JP2006309035A - トナー - Google Patents

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Toshiyuki Miyabayashi
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Abstract

【課題】帯電特性、定着特性に優れたトナーを提供すること。
【解決手段】本発明のトナーは、少なくとも、結着樹脂と、着色剤とを含むトナーであって、前記着色剤は、アニオン性基を表面に有する顔料粒子が、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーにより被覆されたものであることを特徴とする。前記着色剤は、前記アニオン性基を表面に有する顔料粒子が分散された水性分散液中で、前記カチオン性重合性界面活性剤を重合することにより、前記顔料粒子をポリマーで被覆してなる。前記ポリマーが、疎水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位をさらに有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、トナーに関するものである。
電子写真法としては、多数の方法が知られているが、一般には、光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成する工程(露光工程)と、該潜像をトナーを用いて現像する現像工程と、紙等の転写材にトナー画像を転写する転写工程と、定着ローラを用いた加熱、加圧等により、前記トナー画像を定着する工程とを有している。
トナーは、一般に、結着樹脂と着色剤とを含んでいる。
このようなトナーの製造方法としては、粉砕法、重合法が用いられている。
粉砕法は、主成分である結着樹脂(バインダー樹脂)と、着色剤とを含む原料を混練して混練物を得、その後、前記混練物を冷却、粉砕する方法である(例えば、非特許文献1参照)。このような粉砕法は、原料の選択の幅が広く、比較的容易にトナーを製造することができる点で優れている。
重合法は、結着樹脂の構成成分である単量体を用いて、液相中等で、重合反応を行い、目的とする結着樹脂を生成することにより、トナー粒子を製造するものである(例えば、特許文献1参照)。このような重合法は、得られるトナー粒子の形状を、比較的真球度の高いもの(幾何学的に完全な球形に近い形状)にすることができるという点で優れている。
一般に、トナーは、電気的に帯電させることにより前記現像工程に供されるが、従来のトナーでは、帯電量を安定化させるのが難しく、かぶり等の問題が生じやすかった。また、従来のトナーに含まれる着色剤は、記録媒体への親和性が低いため、含有量によっては、トナーの記録媒体への定着性を阻害するといった問題があった。
電子写真学会監修「電子写真の基礎と応用」コロナ社発行、1988年、p482−486 特開平6−332257号公報(第2頁28〜35行目)
本発明の目的は、帯電特性、定着特性に優れたトナーを提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のトナーは、少なくとも、結着樹脂と、着色剤とを含むトナーであって、
前記着色剤は、アニオン性基を表面に有する顔料粒子が、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーにより被覆されたものであることを特徴とする。
これにより、帯電特性、定着特性に優れたトナーを提供することができる。
本発明のトナーでは、前記着色剤は、前記アニオン性基を表面に有する顔料粒子が分散された水性分散液中で、前記カチオン性重合性界面活性剤を重合することにより、前記顔料粒子をポリマーで被覆してなるものであることが好ましい。
これにより、顔料粒子表面の電荷を、カチオン性重合性界面活性剤由来のカチオン性基によって確実に打ち消すことができ、トナー全体としての電気的安定性を得ることができる。
本発明のトナーでは、前記ポリマーが、疎水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位をさらに有することが好ましい。
これにより、着色剤の耐久性が向上し、例えば、トナーを製造する際に、顔料を被覆するポリマーの剥がれ等を効果的に防止することができる。
本発明のトナーでは、前記ポリマーが、架橋性モノマーから誘導された繰り返し構造単位および/または下記一般式(1)で表されるモノマーから誘導された繰り返し構造単位をさらに有することが好ましい。
Figure 2006309035
これにより、着色剤の耐久性が向上し、例えば、トナーを製造する際に、顔料を被覆するポリマーの剥がれ等を効果的に防止することができる。
本発明のトナーでは、前記顔料粒子を構成する顔料が、カーボンブラックであることが好ましい。
カーボンブラックは、トナーの帯電特性や定着特性を阻害する傾向が強いが、マイクロカプセル化したものを用いることにより、トナーの帯電特性や定着特性を阻害するのを防止することができる。
本発明のトナーでは、前記顔料粒子のアニオン性基が、スルホン酸アニオン基(−SO )および/またはスルフィン酸アニオン基(−RSO :RはC〜C12のアルキル基またはフェニル基およびその変性体)であることが好ましい。
これにより、帯電特性、定着特性に優れたトナーをより容易に提供することができる。
本発明のトナーでは、前記顔料粒子のアニオン性基が、カルボン酸アニオン基(−COO)であることが好ましい。
これにより、帯電特性、定着特性に優れたトナーをより容易に提供することができる。
本発明のトナーでは、前記カチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基が、第一級アミンカチオン、第二級アミンカチオン、第三級アミンカチオン、第四級アンモニウムカチオンからなる群から選択されたものであることが好ましい。
これにより、帯電特性、定着特性に優れたトナーをより容易に提供することができる。
本発明のトナーでは、前記カチオン性重合性界面活性剤の疎水性基が、アルキル基、アリール基およびこれらが組み合わされた基からなる群から選択されたものであることが好ましい。
これにより、帯電特性、定着特性に優れたトナーをより容易に提供することができる。
本発明のトナーでは、前記カチオン性重合性界面活性剤の重合性基が、ラジカル重合が可能な不飽和炭化水素基であって、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択されたものであることが好ましい。
これにより、帯電特性、定着特性に優れたトナーをより容易に提供することができる。
本発明のトナーでは、前記着色剤は、前記アニオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液に前記カチオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、重合開始剤を加えて乳化重合することにより得られることが好ましい。
これにより、顔料粒子表面の電荷を、カチオン性重合性界面活性剤由来のカチオン性基によって打ち消すことができ、トナー全体としての電気的安定性を得ることができる。
本発明のトナーでは、前記着色剤は、前記アニオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液に前記カチオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、疎水性モノマーおよびカチオン性重合性界面活性剤を加え乳化後、重合開始剤を加えて乳化重合することにより得られることが好ましい。
これにより、着色剤の耐久性を向上させることができるとともに、顔料粒子表面の電荷を、カチオン性重合性界面活性剤由来のカチオン性基によって打ち消すことができ、トナー全体としての電気的安定性を得ることができる。
本発明のトナーでは、前記着色剤は、前記アニオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液に前記カチオン性重合性界面活性剤を加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、疎水性モノマーを加えて混合する工程と、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤を加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、重合開始剤を加えて乳化重合する工程とを順に実施することにより得られることが好ましい。
これにより、顔料粒子表面の電荷を、カチオン性重合性界面活性剤由来のカチオン性基によってより確実に打ち消すことができ、トナー全体としての電気的安定性を得ることができる。
本発明のトナーでは、前記着色剤は、前記アニオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液にカチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤を加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、疎水性モノマーと架橋性モノマーおよび/または下記一般式(1)で表されるモノマーとを加えて混合する工程と、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤を加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、重合開始剤を加えて乳化重合する工程とを順に実施することにより得られることが好ましい。
Figure 2006309035
これにより、着色剤の耐久性をより効果的に向上させることができるとともに、顔料粒子表面の電荷を、カチオン性重合性界面活性剤由来のカチオン性基によってより確実に打ち消すことができ、トナー全体としての電気的安定性をより効果的に得ることができる。
本発明のトナーでは、帯電制御剤を含むことが好ましい。
着色剤と帯電制御剤とが接触することによって、帯電制御剤の機能が阻害されることがあるが、着色剤として、マイクロカプセル化顔料を用いることにより、最終的に得られるトナー中において、着色剤と帯電制御剤とを直接接触しない状態で存在させることができるため、最終的に得られるトナーは、優れた発色性を保持しつつ、帯電特性にも優れたものとなる。
以下、添付図面に基づいて、本発明のトナーの好適な実施形態を詳細に説明する。
図1および図3は、本発明のトナーに適用される着色剤の製造工程を示す図、図2および図4は、本発明のトナーに適用されるマイクロカプセル化顔料の一例を示す図である。
本発明のトナーは、少なくとも、主成分としての結着樹脂(以下、単に「樹脂」ともいう)と、着色剤とを含むものである。
<トナー粒子の構成材料>
1.樹脂(バインダー樹脂)
本発明においては、樹脂(バインダー樹脂)は、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂等が挙げられる。これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
樹脂(樹脂材料)の軟化温度は、特に限定されないが、50〜130℃であるのが好ましく、50〜120℃であるのがより好ましく、60〜115℃であるのがさらに好ましい。なお、本明細書で、軟化温度とは、高化式フローテスター(島津製作所製)における測定条件:昇温速度:5℃/min、ダイ穴径1.0mmで規定される軟化開始温度のことを指す。
2.着色剤
また、トナーは、着色剤を含んでいる。
本発明のトナーに用いられる着色剤は、アニオン性基を表面に有する顔料粒子が、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーにより被覆されたもの、すなわち、マイクロカプセル化された顔料(以下、単にマイクロカプセル化顔料とも言う)である。
図2に示すように、マイクロカプセル化顔料100は、顔料粒子1の表面にあるアニオン性基14と、後述するようなカチオン性重合性界面活性剤から誘導されるポリマー(ポリマー層)60のカチオン性基とがイオン的に結合した状態で、顔料粒子1がポリマー層60によって被覆されたものである。
ところで、一般に、トナーは、電気的に帯電させることにより前記現像工程に供されるが、従来のトナーでは、帯電量を安定化させるのが難しく、かぶり等の問題が生じやすかった。これは、着色剤として用いられる顔料は、その表面にアニオン性基を有しているものが多く、このような顔料は、トナーの電気的特性(帯電特性)を低下させてしまうものが多いため、トナーの帯電量を確実に制御するのに、樹脂等の選択等をしても十分に制御するのが困難であるためだと考えられる。また、帯電制御剤を添加しても、帯電制御剤と着色剤とが接触してしまい、帯電量を制御するのが困難であったためであると考えられる。
これに対して、着色剤として、顔料粒子の表面にあるアニオン性基と、カチオン性重合性界面活性剤から誘導されるポリマーのカチオン性基とがイオン的に結合した状態で、顔料粒子をポリマーによって被覆したものを用いることにより、顔料粒子表面の電荷が、カチオン性重合性界面活性剤由来のカチオン性基によって打ち消されるため、着色剤が電気的に安定なものとなる。その結果、帯電特性(特に、帯電安定性)に優れたトナーとすることができる。
また、従来のトナーに用いられる着色剤は、記録媒体との親和性が低く、含有量によっては、トナーの定着性を阻害していたが、このようなマイクロカプセル化顔料を用いることにより、顔料自体の記録媒体への親和性が向上するため、トナーの定着特性が向上する。
また、このようにカプセル化顔料を用いることにより、前述した樹脂との親和性が向上し、樹脂への分散性が向上する。その結果、各トナー粒子間での着色剤の含有量のばらつきを小さくすることができ、発色性が向上する。
また、従来よりトナーに用いられている着色剤は、表面に極性基(アニオン性基)を有しているため、このような着色剤を含むトナーは、空気中の水分の影響を受けやすく、環境安定性が低いが、着色剤として上記のようなマイクロカプセル化顔料を用いることによって、環境安定性も向上させることができる。
また、顔料粒子とポリマーとが電気的に強く結合していることから、例えば、トナーの製造工程等において、ポリマーが顔料粒子から剥がれたりするのを防止できる。
また、例えば、トナー中に帯電制御剤が含まれている場合、着色剤の種類によっては(特に、カーボンブラックの場合)、着色剤と帯電制御剤とが接触することによって、帯電制御剤の機能が阻害されることがあるが、着色剤として、マイクロカプセル化顔料を用いることにより、最終的に得られるトナー中において、着色剤と耐電制御剤とを直接接触しない状態で存在させることができるため、最終的に得られるトナーは、優れた発色性を保持しつつ、帯電特性にも優れたものとなる。
また、このようなカプセル化顔料は、顔料粒子表面のアニオン性基と、界面活性剤のカチオン性基とが電気的に結合することにより形成されているものであるから、その平均粒径を比較的小さいものとすることができる。
これらのマイクロカプセル化顔料の平均粒径は、400nm以下であるのが好ましく、300nm以下であるのがより好ましく、50〜200nmであるのがさらに好ましい。マイクロカプセル化顔料の平均粒径が大きすぎると、トナー粒子の大きさによっては、各トナー粒子間での着色剤の含有量を均一にするのが困難となる場合がある(本明細書において平均粒径の記述は、レーザ光散乱法の計測値によって述べている。)。
また、マイクロカプセル化顔料のアスペクト比(長短度)は、1.0〜1.3であり、かつ、Zingg指数は、1.0〜1.3(より好ましくは1.0〜1.2)であることが好ましい。これにより、樹脂への分散性が向上するとともに、着色剤(マイクロカプセル化顔料)がトナー粒子表面に存在する場合であっても、トナーの形状等に与える影響を小さいものとすることができる。その結果、形状のばらつきの少ないトナーを提供することができる。
マイクロカプセル化顔料の粒子の短径をb、長径をl、厚みをt(l≧b≧t>0)とした場合、アスペクト比(長短度)はl/b(≧1)、扁平度はb/t(≧1)であり、Zingg指数=長短度/扁平度=(l・t)/b2である。すなわち、真球は、アスペクト比が1であり、かつ、Zingg指数が1となる。
Zingg指数が1.3より大きくなると、マイクロカプセル化顔料がより扁平形状となって等方性が低くなるため、マイクロカプセル化顔料がトナー粒子の表面に存在した場合に、トナー粒子の形状等に影響を与える可能性がある。アスペクト比ならびにZingg指数を上記範囲内とする方法としては特に限定されないが、アニオン性基を表面に有する顔料粒子が前記した乳化重合法によりポリマーで被覆されたマイクロカプセル化顔料は、この条件を容易に満たし得る。
なお、後述するような酸析法や転相乳化法等の乳化重合法以外の方法によって作製されたマイクロカプセル化顔料では、アスペクト比ならびにZingg指数が上記範囲内になり難い。
マイクロカプセル化顔料が上記のアスペクト比ならびにZingg指数の範囲にあると、真球状となるが、これによって、これにより、樹脂への分散性が向上するとともに、着色剤(マイクロカプセル化顔料)がトナー粒子表面に存在する場合であっても、トナーの形状等に与える影響を小さいものとすることができる。その結果、形状のばらつきの少ないトナーを提供することができる。
次に、マクロカプセル化顔料の構成成分について詳細に説明する。
(2−1)顔料粒子1
本発明に用いられるマイクロカプセル化顔料を構成する顔料としては、無機顔料、有機顔料等が挙げられる。
一般に、顔料粒子の表面には、カルボン酸アニオン基(−COO)、スルホン酸アニオン基(−SO )および/またはスルフィン酸アニオン基(−RSO :RはC〜C12のアルキル基またはフェニル基およびその変性体)等のアニオン性基が存在する。しかし、上述したようにカプセル化することにより、顔料粒子の表面を電気的に安定なものとすることができる。その結果、最終的に得られるトナーの帯電特性を向上させることができる。
このような無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック,ランブブラック,アセチレンブラック,チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.l.ピグメントブラック7)類、あるいは、酸化鉄顔料等を挙げることができる。有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、およびキレートアゾ顔料などを含む。)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、またはキノフラノン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレートまたは酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、またはアニリンブラックなどが挙げられる。
更に詳しくは、ブラック用として使用される無機顔料として、以下のカーボンブラック、例えば、三菱化学製のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、またはNo2200B等;コロンビア社製のRaven5750、Raven5250、Raven5000、Raven3500、Raven1255、またはRaven700等;キャボット社製のRegal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、またはMonarch 1400等;あるいは、デグッサ社製のColorBlack FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color BlackFW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、またはSpecialBlack 4等が挙げられる。
特に、上記のようなカーボンブラックは、トナーの帯電特性や定着特性を阻害する傾向が強いことから、マイクロカプセル化による本発明の効果が顕著に現れる。
また、ブラック用の有機顔料としては、アニリンブラック(C.l.ピグメントブラック1)等の黒色有機顔料が挙げられる。
また、イエロートナー用の有機顔料としては、C.l.ピグメントイエロー1(ハンザイエロー)、2,3(ハンザイエロー10G)、4,5(ハンザイエロー5G)、6,7,10,11,12,13,14,16,17,24(フラバントロンイエロー),34,35,37,53,55,65,73,74,75,81,83,93,94,95,97,98,99,108(アントラピリミジンイエロー)、109,110,113,117(銅錯塩顔料)、120,124,128,129,133(キノフタロン)、138,139(イソインドリノン)、147,151,153(ニッケル錯体顔料)、154,167,172,180などを挙げられる。
更に、マゼンタトナー用の有機顔料としては、C.l.ピグメントレッド1(パラレッド)、2,3(トルイジンレッド)、4,5(lTR Red)、6,7,8,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38(ピラゾロンレッド)、40,41,42,48(Ca),48(Mn),57(Ca),57:1,88(チオインジゴ)、112(ナフトールAS系)、114(ナフトールAS系)、122(ジメチルキナクリドン)、123,144,146,149,150,166,168(アントアントロンオレンジ)、170(ナフトールAS系)、171,175,176,177,178,179(ベリレンマルーン)、184,185,187,202,209(ジクロロキナクリドン)、219,224(ベリレン系)、245(ナフトールAS糸)、または、C.I.ピグメントバイオレット19(キナクリドン)、23(ジオキサジンバイオレット)、32,33,36,38,43,50などを挙げられる。
更にまた、シアントナー用の有機顔料としては、C.l.ピグメントブルー1,2,3,15,15:1,15:2,15:3,15:34,15:4,16(無金属フタロシアニン)、18(アルカリブルートナー)、22,25,60(スレンブルー)、65(ビオラントロン)、66(インジゴ)、C.l.Vatブルー4,60等を挙げられる。
更にまた、マゼンタ,シアンまたはイエロートナー以外のカラートナーに用いる有機顔料として、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、10(グリーンゴールド)、36,37;C.I.ピグメントブラウン3,5,25,26;あるいはC.I.ピグメントオレンジ1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63等が挙げられる。
本発明のトナーに用いられるマクロカプセル化顔料においては、前記の顔料を1種でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
このようなアニオン性基を表面に有する顔料粒子の平均粒径は、150nm以下であるのが好ましく、20nm〜80nmであるのが好ましい。これにより、マイクロカプセル化顔料の平均径を好適なものとすることができる。
なお、顔料粒子として、電気的に中性のものやプラスに帯電したものを用いて、従来の樹脂材料でコーティングしたとしても、本発明の効果は得られない。例えば、前者の場合、顔料粒子の凝集等によって、顔料粒子の平均粒径にばらつきが生じるため、各トナー粒子間での各トナー成分の含有量にばらつきが生じる可能性がある。その結果、帯電特性や定着特性等の特性にばらつきが生じる。また、例えば、後者の場合、着色剤がトナー粒子の電気的安定性を阻害し、トナーの帯電特性が十分に得られない。
なお、アニオン性基は、後で導入されたものであってもよい。すなわち、アニオン性基を有さない顔料粒子や、カチオン性基を有する顔料粒子の表面に、アニオン性基を導入したものを用いてもよい。このような場合、公知の表面にアニオン性基を有さない顔料や、カチオン性基を有する顔料粒子をマイクロカプセル化顔料の材料として用いることができる。これにより、表現できる色彩のバリエーションを増やすことができる。
アニオン性基を導入する方法としては、以下の方法が挙げられる。
顔料粒子の表面を処理するための親水性基(アニオン性基)付与剤としては、先ず、硫黄を含有する処理剤を好適に挙げることができる。
硫黄を含有する処理剤としては、硫酸,発煙硫酸,三酸化硫黄,クロロ硫酸,フルオロ硫酸,アミド硫酸,スルホン化ピリジン塩,スルファミン酸が挙げられ、中でも、三酸化硫黄,スルホン化ピリジン塩またはスルファミン酸等のスルホン化剤が好適である。これらを単独または2種以上を混合して用いることができる(なお、“スルホン化剤”とは、スルホン酸(−SOH)および/またはスルフィン酸(−RSOH:RはC〜C12のアルキル基、または、フェニル基およびその変性体)を付与するための処理剤である。)。
また、前記三酸化硫黄を、三酸化硫黄と錯体を形成することのできる溶剤(N,N−ジメチルホルムアミドジオキサン,ピリジン,トリエチルアミン,トリメチルアミンのような塩基性溶剤、ニトロメタン、アセトニトリル等)と後述する溶剤1種以上との混合溶媒により、錯体化させることも有用である。
特に、三酸化硫黄自身では反応性が大きすぎて、顔料自身を分解または変質させたり、あるいは強酸による反応制御が困難な場合には、上記のように三酸化硫黄と第三アミンとの錯体を用いて顔料粒子の表面処理(この場合はスルホン化)を行うことが好ましい。
また、硫酸や発煙硫酸,クロロ硫酸、フルオロ硫酸などを単体で使用すると容易に顔料粒子が溶解し、一分子ごとに反応する様な強酸に対しては、反応を抑制する必要があり、後述する溶剤の種類や使用する量に関して留意する必要がある。
反応に用いられる溶剤は、硫黄を含む処理剤とは反応せず、また、上記した顔料が不溶性または難溶性となるようなものから選択され、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、キノリン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、クロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、液体二酸化硫黄、二硫化炭素、トリクロロフルオロメタンなどが挙げられる。
硫黄を含む処理剤による処理は、顔料粒子を溶剤に分散させ、この分散液に硫黄を含む処理剤を添加し、60〜200℃に加熱、3〜10時間攪拌することにより行う。具体的には、予めハイスピードミキサー等で高速せん断分散し、あるいはビーズミルやジェットミル等で衝撃分散し、スラリー状(分散液)とする方法が好ましい。その後、穏やかな攪拌に移した後、硫黄を含む処理剤を添加し、親水性基を顔料粒子の表面に導入させる。この際、親水性基の導入量の決定には、反応条件と硫黄を含む処理剤の種類が大きく左右する。この後に加熱処理した後、顔料粒子のスラリーから、溶剤および残留する硫黄を含む処理剤は取り除かれる。除去は、水洗,限外濾過,逆浸透等の方法、遠心分離,濾過等を繰り返して行う。
さらに、前掲したスルホン酸(−SOH)および/またはスルフィン酸(−RSOH:RはC〜C12のアルキル基、または、フェニル基およびその変性体)をアルカリ化合物で処理することによって、親水性基として、スルホン酸アニオン基(−SO )および/またはスルフィン酸アニオン基(−RSO :RはC〜C12のアルキル基またはフェニル基およびその変性体)を表面に有する顔料粒子とすることができる。本発明においては、この状態で好ましく用いられる。
アルカリ化合物としては、カチオンがアルカリ金属イオンまたは化学式(RN)+(R,R,RおよびRは同一でも異なってもよく、水素原子,アルキル基,ヒドロキシアルキル基またはハロゲン化アルキル基を示す)で示される1価のイオンとなるアルカリ化合物が選択される。好ましくは、カチオンが、リチウムイオン(Li),カリウムイオン(K),ナトリウムイオン(Na),アンモニウムイオン(NH4)、および、トリエタノールアミンカチオン等のアルカノールアミンカチオンとなるアルカリ化合物である。
アルカリ化合物のアニオンとしては、水酸化アニオンが好適に用いられ、その具体例としては、アンモニア,アルカノールアミン(モノエタノールアミン,ジエタノールアミン,N,N−ブチルエタノールアミン,トリエタノールアミン,プロパノールアミン,アミノメチルプロパノール,2−アミノイソプロパノール等)、一価のアルカリ金属の水酸化物(LiOH,NaOH,KOH)が例示できる。
上記したアルカリ化合物の添加量としては、顔料粒子のスルホン酸基および/またはスルフィン酸基の中和当量以上が好ましい。さらに、アンモニア,アルカノールアミン等の揮発性のある添加剤については、概ね、中和当量の1.5倍以上の添加が好ましい。
なお、操作は、アルカリ化合物中に上記スルホン酸基および/またはスルフィン酸基が表面に化学結合された顔料粒子を入れ、ペイントシェーカー等で振とうすることにより行うことができる。
また、顔料粒子の表面を処理するための親水性基付与剤としては、カルボキシル化剤も好適に挙げることができる。ここで“カルボキシル化剤”とは、カルボン酸基(−COOH)を付与するための処理剤である。
カルボキシル化剤としては、次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カリウム等の次亜ハロゲン酸塩の様な酸化剤を使い、顔料粒子表面の一部結合(C=C、C−C)を切断し、酸化処理することによる。また、前記の化学処理のほかにプラズマ処理等のような物理的酸化によりカルボン酸基を付与する場合もあるが、本発明では、水性媒体中での分散安定を確保可能な処理方法であれば、各種手法の選択が可能である。さらに、例示のカルボン酸導入処理においては、量的には少ないがキノン基等が導入される場合もある。こうした場合であっても、マイクロカプセル化顔料の水性媒体中での分散安定性を確保可能であれば本発明の主旨に反しない。
カルボキシル化剤による処理の一例を挙げると、顔料粒子を水性媒体中に予めハイスピードミキサー等で高速せん断分散し、あるいはビーズミルやジェットミル等で衝撃分散し、スラリー状(分散液)とする。次に、有効ハロゲン濃度で10〜30%の次亜塩素酸ナトリウムのような次亜ハロゲン酸塩とを適量の水中で混合させ、60〜80℃に加熱、5〜10時間程度、好ましくは10時間以上攪拌することにより行う。この作業は、かなりの発熱を伴うため、安全上の注意が必要である。この後に表面処理された顔料粒子のスラリーから、溶剤および残留するカルボキシル化剤を加熱処理することで取り除く。また、必要によっては水洗,限外濾過,逆浸透等の方法、遠心分離,濾過等を繰り返して行うことで所望の水性分散体とすることが可能である。
ここでも、カルボン酸基(−COOH)を有する顔料粒子をアルカリ化合物で処理することによって、親水性基として、カルボン酸アニオン基(−COO)を表面に有する顔料粒子とすることができる。本発明においては、この状態で好ましく用いられる。
アルカリ化合物の種類およびアルカリ化合物による処理方法は前述と同様である。
次に、親水性基の顔料表面への好ましい導入量とその導入状態を調べるための手法について述べる。
まず、親水化をスルホン化剤によって行う場合、顔料粒子表面に導入された親水性基の導入量は、顔料粒子1g当たり0.01mmol当量以上であることが好ましい。親水性基の導入量が0.01mmol/g未満になると、水性溶媒中での顔料粒子のマイクロカプセル化工程において、顔料粒子の凝集物が発生し易くなり、マイクロカプセル化顔料の平均粒径が増大する傾向がある。
顔料粒子に対する親水性基の導入量の上限は、特に限定されないが、0.15mmol/gより大きくなると、親水性基導入量の増加に伴う顔料粒子の平均粒径に変化が認められなくなることがあるので、コストの点から、0.15mmol/g以下であることが好ましい。
次に、カルボキシル化剤による顔料表面への親水性基の導入量について述べる。本発明で用いる表面処理手法では、カルボン酸基(−COOH)および/またはカルボン酸アニオン基(−COO)が顔料表面に導入されると考えられるが、直接的にこの導入量を求めることが出来ないため、本発明においてはその導入量を表面活性水素含有量で測定するものとする。詳細な測定方法は、後述する。
こうした方法によって得られる顔料への活性水素含有量は、1.0mmol/g以上であることが好ましく、1.5mmol/g以上であることがより好ましい。1.0mmol/g以下では水分散性が悪くなり、マイクロカプセル化工程中で合一(粒子が自然に集まり、大粒径化すること)が起こり易くなる。
(2−2)ポリマー層60
ポリマー層60は、カチオン性重合性界面活性剤から誘導されるポリマーにより構成されている。
カチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基としては、第一アミンカチオン、第二アミンカチオン、第三アミンカチオン、第四級アンモニウムカチオンなる群から選択されたカチオン性基が好ましい。第一アミンカチオンとしてはモノアルキルアンモニウムカチオン(RNH )等を、第二アミンカチオンとしてはジアルキルアンモニウムカチオン(RNH )等を、第三アミンカチオンとしてはトリアルキルアンモニウムカチオン(RNH)等を、第四級アンモニウムカチオンとしては(R)等を挙げることができる。ここで、Rは、疎水性基および重合性基であり、下記に示すものを挙げることができる。
前掲のカチオン性基の対アニオンとしては、Cl、Br、Iなどを挙げることができる。
疎水性基としては、アルキル基,アリール基およびこれらが組み合わされた基からなる群から選択されることが好ましい。
重合性基としては、不飽和炭化水素基が好ましく、さらに詳しくは、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択されたものであることが好ましい。このなかでも特にアクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい例として例示できる。
前記カチオン性重合性界面活性剤の具体的な例としては、特公平4−65824号公報に記載されているようなカチオン性のアリル酸誘導体などを挙げることができる。
本発明において使用するカチオン性重合性界面活性剤としては、例えば、一般式R[4−(l+m+n)] n・Xで表される化合物を挙げることができる(Rは重合性基であり、R、R、Rはそれぞれアルキル基またはアリール基であり、XはCl、BrまたはIであり、l、m、nはそれぞれ1または0である。)。ここで、前記重合性基としては、ラジカル重合可能な不飽和炭化水素基を有する炭化水素基を好適に例示でき、より具体的には、アリル基、アクロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロぺニル基、ビニリデン基、ビニレン基等を挙げることができる。
カチオン性重合性界面活性剤の具体例としては、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド、メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等を挙げることができる。
前記のカチオン性重合性界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。例えば、アクリエステルDMC(三菱レイヨン(株))、アクリエステルDML60(三菱レイヨン(株))、C−1615(第一工業製薬(株))などを挙げることができる。
以上に例示したカチオン性重合性界面活性剤は、単独で、または2種以上の混合物として使用することができる。
なお、ポリマー層60は、カチオン性重合性界面活性剤と疎水性モノマーとから誘導された繰り返し構造単位を有するものであってもよいし、架橋性モノマーから誘導された繰り返し構造単位を有していてもよい。これらについては、後に詳述する。
(2−3)マイクロカプセル化顔料の製造
上述したようなマイクロカプセル化顔料は、前記アニオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液に前記カチオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、カチオン性重合性界面活性剤を加え乳化後、重合開始剤を加えて乳化重合することにより、好適に製造できる。また、このような方法を用いて製造することにより、顔料粒子が比較的小さいものであっても、顔料粒子をカプセル化することができるため、トナー粒子の大きさと比較して、マイクロカプセル化顔料の大きさを十分に小さいものとすることができる。その結果、各トナー粒子間での着色剤の含有量をより確実に均一なものとすることができる。
以下、マイクロカプセル化顔料の好適な製造方法において顔料粒子の起こり得る分散状態を挙げながら説明する。ただし、以下に挙げる顔料粒子の分散状態は推定を含むものである。
まず、顔料粒子の起こり得る分散状態を、図1によって説明する。水を主成分とする溶媒(以下、水性溶媒ともいう)に分散した親水性基としてアニオン性基14を表面に有する顔料粒子1に、カチオン性基11と疎水性基12と重合性基13とを有するカチオン性重合性界面活性剤2のカチオン性基11が顔料粒子1のアニオン性基14に向くように配置され、イオン性の強い結合で吸着する。
この状態に例えば重合開始剤を添加するなどして、隣接するカチオン性重合性界面活性剤2の重合性基13同士を重合させることによって、図2に示すように、顔料粒子1がポリマー層60で被覆されたマイクロカプセル化顔料100が作製される。
このような乳化重合法によれば、重合系内に、アニオン性基を表面に有する顔料粒子の表面の親水性基(アニオン性基)と、カチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基とが、イオン的に結合し、重合反応によってポリマー相を形成することから、乳化重合前における顔料粒子の周囲に存在するモノマーの配置形態が重合後の粒子表面の分極状態に影響を与え、よって極めて高精度で制御することができる。
マイクロカプセル化顔料は、より具体的には、以下の手順によって好適に製造される。
(1)まず、アニオン性基を表面に有する顔料を水に分散した分散液に、カチオン性重合性界面活性剤を加える。加えたカチオン性重合性界面活性剤の一部がそのカチオン性基を「アニオン性基を表面に有する顔料」のアニオン性基に吸着してイオン的に結合して固定化される。
前記アニオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液に前記カチオン性重合性界面活性剤を加える際の前記アニオン性基を表面に有する顔料に対してカチオン性重合性界面活性剤の添加量は、アニオン性基を表面に有する顔料の使用量に対するアニオン性基の総モル数(=使用した顔料の重量(g)×顔料表面のアニオン性基(mol/g))に対して、0.5〜2倍モルの範囲が好ましく、より好ましくは、0.8〜1.2倍モルの範囲である。0.5倍モル以上の添加量とすることによって、アニオン性基を有する顔料粒子にイオン的に強く結合し、容易にカプセル化が可能となる。2倍モル以下の添加量とすることで顔料粒子に未吸着のカチオン性重合性界面活性剤の発生を少なくすることができる。
(2)次に、重合開始剤を加え、乳化重合する。
このような重合開始剤としては、水溶性の重合開始剤が好ましく、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、2,2−アゾビス−(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、または4,4−アゾビス−(4−シアノ吉草酸)などが挙げられる。
重合開始剤の添加は、水溶性重合開始剤を純水に溶解した水溶液を滴下することにより好適に実施できる。
なお、重合開始剤は、活性化した状態で添加するのが好ましい。
重合開始剤の活性化は、水性分散液を所定の重合温度まで昇温することにより好適に実施できる。重合終了後に、pH7.0〜9.0の範囲に調整し、濾過を行なうことが好ましい。ここで、水性溶媒は、前述したように、水を主成分とする溶媒のことであり、水の他に、任意成分として、例えば、グリセリン類やグリコール類のような水溶性溶媒等を含んでいても良い。また、重合温度は、60℃〜90℃の範囲とされるのが好ましい。なお、親水性基としてアニオン性基を表面に有する顔料粒子が水性分散液の状態にない場合は、前処理として、ボールミル、ロールミル、アイガーミル、ジェットミル等の一般的な分散機を用いて分散処理を行うことが好ましい。
以上のようにして得られるマイクロカプセル化顔料は、平均粒径の小さい顔料粒子がポリマー層で完全に被覆される(欠陥部分がない)。
以上のような手順により、カチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーで被覆されたマイクロカプセル化顔料を好適に製造できる。
なお、トナー粒子の定着性の向上や、マイクロカプセル化顔料の保存安定性の向上等の目的で、他のコモノマーを添加してもよい。
また、重合の際、必要に応じて、水性分散液中に、カチオン性重合性界面活性剤と、疎水性モノマーを存在させても良く、その場合は、ポリマー層が、カチオン性重合性界面活性剤と、疎水性モノマーとから共重合されたコポリマー層となる。すなわち、マイクロカプセル化顔料は、アニオン性基を表面に有する顔料粒子が、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤と疎水性モノマーとから誘導された繰り返し構造単位を有するポリマー(コポリマー)により被覆される。
このようなマイクロカプセル化顔料は、前記アニオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液に前記カチオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、疎水性モノマーおよびカチオン性重合性界面活性剤を加え乳化後、重合開始剤を加えて乳化重合することにより、好適に製造できる。これにより、より耐久性の高い着色剤を製造することができる。その結果、トナーを製造する際に、顔料を被覆するポリマーの剥がれ等を効果的に防止することができる。
疎水性モノマーとしては、その構造中に疎水性基と重合性基とを少なくとも有するもので、疎水性基が脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基の群から選択されたものを例示できる。脂肪族炭化水素基としてはメチル基、エチル基、プロピル基等を、脂環式炭化水素基としてはシクロヘキシル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基、イソボルニル基等を、芳香族炭化水素基としてはベンジル基、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
重合性基としては、ラジカル重合が可能な不飽和炭化水素基であって、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択されるのが好ましい。
疎水性モノマーの具体例としては、スチレンおよびメチルスチレン、ジメチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、p−クロルメチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、ブトキシエチルアクリレート、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、フェノキシエチルアクリレート、アクリル酸シクロヘキシル、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、イソボルニルアクリレート等の単官能アクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、2−エチルヘキシルメタクリレート、ブトキシメチルメタクリレート、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、フェノキシエチルメタクリレート、メタクリル酸シクロヘキシル、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、イソボルニルメタクリレート等の単官能メタクリル酸エステル類;アリルベンゼン、アリル−3−シクロヘキサンプロピオネート、1−アリルー3,4−ジメトキシベンゼン、アリルフェノキシアセテート、アリルフェニルアセテート、アリルシクロヘキサン、多価カルボン酸アリル等のアリル化合物;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸のエステル頬;N−置換マレイミド、環状オレフィンなどのラジカル重合性基を有するモノマーが挙げられる。
疎水性モノマーは、上記の要求特性を満足させるものが適宜、選択され、その添加量は任意に決定される。
このような疎水性モノマーの添加量は顔料100重量部に対して5〜900重量部程度の範囲が好ましく、より好ましくは10〜500重量部の範囲であり、特に好ましくは15〜200重量部の範囲である。カプセルの最外郭を形成するカチオン性重合性界面活性剤の添加量は、最初に添加したカチオン性重合性界面活性剤の0.5〜5倍モル程度の範囲が好ましく、より好ましくは1〜2倍モル程度の範囲である。1倍モル以上の範囲とすることにより、カプセル化粒子の分散性および分散安定性が優れたものとなる。2倍モル以下の添加量とすることでカプセル化に寄与しないカチオン性重合性界面活性剤の発生を抑制できるため、カプセル化粒子以外にポリマー粒子が発生することを防止できる。
また、顔料粒子を被覆するポリマーは、架橋性モノマーから誘導された繰り返し構造単位を有することも好ましい。
架橋性モノマーから誘導された繰り返し構造単位を有することにより、ポリマー中に架橋構造が形成され、ポリマーの耐久性を向上させることができる。
架橋性モノマーとしては、ビニル基,アリル基,アクリロイル基,メタクリロイル基,プロペニル基,ビニリデン基,ビニレン基から選ばれる1種以上の不飽和炭化水素基を2個以上有する化合物を有するもので、例えば、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルアクリレート、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロビレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシー1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ・ジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ・ポリエトキシ)フェニル〕プロパン、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラブロモピスフェノールAジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、プロビレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4一(メタクリロキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、テトラブロモビスフェノールAジメタクリレート、ジシクロペンタニルジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリグリセーロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、アリルメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等が挙げられる。
また、顔料粒子を被覆するポリマーは、さらに下記一般式(1)で表されるモノマーから誘導された繰り返し構造単位を有することが好ましい。
Figure 2006309035
ポリマー中に一般式(1)で表されるモノマー由来の“嵩高い”基である前記R基によって、ポリマーの分子のたわみやすさが減り、すなわち、分子の運動性が拘束されるため、ポリマーの機械的強度や耐熱性が向上する。
上記一般式(1)において、Rが示す脂環式炭化水素基としては、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、アダマンタン基、テトラヒドロフラン基、ナフチル基、t−ブチル基、等が挙げられる。
前記したように、架橋性モノマーから誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーや一般式(1)で表されるモノマーから誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーは、Tgが高く、機械的強度、耐熱性、耐溶剤性等の耐久性に優れるという利点がある。
また、上記一般式(1)で表されるモノマーの具体例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2006309035
Figure 2006309035
カチオン性重合性界面活性剤とともに以下の親水性モノマーを用いることができる。係る親水性モノマーとしては、親水性基として水酸基、エチレンオキサイド基、アミド基、アミノ基を有するものが挙げられる。
前記の親水性モノマーとしては、OH基を有する2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート等、エチレンオキサイド基を有するエチルジエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート等、アミド基を有するアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等、アミノ基を含むN−メチルアミノエチルメタクリレート、N−メチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルアミノエステル類;N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、等のアルキルアミノ基を有する不飽和アミド類等と、ビニルピリジン等のモノビニルピリジン類、ジメチルアミノエチルビニルエーテルなどのアルキルアミノ基を有するビニルエーテル類;ビニルイミダゾール等、N−ビニル−2−ピロリドン、などを挙げることができる。
なお、マイクロカプセル化顔料の製造は、親水性基としてアニオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液に、前記カチオン性重合性界面活性剤を加え、必要に応じて、水もしくは水と水性溶媒を加えて混合し、超音波を所定時間照射した後、カチオン性重合制界面活性剤および/または前記親水性モノマー(これらの他に、上記の疎水性モノマー、架橋性モノマー、一般式(1)で表されるモノマーを加えることもできる。)と必要に応じて水を加えて再び超音波を所定時間照射して分散し、超音波照射と攪拌を行いながら、所定の温度(重合開始剤の活性化する温度)まで昇温して、重合開始剤を加えて重合開始剤を活性化させて乳化重合することによって好適に実施することができる。
また、上記疎水性モノマーを使用する場合、より具体的には、前記アニオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液にカチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤を加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、疎水性モノマーを加えて混合する工程と、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤および/または親水性モノマーを加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、重合開始剤を加えて乳化重合する工程とからなり、前記工程順に実施することによってより好適に製造することができる。
また、上記架橋性モノマーおよび/または前記一般式(1)で表されるモノマーとを使用する場合、より具体的には、前記アニオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液にカチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤を加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、架橋性モノマーおよび/または前記一般式(1)で表されるモノマーを加えて混合する工程と、カチオン性重合性界面活性剤および/または前記親水性モノマーを加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、重合開始剤を加えて乳化重合する工程とからなり、前記工程順に実施することによってより好適に製造することができる。
さらに、上記架橋性モノマーおよび/または前記一般式(1)で表されるモノマーとを使用する場合、より具体的には、前記アニオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液にカチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤を加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、架橋性モノマーおよび/または前記一般式(1)で表されるモノマーと長鎖アルキル基を有するモノマーを加えて混合する工程と、カチオン性重合性界面活性剤および/または前記親水性モノマーを加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、重合開始剤を加えて乳化重合する工程とからなり、前記工程順に実施することによってより好適に製造することができる。
上述したように、まず、アニオン性基を表面に有する顔料粒子表面のアニオン性基にカチオン性重合性界面活性剤を吸着させ、次いで疎水性モノマーを加え、さらにカチオン性重合性界面活性剤および/または親水性モノマーを加え超音波を照射して処理することで、顔料粒子の周囲に存在する重合性界面活性剤やモノマーの配置形態が極めて高度に制御される。そして、乳化重合によって、この高度に制御された形態のまま、モノマーがポリマーに転化されて、本実施形態に係るマイクロカプセル化顔料が得られる。これにより、副生成物である水溶性のオリゴマーやポリマーの生成を減少させることができる。
反応は、超音波発生器、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗および温度調節器を備えて反応容器を使用するのが好ましい。
重合開始剤の添加は、水溶性重合開始剤を純水に溶解した水溶液を滴下することにより好適に実施できる。
重合開始剤の活性化は、水性分散液を所定の重合温度まで昇温することにより好適に実施できる。重合終了後に、pH7.0〜9.0の範囲に調整し、濾過を行なうことが好ましい。ここで、水性溶媒は、前述したように、水を主成分とする溶媒のことであり、水の他に、任意成分として、例えば、グリセリン類やグリコール類のような水溶性溶媒等を含んでいても良い。また、重合温度は、60℃〜90℃の範囲とされるのが好ましい。なお、親水性基としてアニオン性基を表面に有する顔料粒子が水性分散液の状態にない場合は、前処理として、ボールミル、ロールミル、アイガーミル、ジェットミル等の一般的な分散機を用いて分散処理を行うことが好ましい。
以上のようにして得られるマイクロカプセル化顔料は、平均粒径の小さい顔料粒子がポリマー層で完全に被覆される(欠陥部分がない)。
次に、前記したマイクロカプセル化顔料の好適な製造方法において顔料粒子の起こり得る他の分散状態を図3によって説明する。親水性基としてアニオン性基14を表面に有する顔料粒子1に、カチオン性基11と疎水性基12と重合性基13とを有するカチオン性重合性界面活性剤2のカチオン性基11が顔料粒子1のアニオン性基14に向くように配置され、イオン性の強い結合で吸着する。また、顔料粒子1の表面は、特定密度で化学結合されたアニオン性基14を有するとともに、アニオン性基14の間に疎水領域50を有しており、この疎水領域50にカチオン性重合性界面活性剤2の疎水性基12と重合性基13とが向き、このカチオン性重合性界面活性剤2のカチオン性基11には、別のカチオン性重合性界面活性剤2のカチオン性基が配置される。
この状態に例えば重合開始剤を添加するなどして、隣接するカチオン性重合性界面活性剤2の重合性基13同士を重合させることによって、図4に示すように、顔料粒子1がポリマー層60’で被覆されたマイクロカプセル化顔料101が作製される。
また、トナー中には、ワックスが含まれていてもよい。ワックスは、通常、離型性を向上させる目的で用いられるものである。このようなワックスとしては、例えば、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、綿ロウ、木ロウ等の植物系ワックス・ロウ、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス・ロウ、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス・ロウ、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油ワックス・ロウ等の天然ワックス・ロウや、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス(ポリエチレン樹脂)、ポリプロピレンワックス(ポリプロピレン樹脂)、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス・ロウ等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、ワックスとしては、さらに低分子量の結晶性高分子樹脂を使用してもよく、例えば、ポリn−ステアリルメタクリレート、ポリn−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等を使用することもできる。
分散液6中におけるワックスの含有量は、特に限定されないが、1.0wt%以下であるのが好ましく、0.5wt%以下であるのがより好ましい。ワックスの含有量が多すぎると、最終的に得られるトナー粒子中において、ワックスが遊離、粗大化して、トナー粒子表面へのワックスのしみ出し等が顕著に起こり、トナーの転写効率が低下する傾向を示す。
ワックスの軟化点は、特に限定されないが、50〜180℃であるのが好ましく、60〜160℃であるのがより好ましい。
また、本発明のトナーは、構成材料としてこれら以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、帯電制御剤、磁性粉末、外添剤等が挙げられる。
帯電制御剤としては、例えば、安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、ニグロシン染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩素化ポリエステル、ニトロフニン酸等が挙げられる。
磁性粉末としては、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料で構成されたもの等が挙げられる。
なお、外添剤については、後に詳述する。
また、トナー中には、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等が含まれていてもよい。
<トナーの製造方法>
次に、本発明のトナーの製造方法の好適な実施形態について説明する。
図5は、混練物を製造するための混練機、冷却機の構成の一例を模式的に示す縦断面図である。
以下の説明では、着色剤と樹脂材料とを含む混練物K7を用いてトナーを製造する場合について説明する。
本発明で用いる着色剤(マイクロカプセル化顔料)は、樹脂材料との親和性が高く、樹脂への分散性が高いものであるため、混練物中において容易に均一に分散させることができる。したがって、以下に示すような方法(混練粉砕法)により、各トナー粒子間での特性のばらつきの小さいトナーを容易に製造することができる。
混練物K7は、例えば、図5に示すような装置を用いて製造することができる。
(混練工程)
混練に供される原料K5は、前述したような成分を含むものである。特に、着色剤を含む組成物は、着色剤が空気を抱き込みやすいから、組成物中に空気が残存することが起こりやすいが、本工程で混練することにより、原料K5中に含まれる空気(特に着色剤が抱き込んだ空気)を効率よく除去することができ、トナー粒子の内部に気泡が混入(残存)するのを効果的に防止することができる。
混練に供される原料K5は、これらの各成分が予め混合されたものであるのが好ましい。
本実施形態では、混練機として、2軸混練押出機を用いる構成について説明する。
混練機K1は、原料K5を搬送しつつ混練するプロセス部K2と、混練された原料(混練物K7)を所定の断面形状に形成して押し出すヘッド部K3と、プロセス部K2内に原料K5を供給するフィーダーK4とを有している。
プロセス部K2は、バレルK21と、バレルK21内に挿入されたスクリューK22、スクリューK23と、バレルK21の先端にヘッド部K3を固定するための固定部材K24とを有している。
プロセス部K2では、スクリューK22、スクリューK23が、回転することにより、フィーダーK4から供給された原料K5に剪断力が加えられ、均一な混練物K7が得られる。
プロセス部K2の全長は、50〜300cmであるのが好ましく、100〜250cmであるのがより好ましい。プロセス部K2の全長が前記下限値未満であると、原料K5中の各成分を十分均一に混ぜ合わせることが困難となる可能性がある。一方、プロセス部K2の全長が前記上限値を超えると、プロセス部K2内の温度、スクリューK22、スクリューK23の回転数等によっては、熱による原料K5の変性が起こり易くなり、最終的に得られるトナーの物性を十分に制御するのが困難になる可能性がある。
また、混練時の原料温度は、原料K5の組成等により異なるが、80〜260℃であるのが好ましく、90〜230℃であるのがより好ましい。なお、プロセス部K2内での原料温度は、均一であっても、部位により異なるものであってもよい。例えば、プロセス部K2は、設定温度の比較的低い第1の領域と、該第1の領域より基端側に設けられ、かつ、その設定温度が第1の領域より高い第2の領域とを有するようなものであってもよい。
また、原料K5のプロセス部K2での滞留時間(通過に要する時間)は、0.5〜12分であるのが好ましく、1〜7分であるのがより好ましい。プロセス部K2での滞留時間が、前記下限値未満であると、原料K5中の各成分を十分均一に混ぜ合わせることが困難となる可能性がある。一方、プロセス部K2での滞留時間が、前記上限値を超えると、生産効率が低下し、また、プロセス部K2内の温度、スクリューK22、スクリューK23の回転数等によっては、熱による原料K5の変性が起こり易くなり、最終的に得られるトナーの物性を十分に制御するのが困難になる可能性がある。
スクリューK22、スクリューK23の回転数は、バインダー樹脂の組成等により異なるが、50〜600rpmであるのが好ましい。スクリューK22、スクリューK23の回転数が、前記下限値未満であると、原料K5中の各成分を十分均一に混ぜ合わせることが困難となる可能性がある。一方、スクリューK22、スクリューK23の回転数が、前記上限値を超えると、剪断により、樹脂の分子鎖が切断され、樹脂の特性が劣化する場合がある。
また、本実施形態で用いる混練機K1では、プロセス部K2の内部は、脱気口K25を介して、ポンプPに接続されている。これにより、プロセス部K2の内部を脱気することができ、原料K5(混練物K7)が加熱されたり、発熱すること等によるプロセス部K2内の圧力の上昇を防止することができる。その結果、混練工程を安全かつ効率よく行うことができる。また、プロセス部K2の内部が脱気口K25を介してポンプPに接続されていることにより、得られる混練物K7中に気泡(特に、比較的大きな気泡)が含まれるのを効果的に防止することができ、最終的に得られるトナーの特性をより優れたものとすることができる。
(押出工程)
プロセス部K2で混練された混練物K7は、スクリューK22とスクリューK23との回転により、ヘッド部K3を介して、混練機K1の外部に押し出される。
ヘッド部K3は、プロセス部K2から混練物K7が送り込まれる内部空間K31と、混練物K7が押し出される押出口K32とを有している。
内部空間K31内での混練物K7の温度(少なくとも押出口K32付近での温度)は、特に限定されないが、原料K5中に含まれる樹脂材料の軟化温度以上の温度であるのが好ましい。これにより、トナー粒子を各構成成分がより均一に混ざり合ったものとして得ることができ、各トナー粒子間での特性(帯電特性、定着性等)のばらつきを特に小さくすることができる。
内部空間K31内での混練物K7の具体的な温度(少なくとも押出口K32付近での温度)は、特に限定されないが、80〜150℃であるのが好ましく、90〜140℃であるのがより好ましい。内部空間K31内での混練物K7の温度が上記範囲内の値であると、混練物K7が内部空間K31で固化せず、押出口K32から押し出しやすくなる。
図示の構成では、内部空間K31は、押出口K32の方向に向って、その横断面積が漸減する横断面積漸減部K33を有している。このような横断面積漸減部K33を有することにより、押出口K32から押し出される混練物K7の押出量が安定し、また、後述する冷却工程における混練物K7の冷却速度が安定する。その結果、これを用いて製造されるトナーは、各トナー粒子間での特性のばらつきが小さいものとなり、全体としての特性に優れたものになる。
(冷却工程)
ヘッド部K3の押出口K32から押し出された軟化した状態の混練物K7は、冷却機K6により冷却され、固化する。
冷却機K6は、ロールK61、K62、K63、K64と、ベルトK65、K66とを有している。
ベルトK65は、ロールK61とロールK62とに巻掛けられている。同様に、ベルトK66は、ロールK63とロールK64とに巻掛けられている。
ロールK61、K62、K63、K64は、それぞれ、回転軸K611、K621、K631、K641を中心として、図中e、f、g、hで示す方向に回転する。これにより、混練機K1の押出口K32から押し出された混練物K7は、ベルトK65−ベルトK66間に導入される。ベルトK65−ベルトK66間に導入された混練物K7は、ほぼ均一な厚さの板状となるように成形されつつ、冷却される。冷却された混練物K7は、排出部K67から排出される。ベルトK65、K66は、例えば、水冷、空冷等の方法により、冷却されている。冷却機として、このようなベルト式のものを用いると、混練機から押し出された混練物と、冷却体(ベルト)との接触時間を長くすることができ、混練物の冷却の効率を特に優れたものとすることができる。
ところで、混練工程では、原料K5に剪断力が加わっているため、相分離(特に、マクロ相分離)等が十分防止されているが、混練工程を終えた混練物K7は、剪断力が加わらなくなるので、混練物の構成材料によっては、長期間放置しておくと再び相分離(マクロ相分離)等を起こしてしまう可能性がある。従って、上記のようにして得られた混練物K7は、できるだけ早く冷却するのが好ましい。具体的には、混練物K7の冷却速度(例えば、混練物K7が60℃程度まで冷却される際の冷却速度)は、−3℃/秒以上であるが好ましく、−5〜−100℃/秒であるのがより好ましい。また、混練工程の終了時(剪断力が加わらなくなった時点)から冷却工程が完了するまでに要する時間(例えば、混練物K7の温度を60℃以下に冷却するのに要する時間)は、20秒以下であるのが好ましく、3〜12秒であるのがより好ましい。
本実施形態では、混練機として、連続式の2軸混練押出機を用いる構成について説明したが、原料の混練に用いる混練機はこれに限定されない。原料の混練には、例えば、ニーダーやバッチ式の三軸ロール、連続2軸ロール、ホイールミキサー、ブレード型ミキサー等の各種混練機を用いることができる。
また、図示の構成では、スクリューを2本有する構成の混練機について説明したが、スクリューは1本であってもよいし、3本以上であってもよい。また、混練装置にディスク(ニーディングディスク)部があってもよい。
また、本実施形態では、1つの混練機を用いる構成について説明したが、2つの混練機を用いて混練してもよい。この場合、一方の混練機と、他方の混練機とで、原料の加熱温度、スクリューの回転速度等が異なっていてもよい。
また、本実施形態では、冷却機として、ベルト式のものを用いた構成について説明したが、例えば、ロール式(冷却ロール式)の冷却機を用いてもよい。また、混練機の押出口K32から押し出された混練物の冷却は、前記のような冷却機を用いたものに限定されず、例えば、空冷等により行うものであってもよい。
(粉砕工程)
まず、上述したような冷却工程を経た混練物K7を粉砕する。
粉砕の方法は、特に限定されず、例えばボールミル、振動ミル、ジェットミル、ピンミル等の各種粉砕装置、破砕装置を用いて行うことができる。
粉砕の工程は、複数回(例えば、粗粉砕工程と微粉砕工程との2段階)に分けて行ってもよい。
また、このような粉砕工程の後、必要に応じて、分級処理、外添処理、熱球形化処理等の処理を行ってもよい。
分級処理には、例えば、ふるい、気流式分級機等を用いることができる。
また、外添処理に用いられる外添剤としては、例えば、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、チタニア、酸化亜鉛、アルミナ、マグネタイト等の金属酸化物、窒化珪素等の窒化物、炭化珪素等の炭化物、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、脂肪族金属塩等の無機材料で構成された微粒子、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、脂肪族金属塩等の有機材料で構成された微粒子やこれらの複合物で構成された微粒子等が挙げられる。
また、外添剤としては、上記のような微粒子の表面に、HMDS、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、フッ素含有シラン系カップリング剤、シリコーンオイル等により表面処理を施したものを用いてもよい。
以上のようにして製造される本発明のトナーは、均一な形状を有し、粒度分布のシャープな(幅の小さい)ものである。
以上のようにして得られるトナーの体積基準の平均粒径は、2〜20μmであるのが好ましく、4〜15であるのがより好ましい。トナーの平均粒径が前記下限値未満であると、均一に帯電させるのが困難になるとともに、静電潜像担持体(例えば、感光体等)表面への付着力が大きくなり、結果として、転写残トナーの増加を招く場合がある。一方、トナーの平均粒径が前記上限値を超えると、トナーを用いて形成される画像の輪郭部分、特に文字画像やライトパターンの現像での再現性が低下する。
また、トナーは、各粒子間での粒径の標準偏差が1.5μm以下であるのが好ましく、1.3μm以下であるのがより好ましく、1.0μm以下であるのがさらに好ましい。各粒子間での粒径の標準偏差が1.5μm以下であると、帯電特性、定着特性等のバラツキが特に小さくなり、トナー全体としての、信頼性がさらに向上する。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、混練物を粉砕することにより、トナーを得るものとして説明したが、これに限定されず、例えば、乳化重合法を用いて製造されるものであってもよい。
[1]トナーの製造
(実施例1)
<着色剤(マイクロカプセル化顔料)の製造>
トナーの製造に先立ち、以下の着色剤を製造した。
まず、アニオン性基を表面に有する顔料粒子で構成されたカーボンブラック(表面のアニオン性基の量:0.12mmol/g)を用意した。
このカーボンブラック20gをイオン交換水80gに分散した水性分散液に、カチオン性重合性界面活性剤としてメタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライドを0.81g添加して混合した後、超音波を15分間照射して処理した。次いで、イソボルニルメタクリレート2.45gとラウリルメタクリレート2.55gを混合して加え攪拌混合し、さらにメタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライドを1.0g添加して混合して再び超音波を30分間照射して処理した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管および超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水20gに重合開始剤として2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.3gを溶解した2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩水溶液を滴下し、窒素を導入しながら、80℃で6時間重合した。重合終了後、クエン酸二ナトリウムでpH6前後に調整し、限外濾過を行い、目的のマイクロカプセル化顔料“AMPカーボンブラック顔料”分散液を得た。
得られた分散液をリーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150を用いて体積平均粒子径を測定したところ、100nmであった。
その後、分散液を減圧下で加熱乾燥し、AMPカーボンブラック顔料を得た。
<トナーの製造>
まず、スチレンモノマー:60重量部と、アクリル酸ブチル:40重量部と、アクリル酸:8重量部とのモノマー混合物を、水:100重量部と、ノニオン乳化剤:1重量部と、アニオン乳化剤:1.5重量部と、過硫酸カリウム:0.5重量部との水溶液に攪拌しつつ添加した。70℃で8時間加熱し重合反応させエマルジョンを得た。
次に、このエマルジョン:184重量部と、オリヱント化学工業製ジ−tert−ブチルサリチル酸亜鉛(商品名ボントロンE−84):2重量部と、AMPカーボンブラック顔料:5重量部と、水:300重量部とを30℃で2時間、分散攪拌した。
その後、70℃で3時間さらに攪拌した。
次に、形成された樹脂粒子の体積平均粒径が8μmであることを確認したのち、室温まで徐冷し、1N塩酸を500重量部加えた。吸引濾過をして樹脂粒子を取りだし、濾液が中性になるまで繰り返し純水洗浄を行った。これを真空乾燥し、気流解砕のち、超音波ふるい(目開き43μm)でふるい、樹脂粒子を得た。
得られた樹脂粒子:100重量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル社製RX200、粒径12nm)を0.5重量部添加し、ヘンシェルミキサーにて混合撹拌して、最終的なトナーを得た。最終的に得られたトナーは、重量基準の平均粒径が、8.0μmであった。重量基準の粒径標準偏差は0.8μmであった。
(実施例2)
<着色剤の製造>
トナーの製造に先立ち、以下の着色剤を製造した。
まず、アニオン性基を表面に有する顔料粒子で構成されたマゼンタ顔料(キナクリドン(P.R.122)、表面のアニオン性基の量:0.06mmol/g)を用意した。
このマゼンダ顔料100gをイオン交換水500gに分散した水性分散液に、カチオン性重合性界面活性剤としてメタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライドを1.25g添加して混合した後、超音波を15分間照射した。次いで、ベンジルメタクリレート12g、ドデシルメタクリレート8gを混合して加え攪拌混合し、さらにメタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライドを1.50g添加して再び超音波を30分間照射した。これを、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調整器、窒素導入管および超音波発生器を備えた反応容器に投入した。反応容器の内温を80℃に昇温した後、イオン交換水20gに重合開始剤として2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.6gを溶解した2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩水溶液を滴下し、窒素を導入しながら、80℃で6時間重合した。重合終了後、クエン酸二ナトリウムでpH6前後に調整し、限外濾過を行い、目的のマイクロカプセル化顔料“AMPマゼンダ顔料”の分散液を得た。得られた分散液をリーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150を用いて体積平均粒子径を測定したところ、100nmであった。
その後、分散液を減圧下で加熱乾燥し、AMPマゼンダ顔料を得た。
<結着樹脂の製造>
トナーの製造に先立ち、以下に示す2種のポリエステルA、Bを製造した。
1.ポリエステルA(非晶性ポリエステル)の製造
まず、ネオペンチルグリコール:36モル部、エチレングリコール:36モル部、1,4−シクロヘキサンジオール:48モル部、テレフタル酸ジメチル:90モル部、無水フタル酸:10モル部の混合物を用意した。
2リットル4つ口フラスコに、還流冷却器、蒸留塔、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計、攪拌装置を常法に従い設置し、前記のアルコール成分とカルボン酸成分との混合物:1000gと、エステル化縮合触媒(チタンテトラブトキシド(PPB)):1gとを、前記2リットル4つ口フラスコ内に入れた。その後、材料温度:180℃で、生成する水、メタノールを蒸留塔より流出させながら、エステル化反応を進行させた。蒸留塔から水、メタノールが流出しなくなった時点で、2リットル4つ口フラスコから蒸留塔を取り外すとともに、真空ポンプに接続した。系内の圧力を5mmHg以下に減圧した状態で、温度を200℃とし、攪拌回転数:150rpm攪拌することにより、縮合反応で発生した遊離ジオールを系外に排出し、その結果得られた反応物をポリエステルA(PES−A)とした。
得られたポリエステルAについて、示差走査熱量分析装置による融点の吸熱ピークの測定を試みた。その結果、融点の吸収ピークであると判断できるようなシャープなピークは、確認することができなかった。また、ポリエステルAの軟化点T1/2は、111℃、ガラス転移点Tは、60℃、重量平均分子量Mwは、1.3×10であった。
2.ポリエステルB(ブロックポリエステル)の製造
2リットル4つ口フラスコに、還流冷却器、蒸留塔、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計、攪拌装置を常法に従い設置し、上記[1.1]で得られたポリエステルA:70モル部と、アルコール成分としての1,4−ブタンジオール:15モル部と、カルボン酸成分としてのテレフタル酸ジメチル:15モル部との混合物:1000gと、エステル化縮合触媒(チタンテトラブトキシド(PPB)):1gとを、前記2リットル4つ口フラスコ内に入れた。その後、材料温度:200℃で、生成する水、メタノールを蒸留塔より流出させながら、エステル化反応を進行させた。蒸留塔から水、メタノールが流出しなくなった時点で、2リットル4つ口フラスコから蒸留塔を取り外すとともに、真空ポンプに接続した。系内の圧力を5mmHg以下に減圧した状態で、温度を220℃とし、攪拌回転数:150rpm攪拌することにより、縮合反応で発生した遊離ジオールを系外に排出し、その結果得られた反応物をポリエステルB(PES−B)とした。
示差走査熱量分析装置を用いた測定での、ポリエステルBの融点の吸熱ピークの中心値Tmpは、218℃、ショルダーピーク値Tmsは、205℃であった。また、測定で得られた示差走査熱量分析曲線から、求められたポリエステルBの融解熱Eは、15mJ/mgであった。また、ポリエステルBの軟化点T1/2は、148℃、ガラス転移点Tは、63℃、重量平均分子量Mwは、2.6×10であった。
<顔料マスターバッチCの製造>
トナーの製造に先立ち、顔料マスターバッチCを製造した。
ポリエステルA:60重量部とAMPマゼンタ顔料:40重量部とを、フラッシング法により混合し、混合物を作成した。この混合物を直径2mm程度に粗粉砕し顔料マスターバッチCとした。
<トナーの製造>
まず、非晶性ポリエステルとしてポリエステルA:85重量部、ブロックポリエステルとしてポリエステルB:15重量部を用意した。
これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、樹脂製造用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を図5に示すような2軸混練押出機(東芝機械社製、TEM−41型)を用いて、混練した。
2軸混練押出機のプロセス部の全長は160cmとした。
また、プロセス部における原料の温度が250℃となるように設定した。
また、スクリューの回転速度は120rpmとし、原料の投入速度は20kg/時間とした。
このような条件から求められる、原料がプロセス部を通過するのに要する時間は約4分間である。
なお、上記のような混練は、脱気口を介してプロセス部に接続された真空ポンプを稼動させることにより、プロセス部内を脱気しつつ行った。
プロセス部で混練された原料(混練物)は、ヘッド部を介して2軸混練押出機の外部に押し出した。ヘッド部内における混練物の温度は、200℃となるように調節した。
このようにして2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を、図5中に示すような冷却機を用いて、冷却した。冷却工程直後の混練物の温度は、約54℃であった。
混練物の冷却速度は、15℃/秒であった。また、混練工程の終了時から冷却工程が終了するのに要した時間は、10秒であった。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.5mmの粉末(粗粉砕物)とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
次に、粗粉砕物:100重量部、顔料マスターバッチC:10重量部、帯電制御剤としてサリチル酸クロム錯体(ボントロンE−81):1重量部、ワックスとしてカルナウバワックス(分子量850):3重量部を用意した。
これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を、図5に示すような2軸混練押出機(東芝機械社製、TEM−41型)を用いて、混練した。
2軸混練押出機のプロセス部の全長は160cmとした。
また、プロセス部における原料の温度が110℃となるように設定した。
また、スクリューの回転速度は120rpmとし、原料の投入速度は20kg/時間とした。
このような条件から求められる、原料がプロセス部を通過するのに要する時間は約4分間である。
なお、上記のような混練は、脱気口を介してプロセス部に接続された真空ポンプを稼動させることにより、プロセス部内を脱気しつつ行った。
プロセス部で混練された原料(混練物)は、ヘッド部を介して2軸混練押出機の外部に押し出した。ヘッド部内における混練物の温度は、100℃となるように調節した。
このようにして2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を、図5中に示すような冷却機を用いて、冷却した。冷却工程直後の混練物の温度は、約45℃であった。
混練物の冷却速度は、6℃/秒であった。また、混練工程の終了時から冷却工程が終了するのに要した時間は、10秒であった。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕(平均粒径:1〜2mm)し、引き続き微粉砕した。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用い、微粉砕にはジェットミル(ホソカワミクロン社製、200AFG)を用いた。なお、微粉砕は、粉砕エア圧:500[kPa]、ロータ回転数:7000[rpm]で行った。
このようにして得られた粉砕物を気流分流機(ホソカワミクロン社製、100ATP)で分級した。
その後、分級したトナー製造用粉末に対し、外添剤を付与してトナーを得た。外添剤の付与は、20L型のヘンシェルミキサーを用いて、トナー製造用粉末:100重量部と、外添剤:2.5重量部とを混合することにより行った。外添剤としては、負帯電性小粒径シリカ(平均粒径:12nm):1重量部と、負帯電性大粒径シリカ(平均粒径:40nm):0.5重量部と、酸化チタンSTT−30S(平均粒径:20nm):0.5重量部とを用いた。なお、負帯電性シリカ(負帯電性小粒径シリカ、負帯電性大粒径シリカ)としては、ヘキサメチルジシラザンで表面処理(疎水化処理)を施したものを用いた。
最終的に得られたトナーは、重量基準の平均粒径が、7.0μmであった。重量基準の粒径標準偏差は0.8μmであった。
(比較例1)
顔料粒子をカプセル化しなかった以外は、実施例1と同様にして、トナーを製造した。
(比較例2)
顔料粒子をカプセル化しなかった以外は、実施例2と同様にして、トナーを製造した。
[2]評価
上記のようにして得られた各トナーについて、帯電均一性、かぶり、定着強度の評価を行った。
[2.1]帯電均一性
各実施例および各比較例で得られたトナーを、それぞれカラーレーザープリンタ(セイコーエプソン社製、LP−9300C)の現像器に投入した。同機の現像器のトナー規制ブレードを、所定量のトナー(0.65mg/cm2)が現像ローラから感光体に供給されるように調整し、LP9300を運転した。
トナー規制ブレードに規制され、感光体に搬送されるトナーの帯電量を、現像ローラ上のトナーを分析することによって評価した。帯電量は、ホソカワミクロン(株)製のE−SPARTアナライザーによって測定した。測定条件は、吸引流量0.2リットル/分、集塵エアー流量0.6リットル/分、吹き付け窒素ガス圧0.02Mpaとし、トナー1個ごとの帯電量(Q/m)を測定して、3000個のトナーカウントで帯電量分布を求めた。
トナーの帯電量の均一性は、トナー1個あたりの帯電量の個数分布において、最大頻度の帯電量(Q/m)と測定したトナーの総帯電量を測定カウント(個数)で除した値(Q/m)との差の絶対値が小さいほど、帯電量の分布は均一であり、絶対値が大きいほど不均一である。
[2.2]かぶり評価
富士ゼロックスオフィスサプライ(株)製普通紙(商品名J)に、住友スリーエム(株)製メンディングテープを、貼り付ける。このテープの色彩をミノルタ(株)製色彩色差計CR−221で測定する(これを基準値とする)。
カラーレーザープリンタ(セイコーエプソン社製、LP−3000C)を改造したものを用いる。評価するトナーを現像機にいれ、全面白(べた白)を印字する。印字中にプリンタの動作を停止させ、感光体を取り出す。感光体と転写ベルトの接する点(転写ニップ)と現像ローラと感光体の近接する点(現像ニップ)の領域に、メンディングテープを貼り付け、かぶりトナーを付着させ、これをJ紙に貼り付ける。このテープと基準値との色差を測定する。色差が小さいほど、かぶりが少ないことを意味する。
[2.3]定着強度
カラーレーザープリンタ(セイコーエプソン社製、LP−2000C)を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られたトナーによる所定パターンの画像を記録紙セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成した。その後、記録紙上に形成された画像について、オーブンによる熱定着を行った。この熱定着は、120℃×30分間という条件で行った。
その後、非オフセット領域を確認した後、記録紙上の定着像を消しゴム(ライオン事務機社製、砂字消し「LION 261−11」)を押圧荷重kgfで2回擦り、画像濃度の残存率をX−Rite Inc社製「X−Rite model 404」により測定し、以下の3段階の基準に従い評価した。
○:画像濃度残存率が90%以上。
△:画像濃度残存率が70%以上90%未満。
×:画像濃度残存率が70%未満。
これらの結果を表1に示した。
Figure 2006309035
表1から明らかなように、本発明(実施例1、2)のトナーは、いずれも、帯電均一性、かぶり、定着強度に優れたものであった。これに対して、比較例のトナーは、いずれも、帯電均一性、かぶり、定着強度に劣っていた。
また、実施例1および比較例1において、着色剤として、カーボンブラックに代わり、銅フタロシアニン顔料、ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントイエロー93、キナクリドン(P.R.122)を用いた以外は同様にして、トナーを作製し、また、実施例2および比較例2において、C.I.キナクリドン(P.R.122)に代わり、銅フタロシアニン顔料、ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントイエロー93を用いた以外は同様にして、トナーを作製し、これらの各トナーについても前記と同様の評価を行った。その結果、前記各実施例および前記各比較例と同様の結果が得られた。
本発明のトナーに適用される着色剤の製造工程を示す図である。 本発明のトナーに適用されるマイクロカプセル化顔料の一例を示す図である。 本発明のトナーに適用される着色剤の製造工程を示す図である。 本発明のトナーに適用されるマイクロカプセル化顔料の一例を示す図である。 本発明のトナーの製造方法に用いる混練機、冷却機の構成の一例を模式的に示す縦断面図である。
符号の説明
K1…混練機 K2…プロセス部 K21…バレル K22、K23…スクリュー K24…固定部材 K25…脱気口 K3…ヘッド部 K31…内部空間 K32…押出口 K33…横断面積漸減部 K4…フィーダー K5…原料 K6…冷却機 K61、K62、K63、K64…ロール K611、K621、K631、K641…回転軸 K65、K66…ベルト K67…排出部 K7…混練物 1…顔料粒子 11…カチオン性基 12…疎水性基 13…重合性基 14…アニオン性基 2…カチオン性重合性界面活性剤 60…ポリマー層 100、101…マイクロカプセル化顔料

Claims (15)

  1. 少なくとも、結着樹脂と、着色剤とを含むトナーであって、
    前記着色剤は、アニオン性基を表面に有する顔料粒子が、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位を有するポリマーにより被覆されたものであることを特徴とするトナー。
  2. 前記着色剤は、前記アニオン性基を表面に有する顔料粒子が分散された水性分散液中で、前記カチオン性重合性界面活性剤を重合することにより、前記顔料粒子をポリマーで被覆してなるものである請求項1に記載のトナー。
  3. 前記ポリマーが、疎水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位をさらに有する請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記ポリマーが、架橋性モノマーから誘導された繰り返し構造単位および/または下記一般式(1)で表されるモノマーから誘導された繰り返し構造単位をさらに有する請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー。
    Figure 2006309035
  5. 前記顔料粒子を構成する顔料が、カーボンブラックである請求項1ないし4のいずれかに記載のトナー。
  6. 前記顔料粒子のアニオン性基が、スルホン酸アニオン基(−SO )および/またはスルフィン酸アニオン基(−RSO :RはC〜C12のアルキル基またはフェニル基およびその変性体)である請求項1ないし5のいずれかに記載のトナー。
  7. 前記顔料粒子のアニオン性基が、カルボン酸アニオン基(−COO)である請求項1ないし6のいずれかに記載のトナー。
  8. 前記カチオン性重合性界面活性剤のカチオン性基が、第一級アミンカチオン、第二級アミンカチオン、第三級アミンカチオン、第四級アンモニウムカチオンからなる群から選択されたものである請求項1ないし7のいずれかに記載のトナー。
  9. 前記カチオン性重合性界面活性剤の疎水性基が、アルキル基、アリール基およびこれらが組み合わされた基からなる群から選択されたものである請求項1ないし8のいずれかに記載のトナー。
  10. 前記カチオン性重合性界面活性剤の重合性基が、ラジカル重合が可能な不飽和炭化水素基であって、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択されたものである請求項1ないし9のいずれかに記載のトナー。
  11. 前記着色剤は、前記アニオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液に前記カチオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、重合開始剤を加えて乳化重合することにより得られる請求項1ないし10のいずれかに記載のトナー。
  12. 前記着色剤は、前記アニオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液に前記カチオン性重合性界面活性剤を加えて混合後、疎水性モノマーおよびカチオン性重合性界面活性剤を加え乳化後、重合開始剤を加えて乳化重合することにより得られる請求項1ないし11のいずれかに記載のトナー。
  13. 前記着色剤は、前記アニオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液に前記カチオン性重合性界面活性剤を加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、疎水性モノマーを加えて混合する工程と、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤を加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、重合開始剤を加えて乳化重合する工程とを順に実施することにより得られる請求項1ないし12のいずれかに記載のトナー。
  14. 前記着色剤は、前記アニオン性基を表面に有する顔料粒子の水性分散液にカチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤を加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、疎水性モノマーと架橋性モノマーおよび/または下記一般式(1)で表されるモノマーとを加えて混合する工程と、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤を加えて混合し超音波を照射して処理する工程と、重合開始剤を加えて乳化重合する工程とを順に実施することにより得られる請求項1ないし13のいずれかに記載のトナー。
    Figure 2006309035
  15. 帯電制御剤を含む請求項1ないし14のいずれかに記載のトナー。
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