JP5221856B2 - 破砕薬筒の装填方法 - Google Patents
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Description
そして前記破砕薬筒が挿入された装填孔には填塞材が充填されるものであり、装填孔の気密性を高め、被破砕体に対する爆轟の衝撃破砕作用や、生成ガスの膨張による破砕助長作用が効果的に作用するような措置が施されている。
前記填塞材としては、砂、砂を筒状の袋に入れたもの(例えば商品名:サンドタンパー)、穿孔時に発生するくり粉等が用いられ、更に高度な密閉が要求される場合には、石灰系の填塞材(例えばダイレックスタンパー(登録商標)、CCRタンパー(登録商標)等)が用いられている。
この発明は、生成ガスの急激な膨張によって破砕を行うものであり、硝酸アンモニウムが分解されることにより1キログラムあたり980リットル(標準状態)の生成ガスが発生するといった特性を利用したものである。
その後、本出願人がこれらの方法並びに装置に関して更なる改良を検討している過程で、既存の填塞材では被破砕物の状況、性状によっては良好な破砕が行われない場合があることが判明した。
更に装填孔内に亀裂が無い場合であっても、填塞材として最も一般的に用いられている砂を採用した場合には、鉄砲となってしまい期待通りの破砕を行うことができない事例も確認された。
このような状況の下、本出願人にとっては、前記方法並びに装置を効果的に機能させることができるような改善・改良を行うことが課題となっていた。
この発明によれば、装填孔内に亀裂がある場合であっても、膨潤状態の吸水性ポリマーが生成ガスの逸散を防止するため、加熱剤としてテルミット反応を呈する物質を用いることにより硝酸アンモニウムを急激に分解させて、その生成ガスの圧力によって被破砕物の破砕を行う破砕薬筒を、確実に作動させることができる。
また吸水性ポリマーは迅速に水を吸収するため養生時間を必要とせず、作業性に優れた施工を行うことができる。
この発明によれば、破砕薬筒と吸水性ポリマーとを同時に装填孔内に投入することが可能となる。
この発明によれば、収容体をモールド成形して天蓋に対して入れ子状に一体化できるように構成することが可能となる。
この発明によれば、吸水性ポリマーの填塞効果に加え、填塞材によって填塞効果が向上されるため、装填孔内における生成ガスの圧力を効果的に作用させて、より確実に破砕を行うことができる。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
なお以下の説明にあっては、始めに岩石・構造物等の破砕に供される部材についてその構成を説明し、続いて岩石・構造物等の破砕方法と併せて本発明の破砕薬筒の装填方法について説明する。
また前記底蓋3には着火具4が装着され、前記ケーシング1内には加熱剤5及び破砕主剤6が仕切体7を介在させた状態で充填される。
まず前記ケーシング1は図2、3に示すように、一例として直径28mm程度の合成樹脂または金属製の筒体であり、一方の開口部11から20mm程の範囲が直径20mm程度の細径部11aとされ、また他方の開口部12付近の側周部には蓋止め12aが形成される。なおケーシング1の径は、細径部11aを格別設けることなく全域にわたって同寸法とするようにしてもよい。
また前記底蓋3は、一方の端面が閉鎖された筒状部材である外筒31と、同じく一方の底面が閉鎖された筒状部材である内筒32とを具えて構成されるものであり、外筒31の底板に形成された孔と前記内筒32とを連接することにより挿入口33が形成される。そして前記外筒31が前記ケーシング1における細径部11に外嵌されるとともに、内筒32がケーシング1内に侵入した状態となるものである。
なお前記ケーシング1と底蓋3とは予め一体で形成したものであっても差し支えない。またこの実施例では、ケーシング1に装着された天蓋2から底蓋3までの長さが135mmとなるようにした。
更にまたこの実施例では、これらケーシング1、天蓋2及び底蓋3を一例として厚さ1mm程の合成樹脂(一例としてポリプロピレン)によって形成するようにした。
なおこの実施例では着火具4内に具えられる着火薬として、加熱剤5と同様に非火薬であって、更にテルミット反応を呈するような物質が採用されるものであり、加熱剤5よりも発火感度の高いものが用いられる。
またこの実施例では着火具4の形状は管状とするものであり、底蓋3がケーシング1に装着された状態で挿入口33に挿入されることにより、この着火具4はケーシング1内に充填される加熱剤5の内部に実質的に位置することとなる。
この実施例では一例として酸化鉄粉とアルミ粉とを75:25の割合(重量比)で混合して加熱剤5を調製するようにした。
なおテルミット反応を呈する物質は、上記組み合わせの他、例えば酸化銅とアルミのように種々のものがあり、適宜のものを採用することができる。
なお硝酸アンモニウムは、酸素を多く含むため爆薬の原料として多く使用され、軽油を配合することにより硝安油剤爆薬となる他、含水爆薬、ダイナマイト、アンモン爆薬などの原料として広く使用されている。
しかしながら単体の硝酸アンモニウムは危険物ではあるものの、衝撃・摩擦に対して安定で爆発しにくく、火薬類の原料として使用される他、肥料、寒剤などとして使われるものであり、火薬類取締法の対象外となるものである。
なお前記硝酸アンモニウムは一例としてプリル状(多孔質粒状)のものを採用したが、粉状、粒状硝安と呼ばれるものを採用してもよい。
まず図4(a)に示すように、ケーシング1に対して底蓋3を装着するとともにこの底蓋3が下になるように配置する。
続いて図4(b)に示すように、内筒32が埋もれるまで所定量の加熱剤5をケーシング1内に充填する。この場合、加熱剤5はその一部を事前に加圧成型したものを使用してもよい。
次に図4(c)に示すように、前記加熱剤5に対して、中空管72が上になるように仕切材7を載置する。
そして図4(d)に示すように、中空管72が埋もれるまで所定量の破砕主剤6をケーシング1内に充填する。なおこのとき中空管72内に破砕主剤6が入らないように、中空管72の開口部を熱シールするかセロファンテープ等で塞いでおくようにする。
最後に天蓋2を装着し、現場において着火具4を挿入口33に挿入することにより破砕薬筒Eが完成する。
また前記硝酸アンモニウムの中心には、長手方向に延びる導炎孔61が形成されることとなる。
またこの他にも、ケーシング1内に、破砕主剤6である硝酸アンモニウムと、テルミット反応を呈する加熱剤5とが密閉状態で充填された状態は種々の形態によって実現することができるものである。
また吸水力を抑制する要因は網目構造によるゴム弾性力であり、これらのバランスから吸水力が決定されるものである。
上述のような吸水性ポリマーPとしては、デンプン系、セルロース系、ポリアクリル酸塩系、ポリビニルアルコール系などがあるが、この実施例では一例として架橋ポリアクリル酸塩系樹脂を使用する。
なお環境面に配慮するならば、生分解性の架橋ポリアスパラギン酸等を用いるようにしてもよい。
因みに吸水性ポリマーPは未吸水の状態で直径0.3mm程の球体であり、自重の500〜1000倍の水を吸収して直径2mm程のゼリー状の球体となるものである。
まず図6(a)に示すように、被破砕体Rに対して装填孔Hを形成するものであり、被破砕体Rの大きさ、形状に応じて適宜、穿孔径、穿孔長及び抵抗線長を選択するようにする。
この実施例では一例として穿孔径34mm、穿孔長750〜850mm、抵抗線長300〜550mmとした。
次いで図6(b)に示すように、装填孔H内に吸水性ポリマーPを投入するものであり、ここでは粒状のものを計量スプーン等を用いて直接投入する。
次いで図7(a)に示すように、ケーシング1の側周部分に両面テープ等の粘着体13を設けるとともに、この粘着体13に対して吸水性ポリマーPを塗(まぶ)し、破砕薬筒Eと吸水性ポリマーPとを同時に装填孔H内に投入する。この場合、湿潤状態の吸水性ポリマーPを確実に破砕薬筒Eを囲繞した状態とすることが可能となる。またこの場合、事前に粘着体13に吸水性ポリマーPを塗(まぶ)すとともに適宜保護シートで被覆した状態で現場に搬入するようにすれば、作業性を向上することができる。なおケーシング1以外にも、天蓋2または底蓋3に粘着体13を設けるようにしてもよい。
また図7(b)に示すように、所定量の吸水性ポリマーPを予め水溶紙やゼラチンフィルム等によって形成された収容体P1に内包しておき、このものを装填孔H内に投入するようにしてもよく、この場合、収容体P1をモールド成形して天蓋2に対して入れ子状に一体化できるように構成することにより、破砕薬筒Eと吸水性ポリマーPとを同時に装填孔H内に投入することが可能となる。
前記吸水性ポリマーPの量は、吸水性ポリマーPが水Wを吸収して膨潤した状態で、装填孔H内において破砕薬筒Eを完全に囲繞することができるような量とするものであり、この実施例では一例として0.5〜0.7gを投入するようにした。
続いて図6(c)に示すように、破砕薬筒Eにおける挿入口33に対して着火具4をセットするとともに、この破砕薬筒Eを装填孔Hに装填する。この場合、破砕薬筒Eの装填孔Hへの装填方向は、破砕主剤6が下に位置する方向であっても、上に位置する方向であってもよい。
次いで図6(d)に示すように、装填孔H内に水Wを投入するものであり、この実施例では80ccを注水するようにした。
このような注水により吸水性ポリマーPが水Wを吸収して膨潤し、図6(e)に示すように装填孔H内において破砕薬筒Eを完全に囲繞して填塞材Mとして機能することとなるものである。なお吸水性ポリマーPが水Wを吸収するのに要する時間は極めて短時間(約20秒程)であり、従来工法のように所定の養生時間を必要としないため、迅速に次の工程に移ることが可能となる。
次に図6(e)に示すように、前記装填孔H内における膨潤した吸水性ポリマーPと開口部との間に砂Sを充填するものであり、これにより図6(f)に示すように、破砕主剤6である硝酸アンモニウムとテルミット反応を呈する加熱剤5とを収容した破砕薬筒Eが装填孔H内に密閉状態で位置することとなる。
なお砂Sには適宜水を加えて湿砂として填塞効果を高めるようにする。
次いで図示しない着火装置によって着火具4に通電すると、着火具4の内部の着火薬が発火し、その熱によって加熱剤5がテルミット反応を起こし、3000℃近い超高温の反応熱が発生することとなる。
そしてこの超高温の反応熱は導炎孔61を通じて破砕主剤6全域に短時間に効率的に伝熱され、この反応熱により破砕主剤6たる硝酸アンモニウムは成分が分解し、全てガス化して急速に膨張し、この分解ガスの圧力により図1に示すように被破砕体Rに亀裂が生じて複数の小片に分割されることとなる。
このとき本発明によれば図6に示すように、装填孔H内に亀裂Cがある場合であっても、膨潤状態の吸水性ポリマーPがこの亀裂Cからの生成ガスの逸散を防止するため、加熱剤5としてテルミット反応を呈する物質を用いることにより硝酸アンモニウムを急激に分解させて、その生成ガスの圧力によって行う被破砕物Rの破砕を確実に行うことができる。
また吸水性ポリマーPの填塞効果に加え、砂Sによって填塞効果が向上されるため、装填孔H内における生成ガスの圧力を更に効果的に作用させて、より確実に破砕を行うことができる。
1 ケーシング
11 開口部
11a 細径部
12 開口部
12a 蓋止め
13 粘着体
2 天蓋
3 底蓋
31 外筒
32 内筒
33 挿入口
4 着火具
5 加熱剤
51 散炎面
6 破砕主剤
61 導炎孔
62 導炎面
7 仕切材
7a 通気孔
71 仕切体
72 中空管
8 白金線
C 亀裂
H 装填孔
M 填塞材
P 吸水性ポリマー
P1 収容体
R 被破砕体
S 砂
W 水
Claims (4)
- 被破砕物に対して装填孔を穿孔し、この装填孔に破砕薬筒を挿入し、更に装填孔と破砕薬筒との間の隙間及び破砕薬筒と自由面との間の空間に填塞材を充填し、この状態で前記破砕薬筒に具えられる着火具に通電して破砕主剤を分解させ、これにより発生する生成ガスの膨張により被破砕物を破砕する方法において、前記破砕薬筒として、筒状のケーシング内に、破砕主剤である硝酸アンモニウムと、テルミット反応を呈する加熱剤とが密閉状態で充填され、更に前記加熱剤の着火具が具えられたものを用い、且つ前記填塞材として吸水性ポリマーを用い、ケーシングの側周部分に粘着体を設けるとともに、この粘着体に対して吸水性ポリマーを塗し、吸水性ポリマーによって破砕薬筒を囲繞した状態として、これら破砕薬筒と吸水性ポリマーとを同時に前記装填孔内に投入し、次いで装填孔内に水を注入して前記吸水性ポリマーに水を吸収させて膨潤させることを特徴とする破砕薬筒の装填方法。
- 前記填塞材として吸水性ポリマーを用い、所定量の吸水性ポリマーを予め収容体に内包しておき、この収容体をケーシングの天蓋に一体化させた状態とすることを特徴とする請求項1記載の破砕薬筒の装填方法。
- 前記収容体は水溶紙やゼラチンフィルムによって形成されたものであることを特徴とする請求項2記載の破砕薬筒の装填方法。
- 前記吸水性ポリマーが膨潤した状態で破砕薬筒を完全に囲繞した状態とさせ、更に膨潤した吸水性ポリマーと、装填孔における開口部との間に砂を充填することを特徴とする請求項1、2または3記載の破砕薬筒の装填方法。
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