れ期間の間は、リフト・作動角を上記第1の下限値に制限することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
- 燃料カット後の燃料リカバー時に、リフト・作動角が上記第1の下限値以上となるまで実際の燃料リカバーを遅延させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
- 吸気弁の作動角の中心角を連続的に変更可能な第2の可変動弁機構をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
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