JP2007121664A - 正帯電性カプセル化シリカ、正帯電性カプセル化シリカの製造方法、およびトナー - Google Patents

正帯電性カプセル化シリカ、正帯電性カプセル化シリカの製造方法、およびトナー Download PDF

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Abstract

【課題】環境安定性に優れ、かつ、マイクロキャリアとしての機能に優れた正帯電性カプセル化シリカを提供すること、このような正帯電性カプセル化シリカを効率良く製造することができる製造方法、および、帯電特性に優れたトナーを提供すること。
【解決手段】本発明の正帯電性カプセル化シリカは、トナーに添加する外添剤としての正帯電性カプセル化シリカであって、表面にアニオン性基を有するシリカ粒子が、少なくとも、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤から誘導された第1のカチオン層で構成された膜により被覆されたものであり、前記膜は、前記シリカ粒子とは反対側に、前記カチオン性重合性界面活性剤由来のカチオン性基を有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、正帯電性カプセル化シリカ、正帯電性カプセル化シリカの製造方法、およびトナーに関するものである。
負帯電性のトナー中に、マイクロキャリアとして機能する正帯電性の外添剤を添加することが広く一般に行われている。
マイクロキャリアとして機能する外添剤は、現像時等に逆帯電性のトナー粒子(トナー粒子が帯電時に本来示すべき極性とは反対の極性に帯電する、すなわち、正に帯電するトナー粒子)が発生するのを防止、抑制する機能を有している。
このような外添剤(マイクロキャリア)として、シリカ粒子の表面にアミノシラン処理を施した正帯電性シリカが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、従来の正帯電性シリカは、処理ムラ等が生じ、十分均一に正帯電したものではなく、マイクロキャリアとしての機能を十分に発揮させるのが困難であった。また、従来の正帯電性シリカは、耐湿性(環境安定性)が低く、マイクロキャリアとしての機能が経時的に低下してしまうといった問題があった。また、アミノシラン処理を施した際に、シリカ粒子の凝集を促進させてしまったり、1次粒子が疎水化処理中に解砕されずに残存したりするといった問題があった。その結果、トナーに十分な流動性を与えることができず、帯電不良やかぶり等が生じるといった問題があった。特に、高湿度下や長時間使用した後において、このような問題が顕著であった。
特開2003−91102号公報
本発明の目的は、環境安定性に優れ、かつ、マイクロキャリアとしての機能に優れた正帯電性カプセル化シリカを提供すること、このような正帯電性カプセル化シリカを効率良く製造することができる製造方法、および、帯電特性に優れたトナーを提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の正帯電性カプセル化シリカは、トナーに添加する外添剤としての正帯電性カプセル化シリカであって、
表面にアニオン性基を有するシリカ粒子が、少なくとも、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤から誘導された第1のカチオン層で構成された膜により被覆されたものであり、
前記膜は、前記シリカ粒子とは反対側に、前記カチオン性重合性界面活性剤由来のカチオン性基を有することを特徴とする。
これにより、環境安定性に優れ、かつ、マイクロキャリアとしての機能に優れた正帯電性カプセル化シリカを提供する。
本発明の正帯電性カプセル化シリカの平均粒径は、80〜350nmであることが好ましい。
これにより、逆帯電のトナーの発生を効果的に防止することができる。
本発明の正帯電性カプセル化シリカでは、前記膜は、前記第1のカチオン層上に、少なくも、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤から誘導されたアニオン層と、前記カチオン性重合性界面活性剤から誘導された第2のカチオン層とを積層したものであることが好ましい。
これにより、正帯電性カプセル化シリカの耐久性(耐湿性)をさらに向上させることができる。
本発明の正帯電性カプセル化シリカの製造方法は、前記シリカ粒子の分散液に、前記カチオン性重合性界面活性剤を加えて混合し、混合液を得る工程と、
前記混合液に、重合開始剤を加えて重合する工程とを有することを特徴とする。
これにより、環境安定性に優れ、かつ、マイクロキャリアとしての機能に優れた正帯電性カプセル化シリカを容易に製造することができる。
本発明の正帯電性カプセル化シリカの製造方法は、前記シリカ粒子上に、前記カチオン性重合性界面活性剤を重合することにより、第1のカチオン層を形成する工程と、
前記カチオン層上に、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤を重合することにより、アニオン層を積層し、該アニオン層上に、前記カチオン性重合性界面活性剤を重合することにより、第2のカチオン層を積層する積層工程とを有することを特徴とする。
これにより、環境安定性に優れ、かつ、マイクロキャリアとしての機能に優れた正帯電性カプセル化シリカを容易に製造することができる。
本発明のトナーは、本発明の正帯電性カプセル化シリカを外添剤として付与したことを特徴とする。
これにより、帯電特性、環境特性に優れたトナーを提供することができる。
以下、添付図面に基づいて、本発明の正帯電性カプセル化シリカ、正帯電性カプセル化シリカの製造方法、および正帯電性カプセル化シリカを用いたトナーの好適な実施形態を詳細に説明する。
《正帯電性カプセル化シリカ》
以下、本発明の正帯電性カプセル化シリカについて説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の正帯電性カプセル化シリカの第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の正帯電性カプセル化シリカの第1実施形態を示す図、図2は、第1実施形態に係る正帯電性カプセル化シリカの製造工程を示す図である。
本実施形態の正帯電性カプセル化シリカ100は、トナー中においてマイクロキャリアとして機能するものであって、図1に示すように、表面にアニオン性基11を有するシリカ粒子1を、膜200によって被覆したものである。
なお、マイクロキャリアとは、トナー粒子とは反対の極性に帯電するもので、現像時等に逆帯電性のトナー粒子(トナー粒子が帯電時に本来示すべき極性とは反対の極性に帯電する、すなわち、正に帯電するトナー粒子)が発生するのを防止、抑制する機能を有するものである。
このような正帯電性カプセル化シリカ100の平均粒径は、80〜350nmであるのが好ましく、100〜150nmであるのがより好ましい。正帯電性カプセル化シリカ100の平均粒径がこのような範囲のものであると、マイクロキャリアとしての機能を十分に発揮させることができ、逆帯電のトナーの発生を効果的に防止することができる。その結果、トナーの帯電特性をより高いものとすることができる。
[シリカ粒子1]
まず、シリカ粒子1について説明する。
シリカ粒子1は、主として、SiO(シリカ)で構成されており、その表面には、通常、シラノール基を有している。
本発明において、シリカ粒子表面のアニオン性基としては、このシラノール基を用いてもよいし、表面処理により導入されたものであってもよい。
表面処理によりアニオン性基を導入する場合、例えば、以下に示すような表面処理剤を用いることができる。
例えば、シリカ粒子の表面にアニオン性基を導入するための表面処理剤(アニオン性基付与剤)としては、まず、硫黄を含有する処理剤を好適に挙げることができる。
硫黄を含有する処理剤としては、硫酸,発煙硫酸,三酸化硫黄,クロロ硫酸,フルオロ硫酸,アミド硫酸,スルホン化ピリジン塩,スルファミン酸が挙げられ、中でも、三酸化硫黄,スルホン化ピリジン塩またはスルファミン酸等のスルホン化剤が好適である。これらを単独または2種以上を混合して用いることができる。
また、前記三酸化硫黄を、三酸化硫黄と錯体を形成することのできる溶剤(N,N−ジメチルホルムアミドジオキサン,ピリジン,トリエチルアミン,トリメチルアミンのような塩基性溶剤、ニトロメタン、アセトニトリル等)と後述する溶剤1種以上との混合溶媒により、錯体化させることも有用である。
特に、三酸化硫黄自身では反応性が大きすぎて、樹脂自身を分解または変質させたり、あるいは強酸による反応制御が困難な場合には、上記のように三酸化硫黄と第三アミンとの錯体を用いてシリカ粒子の表面処理を行うことが好ましい。
また、硫酸や発煙硫酸,クロロ硫酸、フルオロ硫酸などを単体で使用すると容易にシリカ粒子が溶解し、一分子ごとに反応する様な強酸に対しては、反応を抑制する必要があり、後述する溶剤の種類や使用する量に関して留意する必要がある。
硫黄を含む処理剤による処理は、硫黄を含む処理剤を添加し、60〜200℃に加熱、3〜10時間攪拌することにより行う。この際、アニオン性基の導入量の決定には、反応条件と硫黄を含む処理剤の種類が大きく左右する。
さらに、前掲したスルホン酸(−SOH)をアルカリ化合物で処理することによって、スルホン酸アニオン基(−SO )を表面に有するシリカ粒子とすることができる。
アルカリ化合物としては、カチオンがアルカリ金属イオンまたは化学式(RN)(R,R,RおよびRは同一でも異なってもよく、水素原子,アルキル基,ヒドロキシアルキル基またはハロゲン化アルキル基を示す)で示される1価のイオンとなるアルカリ化合物が選択される。好ましくは、カチオンが、リチウムイオン(Li),カリウムイオン(K),ナトリウムイオン(Na),アンモニウムイオン(NH4)、および、トリエタノールアミンカチオン等のアルカノールアミンカチオンとなるアルカリ化合物である。
アルカリ化合物のアニオンとしては、水酸化アニオンが好適に用いられ、その具体例としては、アンモニア,アルカノールアミン(モノエタノールアミン,ジエタノールアミン,N,N−ブチルエタノールアミン,トリエタノールアミン,プロパノールアミン,アミノメチルプロパノール,2−アミノイソプロパノール等)、一価のアルカリ金属の水酸化物(LiOH,NaOH,KOH)が例示できる。
上記したアルカリ化合物の添加量としては、シリカ粒子のスルホン酸基の中和当量以上が好ましい。さらに、アンモニア,アルカノールアミン等の揮発性のある添加剤については、概ね、中和当量の1.5倍以上の添加が好ましい。
なお、操作は、アルカリ化合物中に上記スルホン酸基が表面に化学結合されたシリカ粒子を入れ、ペイントシェーカー等で振とうすることにより行うことができる。
また、シリカ粒子の表面を処理するためのアニオン性基付与剤としては、カルボキシル化剤も好適に挙げることができる。
カルボキシル化剤としては、次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カリウム等の次亜ハロゲン酸塩の様な酸化剤を使い、シリカ粒子表面の一部結合(C=C、C−C)を切断し、酸化処理することによる。
カルボキシル化剤による処理の一例を挙げると、シリカ粒子が分散した水系懸濁液中に、有効ハロゲン濃度で10〜30%の次亜塩素酸ナトリウムのような次亜ハロゲン酸塩を適量添加し、60〜80℃に加熱、5〜10時間程度、好ましくは10時間以上攪拌することにより行う。この作業は、かなりの発熱を伴うため、安全上の注意が必要である。
そして、カルボン酸基(−COOH)を有するシリカ粒子をアルカリ化合物で処理することによって、カルボン酸アニオン基(−COO)を表面に有するシリカ粒子とすることができる。
アルカリ化合物の種類およびアルカリ化合物による処理方法は前述と同様である。
このようなシリカ粒子1の平均粒径は、75〜345nmであるのが好ましく、95〜145nmであるのがより好ましい。これにより、トナーに添加した場合、各トナー粒子間での帯電量のばらつきを効果的に防止することができる。
また、シリカ粒子1の表面のアニオン性基の量は、シリカ粒子100gに対して、3〜100mmolであるのが好ましく、4〜20mmolであるのがより好ましい。これにより、シリカ粒子1をより確実にカプセル化することができる。
[膜200]
次に、膜200について説明する。
膜200は、後に詳述するような、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤2、2’から誘導されたカチオン層(第1のカチオン層)20で構成されたものである。
膜200(第1のカチオン層20)は、図1に示すように、シリカ粒子1側に、カチオン性重合性界面活性剤2由来のカチオン性基21と、シリカ粒子1とは反対側に、カチオン性重合性界面活性剤2’由来のカチオン性基21’とを有している。
また、膜200は、シリカ粒子1のアニオン性基11と、カチオン性基21とがイオン的に結合した状態で、シリカ粒子1を被覆している。
ところで、従来より、マイクロキャリアとして、シリカ粒子の表面にアミノシラン処理を施した正帯電性シリカが用いられてきた。しかしながら、従来の正帯電性シリカは、処理ムラ等が生じ、十分均一に正帯電したものではなく、マイクロキャリアとしての機能を十分に発揮させるのが困難であった。また、従来の正帯電性シリカは、耐湿性(環境安定性)が低く、マイクロキャリアとしての機能が経時的に低下してしまうといった問題があった。また、アミノシラン処理を施した際に、シリカ粒子の凝集を促進させてしまったり、1次粒子が疎水化処理中に解砕されずに残存したりするといった問題があった。その結果、トナーに十分な流動性を与えることができず、帯電不良やかぶり等が生じるといった問題があった。特に、高湿度下や長時間使用した後において、このような問題が顕著であった。
これに対して、本発明の正帯電性カプセル化シリカでは、シリカ粒子を、カチオン性重合性界面活性剤から誘導される膜で被覆している(カプセル化している)ため、シリカ粒子表面の電荷が、カチオン性重合性界面活性剤由来のカチオン性基によって打ち消されるとともに、正帯電性カプセル化シリカ表面には、カチオン性重合性界面活性剤由来のカチオン性基がほぼ均一に存在することとなるため、マイクロキャリアとして優れた機能を発揮するものとなる。また、カチオン性重合性界面活性剤から誘導される膜は、環境安定性(特に耐湿性)が高いことから、本発明によれば、優れた環境安定性(耐湿性)および優れたマイクロキャリアとしての機能の両立を図ることができる。
また、本発明の正帯電性カプセル化シリカは、シリカ粒子が上記のような膜で被覆されたものであるから、正帯電性カプセル化シリカ粒子同士が凝集するのを防止することができ、その結果、粒子が粗大化するのを効果的に防止することができ、トナーに十分な流動性を与えることができる。
また、シリカ粒子を被覆する、カチオン性重合性界面活性剤から誘導される膜は、トナー粒子との親和性が高いため、得られる正帯電性カプセル化シリカのトナー粉末中への分散性を向上させることができる。その結果、逆帯電性のトナー粒子の発生を効果的に防止することができ、トナーをより均一に負帯電させることができる。
また、本発明によれば、シリカ粒子と膜とが、イオン的に強固に結合しているため、膜の不本意な剥がれ等を防止することができ、得られるトナーの帯電特性の低下を効果的に防止することができる。
上述したような効果は、シリカ粒子を単に樹脂等でコーティングしただけでは得ることはできない。
カチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基としては、第一アミンカチオン、第二アミンカチオン、第三アミンカチオン、第四級アンモニウムカチオンなる群から選択されたカチオン性基が好ましい。第一アミンカチオンとしてはモノアルキルアンモニウムカチオン(RNH )等を、第二アミンカチオンとしてはジアルキルアンモニウムカチオン(RNH )等を、第三アミンカチオンとしてはトリアルキルアンモニウムカチオン(RNH)等を、第四級アンモニウムカチオンとしては(R)等を挙げることができる。ここで、Rは、疎水性基および重合性基であり、下記に示すものを挙げることができる。
前述のカチオン性基の対アニオンとしては、Cl、Br、Iなどを挙げることができる。
また、カチオン性重合性界面活性剤の疎水性基としては、アルキル基,アリール基およびこれらが組み合わされた基からなる群から選択されることが好ましい。
また、カチオン性重合性界面活性剤の重合性基としては、不飽和炭化水素基が好ましく、さらに詳しくは、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択されたものであることが好ましい。このなかでも特にアクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい例として例示できる。
前述したカチオン性重合性界面活性剤の具体的な例としては、特公平4−65824号公報に記載されているようなカチオン性のアリル酸誘導体などを挙げることができる。
本発明において使用するカチオン性重合性界面活性剤としては、例えば、一般式R[4−(l+m+n)] n・Xで表される化合物を挙げることができる(Rは重合性基であり、R、R、Rはそれぞれアルキル基またはアリール基であり、XはCl、BrまたはIであり、l、m、nはそれぞれ1または0である。)。ここで、重合性基としては、ラジカル重合可能な不飽和炭化水素基を有する炭化水素基を好適に例示でき、より具体的には、アリル基、アクロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロぺニル基、ビニリデン基、ビニレン基等を挙げることができる。
カチオン性重合性界面活性剤の具体例としては、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド、メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等を挙げることができる。
前述のカチオン性重合性界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。例えば、アクリエステルDMC(三菱レイヨン(株))、アクリエステルDML60(三菱レイヨン(株))、C−1615(第一工業製薬(株))などを挙げることができる。
以上に例示したカチオン性重合性界面活性剤は、単独で、または2種以上の混合物として使用することができる。
[正帯電性カプセル化シリカ100の製造]
次に、本発明の第1実施形態に係る正帯電性カプセル化シリカの製造方法について添付図面を参照しつつ説明する。
上述したような正帯電性カプセル化シリカ100は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、シリカ粒子1が水等の水系分散媒に分散した水性分散液を用意する。
次に、この水性分散液に、前述したカチオン性重合性界面活性剤2、2’を添加する。
このとき、図2に示すように、カチオン性重合性界面活性剤2のカチオン性基21がシリカ粒子1のアニオン性基11に向くように配置され、イオン性の強い結合で吸着する。さらに、カチオン性重合性界面活性剤2’の疎水性基22’と重合性基23’が、カチオン性重合性界面活性剤2の疎水性基22と重合性基23との疎水性相互作用によって吸着し、カチオン性重合性界面活性剤2’のカチオン性基21’が、水系分散媒の存在する方向、すなわちシリカ粒子1から離れる方向に向くよう配置される。
この状態に例えば重合開始剤を添加するなどして、隣接するカチオン性重合性界面活性剤2、2’の重合性基23、23’同士を重合させることによって、図1に示すように、シリカ粒子1の表面に膜200(第1のカチオン層20)が形成され、正帯電性カプセル化シリカ100(本発明の正帯電性カプセル化シリカ)が得られる。
このような方法によれば、重合系内に、シリカ粒子の表面のアニオン性基と、カチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基とが、イオン的に結合し、重合反応によって層を形成することから、乳化重合前におけるシリカ粒子の周囲に存在するカチオン性重合性界面活性剤の配置形態が重合後の粒子表面の分極状態に影響を与え、よって極めて高精度で制御することができる。
膜200は、より具体的には、以下の手順によって好適に形成される。
(1)まず、シリカ粒子1が分散した分散液に、カチオン性重合性界面活性剤を加える。加えたカチオン性重合性界面活性剤の一部(カチオン性重合性界面活性剤2)がそのカチオン性基をシリカ粒子1のアニオン性基に吸着してイオン的に結合して固定化される。
分散液に加えるカチオン性重合性界面活性剤の添加量は、分散液中のシリカ粒子表面のアニオン性基の総モル数に対して、0.5〜2倍molの範囲が好ましく、より好ましくは、0.8〜1.2倍molの範囲である。0.5倍mol以上の添加量とすることによって、アニオン性基を有するシリカ粒子にイオン的に強く結合し、容易に第1のカチオン層20を形成することができる。2倍mol以下の添加量とすることでシリカ粒子に未吸着のカチオン性重合性界面活性剤の発生を少なくすることができる。
(2)次に、重合開始剤を加え、乳化重合する。
このような重合開始剤としては、水溶性の重合開始剤が好ましく、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、2,2−アゾビス−(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、または4,4−アゾビス−(4−シアノ吉草酸)などが挙げられる。
重合開始剤の添加は、水溶性重合開始剤を純水に溶解した水溶液を滴下することにより好適に実施できる。
なお、重合開始剤は、活性化した状態で添加するのが好ましい。
重合開始剤の活性化は、分散液を所定の重合温度まで昇温することにより好適に実施できる。また、重合温度は、60℃〜90℃の範囲とされるのが好ましい。
また、重合反応は、超音波発生器、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度調節器を備えて反応容器を使用するのが好ましい。
以上のようにして得られた正帯電性カプセル化シリカ100の分散液は、噴霧乾燥や濾別乾燥等により単離され、後述するトナーに適用される。
なお、耐久性や分散性のさらなる向上の目的で、カチオン性重合性界面活性剤の他に、コモノマーを添加してもよい。
また、重合の際、必要に応じて、第2の混合液中に、カチオン性重合性界面活性剤と、疎水性モノマーを存在させてもよく、その場合は、膜200は、カチオン性重合性界面活性剤と、疎水性モノマーとから共重合されたものとなる。これにより、シリカ粒子1を被覆する膜200の不本意な剥がれ等をより効果的に防止することができる。
疎水性モノマーとしては、その構造中に疎水性基と重合性基とを少なくとも有するもので、疎水性基が脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基の群から選択されたものを例示できる。脂肪族炭化水素基としてはメチル基、エチル基、プロピル基等を、脂環式炭化水素基としてはシクロヘキシル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基、イソボルニル基等を、芳香族炭化水素基としてはベンジル基、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
重合性基としては、ラジカル重合が可能な不飽和炭化水素基であって、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択されるのが好ましい。
疎水性モノマーの具体例としては、スチレンおよびメチルスチレン、ジメチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、p−クロルメチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、ブトキシエチルアクリレート、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、フェノキシエチルアクリレート、アクリル酸シクロヘキシル、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、イソボルニルアクリレート等の単官能アクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、2−エチルヘキシルメタクリレート、ブトキシメチルメタクリレート、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、フェノキシエチルメタクリレート、メタクリル酸シクロヘキシル、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、イソボルニルメタクリレート等の単官能メタクリル酸エステル類;アリルベンゼン、アリル−3−シクロヘキサンプロピオネート、1−アリルー3,4−ジメトキシベンゼン、アリルフェノキシアセテート、アリルフェニルアセテート、アリルシクロヘキサン、多価カルボン酸アリル等のアリル化合物;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸のエステル頬;N−置換マレイミド、環状オレフィンなどのラジカル重合性基を有するモノマーが挙げられる。
疎水性モノマーは、上記の要求特性を満足させるものが適宜、選択され、その添加量は任意に決定される。
このような疎水性モノマーの添加量は、シリカ粒子100重量部に対して5〜900重量部程度の範囲が好ましく、より好ましくは10〜500重量部の範囲であり、特に好ましくは15〜200重量部の範囲である。
また、シリカ粒子1を被覆する膜200は、架橋性モノマーから誘導された繰り返し構造単位を有することも好ましい。
架橋性モノマーから誘導された繰り返し構造単位を有することにより、膜200中に架橋構造が形成され、膜200の耐久性を向上させることができる。
架橋性モノマーとしては、ビニル基,アリル基,アクリロイル基,メタクリロイル基,プロペニル基,ビニリデン基,ビニレン基から選ばれる1種以上の不飽和炭化水素基を2個以上有する化合物を有するもので、例えば、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルアクリレート、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロビレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシー1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ・ジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ・ポリエトキシ)フェニル〕プロパン、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラブロモピスフェノールAジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、プロビレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4一(メタクリロキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、テトラブロモビスフェノールAジメタクリレート、ジシクロペンタニルジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリグリセーロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、アリルメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等が挙げられる。
また、シリカ粒子1を被覆する膜200は、さらに下記一般式(1)で表されるモノマーから誘導された繰り返し構造単位を有することが好ましい。
Figure 2007121664
膜200中に一般式(1)で表されるモノマー由来の“嵩高い”基である前記R基によって、膜の分子のたわみやすさが減り、すなわち、分子の運動性が拘束されるため、膜の機械的強度や耐熱性が向上する。
上記一般式(1)において、Rが示す脂環式炭化水素基としては、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、アダマンタン基、テトラヒドロフラン基、ナフチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
前述したように、架橋性モノマーから誘導された繰り返し構造単位を有する膜や一般式(1)で表されるモノマーから誘導された繰り返し構造単位を有する膜は、機械的強度、耐熱性、耐溶剤性等の耐久性に優れるという利点がある。
また、上記一般式(1)で表されるモノマーの具体例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2007121664
Figure 2007121664
各重合性界面活性剤とともに以下の親水性モノマーを用いることができる。係る親水性モノマーとしては、親水性基として水酸基、エチレンオキサイド基、アミド基、アミノ基を有するものが挙げられる。
前記の親水性モノマーとしては、OH基を有する2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート等、エチレンオキサイド基を有するエチルジエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート等、アミド基を有するアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等、アミノ基を含むN−メチルアミノエチルメタクリレート、N−メチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルアミノエステル類;N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、等のアルキルアミノ基を有する不飽和アミド類等と、ビニルピリジン等のモノビニルピリジン類、ジメチルアミノエチルビニルエーテルなどのアルキルアミノ基を有するビニルエーテル類;ビニルイミダゾール等、N−ビニル−2−ピロリドン、などを挙げることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の正帯電性カプセル化シリカの第2実施形態について説明する。以下、本実施形態について、前述した実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
図3は、本発明の正帯電性カプセル化シリカの第2実施形態を示す図、図3は、第2実施形態に係る正帯電性カプセル化シリカの製造工程を示す図である。
[正帯電性カプセル化シリカ100’]
本実施形態の正帯電性カプセル化シリカ100’は、トナー中において、マイクロキャリアとして機能するものであって、図3に示すように、表面にアニオン性基11を有するシリカ粒子1と、シリカ粒子1を被覆する膜200’とを有している。
本実施形態では、膜200’が、カチオン性重合性界面活性剤2、2’から誘導された第1のカチオン層20と、後述するアニオン性重合性界面活性剤3、3’から誘導されたアニオン層30と、カチオン性重合性界面活性剤4、4’から誘導された第2のカチオン層40との積層体で構成されており、この点において、前述した実施形態と異なっている。
このように積層体で構成された膜でシリカ粒子を被覆することにより、正帯電性カプセル化シリカの耐久性(耐湿性)をさらに向上させることができる。また、トナー粉末中への分散性をさらに向上させることができる。
第1のカチオン層20は、シリカ粒子1側に、カチオン性重合性界面活性剤由来のカチオン性基21と、シリカ粒子1とは反対側に、カチオン性重合性界面活性剤由来のカチオン性基21’とを有している。
第1のカチオン層20は、シリカ粒子1のアニオン性基11と、カチオン性基21とがイオン的に結合した状態で、シリカ粒子1を被覆している。
アニオン層30は、前述した第1のカチオン層20上に積層されており、第1のカチオン層20側に、アニオン性重合性界面活性剤由来のアニオン性基31と、第1のカチオン層20とは反対側に、アニオン性重合性界面活性剤由来のアニオン性基31’とを有している。
アニオン層30は、カチオン層20のカチオン性基21’と、アニオン性基31とがイオン的に結合した状態で、第1のカチオン層20上に積層されたものである。
第2のカチオン層40は、前述したアニオン層30上に積層されており、アニオン層30側に、カチオン性重合性界面活性剤由来のカチオン性基41と、アニオン層30とは反対側に、カチオン性重合性界面活性剤由来のカチオン性基41’とを有している。
第2のカチオン層40は、アニオン層30のアニオン性基31’と、カチオン性基41とがイオン的に結合した状態で、アニオン層30上に積層されたものである。
アニオン性重合性界面活性剤のアニオン性基としては、スルホン酸基、スルフィン酸基、カルボキシル基、カルボニル基およびこれらの塩の群から選択されたものを好適に例示できる。
また、アニオン性重合性界面活性剤の疎水性基としては、アルキル基,アリール基およびこれらが組み合わされた基からなる群から選択されることが好ましい。
また、アニオン性重合性界面活性剤の重合性基としては、不飽和炭化水素基が好ましく、さらに詳しくは、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択されたものであることが好ましい。このなかでも特にアクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい例として例示できる。
また、アニオン性重合性界面活性剤の具体的な例としては、特公昭49−46291号公報、特公平1−24142号公報、又は特開昭62−104802号公報に記載されているようなアニオン性のアリル誘導体、特開昭62−221431号公報に記載されているようなアニオン性のプロペニル誘導体、特開昭62−34947号公報又は特開昭55−11525号公報に記載されているようなアニオン性のアクリル酸誘導体、特公昭46−34898号公報又は特開昭51−30284号公報に記載されているようなアニオン性のイタコン酸誘導体などを挙げることができる。
また、本発明において使用するアニオン性重合性界面活性剤としては、例えば、一般式(31):
Figure 2007121664
[式中、R21及びR31は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基であり、Z1は、炭素−炭素単結合又は式−CH−O−CH−で表される基であり、mは2〜20の整数であり、Xは式−SOで表される基であり、Mはアルカリ金属、アンモニウム塩、又はアルカノールアミンである]
で表される化合物、又は式(32):
Figure 2007121664
[式中、R22及びR32は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基であり、Dは、炭素−炭素単結合又は式−CH−O−CH−で表される基であり、nは2〜20の整数であり、Yは式−SOで表される基であり、Mはアルカリ金属、アンモニウム塩、又はアルカノールアミンである]
で表される化合物が好ましい。
前述した式(31)で表される重合性界面活性剤は、特開平5−320276号公報、又は特開平10−316909号公報に記載されている。式(31)で表される好ましい重合性界面活性剤としては、下記の式(310)で表される化合物を挙げることができ、具体的には、下記の式(31a)〜(31d)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2007121664
[式中、R31,m,Mは式(31)で表される化合物と同様]
Figure 2007121664
Figure 2007121664
Figure 2007121664
Figure 2007121664
また、アニオン性重合性界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。例えば、第一工業製薬株式会社のアクアロンHSシリーズ(アクアロンHS−05、HS−10、HS−20、HS−1025)、あるいは、旭電化工業株式会社のアデカリアソープSE−10N,SE−20Nなどを挙げることができる。
旭電化工業株式会社のアデカリアソープSE−10Nは、式(310)で表される化合物において、MがNH、R31がC19、m=10とされた化合物である。旭電化工業株式会社のアデカリアソープSE−20Nは、式(310)で表される化合物において、MがNH、R31がC19、m=20とされた化合物である。
また、本発明において使用するアニオン性重合性界面活性剤としては、例えば、一般式(33):
Figure 2007121664
[式中、pは9又は11であり、qは2〜20の整数であり、Aは−SOで表わされる基であり、Mはアルカリ金属、アンモニウム塩又はアルカノールアミンである]
で表される化合物が好ましい。式(33)で表される好ましいアニオン性重合性界面活性剤としては、以下の化合物を挙げることができる。
Figure 2007121664
[式中、rは9又は11、sは5又は10]
また、アニオン性重合性界面活性剤としては、他の市販品を用いることもできる。例えば、第一工業製薬株式会社のアクアロンKHシリーズ(アクアロンKH−5、アクアロンKH−10)などを挙げることができる。アクアロンKH−5は、上記式で示される化合物において、rが9、sが5とされた化合物と、rが11、sが5とされた化合物との混合物である。アクアロンKH−10は、上記式で示される化合物において、rが9、sが10とされた化合物と、rが11、sが10とされた化合物との混合物である。
また、アニオン性重合性界面活性剤としては、下記の式(A)で表される化合物も好ま
しい。
Figure 2007121664
[上式中、Rは水素原子または炭素数1から12の炭化水素基を表し、lは2〜20の数を表し、Mはアルカリ金属、アンモニウム塩、またはアルカノールアミンを表す。]
なお、第1のカチオン層20、第2のカチオン層40は、同じカチオン性重合性界面活性剤から誘導されたものであってもよく、異なるカチオン性重合性界面活性剤から誘導されたものであってもよい。
また、上記説明では、膜200が、第1のカチオン層20、アニオン層30、第2のカチオン層40の3層の積層体で構成されるものとして説明したが、膜200は、最外層がカチオン層であれば、何層有していてもよく、上記3層上に、さらに、アニオン層とカチオン層との2層が積層されたものであってもよいし、それ以上積層されたものであってもよい。
[正帯電性カプセル化シリカ100’の製造]
次に、本発明の第1実施形態に係る正帯電性カプセル化シリカの製造方法について添付図面を参照しつつ説明する。
上述したような正帯電性カプセル化シリカ100’は、例えば、以下のようにして製造することができる。
(第1のカチオン層20の形成工程)
以下、第1のカチオン層20の形成について説明する。
第2のカチオン層20は、アニオン性基11を表面に有するシリカ粒子1上に、カチオン性重合性界面活性剤2、2’を重合することにより形成される(第2のカチオン層20形成工程)。
まず、前述の第1実施形態と同様に、シリカ粒子1が水等の水系分散媒に分散した水性分散液を用意する。
次に、この水性分散液中に、前述したカチオン性重合性界面活性剤を添加する。
このとき、図4(a)に示すように、カチオン性重合性界面活性剤2のカチオン性基21がシリカ粒子1のアニオン性基11に向くように配置され、イオン性の強い結合で吸着する。さらに、カチオン性重合性界面活性剤2’の疎水性基22’と重合性基23’が、カチオン性重合性界面活性剤2の疎水性基22と重合性基23との疎水性相互作用によって吸着し、カチオン性重合性界面活性剤2’のカチオン性基21’が、水系分散媒の存在する方向、すなわちシリカ粒子1から離れる方向に向くよう配置される。
この状態に、前述した第1実施形態で挙げたような重合開始剤を添加するなどして、隣接するカチオン性重合性界面活性剤2、2’の重合性基23、23’同士を重合させることによって、図4(b)に示すように、シリカ粒子1の表面にカチオン層20が形成される。これにより、第1のカチオン層20により被覆されたシリカ粒子1が分散した第1の分散液が得られる。
本工程における、水性分散液に加えるカチオン性重合性界面活性剤の添加量は、水性分散液中のシリカ粒子表面のアニオン性基の総モル数に対して、2.0〜2.5倍molの範囲が好ましく、より好ましくは、2.0〜2.2倍molの範囲である。これにより、アニオン性基を有するシリカ粒子にイオン的に強く結合し、容易にカプセル化が可能となる。
(アニオン層30の形成工程)
次に、上記のようにして形成された第1のカチオン層20上に、アニオン層30を積層する(アニオン層30形成工程)。
アニオン層30は、カチオン層20上に、アニオン性重合性界面活性剤3、3’を重合することにより形成される。
まず、前述のようにして得られた、アニオン層30により被覆されたシリカ粒子1が分散した第1の分散液中に、前述したようなアニオン性重合性界面活性剤を添加する。
このとき、図4(c)に示すように、アニオン性重合性界面活性剤3のアニオン性基31がカチオン層20のカチオン性基21’に向くように配置され、イオン性の強い結合で吸着する。さらにアニオン性重合性界面活性剤3’の疎水性基32’と重合性基33’が、アニオン性重合性界面活性剤3の疎水性基32と重合性基33との疎水性相互作用によって吸着し、アニオン性重合性界面活性剤3’のアニオン性基31’が、水系分散媒の存在する方向、すなわちシリカ粒子1から離れる方向に向くよう配置される。
この状態に例えば重合開始剤を添加するなどして、隣接するアニオン性重合性界面活性剤3、3’の重合性基33、33’同士を重合させることによって、図5(d)に示すように、第1のカチオン層20上にアニオン層30が積層される。これにより、第1のカチオン層20とアニオン層とにより被覆されたシリカ粒子1が分散した第2の分散液が得られる。
本工程における、第1の分散液に加えるアニオン性重合性界面活性剤の添加量は、添加したカチオン性重合性界面活性剤に対して、1.0〜10倍molの範囲が好ましく、より好ましくは、1.0〜5.0倍molの範囲である。これにより、シリカ粒子に未吸着のアニオン性重合性界面活性剤の発生を少なくするとともに、確実にアニオン層を形成することができる。
(第2のカチオン層の形成工程)
得られた第2の分散液に、第1のカチオン層20の形成と同様の処理を施すことにより、アニオン層30上に第2のカチオン層40が形成される。
すなわち、前述のようにして得られた第2の分散液中に、前述したようなカチオン性重合性界面活性剤4、4’を添加する。
このとき、図5(e)に示すように、カチオン性重合性界面活性剤4のカチオン性基41がアニオン層30のアニオン性基31’に向くように配置され、イオン性の強い結合で吸着する。さらに、カチオン性重合性界面活性剤4’の疎水性基42’と重合性基43’が、カチオン性重合性界面活性剤4の疎水性基42と重合性基43との疎水性相互作用によって吸着し、カチオン性重合性界面活性剤4’のカチオン性基41’が、水系分散媒の存在する方向、すなわちシリカ粒子1から離れる方向に向くよう配置される。
この状態に、前述した第1のカチオン層20の形成と同様に、重合開始剤を添加するなどして、隣接するカチオン性重合性界面活性剤4、4’の重合性基43、43’同士を重合させることによって、アニオン層30上に第2のカチオン層40が積層され、膜50が形成される。これにより、図3に示すように、シリカ粒子1の表面に膜200’が形成された正帯電性カプセル化シリカ100’が分散した分散液が得られる。
本工程における、第2の分散液に加えるカチオン性重合性界面活性剤の添加量は、前工程において添加したアニオン性重合性界面活性剤に対して、1.0〜10倍molの範囲が好ましく、より好ましくは、1.0〜5.0倍molの範囲である。これにより、シリカ粒子に未吸着のカチオン性重合性界面活性剤の発生を少なくするとともに、確実に第2のカチオン層を形成することができる。
得られた分散液は、前述した第1実施形態と同様に、噴霧乾燥や濾別乾燥等により単離され、後述するトナーに適用される。
なお、前述した第1実施形態と同様に、各層の形成工程において、各重合性界面活性剤の他に、前述したようなコモノマー、疎水性モノマー、架橋性モノマー等を添加してもよい。
また、前述したアニオン層形成工程および第2のカチオン層形成工程を繰り返し行ってもよい。これにより、正帯電性カプセル化シリカの粒径を任意に調整することができる。その結果、好適な粒径の正帯電性カプセル化シリカを得ることができる。また、正帯電性カプセル化シリカの耐湿性(環境安定性)を向上させることができる。
《トナー》
次に、前述したような本発明の正帯電性カプセル化シリカを外添剤として付与したトナーについて説明する。
トナーは、少なくとも、前述した外添剤としての正帯電性カプセル化シリカと、トナー粒子とで構成されている。
トナー粒子は、少なくとも、主成分としての結着樹脂(以下、単に「樹脂」ともいう)を含むものである。
<トナー粒子の構成材料(トナー構成材料)>
まず、トナー粒子を構成する材料について説明する。
1.樹脂(バインダー樹脂)
本発明においては、樹脂(バインダー樹脂)は、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂等が挙げられる。これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
樹脂(樹脂材料)の軟化温度は、特に限定されないが、50〜130℃であるのが好ましく、50〜120℃であるのがより好ましく、60〜115℃であるのがさらに好ましい。なお、本明細書で、軟化温度とは、高化式フローテスター(島津製作所製)における測定条件:昇温速度:5℃/min、ダイ穴径1.0mmで規定される軟化開始温度のことを指す。
2.着色剤
また、トナー粒子は、前述した樹脂材料の他に、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、例えば、顔料、染料等を使用することができる。このような顔料、染料としては、例えば、カーボンブラック、スピリットブラック、ランプブラック(C.I.No.77266)、マグネタイト、チタンブラック、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、キノリンイエロー、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、カルコオイルブルー、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ファイナルイエローグリーンG、ローダミン6G、キナクリドン、ローズベンガル(C.I.No.45432)、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー5:1、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー162、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、金属錯塩染料、シリカ、酸化アルミニウム、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、トナー粒子中には、ワックスが含まれていてもよい。ワックスは、通常、離型性を向上させる目的で用いられるものである。このようなワックスとしては、例えば、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、綿ロウ、木ロウ等の植物系ワックス・ロウ、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス・ロウ、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス・ロウ、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油ワックス・ロウ等の天然ワックス・ロウや、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス(ポリエチレン樹脂)、ポリプロピレンワックス(ポリプロピレン樹脂)、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス・ロウ等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、ワックスとしては、さらに低分子量の結晶性高分子樹脂を使用してもよく、例えば、ポリn−ステアリルメタクリレート、ポリn−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等を使用することもできる。
トナー中におけるワックスの含有量は、特に限定されないが、1.0wt%以下であるのが好ましく、0.5wt%以下であるのがより好ましい。ワックスの含有量が多すぎると、最終的に得られるトナー粒子中において、ワックスが遊離、粗大化して、トナー粒子表面へのワックスのしみ出し等が顕著に起こり、トナーの転写効率が低下する傾向を示す。
ワックスの軟化点は、特に限定されないが、50〜180℃であるのが好ましく、60〜160℃であるのがより好ましい。
また、本発明のトナーは、構成材料としてこれら以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、帯電制御剤、磁性粉末等が挙げられる。
帯電制御剤としては、例えば、安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、ステアリン酸金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、ニグロシン染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩素化ポリエステル、ニトロフミン酸等が挙げられる。
磁性粉末としては、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料で構成されたもの等が挙げられる。
また、トナー中には、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等が含まれていてもよい。
<トナーの製造方法>
次に、本発明の正帯電性カプセル化シリカを適用したトナーの製造方法の好適な実施形態について説明する。
図6は、混練物を製造するための混練機、冷却機の構成の一例を模式的に示す縦断面図である。
以下の説明では、樹脂材料と着色剤とを含む混練物K7を用いてトナーを製造する場合について説明する。
混練物K7は、例えば、図6に示すような装置を用いて製造することができる。
(混練工程)
混練に供される原料K5は、前述したような成分を含むものである。特に、着色剤を含む場合、着色剤が空気を抱き込みやすいから、組成物中に空気が残存することが起こりやすいが、本工程で混練することにより、原料K5中に含まれる空気(特に着色剤が抱き込んだ空気)を効率よく除去することができ、トナー粒子の内部に気泡が混入(残存)するのを効果的に防止することができる。
混練に供される原料K5は、これらの各成分が予め混合されたものであるのが好ましい。
本実施形態では、混練機として、2軸混練押出機を用いる構成について説明する。
混練機K1は、原料K5を搬送しつつ混練するプロセス部K2と、混練された原料(混練物K7)を所定の断面形状に形成して押し出すヘッド部K3と、プロセス部K2内に原料K5を供給するフィーダーK4とを有している。
プロセス部K2は、バレルK21と、バレルK21内に挿入されたスクリューK22、スクリューK23と、バレルK21の先端にヘッド部K3を固定するための固定部材K24とを有している。
プロセス部K2では、スクリューK22、スクリューK23が、回転することにより、フィーダーK4から供給された原料K5に剪断力が加えられ、均一な混練物K7が得られる。
プロセス部K2の全長は、50〜300cmであるのが好ましく、100〜250cmであるのがより好ましい。プロセス部K2の全長が前記下限値未満であると、原料K5中の各成分を十分均一に混ぜ合わせることが困難となる可能性がある。一方、プロセス部K2の全長が前記上限値を超えると、プロセス部K2内の温度、スクリューK22、スクリューK23の回転数等によっては、熱による原料K5の変性が起こり易くなり、最終的に得られるトナーの物性を十分に制御するのが困難になる可能性がある。
また、混練時の原料温度は、原料K5の組成等により異なるが、80〜260℃であるのが好ましく、90〜230℃であるのがより好ましい。なお、プロセス部K2内での原料温度は、均一であっても、部位により異なるものであってもよい。例えば、プロセス部K2は、設定温度の比較的低い第1の領域と、該第1の領域より基端側に設けられ、かつ、その設定温度が第1の領域より高い第2の領域とを有するようなものであってもよい。
また、原料K5のプロセス部K2での滞留時間(通過に要する時間)は、0.5〜12分であるのが好ましく、1〜7分であるのがより好ましい。プロセス部K2での滞留時間が、前記下限値未満であると、原料K5中の各成分を十分均一に混ぜ合わせることが困難となる可能性がある。一方、プロセス部K2での滞留時間が、前記上限値を超えると、生産効率が低下し、また、プロセス部K2内の温度、スクリューK22、スクリューK23の回転数等によっては、熱による原料K5の変性が起こり易くなり、最終的に得られるトナーの物性を十分に制御するのが困難になる可能性がある。
スクリューK22、スクリューK23の回転数は、バインダー樹脂の組成等により異なるが、50〜600rpmであるのが好ましい。スクリューK22、スクリューK23の回転数が、前記下限値未満であると、原料K5中の各成分を十分均一に混ぜ合わせることが困難となる可能性がある。一方、スクリューK22、スクリューK23の回転数が、前記上限値を超えると、剪断により、樹脂の分子鎖が切断され、樹脂の特性が劣化する場合がある。
また、本実施形態で用いる混練機K1では、プロセス部K2の内部は、脱気口K25を介して、ポンプPに接続されている。これにより、プロセス部K2の内部を脱気することができ、原料K5(混練物K7)が加熱されたり、発熱すること等によるプロセス部K2内の圧力の上昇を防止することができる。その結果、混練工程を安全かつ効率よく行うことができる。また、プロセス部K2の内部が脱気口K25を介してポンプPに接続されていることにより、得られる混練物K7中に気泡(特に、比較的大きな気泡)が含まれるのを効果的に防止することができ、最終的に得られるトナーの特性をより優れたものとすることができる。
(押出工程)
プロセス部K2で混練された混練物K7は、スクリューK22とスクリューK23との回転により、ヘッド部K3を介して、混練機K1の外部に押し出される。
ヘッド部K3は、プロセス部K2から混練物K7が送り込まれる内部空間K31と、混練物K7が押し出される押出口K32とを有している。
内部空間K31内での混練物K7の温度(少なくとも押出口K32付近での温度)は、特に限定されないが、原料K5中に含まれる樹脂材料の軟化温度以上の温度であるのが好ましい。これにより、トナー粒子を各構成成分がより均一に混ざり合ったものとして得ることができ、各トナー粒子間での特性(帯電特性、定着性等)のばらつきを特に小さくすることができる。
内部空間K31内での混練物K7の具体的な温度(少なくとも押出口K32付近での温度)は、特に限定されないが、80〜150℃であるのが好ましく、90〜140℃であるのがより好ましい。内部空間K31内での混練物K7の温度が上記範囲内の値であると、混練物K7が内部空間K31で固化せず、押出口K32から押し出しやすくなる。
図示の構成では、内部空間K31は、押出口K32の方向に向って、その横断面積が漸減する横断面積漸減部K33を有している。このような横断面積漸減部K33を有することにより、押出口K32から押し出される混練物K7の押出量が安定し、また、後述する冷却工程における混練物K7の冷却速度が安定する。その結果、これを用いて製造されるトナーは、各トナー粒子間での特性のばらつきが小さいものとなり、全体としての特性に優れたものになる。
(冷却工程)
ヘッド部K3の押出口K32から押し出された軟化した状態の混練物K7は、冷却機K6により冷却され、固化する。
冷却機K6は、ロールK61、K62、K63、K64と、ベルトK65、K66とを有している。
ベルトK65は、ロールK61とロールK62とに巻掛けられている。同様に、ベルトK66は、ロールK63とロールK64とに巻掛けられている。
ロールK61、K62、K63、K64は、それぞれ、回転軸K611、K621、K631、K641を中心として、図中e、f、g、hで示す方向に回転する。これにより、混練機K1の押出口K32から押し出された混練物K7は、ベルトK65−ベルトK66間に導入される。ベルトK65−ベルトK66間に導入された混練物K7は、ほぼ均一な厚さの板状となるように成形されつつ、冷却される。冷却された混練物K7は、排出部K67から排出される。ベルトK65、K66は、例えば、水冷、空冷等の方法により、冷却されている。冷却機として、このようなベルト式のものを用いると、混練機から押し出された混練物と、冷却体(ベルト)との接触時間を長くすることができ、混練物の冷却の効率を特に優れたものとすることができる。
ところで、混練工程では、原料K5に剪断力が加わっているため、相分離(特に、マクロ相分離)等が十分防止されているが、混練工程を終えた混練物K7は、剪断力が加わらなくなるので、混練物の構成材料によっては、長期間放置しておくと再び相分離(マクロ相分離)等を起こしてしまう可能性がある。従って、上記のようにして得られた混練物K7は、できるだけ早く冷却するのが好ましい。具体的には、混練物K7の冷却速度(例えば、混練物K7が60℃程度まで冷却される際の冷却速度)は、−3℃/秒以上であるが好ましく、−5〜−100℃/秒であるのがより好ましい。また、混練工程の終了時(剪断力が加わらなくなった時点)から冷却工程が完了するまでに要する時間(例えば、混練物K7の温度を60℃以下に冷却するのに要する時間)は、20秒以下であるのが好ましく、3〜12秒であるのがより好ましい。
本実施形態では、混練機として、連続式の2軸混練押出機を用いる構成について説明したが、原料の混練に用いる混練機はこれに限定されない。原料の混練には、例えば、ニーダーやバッチ式の三軸ロール、連続2軸ロール、ホイールミキサー、ブレード型ミキサー等の各種混練機を用いることができる。
また、図示の構成では、スクリューを2本有する構成の混練機について説明したが、スクリューは1本であってもよいし、3本以上であってもよい。また、混練装置にディスク(ニーディングディスク)部があってもよい。
また、本実施形態では、1つの混練機を用いる構成について説明したが、2つの混練機を用いて混練してもよい。この場合、一方の混練機と、他方の混練機とで、原料の加熱温度、スクリューの回転速度等が異なっていてもよい。
また、本実施形態では、冷却機として、ベルト式のものを用いた構成について説明したが、例えば、ロール式(冷却ロール式)の冷却機を用いてもよい。また、混練機の押出口K32から押し出された混練物の冷却は、前記のような冷却機を用いたものに限定されず、例えば、空冷等により行うものであってもよい。
(粉砕工程)
まず、上述したような冷却工程を経た混練物K7を粉砕し、トナー製造用粉末を得る。
粉砕の方法は、特に限定されず、例えばボールミル、振動ミル、ジェットミル、ピンミル等の各種粉砕装置、破砕装置を用いて行うことができる。
粉砕の工程は、複数回(例えば、粗粉砕工程と微粉砕工程との2段階)に分けて行ってもよい。
また、このような粉砕工程の後、必要に応じて、分級処理、熱球形化処理等の処理を行ってもよい。
分級処理には、例えば、ふるい、気流式分級機等を用いることができる。
(外添工程(外添処理))
次に、得られたトナー製造用粉末に外添剤として、前述したような本発明の正帯電性カプセル化シリカを付与する。
これにより、本発明の正帯電性カプセル化シリカを適用したトナー(本発明のトナー)が得られる。本発明の正帯電性カプセル化シリカは、前述したようにマイクロキャリアとしての機能に特に優れていることから、得られるトナーは、逆帯電性のトナー粒子の発生が防止され、均一に負に帯電し易いものとなる。また、従来の正帯電性シリカを添加した場合と比較して、本発明の正帯電性カプセル化シリカは耐湿性が高いので、トナーの環境特性(特に、耐湿性)をより高いものとすることができる。
トナー中に含まれる正帯電性カプセル化シリカの含有量は、トナー粒子(トナー製造用粉末)100重量部に対し、0.1〜5.0重量部であるのが好ましく、0.3〜1.0重量部であるのがより好ましい。これにより、逆帯電のトナー粒子の発生を効率良く防止することができる。
また、外添処理に用いられる外添剤としては、前述した正帯電性カプセル化シリカの他に、例えば、負帯電性シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、チタニア、酸化亜鉛、アルミナ、マグネタイト等の金属酸化物、窒化珪素等の窒化物、炭化珪素等の炭化物、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、脂肪族金属塩等の無機材料で構成された微粒子、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、脂肪族金属塩等の有機材料で構成された微粒子やこれらの複合物で構成された微粒子等が挙げられる。
また、外添剤としては、上記のような微粒子の表面に、HMDS、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、フッ素含有シラン系カップリング剤、シリコーンオイル等により表面処理を施したものを用いてもよい。
以上のようにして製造されるトナーは、均一な形状を有し、粒度分布のシャープな(幅の小さい)ものである。
以上のようにして得られるトナーの体積基準の平均粒径は、2〜20μmであるのが好ましく、4〜15μmであるのがより好ましい。トナーの平均粒径が前記下限値未満であると、静電潜像担持体(例えば、感光体等)表面への付着力が大きくなり、結果として、転写残トナーの増加を招く場合がある。一方、トナーの平均粒径が前記上限値を超えると、トナーを用いて形成される画像の輪郭部分、特に文字画像やライトパターンの現像での再現性が低下する。
また、トナーは、各粒子間での粒径の標準偏差が1.5μm以下であるのが好ましく、1.3μm以下であるのがより好ましく、1.0μm以下であるのがさらに好ましい。各粒子間での粒径の標準偏差が1.5μm以下であると、帯電特性、定着特性等のバラツキが特に小さくなり、トナー全体としての、信頼性がさらに向上する。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、混練物を粉砕することにより、トナーを得るものとして説明したが、これに限定されず、例えば、乳化重合法を用いて製造されるものであってもよい。
[1]トナーの製造
(実施例1)
<正帯電性カプセル化シリカの製造>
トナーの製造に先立ち、以下のようにして正帯電性カプセル化シリカを製造した。
まず、アニオン性基を表面に有するシリカ粒子(日本触媒社製:商品名「シーホスターKE P−10」、比表面積:200m/g、表面のアニオン性基の量:0.12mmol/g)を用意した。なお、シリカ粒子の体積基準の平均粒径は、80nmであった。
このシリカ粒子:100重量部をイオン交換水:500重量部に分散した水性分散液に、カチオン性重合性界面活性剤としてメタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライドを1.25重量部添加して混合した後、超音波を15分間照射して処理した。
次に、ベンジルメタクリレート12重量部、ドデシルメタクリレート8重量部を混合して加え攪拌混合し、さらにメタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライドを1.50重量部添加して再び超音波を30分間照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管および超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水20gに重合開始剤と2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.6gを溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩水溶液を滴下し、窒素導入しながら、80℃で6時間重合した。重合終了後、クエン酸二ナトリウムでpH6前後に調整し、孔径1μmのメンブレンフィルターで濾過し、粗大粒子を除去して目的の正帯電性カプセル化シリカの分散液を得た。
得られた分散液をリーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150を用いて体積基準の平均粒径を測定したところ、85nmであった。
これを遠心分離、常温乾燥して粉状の正帯電性カプセル化シリカ粉末を得た。
<トナーの製造>
まず、スチレン−アクリル共重合樹脂(積水化学工業(株)製:商品名「エスレックP、グレードSE−0040」):60重量部、フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3):40重量部でフラッシング法を用いて混合した。これを直径2mm程度に粗粉砕し顔料マスターバッチとした。
次に、スチレン−アクリル共重合樹脂(積水化学工業(株)製:商品名「エスレックP、グレードSE−0040」):100重量部、顔料マスターバッチ:10重量部、帯電制御剤粒子としてのジ−tert−ブチルサリチル酸亜鉛(オリヱント化学工業社製:商品名「ボントロンE−84」):1重量部、ワックスとしてカルナウバワックス(分子量850):3重量部を用意した。
これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を、2軸混練押出機(東芝機械社製、TEM−41型)を用いて、混練温度を120℃として混練した。
このようにして2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を、冷却機を用いて、冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕(平均粒径:1〜2mm)し、引き続き微粉砕した。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用い、微粉砕にはジェットミル(ホソカワミクロン社製、200AFG)を用いた。なお、微粉砕は、粉砕エア圧:500[kPa]、ロータ回転数:7000[rpm]で行った。
このようにして得られた粉砕物を気流分流機(ホソカワミクロン社製、100ATP)で分級した。
得られた分級品:100重量部に対して、上記のようにして得られた正帯電性カプセル化シリカ:0.5重量部と、大粒径負帯電性シリカ(日本アエロジル社製:商品名「負帯電性シリカRX200」):1重量部と、小粒径負帯電性シリカ(日本アエロジル社製:商品名「負帯電性シリカRX50」):0.5重量部とを添加し、ヘンシェルミキサーにて混合撹拌して、最終的なトナーを得た。最終的に得られたトナーは、体積基準の平均粒径が、7.5μmであった。
(実施例2)
正帯電性カプセル化シリカの製造において、アニオン性基を表面に有するシリカ粒子として、シーホスターKE P−30(日本触媒社製、比表面積:50m/g、表面のアニオン性基の量:0.12mmol/g)を用い、トナーの製造において、正帯電性カプセル化シリカの添加量を0.2重量部、大粒径負帯電性シリカの添加量を1.2重量部、小粒径負帯電性シリカの添加量を0.3重量部とした以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。なお、シリカ粒子の体積基準の平均粒径は、280nm、得られた正帯電性カプセル化シリカの体積基準の平均粒径は、290nmであった。
(実施例3)
<正帯電性カプセル化シリカの製造>
トナーの製造に先立ち、以下のようにして正帯電性カプセル化シリカを製造した。
まず、アニオン性基を表面に有するシリカ粒子(日本触媒社製:商品名「シーホスターKE P−10」、比表面積:200m/g、表面のアニオン性基の量:0.12mmol/g)を用意した。なお、シリカ粒子の体積基準の平均粒径は、80nmであった。
次に、ベンジルメタクリレート12重量部、ドデシルメタクリレート8重量部を混合して加え攪拌混合し、さらにメタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライドを1.50重量部添加して再び超音波を30分間照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管および超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水20gに重合開始剤と2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.6gを溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩水溶液を滴下し、窒素導入しながら、80℃で6時間重合した。重合終了後、クエン酸二ナトリウムでpH6前後に調整し、孔径1μmのメンブレンフィルターで濾過し、粗大粒子を除去して、第1の分散液を得た。
さらに、得られた第1の分散液中の粒子15重量部に対し、アニオン性重合性界面活性剤としてアクアロンKH−10を6重量部添加して混合した後、超音波を15分照射した。次いで、アクアロンKH−10を3重量部とイオン交換水20重量部を添加して混合し、再び超音波を30分間照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水10重量部に重合開始として過硫酸カリウム0.03重量部を溶解した過硫酸カリウム水溶液を滴下し、窒素を導入しながら、80℃で6時間重合した。重合終了後、pHを8に調整し、限外濾過で未反応物を除去することにより、第2の分散液を得た。
次に、得られた第2の分散液に、第2の分散液中の分散粒子100重量部に対し、カチオン性重合性界面活性剤としてメタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライドを1.75重量部添加して混合した後、超音波を15分間照射した。次いで、ベンジルメタクリレート18重量部、ドデシルメタクリレート12重量部を混合して加え攪拌混合し、さらにメタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライドを2.25重量部添加して再び超音波を30分間照射した。これを攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管及び超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水20重量部に重合開始として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ニ塩酸塩0.6重量部を溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ニ塩酸塩水溶液を滴下し、窒素を導入しながら、80℃で6時間重合した。重合終了後、クエン酸ニナトリウムでpH6前後に調整し、限外濾過を行い、正帯電性カプセル化シリカの分散液を得た。
得られた分散液をリーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150を用いて体積基準の平均粒径を測定したところ、105nmであった。
これを遠心分離、常温乾燥して粉状の正帯電性カプセル化シリカ粉末を得た。
<トナーの製造>
まず、スチレン−アクリル共重合樹脂(積水化学工業(株)製:商品名「エスレックP、グレードSE−0040」):60重量部、フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3):40重量部でフラッシング法を用いて混合した。これを直径2mm程度に粗粉砕し顔料マスターバッチとした。
次に、スチレン−アクリル共重合樹脂(積水化学工業(株)製:商品名「エスレックP、グレードSE−0040」):100重量部、顔料マスターバッチ:10重量部、帯電制御剤粒子としてのジ−tert−ブチルサリチル酸亜鉛(オリヱント化学工業社製:商品名「ボントロンE−84」):1重量部、ワックスとしてカルナウバワックス(分子量850):3重量部を用意した。
これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を、2軸混練押出機(東芝機械社製、TEM−41型)を用いて、混練温度を120℃として混練した。
このようにして2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を、冷却機を用いて、冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕(平均粒径:1〜2mm)し、引き続き微粉砕した。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用い、微粉砕にはジェットミル(ホソカワミクロン社製、200AFG)を用いた。なお、微粉砕は、粉砕エア圧:500[kPa]、ロータ回転数:7000[rpm]で行った。
このようにして得られた粉砕物を気流分流機(ホソカワミクロン社製、100ATP)で分級した。
得られた分級品:100重量部に対して、上記のようにして得られた正帯電性カプセル化シリカ:0.2重量部と、大粒径負帯電性シリカ(日本アエロジル社製:商品名「負帯電性シリカRX200」):1.2重量部と、小粒径負帯電性シリカ(日本アエロジル社製:商品名「負帯電性シリカRX50」):0.3重量部とを添加し、ヘンシェルミキサーにて混合撹拌して、最終的なトナーを得た。最終的に得られたトナーは、体積基準の平均粒径が、7.5μmであった。
(比較例1)
シリカ粒子をマイクロカプセル化せずに、以下のようにして、シリカ粒子をアミノシラン処理したものを外添剤として用いた以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
<アミノシラン化シリカ(正帯電性シリカ)の製造>
シリカ粒子(日本アエロジル社製:商品名「AEROSIL50」)10重量部を、イオン交換水100重量部に分散した分散液を用意する。
この分散液に、アミノシラン(東京化成工業社製:商品名「アミノシランA0876」)の10%水溶液を1重量部滴下した。
滴下終了後、1時間静置し上澄液を傾潟により除去した後、得られた分散液を乾燥し、アミノシラン化シリカを得た。
(比較例2)
カプセル化せずに、シリカ粒子(日本触媒社製:商品名「シーホスターKE P−10」)をそのまま外添剤として用いた以外は、前記実施例1と同様にしてトナーを製造した。
[2]評価
上記のようにして得られた各トナーについて、帯電均一性、かぶり、定着強度の評価を行った。
[2.1]帯電均一性
各実施例および各比較例で得られたトナーを、それぞれカラーレーザープリンタ(セイコーエプソン社製、LP−9300C)の現像器に投入した。同機の現像器のトナー規制ブレードを、所定量のトナー(0.65mg/cm)が現像ローラから感光体に供給されるように調整し、LP9300を運転した。
トナー規制ブレードに規制され、感光体に搬送されるトナーの帯電量を、現像ローラ上のトナーを分析することによって評価した。帯電量は、ホソカワミクロン(株)製のE−SPARTアナライザーによって測定した。測定条件は、吸引流量0.2リットル/分、集塵エアー流量0.6リットル/分、吹き付け窒素ガス圧0.02Mpaとし、トナー1個ごとの帯電量(Q/m)を測定して、3000個のトナーカウントで帯電量分布を求めた。
トナーの帯電量の均一性は、トナー1個あたりの帯電量の個数分布において、最大頻度の帯電量(Q/m)と測定したトナーの総帯電量を測定カウント(個数)で除した値(Q/m)との差の絶対値が小さいほど、帯電量の分布は均一であり、絶対値が大きいほど不均一である。
[2.2]かぶり評価
富士ゼロックスオフィスサプライ(株)製普通紙(商品名J)に、住友スリーエム(株)製メンディングテープを、貼り付ける。このテープの色彩をミノルタ(株)製色彩色差計CR−221で測定する(これを基準値とする)。
カラーレーザープリンタ(セイコーエプソン社製、LP−3000C)を用い、評価するトナーを現像機にいれ、全面白(べた白)を印字する。印字中にプリンタの動作を停止させ、感光体を取り出す。感光体と転写ベルトの接する点(転写ニップ)と現像ローラと感光体の近接する点(現像ニップ)の領域に、メンディングテープを貼り付け、かぶりトナーを付着させ、これをJ紙に貼り付ける。このテープと基準値との色差を測定する。色差が小さいほど、かぶりが少ないことを意味する。
上記方法を用いて、室温(25℃、45%RH)条件下における初期のかぶり(100枚印字時)および長期使用後のかぶり(3000枚印字時)、また、高温高湿(30℃、70%RH)条件下における初期のかぶりを測定した。
これらの結果を表1に示した。
Figure 2007121664
表1から明らかなように、実施例1〜3のトナーは、いずれも、帯電均一性、かぶりに優れたものであった。また、実施例1〜3のトナーは、環境特性に優れていた。これに対して、比較例のトナーは、いずれも、帯電均一性、かぶりに劣っていた。また、比較例のトナーは、環境安定性に劣っていた。これは、添加した正帯電性シリカの環境安定性が低いためであると考えられる。
本発明の正帯電性カプセル化シリカの第1実施形態を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る正帯電性カプセル化シリカの製造工程を示す図である。 本発明の正帯電性カプセル化シリカの第2実施形態を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る正帯電性カプセル化シリカの製造工程を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る正帯電性カプセル化シリカの製造工程を示す図である。 本発明のトナーの製造方法に用いる混練機、冷却機の構成の一例を模式的に示す縦断面図である。
符号の説明
K1…混練機 K2…プロセス部 K21…バレル K22、K23…スクリュー K24…固定部材 K25…脱気口 K3…ヘッド部 K31…内部空間 K32…押出口 K33…横断面積漸減部 K4…フィーダー K5…原料 K6…冷却機 K61、K62、K63、K64…ロール K611、K621、K631、K641…回転軸 K65、K66…ベルト K67…排出部 K7…混練物 100、100’…正帯電性カプセル化シリカ 1…シリカ粒子 11…アニオン性基 2、2’…カチオン性重合性界面活性剤 20…第1のカチオン層 21、21’…カチオン性基 22、22’…疎水性基 23、23’…重合性基 3、3’…アニオン性重合性界面活性剤 31、31’…アニオン性基 32、32’…疎水性基 33、33’…重合性基 30…アニオン層 4、4’…カチオン性重合性界面活性剤 40…第2のカチオン層 41、41’…カチオン性基 42、42’…疎水性基 43、43’…重合性基 200、200’…膜

Claims (6)

  1. トナーに添加する外添剤としての正帯電性カプセル化シリカであって、
    表面にアニオン性基を有するシリカ粒子が、少なくとも、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤から誘導された第1のカチオン層で構成された膜により被覆されたものであり、
    前記膜は、前記シリカ粒子とは反対側に、前記カチオン性重合性界面活性剤由来のカチオン性基を有することを特徴とする正帯電性カプセル化シリカ。
  2. 正帯電性カプセル化シリカの平均粒径は、80〜350nmである請求項1に記載の正帯電性カプセル化シリカ。
  3. 前記膜は、前記第1のカチオン層上に、少なくも、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤から誘導されたアニオン層と、前記カチオン性重合性界面活性剤から誘導された第2のカチオン層とを積層したものである請求項1または2に記載の正帯電性カプセル化シリカ。
  4. 請求項1または2に記載の正帯電性カプセル化シリカの製造方法であって、
    前記シリカ粒子の分散液に、前記カチオン性重合性界面活性剤を加えて混合し、混合液を得る工程と、
    前記混合液に、重合開始剤を加えて重合する工程とを有することを特徴とする正帯電性カプセル化シリカの製造方法。
  5. 請求項1ないし3のいずれかに記載の正帯電性カプセル化シリカの製造方法であって、
    前記シリカ粒子上に、前記カチオン性重合性界面活性剤を重合することにより、第1のカチオン層を形成する工程と、
    前記カチオン層上に、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤を重合することにより、アニオン層を積層し、該アニオン層上に、前記カチオン性重合性界面活性剤を重合することにより、第2のカチオン層を積層する積層工程とを有することを特徴とする正帯電性カプセル化シリカの製造方法。
  6. 請求項1ないし3のいずれかに記載の正帯電性カプセル化シリカを外添剤として付与したことを特徴とするトナー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019078802A (ja) * 2017-10-20 2019-05-23 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 正帯電性トナー及びその製造方法

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