以下、本発明の実施の形態による塗装システムを自動車の車体を塗装する場合を例に挙げ、図1ないし図40に従って詳細に説明する。
図1、図2において、1は自動車の車体2を塗装する塗装ラインで、該塗装ライン1は、前記車体2を搬送するコンベア装置3を有している。また、コンベア装置3の途中には、その左,右方向の両側に位置して後述の塗装システム11が配設されている。
11はコンベア装置3の途中に位置して左,右方向の両側に配設された塗装システムを示している。この塗装システム11は、後述するロボット装置13、塗装機14、霧化ヘッド交換洗浄装置31、カートリッジ交換装置41によって大略構成されている。
12はコンベア装置3の左,右方向に所定寸法離間して配設され、該コンベア装置3と並行して延びた2本の走行レールを示している。こられの走行レール12は、トラッキング機構を構成するもので、後述するロボット装置13をコンベア装置3によって搬送される車体2に追従して移動させる。
13は走行レール12上に配設された塗装作業を行うためのロボット装置を示している。このロボット装置13は、ティーチング内容に応じてその先端に設けられた後述の塗装機14を車体2に追従させて、該車体2に塗装を施すものである。
また、ロボット装置13は、走行レール12上をコンベア装置3とほぼ平行に走行しつつ後述の塗装機14を車体2に沿って移動させることにより、車体2の前側から後側まで塗装することができる。また、ロボット装置13は、塗装機14を移動させて後述する霧化ヘッド交換洗浄装置31の交換位置Oに配置することができる。
そして、ロボット装置13は、走行レール12上に設けられ、コンベア装置3の搬送方向に沿って移動する台座13Aと、該台座13A上に回転可能かつ揺動可能に設けられた垂直アーム13Bと、該垂直アーム13Bの先端に揺動可能に設けられた水平アーム13Cと、該水平アーム13Cの先端に回動、回転自在に設けられた手首13Dとにより多関節のアームを有するロボット装置として構成されている。
ここで、ロボット装置13は、後述の共通本体部把持装置33により塗装機14の共通本体部15を把持するときに、各アーム13B,13C、手首13Dを動作させるために回転モータ、往復動アクチュエータ(いずれも図示せず)等に発生させる駆動力(駆動トルク)を低減するように制御する。この制御は、ロボット装置13のアーム13B,13C、手首13D等に外力を加えた場合、この外力に従って自由に動くようにするものである。これにより、塗装機14の共通本体部15は、いずれの方向にも自由に移動できる自由状態となるから、共通本体部把持装置33は、塗装機14を任意の方向に動かすことができ、共通本体部15を後述の交換位置Oに正確に位置決めすることができる。
14はロボット装置13を構成する水平アーム13C先端の手首13Dに取付けられた塗装機を示している。この塗装機14は、車体2を塗装するもので、後述する回転霧化頭22を備えた回転霧化頭型塗装機として構成されている。また、塗装機14は、図3に示す如く、後述の共通本体部15、霧化ヘッド19、カートリッジ24等により大略構成されている。
15はロボット装置13に固定的に取付けられた共通本体部で、該共通本体部15は、後述の洗浄済み霧化ヘッド19と使用済み霧化ヘッド19′、充填済みカートリッジ24と使用済みカートリッジ24′が交換して取付けられる共通の本体部を構成している。そして、共通本体部15は、図3、図4に示すように、水平アーム13C先端の手首13Dに取付けられたネック部15Aと、該ネック部15Aの先端に一体形成された円柱状の取付部15Bとにより構成されている。
また、取付部15Bの前側は、図5に示す如く、後述の霧化ヘッド19が交換可能に接続される霧化ヘッド接続部15Cとなっている。一方、取付部15Bの後側は、後述のカートリッジ24が交換可能に嵌合されるカートリッジ嵌合部15Dとなっている。さらに、取付部15Bの軸中心位置には、カートリッジ24のフィードチューブ27が挿通されるフィードチューブ挿通孔15Eが形成されている。
ここで、共通本体部15の取付部15Bには、図3、図17、図18等に示す如く、当該取付部15Bを回転方向と後述する共通本体部把持装置33に取付けたときの上,下方向に位置を合わせるための位置合せ部となる一対の把持面15Fが形成されている。この一対の把持面15Fは、取付部15Bの径方向で対向する位置に凹陥して形成されている。また、各把持面15Fは、取付部15Bの径方向で互いに平行面をなす平坦面15F1と、該平坦面15F1の後側に設けられた一側傾斜面15F2と、前記平坦面15F1を挟んで該一側傾斜面15F2と反対側に設けられた他側傾斜面15F3とにより構成されている。ここで、一側傾斜面15F2と他側傾斜面15F3とは、取付部15Bの径方向外側に向け互いに離間するように傾斜している。
そして、各把持面15Fは、図19に示す如く、後述する共通本体部把持装置33の回転方向位置決め部33Dに挟まれ、平坦面15F1に平坦面33D1が当接することにより、交換位置Oを通る上,下方向の中心線O1−O1に対して共通本体部15を回転方向に位置決めすることができる。また、各把持面15Fが共通本体部把持装置33の回転方向位置決め部33Dに挟まれたときには、傾斜面15F2,15F3は、図20に示す如く、回転方向位置決め部33Dの傾斜面33D2,33D3に当接することにより、共通本体部15を上,下方向に位置決めすることができる。
16は共通本体部15のネック部15Aに設けられた高電圧発生器で、該高電圧発生器16は、例えばコッククロフト回路によって構成されている。そして、高電圧発生器16は、例えば−60〜−120kVに昇圧した高電圧を、後述するエアモータ21の回転軸21B等を介して回転霧化頭22に印加するものである。
17は共通本体部15に取付けられたカートリッジ24内の塗料を押出すための押出し液体が流通する共通本体部側の押出し液体通路、18は該押出し液体通路17の途中に位置して共通本体部15に設けられた押出し液体弁を示している。この押出し液体弁18は、押出し液体通路17を連通、遮断し、カートリッジ24に供給する押出し液体を制御するものである。
次に、19は共通本体部15の霧化ヘッド接続部15Cに着脱可能に接続された霧化ヘッドを示している(図4参照)。この霧化ヘッド19は、後述のカートリッジ24から供給される塗料を車体2に向けて噴霧するものである。また、霧化ヘッド19は、例えば2個用意されており、適宜に交換して用いる構成となっている。そして、霧化ヘッド19は、図6に示す如く、後述するボディ20、エアモータ21、回転霧化頭22、シェーピングエアリング23等からなる回転霧化頭型の霧化ヘッドとして構成されている。
ここで、後述する動作説明では、2個の霧化ヘッド19のうち、前色塗料が洗浄された霧化ヘッドを「洗浄済み霧化ヘッド19」とする。一方、塗装作業に使われて前色塗料が付着している霧化ヘッドを「使用済み霧化ヘッド19′」として、洗浄済み霧化ヘッド19と区別するものとする。
20は霧化ヘッド19の外殻をなすボディで、該ボディ20は、前側に向けて漸次縮径するテーパ筒状に形成され、その内部はモータ収容部20Aとなっている。また、ボディ20の外周側には、例えば3個の係合穴20B(2個のみ図示)が設けられている。これらの係合穴20Bは、図21、図22に示す如く、後述する霧化ヘッド把持装置35の把持具35Cに設けられた係合突起35Eが係合するものである。さらに、ボディ20の後端には、位置決めピン20Cが突設され、該位置決めピン20Cは、共通本体部15の位置決め穴(図示せず)に挿入されることにより、回転方向に位置決めするものである。
21はボディ20のモータ収容部20Aに設けられたエアモータを示している。このエアモータ21は、モータケース21A内に回転可能に支持された中空な回転軸21Bをエアタービン21Cにより例えば3000〜100000rpmの高速で回転駆動するものである。
22はエアモータ21の回転軸21B先端に取付けられた回転霧化頭を示している。この回転霧化頭22は、エアモータ21によって高速回転されることにより、カートリッジ24のフィードチューブ27から吐出された塗料を遠心力によって微粒化し噴霧するものである。
また、23は回転霧化頭22の外周側に位置してボディ20の前端に設けられたシェーピングエアリングを示している。このシェーピングエアリング23は、回転霧化頭22から噴霧された塗料粒子の噴霧パターンを成形するシェーピングエアを噴出するものである。
次に、24は共通本体部15のカートリッジ嵌合部15Dに着脱可能に嵌合されるカートリッジで、該カートリッジ24は、図4、図7に示すように、後述するカートリッジ交換装置41の載置台42に各色毎に複数個載置されている。そして、カートリッジ24は、後述するタンク25、ピストン26、フィードチューブ27等によって大略構成されている。
ここで、後述する動作説明では、複数個のカートリッジ24のうち、タンク25内に次色として用いる塗料が充填されているカートリッジを「充填済みカートリッジ24」とする。一方、塗装作業に使用されてタンク25内に前色塗料が残存していないカートリッジを「使用済みカートリッジ24′」として、充填済みカートリッジ24と区別するものとする。
25はカートリッジ24のタンクで、該タンク25は、軸方向の両端が閉塞された円筒状の容器として形成されている。また、タンク25の後端側には、後述する揺動アーム部48のカートリッジ把持機構48B,48Cによって把持される把持突起25Aが設けられている。また、タンク25内には、軸方向に変位可能にピストン26が挿嵌され、該ピストン26は、タンク25内を前側の塗料室25Bと後側の押出し液体室25Cとに画成している。さらに、タンク25の前側には、後述するフィードチューブ27の塗料供給路27Aを塗料室25Bに連通する塗料通路25Dが設けられている。
27はタンク25の前側に設けられたフィードチューブで、該フィードチューブ27は、その基端側がタンク25の前側部位に固着されている。一方、フィードチューブ27の先端側は、図4に示すように、共通本体部15のフィードチューブ挿通孔15E内を延び、その先端部が回転霧化頭22に向け開口している。また、フィードチューブ27内には、タンク25の塗料室25Bに連通する塗料供給路27Aが形成されている。さらに、フィードチューブ27の先端側には、前記塗料供給路27Aを縮径して弁座部27Bが設けられている。
28は押出し液体室25Cに連通してタンク25に設けられたカートリッジ側の押出し液体通路で、該押出し液体通路28は、図4に示すように、共通本体部15のカートリッジ嵌合部15Dにカートリッジ24を嵌合したときに共通本体部側の押出し液体通路17と連通するものである。
また、29はタンク25の前側部位に設けられた塗料弁で、該塗料弁29は、フィードチューブ27から霧化ヘッド19に向けて供給される塗料のオン・オフ制御を行うものである。そして、塗料弁29は、軸方向に変位可能なピストン29Aと、該ピストン29Aからフィードチューブ27の塗料供給路27A内を延び、先端が弁座部27Bに離着座する弁体29Bとを含んで構成されている。
次に、ロボット装置13に設けられた塗装機14の共通本体部15に対し、2個の霧化ヘッド19,19′を交換して取付けると共に、取外した使用済み霧化ヘッド19′を洗浄する霧化ヘッド交換洗浄装置31の構成について、図8ないし図39を参照しつつ説明する。
即ち、31は本実施の形態による霧化ヘッド交換洗浄装置で、該霧化ヘッド交換洗浄装置31は、図2に示す如く、ロボット装置13の作動範囲内で塗装作業の邪魔にならない位置、例えば走行レール12と塗装ブースの壁面(図示せず)との隙間に配設されている。この霧化ヘッド交換洗浄装置31は、塗装機14の共通本体部15に取付けられた使用済み霧化ヘッド19′を洗浄済み霧化ヘッド19と交換し、取外した使用済み霧化ヘッド19′を洗浄するものである。従って、霧化ヘッド交換洗浄装置31は、図11ないし図13に示す如く、後述の固定板32、共通本体部把持装置33、昇降装置34、霧化ヘッド把持装置35、洗浄装置36,37等によって構成されている。
32は霧化ヘッド交換洗浄装置31のベースとなる固定部材としての固定板を示している。この固定板32は、上,下方向に延びる板状の構造物として形成されている。また、固定板32は、図8、図12に示す如く、例えば後面側が後述するカートリッジ交換装置41の載置台42の前面に取付けられ、下側がフロア等に固定されている。
33は共通本体部把持装置を示し、該共通本体部把持装置33は、ロボット装置13に取付けられた塗装機14の共通本体部15を把持することができる位置、即ち、図14等に示す如く、固定板32の上側部位に固定して取付けられている。この共通本体部把持装置33は、塗装機14の共通本体部15に対して霧化ヘッド19、カートリッジ24を交換して取付ける場合に、霧化ヘッド交換洗浄装置31による交換位置Oに共通本体部15を位置決め固定するものである。
ここで、霧化ヘッド交換洗浄装置31による交換位置Oとは、図11、図13、図17、図18に一点鎖線で示す如く、後述する共通本体部把持装置33の各爪部33Cに設けられた回転方向位置決め部33Dにより、共通本体部15の把持面15Fを把持する場所をいう。そして、共通本体部把持装置33が固定板32に固定して取付けられているため、この交換位置Oは、一対の爪部33Cによって囲まれた不動な特定位置(特定空間)として定められるものである。このため、共通本体部把持装置33によって共通本体部15を把持したときには、該共通本体部15は、交換位置Oの中心を通る上,下方向の中心線O1−O1上で、特定な位置に保持される。
そして、共通本体部把持装置33は、図13に示す如く、固定板32の前面上部側に取付けられて前方に突出する取付フレーム33Aと、該取付フレーム33Aの先端部に横長に取付けられたアクチュエータ33Bと、該アクチュエータ33Bに左,右方向に対向した状態で取付けられ、互いに接近、離間する一対の爪部33Cと、該各爪部33Cに互いに対向して取付けられた回転方向位置決め部33Dとにより大略構成されている。ここで、アクチュエータ33Bは、例えばエアシリンダ、モータ等により接近、離間する駆動部(いずれも図示せず)を有し、該各駆動部に爪部33Cを取付けることにより、該各爪部33Cを把持動作させることができる。
また、各爪部33Cは、図19、図20に示すように、ロボット装置13によって霧化ヘッド交換洗浄装置31の交換位置Oに運ばれた塗装機14を構成する共通本体部15の取付部15Bを挟んで固定するものである。また、各爪部33Cの基端側と先端側には、交換位置Oを通る上,下方向の中心線O1−O1と平行な傾斜面33C1がそれぞれ設けられている。これらの傾斜面33C1は、各爪部33Cで共通本体部15の取付部15Bを挟んだときに、該取付部15Bが霧化ヘッド交換洗浄装置31による交換位置Oと一致するように案内するものである。
さらに、各回転方向位置決め部33Dは、中心線O1−O1に対して平行となると共に中心線O1−O1を挟んで互いに対面する平行面をなす平坦面33D1と、該平坦面33D1の上側に設けられた一側傾斜面33D2と、前記平坦面33D1を挟んで該一側傾斜面33D2と反対側に設けられた他側傾斜面33D3とにより構成されている。ここで、一側傾斜面33D2は、共通本体部15に設けられた把持面15Fの一側傾斜面15F2とほぼ同じ角度をもって傾斜し、他側傾斜面33D3は、把持面15Fの他側傾斜面15F3とほぼ同じ角度をもって傾斜している。
これにより、各回転方向位置決め部33Dは、各爪部33Cによって共通本体部15の取付部15Bを挟むときに、該取付部15Bに形成された把持面15Fに当接し、共通本体部15を交換位置Oに自動的に位置決めする。即ち、各回転方向位置決め部33Dは、図19に示す如く、その平坦面33D1を共通本体部15に設けられた把持面15Fの平坦面15F1に当接させることにより、共通本体部15を回転方向に自動的に位置決めする。また、図20に示す如く、各傾斜面33D2,33D3を把持面15Fの各傾斜面15F2,15F3に当接させることにより、共通本体部15を上,下方向に自動的に位置決めする。
ここで、共通本体部把持装置33の各爪部33C、回転方向位置決め部33Dによって共通本体部15の取付部15Bを把持するときには、図40のフローチャートのステップ4に示す制御を行う。即ち、ロボット装置13のアーム13B,13C、手首13Dを回転モータ、往復動アクチュエータ(いずれも図示せず)等を用いて駆動するとき、回転トルク等の駆動力を低減するようにロボット装置13を制御する。これにより、外力によってアーム13B,13C、手首13Dが自由に動くようにする。この結果、塗装機14の共通本体部15は、外力によって任意の方向に動かすことができる自由状態となる。
従って、固定板32に取付けた共通本体部把持装置33は、ロボット装置13によって運ばれた共通本体部15の取付部15Bを各爪部33Cで挟むことにより、各傾斜面33C1によってロボット装置13との位置ずれを修正し、共通本体部15の取付部15Bを霧化ヘッド交換洗浄装置31による交換位置Oに位置決めすることができる。
しかも、図17に示すように、共通本体部15が回転方向に位置ずれしている場合、取付部15Bに形成された各把持面15Fの平坦面15F1に、共通本体部把持装置33の各回転方向位置決め部33Dの平坦面33D1を当接する。これにより、共通本体部把持装置33は、図19に示す如く、共通本体部15の回転方向の位置ずれを修正することができる。
さらに、各回転方向位置決め部33Dが共通本体部15の把持面15Fを把持するときには、回転方向位置決め部33Dの各傾斜面33D2,33D3が把持面15Fの各傾斜面15F2,15F3に当接する。これにより、図18に示すように、共通本体部15が上,下方向に位置ずれしている場合でも、図20に示すように、共通本体部把持装置33は、共通本体部15の上,下方向の位置ずれを修正することができる。
これにより、共通本体部把持装置33は、塗装機14を正確な霧化ヘッド交換洗浄装置31の交換位置Oに、正確な向きで自動的に位置決めすることができ、共通本体部15に対して霧化ヘッド19、カートリッジ24を取付け、取外しするときに、これらが互いに干渉して無理な負荷が作用するのを防止することができる。
34は固定板32の前面側に設けられた昇降装置で、該昇降装置34は、後述の霧化ヘッド把持装置35、洗浄装置36,37を上,下方向に移動するものである。また、昇降装置34は、図11ないし図16に示す如く、固定板32の前側に対面して設けられた取付板34Aと、該取付板34Aと固定板32との間に設けられ該取付板34Aを上,下方向に移動可能に案内するガイドレール34Bと、前記取付板34Aを上,下方向に移動させるボールねじ装置34Cと、固定板32の上側部位に取付けられ、該ボールねじ装置34Cを駆動するモータ34Dとにより大略構成されている。
そして、昇降装置34は、モータ34Dによってボールねじ装置34Cを回転駆動することにより、取付板34Aと一緒に霧化ヘッド把持装置35、洗浄装置36,37を上,下方向の3位置に移動させるものである。
35は昇降装置34の取付板34Aに取付けられた霧化ヘッド把持装置を示している。この霧化ヘッド把持装置35は、取付板34Aの下側部位に横長に取付けられたシリンダ装置35Aと、該シリンダ装置35Aに左,右方向に移動可能に取付けられたほぼT字状の移動板35Bと、該移動板35Bの左側に位置して前向きに突出したU字状の把持具35Cと、該移動板35Bの右側に位置して前向きに突出したU字状の把持具35Dとにより大略構成されている。ここで、シリンダ装置35Aには、例えばエア圧、磁力等を利用したロッドレスシリンダと呼ばれるアクチュエータが用いられている。
また、左,右の把持具35C,35Dには、図21に示す如く、左,右位置と奥部位置との3箇所に突出可能な係合突起35Eが設けられている。そして、各係合突起35Eは、図22に示すように、把持具35C,35Dに霧化ヘッド19が配置されたときに該霧化ヘッド19に向けて突出する。これにより、各係合突起35Eは、霧化ヘッド19のボディ20に形成された係合穴20Bに係合し、該霧化ヘッド19を固定するものである。
また、霧化ヘッド把持装置35は、左側の把持具35Cの中心線P1−P1と右側の把持具35Dの中心線P2−P2との間隔が寸法W1に設定されている。この一対の把持具35C,35Dの間隔寸法W1は、後述する洗浄装置36,37の間隔寸法W2の半分となっている(W1=W2/2)。
そして、霧化ヘッド把持装置35は、共通本体部把持装置33が塗装機14の共通本体部15を把持するときに、図30に示す如く、昇降装置34によって最も上側のA位置に配置されている。このA位置では、図31に示すように、共通本体部把持装置33によって共通本体部15を把持するのとほぼ同時に、把持具35C(35D)によって霧化ヘッド19を把持することができる。
また、霧化ヘッド把持装置35は、図32に示す如く、B位置まで下降することにより、共通本体部15から霧化ヘッド19を取外すことができる。また、B位置では、図33に示す如く、シリンダ装置35Aにより移動板35Bと一緒に把持具35C(35D)に把持した霧化ヘッド19を左,右方向に移動することができる。
ここで、シリンダ装置35Aにより移動板35Bを右側に移動したときには、図32に示す如く、左側の把持具35Cの中心線P1−P1が共通本体部把持装置33の交換位置Oを通る中心線O1−O1に位置し、右側の把持具35Dの中心線P2−P2が右側の洗浄装置37の中心線Q2−Q2に位置するようになっている。一方、図33に示す如く、霧化ヘッド把持装置35は、シリンダ装置35Aにより移動板35Bを左側に移動したときに、左側の把持具35Cの中心線P1−P1が後述する左側の洗浄装置36等の中心線Q1−Q1に位置し、右側の把持具35Dの中心線P2−P2が共通本体部把持装置33の交換位置Oを通る中心線O1−O1に位置する構成となっている。
さらに、霧化ヘッド把持装置35は、図38に示す如く、C位置まで大きく下降することにより、把持具35C(35D)に把持した使用済み霧化ヘッド19′を後述の廃液回収器38内に挿入することができる。
36は昇降装置34の取付板34Aの左側に設けられた左側の洗浄装置を示している。この洗浄装置36は、図23、図24に示す如く、取付板34Aの左側部位に縦長に取付けられたシリンダ装置36Aと、該シリンダ装置36Aに上,下方向に移動可能に取付けられたほぼ長方形状の移動板36Bと、該移動板36Bの上端部に前側に突出した状態で取付けられた洗浄具36Cとにより大略構成されている。ここで、シリンダ装置36Aには、例えばエア圧、磁力等を利用したロッドレスシリンダと呼ばれるアクチュエータが用いられている。
また、洗浄具36Cは、霧化ヘッド19の回転霧化頭22に向けて洗浄液体を噴出する洗浄液体チューブ36Dを有している。また、洗浄装置36には、洗浄液体チューブ36D内の通路を連通、遮断する洗浄弁、エアモータ21を駆動するために、加圧エアが送気される駆動エア通路、シェーピングエア通路(いずれも図示せず)等が設けられている。そして、洗浄具36C、洗浄液体チューブ36Dは、中心線Q1−Q1に配置されている。
一方、37は昇降装置34の取付板34Aの右側に設けられた右側の洗浄装置を示している。この右側の洗浄装置37は、前述した左側の洗浄装置36と同様に、シリンダ装置37A、移動板37B、洗浄具37C、洗浄液体チューブ37Dにより大略構成されている。そして、洗浄具37C、洗浄液体チューブ37Dは、中心線Q2−Q2に配置されている。これにより、図13に示す如く、左側の洗浄装置36と右側の洗浄装置37との間隔は寸法W2となっている。
ここで、左,右の洗浄装置36,37は、シリンダ装置36A,37Aによって洗浄具36C,37Cを、取付板34Aの上方のD位置(図31等に示す位置)と、廃液回収器38に接近した下側のE位置(図38に示す位置)との2位置に移動するものである。
そして、洗浄具36C,37Cは、上側のD位置で待機位置となり、下側のE位置では、洗浄具36C,37Cの洗浄液体チューブ36D,37Dを霧化ヘッド19に差し入れた洗浄位置となる。この洗浄位置では、洗浄液体チューブ36D,37Dから洗浄液体を噴出することにより回転霧化頭22等に付着した塗料を洗浄することができる。
38,38は左,右の洗浄装置36,37の下方に設けられた左,右の廃液回収器で、該各廃液回収器38は、洗浄具36C,37Cとほぼ同軸に配置された有底円筒状の容器から構成されている。そして、左,右の廃液回収器38は、洗浄装置36,37によって霧化ヘッド19を洗浄したときに、周囲に飛び散らないように洗浄廃液を回収するものである。また、各廃液回収器38の内部には、回転霧化頭22、シェーピングエアリング23等の外周面に向けて洗浄液体を噴出するノズル(図示せず)が設けられ、該ノズルから噴射する洗浄液体により回転霧化頭22、シェーピングエアリング23等の外周面に付着した塗料を洗浄することができる。
次に、ロボット装置13に設けられた塗装機14の共通本体部15に対し、複数個のカートリッジ24を交換して取付けるカートリッジ交換装置41の構成について、図8〜図10、図25〜図29を参照しつつ説明する。
即ち、41は霧化ヘッド交換洗浄装置31の後側に設けられたカートリッジ交換装置を示している。このカートリッジ交換装置41は、塗装機14の共通本体部15に取付けられた使用済みカートリッジ24′と塗料が充填された充填済みカートリッジ24とを交換するものである。そして、カートリッジ交換装置41は、図25、図26に示す如く、後述の載置台42、塗料充填装置43、カートリッジ移動装置44等により大略構成されている。
42はカートリッジ交換装置41の本体部をなす載置台で、該載置台42は、複数個のカートリッジ24を並べて配置するものである。そして、載置台42は、左,右方向(車体2の搬送方向)に長尺な直方体状に組立てられたフレーム体42Aと、該フレーム体42Aの中間部下側寄りにほぼ水平に取付けられた長方形状の下側棚板42Bと、前記フレーム体42Aの中間部上側寄りにほぼ水平に取付けられた長方形状の上側棚板42Cとにより構成されている。
また、上側棚板42Cには、図10に示す如く、前側寄りに位置して左,右方向に延びる長溝42Dが形成され、該長溝42Dは、後述する円弧運動部46の回動支柱46Bが左,右方向に直線的に移動するのを許すものである。さらに、載置台42は、薄板からなる化粧カバー42E(図1、図2中に図示)によって覆われている。
43は載置台42の下側棚板42Bに設けられた複数個の塗料充填装置を示している(図25、図26参照)。この複数個の塗料充填装置43は、使用済みカートリッジ24′に前色塗料と同色の塗料を充填するもので、この塗料充填装置43は充填する塗料の種類に対応する数だけ設けられている。また、塗料充填装置43は、それぞれ塗料の供給源(図示せず)に接続されている。そして、塗料充填装置43には、上側からフィードチューブ27を挿入するように使用済みカートリッジ24′が取付けられ、この状態で例えばフィードチューブ27の塗料供給路27Aを通じてタンク25の塗料室25Bに塗料を充填するものである。
ここで、複数個の塗料充填装置43は、図26中に点線で示す如く、後述の円弧運動部46により揺動アーム部48を揺動するときの揺動支点Spを中心とし、半径寸法Rをもって描かれる円弧S上に例えば4個並べて配置されている。さらに、塗料充填装置43は、載置台42の幅方向(前,後方向)に円弧Sに沿って並べられた4個を1列とし、載置台42の長さ方向となる左側から右側に円弧S1から円弧S6まで例えばほぼ等間隔で6列配置されている。
44は載置台42に設けられたカートリッジ移動装置で、該カートリッジ移動装置44は、載置台42の塗料充填装置43と交換位置Oに配置された塗装機14の共通本体部15との間で充填済みカートリッジ24、使用済みカートリッジ24′を円弧を描くように揺動して受け渡しするものである。そして、カートリッジ移動装置44は、後述する直線運動部45、円弧運動部46、昇降運動部47、揺動アーム部48等により構成されている。
45は載置台42の上側棚板42C上に設けられた直線運動部で、該直線運動部45は、後述の円弧運動部46、昇降運動部47および揺動アーム部48を載置台42の長さ方向となる左,右方向に直線的に移動するものである。ここで、直線運動部45は、図10、図25に示す如く、上側棚板42Cの長溝42Dを挟む位置に左,右方向に伸長して設けられた一対のガイドレール45Aと、該各ガイドレール45A上に移動可能に取付けられた移動台45Bと、後側のガイドレール45Aと長溝42Dとの間に位置して設けられ、ねじ軸45C1に螺合したブロック45C2(図27参照)が該移動台45Bの下面に取付けられたボールねじ装置45Cと、上側棚板42Cの右側に設けられ、該ボールねじ装置45Cを駆動するモータ45Dとにより大略構成されている。
46は直線運動部45の移動台45Bに取付けられた円弧運動部を示している。この円弧運動部46は、後述の揺動アーム部48を揺動支点Spを中心として水平面上で揺動(旋回動)することにより、先端側のカートリッジ把持機構48Bを円弧状に移動(円弧動)するものである。また、円弧運動部46は、図27に示す如く、移動台45Bのほぼ中央に固定して設けられた固定筒46Aと、軸受46B1により該固定筒46A内に上,下方向を軸線として回動可能に設けられた円筒状の回動支柱46Bと、前記移動台45B上に取付けられ該回動支柱46Bを回動する回動用モータ46Cとにより大略構成されている。
ここで、回動支柱46Bの上端部外周側には、歯車46B2が設けられ、該歯車46B2は回動用モータ46Cの歯車46C1と噛合している。これにより、回動用モータ46Cを回転駆動したときには、歯車46C1,46B2を介して回動支柱46Bを回動することができる。従って、円弧運動部46は、簡単な構造で後述の揺動アーム部48を揺動(旋回動)することができる。
47は円弧運動部46の回動支柱46Bに設けられた昇降運動部で、該昇降運動部47は、後述の揺動アーム部48を上,下方向に移動(上,下動)するものである。即ち、図27、図28に示すように、昇降運動部47は、円弧運動部46の回動支柱46Bから下向きに延びて設けられたガイド部47Aと、該ガイド部47Aに上,下方向に移動可能に取付けられた昇降ブロック47Bと、前記ガイド部47A内を上,下方向に延びるように回転可能に設けられ、該昇降ブロック47Bの螺合部47B1に螺合したねじ軸47Cと、直線運動部45の移動台45B上に取付けられ、該ねじ軸47Cを回転駆動する昇降用モータ47Dとにより大略構成されている。また、昇降ブロック47Bには、揺動アーム部48のアーム本体48Aが取付けられている。
48は昇降運動部47の昇降ブロック47Bに設けられた揺動アーム部を示している。この揺動アーム部48は、図28、図29に示すように、昇降ブロック47Bから水平方向に延びたアーム本体48Aと、該アーム本体48Aの先端部に左,右に並べて設けられた左側のカートリッジ把持機構48B、右側のカートリッジ把持機構48Cとにより大略構成されている。
また、左側のカートリッジ把持機構48Bには、アクチュエータ(図示せず)により互いに接近、離間可能な一対の爪部48B1が設けられている。そして、一対の爪部48B1は、互いに接近することによりカートリッジ24のタンク25に設けられた把持突起25Aを把持するものである。同様に、右側のカートリッジ把持機構48Cにも、アクチュエータ(図示せず)により互いに接近、離間可能な一対の爪部48C1が設けられている。ここで、各カートリッジ把持機構48B,48Cは、円弧運動部46の揺動支点Spから半径寸法Rをもった位置に配置されている。
そして、カートリッジ移動装置44は、直線運動部45により揺動アーム部48を載置台42の長さ方向(左,右方向)に直線動し、円弧運動部46により揺動アーム部48を揺動(円弧動)させつつ、昇降運動部47により昇降(上,下動)させる。これにより、カートリッジ移動装置44は、塗料充填装置43に取付けられた充填済みカートリッジ24を、霧化ヘッド交換洗浄装置31の交換位置Oを通る上,下方向の中心線O1−O1上に移動することができる。また、使用済みカートリッジ24′を塗料充填装置43に戻すこともできる。
このときに、円弧運動部46は、揺動アーム部48のカートリッジ把持機構48BをF位置(図31、図37に示す位置)まで上昇させ、カートリッジ24,24′を抜き差しするときにカートリッジ把持機構48BをF位置からG位置(図32、図35に示す位置)まで下降させる。一方、使用済みカートリッジ24′と塗料が充填されたカートリッジ24とを差し替えるときには、障害になるカートリッジ24′が無いために、上昇をF位置よりも低いH位置(図33、図34に示す位置)で止めて差し換え作業を行うことができる。
本実施の形態による塗装システム11は上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について述べる。
まず、コンベア装置3によって搬送される車体2を塗装する場合について説明する。この場合、ロボット装置13を走行レール12に沿って動作させつつ、該ロボット装置13を用いて塗装作業を行う。このときには、共通本体部15の霧化ヘッド接続部15Cに洗浄済み霧化ヘッド19を接続し、カートリッジ嵌合部15Dに所望の塗色の塗料が充填された充填済みカートリッジ24を嵌合する。これにより、共通本体部15、霧化ヘッド19およびカートリッジ24によってカートリッジ式回転霧化頭型塗装機14を構成することができる。
そして、塗装機14を用いて塗装を行う場合には、ロボット装置13を動作させて霧化ヘッド19の回転霧化頭22を車体2に対面させる。また、エアモータ21により回転霧化頭22を高速で回転しつつ、シェーピングエアリング23からシェーピングエアを噴出する。さらに、高電圧発生器16による高電圧をエアモータ21を介して回転霧化頭22に印加する。この状態で、押出し液体弁18と塗料弁29を開弁し、押出し液体によってフィードチューブ27から回転霧化頭22に向けて塗料を吐出する。これにより、回転霧化頭22は塗料を高電圧に帯電すると共に霧化し、この霧化した塗料を車体2に噴霧することができる。
そして、車体2の塗装が終了したら、使用済み霧化ヘッド19′、使用済みカートリッジ24′を洗浄された洗浄済み霧化ヘッド19、塗料が充填された充填済みカートリッジ24に交換する。
そこで、霧化ヘッド19、カートリッジ24の交換作業について、図40に示すフローチャートに基づき、図30ないし図39の動作説明図に沿って詳細に説明する。
まず、上述したように塗装機14による車体2の塗装作業が終了したら(ステップ1)、図30に示すように、ロボット装置13を動作して塗装機14を一点鎖線で示す霧化ヘッド交換洗浄装置31の交換位置Oに移動する(ステップ2)。この交換位置Oでは、図中に二点鎖線で示すように、塗装機14の共通本体部15が霧化ヘッド交換洗浄装置31の共通本体部把持装置33の各爪部33C間に配置され、使用済み霧化ヘッド19′が霧化ヘッド把持装置35の左側の把持具35Cに固定可能な位置に配置される。
次に、ステップ3に移って、塗装機14が霧化ヘッド交換洗浄装置31の交換位置Oに到達したか判定する。このときに、図30中に二点鎖線で示すように、塗装機14が霧化ヘッド交換洗浄装置31の交換位置Oに到達していると判定した場合には、ステップ4に移る。
ステップ4では、ロボット装置13の駆動力を低減する。ここで、塗装システム11は、塗装機14を交換位置Oに正しく配置すべきにも拘らず、各種の要因により実際に交換位置Oからずれてしまう場合がある。そこで、このステップ4では、ロボット装置13の各アーム13B,13C、手首13Dを作動する回転モータ、往復動アクチュエータ(いずれも図示せず)等の駆動力を低減し、塗装機14に外力を加えれば共通本体部15を自由に動かすことができるように、ロボット装置13を制御する。これにより、塗装機14は自由に動ける自由状態となる。
次のステップ5では、図31に示す如く、ロボット装置13によって霧化ヘッド交換洗浄装置31の交換位置Oに塗装機14が移動されると、共通本体部把持装置33の左,右の爪部33Cにより塗装機14の共通本体部15の取付部15Bを把持する。即ち、共通本体部把持装置33の左,右の爪部33Cで塗装機14の共通本体部15を把持するときには、予めステップ4で塗装機14は自由状態となっている。従って、各爪部33Cで共通本体部15の取付部15Bを把持したときには、各傾斜面33C1によってロボット装置13と間の位置ずれを修正し、共通本体部15の取付部15Bを霧化ヘッド交換洗浄装置31による交換位置Oに正確に位置決めすることができる。
しかも、共通本体部15が回転方向に位置ずれしている場合には、取付部15Bに形成された把持面15Fの平坦面15F1を各回転方向位置決め部33Dの平坦面33D1で挟むことにより、共通本体部15の回転方向の位置ずれを自動的に修正することができる。この結果、共通本体部把持装置33は、図31に示す如く、中心線O1−O1上であって各爪部33C間に特定された交換位置Oに、共通本体部15を正確な向きおよび正確な高さ位置をもって固定することができる。
ここで、ロボット装置13に取付けられた塗装機14を自由状態にするステップ4と、塗装機14の共通本体部15を把持するステップ5とは、ほぼ同時に行われるものである。なお、ステップ4とステップ5は、順番を入れ換えることにより、塗装機14の共通本体部15を把持した後に、ロボット装置13に取付けられた共通本体部15を自由状態にしてもよい。
次に、図31に示す如く、カートリッジ交換装置41を構成する揺動アーム部48の左,右のカートリッジ把持機構48B,48Cのうち、右側のカートリッジ把持機構48Cで充填済みカートリッジ24を把持し、このカートリッジ把持機構48Cを霧化ヘッド交換洗浄装置31側に移動する。このときに昇降運動部47は、把持した充填済みカートリッジ24のフィードチューブ27が障害物に接触しないように高いF位置で移動させ、カートリッジ24を把持していない左側のカートリッジ把持機構48Bを中心線O1−O1上であって交換位置Oの上方に配置する。
次に、ステップ6では、図32に示すように、霧化ヘッド把持装置35の把持具35Cで使用済み霧化ヘッド19′を把持して、霧化ヘッド把持装置35をB位置まで下降させて共通本体部15から取外す。また、ステップ7では、揺動アーム部48をG位置まで下降させ、左側のカートリッジ把持機構48Bで使用済みカートリッジ24′を把持したら、図33に示す如く、昇降運動部47により揺動アーム部48をH位置まで上昇させ、共通本体部15から使用済みカートリッジ24′を引抜く。
ここで、使用済み霧化ヘッド19′を共通本体部15から取外す作業を行うステップ6と、使用済みカートリッジ24′を共通本体部15から取外す作業を行うステップ7とは、順番を入れ換えてもよく、また同時に進行するようにしてもよい。
次に、霧化ヘッド19′からカートリッジ24′のフィードチューブ27が抜けたら、図33に示すように、シリンダ装置35Aにより左側の把持具35Cに把持した使用済み霧化ヘッド19′を左側の洗浄装置36の中心線Q1−Q1に移動し、右側の把持具35Dに把持した洗浄済み霧化ヘッド19を中心線O1−O1上であって交換位置Oの下方に移動する。
次に、ステップ8では、図34に示すように、霧化ヘッド把持装置35の把持具35DをA位置まで上昇し、該把持具35Dに把持された洗浄済み霧化ヘッド19を共通本体部15に取付ける。また、揺動アーム部48の各カートリッジ把持機構48B,48Cを左側に移動し、右側のカートリッジ把持機構48Cで把持している充填済みカートリッジ24を中心線O1−O1上であって交換位置Oの上方に配置する。このときに、昇降運動部47は、F位置よりも低いH位置までしかカートリッジ把持機構48B,48Cを上昇させていないから、移動に要する時間を短縮することができる。
次に、充填済みカートリッジ24を交換位置Oの上方に配置したら、ステップ9に移る。このステップ9では、図35に示すように、カートリッジ把持機構48CをG位置に下降させ、充填済みカートリッジ24を共通本体部15に取付ける。その後に、図36に示す如く、カートリッジ把持機構48Cからカートリッジ24を切離し、該カートリッジ把持機構48CをF位置に上昇する。
なお、洗浄済み霧化ヘッド19を共通本体部15に取付ける作業を行うステップ8と、充填済みカートリッジ24を共通本体部15に取付ける作業を行うステップ9とは、前述したステップ6とステップ7との場合と同様に、順番を入れ換えてもよく、また同時に進行するようにしてもよい。
このようにして、共通本体部15に洗浄済み霧化ヘッド19と充填済みカートリッジ24を取付けて塗装機14の準備が完了したら、図37に示すように、ステップ10に移る。このステップ10では、ロボット装置13に対する駆動力の低減制御を解除する。また、共通本体部把持装置33による共通本体部15の把持を解除し、霧化ヘッド把持装置35による霧化ヘッド19の把持を解除する。この状態で、ロボット装置13を通常の駆動力で制御し、塗装機14を車体2側の塗装待機位置に移動する。
一方、ステップ11では、図38に示す如く、昇降装置34により霧化ヘッド把持装置35をC位置まで下降させ、使用済み霧化ヘッド19′の先端側を廃液回収器38内に挿入する。また、左側の洗浄装置36の洗浄具36CをE位置まで下降させ、洗浄液体チューブ36Dを使用済み霧化ヘッド19′に挿入する。この状態で、洗浄装置36の洗浄液体チューブ36Dから洗浄液体を噴出することにより、廃液を周囲に飛散させることなく回転霧化頭22等を洗浄することができる。
そして、霧化ヘッド19の洗浄が終了したら、図39に示すように、霧化ヘッド把持装置35をA位置まで上昇させ、洗浄装置36をD位置まで上昇させる。これにより、次に行う霧化ヘッド19,19′、カートリッジ24,24′の交換作業のための準備態勢をとることができる。
以上のように、本実施の形態によれば、霧化ヘッド交換洗浄装置31の固定板32に、霧化ヘッド19、カートリッジ24を交換するときに塗装機14の共通本体部15を把持して位置決めする共通本体部把持装置33を設ける構成としている。これにより、塗装機14の共通本体部15に対し、霧化ヘッド19、カートリッジ24を交換して取付ける場合、固定板32に取付けられた共通本体部把持装置33により共通本体部15を把持することができる。このように、共通本体部把持装置33を用いて共通本体部15を霧化ヘッド交換洗浄装置31の交換位置Oに位置決めすることができる。
従って、本実施の形態では、共通本体部把持装置33は、ロボット装置13のアーム13B,13C等を動作させたときの繰返し位置精度によって生じる位置ずれ、ロボット装置13、霧化ヘッド交換洗浄装置31、カートリッジ交換装置41を設置したときの位置ずれを吸収することができ、交換作業を行うときには毎回塗装機14を不動な特定位置となる交換位置Oに正確に位置決めすることができる。
この結果、霧化ヘッド交換洗浄装置31の交換位置Oに正確に位置決めされた共通本体部15に対し、霧化ヘッド19、カートリッジ24を無理なく円滑に脱着することができる。また、共通本体部15、霧化ヘッド19、カートリッジ24の摩耗、損傷を抑制して、耐久性、信頼性を向上することができる。さらに、塗装ライン1の維持管理費等を削減することができる。
また、塗装機14の共通本体部15を霧化ヘッド交換洗浄装置31の交換位置Oに正確に位置決めすることにより、ロボット装置13を設置するときの作業性、霧化ヘッド交換洗浄装置31、カートリッジ交換装置41を加工、設置するときの作業性等を向上することができる。さらに、塗装ライン1全体のコストを低減することができる。
また、固定板32に共通本体部把持装置33を固定的に取付けることにより、共通本体部15を毎回同じ位置に位置決めすることができる。従って、霧化ヘッド交換洗浄装置31、カートリッジ交換装置41は、正確に位置決めされた共通本体部15に対して霧化ヘッド19、カートリッジ24を円滑に取付け、取外しすることができる。
一方、実施の形態によれば、共通本体部把持装置33によって共通本体部15を把持するときには、ロボット装置13の各アーム13B,13C、手首13Dを所望の姿勢に固定している駆動力(駆動トルク)を、外力を加えれば共通本体部15を自由に動かすことができる程度まで低減する。これにより、手首13Dに取付けられた塗装機14は、外力によって任意の方向に動かすことができる自由状態とすることができる。この結果、塗装機14と共通本体部把持装置33との間に位置ずれが生じている場合でも、共通本体部把持装置33は、ロボット装置13の駆動力に邪魔されることなく、塗装機14の共通本体部15を交換位置Oに正確に固定することができる。
しかも、共通本体部15には把持面15Fを設け、共通本体部把持装置33には、共通本体部15を把持して交換位置Oに位置決めする一対の爪部33Cと、該各爪部33Cに設けられ前記共通本体部15の把持面15Fに当接して該共通本体部15を回転方向と上,下方向に位置決めする回転方向位置決め部33Dとを設ける構成としている。
これにより、共通本体部把持装置33は、塗装機14の共通本体部15を正確な交換位置Oに、正確な向きで、正確な上,下方向の位置に自動的に位置決めすることができる。この結果、霧化ヘッド19、カートリッジ24を共通本体部15に取付け、取外しするときに、無理な負荷を作用させることなく円滑に脱着することができ、信頼性、寿命等を向上することができる。
また、カートリッジ交換装置41は、揺動アーム部48を円弧運動部46により揺動させつつ、直線運動部45により載置台42の長さ方向(左,右方向)に直線的に移動させることにより、簡単な構造でカートリッジ24を交換位置Oとの間で移動することができる。従って、カートリッジ24を移動するための構成を、ロボット、XYテーブル等に比較して小型化することができるから、塗装システム11は、設置が困難であった狭小スペースにも設置することができる。
さらに、本実施の形態によれば、カートリッジ交換装置41は、載置台42の長さ方向(左,右方向)に揺動アーム部48を直線的に移動する直線運動部45と、揺動アーム部48を水平面上で揺動(円弧動)させる円弧運動部46と、該円弧運動部46に取付けられ揺動アーム部48を上,下方向に移動(上,下動)させる昇降運動部47と、該昇降運動部47に取付けられカートリッジ24を把持するカートリッジ把持機構48B,48Cを有する揺動アーム部48とにより構成している。これにより、揺動アーム部48に設けられたカートリッジ把持機構48B,48Cは、円弧運動部46によって載置台42の幅方向(前,後方向)に移動する。
この結果、カートリッジ交換装置41は、例えばロボット装置、XYテーブル等を用いたものに比較して、円弧運動部46により全体の構造を簡略化することができる。また、円弧運動部46は、ガイドレール45A等を用いた直線運動部45に比較して軽量化することができるから、カートリッジ交換装置41の動作速度を高めることができ、生産性を向上することができる。さらに、載置台42に配置するカートリッジ24の数が増えた場合でも、直線運動部45のガイドレール45Aを延ばすだけでカートリッジ24の増大に簡単に対応することができる。
なお、実施の形態では、霧化ヘッド交換洗浄装置31の固定板32は、カートリッジ交換装置41の載置台42に取付けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、揺動アーム部48のカートリッジ把持機構48B,48Cが届く範囲であれば、霧化ヘッド交換洗浄装置31の固定板32をカートリッジ交換装置41の載置台42と別個に設ける構成としてもよい。
また、実施の形態では、霧化ヘッド19は、回転霧化頭22を備えた回転霧化頭型の霧化ヘッドとして構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばエア霧化ノズル、液圧霧化ノズル等を備えた他の霧化ヘッドを設ける構成としてもよい。