JP2007125540A - 岩石・構造物等の破砕方法並びにその装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被破砕物Rに設けた装填孔Hに対し、破砕主剤6である硝酸アンモニウムを充填し、テルミット反応を呈する加熱剤5を破砕主剤6に隣接するように配置し、加熱剤5と隣接するように着火具4を配置して装填孔Hを封鎖し、着火具4に通電して加熱剤5にテルミット反応を起こさせ、これにより発生する超高温の反応熱により装填孔H内で硝酸アンモニウムを分解させ、分解ガスの圧力により被破砕物Rを破砕することを特徴として成り、硝酸アンモニウムを迅速且つ確実に分解させることができ、充填孔H内の圧力を急激に高めることにより岩石・構造物等の破砕を安全、確実且つ安価で行うことができる。
【選択図】図1
Description
まず火薬・爆薬等の火薬類(硝安油剤爆薬、含水爆薬、ダイナマイト等)による方法(例えば特許文献1参照)は、費用対効果は良好であるといったメリットがあるが、一方で法的規制(火薬類取締法)の対象となるため、市街地等では安全や周辺環境への影響を充分配慮しなければならず、施工の自由度が低くなってしまうといったデメリットがある。また造成工事中に予期せぬ岩が現れた場合等、急遽破砕作業が必要になった場合に、火薬類の消費許可を申請しても許可を得るまでに時間を要するため、工事の停滞を余儀なくされてしまうこともあった。
また硝酸アンモニウムは、単体であれば衝撃・摩擦等に対して安定であって爆発しにくい物質であり、例えば6号雷管に爆薬を付加したもので起爆することにより爆発させることが実験的に行われたことがあるが、実用的には実施されていない(例えば非特許文献1参照)。すなわち、硝酸アンモニウム単体を用いて岩石、構造物等を破砕することは実用的に実施されていない。
そこで本出願人は、安価で入手することができ、且つ単体の状態で安全である硝酸アンモニウムを用い、充分な破砕性能を具えながらも火薬類取締法の対象外となり、自由度の高い施工を行うことができるとともに、安価に提供することのできる破砕手法の開発に着手することとなった。
この発明によれば、テルミット反応によって得られる超高温の反応熱によって、硝酸アンモニウムを迅速且つ確実に分解させることができ、この分解ガスにより充填孔内の圧力を急激に高めることにより岩石・構造物等の破砕を安全且つ確実に行うことができる。
また硝酸アンモニウム、加熱剤ともに火薬類取締法の対象外であるものを使用するため、自由度に優れた施工を実現することができる。
更にまた硝酸アンモニウム、加熱剤ともに安価で入手することができるため、破砕の施工コストを低減することができる。
この発明によれば、加熱剤の全面が硝酸アンモニウムと隣接することとなるため、加熱剤の反応熱を効率的に硝酸アンモニウムに伝熱することができる。
この発明によれば、装填孔への硝酸アンモニウム及び加熱剤の充填が容易に行えるため、作業性を向上することができる。
この発明によれば、硝酸アンモニウムの受熱面積が増大し、加熱剤の反応熱を硝酸アンモニウム全域に短時間に効率的に伝熱させることができ、硝酸アンモニウムの分解反応をより迅速且つ確実に行うことができる。
この発明によれば、加熱剤から硝酸アンモニウムへの送熱面積が増大するため、加熱剤の反応熱を硝酸アンモニウム側に効率的に伝熱することができ、硝酸アンモニウムの分解反応をより迅速且つ確実に行うことができる。
この発明によれば、硝酸アンモニウムの分解時間を短縮させて、作動時間のばらつきを少なくするとともに、破砕の確実性を向上させることが可能となる。
この発明によれば、着火具によって硝酸アンモニウムに対して積層された状態で隣接する加熱剤に生起されたテルミット反応を、速やかに硝酸アンモニウムの中心に長手方向に延びた芯状の加熱剤に連鎖させることができ、作動時間を短縮させることが可能となる。
この発明によれば、予め形成された破砕薬筒を現場に持ち込むことにより、現場における準備作業を簡素化することができる。
この発明によれば、テルミット反応によって得られる超高温の反応熱によって、硝酸アンモニウムを迅速且つ確実に分解させることができ、この分解ガスにより岩石・構造物等の破砕を安全且つ確実に行うことができる。
また硝酸アンモニウム、加熱剤ともに火薬類取締法の対象外であるものが使用されるため、自由度に優れた施工を実現することができる。
更にまた硝酸アンモニウム、加熱剤ともに安価で入手することができるため、破砕の施工コストを低減することができる。
この発明によれば、加熱剤の全面が硝酸アンモニウムと隣接することとなるため、加熱剤の反応熱を効率的に硝酸アンモニウムに伝熱することができる。
この発明によれば、加熱剤、硝酸アンモニウムをケーシング内に順次充填することにより、破砕装置を容易に製造することができる。
この発明によれば、硝酸アンモニウムの受熱面積が増大するため、加熱剤の反応熱を硝酸アンモニウム全域に効率的に伝熱させることができ、硝酸アンモニウムの分解反応をより迅速且つ確実に行うことができる。
この発明によれば、硝酸アンモニウムへの送熱面積が増するため、加熱剤の反応熱を硝酸アンモニウムに効率的に伝熱させることができ、硝酸アンモニウムの分解反応をより迅速且つ確実に行うことができる。
この発明によれば、硝酸アンモニウムの分解時間を短縮させて、作動時間のばらつきを少なくするとともに、破砕薬筒の作動の確実性を向上させることが可能となる。
この発明によれば、着火具によって硝酸アンモニウムに対してケーシングの長手方向に隣接する加熱剤に生起されたテルミット反応を、速やかに硝酸アンモニウムの中心に長手方向に延びた芯状の加熱剤に連鎖させることができ、破砕薬筒の作動時間を短縮させることが可能となる。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
また前記底蓋3には着火具4が装着され、前記ケーシング1内には加熱剤5及び破砕主剤6が仕切体7を介在させた状態で充填される。
まず前記ケーシング1は図2、3に示すように、一例として直径30mm、長さ200mm程度の寸法で形成された合成樹脂または金属製の筒体であり、一方の開口部11から20mm程の範囲が直径20mm程度の細径部11aとされ、また他方の開口部12付近の側周部には蓋止め12aが形成される。なおケーシング1の径は、細径部11aを格別設けることなく全域にわたって同寸法とするようにしてもよい。
また前記底蓋3は、一方の端面が閉鎖された筒状部材である外筒31と、同じく一方の底面が閉鎖された筒状部材である内筒32とを具えて構成されるものであり、外筒31の底板に形成された孔と前記内筒32とを連接することにより挿入口33が形成される。そして前記外筒31が前記ケーシング1における細径部11に外嵌されるとともに、内筒32がケーシング1内に侵入した状態となるものである。
なお前記ケーシング1と底蓋3とは予め一体で形成したものであっても差し支えない。
またこの実施例では、これらケーシング1、天蓋2及び底蓋3を一例として厚さ1mm程の合成樹脂(一例としてポリプロピレン)によって形成するようにした。
なおこの実施例では着火具4内に具えられる着火薬として、加熱剤5と同様に非火薬であって、更にテルミット反応を呈するような物質が採用されるものであり、加熱剤5よりも発火感度の高いものが用いられる。
またこの実施例では着火具4の形状は管状とするものであり、底蓋3がケーシング1に装着された状態で挿入口33に挿入されることにより、この着火具4はケーシング1内に充填される加熱剤5の内部に実質的に位置することとなる。
この実施例では一例として酸化鉄粉とアルミ粉とを75:25の割合(重量比)で混合して加熱剤5を調製するようにした。
なおテルミット反応を呈する物質は、上記組み合わせの他、例えば酸化銅とアルミのように種々のものがあり、適宜のものを採用することができる。
なお硝酸アンモニウムは、酸素を多く含むため爆薬の原料として多く使用され、軽油を配合することにより硝安油剤爆薬となる他、含水爆薬、ダイナマイト、アンモン爆薬などの原料として広く使用されている。
しかしながら単体の硝酸アンモニウムは危険物ではあるものの、衝撃・摩擦に対して安定で爆発しにくく、火薬類の原料として使用される他、肥料、寒剤などとして使われるものであり、火薬類取締法の対象外となるものである。
なお前記硝酸アンモニウムは一例としてプリル状(多孔質粒状)のものを採用したが、粉状、粒状硝安と呼ばれるものを採用してもよい。
続いて図4(b)に示すように、内筒32が埋もれるまで所定量の加熱剤5をケーシング1内に充填する。この場合、加熱剤5はその一部を事前に加圧成型したものを使用してもよい。
次に図4(c)に示すように、前記加熱剤5に対して、中空管72が上になるように仕切材7を載置する。
そして図4(d)に示すように、中空管72が埋もれるまで所定量の破砕主剤6をケーシング1内に充填する。なおこのとき中空管72内に破砕主剤6が入らないように、中空管72の開口部を熱シールするかセロファンテープ等で塞いでおくようにする。
最後に天蓋2を装着し、現場において着火具4を挿入口33に挿入することにより破砕薬筒Eが完成する。
また前記硝酸アンモニウムの中心には、長手方向に延びる導炎孔61が形成されることとなる。
また図5(b)に示すように、破砕主剤6に対して導炎孔61を形成するとともに、加熱剤5との隣接個所を一例として円錐状の導炎面62として形成することにより、反応熱の受熱面積を増大させて、硝酸アンモニウムの分解反応の促進を図るようにしてもよい。
更にまた図5(c)に示す様に、前記散炎面51と導炎面62との双方を形成するようにしてもよい。
なお加熱剤5の発熱量が充分に確保できる場合には、図5(d)に示すように散炎面51、導炎孔61及び導炎面62を形成しないようにすることもできる。
因みにこのような構成を採った場合、破砕主剤6とテルミット反応を呈する物質(加熱剤5、加熱剤5A)との接触面積が増大するため、硝酸アンモニウムの分解時間が短縮させられることとなり、破砕薬筒Eの作動時間のばらつきを少なくするとともに、破砕薬筒Eの作動の確実性を向上させることが可能となる。
特に複数の破砕薬筒Eを斉発させる場合、先に作動した破砕薬筒Eによって装填孔Hに発生するクラックから生成ガスが逸散してしまうことにより、後発の破砕薬筒Eの作用が低下してしまうといった現象を極力回避することができるようになる。
更に前記加熱剤5と加熱剤5Aとを、直接または薄膜73を介在させて接触させることにより、着火具4によって加熱剤5に生起されたテルミット反応を、速やかに加熱剤5Aに連鎖させることができ、破砕薬筒Eの作動時間の更なる短縮を図ることができる。
また図5(e)に示した破砕薬筒Eを形成する場合には、前記中空菅72内に加熱剤5を充填するようにする。
また図3(b)に示すように、仕切体71の中心に孔71aを形成するとともに、この孔71aをセロファンテープ等の薄膜73によって塞ぐことにより、加熱剤5と加熱剤5Aとを薄膜73を介在させて接触させることができ、薄膜73を設けなければ加熱剤5と加熱剤5Aとを直接接触させることができる。
以上のようにして形成された破砕薬筒Eは、ケーシング1内に、破砕主剤6である硝酸アンモニウムと、テルミット反応を呈する加熱剤5とが密閉状態で充填され、更に前記加熱剤5が硝酸アンモニウムに囲まれてこれらが隣接して充填された状態となるものである。
まず図6(a)に示すように、被破砕体Rに対して装填孔Hを形成するものであり、被破砕体Rの大きさ、形状に応じて適宜、抵抗線及び深さを選択するようにする。
続いて図6(b)に示すように破砕薬筒Eにおける挿入口33に対して着火具4をセットするとともに、この破砕薬筒Eを図6(c)(d)に示すように被破砕体Rに形成された装填孔Hに装填する。この場合、破砕薬筒Eの装填孔Hへの装填方向は、破砕主剤6が下に位置する方向であっても、上に位置する方向であってもよい。
次に図6(e)に示すように前記装填孔H内に填塞材Mを充填するものであり、これにより図6(f)に示すように、破砕主剤6である硝酸アンモニウムとテルミット反応を呈する加熱剤5とを収容した破砕薬筒Eが装填孔H内に密閉状態で位置することとなる。なお填塞材Mとしてはモルタルや砂等が用いられるものであり、モルタルを用いる場合には、一例としてケイ酸ナトリウムを主成分とする急結剤を混入することにより、モルタルの凝結・硬化を促進させて作業時間の短縮を図るようにしてもよい。
次いで図示しない着火装置によって着火具4に通電すると、着火具4の内部の着火薬が発火し、その熱によって加熱剤5がテルミット反応を起こし、3000℃近い超高温の反応熱が発生することとなる。
そしてこの超高温の反応熱は導炎孔61を通じて破砕主剤6全域に短時間に効率的に伝熱され、この反応熱により破砕主剤6たる硝酸アンモニウムは成分が分解し、全てガス化して急速に膨張し、この分解ガスの圧力により図1に示すように被破砕体Rに亀裂が生じて複数の小片に分割されることとなる。
なお図5(e)に示した破砕薬筒Eの場合、着火具4により加熱剤5で生起したテルミット反応を速やかに加熱剤5Aに連鎖させることができ、破砕薬筒Eの作動時間を短縮させることが可能となる。
1 ケーシング
11 開口部
11a 細径部
12 開口部
12a 蓋止め
2 天蓋
3 底蓋
31 外筒
32 内筒
33 挿入口
4 着火具
5 加熱剤
5A 加熱剤
51 散炎面
6 破砕主剤
61 導炎孔
62 導炎面
7 仕切材
7a 通気孔
71 仕切体
71a 孔
72 中空管
73 薄膜
8 白金線
R 被破砕体
H 装填孔
M 填塞材
Claims (15)
- 被破砕物に設けた装填孔に対し、破砕主剤である硝酸アンモニウムを充填し、更にテルミット反応を呈する加熱剤を前記破砕主剤に隣接するように配置し、更にこの加熱剤と隣接するように着火具を配置して前記装填孔を封鎖し、前記着火具に通電して加熱剤にテルミット反応を起こさせ、これにより発生する超高温の反応熱により前記装填孔内で硝酸アンモニウムを分解させ、その分解ガスの圧力により被破砕物を破砕することを特徴とする岩石・構造物等の破砕方法。
- 前記加熱剤と硝酸アンモニウムとを、硝酸アンモニウムが加熱剤を囲繞した状態で隣接させることを特徴とする請求項1記載の岩石・構造物等の破砕方法。
- 前記加熱剤と硝酸アンモニウムとを、積層させた状態で隣接させることを特徴とする請求項1記載の岩石・構造物等の破砕方法。
- 前記硝酸アンモニウムの中心に長手方向に延びる導炎孔を形成するようにしたことを特徴とする請求項3記載の岩石・構造物等の破砕方法。
- 前記加熱剤における硝酸アンモニウムとの隣接面に対して散炎面を形成するようにしたことを特徴とする請求項3または4記載の岩石・構造物等の破砕方法。
- 前記硝酸アンモニウムの中心に長手方向に延びた芯状に加熱剤を位置させることを特徴とする請求項3記載の岩石・構造物等の破砕方法。
- 前記硝酸アンモニウムに対して積層された状態で隣接する加熱剤と、前記硝酸アンモニウムの中心に長手方向に延びた芯状の加熱剤とを、直接または薄膜を介在させて接触させることを特徴とする請求項6記載の岩石・構造物等の破砕方法。
- 前記硝酸アンモニウム及び加熱剤をケーシングに充填して破砕薬筒を形成し、この破砕薬筒を装填孔に挿入するようにしたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の岩石・構造物等の破砕方法。
- 筒状のケーシング内に、破砕主剤である硝酸アンモニウムと、テルミット反応を呈する加熱剤とが密閉状態で充填され、更に前記加熱剤の着火具が具えられたことを特徴とする岩石・構造物等の破砕装置。
- 前記加熱剤を囲繞するように硝酸アンモニウムが充填されていることを特徴とする請求項9記載の岩石・構造物等の破砕装置。
- 前記加熱剤と硝酸アンモニウムとはケーシングの長手方向に隣接して充填されていることを特徴とする請求項9記載の岩石・構造物等の破砕装置。
- 前記硝酸アンモニウムの中心には、長手方向に延びる導炎孔が形成されていることを特徴とする請求項11記載の岩石・構造物等の破砕装置。
- 前記加熱剤には、硝酸アンモニウムとの隣接面に対して散炎面が形成されていることを特徴とする請求項11または12記載の岩石・構造物等の破砕装置。
- 前記硝酸アンモニウムの中心には、長手方向に延びた芯状に加熱剤が充填されていることを特徴とする請求項11記載の岩石・構造物等の破砕装置。
- 前記硝酸アンモニウムに対してケーシングの長手方向に隣接する加熱剤と、硝酸アンモニウムの中心に長手方向に延びた芯状の加熱剤とは、直接または薄膜を介在させて接触していることを特徴とする請求項14記載の岩石・構造物等の破砕装置。
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