JP2007125497A - フィルターカートリッジ - Google Patents

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直浩 小数賀
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Abstract

【課題】気体または液体に対する気密性が高く、温度変化に対する信頼性の高いフィルターカートリッジを提供することを目的とする。
【解決手段】気体または液体を透過する支持体3の上にろ過膜4を形成したフィルター2を、このフィルター2の外周部を保持するためのフレーム1と、接着剤11とからなり、フィルター2の外周部とこのフィルター2の外周部を支持する部分であるフレーム1の内周部に設けた保持段差5とを接着剤11により固定し、この接着剤11を支持体3に浸透させるようにしたフィルターカートリッジ12とするものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、気体または液体のろ過に用いるフィルターカートリッジに関するものである。
最近の工業製品おける高品質化に伴い、気体や液体などの原材料の精製に用いられるフィルターユニットについても性能向上の要求が高まっている。
特に耐久性として、雰囲気温度が変化する環境下においてフィルターユニットを用いる場合での温度変化に対する信頼性向上の要求が高まっている。
図3は、従来のフィルターユニットの概略構成を示しフィルターユニット14は、フィルターカートリッジ15が複数積層されて構成されており、各その表面にはフィルター17が設けられている。
そして、図4に示すように、真空ポンプ(図示せず)などで吸引することにより、気体または液体が矢印に沿ってフィルター17でろ過され、フィルターカートリッジ15から取出されるように構成されている。
ここで、フィルターカートリッジ15の構成をさらに詳述する。図5(a)はフィルターカートリッジ15の平面概略図、(b)はこのフィルターカートリッジ15のA−A’線に沿った断面図である。
図5に示すように、フィルターカートリッジ15は、フィルター17と、このフィルター17の外周部を保持するための平板状のフレーム16と、このフィルター17とフレーム16とを固定するための接着テープ26とから構成されている。また、このフィルター17は、強度が低いLB膜などからなるろ過膜19と、このろ過膜19を補強するための気体または液体を透過する不織布などからなる支持体18とから構成されている。
さらに、フレーム16の内周部にはフィルター17を位置決め、保持できるように、フィルター17の厚さとほぼ同じだけフレーム16の内周部より低く形成された保持段差20が設けられており、この保持段差20にフィルター17の支持体18側が接するようにフィルター17を配置することで、フレーム16の内周部とフィルター17の表面とがほぼ同じ平面を形成している。
ここで、フィルター17とフレーム16の固定であるが、網線で示すリング状で継ぎ目のない接着テープ26により、このフレーム16の内周部とフィルター17の外周部との境界を覆うように配置することで、フレーム16とフィルター17との気密封止をより確実にしている。
なお、このフレーム16の中央部には、フィルター17を支持する複数の桟24がフィルター17に対して平行に設けてあり、真空ポンプなどにより減圧されたときにフィルター17に加わる圧力を桟24により支えるようになっている。
また、フレーム16の一方の角部にはろ過された気体または液体を取出すための吸気口21がフレーム16の厚み方向に貫通するように設けられており、この吸気口21は、フレーム16とフィルター17により囲まれた空間領域25とが吸入経路22を介してつながっており、吸気口21の周辺にはフィルターカートリッジ15を密封して接続できるようシール部材23が設けられている。さらに、フレーム16の外周にはフレーム16を積層したときに気体または液体を取り入れるための十分な隙間ができるように突起27a,27bが設けられている。
なお、この出願に関する先行技術文献情報としては、例えば特許文献1が知られている。
特開2004−33964号公報
しかし、従来のフィルターカートリッジ15において、使用環境の温度変化が大きく加わると、フレーム16やフィルター17、接着テープ26が膨張、収縮し、その応力によって接着テープ26との境界付近の強度の低いろ過膜19に微小な亀裂が入り、支持体18を通して気体または液体がろ過されず透過するという課題があった。
また、これを解決するために、接着テープ26のテープ幅、テープ厚み、テープ基材の材質、粘着剤の材質等について種々の検討が行われているが、温度変化に対する信頼性を十分に向上させるまでには至らなかった。
さらに、従来のフィルターカートリッジ15においては、気密性を高めるために、接着テープを用いていたが、接着テープの継ぎ目で気密性が下がってしまうものであり、これを解決するために図5に示されるようなシート状の接着テープを打ち抜いてリング状の継ぎ目のない接着テープ26を利用しているが、接着テープであるがゆえに上述したように温度変化に対する信頼性が十分に得られないとともに、コストアップや、生産性が低いという課題を有していた。
本発明はこのような従来の課題を解決し、温度変化に対する信頼性が高く、気密性も高いフィルターカートリッジを提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、気体または液体を透過する支持体の上にろ過膜を形成したフィルターと、このフィルターの外周部を支持するフレームと、接着剤とから構成され、このフィルターの外周部を支持する部分とフィルターの外周部とを接着剤により接着し、支持体厚み方向に接着剤を浸透させるようにしたフィルターカートリッジとするものである。
このフィルターカートリッジの構成によると、支持体の厚み方向に接着剤を浸透させるようにフィルターの支持体面の外周部とフレームとを接着剤により接着させ、支持体の空隙を接着剤が充填し、強度の高い支持体とフレームとを接着することで、温度変化によるろ過膜の亀裂の発生を抑え、これにより、気密性が高く、温度変化に対する信頼性の高いフィルターカートリッジを提供できるという効果が得られるものである。
本発明のフィルターカートリッジは、気体または液体を透過する支持体の上にろ過膜を形成したフィルターと、このフィルターの外周部を支持するフレームと、接着剤とから構成され、このフィルターの外周部を支持する部分とフィルターの外周部とを接着剤により接着し、支持体厚み方向に接着剤を浸透させるようにしたフィルターカートリッジとするものである。
この構成によると、強度の高い支持体とフレームとを接着することでろ過膜と接着テープとの境界付近のろ過膜に亀裂が入ることなく、さらに、支持体の空隙を充填した接着剤が支持体の空隙を通した漏れを抑えることで、気密性と信頼性を向上させることができる。
さらに、接着剤を支持体の厚み方向に浸透させ、ろ過膜まで到達させることで、より気密性と信頼性を向上させることができる。
特に、少なくともフレームの内周部の端部において、接着剤を支持体の厚み方向に浸透させ、ろ過膜まで到達するようにすれば、より気密性を向上させることができる。
さらに、硬化後の接着剤に弾性を持たせることにより、温度変化に対する信頼性を向上させることが可能になる。
またさらに、フィルターとフレームとの熱膨張および熱収縮に追従して接着剤を変形させるようにすれば、温度変化に対する信頼性を向上させることが可能になる。
次に具体的な実施の形態について説明をするが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
(実施の形態1)
実施の形態1では、特に酸素富化機能を有するフィルターを用いた気体分離膜ユニットについて説明する。本実施の形態の気体分離膜ユニットは、基本的には従来のフィルターユニット14と同じ構成、すなわち、図3に示されるような構成を有している。
ここで、従来のフィルターユニット14との大きな違いは、フィルターカートリッジ12(15)の具体的な構成であり、特にフィルター2(17)の固定の仕方が大きく異なる点である。
すなわち、図1に示すように、本実施の形態のフィルターカートリッジ12では、フィルター2の固定に接着テープではなく、接着剤11を用いる点である。
以下にこの差異について詳述する。
図1(a)は本実施の形態におけるフィルターカートリッジの平面概略図であり、図1(b)はそのA−A’線に沿った断面図であり、図1(c)は断面におけるフレームとフィルターとの接続部分を拡大したものである。
図1(a)〜(b)に示すように、フィルターカートリッジ12は、平板状のフレーム1の両面にフィルター2が固定されており、このフィルター2は、ろ過膜4と、このろ過膜4を補強するための支持体3とから構成されている。
このろ過膜4は厚さ0.1μmのポリシロキサンとスチレンの共重合体を主成分とする薄膜からなり、気体中の酸素をろ過分離する機能を有するものである。また、支持体3は厚さ150μmの気体または液体を透過する不織布から構成されている。
フレーム1の内周部にはフィルター2を位置決め、保持できるように、フィルター2の厚さとほぼ同じだけフレーム1の内周部より低く形成された保持段差5が設けられており、この保持段差5にフィルター2を配置することで、フレーム1の内周部とフィルター2の表面とがほぼ同じ平面となるように形成されている。なお、本実施の形態ではフレーム1の内周部とはフレーム1の内周およびその周辺を意味し、後述するフィルター2の外周部と重なる部分およびその周辺を意味するが、これに限定されるものではなく、図示はしていないが接着部を設けたフレーム1の外周部およびその周辺とフィルター2の外周部とが接着するような構成でも同等の効果が得られる。この場合、突起13a、13bを逃すようにするだけでフィルターカートリッジ12の積層も可能となる。
ここで、この保持段差5には接着剤11が塗布され、強度の高い支持体3側とフレーム1とが接着するように構成されているため、ろ過膜4の外周部に亀裂が入らず、また、接着剤11が図1(c)に示されるように支持体3の外周部の空隙を充填し、支持体3を通した気体の漏れを防ぐことで、フィルターカートリッジ12の温度変化に対する信頼性を向上させると同時に、気密性を向上させることが可能となる。
なお、このフレーム1の中央部には、フィルター2を支持する複数の桟9がフィルター2に対して平行に設けてあり、真空ポンプなどにより減圧されたときにフィルター2に加わる圧力を桟9により支えるようになっている。
また、フレーム1の一方の角部にはろ過された気体または液体を取出すための吸気口6がフレーム1の厚み方向に貫通するように設けられており、この吸気口6は、フレーム1とフィルター2により囲まれた空間領域10と吸入経路7を介してつながっており、吸気口6の周辺にはフィルターカートリッジ12を密封して接続できるようシール部材8が設けられている。さらに、フレーム1の外周にはフレーム1を積層したときに気体または液体を取り入れるための十分な隙間ができるように突起13a,13bが設けられている。
次に、具体的なフレーム1とフィルター2との接着方法について詳述する。
フレーム1とフィルター2との接着は、まず、ディスペンサーにより幅5mmの保持段差5の内周部の端部から2.5mmの位置に0.02g/cmとなるように脱アルコール型のシリコン系弾性接着剤からなる接着剤11を塗布する。この接着剤11は空気中の水分と反応することにより徐々に硬化し、硬化後は弾性を有するものを選定した。これにより、温度変化および、振動に対する信頼性を向上させることが可能となる。
次に、フィルター2の支持体3側と保持段差5とが接するようにして、保持段差5をフィルター2の外周部で覆うように配置した後、プレス圧力20kg/cm2、プレス時間10sの条件でフィルター2のろ過膜4側の外周部をプレスすることにより、接着剤11をフィルター2の支持体3の外周部に浸透させる。ここで、フィルター2の外周部とはフィルター2の外周およびその周辺を意味し、前述したフレーム1の内周部と重なる部分およびその周辺を意味する。
その後、温度22±13℃、相対湿度50±30%の条件で120分以上処理し、接着剤11を硬化させることによりフィルター2とフレーム1とを接着させる。この条件で接着剤11を塗布し、次いで硬化させることで、図1(c)に示されるように、接着剤11はフレームの内周部において支持体3の厚み方向に浸透し、ろ過膜4まで到達した状態でフィルター2とフレーム1とを接着させることができる。これにより、支持体3の厚み方向の空隙がろ過膜4まで接着剤11により充填されるので、支持体から気体または液体がろ過されずに漏れることがない、より高い気密性と温度変化に対する信頼性を得ることが可能になる。
なお、ディスペンサーによる接着剤11の保持段差5への塗布位置は、塗布量0.02g/cmの場合、保持段差5の内周部の端部から1〜3.5mmの位置が好ましく、1mmより小さいとプレスにより保持段差5の内周部からはみ出た接着剤11が空気の流れを妨げ、3.5mmより大きいとフィルター2の外周より接着剤11がはみ出ることで外観が悪くなる恐れがあるからである。
また、接着剤11の保持段差5への塗布量は、0.01〜0.03g/cmが好ましく、0.01g/cmより小さいと接着剤11の浸透不足の恐れがあり、0.03g/cmより大きいと接着剤11が保持段差5よりフレーム1の内周側にはみ出る恐れがあるからである。上記塗布条件は保持段差5の幅および支持体3の厚みの変更に応じて適宜調整することにより、より最適な条件を見出すことができる。
フィルター2へのプレス圧力は10〜25kg/cm2が好ましく、10kg/cm2より小さいと接着剤11の浸透不足の恐れがあり、25kg/cm2より大きいとろ過膜4が損傷する恐れがあるためである。
また、プレス時間は1〜12sが好ましく、1sより短いと接着不足になる恐れがあり、12sより長いとろ過膜4が損傷する恐れがあるためである。上記プレス条件はフィルター2の材質、厚みなどの変更に応じて適宜調整することにより、より最適な条件を見出すことができる。
さらに、ろ過用途が飲用や吸引用などの人体に使用するものでない場合は、接着剤11に有機型弾性接着剤をはじめとする各種接着剤を用途に応じて用いることも可能である。
また、接着強度を向上させるために、保持段差5の表面に適度に凹凸を設けてもよい。
さらに、接着剤11の熱膨張係数を支持体3とフレーム1双方の熱膨張係数に近いものにすれば、接着剤がフレームとフィルターとの熱膨張および熱収縮に追従するようになるため、より温度変化に対する信頼性を向上させることができる。
ここで、実施の形態1におけるフレーム1とフィルター2との接着状態について、図1(c)とは異なる例を説明する。
図2は図1(c)とは異なり、少なくともフレーム1の内周部の端部において、接着剤11を支持体3の厚み方向に浸透させ、ろ過膜4まで到達するように構成されている。これにより、フレーム1の内周部の端部より外側にろ過膜4の損傷がある場合でも、フレーム1の内周部の端部を接着剤11が充填しているため、支持体3を通した気体の漏れを防ぐことができ、これによりフィルターカートリッジ12の気密性が保たれることになる。
なお、あらかじめ、フィルター2の支持体3の外周部に接着剤11を浸透させ、ろ過膜4まで到達させてから、フレーム1とフィルター2とを接着させることで、少なくともフレーム1の内周部の端部において、保持段差5からろ過膜4までを接着剤11が充填する構成を形成することができる。
(比較例)
比較例はフィルター2とフレーム1との接着に従来技術である接着テープを用いたものであり、それ以外のフィルターカートリッジ12の構成および製造方法は実施の形態1での説明を援用する。
具体的に、比較例でのフィルター2とフレーム1との接着は、フレーム1の両面に対してフィルター2の支持体3側と保持段差5とが接するようにフィルター2を保持段差5に配置し、接着テープによりフレーム1にフィルター2を固定し、フレーム1とフィルター2とを気密封止したものである。
実施の形態1と比較例とで作製したそれぞれのフィルターカートリッジについて、試験温度―30〜80℃、最高温度および最低温度での保持時間を30分ずつとする温度サイクル試験を行い、その試験結果を(表1)に示す。
Figure 2007125497
(表1)からも明らかなように、従来例は300サイクルまで気密性を保持したことに対し、実施の形態1では1000サイクルまで気密性を保持することができた。
このように、フィルターの支持体に接着剤を浸透させるようにしてフィルターをフレームと接着させたことにより、温度変化による応力がろ過膜に集中しなくなったため、温度変化に対する信頼性を向上させることができる。
本発明によるフィルターカートリッジは、支持体の厚み方向に接着剤を浸透させるようにフィルターの支持体面の外周部とフレームとを接着剤により接着させ、支持体の空隙を接着剤が充填し、強度の高い支持体とフレームとを接着することで、温度変化によるろ過膜の亀裂の発生を抑え、これにより、気密性が高く、温度変化に対する信頼性の高いフィルターカートリッジを提供でき、特に温度変化を伴う車載用途などに用いるフィルターカートリッジとして有用であるという効果を有するものである。
(a)本発明の実施の形態1によるフィルターカートリッジの平面図、(b)同フィルターカートリッジの断面図、(c)同フィルターカートリッジにおけるフレームとフィルターとの接着状態を示す断面図 本発明の実施の形態1によるフレームとフィルターとの接着の一例を示す図 従来のフィルターユニットの構成を示す図 従来のフィルターカートリッジでのろ過動作を示す図 (a)従来のフィルターカートリッジの平面図、(b)同フィルターカートリッジの断面図
符号の説明
1 フレーム
2 フィルター
3 支持体
4 ろ過膜
11 接着剤
12 フィルターカートリッジ

Claims (5)

  1. 気体または液体を透過する支持体の上にろ過膜を形成したフィルターと、このフィルターの外周部を支持するフレームと、このフィルターの外周部を支持する部分と前記フィルターの外周部とを接着するための接着剤とから構成され、前記接着剤を支持体の厚み方向に浸透させるようにしたフィルターカートリッジ。
  2. 接着剤を支持体の厚み方向に浸透させ、ろ過膜まで到達するようにした請求項1に記載のフィルターカートリッジ。
  3. 少なくともフレームの内周部の端部において、接着剤を支持体の厚み方向に浸透させ、ろ過膜まで到達するようにした請求項1に記載のフィルターカートリッジ。
  4. 硬化後の接着剤に弾性を持たせるようにした請求項1に記載のフィルターカートリッジ。
  5. 接着剤をフィルターとフレームとの熱膨張および熱収縮に追従させるようにした請求項1に記載のフィルターカートリッジ。
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