JP2007130591A - 炭酸ガスナノバブルおよびマイクロバブルを用いた金属イオンの沈殿回収 - Google Patents

炭酸ガスナノバブルおよびマイクロバブルを用いた金属イオンの沈殿回収 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、有機溶媒や化学薬品を用いることなく効率的に水溶液中の金属イオンを回収する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、金属イオンを溶解してなる液体に多孔質体を通じて炭酸ガスを圧入分散させて、液体中に炭酸ガスの気泡を生成させ、金属イオンを炭酸塩として析出させる工程を含む金属イオンの回収方法であって、前記多孔質体が、その相対累積細孔分布曲線において、細孔容積が全体の10%を占めるときの細孔径を、細孔容積が全体の90%を占めるときの細孔径で除した値が1〜1.5となる細孔を備えた多孔質体である、金属イオンの回収方法に関する。
【選択図】図1a

Description

本発明は金属イオンの回収方法に関する。
現在、工業廃水等に含まれる金属イオンの除去・回収技術は様々な方法が検討されている。
従来から、金属イオンの濃度が高い場合には、セメンテーション法が用いられている。セメンテーション法は、イオン化傾向の違いによって、目的とする金属イオンを沈殿させて除去・回収する方法である。しかしながら、セメンテーション法は金属イオンの選択性に乏しく高純度の金属を得るには不適である。
セメンテーション法にかわって現在では溶媒抽出法が注目されている。また、金属イオン濃度が低い場合には吸着剤、イオン交換樹脂、あるいはキレート樹脂等を用いた回収法が用いられている。これらの技術は、有機溶媒や化学薬品を用いらねばならないという問題がある。
化学薬品を用いることなく気泡を用いて金属を水溶液から除去・回収する方法として、「泡沫分離法」が従来から知られている。この方法は泡生成のために界面活性剤を使用しなければならず、しかも非常に希薄な溶液(最大でも数ppm)にしか適用できないという問題がある。また特許文献1には炭酸ガス気泡を用いた重金属の除去方法が記載されているが、泡径が大きいために炭酸ガスの吸収速度が遅く、沈殿生成が遅いという問題がある。
一方、宮崎県が開発したSPG(シラスポーラスガラス)膜は単分散性の高いナノバブルの生成に用いることができる(特許文献2参照)。
特開平10−52692号公報 特開2005−169359号公報
本発明は、有機溶媒や化学薬品を用いることなく効率的に水溶液中の金属イオンを回収する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、宮崎県が開発したSPG膜を用いて炭酸ガスのナノバブルあるいはマイクロバブルを発生させ、炭酸ガスを金属イオン含有水溶液中に分散させることにより、水溶液中の金属イオンを金属炭酸塩に転換し、沈殿物として金属イオンを極めて効率的に除去・回収できることを見出した。本発明の方法による金属の沈殿効率が顕著に高い理由は、SPG膜を用いて発生した炭酸ガスが非常に微細な気泡径を有しているために、炭酸ガスが瞬時にして水溶液中で炭酸イオンとなるためであると考えられる。
すなわち本発明は以下の発明を包含する。
(1)金属イオンを溶解してなる液体に多孔質体を通じて炭酸ガスを圧入分散させて、液体中に炭酸ガスの気泡を生成させ、金属イオンを炭酸塩として析出させる工程を含む金属イオンの回収方法であって、前記多孔質体が、その相対累積細孔分布曲線において、細孔容積が全体の10%を占めるときの細孔径を、細孔容積が全体の90%を占めるときの細孔径で除した値が1〜1.5となる細孔を備えた多孔質体である、金属イオンの回収方法。
(2)多孔質体が多孔質ガラスである(1)記載の方法。
(3)多孔質ガラスがガラスのミクロ相分離を利用して製造されたものである(2)記載の方法。
(4)気泡の平均気泡径が数10μm以下である(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)金属イオンを溶解してなる液体のpH値が8〜13である(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、有機溶媒や化学薬品を用いることなく効率的に水溶液中の金属イオンを回収することが可能となる。また吸着や逆抽出の工程が不要であるため、処理工程が簡略化される。本発明は資源回収や環境保全の分野での応用が期待される。
本発明により溶液中から除去され得る金属イオンとしては、炭酸イオンの溶解度積が小さい方が好ましい。例えば溶解度積が10−9〜10−17程度である金属イオンが好ましい。このような金属イオンとしては、特に限定されないが、具体例を挙げれば、銀(I)、銅(II)、鉄(II)、亜鉛(II)、バリウム(II)、マグネシウム(II)、カルシウム(II)、マンガン(II)、カドミウム(II)、コバルト(II)、ストロンチウム(II)、鉛(II)、水銀(I)等が挙げられる。これらの金属イオンは2種以上が混合して溶解していてもよい。
本発明の方法によれば、処理対象の液体中での金属イオン濃度は特に限定されず、希薄溶液から高濃度溶液までの広い濃度領域で効果的に金属イオンを回収できる。具体的な濃度範囲の一例を示すとすれば、数ppm〜数100ppm(約10−4〜10−2mol/dm)である。
本発明による処理対象である、金属イオンを溶解してなる液体はアルカリ性溶液であることが好ましく、特に、pH8〜13が好ましく、10〜13がより好ましい。
本発明は、気泡を発生させるために、相対累積細孔分布曲線において、細孔容積が全体の10%を占めるときの細孔径(φ10)を、細孔容積が全体の90%を占めるときの細孔径(φ90)で除した値ε(φ10/φ90)が1〜1.5、好ましくは1.2〜1.4となる細孔を備えた多孔質体を用いることを特徴とする。ちなみに、ε=1は細孔にバラツキが全く存在しない理想的な状態(現実にはない)を意味しており、細孔径が良く揃っているほどεの値は1に近い。細孔径が制御されていないアルミナセラミックス体等ではεの値は2を上回る。すなわち、本発明に用いられる多孔質体は細孔径のバラつきがなく均一であることを特徴とする。かかる多孔質体を用いることにより、単分散性の高い微細な気泡を発生させることができる。なお、多孔質体の相対累積細孔分布曲線は、水銀圧入式ポロシメーターにより測定される。
多孔質の細孔径は、特に限定されないが、一般的には平均細孔径0.01〜20μmの範囲内が好ましい。細孔径を調節することにより、単分散の気泡の平均気泡径を特に数10μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下の範囲内で調節することが好ましい。
多孔質体は、さきに定義したように径が均一な貫通細孔である限り、その形状は特に限定されず、例えば円柱状、角柱状等のいずれの形状であってもよい。また、細孔は、多孔質体の表面に対して垂直に貫通していても良いし、あるいは斜めに貫通していても良く、さらには絡み合っていてもよい。多孔質体は、細孔の水力学的直径が均一であることが好ましく、このような細孔構造を有していれば本発明において好適に使用することができる。
多孔質体の形状も限定されず、気体が液体中に分散される形状であればよい。膜状、ブロック状、円盤状、角柱状、円柱状等が挙げられ、使用の目的、用途等に応じて適宜選択することができる。通常は、膜状の多孔質体を好適に用いることができる。膜状の多孔質体は、パイプ状、平膜型等のいずれの形状であっても良い。また、対称膜又は非対称膜のいずれでも良い。さらには、均質膜又は不均質膜のいずれでも良い。これらの形状及び構造は、用いる液体の種類、目的とする気泡等に応じて適宜選択することができる。
また、多孔質体の大きさについても限定されず、気泡生成の用途、多孔質体の使用方法等に応じて適宜選択することができる。
多孔質体を構成する材料も限定されず、適宜選択することができる。好ましい材料としては、ガラス、セラミックス、シリコン、高分子等が例示できる。
本発明では、特に多孔質ガラスを好適に用いることができる。多孔質ガラスとしては、例えばガラスのミクロ相分離を利用して製造される多孔質ガラスを好適に使用できる。このような多孔質ガラスとしては、公知のものが使用でき、具体的には次のものが挙げられる。
(1)特公昭62−25618号公報に開示されている、CaO 8〜25重量%、B8〜30重量%、SiO45〜70重量%およびAl5〜15重量%を必須成分とする基礎ガラスを600〜800℃の範囲内の一定温度で2〜48時間熱処理した後、0.5〜2規定濃度の塩酸、硝酸または硫酸溶液に70〜90℃で浸漬することにより酸可溶成分を抽出することにより得られる、CaO−B−SiO−Al系多孔質ガラス(同一の組成である限り他の製法により製造されたものであってもよい)。
(2)特公昭63−66777号公報および米国特許第4657875号に開示されている、SiO45〜70重量%、Al5〜15重量%、B8〜30重量%、NaO 5〜10重量%およびCaO 8〜25重量%を必須成分とする基礎ガラス成形物を680〜800℃の範囲内の一定温度で2〜72時間熱処理した後、酸可溶成分を抽出することにより得られる、CaO−B−SiO−Al−NaO系多孔質ガラス(同一の組成である限り他の製法により製造されたものであってもよい)。
(3)特公昭63−66777号公報および米国特許第4657875号に開示されている、SiO45〜70重量%、Al5〜15重量%、B8〜30重量%、NaO 5〜10重量%、CaO 4〜20重量%およびMgO 1.6〜12.5重量%を必須成分とする基礎ガラス成形物を680〜800℃の範囲内の一定温度で2〜72時間熱処理した後、酸可溶成分を抽出することにより得られる、CaO−B−SiO−Al−NaO−MgO系多孔質ガラス(同一の組成である限り他の製法により製造されたものであってもよい)。
(4)特開2002−160941号公報に開示されているSiO−ZrO−Al−B−NaO−CaO系多孔質ガラス(同一の組成である限り他の製法により製造されたものであってもよい)。
本発明では、多孔質体は、金属イオンを含有する処理液体との濡れが良好であるものが望ましい。処理液体に濡れにくいもの又は濡れない多孔質体を、その液体に濡れるように公知の方法で表面処理又は表面改質を行った上で使用することもできる。液体との濡れは、多孔質体表面に対する液体の接触角が0°より大きく90°未満であり、特に0°より大きく45°未満であることが好ましい。
本発明に用いられる、金属イオンを含有する処理液体は上記の通りアルカリ性であることが好ましいことから、多孔質体はアルカリ性環境下で化学的に安定なものであることが好ましい。
上記の条件を満たす多孔質ガラスとしては市販されているものを好適に利用することができる。具体的には、SPGテクノ株式会社から市販されているSPG膜(商品名)が挙げられる。SPG膜は多孔質ガラスの管状体であり、細孔径は1nm〜20μm、管直径は5mm〜10mm、管長は1〜30cmである種々のものがある。
本発明の方法では、上記の多孔質体を通じて、金属イオンを溶解してなる液体に炭酸ガスを圧入分散させて、液体中に炭酸ガスの気泡を生成させる。
圧入分散させる方法は、特に限定されない。例えば、次のように実施することができる。まず、多孔質体の一方には液体を接触させ、他方には気体を接触させる。
次いで、気体を加圧することにより、気体が多孔質体の貫通細孔を通り、液体中に分散される。気体を加圧する方法としては、例えば密閉空間に気体を強制的に充填する方法、密閉空間に気体を充填した後にピストン等により空気を圧縮する方法等が挙げられる。
上記方法により生じる気泡は、一般に、気泡径が小さく、かつ単分散性である。特に、気泡の積算体積分布において、気泡体積が気泡体積全体の10%を占めるときの径が、気泡体積が気泡体積全体の50%を占めるときの径の0.5倍以上(好ましくは、0.6〜0.8倍程度)であり、かつ、気泡体積が気泡体積全体の90%を占めるときの径が、気泡体積が気泡体積全体の50%を占めるときの径の1.5倍以下(好ましくは0.2〜1.4倍程度)という高い単分散性を有することが好ましい。
上記気泡の平均気泡径は限定されないが、10μm以下、あるいは1μm以下が好ましい。
以下に実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例の範囲内には限定されない。
1. 外圧式微細気泡発生装置
管状多孔質ガラス膜(SPGテクノ株式会社製。商品名:SPG膜)を利用した外圧式微細気泡発生装置1の概略を図1aに示す。本装置1は、連続水相11、マグネチックポンプ12、分散気相13、SPG膜モジュール14、粒度分布測定装置15、分散気相のボンベ16、圧力ゲージ17をテフロンチューブで各々接続したものである。図1bにはSPG膜モジュール14(図1aの破線枠内に対応する部分)の内部の断面構造を示す。モジュール14内に、管状のSPG膜142を配置した。また管状のSPG膜142の外周には外周管143が設けられており、管状のSPG膜142と外周管143との間に加圧された分散気相13が供給される。管状のSPG膜142の内部に連続水相11が存在する。分散気相13を加圧することにより、SPG膜の細孔を介して分散気相を圧入分散させ、連続水相中に微細化した気泡を発生させる。
2. 気泡の特性
発生した気泡の粒径分布は、レーザー回折/散乱式粒度分布計を用いて測定した。
2.1 気泡径とSPG膜の細孔径との関係
2.1.1 実験方法
装置1を用いて実験を行った。各濃度の水酸化カリウム水溶液を連続水相とし、炭酸ガスを分散気相とした。調整した連続水相中の各水溶液の条件を表1に示した。炭酸ガスを送気し、所定の細孔径(D)のSPG膜に透過させ、水相側に圧力分散し微細気泡を発生させた後、レーザー回折/散乱式粒度分布計の光学セルに直接導入し、気泡径分布を求めた。
気泡径分布の計算には気泡の屈折率1.7を用い、気泡の平均直径はメディアン径で表した。
Figure 2007130591
2.1.2 結果と考察
図2に気泡径とSPG膜の細孔径との関係を示す。この図より、SPG膜の細孔径が10.3μm、5.3μmにおいては、細孔径に依存性がみられなかった。しかし、SPG膜の細孔径が0.8μmでは、細孔径に依存性がみられた。
以上のことより、炭酸ガスの気泡径は、SPG膜の細孔径の小さい領域(0.8〜5.3μm)において、KOHが0.5Mのときは、細孔径に依存することがわかった。
2.2 気泡径とアルカリ溶液濃度との関係
2.2.1 実験方法
装置1を用いて実験を行った。各濃度の水酸化カリウム水溶液を連続水相とし、炭酸ガスおよび窒素ガスを分散気相とした。調整した連続水相中の各水溶液の条件を表2に示した。分散気相を送気し、所定の細孔径(D)のSPG膜に透過させ、水相側に圧力分散し微細気泡を発生させた後、レーザー回折/散乱式粒度分布計の光学セルに直接導入し、気泡径分布を求めた。
気泡径分布の計算には気泡の屈折率1.7を用い、気泡の平均直径はメディアン径で表した。
Figure 2007130591
2.2.2 結果と考察
図3に各アルカリ溶液濃度条件下における気泡径の分布を示す。この図より、水酸化カリウムの濃度に依存して微細な炭酸ガスの気泡が発生することがわかった。
図4にアルカリ溶液濃度と気泡径との関係を示す。この図より、アルカリ溶液が高濃度になるに伴い、多分散から単分散の炭酸ガス気泡が発生すること、ならびに、気泡径についてはマイクロからナノオーダーの微細気泡が発生することが明らかとなった。
また分散気相として窒素ガスを用いた場合、微細気泡は生じなかった。
以上のことから、炭酸ガス気泡はアルカリ溶液に溶解するために、アルカリ溶液が高濃度であるほど気泡が微細になるものと考えられる。
2.3 気泡径と炭酸ガス流量との関係
2.3.1 実験方法
装置1を用いて実験を行った。各濃度の水酸化カリウム水溶液を連続水相とし炭酸ガスを分散気相とした。調整した連続水相中の各水溶液の条件を表3に示した。炭酸ガスを送気し、所定の細孔径のSPG膜に透過させ、水相側に圧力分散し微細気泡を発生させた後、レーザー回折/散乱式粒度分布計の光学セルに直接導入し、気泡径分布を求めた。
気泡径分布の計算には気泡の屈折率1.7を用い、気泡の平均直径はメディアン径で表した。
Figure 2007130591
2.3.2 結果と考察
図5に気泡径と炭酸ガス流量との関係を示す。この図より、炭酸ガス流量が0.4L/min以上の場合に、マイクロからナノオーダーの炭酸ガス気泡が発生することがわかった。以上のことより、炭酸ガスの気泡径は炭酸ガス流量に依存することが明らかとなった。
3. SPG膜を利用した炭酸ガス吸収による鉛の沈殿反応
3.1 目的
本実験の目的は、炭酸ガスを内包したナノバブルあるいはマイクロバブルを用い、重金属の炭酸塩の溶解度積が他の金属イオンに対して非常に小さいことを利用して、重金属の除去・回収技術の開発を行うことである。上述したように、微細気泡の特性は、SPG膜の細孔径、溶媒、炭酸ガス流量などによって大きく影響すると考えられる。そこで、図6aに示す微細気泡発生装置6を用いて沈殿物形成に及ぼすこれらの諸要因について検討した。
微細気泡発生装置6は、分散気相のボンベ67に接続された圧力ゲージ61、分散気相62、分散気相の流量計63、SPG膜モジュール64、連続水相66を収容する気液接触塔65を備える。本装置6はバッチ式の反応を行うことができる。図6bにはSPG膜モジュール64(図6aの破線枠内に対応する部分)の内部の断面構造を示す。モジュール64内に、管状のSPG膜642を配置した。また管状のSPG膜642の外周には外周管643が設けられており、管状のSPG膜642と外周管643との間に加圧された分散気相62が供給される。管状のSPG膜642の内部に連続水相66が存在する。分散気相62を加圧することにより、SPG膜の細孔を介して分散気相を圧入分散させ、連続水相中に微細化した気泡を発生させる
3.2 鉛の沈殿生成に及ぼす諸要因
3.2.1 SPG膜の細孔径の影響
3.2.1.1 実験方法
実験は全て装置6を用いて行った。各水酸化カリウム水溶液に所定量の硝酸鉛を溶解させた水溶液を連続水相とし、炭酸ガスを分散気相とした。調整した各水溶液250mlは連続水相66として気液接触塔65に入れ、炭酸ガスを所定の流量で送気し、SPG膜に透過させ、連続水相中に微細化した気泡を発生させた。SPG膜として細孔径15.0μmのものと、20.5μmのものを用いた。実験条件を表4に示した。
Figure 2007130591
連続水相を任意の時間毎に4mlずつ採取し、ろ過した。ろ液中の水素イオン濃度はpHメーターを用いて測定し、残存する鉛の濃度は原子吸光光度計使用して測定を行った。以下の式より鉛の沈殿除去率を求めた。
沈殿除去率[%]=100×(Cinit.−Ceq)/(Cinit.
式中、Cinit.は水相中の鉛イオンの初濃度(mol/dm)を示し、Ceqは気相分散開始後の各時点における水相中の鉛イオンの平衡濃度(mol/dm)を示す。
3.2.1.2 結果と考察
炭酸ガス流量が0.1125L/minである場合におけるpHと炭酸ガス分散時間との関係を図7に、鉛の沈殿除去率と炭酸ガス分散時間との関係を図8に示す。これらの図から、炭酸ガス流量が0.1125L/minである場合には、SPG膜の細孔径の相違がpH及び沈殿除去率の経時変化にほとんど影響していないことを示す。これは、炭酸ガスの流量が大きいためであると考えられる。この条件下では沈殿開始後数分で100%近くの鉛イオンが除去された。
なお、炭酸ガス流量を約1/10(0.015L/min)として同様の実験を行ったところ、この場合もまたPG膜の細孔径の相違が鉛の沈殿除去率はほとんど影響しなかった(図示せず)。しかしながら、SPG膜の細孔径が小さい程、鉛の沈殿除去率が高くなる傾向がみられた。
3.2.2 水溶液のアルカリ溶液濃度の影響
3.2.2.1 実験方法
実験は上述した3.2.1と同様の手順で行った。実験条件を表5に示した。
Figure 2007130591
3.2.2.2 結果と考察
水相のアルカリ溶液濃度を変化させた場合のpHと炭酸ガス分散時間との関係を図9に、鉛の沈殿除去率と炭酸ガス分散時間との関係を図10に示す。この図より、分散時間の経過と共に鉛の沈殿除去率は増加し、低濃度の水酸化カリウム水溶液では数分で100%近く除去されることがわかった。
以上のことより、水酸化カリウム濃度の増加に伴い、鉛の沈殿除去率は低下する傾向を示した。これは水酸化カリウム濃度が高くなると、水溶液中で炭酸鉛の沈殿物形成よりも、より安定な鉛の水酸化物陰イオンとして存在するためであると考えられる。
3.2.3 溶媒(水とアルカリ溶液)の影響
3.2.3.1 実験方法
実験は上述した3.2.1と同様の手順で行った。実験条件を表6に示した。
Figure 2007130591
3.2.3.2 結果と考察
異なる溶媒(水とアルカリ溶液)におけるpHと炭酸ガス分散時間との関係を図11に、鉛の沈殿除去率と炭酸ガス分散時間との関係を図12に示す。この図に示される通り、溶媒が高pH領域(pH=13)にある水酸化カリウム水溶液において、鉛の沈殿除去率は高かった。低pHから中性付近のpH領域の溶媒(水)においては、鉛の沈澱率は40%程度であった。これらのことより、鉛の沈殿反応において水酸化物イオンが関与していることがわかる。また、溶媒として水酸化カリウム水溶液を用いた場合にのみ、炭酸ガス分散時間の経過に伴いpHが急激に低下する傾向を示した。これは、炭酸ガスが水酸化カリウム水溶液に溶解したためにpHが下がったこと、および鉛の沈殿反応に水酸化物イオンが関与していることが原因と考えられる。
3.2.4 金属濃度の影響
3.2.4.1 実験方法
実験は上述した3.2.1と同様の手順で行った。実験条件を表7に示した。
Figure 2007130591
3.2.4.2 結果と考察
水溶液の鉛の濃度を0.1mMと1mMとで変化させて、沈澱率に対する影響を検討した。溶液のpH変化と炭酸ガス分散時間との関係を図13に、鉛の沈殿除去率と炭酸ガス分散時間との関係を図14に示す。この図に示される通り、鉛の濃度に関係なく本実験条件では、ほぼ100%の除去率が達成された。
3.2.5 沈澱物のエックス線回折
3.2.5.1 実験方法
本実験は装置6を用いて行った。0.5mol/dmの水酸化カリウム水溶液に所定量の硝酸鉛を溶解した水溶液を連続水相とし、炭酸ガスを分散気相とした。調整した水溶液250mlを連続水相66として気液接触塔65に入れ、炭酸ガスを送気し、SPG膜に透過させ、連続水相中に微細化した気泡を発生させた。反応開始19分、60分で得られた沈殿物を採取し、ろ過後、蒸留水で洗浄し、乾燥させた。沈殿物の同定はエックス線回折計を用いて行い、沈殿物の形状は写真走査型電子顕微鏡を用いて観察し、また、沈殿物の粒径はレーザー回折/散乱式粒度分布粒径を用いて測定した。諸条件を表8に示した。
Figure 2007130591
3.2.5.2 結果と考察
鉛の沈殿物のエックス線回折ピークデーターを図15に示す。この図に示すように、反応後19分後、60分後の沈殿は、それぞれ炭酸水酸化鉛の標準試料(黒丸印)、炭酸鉛の標準試料(白丸印)と同じ角度位置にピークがみられたことにより、それぞれ炭酸水酸化鉛、炭酸鉛と同定した。以上のことより、沈殿反応開始19分後には沈殿として炭酸水酸化鉛が、60分後には沈殿として炭酸鉛が形成されていたことを確認した。
外圧式微細気泡発生装置1の概略図である。 SPG膜モジュール14の断面図である。 気泡径とSPG膜の細孔径との関係を示す図である。 異なるアルカリ溶液濃度条件下における気泡径の分布を示す図である。 アルカリ溶液濃度と気泡径との関係を示す図である。 気泡径と炭酸ガス流量との関係を示す図である。 微細気泡発生装置の概略図である。 SPG膜モジュール64の断面図である。 炭酸ガス流量が0.1125L/minである場合のpHと炭酸ガス分散時間との関係を示す図である。 炭酸ガス流量が0.1125L/minである場合の鉛の沈殿除去率と炭酸ガス分散時間との関係を示す図である。 水相のアルカリ溶液濃度を変化させた場合のpHと炭酸ガス分散時間との関係を示す図である。 水相のアルカリ溶液濃度を変化させた場合の鉛の沈殿除去率と炭酸ガス分散時間との関係を示す図である。 異なる溶媒(水とアルカリ溶液)におけるpHと炭酸ガス分散時間との関係を示す図である。 異なる溶媒(水とアルカリ溶液)における鉛の沈殿除去率と炭酸ガス分散時間との関係を示す図である。 異なる鉛濃度におけるpHと炭酸ガス分散時間との関係を示す図である。 異なる鉛濃度における鉛の沈殿除去率と炭酸ガス分散時間との関係を示す図である。 反応後各時点における鉛の沈殿物のエックス線回折ピークデーターを示す図である。
符号の説明
1 外圧式微細気泡発生装置
11 連続水相
12 マグネチックポンプ
13 分散気相
14 SPG膜モジュール
15 粒度分布測定装置
16 ボンベ
17 圧力ゲージ
141 SPG膜モジュールの外装部材
142 管状のSPG膜
143 外周管
6 微細気泡発生装置
61 圧力ゲージ
62 分散気相
63 流量計
64 SPG膜モジュール
65 気液接触塔
66 連続水相
67 ボンベ
641 SPG膜モジュールの外装部材
642 管状のSPG膜
643 外周管

Claims (5)

  1. 金属イオンを溶解してなる液体に多孔質体を通じて炭酸ガスを圧入分散させて、液体中に炭酸ガスの気泡を生成させ、金属イオンを炭酸塩として析出させる工程を含む金属イオンの回収方法であって、前記多孔質体が、その相対累積細孔分布曲線において、細孔容積が全体の10%を占めるときの細孔径を、細孔容積が全体の90%を占めるときの細孔径で除した値が1〜1.5となる細孔を備えた多孔質体である、金属イオンの回収方法。
  2. 多孔質体が多孔質ガラスである請求項1記載の方法。
  3. 多孔質ガラスがガラスのミクロ相分離を利用して製造されたものである請求項2記載の方法。
  4. 気泡の平均気泡径が数10μm以下である請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 金属イオンを溶解してなる液体のpH値が8〜13である請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
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