JP2007123058A - 電気接点開閉部 - Google Patents

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Abstract

【課題】 アークの周囲領域への飛散を制限し、デバイスの小型化が可能で、かつ負荷の極性による影響がなく、遮断特性の良好な磁気吹消形接点開閉部をもつ電気接点開閉部を提供すること。
【解決手段】 固定接触子12および可動接触子17のそれぞれの先端部21,22に配置された円輪形状であるそれぞれの接点18,19の接点空隙20に、外部永久磁石13と内部永久磁石15により円形終端型固定磁場を印加し、アークを回転させることで熱的に不安定化し、遮断性能を高めた。さらに、一方または双方の接点に溝部や勾配を設置させることにより、回転させたアークを実効空隙が長い箇所へ移動させることで、アーク電圧を高め、遮断性能を向上させた。外部永久磁石13と内部永久磁石15はそれぞれ外部絶縁ホルダ14と内部絶縁ホルダ16によりアークより保護される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電磁リレーなどの電気接点開閉部に関し、特にパワー負荷開閉を行うための電磁リレーや電力制御を行うための遮断器等の電気接点開閉部に関する。
従来のパワー負荷開閉を行うための電磁リレーや電力制御を行うための遮断器においては、接点開離時に遮断性能を阻害するアークを短時間に消滅させるため磁気吹消形接点開閉部が使用されている。
図9は、特許文献1に開示された従来の磁気吹消形接点開閉部の一例を示す。図9(a)は、2つの可動接触子39,49をそれぞれ保持した2個の電磁アクチュエータの間に設置される固定接触子端子ブロック31の斜視図、図9(b)は、その正面図である。この固定接触子端子ブロック31は、2組の固定接触子端子51,52をプラスチック部材32により一体成型しており、そのプラスチック部材32の両側にマグネット部材46を備えている。そのマグネット部材46による磁力線38,48の方向は、固定接触子端子51,52の接点34,35,44,45と可動接触子39,49の接点間の接点空隙において両接点が対峙する方向に対して垂直になっている。
本構造において、負荷を遮断し固定接触子端子の接点35と可動接触子39の接点との間の空隙部、および固定接触子端子の接点45と可動接触子49の接点との間の空隙部にアーク30,40がそれぞれ発生すると、それらのアークは磁場方向およびアーク電流方向の双方に垂直な方向へローレンツ力を受け伸長する。したがって、アークの消滅が促進されるため、磁場が無い場合に比べ、遮断性能は向上する。このように磁気吹消形接点開閉部は、接点空隙により決定される負荷電圧・電流の遮断性能を向上させるものである。ここで、負荷とは具体的に直流負荷や交流負荷およびモータ負荷等の電気信号である。
実開平5−31082号公報
従来の磁気吹消形接点開閉部においては、次のような問題があった。第1に、接点部周囲に隣接する他部材へのアーク飛散を防止するため、アークが伸長する空間を確保する必要があった。そのため、デバイスの幾何学的寸法の設計において大きな制約が生ずることにより、デバイス自体が大型化してしまい、逆に小型化を優先させた場合、遮断性能が低下してしまうという課題があった。
第2に、遮断する負荷の極性により、アークの伸長方向が決定されてしまうため、構造体によっては、遮断性能が負荷の極性によって制限されていた。
そこで、本発明の課題は、アークの周囲領域への飛散を制限し、デバイスの小型化が可能で、かつ負荷の極性による影響がなく、遮断特性の良好な磁気吹消形の電気接点開閉部を提供することにある。
本発明の電気接点開閉部は、筒形状の先端部を有し、その先端部の端面を接点とする固定接触子と、該固定接触子の先端部と略同一形状の先端部を有し、その先端部の端面を接点とし、その接点を前記固定接触子の接点に対して接点空隙を介して対向配置し、前記筒形状の中心線に略平行な方向に変位する可動接触子と、前記接点空隙領域において前記中心線に対して略垂直で、かつ前記中心線に向かう方向または前記中心線から放射する方向の磁力線を発生させる手段とを有する。
さらに具体的に本発明の電気接点開閉部は、前記先端部の形状が円筒形状であり、上記固定接触子および可動接触子の両先端部を内包するように配置した略円筒形状の外部絶縁ホルダと、該外部絶縁ホルダの外側に配置した略円筒形状で内側面と外側面が着磁処理してある外部永久磁石と、前記固定接触子および可動接触子の両先端部に内包されるように配置した略円筒形状の内部絶縁ホルダと、該内部絶縁ホルダに内包され前記外部永久磁石の内側面磁極と異極の磁極が外側面に着磁処理してある略円筒形状の内部永久磁石とを具備してもよい。
また、本発明の電気接点開閉部は、前記先端部の形状が円筒形状であり、上記固定接触子および可動接触子の両先端部を内包するように配置した略円筒形状の外部絶縁ホルダと、該外部絶縁ホルダの外側に配置した略円筒形状で内側面と外側面が着磁処理してある外部永久磁石と、前記固定接触子および可動接触子の両先端部に内包されるように配置した略円筒形状の内部絶縁ホルダと、該内部絶縁ホルダに内包された略円筒形状または略円柱形状の内部高透磁率体とを具備してもよい。
また、本発明の電気接点開閉部は、前記先端部の形状が円筒形状であり、上記固定接触子および可動接触子の両先端部を内包するように配置した略円筒形状の外部絶縁ホルダと、該外部絶縁ホルダの外側に配置した略円筒形状の外部高透磁率体と、前記固定接触子および可動接触子の両先端部に内包されるように配置した略円筒形状の内部絶縁ホルダと、該内部絶縁ホルダに内包され内側面と外側面が着磁処理してある略円筒形状の内部永久磁石とを具備してもよい。
また、本発明の電気接点開閉部は、 前記固定接触子の接点と前記可動接触子の接点のどちらか一方または、双方の少なくとも1箇所以上に溝部を設置してもよい。
また、本発明の電気接点開閉部は、前記固定接触子の接点と前記可動接触子の接点のどちらか一方または、双方が前記接点空隙の少なくとも一部に勾配を与えるように形成されていてもよい。
また、本発明の電気接点開閉部は、前記内部永久磁石と前記外部永久磁石のどちらか一方または、双方が、複数個の扇型永久磁石によって構成され、該複数個の扇型永久磁石を金属または絶縁材からなるホルダ内に格納してもよい。
また、本発明の電気接点開閉部は、前記固定接触子は接合用突起部を有し、該接合用突起部により外部への信号取り出し用の導通端子が接続され、かつ前記固定接触子はその中央内部に前記内部永久磁石または内部高透磁率体と前記内部絶縁ホルダを配置するための穴部を持ち、前記外部絶縁ホルダは略円筒形状の一端の中央部に前記導通端子配置用の貫通穴部が加工され、他端部は前記外部永久磁石または外部高透磁率体を配置するためにフランジ形状であってもよい。
本発明の電気接点開閉部は、筒形状の先端部である接点間の接点空隙にアークが発生した場合、磁場発生手段によって生ずる磁力線によるローレンツ力により接点間に沿ってその周方向にアークが伸張するので、アークの消滅を早め、アークの周囲領域への飛散が制限され、デバイスの小型化が可能で、かつ負荷の極性が変わった場合にはそのアークの伸張する方向が反転するだけであるので影響がなく、遮断特性の良好な磁気吹消形の電気接点開閉部が得られる。
さらに上記磁力線を有効に発生させ、アークの飛散を制限し、さらに小型化を可能にするため、固定接触子および可動接触子の先端部を円筒形状とし、円筒型外部永久磁石および円筒型内部永久磁石により磁力線を発生させ、上記外部永久磁石をアークによる損傷から保護するための外部絶縁ホルダと、同じく上記内部永久磁石をアークによる損傷から保護するための内部絶縁ホルダとを設けることができる。この場合には遮断時に発生するアークは円形終端型固定磁場によりローレンツ力を受けて、円輪形の固定接触子および可動接触子の接点の表面を回転し始める。この回転運動により、アークの熱的定常状態が不安定となりアークの維持が困難になる。したがって、さらに遮断性能が向上し、アークの周囲領域への飛散が制限され、デバイスの小型化が可能となる。
また、固定接触子か可動接触子の接点の表面に1箇所以上の溝部を設置すると、アークの回転軌道中に、その溝部において実効空隙が長くなるため、アークが伸長し、アーク電圧が上昇しアークの維持が困難となる。したがって、遮断性能が向上する。
また、固定接触子か可動接触子の接点について、どちらか一方または双方の形状を接点空隙に勾配が生ずるように形成すると、その勾配により、アーク回転中において実効空隙が一時的に長くなるため、アークが伸長し、アーク電圧が上昇する。したがって、遮断性能が高まる。
以上のように、本発明の回転型アーク発生による遮断法は、固定磁場によりアークを回転または、回転により実効空隙が長い箇所へアークを移動させることで遮断性能を向上させたものである。これにより、デバイスの幾何学的寸法を有効に設計できる。また、負荷の極性を変えても、アークの回転方向が変化するだけなので、遮断性能は負荷の極性に依存しない。
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る電気接点開閉部の縦断面図である。図2は、図1におけるA−A断面図である。図3は、本実施例におけるアークの挙動を説明した斜視図である。以下これらの図面に基づき説明する。
図1において、本電気接点開閉部は、円筒形状の先端部21を有し、その先端部21の端面を接点18とする固定接触子12と、固定接触子12の先端部21と略同一形状の先端部22を有しその先端部22の端面を接点19とし、その接点19を接点18に対して接点空隙20を介して対向配置した可動接触子17と、接点開閉部すなわち接点空隙20に磁場を印加させるための円筒形状の外部永久磁石13および円筒形状の内部永久磁石15、外部永久磁石13の内側に設置された円筒形状の外部絶縁ホルダ14、および内部永久磁石15の外側に設置された円筒形状の内部絶縁ホルダ16によって構成されている。
外部絶縁ホルダ14は外部永久磁石13をアークによる損傷から保護するため、先端部21および22、接点18、接点19およびその接点空隙20を内包するように配置され、また、内部絶縁ホルダ16は内部永久磁石15をアークによる損傷から保護するため、先端部21,22に内包され、内部永久磁石15を覆うように配置されている。
また、可動接触子17は、磁気駆動形プランジャやエアプランジャ等の並進運動を行う一般的なアクチュエータへ機械的に連結され、先端部21および22の中心線23にほぼ平行な方向に変位する。
次に、図2、図3を参照し、本実施例の電気接点開閉部により発生するアークの挙動について述べる。外部永久磁石13は内面を“N”極に、内部永久磁石15は外面を“S”極に、着磁処理している。また、図2から図3に述べる図は、固定接触子12を負荷“−”極に、可動接触子17を負荷“+”極に接続した場合である。なお、負荷電流極性および磁場方向は一例であって、これに限定されるものではない。
径方向に磁化された外部永久磁石13の内側面と同じく径方向に磁化された内部永久磁石15の外側面による磁場は、接点空隙20の全周に印加される。この磁力線の方向は接点空隙20の全領域において、先端部21および22の中心線23に対して垂直で、かつ中心線23に向かう方向である。また、磁束密度分布は接点空隙20においてほぼ均一な分布となっている。このような円形終端型固定磁場中において、高負荷を遮断しアーク10を発生させると、アーク10はフレミングの左手の法則に従い、ローレンツ力を受けて円輪形状の接点18,19の表面を反時計回りに回転し始める。アーク10自体は熱的に定常状態であるが、回転運動を始めると、その熱的定常状態が不安定となり、アーク10の維持が困難になる。したがって、遮断性能が向上する。なお、アーク10が回転する方向は、アーク電流の極性および磁力線の向きによって決定される。
次に、本電気接点開閉部を構成する各構成部材の詳細について述べる。外部絶縁ホルダ14は、セラミックのような高耐熱材を加工したものである。外部永久磁石13は、フェライト系磁石や希土類系磁石等で形成されたものである。
内部永久磁石15は、外部永久磁石13と同様にフェライト系磁石や希土類系磁石等で形成されており、前述のようにその外側面の磁極は、外部永久磁石13の内側面と異極となるよう着磁処理している。
内部絶縁ホルダ16は、セラミックのような高耐熱材を加工したものである。固定接触子12および可動接触子17は銅系材料である。
次に、本実施例の電気接点開閉部の幾何学的寸法値について述べる。無論、これらは一例であって、これに限定するものではない。
外部絶縁ホルダ14の外径はφ10.0〜φ22.0mm、内径はφ8.0〜φ17.0mm、高さは10.0〜20.0mm、外部永久磁石13の外径はφ14.0〜φ42.0mm、内径はφ10.2〜φ22.2mm、高さは4.0〜12.0mm、内部絶縁ホルダ16の外径はφ6.2〜φ14.2mm、内径はφ4.2〜φ12.2mm、高さは5.0〜13.0mm、内部永久磁石15の外径はφ4.0〜φ12.0mm、内径はφ2.0〜φ6.5mm、高さは4.0〜12.0mm、固定接触子12および可動接触子17のそれぞれの先端部外径はφ7.4〜φ16.4mm、内径はφ6.4〜φ14.4mm、固定接触子12および可動接触子17のそれぞれの高さは5.0〜15.0mmである。
このような幾何学的寸法値の電気接点開閉部について磁束密度および遮断特性を大気中で測定した。磁束密度は固定接触子2中央で300Gs(10-4T)〜600Gs程度であった。また、遮断特性は、固定接触子12の接点18と可動接触子17の接点19との間の接点空隙が0.5mm〜1.0mm程度において、直流抵抗負荷50Vdc−40Aまで遮断が可能であることを確認できた。
図4は、本発明に係る電気接点開閉部の実施例2を示す分解斜視図である。図5は、本発明に係る電気接点開閉部の実施例2の縦断面図である。以下これらの図面に基づき説明する。
本実施例の電気接点開閉器は、実施例1の電気接点開閉器に比べて、作製、実装上の便宜を考慮して、固定接触子が接合用突起部を有し、その接合用突起部により外部への信号取り出し用の導通端子が接続され、かつ前記固定接触子はその中央内部に前記内部永久磁石と前記内部絶縁ホルダを配置するための穴部を持ち、前記外部絶縁ホルダは円筒形状の一端の中央部に前記導通端子配置用の貫通穴部が加工され、他端部は前記外部永久磁石を配置するためにフランジ形状であることが異なっている。固定接触子および可変接触子の先端部などの他の部分の基本的な形状は実施例1と同様な形状である。
図4、図5を参照すると、本実施例の電気接点開閉部は、外部へ信号を取り出すための導通端子1と、接点空隙に磁場を印加させるための外部永久磁石3および内部永久磁石5と、外部永久磁石3をアーク8による損傷から保護するための外部絶縁ホルダ4と、同じく内部永久磁石5をアーク8による損傷から保護するための内部絶縁ホルダ6と、先端部が円筒形状で接点部が円輪形状である固定接触子2および可動接触子7によって構成されている。
実施例1と同様に、固定接触子2と可動接触子7との接点部外周に外部絶縁ホルダ4を介して外部永久磁石3を、同内周に内部絶縁ホルダ6を介して内部永久磁石5を配置させた。
次に、本実施例の電気接点開閉部を構成する各構成部材の詳細について述べる。導通端子1は、銅系材料を加工したものであり、外部への信号取り出し側とは反対の側に固定接触子2との嵌合用穴部を有し、またその側面は、外部絶縁ホルダ4とロウ付け等により接合されている。
外部絶縁ホルダ4は、セラミックのような高耐熱材を加工したものであり、その形状は略円筒形である。内部の空芯部には固定接触子2、可動接触子7、内部永久磁石5および内部絶縁ホルダ6が配置され、また、底端部には外部永久磁石3が配置できるようフランジ形状となっている。
外部永久磁石3および内部永久磁石5の材料、形状、着磁処理、磁極などは、第1の実施例と同様である。
内部絶縁ホルダ6は、セラミックのような高耐熱材を加工したものである。その形状は有底円筒形であり、穴部には嵌合や接着等により内部永久磁石5が配置される。
固定接触子2は、その内部には嵌合や接着により内部永久磁石5を概ね包囲した内部絶縁ホルダ6が配置できるよう座ぐり穴部が形成されている。また、底部には導通端子1との接合用突部が形成されている。
固定接触子2と可動接触子7の先端部の形状、配置、材料などは実施例1と同様であり、また、可動接触子7は磁気駆動形プランジャやエアプランジャ等の並進運動を行う一般的なアクチュエータへ機械的に連結されている。
次に、本実施例の電気接点開閉部の幾何学的寸法値について述べる。無論、これらは一例であって、これに限定するものではない。
導通端子1の外径はφ3.0〜φ8.0mm、高さは4.0〜6.0mm、フランジ部を除いた外部絶縁ホルダ4の外径はφ10.0〜φ22.0mm、内径はφ8.0〜φ17.0mm、高さは10.0〜20.0mm、外部永久磁石3の外径はφ14.0〜φ42.0mm、内径はφ10.2〜φ22.2mm、高さは4.0〜12.0mm、内部絶縁ホルダ6の外径はφ6.2〜φ14.2mm、内径はφ4.2〜φ12.2mm、高さは5.0〜13.0mm、内部永久磁石5の外径はφ4.0〜φ12.0mm、内径はφ2.0〜φ6.5mm、高さは4.0〜12.0mm、固定接触子2の外径はφ7.4〜φ16.4mm、内径はφ6.4〜φ14.4mm、高さは7.0〜15.0mm、可動接触子7の外径はφ7.4〜φ16.4mm、内径はφ6.4〜φ14.4mm、高さは5.0〜10.0mmである。
本実施例の接点部分の磁束密度および接点部分の形状などは実施例1と同様であり、実施例1と同様なアークの遮断特性が得られることを確認できた。
図6は、本発明による電気接点開閉部の実施例3における可動接触子、固定接触子の形状およびアークの挙動を説明した斜視図である。以下図面に基づき説明する。
実施例2では、固定接触子の接点の表面形状は平坦な円輪形状であった。それに対して本実施例では図6に示すように、固定接触子62の接点表面に所定幅および所定深さの溝部61を設置したことに特徴がある。この溝部61の設置は、固定接触子62のみに限定するものではない。固定接触子62か可動接触子67のどちらか一方または双方に1箇所以上設置すればよい。このような溝部が設置された固定接触子62を実施例2と同一負荷極性条件および同一の円形終端型固定磁場中において、高負荷を遮断し接点間にアーク60を発生させる。アーク60はフレミングの左手の法則に従い、ローレンツ力を受けて接点間空隙を回転し始めるが溝部61に移動した際、急激に実効空隙が長くなるため、伸長し、アーク電圧が上昇する。したがって、遮断性能は実施例1の場合に比較して高まる。複数箇所に溝部を設置すれば、さらに遮断性能は向上する。
次に、本実施例の電気接点開閉部の幾何学的寸法値および特性値について述べる。無論、これらは一例であって、これに限定するものではない。
導通端子1、外部絶縁ホルダ4、外部永久磁石3、内部絶縁ホルダ6、内部永久磁石5および可動接触子67の幾何学的寸法値は前記実施例2と同様である。また、磁束密度も前記実施例2と同様である。固定接触子62の溝部61は、幅が1.0〜5.0mmで深さが1.0mm〜8.0mmである。
このような幾何学的寸法値の電気接点開閉部について遮断特性を大気中で測定した。固定接触子62と可動接触子67との空隙0.5mm〜1.0mmにおいて、直流抵抗負荷200Vdc−150Aまで遮断が可能であることを確認できた。
図7は、本発明による電気接点開閉部の実施例4における可動接触子、固定接触子の形状およびアークの挙動を説明した図である。以下、図面に基づき説明する。
実施例2では、固定接触子の接点の表面形状は平坦な円輪形状であった。それに対して本実施例4は、図7に示すように固定接触子72の接点の表面に勾配を設置したことに特徴がある。無論、この表面勾配は、固定接触子72に限定するものではなく、可動接触子77か固定接触子72のどちらか一方または、双方に設置してもよい。このような表面勾配が設置された固定接触子72を本実例1と同一負荷極性条件および同一の円形終端型固定磁場中において、高負荷を遮断し固定接触子72と可変接触子77の両接点間にアーク70を発生させる。
可動接触子77と固定接触子72の接点間隙が最小の箇所で着弧したアーク70は、フレミングの左手の法則に従い、ローレンツ力を受けて所定の方向に回転し始める。しかし、回転運動するにつれ、可動接触子77と固定接触子72の接点空隙が徐々に長くなるため、アーク70が伸長してアーク78となり、アーク電圧が上昇する。したがって、遮断性能は実施例1および実施例2の場合より高まる。
次に、本実施例の固定接触子72に表面勾配を設置した電気接点開閉部の幾何学的寸法値および特性値について述べる。無論、これらは一例であって、これに限定するものではない。
導通端子1、外部絶縁ホルダ4、外部永久磁石3、内部絶縁ホルダ6、内部永久磁石5および可動接触子77の幾何学的寸法値は実施例2と同様である。また、磁束密度も実施例2と同様である。固定接触子2は、最小接点間空隙が0.5mm〜1.0mm,最大接点間空隙が5.0mm〜8.0mmになるよう勾配を設けた。
このような幾何学的寸法値の電気接点開閉部について遮断特性を大気中で測定した。その結果、直流抵抗負荷200Vdc−150Aまで遮断が可能であることを確認できた。
次に本発明による電気接点開閉部の実施例5について説明する。実施例1から実施例4においては、外部永久磁石3および内部永久磁石5は単体であった。それに対して本実施例5では、内側面と外側面が各々着磁処理されている扇型断面の永久磁石を複数個円形に配置し、それらを金属材料や絶縁材料から成るホルダに包囲させ円筒形状にしたことに特徴がある。これにより作製された永久磁石は、単体の外部永久磁石3および内部永久磁石5とほぼ同一の機能を有することとなる。遮断に関しての他基本的構造および原理は、実施例1から実施例4と同一である。
次に、本発明による電気接点開閉部の実施例6について説明する。実施例1から実施例5においては、磁場を形成する部材は外部永久磁石3と内部永久磁石5であった。それに対して本実施例では、外部永久磁石3を円筒形の高透磁率体としたこと、または、内部永久磁石5を円筒形または円柱形の高透磁率体としたことに特徴がある。この高透磁率体としては、鉄、パーマロイ、ソフトフェライト、センダストなどを使用できる。本形態でも円形終端型固定磁場が形成でき、且つ安価に磁場が作製できる利点を有する。遮断に関しての他の基本的構造および原理は、実施例1から実施例4と同一である。
図8は、本発明の第7の実施例に係る電気接点開閉部の縦断面図である。本実施例7においても実施例1の電気接点開閉部と同様な円筒形状の先端部21を有し、その先端部の端面を接点18とする固定接触子12と、該固定接触子12の先端部21と略同一形状の先端部22を有し、その先端部の端面を接点19とし、その接点19を前記固定接触子12の接点18に対して接点空隙20を介して対向配置し、前記筒形状の中心線92に略平行な方向に変位する可動接触子17を有している。本実施例7では、固定接触子12の外側に円筒形状でその円筒の両端に磁極を有する外部永久磁石90を配置している。外部永久磁石90の位置は、その発生する磁力線の方向が前記接点空隙20の領域において、中心線92の方向に対して略垂直で、かつ中心線92に向かう方向となるように設定されている。
本実施例7では実施例1に比べて磁力線を形成するための磁石は1つだけであるので構造が簡単であり、部品点数も少ない。また、必要に応じて外部永久磁石90と固定接極子12、可動接触子17との間に絶縁体を設置してもよい。
また、外部永久磁石90は可動接触子17の側に設置してもよく、外部永久磁石90の代わりに固定接触子12の先端部21の内部、または可動接触子の先端部22の内部に内部永久磁石を設置してもよい。
また、図8の構成において、より強い磁場を得るために、固定接触子12の先端部21の内部に円柱状の永久磁石または高透磁率体を追加して設置してもよい。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は、上記実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変形が可能である。
本発明に係る電気接点開閉部の実施例1の縦断面図。 図1におけるA−A断面図。 実施例1におけるアークの挙動を説明する斜視図。 本発明の実施例2を示す分解斜視図。 本発明の実施例2の縦断面図。 本発明の実施例3における可動接触子、固定接触子の形状およびアークの挙動を説明する斜視図。 本発明の実施例4における可動接触子、固定接触子の形状およびアークの挙動を説明する斜視図。 本発明の実施例7に係る電気接点開閉部の縦断面図。 従来の磁気吹消形接点開閉部の一例を示す図、図9(a)はそれに使用される固定接触子端子ブロックの斜視図、図9(b)はその正面図。
符号の説明
1 導通端子
2,12,62,72 固定接触子
3,13,90 外部永久磁石
4,14 外部絶縁ホルダ
5,15 内部永久磁石
6,16 内部絶縁ホルダ
7,17,67,77 可動接触子
10,60,70,78 アーク
18,19 接点
20 接点空隙
21,22 先端部
23,92 中心線
30,40 アーク
31 固定接触子端子ブロック
32 プラスチック部材
34,35,44,45 固定接触子端子の接点
38,48 磁力線
39,49 可動接触子
46 マグネット部材
51,52 固定接触子端子
61 溝部
91 線

Claims (8)

  1. 筒形状の先端部を有し、その先端部の端面を接点とする固定接触子と、該固定接触子の先端部と略同一形状の先端部を有し、その先端部の端面を接点とし、その接点を前記固定接触子の接点に対して接点空隙を介して対向配置し、前記筒形状の中心線に略平行な方向に変位する可動接触子と、前記接点空隙領域において前記中心線に対して略垂直で、かつ前記中心線に向かう方向または前記中心線から放射する方向の磁力線を発生させる手段とを有することを特徴とする電気接点開閉部。
  2. 前記先端部の形状が円筒形状であり、前記固定接触子および可動接触子の両先端部を内包するように配置した略円筒形状の外部絶縁ホルダと、該外部絶縁ホルダの外側に配置した略円筒形状で内側面と外側面が着磁処理してある外部永久磁石と、前記固定接触子および可動接触子の両先端部に内包されるように配置した略円筒形状の内部絶縁ホルダと、該内部絶縁ホルダに内包され前記外部永久磁石の内側面磁極と異極の磁極が外側面に着磁処理してある略円筒形状の内部永久磁石とを具備したことを特徴とする請求項1記載の電気接点開閉部。
  3. 前記先端部の形状が円筒形状であり、上記固定接触子および可動接触子の両先端部を内包するように配置した略円筒形状の外部絶縁ホルダと、該外部絶縁ホルダの外側に配置した略円筒形状で内側面と外側面が着磁処理してある外部永久磁石と、前記固定接触子および可動接触子の両先端部に内包されるように配置した略円筒形状の内部絶縁ホルダと、該内部絶縁ホルダに内包された略円筒形状または略円柱形状の内部高透磁率体とを具備したことを特徴とする請求項1記載の電気接点開閉部。
  4. 前記先端部の形状が円筒形状であり、上記固定接触子および可動接触子の両先端部を内包するように配置した略円筒形状の外部絶縁ホルダと、該外部絶縁ホルダの外側に配置した略円筒形状の外部高透磁率体と、前記固定接触子および可動接触子の両先端部に内包されるように配置した略円筒形状の内部絶縁ホルダと、該内部絶縁ホルダに内包され内側面と外側面が着磁処理してある略円筒形状の内部永久磁石とを具備したことを特徴とする請求項1記載の電気接点開閉部。
  5. 前記固定接触子の接点と前記可動接触子の接点の少なくとも一方の1箇所以上に溝部を設置したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電気接点開閉部。
  6. 前記固定接触子の接点と前記可動接触子の接点の少なくとも一方が前記接点空隙の少なくとも一部に勾配を与えるように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電気接点開閉部。
  7. 前記内部永久磁石と前記外部永久磁石のどちらか一方または、双方が、複数個の扇型断面永久磁石によって構成され、該複数個の扇型断面永久磁石を金属または絶縁材からなるホルダ内に格納したことを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の電気接点開閉部。
  8. 前記固定接触子は接合用突起部を有し、該接合用突起部により外部への信号取り出し用の導通端子が接続され、かつ前記固定接触子はその中央内部に前記内部永久磁石または内部高透磁率体と前記内部絶縁ホルダを配置するための穴部を持ち、前記外部絶縁ホルダは略円筒形状の一端の中央部に前記導通端子配置用の貫通穴部が加工され、他端部は前記外部永久磁石または外部高透磁率体を配置するためにフランジ形状であることを特徴とする請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の電気接点開閉部。
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