JP2007131921A - ステンレス鋼及びその製造方法並びにこれを用いたはんだ付装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 鉛フリーはんだに対する耐食性を向上させたステンレス鋼等を提供する。
【解決手段】 本発明のステンレス鋼10は、鉛フリーはんだに対する耐食性を有するものであって、オーステナイト系のステンレス鋼本体11の表面に形成されるとともに窒化クロムを含まずに窒素及びクロムを固溶体として含む窒化改質層12と、窒化改質層12の表面に硝酸によって形成された不動態皮膜13と、を有することを特徴とする。不動態被膜13は、酸化クロムからなる。不動態被膜13は、耐食性に優れているため、鉛フリーはんだに対する保護被膜として機能する。窒化改質層12の厚みは、例えば5μm〜15μmである。不動態被膜13の厚みは、例えば10nm以上である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、鉛フリーはんだに対する耐食性を有するステンレス鋼等に関する。
近年、環境に対する鉛汚染を防止する観点から、鉛フリーはんだが急速に普及しつつある。この鉛フリーはんだは、環境保護に有用である反面、従来のスズ−鉛共晶はんだに比べて、融点が高い、はんだ濡れ性が劣る、などの問題も有する。
その一方で、鉛フリーはんだの使用に伴い、溶融はんだを収容するはんだ槽が激しく侵食されるという事態も発生している。その理由は、鉛フリーはんだを使用することにより、スズの割合が高くなり、かつ溶融はんだの温度が高くなり、かつ強力なフラックスが用いられ、その結果、ステンレス鋼の侵食が進んだためと考えられている。
そのような鉛フリーはんだの使用に伴う侵食を防ぐはんだ槽が、下記特許文献1に開示されている。このはんだ槽は、溶融はんだに接触する全てのステンレス鋼表面を、窒化物で覆うものである。そして、この窒化物とは、窒化クロムを含まずに窒素及びクロムを固溶体として含む窒化改質層である。窒化クロムは、脆くてクラックが入りやすい。そのため、窒素及びクロムを固溶体として含む窒化改質層とすることにより、耐食性が向上する。
特開2004−141914号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、鉛フリーはんだに対する耐食性が不十分であるため、実用化に問題があった。
そこで、本発明の目的は、鉛フリーはんだに対する耐食性を向上させたステンレス鋼等を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために実験を重ねた結果、前述の窒化改質層の表面に酸化剤(例えば硝酸)によって不動態皮膜を形成したところ、鉛フリーはんだに対する耐食性が飛躍的に向上することを見出した。本発明は、この知見によってなされたものである。
すなわち、本発明に係るステンレス鋼は、鉛フリーはんだに対する耐食性を有するものであって、オーステナイト系のステンレス鋼本体の表面に形成されるとともに窒化クロムを含まずに窒素及びクロムを固溶体として含む窒化改質層と、窒化改質層の表面に酸化剤によって形成された不動態皮膜と、を有することを特徴とする(請求項1)。酸化剤は硝酸としてもよい(請求項2)。鉛フリーはんだとしては、例えばSn−Ag、Sn−Ag−Bi、Sn−Ag−Cu、Sn−Zn、Sn−Zn−Bi等が挙げられる。
本発明に係るはんだ付装置は、溶融した鉛フリーはんだが接触する部分の少なくとも一部に、本発明に係るステンレス鋼が用いられたことを特徴とする(請求項3)。また、本発明に係るはんだ付装置は、溶融した鉛フリーはんだを収容するはんだ槽を備え、はんだ槽の鉛フリーはんだに接触する部分に本発明に係るステンレス鋼が用いられたことを特徴とする(請求項4)。本発明に係るはんだ付装置では、鉛フリーはんだに接触する部分に本発明に係るステンレス鋼を用いたことにより、鉛フリーはんだに侵食されにくくなるので、耐久性が著しく改善される。
本発明に係るステンレス鋼の製造方法は、鉛フリーはんだに対する耐食性を有するステンレス鋼を製造する方法であって、オーステナイト系のステンレス鋼本体の表面に窒素を拡散する窒素拡散処理を施すことにより、窒化クロムを含まずに窒素及びクロムを固溶体として含む窒化改質層を形成する第一工程と、窒化改質層の表面に不動態皮膜を形成する第二工程と、不動態皮膜を厚膜化又は緻密化する第三工程と、を含むことを特徴とする(請求項5)。第一工程でステンレス鋼本体の表面に窒化改質層が形成され、第二工程で窒化改質層の表面に不動態皮膜が形成され、第三工程で不動態皮膜が厚膜化又は緻密化されることにより、本発明に係るステンレス鋼が得られる。ここでいう「厚膜化」とは膜厚が増加することをいい、「緻密化」とは例えばピンホール、クラック、ボイドなどが埋められて密度が増加することをいう。また、「厚膜化又は緻密化」とは、厚膜化又は緻密化のどちらか一方の他に、厚膜化及び緻密化の両方が同時に生ずる場合も含むものとする。
第一工程の前に、ステンレス鋼本体の表面に予め形成されていた不動態皮膜を除去する工程を含む、としてもよい。この場合は、ステンレス鋼本体の表面の不要な不動態皮膜が除去されることにより、第一工程でステンレス鋼本体の表面に窒化改質層を容易に形成できる。なお、不動態皮膜の除去方法としては、サンドブラスト、ショットブラスト、機械研磨、CMP、ドライエッチング、ウェットエッチングなどが挙げられる。
第一工程における窒素拡散処理は、アンモニアガスを含む雰囲気でステンレス鋼本体を一定温度かつ一定時間加熱することである、としてもよい。この場合、一定温度は380℃から430℃までのいずれかの温度であり、一定時間は15時間から25時間までのいずれかの時間である、としてもよい。また、第一工程で形成される窒化改質層は、5μmから15μmまでのいずれかの厚みである、としてもよい。
第二工程では、第一工程で加熱されたステンレス鋼本体を大気中で冷却することにより、窒化改質層の表面に不動態皮膜を形成する、としてもよい(請求項6)。このとき、大気中の酸素及び余熱によって、酸化クロムからなる不動態皮膜が形成される。なお、第一工程で加熱されたステンレス鋼本体を不活性ガス中で冷却した後に大気中に放置するだけでも、窒化改質層の表面に不動態皮膜を形成することができる。
第三工程では、第二工程で形成された不動態皮膜に所定の酸化処理を施すことにより、不動態皮膜を厚膜化又は緻密化する、としてもよい(請求項7)。第三工程における所定の酸化処理は、不動態皮膜を硝酸水溶液中に浸漬することである、としてもよい(請求項8)。このとき、硝酸水溶液の濃度は5%〜60%であり、硝酸水溶液中に常温で30分以上不動態皮膜を浸漬する、としてもよい(請求項9)。硝酸は酸化力が極めて強いので、厚膜化又は緻密化した不動態皮膜が確実に得られる。また、所定の酸化処理において、硝酸の代わりに、他の酸化剤を用いてもよい。酸化剤の具体例としては、高酸化数状態の金属化合物、高酸化数状態元素の酸素酸、過酸化物、酸化物、ハロゲン元素単体、酸素、オゾンなどが挙げられる。
本発明に係るステンレス鋼によれば、オーステナイト系のステンレス鋼本体の表面に窒素及びクロムを固溶体として含む窒化改質層を形成し、窒化改質層の表面に酸化剤によって不動態皮膜を形成することにより、鉛フリーはんだに対する耐食性を向上できる。
本発明に係るはんだ付装置によれば、鉛フリーはんだに接触する部分に本発明に係るステンレス鋼を用いたことにより、鉛フリーはんだに侵食されにくくなるので、耐久性を著しく向上できる。
本発明に係るステンレス鋼の製造方法によれば、オーステナイト系のステンレス鋼本体の表面に窒化改質層を形成し、この窒化改質層の表面に不動態皮膜を形成し、この不動態皮膜を厚膜化又は緻密化することにより、鉛フリーはんだに対する耐食性に極めて優れたステンレス鋼を製造できる。
図1は、本発明に係るステンレス鋼の一実施形態を示す概略断面図である。以下、この図面に基づき説明する。
本実施形態のステンレス鋼10は、鉛フリーはんだに対する耐食性を有するものであって、オーステナイト系のステンレス鋼本体11の表面に形成されるとともに窒化クロムを含まずに窒素及びクロムを固溶体として含む窒化改質層12と、窒化改質層12の表面に硝酸によって形成された不動態皮膜13と、を有することを特徴とする。不動態被膜13は、酸化クロムからなる。不動態被膜13は、耐食性に優れているため、鉛フリーはんだに対する保護被膜として機能する。窒化改質層12の厚みは、例えば5μm〜15μmである。不動態被膜13の厚みは、例えば10nm以上である。
図2はステンレス鋼10の製造方法の一実施形態を示す概略断面図であり、図2[1]〜図2[5]の順に工程が進行する。以下、図1及び図2に基づき説明する。
まず、オーステナイト系のステンレス鋼本体11として、SUS316又はSUS304を用意する。SUS316でもSUS304でも、ほぼ同じ結果が得られる。SUS316の組成は、Crが16〜18wt%、Niが10〜14wt%、Moが2.5wt%、残りがFeである。SUS304の組成は、Crが18〜20wt%、Niが8〜10.5wt%、残りがFeである。
ステンレス鋼本体11の表面には、酸化クロムからなる不動態皮膜14が予め形成されている(図2[1])。不動態皮膜14は、窒化改質層12形成の妨げになる。そこで、微小の粒状体21を高速噴射して不動態皮膜14に衝突させることにより(図2[1])、不動態皮膜14を除去する(図2[2])。この工程は、省略することもできるが、確実かつ容易に窒化改質層12を形成するためにあった方が好ましい。
続いて、窒素拡散処理によって窒化改質層12を形成する(図2[3])。窒素拡散処理条件である処理温度は、比較的低温域が使用される。この低温域とは380℃〜430℃程度の範囲を指す。処理時間は15時間〜25時間である。ここでは、処理温度として420℃の低温度域を利用し、アンモニアガス(NH3)を含む雰囲気22中で、20時間かけてステンレス鋼本体11を窒素拡散処理した。
この窒素拡散処理後のステンレス鋼について硬度を測定した。その結果、表面から15μm程度までは約800ビッカース硬さ(Hv)となり、それ以上では約300ビッカース硬さ(Hv)以下となった。このことから、窒化改質層12の厚みは約15μmであることがわかる。
また、窒化改質層12は、クロム(Cr)と窒素(N)が固溶体の状態で存在していることが確認された。この窒化改質層12は、クロム及び窒素がそれぞれ固溶状態にあるため、クロム窒化物が含まれていない状態(クロム窒化物フリーな状態)となっている。
ここで、従来のような比較的高温域(500℃〜550℃)を使用して、比較的長時間(40時間〜50時間)かけて真空窒化処理する場合には、ステンレス鋼の表面にクロム窒化物層(クロム窒化物であるCrN)が生成されることが知られている。つまり、このような高温域かつ長時間の窒化処理ではクロム窒化物層が生成されるのに対して、本実施形態のように低温域かつ比較的短い時間での窒素拡散処理を行うと、クロム窒化物層ではなく、クロムと窒素がそれぞれ固溶体として存在する窒化改質層12が生成される。
これは、自由エネルギー序列により化学量論比の異なるクロム窒化物(CrN,Cr2Nなどの析出物)が析出される場合は、自由エネルギーの高いものから順番に析出し、最後に最も低いもの(最終安定相)が析出して平衡するというステップ則が関係する。
加熱温度が380〜430℃付近の低温域では、Cr2Nの自由エネルギーがCrNのそれよりも大きいが、Cr2Nは当該温度域では析出しにくいことが検証されている。その結果、当該低温域ではCr2Nに阻害されてCrNも析出しにくい状態となっているため、クロム窒化物層が生成されずにクロムと窒素とがそれぞれ固溶体として存在する。
430℃付近、つまり430℃未満では、Cr2Nの自由エネルギーとCrNのそれとがほぼ均衡するものの、ややCr2Nの自由エネルギーの方が優位に働くものと推定され、特に420℃ではその関係がよりはっきりするものと推定される。そして、430℃を超える温度域ではCrNの自由エネルギーがCr2Nより高くなるため、CrNが析出して、ステンレス鋼の最表面にクロム窒化物が生成されるものと考えられる。
したがって、加熱温度は、380℃〜430℃が好ましく、特に420℃付近が最も好ましい。380℃以下では反応が遅く、430℃以上であると、上述したようにCr2Nの自由エネルギーよりもCrNの自由エネルギーの方が高くなるのが顕著となるからである。また、処理時間は、15時間〜25時間が好ましく、特に20時間付近が最も好ましい。15時間以下では充分な処理反応時間とは言い難く、25時間以上になると窒化改質層12が剥離しやすくなるからである。
窒化改質層12の表面には、大気中で自然に不動態被膜15が生成される(図2[4])。不動態被膜15は、酸化クロムの被膜である。窒化改質層12におけるクロム窒化物フリーの状態が、不動態被膜15の形成に寄与していると考えられる。つまり、クロムが固溶体として存在するために、酸化クロムの不動態被膜15が生成されるのである。不動態被膜15の厚みは10nm程度である。この膜厚は、例えばオージェ分析とスパッタエッチングとを併用することにより、測定することができる。上述したように、クロムが固溶状態にある窒化改質層12が存在するため、最表面に生成される酸化クロムの不動態被膜15によって、鉛フリーはんだに対する耐食性が増す。
また、不動態被膜15は、大気中で自然に生成される厚みにするのではなく、窒化改質層12を酸素雰囲気や高温に曝すことによってより厚く形成してもよい。例えば、窒化改質層12は420℃まで加熱されるので、その状態から大気中で常温まで冷却するだけでも、不動態被膜15はより厚くなる。この場合は、新たな設備が不要であるので、好都合である。
続いて、不動態皮膜15を硝酸水溶液中23に浸漬することにより、厚膜化又は緻密化された不動態皮膜13を形成する(図2[5])。不動態皮膜15が不動態皮膜13となる過程で、不動態皮膜15のピンホールやクラックが埋められて、保護膜としての機能が向上する。このとき、硝酸水溶液23の濃度は5%〜60%とすることが好ましく、その硝酸水溶液23中に常温で30分以上不動態皮膜15を浸漬することが好ましい。硝酸水溶液23の濃度が5%以下又は60%以上であると、不動態皮膜13の形成に時間がかかり過ぎる。硝酸水溶液23中に不動態皮膜15を浸漬する時間が30分未満では、厚膜化又は緻密化の効果が不十分である。硝酸(HNO3)は酸化力が極めて強いので、厚膜化又は緻密化した不動態皮膜13が確実に得られる。
図3はステンレス鋼10についての実験結果を示す写真であり、図3[1]は比較例であり、図3[2]は本実施形態である。以下、図1乃至図3に基づき説明する。
まず、図2[4]におけるステンレス鋼10’と図2[5]におけるステンレス鋼10とを用意した。つまり、ステンレス鋼10’は、不動態皮膜15の厚膜化又は緻密化の処理を省略した比較例、すなわち特許文献1に開示された従来技術である。
そして、ステンレス鋼10’,10を用いて、概略L字型の試験片をそれぞれ作製した。続いて、溶融している400℃の鉛フリーはんだ中に各試験片を浸漬かつ回転させ、時間の経過による各試験片の侵食の状態を観察した。ここで、鉛フリーはんだはSn−3.0Ag−0.5Cu(すなわちAg3.0wt%、Cu0.5wt%、残りSn)を用い、その融点は220℃である。溶融中の鉛フリーはんだには、侵食を加速する要因と考えられるヒ素(As)を300ppm添加した。また、試験片の回転数は120rpmである。
300時間が経過した後の各試験片を図3に示す。図3から明らかなように、比較例のステンレス鋼10’(図3[1])では大きく侵食されているのに対し、本実施形態のステンレス鋼10(図3[2])ではほとんど侵食されていない。また、ステンレス鋼10について、500時間まで実験を続けたが、ほとんど侵食されなかった。
以上のように、ステンレス鋼本体11の表面に窒化改質層12を形成し、窒化改質層12の表面に不動態皮膜15を形成し、不動態皮膜15を厚膜化又は緻密化して不動態皮膜13とすることにより、鉛フリーはんだに対する耐食性に極めて優れたステンレス鋼10を製造できる。
図4[1]は、本発明に係るはんだ付装置の第一実施形態を示す概略断面図である。以下、図1及び図4[1]に基づき説明する。
本実施形態のはんだ付装置30は、はんだ槽31を備えた浸漬式である。はんだ槽31は、溶融はんだSを収容するとともに、少なくとも溶融はんだSに接触する部分が図1のステンレス鋼10からなる。また、はんだ槽31は、溶融はんだSに浸漬されるヒータ32を備えている。ヒータ32の表面も、高温で溶融はんだSに接するため、ステンレス鋼10からなる。なお、はんだ付装置30には、図示しないが、プリント配線板Pの搬送機構が設けられている。溶融はんだSは、鉛フリーはんだである。
鉛フリーはんだは、はんだ槽31内でヒータ32によってその融点以上に加熱されて、溶融はんだSとなっている。ここで、電子部品が載置されたプリント配線板Pの裏側を溶融はんだSに浸漬することにより、プリント配線板Pのはんだ付を行う。
従来は、何らかの理由によってステンレス鋼表面の酸化皮膜が破壊され、剥き出しになったステンレス鋼が溶融はんだS中のスズによって侵食されていた。これに対して、本実施形態のはんだ付装置30では、溶融はんだSに接触する部分にステンレス鋼10を用いたことにより、鉛フリーはんだに侵食されにくくなるので、耐久性が著しく向上する。なお、ステンレス鋼10は、必ずしも溶融はんだSに接する全ての部分に用いる必要はなく、特に侵食の激しい部分例えばヒータ32の表面にのみ用いてもよい。
図4[2]は、本発明に係るはんだ付装置の第二実施形態を示す概略断面図である。以下、図1及び図4[2]に基づき説明する。
本実施形態のはんだ付装置40は、はんだ槽41を備えた噴流式である。はんだ槽41は、溶融はんだSを収容するとともに、少なくとも溶融はんだSに接触する部分が図1のステンレス鋼10からなる。また、はんだ槽41は、整流用多孔板42a,42b、ヒータ43、シャフト44、フィン45、ダクト46、ノズル47等を備えている。そして、ヒータ43の表面、並びに整流用多孔板42a,42b、シャフト44、フィン45、ダクト46及びノズル47も、ステンレス鋼10からなる。なお、はんだ付装置40には、図示しないが、プリント配線板Pの搬送機構が設けられている。溶融はんだSは、鉛フリーはんだである。整流用多孔板42a,42bは、多数の透孔が設けられ、溶融はんだSの流れを均一化してノズル47へ送る働きをする。
鉛フリーはんだは、はんだ槽41内でヒータ43によってその融点以上に加熱されて、溶融はんだSとなっている。シャフト44は、図示しないモータから動力を伝達することにより、撹拌用のフィン45を回転させる。フィン45よってダクト46内に送られた溶融はんだSは、整流用多孔板42a,42bを通過して、ノズル47から噴き出される。ここで、電子部品が載置されたプリント配線板Pの裏側を噴き出てくる溶融はんだSに接触させることにより、プリント配線板Pのはんだ付を行う。
従来は、何らかの理由によってステンレス鋼表面の酸化皮膜が破壊され、剥き出しになったステンレス鋼が溶融はんだS中のスズによって侵食されていた。従来の噴流式のはんだ付装置では、強制的に溶融はんだSを撹拌することにより、溶融はんだSが激しく当たるシャフト、フィン、ダクト、整流用多孔板、ノズル等で大きく侵食される。
これに対して、本実施形態のはんだ付装置40では、溶融はんだSに接触する部分にステンレス鋼10を用いたことにより、鉛フリーはんだに侵食されにくくなるので、耐久性が著しく向上する。なお、ステンレス鋼10は、必ずしも溶融はんだSに接する全ての部分に用いる必要はなく、特に侵食の激しい部分例えばシャフト44、フィン45、ダクト46、整流用多孔板42a,42b、ノズル47等にのみ用いてもよい。
なお、本発明は、いうまでもなく、上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明が適用されるはんだ槽は、もちろん全体がステンレス鋼である必要はなく、溶融はんだに接触する部分に少しでもステンレス鋼が用いられていればよい。
本発明に係るステンレス鋼の一実施形態を示す概略断面図である。 図1のステンレス鋼を製造する方法の一実施形態を示す概略断面図であり、図2[1]〜図2[5]の順に工程が進行する。 ステンレス鋼についての実験結果を示す写真であり、図3[1]は比較例のステンレス鋼であり、図3[2]は図1のステンレス鋼である。 本発明に係るはんだ付装置を示す概略断面図であり、図4[1]は第一実施形態であり、図4[2]は第二実施形態である。
符号の説明
10 ステンレス鋼
11 ステンレス鋼本体
12 窒化改質層
13 不動態皮膜
30,40 はんだ付装置
31,41 はんだ槽

Claims (9)

  1. 溶融した鉛フリーはんだに接触する部分に用いられるステンレス鋼において、
    オーステナイト系のステンレス鋼本体の表面に形成されるとともに窒化クロムを含まずに窒素及びクロムを固溶体として含む窒化改質層と、この窒化改質層の表面に酸化剤によって形成された不動態皮膜と、
    を有することを特徴とするステンレス鋼。
  2. 前記酸化剤が硝酸である、
    請求項1記載のステンレス鋼。
  3. 前記溶融した鉛フリーはんだに接触する部分の少なくとも一部が、請求項1又は2記載のステンレス鋼からなる、
    ことを特徴とするはんだ付装置。
  4. 前記溶融した鉛フリーはんだを収容するはんだ槽を備え、このはんだ槽の当該鉛フリーはんだに接触する部分が請求項1又は2記載のステンレス鋼からなる、
    ことを特徴とするはんだ付装置。
  5. 溶融した鉛フリーはんだに接触する部分に用いられるステンレス鋼を製造する方法において、
    オーステナイト系のステンレス鋼本体の表面に窒素を拡散する窒素拡散処理を施すことにより、窒化クロムを含まずに窒素及びクロムを固溶体として含む窒化改質層を形成する第一工程と、
    この窒化改質層の表面に不動態皮膜を形成する第二工程と、
    この不動態皮膜を厚膜化又は緻密化する第三工程と、
    を含むことを特徴とするステンレス鋼の製造方法。
  6. 前記第二工程では、前記第一工程で加熱された前記ステンレス鋼本体及び前記窒化改質層を大気中で冷却することにより、前記窒化改質層の表面に前記不動態皮膜を形成する、
    ことを特徴とする請求項5記載のステンレス鋼の製造方法。
  7. 前記第三工程では、前記第二工程で形成された前記不動態皮膜に酸化処理を施すことにより、当該不動態皮膜を厚膜化又は緻密化する、
    ことを特徴とする請求項5又は6記載のステンレス鋼の製造方法。
  8. 前記第三工程における前記酸化処理は、前記不動態皮膜を硝酸水溶液中に浸漬することである、
    ことを特徴とする請求項7記載のステンレス鋼の製造方法。
  9. 前記硝酸水溶液の濃度は5%〜60%であり、当該硝酸水溶液中に常温で30分以上前記不動態皮膜を浸漬する、
    ことを特徴とする請求項8記載のステンレス鋼の製造方法。
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