JP2007123260A - 透明導電体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光硬化性材料の重合率が上昇することにより、十分な機械強度を有し、電気的抵抗値の経時安定性に優れた透明導電体を得ることができる透明導電体の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、導電性粒子、光硬化性材料、及び光重合開始剤を含む透明導電材料に光を照射して、透明導電材料中の光硬化性材料を硬化させ透明導電体を得る透明導電体の製造方法において、透明導電材料における光の放射照度を5W/cm以上とする、透明導電体の製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明導電体の製造方法に関する。
タッチパネル等のパネルスイッチは一般に、互いに対向する一対の透明電極と、これら一対の透明電極間に挟まれたスペーサとから構成される。このようなパネルスイッチにおいては、一方の透明電極を押圧すると、この透明電極が他方の透明電極と接触して通電が起こり、これによって、その接触点の位置が検知される。この透明電極として、一般に透明導電体が使用される。
このような透明導電体の製造方法としては、例えば、インジウム錫酸化物微粒子を含む紫外線硬化型インクを樹脂フィルム上に印刷後、乾燥、圧延処理し、紫外線硬化処理を施すことにより透明導電膜を製造する方法が開示されている(特許文献1参照)。ここで、上記紫外線硬化処理は、高圧水銀ランプを用い、不活性雰囲気下室温付近で10〜120秒間、70mW/cmの放射照度の紫外線が照射されている。
特許第2994767号公報
しかしながら、上記特許文献1記載の透明導電膜は、紫外線硬化時に透明導電膜の表面のみ硬化されてしまう現象(以下「フィルタ効果」ともいう。)が生じ、透明導電膜の深部までは十分に硬化されない場合がある。この場合、透明導電膜の表面と深部とで重合度合いの差が生じることになるため、透明導電膜の機械強度が不十分となる。また、このことより、電気的抵抗値の経時安定性が低下する。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、光硬化性材料の重合率を上昇させることにより、十分な機械強度を有し、電気的抵抗値の経時安定性に優れた透明導電体を得ることができる透明導電体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した。まず上記フィルタ効果が生じることを抑制するためには、フィルタ効果が生じる光の波長域以外の波長を用いれば良いと考えられる。しかし、一般に、上記フィルタ効果により遮蔽されている波長域(紫外線)以外、特に可視光域はエネルギーが低い。このため、酸素存在下で光硬化反応を起こす場合、従来よりも大きい積算放射照度で光の照射を行っても、光重合開始剤から発生するラジカルが、酸素によりトラップされる傾向にあり、結果として光硬化の進行が妨げられることになる。したがって、単純に積算放射照度を大きくしても、フィルタ効果を抑制することは困難と考えられていた。本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、所定の波長領域を含む大光量照射により、最表面においては短時間で酸素によりトラップされるラジカル以上に大量のラジカルを発生させ、表面を硬化させると共に、従来はフィルタ効果により透過させることができなかった深部も、大光量照射により光を到達させることが可能となり、表面と内部で硬化が進行することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る透明導電体の製造方法は、導電性粒子、光硬化性材料、及び光重合開始剤を含む透明導電材料に光を照射して、透明導電材料中の光硬化性材料を硬化させ透明導電体を得る透明導電体の製造方法において、透明導電材料における光の放射照度を5W/cm以上とするものである。なお、本発明における透明導電体は、膜状及び板状のものを含み、膜状透明導電体は厚みが50nm〜1mmの範囲のものをいい、板状透明導電体は厚みが1mmを超えるものをいう。
上述したように、従来から光の放射照度を大きくしても、光硬化の進行が妨げられると考えられているが、本発明の透明導電体の製造方法によれば、放射照度が5W/cm以上という、従来の10倍以上の放射照度で光を照射するため、透明導電材料の表面が短時間で硬化され、酸素の透過が妨げられるとともに、光を透明導電材料の深部にまで到達させることができる。このため、酸素によってトラップされるラジカルの量が十分に軽減され、透明導電材料の内部においても硬化反応が効率よく進行することになり、フィルタ効果が生じることが抑制される。これにより、透明導電材料は効果的に重合される。したがって、本発明の透明導電体の製造方法によれば、光硬化性材料の重合率を上昇させることができるため、十分な機械強度を有し、電気的抵抗値の経時安定性に優れた透明導電体の製造方法を提供することができる。
上記透明導電体の製造方法において、光がパルス光であることが好ましい。すなわち、光をパルス光とし、パルス光を透明導電材料に照射することが好ましい。
光をパルス光とした場合、光が断続的に透明導電材料に照射されるため、透明導電材料内部において熱が発生した場合であっても、すぐに冷却される。このため、透明導電体が変形したり寸法精度が損なわれることが抑制される。つまり、透明導電材料中において、温度の過度な上昇が抑制されるため、熱による透明導電体の変形等が抑制される。
なお、熱による変形を避けるために、透明導電材料の温度は80℃以下、好ましくは60℃以下に保持することが好ましい。また、本発明において、パルス光は、照射時間が10μsec〜100msecであることが好ましい。
さらに、パルス光を複数回照射する場合には、パルス光の照射間隔を、パルス光の照射時間以上とすることが好ましい。パルス光の照射間隔が照射時間未満である場合には、透明導電体材料内部に発生した熱が冷却されず、変形や寸法精度が損なわれる恐れがある。パルス光の照射間隔が照射時間以上である場合には、透明導電体の変形がより抑えられる。また、パルス光の照射間隔は、パルス光の照射時間の10倍以上とすることがより好ましい。この場合、10倍未満の場合と比較して、変形が抑制され、また、寸法精度が保持されるとともに、光硬化性材料の硬化反応が効率よく進行する。
また、上記透明導電体の製造方法において、光が熱線吸収フィルタを透過した光であることが好ましい。すなわち、光を熱線吸収フィルタに透過させ透明導電材料に照射することが好ましい。
光を熱線吸収フィルタに透過させた場合、熱線である赤外線が除去されるため、光を連続的に透明導電材料に照射した場合や透明導電材料に光を照射する時間が長い場合であっ
ても、透明導電材料中に熱が発生し、それによって透明導電材料中に内部応力が発生して、得られる透明導電体が変形したり寸法精度が損なわれることが抑制される。また、硬化前の光硬化性材料が熱により揮発することも抑制される。
なお、本発明において、上記熱線吸収フィルタは、照射光中の1000nm以上の赤外線を遮蔽できるフィルタであることが好ましく、800nm以上の赤外線を遮蔽できるフィルタであることがより好ましい。
上記透明導電体の製造方法において、透明導電材料中の光重合開始剤の含有率が2質量%以下であることが好ましい。
光重合開始剤の含有量を2質量%以下とすると、未反応の光重合開始剤の残存が抑制されるため、透明導電体の耐久性の低下を抑制できるとともに、電気的抵抗値の低下が生じることをより十分に抑制できる。
また、上記光重合開始剤が多量体であることが好ましい。この場合、光重合開始剤のブリードが抑制されるとともに、熱によるアウトガスの発生が抑制される。
本発明によれば、光硬化性材料の重合率を上昇させることにより、十分な機械強度を有し、電気的抵抗値の経時安定性に優れた透明導電体を得ることができる透明導電体の製造方法を提供することができる。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
[第1実施形態]
まず、本発明に係る透明導電体の製造方法の第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る透明導電体の製造方法により得られる透明導電体を示す模式断面図である。図1に示すように、透明導電体10は、基体14と、基体14上に設けられる導電層15とを備えており、導電層15は導電性粒子11及び光硬化性材料の硬化体であるバインダ12を含む。ここで、導電性粒子11は、導電層15内部に充填されており、導電性粒子11は、バインダ12に固定されている。
次に、本実施形態に係る透明導電体10の製造方法について説明する。
本実施形態に係る透明導電体10の製造方法は、導電性粒子、光硬化性材料、及び光重合開始剤を含む透明導電材料に、放射照度が5W/cm以上である光を照射して透明導電材料中の光硬化性材料を硬化させ、透明導電体10を得るものである。以下、この製造方法について詳細に説明する。
まず、本実施形態においては、透明導電材料と基体14とを準備する。
(透明導電材料)
ここで、透明導電材料について説明する。この透明導電材料には、導電性粒子11、光硬化性材料、及び光重合開始剤が含まれる。
<導電性粒子>
上記導電性粒子11は、例えば透明導電性酸化物材料から構成される。透明導電性酸化物材料は、透明性及び導電性を有していれば特に限定されないが、かかる透明導電性酸化物材料としては、例えば、酸化インジウム、又は酸化インジウムに、錫、亜鉛、テルル、銀、ガリウム、ジルコニウム、ハフニウム又はマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素がドープされたものや、酸化錫、又は酸化錫に、アンチモン、亜鉛又はフッ素からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素がドープされたものや、酸化亜鉛、又は酸化亜鉛に、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ホウ素、フッ素、又はマンガンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素がドープされたもの等が挙げられる。
上記導電性粒子11の平均粒径は10〜80nmであることが好ましい。平均粒径が10nm未満であると、平均粒径が10nm以上である場合と比べて、透明導電体10の導電性が経時変化しやすくなる傾向がある。すなわち、この透明導電体10は導電性粒子11において生じる酸素欠陥によって導電性が発現することとなるが、導電性粒子11の平均粒径が10nm未満では、平均粒径が上記範囲にある場合と比較して、例えば外部の酸素濃度が高い場合には酸素欠陥が減少し、導電性が経時変化する虞がある。一方、平均粒径が80nmを超えると、平均粒径が上記範囲にある場合と比較して、例えば可視光の波長領域では、平均粒径が80nm以下である場合に比べて光散乱が大きくなり、可視光の波長領域で透明導電体の透過率が低下し、ヘイズ値が増加する傾向がある。
透明導電材料中の導電性粒子11は、導電層15における充填率が、10〜70体積%となる量とすることが好ましい。充填率が10体積%未満であると、充填率が上記範囲である場合と比較して、透明導電体10の電気的抵抗値が高くなる傾向にあり、充填度が70体積%を超えると、充填率が上記範囲である場合と比較して、透明導電体10の機械的強度が低下する傾向にある。
このように、導電性粒子11の平均粒径及び充填率が上記範囲であると、上記透明導電体10において、透明度がより向上し、かつ初期の電気的抵抗値が低減される。
上記導電性粒子11の比表面積は10〜50m/gであることが好ましい。比表面積が10m/g未満であると、比表面積が上記範囲である場合と比較して、可視光の光散乱が大きくなる傾向があり、比表面積が50m/gを超えると、比表面積が上記範囲である場合と比較して、透明導電体10の安定性が低くなる傾向がある。なお、ここで言う比表面積は、比表面積測定装置(型式:NOVA2000、カンタクローム社製)を用いて、試料を300℃で30分間真空乾燥した後に測定した値をいうものとする。
<光硬化性材料>
上記光硬化性材料は、硬化によりバインダ12となり、上記導電性粒子11を固定できるものであれば特に限定されない。上記光硬化性材料としては、例えばビニル基を有する材料やそれらの誘導体が挙げられ、当該材料としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン及びそれらの誘導体が挙げられる。これらは1種類単独で用いてもよく、2種類以上混合して用いてもよい。なお、上記ビニル基を有する材料は、モノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー等のいずれであってもよい。
光硬化性材料を光重合させて得られるバインダ12としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリウレタン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの中でも、アクリル樹脂であることが好ましい。この場合、アクリル樹脂以外を用いた場合と比較して、透明導電体10の透過率を向上させることができる。また、上記アクリル樹脂は、酸・アルカリに対する耐薬品性に優れるとともに耐スクラッチ性(表面硬度)にも優れるため、このようなアクリル樹脂を含む透明導電体10は、有機溶剤、界面活性剤等を含む拭き取り剤で拭くことや、対向する導電層15の表面同士の接触、擦れ等が想定されるタッチパネル等において、より好適に用いられる。
透明導電材料中の光硬化性材料の含有率は、30〜90質量%であることが好ましい。含有率が30質量%未満であると、含有率が上記範囲にある場合と比較して、機械的強度が低下する傾向にあり、含有率が90質量%を超えると、透明導電体の電気抵抗値が上昇する傾向にある。
<光重合開始剤>
上記光重合開始剤は、所定の波長の光が照射される場合に光硬化性材料の重合を開始させるものであれば特に限定されず、上記光硬化性材料の重合を開始させることが可能なものであればよい。具体的には、ベンゾフェノン系、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系、ヒドロキシケトン系、フォスフィンオキサイド系、アミノケトン系、メタロセン系等の光重合開始剤が用いられる。これらの中でも、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパン−1−オン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエイト、メチルベンゾイルホルメイトを用いることが好ましい。
透明導電材料中の光重合開始剤の含有率は、2質量%以下であることが好ましい。光重合開始剤の含有率が2質量%を超えると、未反応の光重合開始剤が残存する傾向にある。そうすると、重合した透明導電体10に光が照射された場合、残存する光重合開始剤により透明導電体10内にラジカルが発生し、このラジカルが導電性粒子11に作用して透明導電体10の電気的抵抗値の変化を引き起こす虞がある。
また、光重合開始剤の含有率は、0.2質量%以上であることがより好ましい。含有率が0.2質量%未満であると、含有率が上記範囲である場合と比較して、硬化が十分では無い状態となるため、機械強度が低下する傾向にある。
上記光重合開始剤は多量体であることが好ましい。この場合、光重合開始剤のブリードが抑制されるとともに、アウトガスの発生が抑制される。上記多量体の中でも、2〜5量体であることが、硬化反応性の効率という点から好ましい。
このような多量体の光重合開始剤としては、例えばオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]等の多量体が挙げられる。
以上、説明した透明導電粒子11、光硬化性材料、及び光重合開始剤を混合することにより、透明導電材料が得られる。なお、上記導電性粒子11、光硬化性材料、及び光重合開始剤を混合する順序は特に限定されない。
透明導電材料には、必要に応じて、溶媒を含有させてもよい。かかる溶媒は、光硬化性材料及び光重合開始剤を溶解するものであれば特に限定されず、かかる溶媒としては、ヘキサン等の飽和炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類が挙げられる。
さらに、上記透明導電性材料には、導電性粒子11、光硬化性材料、光重合開始剤以外の添加剤を含んでいてもよい。
(添加剤)
ここで、上記添加剤について説明する。なお、添加剤は、必須の成分ではなく、透明導電体10の使用用途等に応じて任意に含有させることができる。
<光増感剤>
上記透明導電材料には、添加剤として光増感剤を含有させることが好ましい。この透明導電材料が光増感剤を含むことにより、光硬化性材料が酸素阻害を受けにくくなると共に、光エネルギーを効率よく光重合反応に利用でき、光硬化性材料の硬化反応を促進させ、未反応の光硬化性材料の残存を低減させることができる。また、導電層15を形成する際の光照射において、光重合開始剤が効率よく分解される。そうすると、導電層15に残存する光重合開始剤の量が低減されるため、重合した透明導電体10に光が照射された場合、残存する光重合開始剤により透明導電体10内にラジカルが発生することを抑制できる。したがって、上記透明導電体10によれば、電気的抵抗値の変化を抑制することができる。
上記光増感剤は、アミン系増感剤、ベンゾフェノン誘導体、又はチオキサントン誘導体であることが好ましい。具体的には、エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエイト、ブトキシエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエイト、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエイト等のアミン系増感剤、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン誘導体、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体が挙げられる。これらの中でも、エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエイト、ブトキシエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエイト等のアミン系増感剤、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体を用いることが好ましい。光増感剤がこれらの化合物であると、紫外線も吸収されるため、導電層15にラジカルが発生することをより抑制できる。
透明導電材料中の光増感剤の含有率は、0.1〜2.0質量%であることが好ましい。含有率が0.1質量%未満であると、含有率が上記範囲である場合と比較して、光重合開始剤を十分に分解できないため、硬化が十分では無い状態となり、機械強度が低下する傾向にある。また、含有率が2.0質量%を超えると、含有率が上記範囲である場合と比較して、着色や臭気の原因となることがある。
上記透明導電材料を用意したならば、この透明導電材料を基体14上に塗布し、未硬化の導電層を得る。
基体14は、後述する高エネルギー線及び可視光に対して透明な材料で構成されるものであれば特に限定されない。すなわち基体14は公知の透明フィルムでよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルム、ノルボルネンフィルム(JSR(株)製、アートンなど)等が挙げられる。基体14として、上記樹脂フィルムの他にガラスを用いることもできる。
上記基体14は、樹脂のみからなることが好ましい。この場合、基体14が樹脂と、樹脂以外のものとを含む場合と比較して、透明導電体10は透明性、屈曲性に優れるものとなる。したがって、例えばタッチパネル等のパネルスイッチに用いた場合には特に有効である。
上記基体14と導電層15との間に更に中間層を設けても良い。中間層の数には特に制限は無く、必要に応じて設けることが出来る。上記中間層としては、例えば、緩衝層、導電補助層、拡散防止層、紫外線遮蔽層、着色層、偏光層等の機能を有する層が挙げられる。これらの層は樹脂や無機酸化物、または両者の複合体で構成されることが好ましい。
なお、基体14に透明導電材料を塗布する前に、基体14の導電層15と接着させる面側にアンカー層を予め設けておくと好ましい。基体14上に予めアンカー層を設けておくと、基体14上のアンカー層を介して導電層15をより強固に固定させることができる。上記アンカー層としては、ポリウレタン等が好適に用いられる。
透明導電材料が溶媒を含む場合、上記透明導電材料を基体14上に塗布した後、透明導電材料に対して乾燥工程を施す必要がある。
透明導電材料の塗布方法としては、例えば、リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョン法、ノズル法、カーテン法、グラビアロール法、バーコート法、ディップ法、キスコート法、スピンコート法、スクイズ法、スプレー法等が挙げられる。
そして、上記基体14上に設けられた未硬化の導電層を硬化させる。本実施形態においては、未硬化の導電層を構成する透明導電材料に、放射照度が5W/cm以上である光を照射して透明導電材料を硬化させる。
ここで、上記放射照度は、放射照度計(トプコン社製:UVR−T1)を用いて測定される。なお、放射照度計の走査速度は一回あたりの照射時間より遅くなる場合があるため、個々の照射時における放射照度を正確に測定できない可能性がある。よって、本発明においては、積算放射照度測定後にパルス回数で積算放射照度を除することにより一回あたりの平均放射照度を算出している。また、比較連続光の放射照度は放射照度計の測定値を利用している。
このように本実施形態の透明導電体10の製造方法は、導電性粒子11、光硬化性材料、及び光重合開始剤を含む透明導電材料に放射照度が5W/cm以上の光を照射することにより、透明導電材料を硬化させる。本発明の透明導電体10の製造方法によれば、放射照度が5W/cm以上という、従来の10倍以上の放射照度で光を照射するため、光が透明導電材料の深部にまで到達する。また、酸素によってトラップされるラジカル以上のラジカルを発生させるため、透明導電材料の表面においても硬化反応が効率よく進行することになり、フィルタ効果が生じることが抑制される。したがって、本発明の透明導電体10の製造方法によれば、光硬化性材料の重合率を上昇させることができるため十分な機械強度を有し、電気的抵抗値の経時安定性に優れた透明導電体10を得ることができる透明導電体10の製造方法を提供することができる。
また、上記放射照度は、20W/cm以上であることが硬化反応の促進の観点から、より好ましく、上記放射照度は、5000W/cm以下であることが更に好ましい。放射照度が5000W/cmを超えると、多量の熱が発生し、この熱により、変形した透明導電体が得られる場合がある。
このとき、用いるランプとしては、5W/cm以上の放射照度が得られるものであれば特に限定されないが、例えば水銀キセノンランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、高圧水銀灯等が挙げられる。
本実施形態の透明導電体の製造方法において、透明導電材料に照射する光は、パルス光であることが好ましい。
光をパルス光とした場合、光が断続的に透明導電材料に照射されるため、透明導電材料内部において熱が発生した場合であっても、すぐに冷却される。このため、透明導電体10が変形したり寸法精度が損なわれることが抑制される。つまり、透明導電材料中において、温度の過度な上昇が抑制されるため、熱による透明導電体10の変形等が抑制される。
また、この場合、熱による透明導電体10の変形を避けるために、透明導電材料の温度は80℃以下、好ましくは60℃以下に保持されることが好ましい。
上記パルス光は、照射時間が10μsec〜100msecであることが好ましい。照射時間が100msecを超えると、紫外線硬化時に熱が発生し、その熱により透明導電材料中に内部応力が発生して、変形した透明導電体が得られ、透明導電体の寸法精度が損なわれる虞がある。また、光重合開始剤が熱により蒸発してアウトガスとして排出される虞もある。これに対し、パルス持続時間が100msec以下では、熱が発生することを抑制できるため、熱による透明導電体の変形やアウトガスの排出を抑制できる。
なお、パルス光における照射時間とは、1回あたりに照射が保持される時間をいい、具体的には、キセノンフラッシュランプに見られるパルス形状の立ち上がり半値点Aから立ち下がり半値点Bまでの時間Tをいう(図2参照)。
上記パルス光は、対象となる透明導電材料に応じて1回のみならず、複数回照射してもよい。但し、パルス光を複数回照射する場合、パルス光の照射間隔を、パルス光の照射時間と同時間以上とすることが好ましく、パルス光の照射時間の10倍以上とすることがより好ましい。この場合、透明導電材料の温度上昇を抑えつつ、光硬化性材料の硬化反応が効率よく進行するという利点がある。
また、上記パルス光の照射間隔は、具体的には、100〜500msecとすることが好ましい。パルス光の照射間隔が100msec未満では、照射間隔が上記範囲にある場合と比較して、熱が透明導電材料内部に残存し、その熱により透明導電材料中に内部応力が発生して、変形した透明導電体が得られ、透明導電体の寸法精度が損なわれる傾向にあり、パルス光の照射間隔が500msecを超えると、照射間隔が上記範囲にある場合と比較して、ラジカルの消失性が高まるため、光硬化性材料の重合率が低くなり、導電層の機械的強度が低下しやすくなる傾向にある。
さらに、パルス光の照射間隔は、照射時間以上の間隔であることが好ましい。パルス光の照射間隔が照射時間未満である場合には、透明導電体材料内部に発生した熱が冷却されず、変形や寸法精度が損なわれる恐れがある。パルス光の照射間隔が照射時間以上である場合には、透明導電体の変形がより抑えられる。
本実施形態の透明導電体の製造方法において、透明導電材料に照射する光は、熱線吸収フィルタを透過した光であることが好ましい。
光を熱線吸収フィルタに透過させた場合、熱線である赤外線が除去されるため、光を連続的に透明導電材料に照射した場合や透明導電材料に光を照射する時間が長い場合であっても、透明導電材料中に熱が発生し、それによって透明導電材料中に内部応力が発生して、得られる透明導電体が変形したり寸法精度が損なわれることが抑制される。また、硬化前の光硬化性材料が熱により揮発することも抑制される。
本発明において、上記熱線吸収フィルタは、照射光中の1000nm以上の赤外線を遮蔽できるフィルタであることが好ましく、800nm以上の赤外線を遮蔽できるフィルタであることがより好ましい。
なお、熱線吸収フィルタを透過した光における照射時間とは、一回あたりに照射が保持される時間をいい、具体的には、上記光をシャッター等の露光装置を用いて露光を行った時間をいう。
また、光の積算照射量は、5〜5000W/cmであることが好ましい。積算照射量が5W/cm未満であると、積算照射量が上記範囲にある場合と比較して、透明導電材料の硬化が不十分となる傾向にあり、積算照射量が5000W/cmを超えると、積算照射量が上記範囲にある場合と比較して、熱により変形した透明導電体10が得られる場合がある。
こうして導電層15が基体14の一面上に形成され、図1に示す透明導電体10が得られる。
上記導電層15の厚みは、100nm〜10μmであることが好ましい。導電層15の厚みが上記範囲となるように透明導電材料を基体14上に塗布して光を照射すると、上記照射照度及びパルス持続時間の条件下において、特に優れた機械強度を有する透明導電体10を得ることができる。
こうして得られる透明導電体10は、タッチパネル、光透過スイッチ等のパネルスイッチに用いることができ、さらにパネルスイッチ以外にも、ノイズ対策部品や、発熱体、EL用電極、バックライト用電極、LCD、PDP等の用途に好適に用いることができる。
[第2実施形態]
次に、本発明に係る透明導電体の製造方法の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
まず、本実施形態に係る透明導電体の製造方法により得られる透明導電体の構成について説明する。
図3は、本実施形態に係る透明導電体の製造方法により得られる透明導電体を示す模式断面図である。図3に示すように透明導電体20は、基体14と導電層15との間にバインダ層13を更に備える点で上記第1実施形態の透明導電体10と異なる。なお、上記第2実施形態に係るバインダ層13は、上述したバインダ12で構成される。
次に、本実施形態に係る透明導電体20の製造方法について説明する。
まず、図示しないガラス基板上に導電性粒子11を載置する。このとき、基板上には、導電性粒子11を基板上に固定するためのアンカー層を予め設けておくことが好ましい。予めアンカー層を設けておくと、上記導電性粒子11の載置を容易に行うことができることに加えて、導電性粒子11を基板上にしっかりと固定させることができる。上記アンカー層としては、例えばポリウレタン等が好適に用いられる。
また、基板上に導電性粒子11を固定するためには、導電性粒子11を基板側に向かって圧縮して圧縮層を形成することが好ましい。この場合、アンカー層を形成することなく導電性粒子11を基板に接着することができ有用である。この圧縮はシートプレス、ロールプレス等により行うことができる。なお、この場合も、基板上に予めアンカー層を設けておくことが好ましい。この場合、導電性粒子11をよりしっかりと固定させることが可能である。上記基板としては、例えば、ガラスのほか、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のフィルムや各種プラスチック基体等が用いられる。
こうして圧縮層を形成した後、導電層15及びバインダ層13を形成する。具体的には以下のようにして導電層15及びバインダ層13を形成する。
すなわち、まず、光硬化性材料の粘度が高く加工困難である場合や、光硬化性材料が固体である場合等は、光硬化性材料を液体中に分散させることにより、分散液とする。上記光硬化性材料を分散させる溶媒としては、ヘキサン等の飽和炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類が挙げられる。このとき光硬化性材料を上記溶媒に溶かして用いてもよい。
上記光硬化性材料、若しくは光硬化性材料の分散液は、上記圧縮層の一面上に塗布される。そうすると光硬化性材料の一部が圧縮層に浸透することとなる。なお、上記液体を用いた場合は塗布後、分散液に対し乾燥工程を施すことが好ましい。また、上記分散液の塗布は、例えば、リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョン法、ノズル法、カーテン法、グラビアロール法、バーコート法、ディップ法、キスコート法、スピンコート法、スクイズ法、スプレー等の方法で塗布することができる。
次に、上記光硬化性材料上に、基体14を貼り付ける。なお、この基体14には、光硬化性材料との接着面にアンカー層を予め設けておくことも可能である。基体14上に予めアンカー層を設けておくと、アンカー層を経て光硬化性材料を基体14上により強固に固定させることができる。上記アンカー層としては、ポリウレタン等が好適に用いられる。
次に、上記光硬化性材料上に設けられた基体14上から、上述した方法により光を照射して上記光硬化性材料と、圧縮層に浸透した光硬化性材料の一部とを硬化させ、導電層15とバインダ層13を得る。
そして、上記導電層15から基板を剥離することにより、導電層15、及びバインダ層13が基体14の一面上に形成される。こうして図3に示す透明導電体20が得られる。
この透明導電体20は、タッチパネル、光透過スイッチ等のパネルスイッチに用いることができ、さらにパネルスイッチ以外にも、ノイズ対策部品や、発熱体、EL用電極、バックライト用電極、LCD、PDP等の用途に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(導電性粒子の作製)
塩化インジウム四水和物(関東化学社製)19.9g及び塩化第二錫(関東化学社製)2.6gを水980gに溶解した水溶液と、アンモニア水(関東化学社製)を水で10倍に希釈したものとを調製しながら混合し、白色の沈殿物(共沈物)を生成させた。
生成した沈殿物を含む液体を遠心分離機で固液分離し固形物を得た。これを更に水1000gに投入し、ホモジナイザーで分散して、遠心分離機で固液分離を行なった。分散及び固液分離を5回繰り返したのち、固形物を乾燥し、窒素雰囲気中、600℃で1時間加熱して、ITO粉(導電性粒子)を得た。
(実施例1)
片面にポリウレタンが塗布された10cm×30cm角のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(基体、帝人株式会社製、厚さ100μm)のウレタン未塗布面の一端を合成石英ガラス基板(255nmにおける透過率:90%)上に両面粘着テープを用いて貼り付け、ガラス基板上に基体を固定した。
次に得られたITO粉(平均粒径30nm)200質量部と、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(光硬化性材料、新中村化学工業株式会社製、商品名:A−BPE−20)20質量部と、ポリエチレングリコールジメタクリレート(光硬化性材料、新中村化学工業株式会社製、商品名:14G)35質量部と、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(光硬化性材料、新中村化学工業株式会社製、商品名:702A)25質量部と、ウレタン変性アクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名:UA−512)10質量部と、アクリルポリマー(平均分子量約5万、1分子当たりアクリロイル基を平均50基、トリエトキシシランを平均25基含有)10重量部と、光重合開始剤(ラムバーティ社製、ESACURE ONE)1質量部と、をメチルエチルケトン(関東化学株式会社製、MEK)50質量部中で混合させて得られた混合液をバーコート法により基体上に硬化後の厚さが10μmとなるように塗布し、これを常温減圧下で5分放置することにより、溶媒を除去し、未硬化の導電層を得た。この未硬化の導電層を、大気下で未硬化の導電層の基体とは反対側から光照射を行うことにより硬化させ、導電層を形成し、透明導電体を得た。
ここで、光照射は以下の条件で行った。すなわち、光源はキセノンランプを用い、パルス光を照射した。1照射あたりの照射時間を約50msec、照射における300nm〜390nmの波長域での放射照度を10W/cm、照射間隔を1秒間に5回照射、実験時間を1秒間とした。また、この時の基体の温度は25℃であった。
(実施例2)
光照射の条件のうち、照射間隔を1秒間に10回照射としたこと以外は実施例1と同様にして、透明導電体を得た。
(実施例3)
光照射の条件のうち、光源にキセノンフラッシュランプを用い、パルス光を照射した。1照射あたりの照射時間を約6msec、放射照度を50W/cm、照射間隔を1秒間に5回照射としたこと以外は実施例1と同様にして、透明導電体を得た。
(実施例4)
光照射の条件のうち、放射照度を100W/cm、1照射あたりの照射時間を約8msecとしたこと以外は実施例1と同様にして、透明導電体を得た。
(実施例5)
光照射の条件のうち、放射照度を100W/cm、1秒間に10回照射としたこと以外は実施例1と同様にして、透明導電体を得た。
(実施例6)
光照射の条件のうち、1回照射としたこと以外は実施例1と同様にして、透明導電体を得た。
(実施例7)
光照射の条件を以下の条件で行ったこと以外は実施例1と同様にして、透明導電体を得た。すなわち、光源はキセノンランプを用い、放射照度100W/cmの光を熱線吸収フィルタ(シグマ光機製)に透過させ、未硬化の導電層に連続的に照射した。
(実施例8)
光照射の条件のうち、放射照度10W/cmとしたこと以外は実施例7と同様にして、透明導電体を得た。
(実施例9)
光照射の条件のうち、放射照度5W/cmとしたこと以外は実施例7と同様にして、透明導電体を得た。
(実施例10)
光照射の条件のうち、光源にキセノンフラッシュランプを用い、パルス光を照射した。1照射あたりの照射時間を8msec、放射照度を2000W/cm、照射間隔を1秒間に5回照射としたこと以外は実施例1と同様にして、透明導電体を得た。
(実施例11)
光照射の条件のうち、1照射あたりの照射時間を約100msecとしたこと以外は、実施例1と同様にして、透明導電体を得た。
(比較例1)
実施例1の未硬化の導電層への光照射の条件のうち、光源を高圧水銀灯とし、放射照度を0.1W/cmとしたこと以外は実施例1と同様にして、透明導電体を得た。
(比較例2)
実施例1の未硬化の導電層への光照射の条件のうち、光源を高圧水銀灯とし、放射照度を0.5W/cmとしたこと以外は実施例1と同様にして、透明導電体を得た。
(比較例3)
光照射の条件のうち、光源を高圧水銀灯とし、放射照度を3.5W/cmとしたこと以外は実施例1と同様にして、透明導電体を得た。
(透明導電体の抵抗評価)
実施例1〜10及び比較例1〜3で得られた透明導電体について、以下のようにして電気抵抗の評価を行った。すなわち、上記のようにして得られた透明導電体を50mm角に切り取り、導電層の予め定められた測定点につき、四端子四探針式表面抵抗測定器(三菱化学社製MCP−T600)で電気抵抗の値を測定し、その測定値を初期表面電気抵抗値とした。その後、この透明導電体を60℃95%RH環境下で1000時間放置し、それを取り出した後、この透明導電膜が室温まで下がったところで、上記測定点において再度電気抵抗の値を測定し、これを負荷後表面電気抵抗値とした。そして、下記式:
表面抵抗変化率=負荷後表面電気抵抗値/初期表面電気抵抗値
に基づいて表面抵抗変化率を算出した。得られた結果を表1に示す。なお、表1中、「−」は、膜の硬度が不十分のため、測定できなかったことを意味する。
(残存二重結合測定)
導電層を基体から剥離し、導電層の両面のC−H面外変角振動(812cm−1)をFT−IR(Nicolet社製:Nexus−670)で全反射(ATR)法にて測定し、そのピーク高さとその近傍にあるピーク(794cm−1)高さの比より透明導電体中に残存する反応性二重結合量を測定した。また、光照射前の溶剤が揮発した後ペースト状の透明導電材料(100%未反応)も上記と同様にしてATR法で測定し、このピーク高さとその近傍にあるピークの高さの比より透明導電材料中の反応性二重結合量を測定した。そして、下記式:
残存二重結合率(%)=(硬化体のピーク高さ比/未硬化体のピーク高さ比)×100
に基づいて残存二重結合率を算出した。得られた結果も表1に示す。なお、表1中、「測定不可」とは、十分に硬化されていないため、基体から導電層を剥すことができず、裏面を測定できなかったことを意味する。なお、比較例1〜3の表面の値は、基体上に導電層が付着した状態で残存二重結合の測定を行った。
(透過光放射照度測定)
未硬化の導電層をそれぞれ硬化させる際、未硬化の導電層及び基体を透過した光の放射照度を放射照度計(トプコン製)を用いて測定した。得られた結果を表1に示す。
(基体温度の測定)
未硬化の導電層をそれぞれ硬化させる際、未硬化の導電層の基体とは反対側の面の中央部に熱電対を取り付けた。そして、基体の温度を25℃に設定した後、光照射を行い、光照射後の基体の温度を測定した。得られた結果を表1に示す。
(歪み調査)
光照射終了後の透明導電体の歪みの有無を目視で観察した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2007123260
表1から明らかなように、実施例1〜11は、比較例1〜3と比べて導電層の表面及び裏面において、残存二重結合率が低くなっていた。また透過光放射照度、実施例1〜11の方が、比較例1〜3よりも大きくなっていた。このことから、実施例1〜11によれば透明導電体の深部にまで十分に光が到達して重合が十分に進んでおり、フィルタ効果が生じることを十分に抑制できることがわかった。また、実施例1〜11は、比較例1〜3に比べて、表面抵抗変化率も小さくなることが分かった。さらに、これに加えて、実施例1〜11は、比較例1〜3と比べて透明導電体の変形がなかった。このことから、実施例1〜11によれば、電気的抵抗値の低下が小さく、電気的抵抗値の変動が十分に抑制できることがわかった。
以上の結果より、本発明の透明導電体の製造方法によれば、光硬化性材料の重合率が上昇し、十分な機械強度を有し、電気的抵抗値の経時安定性に優れた透明導電体が得られることが確認された。
図1は、本実施形態に係る透明導電体の製造方法により得られる透明導電体を示す模式断面図である。 図2は、パルス持続時間を説明するための図である。 図3は、本実施形態に係る透明導電体の製造方法により得られる透明導電体を示す模式断面図である。
符号の説明
10,20…透明導電体、11…導電性粒子、12…バインダ、13…バインダ層、14…基体、15…導電層。

Claims (5)

  1. 導電性粒子、光硬化性材料、及び光重合開始剤を含む透明導電材料に光を照射して、前記透明導電材料中の前記光硬化性材料を硬化させ透明導電体を得る透明導電体の製造方法において、
    前記透明導電材料における前記光の放射照度を5W/cm以上とする、透明導電体の製造方法。
  2. 前記光がパルス光である、請求項1記載の透明導電体の製造方法。
  3. 前記光が、熱線吸収フィルタを透過した光である、請求項1記載の透明導電体の製造方法。
  4. 前記透明導電材料中の前記光重合開始剤の含有率が2質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
  5. 前記光重合開始剤が多量体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明導電体の製造方法。
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