JP2007121777A - 偏光子 - Google Patents
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Abstract
【課題】偏光動作可能な波長帯域の拡大と消光比の改善、及び製造プロセスの簡略化が可能であると共に製造時間の削減と低コスト化が可能な偏光子の提供。
【解決手段】導電体と光透過性の誘電体とから構成される縞構造の複数の偏光膜を、光透過性の基板面上に積層して偏光子を構成する。各偏光膜毎の導電体の幅は同一に設定すると共に、各導電体を平行に配設し、且つ各導電体の平行配設の間隔が全ての偏光膜で同一となるように設定する。更に、光入射方向から見たときに、相互の偏光膜に亘る各導電体どうしが、(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔/積層偏光膜数)で定義される間隔によって、等間隔に配設されるように構成する。
【選択図】 図3
【解決手段】導電体と光透過性の誘電体とから構成される縞構造の複数の偏光膜を、光透過性の基板面上に積層して偏光子を構成する。各偏光膜毎の導電体の幅は同一に設定すると共に、各導電体を平行に配設し、且つ各導電体の平行配設の間隔が全ての偏光膜で同一となるように設定する。更に、光入射方向から見たときに、相互の偏光膜に亘る各導電体どうしが、(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔/積層偏光膜数)で定義される間隔によって、等間隔に配設されるように構成する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、偏光子に関するものである。
従来から偏光子として、光学的に透明な基板材の面上に、導電体と誘電体とを交互に縞状に組み合わせることによって偏光膜を構成して成る偏光子が考案されている(例えば特許文献1参照)。
図17記載の偏光子100は、光学的に透明な基板101の面上に誘電体102を配置し、この誘電体102に保持されながら、幅W,高さHの複数の薄膜状の導電体103を、互いに平行に所定の間隔dをもって基板101面上に立設して構成した偏光子である。
基板101の上部に露光―ドライエッチング等の方法によって、誘電体102の表面に複数の直線状の溝部が平行に形成されることにより、基板101面上に二酸化珪素などの誘電体102が数μmの厚さで形成されている。更に、前記溝部に導電体103が埋設されることにより、導電体103が誘電体102に接着,立設される。
このような偏光子100の動作について図18を用いて説明する。図18は、図17から誘電体102の図示を省略した偏光子100の正面図である。図18に示すように偏光子100に外部からの光が入射すると、波面が導電体103の側面に平行で、且つ、電界Eが図中のz方向に平行な偏光成分104(TE偏光)は、反射又は吸収される。一方、波面が導電体103の側面に垂直で、且つ、電界Eが図中のx方向に平行な偏光成分105(TM偏光)は、偏光子100を透過する。なお、偏光成分104の符号Hは磁界を表している。
TE偏光104では、導電体103の長さ(高さH)が、波長と比較して実質的に導電体として作用する程度に長いので、導電体103に過渡電流が流れる。この結果、金属表面における現象と類似の反射及び吸収性能が得られるので、TE偏光104は偏光子100を透過しない。
一方のTM偏光105では、波長に比較して導電体103の長さ(幅W)が短いために、実質的に導電体として作用せず、導電体103に過渡電流が流れない。従って、TM偏光105は偏光子100を透過する。
しかしながら、従来の偏光子100には波長依存性が存在し、このため前記間隔dを各波長帯域に合わせて最適化して導電体103を配設しなければならなかった。特に、入射光の波長が短波長帯域に移行するに従って、間隔dも非常に微細な寸法が要求される。この傾向が進行し、一層当たりの偏光膜における導電体103間の間隔dが、製造プロセスの限界を超えるレベルまで要求されるようになると、実際に作製することは困難になる。
そこで、基板の表面形状を凹凸状に形成し、その凹凸面に導電体(金属粒子)を物理蒸着させ、更にその上から誘電体層を積層することによって偏光膜を形成した偏光子が考案されている(例えば特許文献2参照)。
特許文献2に記載された偏光子106は、図19に示すように光学的に透明な基板107の面上に、誘電体層と導電体層とを交互に形成することによって複数の偏光膜を備えた偏光子である。前記基板107の蒸着面108には平行に複数の溝109が形成され、更にその蒸着面108に対し所定の傾斜角度で金属粒子が入射、蒸着されることによって、導電体層が形成されている。前記導電体層は、回転楕円体の金属粒子の核110が斜め入射による形成した島状構造を呈する。なお、島状構造とは膜になる以前の、多数の核が存在している構造のことを指す。次に、導電体層の上から光学的に透明な誘電体層111が積層形成されることにより、一つの層の偏光膜が形成される。更に、誘電体層111の表面を、前記基板107の蒸着面108と同一形状に成形することで複数の溝109を有する蒸着面108を形成し、上記した方法により再度、核110を蒸着させる。この様にして、以後、導電体層と誘電体層とを交互に形成することにより、複数層の偏光膜が作製される。
導電体層と誘電体層の形成はスパッタ等の物理蒸着法で行われる。その方法の一例を図20に示す。図20に示すように、蒸着面108となる表面が凹凸状に成形された基板107を固定し、蒸着面の溝109に対し、矢印Aで示すように所定の入射角θ、偏角φで金属粒子を入射させ、溝109の片側にのみ回転楕円体の核110を蒸着させる。これにより図21に示すように、前記基板107に対して核110間の水平方向の間隔を、溝109の間隔Lによって制御することが出来る。更に、前記誘電体層111も前記物理蒸着法で形成する。
このように、基板107の蒸着面108に対し傾斜角度をつけて金属粒子を入射させ、更に前記金属粒子を積層形成することにより、平面方向である-y方向から見たときに金属粒子の核110を微小な等間隔dで配設することが可能となる(図19参照)。従って、広波長帯域の入射光に対し適用可能な偏光子を製造することが可能であるとしている。
又、複数の偏光膜を積層形成することにより、消光比が向上する。
しかしながら、従来の偏光子106では導電体層と誘電体層111とを積層する度に、次層の金属粒子を蒸着させるために誘電体層111の表面を凹凸に成型する必要があり、そのための成型工程が不可欠であった。この成形工程は主にマイクロスタンプ工法により行われるが、マイクロスタンプと、基板107及び誘電体層111との間には熱膨張係数差が存在するため、マイクロスタンプをサブミクロンの精度で基板107及び誘電体層111に対して位置決めすることは難しく、前記基板107及び誘電体層111の蒸着面108の凹凸形状を所望の位置に正確に形成することは困難であった。これに伴い、前記核110の配設間隔dも一定にならずバラツキが発生してしまっていた。
又、マイクロスタンプ法に換わって、誘電体層111を異方性成長法によって形成することも可能であるが、この方法に適用可能な基板107の材料は限られるため、偏光子106の設計自由度が低下してしまう。
本発明は上記各課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、偏光動作可能な波長帯域の拡大と消光比の改善、及び製造プロセスの簡略化が可能であると共に製造時間の削減と低コスト化が可能な偏光子を提供することである。
本発明の請求項1に記載の発明は、導電体と光透過性の誘電体とから構成される縞構造の複数の偏光膜が、光透過性の基板面上に積層されて成る偏光子において、
各偏光膜毎に導電体の幅が同一に設定されると共に、各導電体が平行に配設され、且つ各導電体の平行配設の間隔が全ての偏光膜で同一に設定され、
更に、光入射方向から見たときに、相互の偏光膜に亘る各導電体どうしが、(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔/積層偏光膜数)で定義される間隔によって、等間隔に配設されることを特徴とする偏光子である。
各偏光膜毎に導電体の幅が同一に設定されると共に、各導電体が平行に配設され、且つ各導電体の平行配設の間隔が全ての偏光膜で同一に設定され、
更に、光入射方向から見たときに、相互の偏光膜に亘る各導電体どうしが、(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔/積層偏光膜数)で定義される間隔によって、等間隔に配設されることを特徴とする偏光子である。
又、請求項2に記載の発明は、光透過性の基板面上に刻設された複数の溝部に導電体を埋設することによって縞構造の偏光部を備える光学素子の基板面上に、導電体と光透過性の誘電体とから構成される縞構造の偏光膜が積層されて形成され、
偏光部及び偏光膜毎に導電体の幅が同一に設定されると共に、各導電体が平行に配設され、且つ各導電体の平行配設の間隔が偏光部及び偏光膜で同一に設定され、
更に、光入射方向から見たときに、偏光部及び偏光膜に亘る各導電体どうしが、{(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔)/(偏光部数+積層偏光膜数)}で定義される間隔によって、等間隔に配設されることを特徴とする偏光子である。
偏光部及び偏光膜毎に導電体の幅が同一に設定されると共に、各導電体が平行に配設され、且つ各導電体の平行配設の間隔が偏光部及び偏光膜で同一に設定され、
更に、光入射方向から見たときに、偏光部及び偏光膜に亘る各導電体どうしが、{(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔)/(偏光部数+積層偏光膜数)}で定義される間隔によって、等間隔に配設されることを特徴とする偏光子である。
又、請求項3に記載の発明は、導電体と光透過性の誘電体とから構成される縞構造の複数の偏光膜が、光透過性の基板面上に積層されて成る偏光子において、
全ての偏光膜における各導電体の長手方向が同一方向になるように全ての偏光膜が基板面上に積層され、
各偏光膜毎に導電体の幅が同一に設定されると共に、各導電体が平行に配設され、且つ各導電体の平行配設の間隔が全ての偏光膜で同一に設定され、
更に、光入射方向から見たときに、任意の積層数nで一組とした各組毎における相互の偏光膜に亘る各導電体どうしが、(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔/n)で定義される間隔によって等間隔に配設されることを特徴とする偏光子である。
全ての偏光膜における各導電体の長手方向が同一方向になるように全ての偏光膜が基板面上に積層され、
各偏光膜毎に導電体の幅が同一に設定されると共に、各導電体が平行に配設され、且つ各導電体の平行配設の間隔が全ての偏光膜で同一に設定され、
更に、光入射方向から見たときに、任意の積層数nで一組とした各組毎における相互の偏光膜に亘る各導電体どうしが、(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔/n)で定義される間隔によって等間隔に配設されることを特徴とする偏光子である。
又、請求項4に記載の発明は、光透過性の基板面上に刻設された複数の溝部に導電体を埋設することによって縞構造の偏光部を備える光学素子の基板面上に、導電体と光透過性の誘電体とから構成される縞構造の複数の偏光膜が積層されて形成され、
全ての偏光膜及び偏光部における各導電体の長手方向が同一方向になるように全ての偏光膜が基板面上に積層され、
偏光部及び偏光膜毎に導電体の幅が同一に設定されると共に、各導電体が平行に配設され、且つ各導電体の平行配設の間隔が偏光部及び偏光膜で同一に設定され、
更に、光入射方向から見たときに、偏光膜の積層数に偏光部の数を加えた合計数のうちの任意の数nで一組とした各組毎における、相互の偏光膜、又は、偏光部と偏光膜、に亘る各導電体どうしが、(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔/n)で定義される間隔によって等間隔に配設されることを特徴とする偏光子である。
全ての偏光膜及び偏光部における各導電体の長手方向が同一方向になるように全ての偏光膜が基板面上に積層され、
偏光部及び偏光膜毎に導電体の幅が同一に設定されると共に、各導電体が平行に配設され、且つ各導電体の平行配設の間隔が偏光部及び偏光膜で同一に設定され、
更に、光入射方向から見たときに、偏光膜の積層数に偏光部の数を加えた合計数のうちの任意の数nで一組とした各組毎における、相互の偏光膜、又は、偏光部と偏光膜、に亘る各導電体どうしが、(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔/n)で定義される間隔によって等間隔に配設されることを特徴とする偏光子である。
更に、請求項5に記載の発明は、前記光学素子が、前記溝部の表面に一様に設けられた誘電体によって形成された第2の溝部に前記導電体が埋設されて構成されることを特徴とする請求項2又は4に記載の偏光子である。
本発明の請求項1に係る偏光子に依れば、同一な間隔で平行配設された導電体を有する複数の偏光膜を積層することにより、相互の偏光膜に亘る各導電体間の間隔を(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔/積層偏光膜数)まで短縮化することが出来る。このように、複数の偏光膜を積層することにより、積層偏光膜全体として各導電体間の間隔の短縮化を図ることで、一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔を従来の偏光子よりも延長して設定することが出来る。従って、一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔を、製造プロセスの限界を超えるレベルまで追い込まなくとも短波長帯域用の偏光子を作製することが可能となる。よって、製造プロセスの難度を上げることなく、動作波長帯域を短波長帯域まで拡大した偏光子を容易に作製することが出来る。
更に、複数の偏光膜に亘って各導電体が、(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔/積層偏光膜数)分まで縮小された等間隔で配設されるので、偏光子から出射される偏光成分の大きさが、各誘電体の重複部分の幅に限定される。従って、偏光子から出射される偏光成分が小さくなるため、入射光に対する出射光の偏光度も小さくなり、偏光度の減少に伴って消光比に優れた偏光子を形成することが可能となる。又、偏光膜を複数層設けることによって透過損失を低減することが出来る。
又、請求項2及び5に係る偏光子に依れば、同一な間隔で平行配設された導電体を有する偏光部と偏光膜を有することにより、偏光部及び偏光膜に亘る各導電体間の間隔を{(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔)/(偏光部数+積層偏光膜数)}まで短縮化することが出来る。このように、偏光部に偏光膜を積層することによって、各導電体間の間隔の短縮化を図るので、偏光部及び偏光膜毎におけるそれぞれの導電体間の間隔を、従来の偏光子よりも延長して設定することが出来る。従って、偏光部及び偏光膜毎におけるそれぞれの導電体間の間隔を、製造プロセスの限界を超えるレベルまで追い込まなくとも短波長帯域用の偏光子を作製することが可能となる。よって、製造プロセスの難度を上げることなく、動作波長帯域を短波長帯域まで拡大した偏光子を容易に作製することが出来る。
更に、偏光部及び偏光膜に亘る各導電体が、{(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔)/(偏光部数+積層偏光膜数)}分まで縮小された等間隔で配設されるので、偏光子から出射される偏光成分の大きさは、各誘電体の重複部分の幅に限定される。従って、偏光子から出射される偏光成分が小さくなるため、入射光に対する出射光の偏光度も小さくなり、偏光度の減少に伴って消光比に優れた偏光子を形成することが可能となる。又、偏光部に偏光膜を積層形成することによって透過損失を低減することが出来る。
又、請求項3に係る偏光子に依れば、複数の偏光膜を積層し、任意の積層数nで一組と見なすことにより、相互の偏光膜に亘る導電体間の間隔を(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔/一組当たりの積層偏光膜数n)まで短縮化することが出来る。従って一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔を従来の偏光子よりも延長して設定することが出来る。これにより、前記間隔を、製造プロセスの限界を超えるレベルまで追い込まなくとも、短波長帯域用の偏光子を作製することが可能となるので、製造プロセスの難度を上げることなく、動作波長帯域を短波長帯域まで拡大した偏光子を容易に作製することが出来る。
更に、偏光子から出射される偏光成分の大きさを、各誘電体の幅よりも縮小化して、入射光に対する出射光の偏光度を小さくし、消光比を改善することが可能となる。又、偏光膜を複数層設けることによって透過損失を低減することが出来る。
又、請求項4に係る偏光子に依れば、全ての偏光膜及び偏光部において、同一な間隔で平行配設された導電体を有する偏光膜及び偏光部を積層し、任意の数nで一組と見なすことにより、相互の偏光膜又は偏光部と偏光膜に亘る導電体間の間隔を(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔/任意の数n)まで短縮化することが出来る。このように、偏光膜を積層することによって、一組当たりの導電体間の間隔の短縮化を図るので、一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔を従来の偏光子よりも延長して設定することが出来る。従って、前記間隔を、製造プロセスの限界を超えるレベルまで追い込まなくとも、短波長帯域用の偏光子を作製することが可能となるので、製造プロセスの難度を上げることなく、動作波長帯域を短波長帯域まで拡大した偏光子を容易に作製することが出来る。
更に、偏光子から出射される偏光成分の大きさを、各誘電体の幅よりも縮小化して、入射光に対する出射光の偏光度を小さくすることで、消光比を改善することが可能となる。又、偏光膜を複数層設けることによって透過損失を低減することが出来る。
<第1の実施の形態>
以下、本発明に係る第1の実施形態の偏光子1を、図1〜図11を参照して説明する。図1は本実施形態に係る偏光子の偏光膜の構成を模式的に示す斜視図であり、図2は図1に示す偏光膜が積層された偏光子を模式的に示す斜視図である。なお、図5を除いて図1〜図11に示すx軸乃至z軸は、それぞれの図で対応している。
以下、本発明に係る第1の実施形態の偏光子1を、図1〜図11を参照して説明する。図1は本実施形態に係る偏光子の偏光膜の構成を模式的に示す斜視図であり、図2は図1に示す偏光膜が積層された偏光子を模式的に示す斜視図である。なお、図5を除いて図1〜図11に示すx軸乃至z軸は、それぞれの図で対応している。
図1に示すように、偏光子1は、光学的に透明な光透過性材料から成る基板2を有し、その基板2の面上に、所定の幅Wdを有する誘電体3a,3a…が所定の間隔で配置されている。更に、誘電体3a,3a…の間に保持されながら、幅がWc、高さがHの複数の薄膜状の導電体4a,4a…が互いに所定の間隔Dをもって基板2の面上に平行に立設される。誘電体3a,3a…と導電体4a,4a…とが交互に複数平行に配置されることにより、縞構造の偏光膜7aが構成され、この偏光膜7aが基板2面上に備えられている。
次に、図1及び図2に示すように、偏光膜7aの面上に、二層目の偏光膜7bが積層形成される。偏光膜7bの構成も前記偏光膜7aと同様で、所定の幅Wdを有する誘電体3b,3b…と、誘電体3b,3b…の間に所定の間隔Dで保持された複数の薄膜状の導電体4b,4b…とが、複数平行に配置されることによって縞状に構成される。各導電体4b,4b…は、幅Wc、高さHで構成される。従って、各導電体4a,4bの幅Wc,高さH,間隔Dは同一に設定される。同様に、各誘電体3a,3bの幅Wdも同一となる。この様に、複数の偏光膜7a,7bを基板2と一体に積層することで偏光子1が構成される。
更に、図3と図4を参照しながら各偏光膜7a,7bの説明を続ける。図3は図2の偏光子1の正面図であり、図4は図2の偏光子1の平面図である。図3又は図4に示すように、二層目の偏光膜7bにおける導電体4bの中心線C2が、一層目の誘電体3aの中心線C1上に重なるように二つの偏光膜7a,7bを積層する。前記の通り、各導電体4a,4bの幅Wc,高さH,間隔D及び各誘電体3a、3bの幅Wdは同一に設定されているので、偏光子1の光入射方向となる-y方向から見たときに、各偏光膜7a及び7bに亘って、導電体4aと4bとは、(間隔D/積層偏光膜数)で定義される間隔、即ち、本実施形態では積層偏光膜が二層なので(D/2)の等間隔で配設される。
基板2は、入射する光の波長に対して光学的に透明であれば良く、例えば、ガラス基板、アクリル,ポリカーボネートなどの樹脂基板、単結晶基板などを用いることが出来る。又、偏光子1の用途に応じて、例えば、ソ―ダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、Si結晶体の他に、BK-7ガラス(BKはホーヤガラス(株)製商標名)、鉛ガラス、ゲルマニウム結晶体、ニオブ酸リチウム結晶体等から好適なものが選択可能である。この中でも石英ガラスは紫外線から近赤外線に至る波長帯域の光の透過率が高いので、偏光子1を光通信用の波長帯域(1.31μm〜1.55μm)で使用する場合には特に好適である。また、石英ガラスはレーザーアブレーションやドライエッチング等の表面微細加工技術にも適用し易い。なお、偏光子1を光通信に適用する場合には、石英ガラスの他にSiを基板2に使用しても良い。
又、石英ガラス以外の材料を基板2に使用する場合には、基板2の表面に光透過材料(例.二酸化珪素被膜(石英)、Si、プラスチック等)を数μmの厚さで形成したものを用いても良い。この場合、偏光子1は基板2の表面から数μmの部分で偏光特性を実現させれば良い。
なお、基板2には外形形状が平板状のものを用い、偏光膜7aの形成面である基板表面の形状も平板のものを選択する。
次に、導電体4a,4bを固定,保持する誘電体3a,3bとしては、基板2の屈折率と等しいか又は略等しい屈折率を有する材料が、偏光子1を透過する偏光成分の位相を補償する点で好ましい。このような材料としては、基板2と同じ物であることが望ましいが、基板2と異なる材料を用いる場合は、屈折率が基板2に近似する材料を選択することが好ましい。具体的な材料としては、入射する光の波長に対して光学的に透明な光透過性であれば良く、Si、Al、Be、Cs、Rb、K、Na、Li、Ba、Sr、Ca、Mg、Zn、Cd、Pb、Bi、Ge、Ta、Tl、Ti、P、Ag、As、Sb、Te、Y、Sc、Sn、Hf、W、Nb、Cr、Mn、B、Zr、Zn等の酸化物(例えば、SiO2、TiO2、Al2O3、Ta2O5、ZrO2、MgO、SnO2、ZnO等)や、少なくとも1つ以上を含むガラス、又はSiなどの半導体や、Si3N4、SiOxNy、MgF2などの化合物であれば良い。なお、誘電体3a,3bを他の透明な固体、例えば、UV接着剤のような硬化性透明樹脂に置き換えても良い。
一方、導電体4a,4bの材料としては、Au、Ag、Cu、Pd、Pt、Al、Ge、Rh、Si、Ni、Co、Mn、Fe、Cr、Ti、Ru、Nb、Nd、Yb、Y、Mo、In、Bi、Ta、W、Be、Mgからなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。これらは、導電率と比誘電率とが比較的大きいので、導電体4a,4bに用いた場合、偏光子1の入射光に対する反射と吸収の特性が大きくなり、偏光子1の偏光特性を向上させることが出来る。特に、Au、Ag、Al、Cr、Co、W、Fe、Cu、Be、Mg、Rhは電気抵抗が低いため望ましい。
前記間隔Dを小さく設定するほど偏光分離効果は大きくなるが、間隔Dが0.1λ(λ:入射光の波長)未満になると、透過すべき偏光成分の反射又は吸収が増大し、入射光の挿入損失が増大するので、偏光子1の性能が低下する。一方で、0.5λを超えると、使用波長λに対して、遮断すべき偏光成分(TE偏光)を反射又は吸収するために寄与する導電体4a,4bが十分に存在しないことになる。その結果、TE偏光の透過率が高くなり、偏光子1が機能しなくなる。又、波長λの2分の1以下にしなければ回折現象が生じて偏光子1の消光性能が低下してしまう点を考慮する必要もある。以上の点を考慮して間隔Dを設定することが好ましい。
導電体4a,4bの高さHは、入射光の進行方向に対して実質的に導電体として作用する程度に長く、TE偏光を受けて過渡電流が流れ、その結果、金属表面における現象と類似の反射又は吸収性能が得られて、TE偏光を透過させない程度の寸法に設定することが望ましい。
導電体4a,4bの幅Wcは、10〜300nm程度に形成する。更に、1層当たりの偏光膜(7a又は7b)における、導電体(4a又は4b)の幅Wcと誘電体(3a又は3b)の幅Wdの比は、それぞれ誘電体側が厚くなるように1:5〜1:100程度の範囲内に設定すると好適である。
偏光子1では、高さH1,H2(導電体4a,4bの膜厚)が100nm〜1μm範囲の何れかで、厚みのバラ付きが±10%範囲の極薄で平滑なものとする。
各偏光膜7a,7bにおける前記縞構造の長手方向(z方向)の寸法は、間隔Dに対して数十倍に設定する。
次に、偏光子1の製造方法について、図7〜図11を参照しながら説明を行う。まず、図7で示すように誘電体材料から所定厚みの誘電体ベース層8を、スパッタリングまたは真空蒸着により基板2の平板状の面上に形成する。次に、縞状のマスクを誘電体ベース層8の表面に載置し、X線リソグラフィー法及びECR,エッチング法、電子線描画技術等により、図8で示すように所定の間隔を隔て平行する複数の誘電体ベース縞9a,9a…を所定の間隔に形成する。
その誘電体ベース縞9a,9a…に対し、分子線エピタキシー(MBE)や原子層エピタキシー(ALE)或いはスパッタリング、真空蒸着等を適用して、図9で示すように導電性の金属を斜め上方より飛ばすことにより導電体薄膜10a,10a…を誘電体ベース縞9a,9a…の側面に薄膜状に接触形成する。この金属は、専ら、斜め上方から誘電体ベース縞9a,9a…の片側面に向けて飛ばすため、導電体薄膜10a,10a…は膜厚を薄く精密に形成することが出来る。但し、導電性金属は誘電体ベース縞9a,9a…の上面にも付着するが、これは後工程で除去する。
その導電体薄膜10a,10a…を形成した後、図10で示すように誘電体ベース縞9a,9a…と同材質の誘電体材料11をスパッタリングまたは真空蒸着により導電体薄膜10a,10a…と誘電体ベース縞9a,9a…の残余間隔に埋める。次に、図11で示すように誘電体ベース縞9a,9a…の上面が露出するまで余分な誘電体材料11並びに導電体薄膜10a,10a…を研磨等により取り除く。誘電体ベース縞9a,9a…の上面に付着した導電性金属を除くことにより、前記導電体4a,4aが形成される。
その誘電体材料11からは、誘電体付加層9b,9b…を形成すると共に、誘電体付加層9b,9b…と誘電体ベース縞9a,9a…とから前記誘電体3a,3a…を形成する。誘電体3a,3a…と導電体4a,4aとが交互に複数並ぶ縞構造の偏光膜7aを形成できる。なお、誘電体ベース縞9a,9a…の形成方法としては、他にレーザーアブレーションや、プレスによるパターン転写等を用いても良い。
その後、前記間隔(D/2)だけ、基板2を横方向(x方向)に移動させ、上記工程と同様な形成過程を経て、偏光膜7aの膜上に偏光膜7bを形成する。
次に、偏光子1の偏光動作を図5と図6を参照しながら説明する。図5は積層された偏光膜7a,7bに無偏光の光が入射した時の偏光動作を示す、図4の丸囲みA部分の部分拡大平面図であり、図6は偏光膜7a,7b毎の偏光動作を示す偏光子1の正面説明図である。図5(a)及び図6(a)に示す様に、前記偏光子1の偏光膜7bに無偏光の光が入射すると、入射光のうち電界がz方向に平行な偏光成分(TE偏光)5は反射又は吸収される。一方、電界がx方向に平行な偏光成分(TM偏光)6は誘電体3b内部を透過して偏光膜7bから偏光膜7aへと出射される。偏光膜7bにおけるTE偏光5の反射又は吸収の様子を、図5(b)及び図6(b)内にそれぞれ破線で示す。
TE偏光5では、入射光の波長に比較して導電体4bの長さ(高さH)が実質的に導電体として作用する程度に長いので、導電体4bに過渡電流が流れる。この結果、金属表面における現象と類似の反射及び吸収性能が得られるので、TE偏光5は偏光膜7bを透過しない。一方、TM偏光6では前記波長に比較して導電体4bの長さ(幅Wc)が短いために実質的に導電体として作用せず、導電体4bに過渡電流が流れることがない。従って、TM偏光6は偏光膜7bを透過する。
偏光膜7bを透過した偏光成分6は、次に、偏光膜7aに入射する。偏光膜7aの誘電体3aに入射する偏光成分6の電界は、図5(c)及び図6(c)に示すように偏光膜7bの作用によってx方向に揃えられているのでTM偏光となり、誘電体3a内部を透過して偏光子1から出射される。誘電体3aに入射する際に、導電体4aの幅Wcに相当する偏光成分6の範囲のみ透過されず、導電体4aによって反射又は吸収される。従って、偏光膜7aを透過して偏光子1から出射される偏光成分6a,6bの大きさは、導電体4aと4bの間に形成される、誘電体3aと3bとの重複部分の幅Wsに限定される。
偏光膜7bを透過する偏光成分(TM偏光)6の大きさは、光学的に透明な領域である誘電体3bの幅Wdに支配されるので、偏光膜7aへ入射する偏光成分6の大きさは前記幅Wdと同一になる。即ち、誘電体3bの幅Wdいっぱいまで大きさが拡大されたTM偏光6が、偏光膜7aに入射される。しかしながら、偏光膜7aと7bとはx方向にスライドするように積層されているため、光の入射方向(-y方向)から見たとき、偏光膜7aを透過する際に偏光成分6の大きさが、導電体4aと誘電体3bの一部との重複分だけ縮小化されて2つの偏光成分6a,6bとなって偏光子1から出射される。つまり偏光子1に入射した光は、光学的に透明である誘電体層4aと4bとが重なり合って出来た幅Wsの領域のみ透過するので、最終的に偏光子1から出射される偏光成分6a,6bの大きさは、各誘電体3a,3bの幅Wdよりも小さくなる。
偏光子1から出射される偏光成分が小さくなることに伴い、入射光に対する出射光の偏光度も小さくなる。よって、偏光度の減少に伴って消光比に優れた偏光子を形成することが可能となる。又、偏光膜7a,7bを複数層設けることによって透過損失を低減することが出来る。
本実施形態の偏光子1では、全ての偏光膜において同一な間隔Dで平行配設された導電体4a又は4bを有する複数の偏光膜7a,7bを積層することにより、相互の偏光膜に亘る導電体4a,4b間の間隔を(間隔D/積層偏光膜数)まで短縮化する。このように、複数の偏光膜7a,7bを積層することによって、積層偏光膜全体として導電体4aと4b間の間隔の短縮化を図るので、一層当たりの偏光膜(7a,7b)における導電体4a,4b間の間隔Dを従来の偏光子よりも延長して設定することが出来る。従って、一層当たりの偏光膜(7a,7b)における導電体4a,4b間の間隔Dを、製造プロセスの限界を超えるレベルまで追い込まなくとも、短波長帯域用の偏光子を作製することが可能となる。よって、製造プロセスの難度を上げることなく、動作波長帯域を短波長帯域まで拡大した偏光子を容易に作製することが出来る。
各誘電体3a,3b、又は各導電体4a,4bの、どちらか一方はSiなどの半導体に置き換え可能である。
なお、本実施形態はその技術的思想に基づいて種々変更可能であり、例えば前記偏光膜7aの部分を、図12(a)〜(e)に示す構成例に種々変更することが可能である。図12(a)〜(e)は、それぞれ前記z方向から見た偏光膜7aの変更例である。本実施形態では偏光膜7aを直に基板2面上に形成する構成例を示したが、図12(a)に示すように誘電体膜16a,16bを下地層にして、その上に偏光膜7aを成膜するように変更しても良いし、同図(b)に示すように前記誘電体3aの換わりに、導電体4a’,4a’…を覆うように誘電体層3a’を形成することで偏光膜7aを構成しても良い。又、同図(c)に示すように誘電体層3a’中に埋設するように導電体4a’,4a’…を配設して偏光膜7aを形成しても良いし、同図(d)に示すように誘電体層3a’を基板2面上に形成してから導電体4a’,4a’…を配設しても良い。又、同図(e)に示すように誘電体膜16a,16bを下地層にして、その上に導電体4a’,4a’…を覆うように誘電体層3a’を形成して偏光膜7aを構成しても良い。導電体4a’は薄膜状のもので互いに平行配設されている。なお、図12(a)〜(e)では簡略化のため偏光膜7bの図示を省略したが、無論、各図の偏光膜7a及び誘電体膜16a,16bの構造に倣って、前記間隔(D/2)だけ横方向(x方向)に移動して偏光膜7bを積層形成する。
又、導電体4a,4bの幅が各偏光膜7a,7bに亘って同一なWcである偏光子1の実施形態を説明してきたが、どちらかの導電体4a,4bの幅を変更して、各偏光膜7a,7b毎にそれぞれ導電体の幅を同一に設定しても良い。更に、前記高さHは導電体4aと4bとで若干異ならせても良い。
なお、積層させる偏光膜数は二層に限らず、三層以上でも良い。
又、本実施形態の基板2及び一層目の偏光膜7aからなる光学素子部分を、図13又は図14に示すような偏光部12,13を有する光学素子に変更し、その上から前記偏光膜7bを積層形成しても良い。このようにして形成された偏光子は、前記偏光子1と同様の効果を有するので、ここでは記述を省略する。
図13の光学素子は、前記誘電体3aが無く、光透過性の基板2の面上に、凹形の複数の溝部14が互いに平行に刻設され、この溝部14内に導電体4aが直接、埋設されることによって、縞構造の偏光部12が備えられている。従って、各導電体4a,4aは溝部14に接触することで固定される。
この光学素子の基板2面上に、前記偏光膜7aが積層することによって本発明に係る偏光子を形成する。偏光部12及び偏光膜7bの導電体4a,4bの幅は同一な値Wcに設定し、偏光部12及び偏光膜7bに亘って導電体4a及び4bは同一の間隔Dで平行に配設する。
図13の光学素子では、前記偏光膜7aの換わりに偏光部12を基板2と一体に設けているので、光の入射方向(-y方向)から見たときに、偏光部12及び偏光膜7bに亘る各導電体4a,4bどうしは、{(一層当たりの偏光膜7bにおける導電体間の間隔D)/(偏光部12の数+積層偏光膜7bの数)}で定義される間隔、即ち、(D/2)で等間隔で配設される。
図14の光学素子は、光透過性の基板2の面上に、凹形の複数の溝部14が互いに平行に刻設され、この溝部14を含む基板2の表面に一様に薄膜状の誘電体3aが設けられ、この誘電体3aによって形成された第2の溝部15内に導電体4aが直接、埋設されることによって、縞構造の偏光部13が備えられている。従って、導電体4aは溝部15に接触することで固定されている。この光学素子の偏光部13及び偏光膜7bに亘る各導電体4a,4bも、図13の光学素子と同様に(D/2)の等間隔で配設される。
無論、図13と図14の構成例においても導電体4a,4bのどちらかの幅を変更して、偏光部12又は13と偏光膜7b毎とで、それぞれ導電体の幅が同一となるように設定しても良い。
<第2の実施の形態>
次に、本発明に係る第2の実施形態の偏光子17を、図15を参照して説明する。図15は本実施形態に係る偏光子の構成を模式的に示す正面図であり、図中に示すx軸乃至z軸は、図1〜図11のそれに対応している。なお、本実施形態の記述は前記第1の実施形態と異なる点に関して主に行う事とし、第1の実施形態と同一箇所には同一番号を付し説明を簡略化若しくは省略する。
次に、本発明に係る第2の実施形態の偏光子17を、図15を参照して説明する。図15は本実施形態に係る偏光子の構成を模式的に示す正面図であり、図中に示すx軸乃至z軸は、図1〜図11のそれに対応している。なお、本実施形態の記述は前記第1の実施形態と異なる点に関して主に行う事とし、第1の実施形態と同一箇所には同一番号を付し説明を簡略化若しくは省略する。
本実施形態の偏光子17が前記第1の実施形態の偏光子1と異なる点は、光の入射方向(-y方向)から見たときに、任意の積層数nで一組とした各組毎の積層偏光膜数で前記間隔Dを割った間隔(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔D/n)によって、各組での相互の偏光膜7a,7bに亘る導電体4a,4bを配設したことである。よって、第1の実施形態のように積層された全ての偏光膜7a,7bにおける導電体4a,4bが、(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔D/積層偏光膜数)で定義される間隔、即ち、(D/4)の間隔で配設されない。本実施形態では、図15に示すように、7a,7b二層の偏光膜で一組としているのでn=2となり、(D/2)の等間隔で導電体4a,4bが配設されることになる、二層から成る二組の偏光膜7a,7bが更に積層されることで、偏光子17が形成されている。
全ての偏光膜7a,7a,7b,7bにおける各導電体4aと4bの縞構造の長手方向が、同一なz方向に揃うように全ての偏光膜7a,7a,7b,7bが基板2面上に積層形成されている。
その他の構成や製造方法は前記第1の実施形態と同一なので、記述は省略する。なお、偏光動作に関しても一組当たりの導電体4a,4bの間隔が(D/2)で、偏光子1と同一なので同一動作となるため、記述は省略する。
一組当たりの積層数nは二層に限らず、三層以上に設定しても良い。当然ながら積層数nの増減に関わらず、各組毎における各導電体どうしの配設間隔は、(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔D/一組当たりの積層偏光膜数n)となる。
本実施形態の偏光子17では、全ての偏光膜7a,7a,7b,7bにおいて同一な間隔Dで平行配設された導電体4a,4bを有する複数の偏光膜7a,7bを積層し、任意の積層数nで一組と見なすことにより、相互の偏光膜に亘る導電体4a,4b間の間隔を(間隔D/一組当たりの積層偏光膜数n)まで短縮化することが出来る。このように、複数の偏光膜7a,7bを積層することによって、一組当たりの積層偏光膜全体で導電体4a,4b間の間隔の短縮化を図るので、一層当たりの偏光膜(7a,7b)における導電体(4a,4b)間の間隔Dを従来の偏光子よりも延長して設定することが出来る。従って、前記間隔Dを、製造プロセスの限界を超えるレベルまで追い込まなくとも、短波長帯域用の偏光子を作製することが可能となる。よって、製造プロセスの難度を上げることなく、動作波長帯域を短波長帯域まで拡大した偏光子を容易に作製することが出来る。
又、偏光子17から出射される偏光成分の大きさを、各誘電体3a,3bの幅Wdよりも縮小化して、入射光に対する出射光の偏光度を小さくし、消光比を改善することが可能となる。又、偏光膜7a,7bを複数層設けることによって透過損失を低減することが出来る。
本実施形態においても偏光膜7a,7bを図12の各種構成例に変更可能である。又、図15の基板2及び一層目の偏光膜7aからなる光学素子部分を、図13又は図14に示すような偏光部12,13を有する光学素子に変更しても良い。前記光学素子部分を図13の光学素子で変更した偏光子18を図16に示す。図中に示すx軸乃至z軸は、図15のそれに対応している。
偏光子18では、光の入射方向(-y方向)から見たときに、偏光膜7a,7b,7bの積層数に偏光部12の数を加えた合計数4のうち、任意の数n=2で一組とした各組毎における相互の偏光膜7a,7b、又は、偏光部12と基板2面上の偏光膜7a、に亘る各導電体4a,4bどうしが、(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔D/任意の数n)で定義される等間隔によって配設されることで構成されている。偏光部12と偏光膜7a、及び、7a,7b二層の偏光膜で一組としているのでn=2となり、(D/2)の等間隔で導電体4a,4bが配設されることになる、
全ての偏光膜7a,7b,7b,7b及び偏光部12における各導電体4aと4bの縞構造の長手方向が、同一なz方向に揃うように全ての偏光膜7a,7b,7bが基板2面上に積層形成されている。
偏光子18は、全ての偏光膜7a,7b,7b及び偏光部12において、同一な間隔Dで平行配設された導電体4a,4bを有する偏光膜7a,7b及び偏光部12を積層し、任意の数nで一組と見なすことにより、相互の偏光膜7a,7b又は偏光部12と偏光膜7aに亘る導電体4a,4b間の間隔を(間隔D/n)まで短縮化することが出来る。このように、偏光膜7a,7bを積層することによって、一組当たりの導電体4a,4b間の間隔の短縮化を図るので、一層当たりの偏光膜(7a,7b)における導電体(4a,4b)間の間隔Dを従来の偏光子よりも延長して設定することが出来る。従って、前記間隔Dを、製造プロセスの限界を超えるレベルまで追い込まなくとも、短波長帯域用の偏光子を作製することが可能となるので、製造プロセスの難度を上げることなく、動作波長帯域を短波長帯域まで拡大した偏光子を容易に作製することが出来る。
又、偏光子18から出射される偏光成分の大きさは、各誘電体3a,3bの幅Wdよりも縮小化されるので、入射光に対する出射光の偏光度が小さくなり、消光比を改善することが可能となる。又、偏光膜7a,7bを複数層設けることによって透過損失を低減することが出来る。
本発明の偏光子は、光アイソレータや光アッテネータ、偏光ビームスプリッタ等と云った各種光学素子や装置等に利用することが可能である。
1、17、18 偏光子
2 基板
3a、3b 誘電体
4a、4b 導電体
5 TE偏光
6 TM偏光
7a、7b 偏光膜
8 誘電体ベース層
9a
誘電体ベース縞
9b
誘電体付加層
10a 導電体薄膜
11
誘電体材料
12、13
偏光部
14
溝部
15
第2の溝部
16a、16b 誘電体膜
2 基板
3a、3b 誘電体
4a、4b 導電体
5 TE偏光
6 TM偏光
7a、7b 偏光膜
8 誘電体ベース層
9a
誘電体ベース縞
9b
誘電体付加層
10a 導電体薄膜
11
誘電体材料
12、13
偏光部
14
溝部
15
第2の溝部
16a、16b 誘電体膜
Claims (5)
- 導電体と光透過性の誘電体とから構成される縞構造の複数の偏光膜が、光透過性の基板面上に積層されて成る偏光子において、
各偏光膜毎に導電体の幅が同一に設定されると共に、各導電体が平行に配設され、且つ各導電体の平行配設の間隔が全ての偏光膜で同一に設定され、
更に、光入射方向から見たときに、相互の偏光膜に亘る各導電体どうしが、(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔/積層偏光膜数)で定義される間隔によって、等間隔に配設されることを特徴とする偏光子。 - 光透過性の基板面上に刻設された複数の溝部に導電体を埋設することによって縞構造の偏光部を備える光学素子の基板面上に、導電体と光透過性の誘電体とから構成される縞構造の偏光膜が積層されて形成され、
偏光部及び偏光膜毎に導電体の幅が同一に設定されると共に、各導電体が平行に配設され、且つ各導電体の平行配設の間隔が偏光部及び偏光膜で同一に設定され、
更に、光入射方向から見たときに、偏光部及び偏光膜に亘る各導電体どうしが、{(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔)/(偏光部数+積層偏光膜数)}で定義される間隔によって、等間隔に配設されることを特徴とする偏光子。 - 導電体と光透過性の誘電体とから構成される縞構造の複数の偏光膜が、光透過性の基板面上に積層されて成る偏光子において、
全ての偏光膜における各導電体の長手方向が同一方向になるように全ての偏光膜が基板面上に積層され、
各偏光膜毎に導電体の幅が同一に設定されると共に、各導電体が平行に配設され、且つ各導電体の平行配設の間隔が全ての偏光膜で同一に設定され、
更に、光入射方向から見たときに、任意の積層数nで一組とした各組毎における相互の偏光膜に亘る各導電体どうしが、(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔/n)で定義される間隔によって等間隔に配設されることを特徴とする偏光子。 - 光透過性の基板面上に刻設された複数の溝部に導電体を埋設することによって縞構造の偏光部を備える光学素子の基板面上に、導電体と光透過性の誘電体とから構成される縞構造の複数の偏光膜が積層されて形成され、
全ての偏光膜及び偏光部における各導電体の長手方向が同一方向になるように全ての偏光膜が基板面上に積層され、
偏光部及び偏光膜毎に導電体の幅が同一に設定されると共に、各導電体が平行に配設され、且つ各導電体の平行配設の間隔が偏光部及び偏光膜で同一に設定され、
更に、光入射方向から見たときに、偏光膜の積層数に偏光部の数を加えた合計数のうちの任意の数nで一組とした各組毎における、相互の偏光膜、又は、偏光部と偏光膜、に亘る各導電体どうしが、(一層当たりの偏光膜における導電体間の間隔/n)で定義される間隔によって等間隔に配設されることを特徴とする偏光子。 - 前記光学素子が、前記溝部の表面に一様に設けられた誘電体によって形成された第2の溝部に前記導電体が埋設されて構成されることを特徴とする請求項2又は4に記載の偏光子。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011145360A (ja) * | 2010-01-13 | 2011-07-28 | Ricoh Co Ltd | 光学素子、画像生成装置及び画像表示装置 |
JP2012058437A (ja) * | 2010-09-08 | 2012-03-22 | Mitsubishi Electric Corp | 偏波制御素子 |
CN118226561A (zh) * | 2024-05-23 | 2024-06-21 | 深圳市金昱鸿德实业有限公司 | 一种3d偏光膜结构及显示装置 |
-
2005
- 2005-10-28 JP JP2005315234A patent/JP2007121777A/ja not_active Withdrawn
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