JP2007123494A - 可変容量コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】 印加電圧による容量変化が大きく、Q値が高い可変容量コンデンサを提供すること。
【解決手段】 電歪材料から成る誘電体と、前記誘電体を挟持して静電容量領域を形成して成る第一電極と第二電極とを備えた可変容量コンデンサであって、前記誘電体は、前記静電容量領域の近傍部を挟持して電歪発生領域を形成して成る第三電極と第四電極とを備え、前記第三電極と前記第四電極との間に電界を印加することによって、前記第一電極と前記第二電極間の静電容量値を調整し得るようにしたことを特徴とする可変容量コンデンサである。
【選択図】 図2
【解決手段】 電歪材料から成る誘電体と、前記誘電体を挟持して静電容量領域を形成して成る第一電極と第二電極とを備えた可変容量コンデンサであって、前記誘電体は、前記静電容量領域の近傍部を挟持して電歪発生領域を形成して成る第三電極と第四電極とを備え、前記第三電極と前記第四電極との間に電界を印加することによって、前記第一電極と前記第二電極間の静電容量値を調整し得るようにしたことを特徴とする可変容量コンデンサである。
【選択図】 図2
Description
本発明は、直流電圧の印加により静電容量が変化する可変容量コンデンサに関するものであり、特に印加電圧による容量変化が大きく、Q値が高い可変容量コンデンサに関するものである。
従来使用されているコンデンサの中には、誘電体層およびこれを挟持する上下の電極層が薄膜で形成された薄膜コンデンサがある。薄膜コンデンサは通常、電気絶縁性を有する支持基板上に薄膜状の下部電極層、誘電体層および上部電極層がこの順に積層されて構成されている。
このような薄膜コンデンサにおいて、下部電極層および上部電極層はそれぞれスパッタリング法や真空蒸着法等で形成され、誘電体層はスパッタリング法やゾルゲル法等で形成される。また、このような薄膜コンデンサを構成する各層のパターニングには、通常、以下のようなフォトリソグラフィの手法が用いられる。
まず、電気絶縁性を有する支持基板上の全面に下部電極層となる導体層を形成した後、必要部のみをフォトレジストで覆い、その後、ウエットエッチングまたはドライエッチングで不要部を除去して、所定形状の下部電極層を形成する。次に、この上に薄膜誘電体層となる誘電体層を全面に形成し、下部電極層と同様に、不要部を除去して所定形状の薄膜誘電体層を形成する。最後に、上部電極層となる導体層を全面に形成し、不要部を除去して所定形状の上部電極層を形成する。
このようにして作製した薄膜コンデンサを実際に用いる場合には、上部電極層と下部電極層との間の誘電体層に所定の直流バイアス電圧を印加して、誘電体層の誘電率を所望の値に変化させることにより容量を変化させることができ、その結果、可変容量コンデンサとして機能させることができる。このような可変容量コンデンサとして、例えば、誘電体層の材料として、(BaxSr1−x)TiyO3等の強誘電体酸化物薄膜を用いた構成が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開平11−260667号公報
特許文献1に開示されたような従来の可変容量コンデンサでは、可変容量コンデンサの基本的な特性は使用する誘電体層の特性でほぼ決まってしまうため、印加電圧による容量変化が大きく、Q値が高い可変容量コンデンサを提供するためには、印加電圧による誘電率変化が大きく、Q値が高い誘電体層を用意する必要があった。
しかしながら、誘電体層には、印加電圧による誘電率変化が大きければ、Q値が低くなり、逆に、Q値が高ければ、印加電圧による誘電率変化が小さくなるという問題点があった。
図1を参照しつつ、(Ba0.2Sr0.8)TiO3から成る誘電体層を例に取り説明する。図1は、(Ba0.2Sr0.8)TiO3から成る誘電体層に電界強度0〜500kV/cmの直流電圧を印加した場合における、図1a)は誘電率の温度依存性を、図1b)は誘電損失(tanδ:Q値の逆数)の温度依存性をそれぞれ示す線図である。図1a)において横軸は温度(K),縦軸は誘電率であり、図1b)において横軸は温度(K)、縦軸は誘電損失tanδである。
図1a)に示すように、誘電体層の誘電率は、ある温度において極大値を有し、印加電圧が大きくなるにつれ、誘電率の温度依存性を示す線図の形状がブロードになるとともに、誘電率の極大値および各温度での誘電率が共に小さくなっていく。この誘電体層を用いた可変容量コンデンサの容量変化を大きくするためには、誘電体層の誘電率を大きく変化させなくてはならない。ここで、同じ温度での印加電圧が0Vの時の誘電率とある大きさの電圧が印加されているときの誘電率との比が大きいほど誘電率変化が大きいことから、印加電圧が0Vの場合、すなわち電圧を印加しない状態での誘電率の極大値付近で誘電率変化が最も大きくなることがわかる。つまり、可変容量コンデンサの使用温度付近で、印加電圧が0Vのときの誘電率が極大値を取るような組成の材料を選べば誘電率変化を大きくすることができる。
しかしながら、図1b)に示すように、誘電率の極大値付近の温度およびこの温度よりも低い温度における誘電損失は大きくなっている。
そこで、誘電損失を改善するためには、誘電率の極大値が使用温度よりも十分低い領域に位置するような組成の誘電体材料を選ぶ必要がある。しかしながら、この様な誘電体材料では、印加電圧が0Vのときの使用温度範囲における誘電率が元々小さいため、電圧を印加した時の誘電率の変化率が小さくなってしまうという問題がある。
さらに、例え上述のように、誘電率の極大値が使用温度範囲よりも低い温度に位置する組成の誘電体材料を選び、印加電圧が0Vのときの誘電体層の誘電損失を小さくしたとしても、電圧を印加するにつれ、図1a)に示すように誘電率の極大値の位置は高温側にシフトしているので、図1b)に示すように、誘電体層の誘電損失も増加していくという問題がある。
この現象を回避するためには、電圧を印加した状態でも使用温度付近で誘電損失が低くなるように、誘電率の極大値がさらに低温側に位置する誘電体材料を使用することが必要であるが、そのような誘電体材料では誘電率の変化率がさらに小さくなる。
このように、従来の、制御電圧の印加により誘電体層の誘電率を変化させて容量特性を制御する可変容量コンデンサは、誘電損失を小さくしようとすると必然的に容量変化も小さくなってしまうため、容量変化が大きく、かつ誘電損失の少ない、すなわちQ値の高いものを得ることが困難であった。
本発明は以上のような従来の技術における問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、印加電圧による容量変化が大きく、かつ、Q値が高い可変容量コンデンサを提供することにある。
本発明の可変容量コンデンサは、1)電歪材料から成る誘電体と、前記誘電体を挟持して静電容量領域を形成して成る第一電極と第二電極とを備えた可変容量コンデンサであって、前記誘電体は、前記静電容量領域の近傍部を挟持して電歪発生領域を形成して成る第三電極と第四電極とを備え、前記第三電極と前記第四電極との間に電界を印加することによって、前記第一電極と前記第二電極間の静電容量値を調整し得るようにしたことを特徴とするものである。
また、本発明の可変容量コンデンサは、2)上記1)の構成において、前記第一電極と前記第二電極との間に電界を印加することによって、前記第一電極と前記第二電極間の静電容量値を調整し得るようにしたことを特徴とするものである。
また、本発明の可変容量コンデンサは、3)上記1)〜2)のいずれかの構成において、前記第一電極及び前記第三電極を共通電極としたことを特徴とするものである。
また、本発明の可変容量コンデンサは、4)上記1)〜3)のいずれかの構成において、前記静電容量領域は、前記電歪発生領域によって取り囲まれていることを特徴とするものである。
また、本発明の可変容量コンデンサは、5)上記1)〜4)のいずれかの構成において、前記電歪材料は、チタン酸バリウムストロンチウム化合物であることを特徴とするものである。
また、本発明の可変容量コンデンサは、6)上記1)〜5)のいずれかの構成において、前記第一電極および前記第三電極が絶縁基板上に形成されていることを特徴とするものである。
本発明の可変容量コンデンサによれば、上記1)のように構成したことから、誘電体が電歪材料から成り、第三電極と第四電極とは静電容量領域の近傍部を挟持して電歪発生領域を形成しているため、第3電極と第4電極との間に電界を印加することで、第三電極と第四電極との間の誘電体(電歪発生領域)に生じた歪により、静電容量領域を形成する誘電体に応力が加えられ、この応力により静電容量領域の誘電率が変化するので、結果として可変容量コンデンサの静電容量値を変化させることができる。このように電歪効果により静電容量領域の誘電率を制御するときには、静電容量領域における誘電体の誘電率の温度依存性を示すグラフの形状はそのままで、誘電率が極大値を取る温度のみを変化させることができる。この理由は未だ明らかではないが、具体的には、誘電体に引張応力を加えたときには誘電率が極大値を取る温度のみを低温側にシフトさせ、圧縮応力を加えたときには高温側にシフトさせることができる。このため、使用温度付近における誘電率変化率を大きくすることができる。また、従来の可変容量コンデンサのような、誘電率を変化させるに連れて、誘電損失が上昇することがないので、本発明の可変容量コンデンサによれば、誘電体の誘電率を、誘電率の極大値を取る温度の位置を変化させることにより、誘電損失の低い状態で、所望の誘電率変化を得ることが出来るように調整することができるので、誘電率を変化させても誘電損失を低く保ったままにすることができる。このように、本発明の可変容量コンデンサによれば、第三電極と第四電極との間に電界を印加することによって、第一電極と第二電極との間の静電容量領域における静電容量値を、誘電損失を低く保ったまま調整することができる。
また、本発明の可変容量コンデンサによれば、2)のように構成したことから、静電容量領域を形成する誘電体は電歪材料から成るため、第一電極と第二電極との間に電界を印加することにより誘電率を変化させ、その結果静電容量を調整することができるので、第三電極と第四電極との間に印加される電界の強度に依存する歪による静電容量値の調整と独立して、さらに静電容量値を調整することができることになり、広い範囲で静電容量値の調整ができるものとなる。
また、本発明の可変容量コンデンサによれば、3)のように構成したことから、第一電極及び第三電極を共通電極とすることによって、作製が容易となり、生産性の高いものになる。
また、本発明の可変容量コンデンサによれば、4)のように構成したことから、静電容量領域が、電歪発生領域によって取り囲まれていることにより、電歪発生領域で発生した歪による応力を静電容量領域に効率よく伝達させることができ、その結果、静電容量領域における誘電体の誘電率を大きく変化させることができるので、静電容量値の調整範囲が広くなる。
また、本発明の可変容量コンデンサによれば、5)のように構成したことから、電歪材料は、チタン酸バリウムストロンチウム化合物であることにより、誘電損失が小さく、誘電率の変化率の大きいものとなる。
また、本発明の可変容量コンデンサによれば、6)のように構成したことから、第一電極および第三電極が絶縁基板上に形成されていることにより、通常の薄膜工程での作製が可能となるので、作製が容易となり、生産性の高いものとなる。
以上のように、本発明の可変容量コンデンサによれば、印加電圧による容量変化が大きく、Q値が高い可変容量コンデンサを提供することができる。
以下、本発明の可変容量コンデンサについて図面を参照しつつ説明する。
図3は本発明の可変容量コンデンサの実施の形態の一例を示す模式的な要部断面図である。図3において、1は第一電極であり、2は第二電極であり、3は第三電極であり、4は第四電極であり、5は電歪材料から成る誘電体である。また、TCは第一電極1と第二電極2とで誘電体5を挟持して形成される静電容量領域であり、TSは静電容量領域TCの近傍で第三電極3と第四電極4とで誘電体5を挟持して形成される電歪発生領域である。以下の図面においても、同じ機能を有する箇所には同じ符号を付し、重複する説明を省略することがある。
図3においては、電歪発生領域TSが、静電容量領域TCを両側から挟むように2箇所に配置された例について示しているが、電歪発生領域TSは、電歪発生領域TSで発生した歪に起因する応力を静電容量領域TCに伝えることができる近傍部に配置させれば、1箇所でも構わないし、3箇所以上でも構わない。
第一電極1,第二電極2,第三電極3,第四電極4は、Au,Pt,Ag,Cu,Al等の単体金属あるいは合金から成る電極層である。また、これらを積層させたものでもよい。これらの電極1〜4は、全て同じ材料で形成してもよいし、それぞれ異なる材料を選択して形成してよい。特に、Ptのように高温での酸素雰囲気下でも酸化されにくい安定な金属を電極材料とすれば、後の工程で高温となっても電極1〜4の電気抵抗等の特性が変化しないため好ましい。さらに、電極材料が高温での酸素雰囲気下でも安定である場合には誘電体5を高温での酸素雰囲気で作製することが可能となるので、誘電体5として求められる特性の観点から自由に材料,工程を選択することができ、その結果、特性の良い誘電体5を形成することが可能となるので好ましい。これら電極1〜4の厚みは、電極としての連続性や電気抵抗を考慮した場合には厚い方が好ましく、誘電体5の反り,誘電体5との密着性等を考慮した場合には薄い方が好ましいので、両者を考慮して決定する。
誘電体5は、電歪材料から成り、例えばペロブスカイト型誘電体材料などを用いることができる。特に、チタン酸バリウムストロンチウム化合物を用いれば、誘電損失が小さく、かつ容量可変率の大きなものとなるので好ましい。誘電体5の厚みは、静電容量値を大きくするためには薄い方が好ましいが、誘電体5を挟持する電極同士の絶縁性を確保するためには一定の厚みが必要となるので、両者を考慮して決定する。
第一電極1,第二電極2,第三電極3,第四電極4は、例えば、次のようにして形成することができる。まず、両面研磨した電歪材料からなる誘電体5を基板として用い、誘電体5の温度を室温から600℃の範囲に適宜設定して、スパッタリング法等の成膜法によってそれぞれ必要な大きさに形成する。その後、通常のフォトレジストを用いたエッチング工程によりそれぞれ所定の形状に加工して形成すればよい。
また、Si等の基板を犠牲層として用いてもよい。具体的には、基板温度を室温から600℃の範囲に適宜設定し、Siの基板上に第一電極1,第三電極3をスパッタリング法等の成膜法によって形成する。その後、通常のフォトレジストを用いたエッチング工程によりパターニングし、第一電極1と第三電極3を所定形状に加工する。次に基板温度を室温から700℃の範囲に適宜設定し、第一電極1、第三電極3上に電歪材料からなる誘電体5をスパッタリング法等の成膜法によって成膜する。その後、通常のフォトレジストを用いたエッチング工程によりパターニングし、誘電体5を所定形状に加工する。さらに、基板温度を室温から600℃の範囲に適宜設定し、この誘電体5上に第二電極2、第四電極4をスパッタリング法等の成膜法によって形成する。その後、通常のフォトレジストを用いたエッチング工程により所定の形状に加工する。以上の工程を経た後に、Siの基板を犠牲層として、RIEなどのエッチング工程により除去して作製する。なお、上記手順に限るものではなく、誘電体5を成膜した後に続けてその上に第二電極2,第4電極4を成膜した後に、上部から順に通常のフォトレジストを用いたエッチング工程で、順次第二電極2,第4電極4と誘電体5とを所定の形状に加工しても構わない。
このようにして作製した可変容量コンデンサにおいて、電歪発生領域TSの誘電体5に歪を発生させると、この歪により電歪発生領域TSの近傍に位置する静電容量領域TCの誘電体5に応力が加わり、静電容量領域TCの誘電体5の誘電率が変化する。図3において、説明のために例として、電歪発生領域TSが圧縮する(縮む)歪が生じた場合について、歪の方向を実線の矢印で、応力の方向を破線の矢印で示している。なお、静電容量領域TCおよび電歪発生領域TSは、歪および応力が加わる前の状態を破線で、加えた後の状態を実線で示している。第三電極3および第四電極4に電界を印加することによって電歪発生領域TSは実線の矢印の方向に縮み、静電容量領域TCには破線の矢印の方向の引張応力が加えられて、この部位の誘電体5の誘電率が変化するから、静電容量領域TCの静電容量が変化する。
このように、本発明の可変容量コンデンサによれば、電歪材料から成る誘電体5を用い、静電容量領域TCの近傍部に電歪発生領域TSを設けることで、静電容量領域TCの誘電率を近傍部の電歪発生領域TSに印加する電界により制御することができるものとなる。
ここで、電極1〜4が、静電容量領域TCおよび電歪発生部TSで発生する歪に適応できるように、電極1〜4を成膜するときに、圧力などの成膜条件を変えたり、不純物を添加したりすることでヤング率が高くなるように調整することが好ましい。このようにすることで、静電容量領域TCおよび電歪発生部TSで歪が生じても、電極1〜4が断線したり、電極1〜4と誘電体5とが剥離したりするのを防ぐことができるとともに、静電容量領域TCおよび電歪発生部TSの歪を阻害しないので、効率良く誘電率を変化させることができる。
図4は、本発明の可変容量コンデンサの静電容量領域TCと電歪発生領域TSとの配置例を示す平面図である。図4において、2は第二電極であり、4は第四電極であり、5は電歪材料から成る誘電体である。また、TCは静電容量領域であり、TSは電歪発生領域である。
図4においては、円形の静電容量領域TCの周囲を取り囲むように、円形の電歪発生領域TSを4個設けた構成としている。このような構成としたことにより、電歪発生領域TSが圧縮する歪を生じさせた場合を例に説明すると、第三電極3(図示せず)と第四電極4との間に電界を印加することによって、電歪発生領域TSは実線の矢印の方向に縮み、その歪により、静電容量領域TCには破線の矢印の方向の引張応力が加えられ、その結果、静電容量領域TCの誘電率が変化する。
図4においては、電歪発生領域TSを4個設けた例について示したが、電歪発生領域TSは1〜3個でも構わないし、5個以上でも構わない。また、静電容量領域TCおよび電歪発生領域TSの形状は、矩形状,例えば6角形等の多角形状,これらの角が鈍った形状,扇状,楕円形状等、円形以外の形状でも構わない。さらに、電歪発生領域TSは静電容量領域TCを取り囲むようなリング状,枠状でも構わない。このように、静電容量領域TCが電歪発生領域TSによって取り囲まれている場合には、電歪発生領域TSで発生した歪みによる応力を効率良く静電容量領域TCに伝えることができ、静電容量領域TCの誘電体5の誘電率を大きく変化させることができるので好ましい。また、静電容量領域TCの形状と電歪発生領域TSの形状とは同じである必要はなく、例えば正方形状の静電容量領域TCの各辺に近接した4つの長方形状の電歪発生領域TSを設けてもよい。
また、電歪発生領域TSと静電容量領域TCとの間の間隔は、電歪発生領域TCで発生した歪に起因する応力を静電容量領域TCに効率よく伝えるためには近いほうが好ましい。なお、電歪発生領域TSに印加する誘電率を変化させるための直流電圧と、静電容量領域TCに印加される信号を伝播させるための高周波電圧とを分離する観点からは、一定以上の間隔、例えば、静電容量領域TCにおける誘電体5の厚み以上の間隔をあけて配置することが望ましい。
次に、図5は、本発明の可変容量コンデンサの実施の形態の他の例を示す断面図である。図5において、1は第一電極であり、2は第二電極であり、3は第三電極であり、4は第四電極であり、5は電歪材料から成る誘電体であり、6は絶縁基板としての支持基板である。図5に示す可変容量コンデンサは、支持基板6上に第一電極1と第三電極3との共通電極,誘電体5,第二電極2および第四電極4が順に積層された構成となっている。図5においては、第三電極3としての共通電極と第四電極4とが対向する部分から成る電歪発生領域TSが、第一電極1としての共通電極と第二電極2とが対向する部分から成る静電容量領域TCを挟むように2個配置された例について示しているが、電歪発生領域TSは、電歪発生領域TSで発生した歪に起因する応力を静電容量領域TCに伝えることができる近傍部に配置すれば、1個でも構わないし、3個以上でも構わない。
本発明の可変容量コンデンサによれば、図5に示すように、第一電極1と第三電極3とを共通電極としてもよい。この場合には、基板6上にこの共通電極,誘電体5,第二電極2および第四電極4を順次積層してから、上に位置する層から順にパターニングすることができるので、各層を形成する毎に成膜するための真空装置から取り出してパターニングする必要がなくなり、製造が容易となり生産性の高いものとすることができる。また、各層の成膜毎に真空装置から取り出す必要がないため、各層間に異物等が付着することを防ぐことができ信頼性の高い可変容量コンデンサとすることができる。
また、図5に示すように、第一電極1および第三電極3(共通電極)の膜厚を第二電極2および第四電極4に比べ厚くするのが好ましい。基板6を設けていても、静電容量領域TC及び電歪発生領域TSにおける変形が容易となるので、変形しにくい基板6の影響が少なくなり、全体として実質的に図3に示した様な自立膜に近い構成となり電歪発生領域TSで発生した歪を静電容量領域TCに伝えやすくなるなるからである。
支持基板6は、サファイア等の単結晶基板,アルミナセラミックス等のセラミック基板,ガラス基板等を用いることができる。このように、絶縁性材料から成る支持基板6を用いることにより、支持基板6上に第一電極1および第三電極3と、誘電体5と、第二電極2および第四電極4とを順次通常の薄膜プロセスにより積層することができるので、製造が容易となり、生産性の高い可変容量コンデンサとすることができる。さらに、支持基板6上に電極1〜4と誘電体5を形成することから機械的強度に優れたものとなり、信頼性の高い可変容量コンデンサとすることができる。
また、支持基板6上に形成された電歪発生領域TSの伸縮およびこれに伴う静電容量領域TCへの応力印加に起因した静電容量領域TCの伸縮を阻害せずに、支持基板6を用いることで生産性および信頼性を高めるためには、第一電極1,第三電極3、誘電体5の厚みを厚くしたり、ヤング率の高い材料を選択したり、支持基板6としてヤング率の大きいものを用いてもよい。このような構成とすることにより、Q値,容量変化率が共に高く、生産性および信頼性の高い可変容量コンデンサを製造することができる。
次に、図5に示す可変容量コンデンサの製造方法について説明する。
まず、支持基板6の表面に、支持基板6の温度を室温から600℃の範囲に適宜設定し、第一電極1,第三電極3から成る共通電極をスパッタリング法等の成膜法によって形成する。次に、この共通電極上に電歪材料からなる誘電体5を、支持基板6の温度を室温から700℃の範囲に適宜設定して、スパッタリング法等の成膜法によって成膜する。さらに、誘電体5上に、支持基板6の温度を室温から600℃の範囲に適宜設定し、第二電極2,第四電極4をスパッタリング法等の成膜法によって形成する。次に、通常のフォトレジストを用いたエッチング工程により上部に位置する層から順次所定の形状に加工し、可変容量コンデンサを得る。
このようにして作製した可変容量コンデンサにおいて、電歪発生領域TSの誘電体5に歪を発生させると、この歪により電歪発生領域TSの近傍に位置する静電容量領域TCの誘電体5に応力が加わり、静電容量領域TCの誘電体5の誘電率が変化する。例えば、説明のために、図5において電歪発生領域TSが圧縮される(縮む)歪が生じた場合について、歪の方向を実線の矢印で、応力の方向を破線の矢印で示している。第三電極3および第四電極4に電界を印加することによって電歪発生領域TSは実線の矢印の方向に縮み、そのため、静電容量領域TCには破線の矢印の方向の引張応力が加えられる。なお、静電容量領域TCおよび電歪発生領域TSの、歪および応力が加わる前の状態の形状を破線で、歪および応力を加えた状態の形状を実線で示している。第一電極1および第三電極3の厚みを厚くしたり、ヤング率が高くなるように調整したりすることにより、図5に示した応力、歪状態を実現することができる。
上述の本発明の可変容量コンデンサにおいて、電歪発生領域TSの誘電体5に歪を発生させたときの静電容量領域TCの誘電体5の誘電率は、次の通りとなる。すなわち、電歪発生領域TSの誘電体5に圧縮させる歪を発生させた場合には、静電容量領域TCの誘電体5に引張り応力が働き、誘電率が極大値を取る温度を低温側にシフトさせることができる。逆に、電歪発生領域TSの誘電体5を膨張させる歪を発生させた場合には、静電容量領域TCの誘電体5に圧縮応力が働き、誘電率が極大値を取る温度を高温側にシフトさせることができる。極大値を取る温度のシフト量は電歪発生領域TSに印加する電界の大きさにより制御することができる。このように、本発明の可変容量コンデンサによれば、誘電体5の誘電率が極大値を取る温度を、誘電体5の組成を変えることなく調整することができるので、所望の容量可変率と誘電損失とを得るように制御することができる。このため、例えば、使用温度付近で誘電損失の充分に小さい誘電体5を用いて、誘電率が極大値を取る温度を適宜調整すれば、誘電率変化が大きい、すなわち容量可変率が大きく、かつ誘電損失の小さいものとすることもできる。
さらに、電歪発生領域TSの誘電体5への電界印加に加えて、静電容量領域TCの誘電体5へ電界を印加して、静電容量領域TCの静電容量値を調整してもよい。この場合には、第三電極3と第四電極4との間(電歪発生領域TS)に印加される電界の強度に依存する歪による静電容量領域TCの静電容量値の調整と独立して、さらに静電容量値を調整することができることになり、広い範囲で静電容量値の調整ができるものとすることができる。
ここで、電歪発生領域TSに圧縮させる歪を発生させて、静電容量領域TCに引張り応力を加えた状態で、静電容量領域TCに電界を印加したときの誘電率の温度依存性を図2a)に、誘電損失の温度依存性を図2b)にそれぞれ示す。
図2a)において、横軸は温度(K),縦軸は誘電率、図2b)において、横軸は温度(K),縦軸は誘電損失である。
図2では、(Ba0.2Sr0.8)TiO3から成る誘電体を例に、電歪発生領域TS,静電容量領域TCの両方に電界強度0〜500kV/cmの直流電圧を印加したときの静電容量領域TCの誘電率および誘電損失の温度依存性をシミューレーションした。ここで、電歪発生領域TSで発生した歪が全て静電容量領域TCに伝わったものと仮定した。
ここで、図1に示すように従来の可変容量コンデンサによれば、電界の印加により誘電率の極大値を取る値は高温側にシフトし、これにより使用温度領域において誘電損失が大きくなっていた。すなわち、電界を印加しない状態において充分誘電損失の小さい温度領域で使用したとしても、電界の印加に伴い誘電損失が増大するので誘電損失も大きくなり、Q値が低くなっていた。
これに対して、本願の可変容量コンデンサによれば、静電容量領域TCの誘電体5に引張応力を加えると誘電率の極大値を取る値は低温側にシフトする。そこで、図2(a)に示すように、静電容量領域TCに電圧を印加することにより発生する、誘電率が極大値を取る値の高温側へのシフト量以上のシフトを歪によって生じさせることにより、全体としての極大値を取る値のシフトを抑えたり、あるいは、逆に低温側にシフトさせたりすることができるようになる。このことから、特に誘電率が極大値を取る温度以上の温度で、誘電率の変化率を大きくすることができるようになる。また、誘電率の極大値を取る温度が高温側にシフトしないことから、静電容量領域TCに電界を印加して誘電率を変化させても誘電損失を増加させること無いので、Q値の高い可変容量コンデンサとすることができるようになる。また、歪は静電容量領域TCの近傍に配置した電歪発生領域TSで発生されるので、歪を電気的に制御し、その歪を効率良く静電容量領域TCに伝えることができることにより、静電容量領域TCの誘電率を制御し、容量を電気的に制御できる。以上より、本発明によれば、電界の印加による誘電率の変化が大きく、かつ、電界を印加しても損失が増加しない可変容量コンデンサを提供することができる。
また、図2より、静電容量領域TCに電界を印加しない場合は、誘電率の極大値は電歪発生領域TSで発生した圧縮歪により低温側にシフトするだけなので、静電容量領域TCに歪による応力と電界とを同時に加えた場合より、誘電率の変化率は小さくなるものの、損失がより小さく抑えられることがわかる。
以上より、本発明の可変容量コンデンサによれば、印加電圧による容量変化が大きく、Q値が高い可変容量コンデンサを提供することができる。
なお、本発明の可変容量コンデンサは上述の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更・改良を加えることは何ら差し支えない。
1・・・第一電極
2・・・第二電極
3・・・第三電極
4・・・第四電極
5・・・電歪材料から成る誘電体
6・・・支持基板
TC・・・静電容量領域
TS・・・電歪発生領域
2・・・第二電極
3・・・第三電極
4・・・第四電極
5・・・電歪材料から成る誘電体
6・・・支持基板
TC・・・静電容量領域
TS・・・電歪発生領域
Claims (6)
- 電歪材料から成る誘電体と、前記誘電体を挟持して静電容量領域を形成して成る第一電極と第二電極とを備えた可変容量コンデンサであって、前記誘電体は、前記静電容量領域の近傍部を挟持して電歪発生領域を形成して成る第三電極と第四電極とを備え、前記第三電極と前記第四電極との間に電界を印加することによって、前記第一電極と前記第二電極間の静電容量値を調整し得るようにしたことを特徴とする可変容量コンデンサ。
- 前記第一電極と前記第二電極との間に電界を印加することによって、前記第一電極と前記第二電極間の静電容量値を調整し得るようにしたことを特徴とする請求項1に記載の可変容量コンデンサ。
- 前記第一電極及び前記第三電極を共通電極としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の可変容量コンデンサ。
- 前記静電容量領域は、前記電歪発生領域によって取り囲まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の可変容量コンデンサ。
- 前記電歪材料は、チタン酸バリウムストロンチウム化合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の可変容量コンデンサ。
- 前記第一電極および前記第三電極が絶縁基板上に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の可変容量コンデンサ。
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JP2005312703A JP2007123494A (ja) | 2005-10-27 | 2005-10-27 | 可変容量コンデンサ |
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- 2005-10-27 JP JP2005312703A patent/JP2007123494A/ja active Pending
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